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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】安定化耐火組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/66 20060101AFI20230224BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
C04B35/66
F27D1/00 N
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019523681
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017060008
(87)【国際公開番号】W WO2018085700
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】201610973754.4
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596055084
【氏名又は名称】アライド・ミネラル・プロダクツ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポーリー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ケナード,ブリットニー
(72)【発明者】
【氏名】ドザ,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ゴスキ,ダナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルカーソン,ケリー
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505505(JP,A)
【文献】国際公開第2014/053699(WO,A1)
【文献】特開昭59-182280(JP,A)
【文献】特開平05-004872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84
F27D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)耐火骨材、
(b)一つ以上の耐火性母材成分、および
(c)ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子
を含むモノリシック耐火組成物であり、
前記耐火骨材、100μmから20mmの範囲の粒径を有する粒子を含み、
前記耐火性母材成分が、100μm未満の粒径を有する粒子を含み、
前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、Ca(OH)、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウムまたは硫酸カルシウムのうちの1つ以上のケイ酸塩被覆粒子を含み、
前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、
前記耐火組成物はドライミックスであるモノリシック耐火組成物。
【請求項2】
前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を含む、請求項1記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項3】
前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸ナトリウム被覆Ca(OH)粒子を含む、請求項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項4】
前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子に基づいて、粒子の1重量%から99重量%、粒子の5重量%から70重量%、粒子の5重量%から60重量%、粒子の10重量%から50重量%または粒子の20重量%から40重量%の被覆である、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項5】
前記ケイ酸ナトリウム被覆が、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子に基づいて、粒子の5重量%から60重量%、粒子の10重量%から50重量%または粒子の20重量%から40重量%の被覆である、請求項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項6】
モノリシック耐火組成物は、0.01重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子、0.05重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子または0.05重量%から0.1重量%の前記ケイ酸塩硬化促進剤粒子を含む、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項7】
バインダーをさらに含む、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項8】
前記バインダーが、アルミン酸カルシウムセメント、水和性アルミナ、リン酸塩バインダー、アルカリケイ酸塩バインダー、マイクロシリカゲル結合バインダー、コロイドシリカおよびコロイドアルミナからなる群から選択される、請求項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項9】
前記バインダーがアルミン酸カルシウムセメントを含む、請求項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項10】
前記バインダーが、水和性アルミナ、またはアルミン酸カルシウムセメントと組合せた水和性アルミナを含む、請求項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項11】
前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、シリカ、タルク、アルミノケイ酸ナトリウム、珪藻土、セルロース、粘土、ポリマー粒子およびそれらの混合物からなる群から選択される固結防止剤をさらに含む、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項12】
前記骨材が、アルミナ、ボーキサイト、ムライト、ボーキサイトカオリン、アンダルサイト、焼成カオリン、シャモット、焼成フリントクレー、パイロフィライト、溶融シリカ、バブルアルミナ、軽量クレイグロッグ、バブルフライアッシュ、パーライト、バーミキュライト、溶融または焼結マグネシアアルミナスピネル、溶融または焼結アルミナ-ジルコニア-シリカ、マグネシア、カルシウムヘキサアルミネート、溶融カルシウムアルミネートクリンカ、焼結アルミン酸カルシウムクリンカおよび軽量カルシウムヘキサアルミネートのうちの1つ以上を含む、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項13】
前記耐火性母材成分が、焼成アルミナ、反応性アルミナ、炭化ケイ素、石英シリカ、ヒュームシリカ、マグネシア、カヤナイト、ムライト、スピネル(MgAl)、粘土、ジルコン、グラファイトおよびフライアッシュのうちの1つ以上を含む、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項14】
製造から1から18ヶ月の老化後、前記耐火組成物が、製造時の初期硬化時間と比較して8時間未満の初期硬化時間の変化を示すか、または製造時の初期硬化時間と比較して5時間未満の初期硬化時間の変化を示す、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項15】
製造から1から18ヶ月の老化後、前記耐火組成物が、製造時の初期硬化時間と比較して15%未満の初期硬化時間の変化を示す、請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項16】
該耐火組成物は、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を含まない耐火組成物と比較して、少なくとも製造から1ヶ月の老化後の初期硬化時間の減少した変化を示す、請求項1または請求
項3に記載のモノリシック耐火組成物。
【請求項17】
少なくとも製造から1ヵ月老化したモノリシック耐火組成物にケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を添加し、その後該耐火組成物を水性液体と混合し、混合物を硬化させる工程を含む、老化モノリシック耐火組成物の回復方法であり、
前記老化したモノリシック耐火組成物は、耐火骨材および一つ以上の母材成分、および任意にバインダーを含み、
前記老化したモノリシック耐火組成物はバインダーを含まない場合、前記水性液体と混合する前にバインダーが添加されるか、または前記水性液体がバインダーを含み、
前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、Ca(OH)、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウムまたは硫酸カルシウムのうちの1つ以上のケイ酸塩被覆粒子を含み、
前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、
老化モノリシック耐火組成物の回復方法。
【請求項18】
前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
モノリシック耐火組成物は、炉および窯の裏張りまたは修理、ならびに様々な形状の注型などの多様な目的に使用される。場合によっては、モノリシック耐火組成物は乾燥状態で製造され、次いで水および/または他の液体もしくは溶媒と混合してコンクリートと稠度が類似する混合物に製造される。次いで、この水性または非水性混合物を、限定するわけではないが、ポンピング、注型、またはコンクリート吹付けを含む方法によって構造体、表面、または型枠に送達することができる。別の例では、モノリシック耐火材料が構造体に隣接する位置に空気圧で運搬され、水または他の液体と混合し、ノズルシステムを介して構造体の表面に送達することができる。水および/または他の液体もしくは溶媒と混合した後、モノリシック耐火混合物はしばらくすると固まるか硬化する。
【0002】
耐火組成物に関する既知の問題は、老化するにつれて硬化特性が変化することである。新鮮な組成物は、数週間または数ヶ月のものとは異なる動作をする。典型的には、組成物の反応性は老化と共に減少し、初期硬化時間が長くなり予測不可能になってしまう。理想的な条件下で貯蔵した場合でも、水分は組成物中の微細成分(例えば、ヒュームシリカ、アルミン酸カルシウムセメント、分散剤系など)と反応し、硬化時間を遅らせる。老化の影響も予測が困難である。2つ同一の耐火組成物の初期硬化時間は製造時には非常に類似しているが、それらの硬化時間は組成物が老化するにつれてかなり変わる。
【0003】
いくつかの例では、数ヶ月の耐火物組成物は許容される期間内に硬化する(例えば固まる)ことがない。しかし、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸リチウムまたはアルミン酸ナトリウムのような硬化促進剤を添加すると老化した組成物を硬化させることができるが、老化した耐火組成物に硬化促進剤を添加することの効果の予測が困難である。水酸化カルシウムのような少量の硬化促進剤を添加したとしても、組成物が急速に硬化し始める可能性があり、その結果、作業時間(水和した組成物が過度にゲル化または増粘する前に所定の位置に移動できる時間の量)が許容できないほど短くなる。
【0004】
適切かつ安定した硬化時間を有する耐火組成物を提供するための様々な装置および技術が存在しうるが、本発明者以前に本明細書に記載された発明を製造または使用した者がいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、ケイ酸塩被覆硬化促進剤の添加なく、様々な年齢の低セメントキャスタブル耐火物を硬化させるための発熱プロットを示すグラフである。
図2図2は、30重量%のケイ酸塩被覆を有するCa(OH)粒子を耐火物に添加した、様々な年齢の図1の低セメントキャスタブル耐火物の硬化に関する発熱プロットを示すグラフである。
図3図3は、20重量%のケイ酸塩被覆を有するCa(OH)粒子を耐火物に添加した、様々な年齢の図1の低セメントキャスタブル耐火物の硬化に関する発熱プロットを示すグラフである。
図4図4は、10重量%のケイ酸塩被覆を有するCa(OH)粒子を耐火物に添加した、様々な年齢の図1の低セメントキャスタブル耐火物の硬化に関する発熱プロットを示すグラフである。
図5図5は、50重量%のケイ酸塩被覆を有するCa(OH)粒子を耐火物に添加した、様々な年齢の図1の低セメントキャスタブル耐火物の硬化に関する発熱プロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、本発明の実施形態の例を説明するものであり、当業者が本発明を創造しそして使用することを可能にすることを目的とする。したがって、これらの実施形態の詳細な説明および例示は、本質的に純粋に例示的なものであり、決して本発明の範囲またはその保護を限定することを意図するものではない。特記しない限り、本明細書中に示される全成分の百分率は重量によるものである。
【0007】
本発明は、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を含む硬化性耐火組成物を提供する。いくつかの実施形態において、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子は、ケイ酸塩被覆水酸化カルシウム粒子(例えば、ケイ酸ナトリウム被覆)を含む。ある場合には、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子は耐火組成物の製造時に(ドライミックスとして)提供され、他の場合にはケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子は、ドライミックス耐火組成物が老化した後(例えば、1ヶ月以上、4ヶ月以上、8ヶ月以上、またはさらには10~12ヶ月以上老化)にその組成物に添加される。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子は、バインダー(例えば、アルミン酸カルシウムセメント)も含むドライミックス耐火組成物に添加される。代わりの実施形態では、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子は、バインダーを含まないドライミックス耐火組成物に添加されるが、硬化を開始するために現場でバインダー含有水溶液と組み合わせる。
【0008】
本発明の実施形態は、初期硬化時間を短縮するだけでなく、組成物が長期保管後も許容できる期間内に硬化可能であるように貯蔵中に組成物を安定させるために、ケイ酸塩被覆硬化促進剤(例えば、水酸化カルシウム)を含むモノリシック耐火組成物を提供する。本発明者らは、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩がいくつかのモノリシック耐火配合物に対して硬化促進剤として作用するとしても、例えば水酸化カルシウム粒子上のコーティング(coating、被覆)として使用されるとき、ケイ酸塩被覆が水酸化カルシウムの作用を遅らせることを発見した。その結果、耐火組成物の初期硬化時間が短縮され、硬化時間に対する製品老化の影響が減少した。新鮮な組成物と老化した組成物の両方の初期硬化時間が減少したとしても、新鮮な組成物と老化した組成物との間の初期硬化時間の差は減少した。したがって、長期保存後でも、硬化時間は予測可能で安定性がある。
【0009】
ケイ酸塩被覆硬化促進剤は製造時に耐火組成物に添加することができるが、本発明者らはまた、ケイ酸塩被覆促進剤を老化した耐火組成物に添加しても同様の効果が達成されることを見出した。この追加の発見は、そうでなければ許容される時間内に硬化しない老化した組成物を回復するための方法を提供する。
【0010】
本明細書に記載の安定化硬化促進剤は、従来の(通常の)、低セメント、超低セメント、およびセメントフリー(セメント無し)のモノリシックを含むがこれらに限定されない、多種多様な既知およびこれから記載されるモノリシック耐火組成物に組み込むことができる。当業者に知られているように、そしてASTM C-401に記載されているように、従来の(または通常の)耐火組成物は、焼成基準において2.5重量%を超える総CaO含有量を有し、低セメント耐火組成物は、焼成基準において1.0重量%より多く、2.5重量%以下の総CaO含有量を有し、超低セメント耐火組成物は、焼成基準において0.2重量%より多く、1.0重量%以下の総CaO含有量を有し、そしてセメント無し耐火組成物は、焼成基準において0.2重量%を超えない総CaO含有量を有する。
【0011】
本明細書に記載の安定化硬化促進剤は、流動のために振動を必要とするキャスタブル組成物、ならびに自己流動性のあるものに組み込むことができる。本明細書に記載の安定化硬化促進剤はまた、ガン吹付けのできる組成物(例えば、吐出前にノズルで噴射される液体例えば水と一緒に空気圧が加えられるように設計された組成物)およびコンクリート吹付け用組成物(例えば、水などの液体と混合し、次いで空気圧排出のためにノズルにポン
プ輸送するように設計された組成物)を含む噴霧可能な組成物に組み込むことができる。安定化硬化促進剤は、これらのモノリシック耐火組成物に典型的に使用される用途、養生または焼成プロセスを変えない。
【0012】
モノリシック耐火組成物は、安定化硬化促進剤を粗粒(例えば、耐火骨材)、母材成分(例えば、微細フィラー)および場合によっては1つまたは複数の混和剤と共に含有する、予混合乾燥粒状系を含む。バインダーも必要であり、ドライミックス中に含まれるか、または使用時にドライミックスに添加される(すなわち、使用直前にドライミックスと混合する)。使用される様々な原材料は、最終硬化生成物の所望の物理的および化学的性質に応じて変わる。
【0013】
本発明の耐火組成物には、任意の様々な水硬性バインダー(例えば、水と反応して硬化するバインダー)および非水硬性(化学)バインダーを使用することができる。バインダーは焼成前に組成物に生強度を与える。適切な水硬性バインダーは、アルミン酸カルシウムセメントおよび水和性アルミナ(ローアルミナ(rho alumina)とも呼ばれる)を含有する。
【0014】
適切な化学的(例えば、非水硬性)バインダーは、リン酸塩バインダー、アルカリケイ酸塩バインダー(例えば、ケイ酸ナトリウム)、コロイドシリカおよびコロイドアルミナを含有する。適切なリン酸塩バインダーは、以下のものを含有するが、これらに限定されない:(a)リン酸、(b)リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アンモニウムまたはリン酸カリウムの塩の固体または液体溶液。
【0015】
一例として、ケイ酸ナトリウムバインダーを使用することができる(空気硬化性耐火混合物)。ある場合には、乾燥ケイ酸ナトリウムを乾燥耐火組成物の一部として添加し、その場で水を添加して耐火性混合物を形成し、これは注型または噴霧後に風乾しそして硬化する。他の例では、(バインダーとして)ケイ酸ナトリウムの液体(例えば、水溶液)が現場でドライミックスに添加され、得られた混合物は注型または噴霧後に風乾しそして硬化する。
【0016】
様々なリン酸アルミニウムバインダーが当業者に知られており、注型または噴霧直前にドライミックスに(骨材、母材成分および任意の混和剤と共に)添加するか、または現場で液体溶液としてドライミックスと混合することができる。一般的に使用されるリン酸アルミニウムの1つは、リン酸一アルミニウム、Al(HPOであり、これは、MgOまたは他のアルカリ土類金属酸化物などの硬化剤と組み合わせて使用することができる。
【0017】
オルトリン酸またはリン酸一アルミニウム液体溶液などの酸バインダーも使用することができる。この場合、バインダーは、事前に調製されたドライミックスに含まれるのではなく、耐火組成物の使用直前に液体(例えば、水性)溶液として現場で添加される。これらの例では、混合されたドライミックス成分(骨材および母材成分)は典型的にAl、MgOまたは他のアルカリ土類金属酸化物のような硬化剤を含む。
【0018】
同様に、フライアッシュまたは炉スラグ(ジオポリマーセメントまたはGPCとも呼ぶ)のようなアルカリ活性化バインダーも使用することができる。これらのGPCは、ケイ酸塩および/または水酸化物と反応したときの元のバインダー材料からのアルミナおよびシリカの重縮合に依存する。これらのGPCバインダーは、注型または噴霧直前にドライミックスに添加する、または現場で液体溶液としてドライミックスと組み合わせることができる。
【0019】
コロイドアルミナ、コロイドシリカ、および他のシリカゲル結合系を含む他の化学バインダーもまた使用され得る。コロイドアルミナおよびコロイドシリカの場合には、これらの結合系は、注型または噴霧直前に、現場で液体溶液としてドライミックスと組み合わされる。他のシリカゲル結合系(例えば、マイクロシリカ-ゲル結合セメント無しキャスタブル)の場合は、マイクロシリカバインダー(例えば、ヒュームシリカ)がドライミックス自体に含まれ、ドライミックスを水と混合することによってその場で活性化することができる。水を添加すると、マイクロシリカはゲル化する(例えば硬化する)。
【0020】
ドライミックスに含まれる、または使用時にドライミックスに添加されるバインダーの量は、バインダーの種類、ならびに適用方法(例えばキャスタブル対吹き付け)および意図される用途(例えば設置後に耐火組成物がさらされる環境)に応じて変わる。アルミン酸カルシウムセメント(「CAC」)の場合は、耐火組成物ドライミックスに含まれる量は、とりわけ、アルミン酸カルシウムセメントのアルミナ含有量に応じて変わる。
【0021】
いくつかの実施形態では、耐火組成物は、バインダーとして市販の50%~80%アルミナ含有量のCACを使用し、ドライミックスは1重量%乃至30重量%のCACを含む(例えば、50%アルミナのCAC、60%アルミナのCAC、70%アルミナのCACまたは80%アルミナのCAC)。他の実施形態において、ドライミックスは3%乃至10%のCACを含む(例えば、50%アルミナのCAC、60%アルミナのCAC、70%アルミナのCACまたは80%アルミナのCAC)。また他の実施形態において、ドライミックスは10%乃至25%のCACを含む(例えば、50%アルミナのCAC、60%アルミナのCAC、70%アルミナのCACまたは80%アルミナのCAC)。さらに他の実施形態において、ドライミックスは、1%乃至3.5%のCACを含む(例えば、50%アルミナのCAC、60%アルミナのCAC、70%アルミナのCACまたは80%アルミナのCAC)。
【0022】
他の実施形態では、耐火組成物は、水和性アルミナ(「HA」)をバインダーとして使用し、その中、ドライミックスは1重量%乃至15重量%のHAを含む。他の実施形態では、ドライミックスは2%乃至10%のHAを含む。
【0023】
また他の実施形態において、ドライミックスは、CACおよびHAなどの2つ以上のバインダーの組み合わせを含む。一実施形態では、ドライミックスは1:9乃至9:1のHA:CACの比を含む。例えば、いくつかのドライミックス実施形態は0.5%~5.5%のHAと組み合わせた1%~8%のCACを含む。他の実施形態は、2%~6%のHAと組み合わせた3%~9%のCACを含む。
【0024】
バインダーを含有するドライミックス耐火組成物の他の実施形態は、4%~12%の乾燥リン酸塩バインダー(例えば、Al(HPOを含む。他の実施形態は、1%~15%のケイ酸アルカリバインダーを含む。現場で液体バインダー溶液を使用する他の実施形態では、液体溶液として約8%~15%のリン酸塩バインダー(例えば、液体バインダー溶液中に100部の耐火性ドライミックス当たりに8~15部のリン酸)をバインダーフリーのドライミックスと混合する。さらに他の実施形態では、液体溶液として、約6%~18%のコロイドシリカまたは0.1%~4.5%のコロイドアルミナをバインダーフリーのドライミックスと混合する。
【0025】
耐火組成物には、任意の様々な耐火性骨材を使用することができる。骨材は、空隙率、流動性、液体需要量、および機械的強度を制御するために、一般に既知の数学的モデリング技術を使用して最適化された、ある範囲のサイズ(例えば、20mm~100μm)で使用される。一般に、骨材は100μmから20mmの範囲の粒径を有する粒子を含む。
適切な耐火骨材は、以下のうちの1つ以上を含む:アルミナ(板状、白色溶融および褐色溶融アルミナを含む)、ボーキサイト、ムライト、ボーキサイトカオリン、アンダルサイト、焼成カオリン、シャモット、焼成フリントクレー、パイロフィライト、溶融シリカ、バブルアルミナ、軽量クレイグロッグ、バブルフライアッシュ、パーライト、ハイダイト、バーミキュライト、溶融または焼結マグネシアアルミナスピネル、溶融または焼結アルミナ-ジルコニア-シリカ、マグネシア、カルシウムヘキサアルミネート、溶融カルシウムアルミネートクリンカ、焼結アルミン酸カルシウムクリンカおよび軽量カルシウムヘキサアルミネート。
【0026】
モノリシック耐火組成物は、広範囲の骨材種類、サイズおよび量で配合することができる。例えば、本発明の耐火組成物のいくつかは、15%~80%の骨材を含み、これは、焼成フリントおよびシャモットなどの1種類以上の骨材でありうる。他の実施形態では、耐火組成物は40%から80%の骨材を含む。また他の実施形態では、耐火組成物は15%から35%の骨材を含む。
【0027】
本発明の耐火組成物は、例えば流動特性の調整、骨材粒子間の空隙の充填、および結合および機械的強度の向上のために、一般に100μm未満の粒径を有する粒子の形態をもつ1種以上の耐火性母材成分(微粉、微細充填剤、または充填剤としても知られる)をさらに含む。適切な母材成分には、以下のうちの1つ以上を含む:焼成アルミナ、反応性アルミナ、炭化ケイ素、石英シリカ、ヒュームシリカ(「シリカヒューム」とも呼ばれる)、マグネシア、カイヤナイト、ムライト、スピネル(MgAl)、粘土、ジルコン、グラファイトおよびフライアッシュ。生強度をもたらすことに加えて、バインダーはまた、母材成分の1つ以上の機能を果たすことができる。
【0028】
モノリシック耐火組成物は、広範囲の母材成分種類、サイズおよび量で配合することができる。例えば、本発明の耐火組成物のいくつかは、15%~60%の1種以上の母材成分を含み、これは、微細アルミナ、焼成アルミナ、およびヒュームシリカの組み合わせなどの1種以上の母材成分でありうる。いくつかの実施形態において、耐火組成物は45%から60%の母材成分を含む。他の実施形態では、耐火組成物は30%から50%の母材成分を含む。また他の実施形態において、耐火組成物は15%から35%の母材成分を含む。
【0029】
本発明の耐火組成物は、典型的には、耐火組成物またはそれから形成された耐火材料の性能、硬化時間、流動性、要水量、機械的強度、透過性、耐アルカリ性および/または非濡れ性を向上または変化させるための1種以上の混合剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、耐火組成物のドライミックスは最大5重量%の1つまたは複数の混合剤を含む。他の実施形態では、最大3重量%の混和剤が含まれ、また他の実施形態では、最大1重量%の混和剤が含まれる。適切な混和剤としては、1種以上の分散剤、解こう剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、バーンアウト繊維(burn-out fibers)、流動性改良剤、および硫酸バリウムまたはフッ化カルシウムなどの溶融金属湿潤防止剤を含む。
【0030】
例として、本発明のモノリシック耐火組成物は、有機もしくは無機またはそれらの混合物の、1種以上の分散剤もしくは解こう剤を含むことができる。分散剤および解こう剤は、ドライミックスと水(または活性剤としても知られている水系バインダー溶液と共に)との混合を容易にするため、ならびに得られる混合物の流動性を改善し、それによって流動性に必要な水の量を減らす(すなわち、要水量を減らす)ために用いられる。耐火組成物は、最大約1重量%の分散剤、または最大約0.5重量%の分散剤、または最大約0.1重量%の分散剤を含み得、ここで1つ以上の分散剤を使用することができる。耐火組成物は、最大約1重量%の解こう剤、または最大約0.5重量%の解こう剤、または最大約0.1重量%の解こう剤を含み得、ここで1つ以上の解こう剤を使用してもよい。また分散剤と解こう剤の組み合わせも使用できる。
【0031】
適切な分散剤としては、例えば、次のものを含む:テトラポリリン酸ナトリウムまたはヘキサメタリン酸ナトリウムなどの縮合リン酸塩、ポリカルボン酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、またアンモニウムポリメチルアクリレートなどのポリアクリレート、ポリナフタレンスルホン酸ナトリウムまたはリグノスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ポリカルボキシレートエーテル、ならびにポリエチレングリコール系ポリマー。
【0032】
適切な解こう剤としては、例えば、高分子電解質のアンモニウム塩、ポリアクリル酸、およびカルボン酸製剤を含む。
【0033】
いくつかの市販品は、1種以上の分散剤と反応性アルミナおよび硬化促進剤または硬化遅延剤のいずれかを組み合わせている。分散アルミナと呼ばれることもあるこれらの製品も使用することができ、例えばAlmatis Inc.からADS 1、ADS 3、ADW 1、M-ADS 1、M-ADS 3およびM-ADW 1として入手可能である。
【0034】
また例として、本発明のモノリシック耐火組成物は、1つ以上の硬化促進剤または硬化遅延剤を含みうる。硬化促進剤は硬化時間を加速または短縮するが、硬化遅延剤は硬化時間を増加させる。適切な硬化促進剤としては、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、クエン酸リチウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムおよび消石灰が挙げられるが、これらに限定されない。適切な硬化遅延剤としては、ホウ酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、リグニンスルホネート、重炭酸ナトリウムおよびグルコン酸アルカリが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
耐火組成物はまた、当業者に知られている様々な有機バーンアウト繊維または非有機繊維を含みうる。
【0036】
前述のように、本発明のモノリシック耐火組成物は、初期硬化時間を短縮するだけでなく、貯蔵中に組成物を安定化させるケイ酸塩被覆硬化促進剤(例えば、水酸化カルシウム)を含む。ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムのようなケイ酸塩が硬化促進剤として作用するとしても、水酸化カルシウムのようなアルカリ硬化促進剤の粒子上の乾燥コーティングとして提供されるとき、ケイ酸塩被覆は水酸化カルシウムの作用を遅らせる。その結果、耐火組成物の初期硬化時間は短縮されるが、許容範囲内に留まる。
【0037】
さらに驚くべきことには、製品の老化の硬化時間に対する影響が大幅に減少し、そして新鮮な組成物と老化した組成物との間の初期硬化時間の差が減少した。したがって、硬化時間はより予測可能で安定性がある。ある場合には、製造時にドライミックス耐火組成物にケイ酸塩被覆硬化促進剤を添加する。他の例では、ケイ酸塩被覆硬化促進剤は、耐火組成物の使用直前などの保管期間後に耐火組成物に添加される。後者の場合には、そうでなければ許容される時間内に硬化しない老化した組成物を回復するために、ケイ酸塩被覆硬化促進剤を添加することができる。
【0038】
本明細書に記載のケイ酸塩被覆は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、硫酸カルシウムおよび当業者に公知の硬化促進剤の類似の化合物を含む、様々な異なる硬化促進剤に適用することができる。これらのうち、ケイ酸塩被覆水酸化カルシウム粒子が特に有用である。
【0039】
硬化促進剤粒子をケイ酸塩で被覆するために様々な方法を使用することができる。例えば、硬化促進剤粒子(例えば、Ca(OH))をケイ酸水溶液(例えば、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム)と混合して、混合物の粘度を下げ、そしてCa(OH)粒子のコーティングを容易にするために40乃至80℃の温度に加熱することができる。より高い固形分(例えば、≧20%固体)のケイ酸塩溶液は室温ではかなり粘性であるが、加熱するとその粘度が著しく減少する。それため、粒子の被覆を容易にするために、特に≧20重量%の固形分含有量を有するケイ酸塩溶液を使用する場合には、加熱が望ましい。ある場合には、製造、包装または貯蔵中の被覆粒子の望ましくない凝集の傾向を低減または排除するために固結防止剤が混合物に添加される。適切な固結防止剤としては、シリカ、タルク、アルミノケイ酸ナトリウム、珪藻土、粘土、セルロース、ステアリン酸、ポリマー粒子および上記の1つ以上の混合物を含む。固結防止剤として使用するのに適するポリマーには、ポリジメチルシロキサン、および米国特許第6124391号に記載されているような加水分解アクリロニトリルコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
粒子を被覆するのに十分に混合した後、粒子上の被覆は固化する(例えば、ケイ酸塩を周囲環境中に存在するCOへ曝露させ、わずかに脱水および/またはゲル化反応させる)。所望であれば、その後、例えば慣用のふるい処理を用いて被覆された粒子を種々のサイズの部分に分離する。被覆された粒子には多少の凝集があるので、被覆された粒子は一般に開始材料よりサイズが大きい。いくつかの実施形態において、被覆された粒子は、2.5mm(8メッシュ)以下、または1.5mm(14メッシュ)以下の粒径を提供するようにふるい分けされる。また他の実施形態において、被覆粒子は、2.4mm(8メッシュ)乃至0.15mm(100メッシュ)、または2.4mm(8メッシュ)乃至0.6mm(30メッシュ)、または0.85mm(20メッシュ)乃至0.19mm(75メッシュ)の粒径を有する。
【0041】
コーティングプロセスでは、さまざまなグレードのケイ酸塩を使用できる。例として、ケイ酸ナトリウムを使用するとき、SiO:NaO(重量)の比は1.6:1乃至3.3:1とすることができる。ケイ酸カリウムを使用するとき、SiO:KOの比は1.8:1乃至2.6:1とすることができる。ケイ酸リチウムの場合、一実施形態では、SiO:LiOの比は8.2とすることができる。しかしながら、これらのケイ酸塩の他の様々なグレードが使用できることが理解できる。さらに、粒子は、2つ以上のケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウム)の組み合わせで被覆することができる。
【0042】
被覆された粒子(任意の固結防止剤を含む)の重量%としてのケイ酸塩被覆の量は、単に被覆工程中に添加されるケイ酸塩の量を調節することによって容易に制御することができる。例えば、1重量%から99重量%を含むケイ酸塩被覆を有する粒子を調製することができる。いくつかの実施形態において、5重量%から70重量%を含むケイ酸塩被覆を有する粒子は、耐火組成物における使用のために調製される。他の実施形態では、5重量%から60重量%、または10重量%から50重量%、または20重量%から40重量%、または30重量%を含むケイ酸塩被覆を有する粒子となる。
【0043】
耐火組成物に添加されるケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子の量は、耐火組成物の性質、所望の硬化特性(例えば、初期硬化時間および/または作業時間)、被覆レベルおよび硬化促進剤の種類に応じて変わる。ケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子の場合、いくつかの実施形態では、耐火組成物に添加される量は、0.01重量%から0.5重量%、0.01重量%から0.2重量%、0.05重量%から0.5重量%、0.05重量%から0.2重量%、または0.05重量%から0.1重量%である。一つの特定の実施形態では、20重量%から40重量%の被覆レベルを有するケイ酸ナトリウムに被覆されたCa(OH)
粒子が、ドライミックスの0.05重量%から0.1重量%のレベルで耐火組成物に添加される。
【0044】
いくつかの実施形態では、バインダー、骨材、母材成分およびケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子(例えば、水酸化カルシウム)を含む耐火組成物は、混和(temper)(例えば、水または他の適切な液体と混合)したとき、(a)製造時の初期硬化時間は1から20時間、または1から10時間を示し、および/または(b)1から18ヶ月の老化後、(製造時の初期硬化時間と比較して)25%未満、または15%未満の初期硬化時間の変化を示す。また他の実施形態では、バインダー、骨材、母材成分およびケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子(例えば、水酸化カルシウム)を含む耐火組成物は、混和(例えば、水または他の適切な液体と混合)したとき、(a)製造時の初期硬化時間は1から20時間、または1から10時間を示し、および(b)1から18ヶ月の老化後、製造時の初期硬化時間と比較して8時間未満、または製造時の初期硬化時間と比較して5時間未満の初期硬化時間の変化を示す。
【0045】
以下の実施例は、アルミン酸カルシウムセメント系耐火組成物中のケイ酸ナトリウム被覆Ca(OH)2粒子の老化の利点を実証するが、これらの粒子は、本明細書に記載の他の結合システムに基づく耐火組成物に使用するのと同様の利点をもたらす。
上記課題を解決するための手段は、下記になる。
本発明の第1観点として、
(a)耐火骨材、
(b)一つ以上の母材成分、および
(c)ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子
を含む耐火組成物、
本発明の第2観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、Ca(OH) 2 、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウムまたは硫酸カルシウムのうちの1つ以上のケイ酸塩被覆粒子を含む、第1観点に記載の耐火組成物、
本発明の第3観点として、前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第1観点に記載の耐火組成物、
本発明の第4観点として、前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第2観点に記載の耐火組成物、
本発明の第5観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含み、前記ケイ酸塩被覆がケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第2観点記載の耐火組成物。
本発明の第6観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸ナトリウム被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第5観点に記載の耐火組成物。
本発明の第7観点として、前記ケイ酸塩被覆が、1重量%から99重量%の粒子、5重量%から70重量%の粒子、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第1観点乃至第6観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第8観点として、前記ケイ酸塩被覆が、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第2観点に記載の耐火組成物、
本発明の第9観点として、前記ケイ酸塩被覆が、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第5観点に記載の耐火組成物、
本発明の第10観点として、前記ケイ酸ナトリウム被覆が、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第6観点に記載の耐火組成物、
本発明の第11観点として、前記ケイ酸ナトリウム被覆が、10重量%から50重量%の前記硬化促進剤粒子を含む、第6観点に記載の耐火組成物、
本発明の第12観点として、前記ケイ酸ナトリウム被覆が、20重量%から40重量%の前記硬化促進剤粒子を含む、第6観点に記載の耐火組成物、
本発明の第13観点として、0.01重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子、0.05重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子または0.05重量%から0.1重量%の前記ケイ酸塩硬化促進剤粒子を含む、第1観点乃至第6観点または第8観点乃至第12観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第14観点として、0.01重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子、0.05重量%から0.5重量%の前記ケイ酸被覆Ca(OH) 2 粒子または0.05重量%から0.1重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第5観点に記載の耐火組成物、
本発明の第15観点として、0.01重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子、0.05重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子または0.05重量%から0.1重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を含む、第7観点に記載の耐火組成物、
本発明の第16観点として、0.01重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子、0.05から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子または0.05から0.1重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第10観点に記載の耐火組成物、
本発明の第17観点として、0.01重量%から0.2重量%のケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を含む、第13観点に記載の耐火組成物、
本発明の第18観点として、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第11観点に記載の耐火組成物、
本発明の第19観点として、バインダーをさらに含む、第1観点乃至第18観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第20観点として、バインダーをさらに含む、第1観点乃至第6観点、第8観点乃至第12観点、第14観点、第16観点または第18観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第21観点として、バインダーをさらに含む、第11観点に記載の耐火組成物、
本発明の第22観点として、バインダーをさらに含む、第13観点に記載の耐火組成物、
本発明の第23観点として、バインダーをさらに含む、第15観点に記載の耐火組成物、
本発明の第24観点として、バインダーをさらに含む、第16観点に記載の耐火組成物、
本発明の第25観点として、前記バインダーが、アルミン酸カルシウムセメント、水和性アルミナ、リン酸塩バインダー、アルカリケイ酸塩バインダー、マイクロシリカゲル結合バインダー、コロイドシリカおよびコロイドアルミナからなる群から選択される、第19観点に記載の耐火組成物、
本発明の第26観点として、前記バインダーが、アルミン酸カルシウムセメント、水和性アルミナ、リン酸塩バインダー、アルカリケイ酸塩バインダー、マイクロシリカゲル結合バインダー、コロイドシリカおよびコロイドアルミナからなる群から選択される、第20観点に記載の耐火組成物、
本発明の第27観点として、前記バインダーがアルミン酸カルシウムセメントを含む、第19観点に記載の耐火組成物、
本発明の第28観点として、前記バインダーがアルミン酸カルシウムセメントを含む、第20観点に記載の耐火組成物、
本発明の第29観点として、前記バインダーがアルミン酸カルシウムセメントを含む、第21観点に記載の耐火組成物、
本発明の第30観点として、前記バインダーがアルミン酸カルシウムセメントを含む、第22観点に記載の耐火組成物、
本発明の第31観点として、前記バインダーがアルミン酸カルシウムセメントを含む、第23観点に記載の耐火組成物、
本発明の第32観点として、前記バインダーが、水和性アルミナ、またはアルミン酸カルシウムセメントと組合せた水和性アルミナを含む、第19観点に記載の耐火組成物、
本発明の第33観点として、前記バインダーが、水和性アルミナ、またはアルミン酸カルシウムセメントと組合せた水和性アルミナを含む、第21観点に記載の耐火組成物、
本発明の第34観点として、前記バインダーが、コロイドシリカまたはコロイドアルミナを含む、第19観点に記載の耐火組成物、
本発明の第35観点として、前記バインダーが、リン酸塩バインダーを含む、第19観点に記載の耐火組成物、
本発明の第36観点として、前記バインダーが、アルカリケイ酸塩を含む、第19観点に記載の耐火組成物、
本発明の第37観点として、前記バインダーが、マイクロシリカゲル結合バインダーを含む、第19観点に記載の耐火組成物、
本発明の第38観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、固結防止剤をさらに含む、第1観点乃至第37観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第39観点として、前記固結防止剤が、シリカ、タルク、アルミノケイ酸ナトリウム、珪藻土、セルロース、粘土、ポリマー粒子および上記の1つ以上の混合物からなる群から選択される、第38観点に記載の耐火組成物、
本発明の第40観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、固結防止剤をさらに含む、第1観点乃至第6観点、第8観点乃至第12観点、第14観点、第18観点、第21観点、第29観点または第33観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第41観点として、前記固結防止剤が、シリカ、タルク、アルミノケイ酸ナトリウム、珪藻土、セルロース、粘土、ポリマー粒子および上記の1つ以上の混合物からなる群から選択される、第40観点に記載の耐火組成物、
本発明の第42観点として、前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子が、シリカ、タルク、アルミノケイ酸ナトリウム、珪藻土、セルロース、粘土、ポリマー粒子および上記の1つ以上の混合物からなる群から選択される固結防止剤をさらに含む、第26観点に記載の
耐火組成物、
本発明の第43観点として、前記骨材が、アルミナ、ボーキサイト、ムライト、ボーキサイトカオリン、アンダルサイト、焼成カオリン、シャモット、焼成フリントクレー、パイロフィライト、溶融シリカ、バブルアルミナ、軽量クレイグロッグ、バブルフライアッシュ、パーライト、ハイダイト、バーミキュライト、溶融または焼結マグネシアアルミナスピネル、溶融または焼結アルミナ-ジルコニア-シリカ、マグネシア、カルシウムヘキサアルミネート、溶融カルシウムアルミネートクリンカ、焼結アルミン酸カルシウムクリンカおよび軽量カルシウムヘキサアルミネートのうちの1つ以上を含む、第1観点乃至第42観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第44観点として、前記骨材が、アルミナ、ボーキサイト、ムライト、ボーキサイトカオリン、アンダルサイト、焼成カオリン、シャモット、焼成フリントクレー、パイロフィライト、溶融シリカ、バブルアルミナ、軽量クレイグロッグ、バブルフライアッシュ、パーライト、ハイダイト、バーミキュライト、溶融または焼結マグネシアアルミナスピネル、溶融または焼結アルミナ-ジルコニア-シリカ、マグネシア、カルシウムヘキサアルミネート、溶融カルシウムアルミネートクリンカ、焼結アルミン酸カルシウムクリンカおよび軽量カルシウムヘキサアルミネートのうちの1つ以上を含む、第1観点乃至第6観点、第8観点乃至第12観点、第14観点、第18観点、第21観点、第29観点または第33観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第45観点として、前記母材成分が、焼成アルミナ、反応性アルミナ、炭化ケイ素、石英シリカ、ヒュームシリカ、マグネシア、カヤナイト、ムライト、スピネル(MgAl 2 4 )、粘土、ジルコン、グラファイトおよびフライアッシュのうちの1つ以上を含む、第1観点乃至第44観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第46観点として、前記母材成分が、焼成アルミナ、反応性アルミナ、炭化ケイ素、石英シリカ、ヒュームシリカ、マグネシア、カヤナイト、ムライト、スピネル(MgAl 2 4 )、粘土、ジルコン、グラファイトおよびフライアッシュのうちの1つ以上を含む、第1観点乃至第6観点、第8観点乃至第12観点、第14観点、第18観点、第21観点、第29観点または第34観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第47観点として、前記母材成分が、焼成アルミナ、反応性アルミナ、炭化ケイ素、石英シリカ、ヒュームシリカ、マグネシア、カヤナイト、ムライト、スピネル(MgAl 2 4 )、粘土、ジルコン、グラファイトおよびフライアッシュのうちの1つ以上を含む、第44観点に記載の耐火組成物、
本発明の第48観点として、少なくとも1ヵ月老化したモノリシック耐火組成物にケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を添加し、その後該耐火組成物を水性液体と混合し、混合物を硬化させる工程を含む、老化モノリシック耐火組成物を回復する方法、
本発明の第49観点として、前記老化モノリシック耐火組成物が、耐火性骨材、1つ以上の母材成分およびバインダーを含む、第48観点に記載の方法、
本発明の第50観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、Ca(OH) 2 、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウムまたは硫酸カルシウムのうちの1つ以上のケイ酸塩被覆粒子を含む、第48観点に記載の方法、
本発明の第51観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、Ca(OH) 2 、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウムまたは硫酸カルシウムのうちの1つ以上のケイ酸塩被覆粒子を含む、第49観点に記載の方法、
本発明の第52観点として、前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第50観点に記載の方法、
本発明の第53観点として、前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第51観点に記載の方法、
本発明の第54観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含み、前記ケイ酸塩被覆がケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第50観点に記載の方法、
本発明の第55観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含み、前記ケイ酸塩被覆がケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第51観点に記載の方法、
本発明の第56観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸ナトリウム被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第54観点に記載の方法、
本発明の第57観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸ナトリウム被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第55観点に記載の方法、
本発明の第58観点として、前記ケイ酸塩被覆が、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第48観点乃至第57観点のいずれか一項に記載の方法、
本発明の第59観点として、前記ケイ酸塩被覆が、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第55観点に記載の方法、
本発明の第60観点として、前記ケイ酸塩被覆が、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第57観点に記載の方法、
本発明の第61観点として、前記ケイ酸ナトリウム被覆が、10重量%から50重量%の前記硬化促進剤粒子を含む、第48観点乃至第57観点、第59観点または第60観点のいずれか一項に記載の方法、
本発明の第62観点として、前記ケイ酸ナトリウム被覆が、20重量%から40重量%の前記硬化促進剤粒子を含む、第61観点に記載の方法、
本発明の第63観点として、水性液体と混合する工程の前に、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が前記耐火組成物中に、0.01重量%から0.5重量%、0.01重量%から0.2重量%、0.05重量%から0.5重量%または0.05重量%から0.1重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を提供するように添加される、第48観点乃至第57観点、第59観点または第60観点のいずれか一項に記載の方法、
本発明の第64観点として、水性液体と混合する工程の前に、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が前記耐火組成物中に、0.01重量%から0.5重量%、0.01重量%から0.2重量%、0.05重量%から0.5重量%または0.05重量%から0.1重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を提供するように添加される、第61観点に記載の方法、
本発明の第65観点として、水性液体と混合する工程の前に、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が前記耐火組成物中に、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を提供するように添加される、第63観点に記載の方法、
本発明の第66観点として、水性液体と混合する工程の前に、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が前記耐火組成物中に、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を提供するように添加される、第64観点に記載の方法、
本発明の第67観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸ナトリウム被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第66観点に記載の方法、
本発明の第68観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、少なくとも4ヶ月老化した前記モノリシック耐火組成物に添加される、第48観点乃至第57観点、第59観点または第60観点のいずれか一項に記載の方法、
本発明の第69観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、少なくとも4ヶ月老化した前記モノリシック耐火組成物に添加される、第66観点に記載の方法、
本発明の第70観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、少なくとも4ヶ月老化した前記モノリシック耐火組成物に添加される、第67観点に記載の方法、
本発明の第71観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、少なくとも8ヶ月老
化した前記モノリシック耐火組成物に添加される、第68観点に記載の方法、
本発明の第72観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、少なくとも8ヶ月老化した前記モノリシック耐火組成物に添加される、第69観点に記載の方法、
本発明の第73観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、少なくとも8ヶ月老化した前記モノリシック耐火組成物に添加される、第70観点に記載の方法、
本発明の第74観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、少なくとも12ヶ月老化した前記モノリシック耐火組成物に添加される、第69観点に記載の方法、
本発明の第75観点として、バインダーが前記耐火組成物に含まれる、または前記耐火組成物と混合された前記水性液体に含まれる、第48観点乃至第74観点のいずれか一項に記載の方法、
本発明の第76観点として、前記バインダーが、アルミン酸カルシウムセメント、水和性アルミナ、リン酸塩バインダー、アルカリケイ酸塩バインダー、マイクロシリカゲル結合バインダー、コロイドシリカおよびコロイドアルミナからなる群から選択される、第75観点に記載の方法、
本発明の第77観点として、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を含む、硬化性耐火組成物、
本発明の第78観点として、1から18ヶ月の老化後、前記耐火組成物が、製造時の初期硬化時間と比較して8時間未満の初期硬化時間の変化、または製造時の初期硬化時間と比較して5時間未満の初期硬化時間の変化を示す、第1観点乃至第47観点または第77観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第79観点として、前記耐火組成物が、製造時の初期硬化時間が1乃至20時間、または製造時の初期硬化時間が1乃至10時間である、第1観点乃至第47観点、第77観点または第78観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第80観点として、1から18ヶ月の老化後、前記耐火組成物が、製造時の初期硬化時間と比較して25%未満の初期硬化時間の変化を示す、第1観点乃至第47観点または第77観点乃至第79観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第81観点として、1から18ヶ月の老化後、前記耐火組成物が、製造時の初期硬化時間と比較して15%未満の初期硬化時間の変化を示す、第1観点乃至第47観点または第77観点乃至第79観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第82観点として、ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を製造する方法であって、
(a)Ca(OH) 2 粒子とケイ酸水溶液とを混合、そして粒子を被覆するのに十分な時間混合し、
(b)任意に工程(a)の混合物に固結防止剤を添加し、
(c)混合物を40乃至80℃の温度に加熱し、そして
(d)Ca(OH) 2 粒子上のケイ酸塩被覆を固化させる、
工程を含む方法、
本発明の第83観点として、前記粒子を1.5mmそしてより微細な粒径にふるい分けする工程をさらに含む、第82観点に記載の方法、
本発明の第84観点として、前記ケイ酸塩水溶液がケイ酸ナトリウムの水溶液を含む、第82観点または第83観点に記載の方法、
本発明の第85観点として、(a)耐火骨材、
(b)1つ以上の母材成分、および
(c)ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子
を含むモノリシック耐火組成物であり、
該耐火組成物は、ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子を含まない耐火組成物と比較して、少なくとも1ヶ月の老化後の初期硬化時間の減少した変化を示すモノリシック耐火組成物、
本発明の第86観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、Ca(OH)2、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウムまたは硫酸カルシウムのうちの1つ以上のケイ酸塩被覆粒子を含む、第85観点に記載の耐火組成物、
本発明の第87観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子がケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第86観点に記載の耐火組成物、
本発明の第88観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、2.5mm以下、または1.5mm以下の粒径を有する、第85観点乃至第87観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第89観点として、前記ケイ酸塩被覆硬化促進剤粒子が、2.4mm乃至0.15mm、2.4mm乃至0.6mmまたは0.85mm乃至0.19mmの粒径を有する、第85観点乃至第87観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第90観点として、前記ケイ酸塩被覆が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第85観点乃至第89観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第91観点として、前記ケイ酸塩被覆がケイ酸ナトリウムである第85観点乃至第90観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第92観点として、ケイ酸ナトリウム被覆中のSiO 2 :Na 2 Oの(重量)比が1.6:1乃至3.3:1である、第85観点乃至第91観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第93観点として、前記ケイ酸塩被覆が、1重量%から99重量%の粒子、5重量%から70重量%の粒子、5重量%から60重量%の粒子、10重量%から50重量%の粒子または20重量%から40重量%の粒子を含む、第85観点乃至第92観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第94観点として、0.01重量%から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子と、0.01重量%から0.2重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子と、0.05から0.5重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子または0.05から0.1重量%の前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子を含む、第87観点乃至第93観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第95観点として、バインダーをさらに含む、第85観点乃至第94観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第96観点として、前記バインダーが水硬性バインダーを含む、第95観点に記載の耐火組成物、
本発明の第97観点として、前記バインダーが化学バインダーを含む、第95観点に記載の耐火組成物、
本発明の第98観点として、前記バインダーが、アルミン酸カルシウムセメント、水和性アルミナおよびそれらの混合物からなる群から選択される、第96観点に記載の耐火組成物、
本発明の第99観点として、前記バインダーが、リン酸塩バインダー、アルカリケイ酸塩バインダー、マイクロシリカゲル結合バインダー、コロイドシリカおよびコロイドアルミナからなる群から選択される、第95観点に記載の耐火組成物、
本発明の第100観点として、前記組成物が、
-焼成基準において2.5重量%を超える総CaO含有量を有する通常の耐火組成物、
-焼成基準において1.0重量%より多く、2.5重量%以下の総CaO含有量を有する低セメント耐火組成物、
-焼成基準において0.2重量%より多く、1.0重量%以下の総CaO含有量を有する超低セメント耐火組成物、または
-焼成基準において0.2%以下の総CaO含有量を有するセメント無し耐火組成物、
を含む、第95観点に記載の耐火組成物、
本発明の第101観点として、前記耐火組成物が、ドライミックスである第95観点乃至第100観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第102観点として、前記バインダーが使用時に前記耐火組成物に添加される、第95観点、請求項97または第99観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第103観点として、前記バインダーが、50%~80%のアルミナ含有量の
アルミン酸カルシウムセメント(「CAC」)を含む、第95観点、第96観点、第98観点、第100観点または第101観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第104観点として、前記組成物が、1重量%乃至30重量%のCAC、3重量%乃至10重量%のCAC、10重量%乃至25重量%のCAC、または1重量%乃至3.5重量%のCACを含む、第103観点に記載の耐火組成物、
本発明の第105観点として、前記バインダーが水和性アルミナ(「HA」)を含む、第95観点、第96観点、第98観点、第100観点または第101観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第106観点として、前記組成物が、1重量%乃至15重量%のHA、または2重量%乃至10重量%のHAを含む、第105観点に記載の耐火組成物、
本発明の第107観点として、前記バインダーがCACとHAを含み、HA:CACの比が1:9乃至9:1である、第95観点、第96観点、第98観点、第100観点または第101観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第108観点として、前記組成物が1重量%~8重量%のCACおよび0.5重量%~5.5重量%のHA、または3重量%~9重量%のCACおよび2重量%~6重量%のHAを含む、第107観点に記載の耐火組成物、
本発明の第109観点として、前記バインダーがリン酸塩バインダーを含む、第99観点または第101観点に記載の耐火組成物、
本発明の第110観点として、前記リン酸塩バインダーが、(a)リン酸、および(b)リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アンモニウムまたはリン酸カリウムの塩、からなる群から選択される、第109観点に記載の耐火組成物、
本発明の第111観点として、前記リン酸塩バインダーがリン酸アルミニウムバインダーを含む、第110観点に記載の耐火組成物、
本発明の第112観点として、前記リン酸塩バインダーがAl(H 2 PO 4 3 を含む、第111観点に記載の耐火組成物、
本発明の第113観点として、前記組成物が、アルカリ土類金属酸化物からなる群から選択される硬化剤をさらに含む、第112観点に記載の耐火組成物、
本発明の第114観点として、前記硬化剤が、Al 2 3 またはMgOを含む、第113観点に記載の耐火組成物、
本発明の第115観点として、前記耐火組成物がドライミックスであり、4重量%から12重量%の前記リン酸塩バインダーを含む、第109観点乃至第114観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第116観点として、前記リン酸塩バインダーが、オルトリン酸を含む、第110観点に記載の耐火組成物、
本発明の第117観点として、リン酸塩バインダーが、使用時に水溶液として耐火組成物に添加される、第111観点乃至第114観点または第116観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第118観点として、前記リン酸塩バインダーの水溶液が、前記耐火性骨材、前記1つ以上の母材成分、前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子およびアルカリ土類金属酸化物硬化剤を含むドライミックスに添加される、第117観点に記載の耐火組成物、
本発明の第119観点として、前記バインダーが、使用時に水溶液として前記耐火組成物に添加されるオルトリン酸である、第117観点または第118観点に記載の耐火組成物、
本発明の第120観点として、前記耐火組成物ドライミックス100部当たり、8~15部の前記オルトリン酸バインダーが添加されている、第119観点に記載の耐火組成物、
本発明の第121観点として、前記バインダーがアルカリケイ酸塩バインダーを含む、第99観点、第101観点または第102観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第122観点として、前記アルカリケイ酸塩バインダーがケイ酸ナトリウムを
含む、第121観点に記載の耐火組成物、
本発明の第123観点として、前記耐火組成物がドライミックスであり、1重量%から15重量%のケイ酸アルカリバインダーを含む、第121観点または第122観点に記載の耐火組成物、
本発明の第124観点として、前記ケイ酸アルカリバインダーが、使用時にケイ酸塩の水溶液として前記耐火組成物に添加される、第121観点または第122観点に記載の耐火組成物、
本発明の第125観点として、前記バインダーがフライアッシュまたは炉スラグを含む、第95観点に記載の耐火組成物、
本発明の第126観点として、前記バインダーが、コロイドアルミナ、コロイドシリカ、またはマイクロシリカバインダーを含む、第99観点に記載の耐火組成物、
本発明の第127観点として、前記バインダーが、使用時に水溶液として前記耐火組成物に添加されるコロイドシリカバインダーを含む、第126観点に記載の耐火組成物、
本発明の第128観点として、前記バインダーが、使用時に水溶液として前記耐火組成物に添加されるコロイドアルミナバインダーを含む、第126観点に記載の耐火組成物、
本発明の第129観点として、前記バインダーがマイクロシリカバインダーを含み、前記耐火組成物がドライミックスである、第126観点に記載の耐火組成物、
本発明の第130観点として、前記マイクロシリカバインダーがヒュームシリカを含む、第129観点に記載の耐火組成物、
本発明の第131観点として、前記ケイ酸塩被覆Ca(OH) 2 粒子が固結防止剤をさらに含む、第87観点乃至第130観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第132観点として、前記固結防止剤が、シリカ、タルク、アルミノケイ酸ナトリウム、珪藻土、セルロース、粘土、ポリマー粒子および上記の1つ以上の混合物からなる群から選択される、第131観点に記載の耐火組成物、
本発明の第133観点として、前記固結防止剤が珪藻土を含む、第132観点に記載の耐火組成物、
本発明の第134観点として、前記骨材が、アルミナ、ボーキサイト、ムライト、ボーキサイトカオリン、アンダルサイト、焼成カオリン、シャモット、焼成フリントクレー、パイロフィライト、溶融シリカ、バブルアルミナ、軽量クレイグロッグ、バブルフライアッシュ、パーライト、ハイダイト、バーミキュライト、溶融または焼結マグネシアアルミナスピネル、溶融または焼結アルミナ-ジルコニア-シリカ、マグネシア、カルシウムヘキサアルミネート、溶融カルシウムアルミネートクリンカ、焼結アルミン酸カルシウムクリンカおよび軽量カルシウムヘキサアルミネートのうちの1つ以上を含む、第85観点乃至第133観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第135観点として、前記骨材がアルミナを含む、第85観点乃至第134観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第136観点として、前記骨材が粘土を含む、第85観点乃至第135観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第137観点として、前記骨材が溶融シリカを含む、第85観点乃至第136観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第138観点として、前記母材成分が、焼成アルミナ、反応性アルミナ、炭化ケイ素、石英シリカ、ヒュームシリカ、マグネシア、カヤナイト、ムライト、スピネル(MgAl 2 4 )、粘土、ジルコン、グラファイトおよびフライアッシュのうちの1つ以上を含む、第85観点乃至第137観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第139観点として、前記母材成分がヒュームシリカを含む、第85観点乃至第138観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第140観点として、前記母材成分が炭化ケイ素を含む、第85観点乃至第139観点のいずれか一項に記載の耐火組成物、
本発明の第141観点として、前記母材成分がアルミナを含む、第85観点乃至第140観点のいずれか一項に記載の耐火組成物。
【実施例
【0046】
実施例1
ケイ酸ナトリウムに被覆されたCa(OH)粒子の調製
【0047】
水酸化カルシウムとケイ酸ナトリウム水溶液とを混合し、それが易流動性固体になるまでこの混合物を約70℃までに加熱し、その後固結防止剤として珪藻土を添加することによってケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を調製した。次いで、得られた粒子を、篩網を用いてサイズ分けする。
【0048】
例えば、水酸化カルシウム(300g)およびケイ酸ナトリウム溶液(公称26.5%固形分である434gの水溶液)を1000mLビーカーに加えた。溶液を100rpmで20分間混合した。次いで、珪藻土(10g)を固結防止剤として添加した。得られた混合物を100rpmで撹拌し、それが易流動性固体になるまで70℃の温度に加熱した。1.5mmそしてより微細な粒径を有する粒子を得るために、混合物を周囲温度までに冷却し、乾燥しそしてふるいにかけた。得られたケイ酸塩被覆粒子は、70.6重量%のCa(OH)含有量を有し、本明細書の実施例では30%のケイ酸塩被覆Ca(OH)とも呼ばれる(ここで、乾燥中に水を含むあらゆる揮発性物質が除去されるので、被覆%は全固形分に基づく)。5~50%の被覆レベルを有するケイ酸塩被覆Ca(OH)の粒子を、開始材料の量を適切に調整して同じ方法で調製した。
【0049】
以下の実施例2~4では、以下の低セメントキャスタブル組成物を従来の方法で調製した。ここで、同定された各成分の量は、全組成物の重量%として示されている。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例2
Ca(OH)が存在しない場合の耐火組成物老化の実証
【0052】
老化が耐火組成物に、具体的に硬化時間に与える影響を実証するために広範な研究が行われた。C1のようなアルミン酸カルシウムセメント結合モノリシックについては、ASTM C1656-13による発熱の進展試験によって硬化時間を監視することができる。上記表1の組成物C1を、製造と同じ日に、約4ヶ月老化した後、そして約14ヶ月老化した後に試験(すなわち、キャスト)した。老化中、乾燥組成物C1を密封されたプラスチックバッグに貯蔵し、典型的な貯蔵条件を再現するために非気候管理倉庫に置いた。
【0053】
試験のために、十分に混合されるまで、組成物C1を卓上ミキサー中で6.5重量%の水と混合した。次いで、混合物をキャスティング用容器に注ぎ込み、熱電対を混合物に挿入して硬化中の温度を測定した。熱電対は、耐火組成物の養生および硬化段階中に発生した熱を記録し、そして温度を時間に対してプロットした(図1参照)。
【0054】
多くのキャスタブルは、温度対時間のプロットに2つのピークを示し、作業時間の終わりと最終強度の形成を示しています。最初のピークは通常「初期硬化」と呼ばれ、2番目のピークは「最終硬化」と呼ばれます。本出願において報告されている実施例において使用されているもののような低セメントキャスタブルについては、(図1に見られるように)単一の温度ピークを見ることは珍しくない。ここに報告された試験を説明する目的で、単一のピークのみが温度対時間プロットに存在するとき、このピークは初期硬化時間と呼ばれる。
【0055】
図1に見られるように、新鮮なC1(老化なし)の初期硬化時間は約17時間であった(発熱プロットのピーク)。わずか4ヶ月老化後、初期硬化時間は30時間以上に増加し、そして温度ピークはずっと浅くそしてあまり明確ではなく(すなわち、より広い)、組成物が老化しそしてはるかに反応性が低いことを示す。14ヶ月老化後に試験された組成物については、試験されたサンプルはキャスト時間から30時間以上経過した後もまだ柔らかかった。従って、4ヶ月老化および14ヶ月老化した両方の組成物の硬化時間は許容できないから、硬化時間および硬化特性を許容レベルに改善するために、硬化促進剤を現場で添加する必要がある。さらに、老化した耐火組成物の硬化時間は予測できない傾向があり、硬化促進剤が必要であるかどうか、そしてどれだけ添加すべきかを現場で知ることを困難にしている。
【0056】
Ca(OH)2はよく知られている硬化促進剤であるが、従来のCa(OH)2を新鮮なまたは老化した組成物に単に添加することは問題になる。例えば、製造時に耐火組成物に少量のCa(OH)2を添加しても、ほとんどの用途にとっては硬化が速すぎる製品となる。従来の(被覆されていない)Ca(OH)2を老化した耐火組成物に添加する効果を実証するために、0.06重量%のCa(OH)2を約4ヶ月老化した組成物C1に添加した(すなわち、100部重量のC1当たり0.06部)。図1に見られるように、Ca(OH)2のこの少量の添加は、約1時間の初期硬化時間をもたらした。4ヶ月老化の未改質の組成物の初期硬化時間の有意な減少が達成されたが、1時間の初期硬化時間はいくつかの用途にとっては短すぎる。さらに重要なことには、製造時に従来の被覆されていないCa(OH)2を添加することは、組成物が使用不可能になり(新鮮な組成物の初期硬化時間が非実用的に短いため)そしてその有効性が貯蔵時間と共に減少するので実用的ではない。
【0057】
実施例3
ケイ酸塩被覆Ca(OH)添加後の老化した耐火組成物の硬化時間
【0058】
実施例1に従って、様々な被覆レベルを有するケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を調製した。様々な被覆レベルを有する様々な量のケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を、約4~9ヶ月老化させた組成物C1に添加した。実施例2の手順に従って、下記の表2に報告されているように、各サンプル組成物について初期硬化時間が決められた。
【0059】
【表2】
【0060】
実施例2(および図1)は、組成物C1が少なくとも4ヶ月老化した後30時間を超える初期硬化時間を示したことを示す。しかしながら、上記の表2に見られるように、少量のケイ酸塩被覆Ca(OH)2の添加でさえも初期硬化時間を短縮し、多くの場合は、非老化組成物C1の初期硬化時間と同等またはそれよりも短い初期硬化時間を提供した。表2からもわかるように、硬化時間は、添加されたケイ酸塩被覆Ca(OH)2の量が増加するにつれて減少し、またコーディングレベルが減少するにつれて減少した。したがって、硬化時間を特定のレベルまで減少させるのに必要なケイ酸塩被覆Ca(OH)2の量は、コーディングレベルが増加するにつれて増加した。表2に報告された結果には、例えば、老化時間の長さ、周囲温度の変動、水温、および他の変数の変動に起因して、いくつの変動がある。しかしながら、表2に報告されたデータは、ケイ酸塩被覆Ca(OH)2粒子が他の方法では使用できない、老化した耐火組成物を回復するために使用できることを実証する。
【0061】
実施例4
ケイ酸塩に被覆されたCa(OH)を含む新鮮なおよび老化した耐火組成物の硬化時間
【0062】
実施例3は、ケイ酸塩に被覆されたCa(OH)粒子を老化した耐火組成物を回復するように使用できることを実証した。実施例4の試験は、ケイ酸塩に被覆されたCa(OH)粒子を有する新鮮な組成物と老化した組成物の硬化時間を比較した。
【0063】
異なる老化時間の組成物C1を用いて、実施例2に記載された試験は行われた。具体的には、C1と以下の表3に示された量の指定された被覆レベルがあるケイ酸塩に被覆されたCa(OH)2粒子の配合物を調製した。0~8日、約6~8ヶ月および約14ヶ月老化したサンプルの初期硬化時間は、実施例2の手順に従って決められた。材料の老化に応じる初期硬化時間の範囲が観察され、約14ヶ月老化したサンプルが最も長い初期硬化時間を示した。表3は、老化の範囲にわたって耐火組成物に添加されたケイ酸塩に被覆されたCa(OH)2粒子の特定の添加%および被覆レベルについて観察された最小および最大の硬化時間を示す。
【0064】
【表3】
【0065】
一般に、最小硬化時間は、0~8日齢のサンプルから観察された。観察された最大硬化時間は、約14ヶ月老化したサンプルに対応した。上記表3で確認された「スパン」は、最小硬化時間および最大硬化時間の間の差であり、硬化時間における安定性のレベルを示す。スパンが小さいほど、さまざまな老化組成物において硬化時間の変動が少ないことを示す。したがって、30%のケイ酸塩被覆Ca(OH)2を0.086重量%添加した耐火組成物は最小のスパンを有し、初期の硬化時間において老化時間にかかわらずより安定性があることを示す。
【0066】
図2~5は、C1への30%のケイ酸塩被覆Ca(OH)の0.086%添加(図2)、C1への20%のケイ酸塩被覆Ca(OH)の0.075%添加(図3)、C1への10%のケイ酸塩被覆Ca(OH)の0.067%添加(図4)、およびC1への50%のケイ酸塩被覆Ca(OH)の0.12%添加(図5)で試験した様々なサンプルの発熱プロットを示す。場合によっては、図2~5の説明文に見られるように、キャスタブル組成物C1をケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を添加する前に老化させた。場合によっては、組成物C1をある期間老化させ、ケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を添加し、そしてこの混合物をさらなる期間老化させた。他の場合では、老化したC1をケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を添加した直後に試験した。
【0067】
4ヶ月以上老化した組成物C1は少なくとも30時間硬化しなかったが(図1参照)、ケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を含有する全ての4ヶ月老化したサンプルは23時間以
内に硬化した(一例以外のすべての例では23時間をかなり下回る)。実際は、0.12%の50%ケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を添加した場合を除いて、約6ヶ月または約14ヶ月老化したサンプルでさえも13時間未満の硬化時間を示した。
【0068】
0.12%の50%ケイ酸塩被覆Ca(OH)粒子を含有する4ヶ月および14ヶ月老化したC1サンプルについては、硬化時間はそれぞれ23時間および33.5時間であったが、実際に確実に硬化した(図5参照)。0.12%の50%ケイ酸塩被覆Ca(OH)2粒子を含有する4ヶ月および14ヶ月老化したC1サンプルについての温度ピークもまたかなり明確であり、完全な硬化が達成されたことを示している。
【0069】
また、ケイ酸塩被覆Ca(OH)2粒子を添加しないC1と比較して、硬化時間はかなり減少しただけでなく(特に10~30%被覆された粒子の場合)、硬化時間は組成物が老化したとしてもより予測可能であった。新鮮なC1(Ca(OH)2添加なし)は予測可能な硬化時間を有していたが、老化したC1はそうではなかった。ケイ酸塩被覆Ca(OH)2粒子の添加は、図2~4の発熱プロットに見られるように、かなりそして驚くべきことに、硬化時間の予測可能性が改善された。出願人の試験結果はまた、耐火組成物に添加されるケイ酸塩被覆Ca(OH)2粒子の被覆レベルおよび量は、硬化時間の所望の減少だけでなく、老化が硬化時間と硬化時間の予測可能性の両方に対する影響の著しい減少ももたらすように調整できることを示す。被覆されていないCa(OH)2粒子ではなくケイ酸塩で被覆されたCa(OH)2粒子の使用もまた、水和組成物の施工可能時間が10分未満である「フラッシュ硬化」のような短すぎる硬化時間を回避する。
【0070】
図2~5に報告されたデータはさらに、ケイ酸塩被覆Ca(OH)2粒子の添加がより長い貯蔵安定性をもたらすだけでなく、ケイ酸塩被覆Ca(OH)2粒子を既に老化した耐火組成物に添加することによる、老化した耐火組成物の硬化時間の改善も得られることを示す。
【0071】
耐火組成物およびケイ酸塩被覆粒子および方法の様々な実施形態が上記に詳細に記載されているが、本明細書に記載される構成要素、特徴および構成、ならびにデバイスの製造方法および方法は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5