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  • 特許-洗濯機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20230227BHJP
   D06F 39/12 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
D06F39/00 F
D06F39/12 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019170960
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021045429
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】徳崎 雅朗
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 龍太
(72)【発明者】
【氏名】益田 明
(72)【発明者】
【氏名】磯野 俊悠
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-146716(JP,A)
【文献】特開2015-165859(JP,A)
【文献】特開2017-064238(JP,A)
【文献】特開平05-192490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00
D06F 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体と
前記洗濯機本体の背面側に垂直に配設されている制御装置と、
前記制御装置を覆い、前記洗濯機本体に着脱できる樹脂カバーと、を備え、
前記制御装置は、
前記洗濯機本体の前記背面側に垂直に配設されるケースと、
洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を含む洗濯運転を実行する制御部を備え、前記ケースに収容される電源基板と、
前記電源基板を覆い、前記ケースに装着される金属カバーと、
を備え、
前記制御装置は、前記ケースに収容され、前記ケースと前記電源基板の間に配設される不燃材シートをさらに備えている洗濯機。
【請求項2】
前記電源基板と前記不燃材シートは、前記ケースに設けられている枠体内に収容される洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程などの一連の洗濯運転を実行する制御装置を本体の背面に備えた洗濯機を開示する。
【0003】
図4は、特許文献1に記載された従来の洗濯機の要部斜視図である。当該従来の洗濯機においては、筐体1内に弾性的に吊支された外槽2内に、回転中心軸を略鉛直方向に有し、洗濯物を収容し、通気孔を有する内槽3が回転自在に支持されている。内槽3の内底部に洗濯物を攪拌する回転翼4が設けられている。内槽3または回転翼4がモータ5により駆動される。乾燥用送風機6とヒータ7により内槽3内に温風が供給される。外槽2の外面は冷却用送風機8により冷却される。制御手段は、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を制御する。制御手段を有する制御装置9は、一体集中的に構成されるとともに、筐体1の背面部1aに垂直に配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-159787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成では、洗濯機の背面部1aは、制御装置9の温度上昇のおそれを考慮して、難燃性材料または不燃材料を用いて作られている。さらに、洗濯機の背面部1aは、本体後方部の開口部を覆うカバーの役割も果たしており、背面部1aのサイズが大型となる。このため、製造コストが高くなる。
【0006】
本開示は、制御装置の温度上昇のおそれに対処しつつ、背面部が大型となっても、製造コストを抑制できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る洗濯機は、洗濯機本体と、前記洗濯機本体の背面側に垂直に配設されている制御装置と、前記制御装置を覆い、前記洗濯機本体に着脱できる樹脂カバーと、を備えている。前記制御装置は、前記洗濯機本体の前記背面側に垂直に配設されるケースと、前記ケースの外側に収納される不燃材シートと、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を含む洗濯運転を実行する制御部を備え、前記不燃材シート上に配設される電源基板と、前記電源基板を覆い、前記ケースに装着される金属カバーとを備えている。
【0008】
この構成により、制御装置の温度上昇のおそれに対処することができる。また、洗濯機本体に着脱する樹脂カバーは、難燃性材料または不燃材料とする必要がなくなり、背面部のサイズが大型になった場合でも、製造コストを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の洗濯機は、制御装置の温度上昇のおそれに対処することができる。また、洗濯機本体に着脱する樹脂カバーは、難燃性材料または不燃材料とする必要がなくなり、背面部のサイズが大型になった場合でも、製造コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1における洗濯機の側面断面図
図2】同洗濯機の制御装置の要部分解斜視図
図3】同洗濯機の制御装置の本体背面側の要部断面図
図4】従来の洗濯機の要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。なお、添付図面および以下の説明によって本開示が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、図1図3を用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
(洗濯機の構成)
図1は、本開示の実施の形態1における洗濯機の側面断面図、図2は、同洗濯機の制御装置の要部分解斜視図、図3は、同洗濯機の制御装置の本体背面側の要部断面図である。
【0014】
図1に示されるように、洗濯機10は、本体11の内部に水槽12を有している。水槽12は、防振のためにサスペンション13により懸垂して支持されている。水槽12の内部には、洗濯槽14が配設されている。洗濯槽14は、脱水槽を兼用したもので、側壁に多数の通水孔15を有する。また、洗濯槽14においては、上部に流体バランサ16が配設され、中央の底部にはパルセータ17が配設されている。回転軸18は、洗濯槽14および/またはパルセータ17をそれぞれ回転させるために中空で2軸構造になっており、伝達機構19を備えている。伝達機構19は、洗濯時の減速ギア(図示せず)および回転軸18の切り換えクラッチ(図示せず)と、脱水時に洗濯槽14を停止するためのブレーキ(図示せず)とを内蔵している。
【0015】
モータ20は水槽12の底部に取り付けられている。モータ20はモータ側プーリ21を有している。モータ20は、モータ側プーリ21からベルト23を介して伝達機構19のメカ側プーリ22に動力を伝達して回転軸18を回転させる。
【0016】
本体11は、上部に上部枠体24を有している。上部枠体24は、使用者により洗濯物が出し入れされる衣類投入口部25を有している。衣類投入口部25は蓋体26にて開閉自在に覆われている。上部枠体24の後部には、操作表示部33が設けられており、使用者は、操作表示部33を操作することにより、洗濯のコースを設定し、洗濯を実行させる。
【0017】
制御装置27は、モータ20等などの電装部を制御して、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程などの一連の洗濯運転を実行する制御部(図示せず)を備えており、本体11の背面に配設されている。
【0018】
本体11の背面には、開口部11aが形成されており、その開口部11aを覆うように樹脂カバー32が取り付けられている。
【0019】
図2に示されるように、絶縁性の不燃材シート30および電源基板28は、難燃性ABSにより成形されたケース29の枠体35内に収容されている。ケース29と電源基板28の間に、絶縁性の不燃材シート30が配設されている。枠体35内に、不燃材シート30および電源基板28が挿入され、ウレタン樹脂などからなる防湿用のポッティング剤(図示せず)が充填される。ポッティング剤は、電源基板28の全体を覆う。電源基板28は、金属鋼板製の金属カバー31に覆われ、ケース29に装着される。なお、モータ20
等などの電装部を制御して、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程などの一連の洗濯運転を実行する制御部は、電源基板28に設けられている。
【0020】
図3に示されるように、制御装置27は、本体11の背面側に垂直に配設される。制御装置27は、ケース29、絶縁性の不燃材シート30、制御部を備えた電源基板28、および、金属カバー31から構成されている。制御装置27は、再生樹脂PP材料で成形された樹脂カバー32に覆われ、本体11の背面側の開口部11aに垂直に装着される。
【0021】
(洗濯運転)
以上のように構成された洗濯機10の動作を説明する。
【0022】
使用者は、蓋体26を開放し、洗濯物を洗濯槽14に投入する。使用者は、洗剤や柔軟剤を所定の場所に投入し、操作表示部33に設けられたスタートスイッチにより洗濯運転を開始する。これにより、制御装置27は洗い工程を開始する。給水弁(図示せず)が所定時間開成され、洗濯槽14に洗濯水が供給される。洗濯水が所定の水位に達すると、給水弁が閉成されて給水が休止する。そして、制御装置27は、モータ20を駆動してパルセータ17を回転させて洗い工程を行う。洗い工程が終了すると、汚れた洗濯水が排水される。そして、制御装置27は、中間脱水を行い、すすぎ工程を開始する。すすぎ工程においては、給水弁が所定時間開成され、洗濯水が洗濯槽14に供給される。所定の水位に達すると、給水弁が閉成されて給水が休止する。制御装置27は、モータ20を駆動してパルセータ17を回転させてすすぎ工程を行う。すすぎ工程が終了すると、汚れた洗濯水が排水され、制御装置27は脱水工程を開始する。
【0023】
制御装置27は、電源基板28上の電装部品を通じて、モータ20を駆動し、パルセータ17を回転させる。このとき、制御装置27において、電源基板28上に配設されており高電流が流れる電装部品(図示せず)が発熱する。万が一、電装部品より発火が発生した場合も、絶縁性の不燃材シート30と金属カバー31に囲まれた閉空間内での発火となるため、窒息消化する。すなわち、制御装置27の温度上昇のおそれに対し、安全性がより確保される。
【0024】
(作用等)
以上説明したように、本開示の洗濯機は、本体11と、本体11の背面側に垂直に配設されている制御装置27と、制御装置27を覆い、本体11に着脱できる樹脂カバー32と、を備えている。制御装置27は、本体11の背面側に垂直に配設されるケース29と、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を含む洗濯運転を実行する制御部を備え、不燃材シート30上に配設される電源基板28と、電源基板28を覆い、ケース29に装着される金属カバー31とを備えている。制御装置27は、さらにケース29に収容され、ケース29と電源基板28の間に配設される不燃材シート30をさらに備えている。なお、「垂直に」とは、完全に垂直であることを意味するだけでなく、実質的に垂直であることも意味する。
【0025】
これにより、制御装置の温度上昇のおそれに対処でき、樹脂カバーを難燃性または不燃材料とする必要がなくなり製造コストを抑制できる。
【0026】
また、上記実施形態のように、電源基板28と不燃材シート30は、ケース29に設けられている枠体35内に収容されてもよい。
【0027】
これにより、製造効率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本開示の洗濯機は、制御装置の温度上昇に対して製品の安全性をより確保できる構成であるため、洗濯機本体に着脱する樹脂カバーは、難燃性材料または不燃材料とする必要がない。したがって、サイズが大型になった場合でも、製造コストを抑制できる。
【符号の説明】
【0029】
10 洗濯機
11 本体
11a 開口部
12 水槽
13 サスペンション
14 洗濯槽
15 通水孔
16 流体バランサ
17 パルセータ
18 回転軸
19 伝達機構
20 モータ
21 モータ側プーリ
22 メカ側プーリ
23 ベルト
24 上部枠体
25 衣類投入口部
26 蓋体
27 制御装置
28 電源基板
29 ケース
30 不燃材シート
31 金属カバー
32 樹脂カバー
33 操作表示部
35 枠体
図1
図2
図3
図4