(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05C 19/02 20060101AFI20230227BHJP
E05C 19/06 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
E05C19/02 A
E05C19/06 C
E05C19/06 A
(21)【出願番号】P 2019057134
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】砂留 実
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-10200(JP,U)
【文献】特開平11-13331(JP,A)
【文献】特開昭59-52401(JP,A)
【文献】特開2006-327332(JP,A)
【文献】実開平2-25332(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 19/00-19/18
E05B 65/00-65/52
E05B 83/00-83/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉対象を閉じた状態にロックするためのロック機構と、
前記開閉対象の内側の面に沿った方向に移動可能に設けられ、所定の解除位置に移動されたときに前記ロック機構による前記開閉対象のロックが解除されるように構成された移動体と、
前記開閉対象が外側から押されたことによって前記移動体を前記解除位置に移動させるための移動機構と、
を備
え、
前記移動機構は、前記開閉対象の少なくとも1つの辺にわたって設けられる、
開閉装置。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記開閉対象を開くために前記開閉対象が外側から押される方向に対して傾いた斜面を有する第1部材と、
前記開閉対象が外側から押されたときに前記斜面を押すように構成された第2部材と、
を備え、
前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が相対移動することによって前記移動体が移動するように構成される、
請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記開閉対象と前記移動体の一方に設けられた第1被係止部と、他方に設けられた第1係止部と、を備え、
前記第1係止部が前記第1被係止部を係止することによって前記開閉対象が閉じた状態にロックされ、
前記移動体が前記解除位置まで移動したときに前記第1係止部と前記第1被係止部との係合が外れることによって前記開閉対象のロックが解除される、
請求項1
又は2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記移動体が初期位置から前記解除位置に向けて移動したときに前記初期位置に戻る方向へ前記移動体を付勢するための付勢部を備える、
請求項
3に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記移動体が前記解除位置に移動したときに、前記解除位置又は前記解除位置から更に移動した位置に前記移動体を維持するための維持機構を備える、
請求項
4に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記維持機構は、前記開閉対象と前記移動体の一方に設けられた第2被係止部と、他方に設けられた第2係止部と、を備え、
前記第2係止部が前記第2被係止部を係止することによって前記ロック機構による前記開閉対象のロックが解除される位置に前記移動体が維持され、
前記開閉対象が開かれたときに前記第2係止部と前記第2被係止部との係合が外れることによって前記移動体が前記付勢部により前記初期位置に戻される、
請求項
5に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記初期位置から前記第1係止部と前記第1被係止部との係合が外れる位置までの前記移動体の移動距離よりも、前記初期位置から前記第2係止部により前記第2被係止部が係止されるまでの前記移動体の移動距離の方が長い、
請求項
6に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記開閉対象を閉じるときに前記第1係止部により前記第1被係止部を係止させるために前記開閉対象を外側から押すときの荷重と、前記開閉対象を開くときに前記移動体を前記初期位置から前記解除位置まで移動させるために前記開閉対象を外側から押すときの荷重とが異なるように構成される、
請求項
7に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉対象を開閉するための開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビネットなどの収納家具の扉又は引き出しや、家電機器の操作入力ボタンやディスクドライブなどを保護するための扉などを開閉するための機構として、ラッチを利用したドアロック装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ドアを押すことによりドアをロックし、ドアを再度押すことによりロックを解除するワン・ウェイ方式のドアロック装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたドアロック装置のように、ラッチを用いてワン・ウェイ方式を実現する場合、ラッチから遠い位置を押すと、ドアのがたつきや剛性不足のためにラッチを押し切ることができず、ロックが解除されずドアが開かないことがある。
【0006】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、開閉対象を開閉するための開閉装置の利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の開閉装置は、開閉対象を閉じた状態にロックするためのロック機構と、開閉対象の内側の面に沿った方向に移動可能に設けられ、所定の解除位置に移動されたときにロック機構による開閉対象のロックが解除されるように構成された移動体と、開閉対象が外側から押されたことによって移動体を解除位置に移動させるための移動機構と、を備え、移動機構は、開閉対象の少なくとも1つの辺にわたって設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開閉対象を開閉するための開閉装置の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態に係る開閉装置の構成を示す図である。
【
図2】扉が閉じられたときの表示ユニットを示す図である。
【
図3】扉が開かれるときの表示ユニットを示す図である。
【
図4】扉が開いたときの表示ユニットを示す図である。
【
図5】本開示の実施の形態に係る開閉装置の別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態として、扉を開閉するための開閉装置について説明するが、本開示の開閉装置により開閉可能な開閉対象は扉に限られない。本開示の開閉装置は、引き出しや容器の蓋など、任意の開閉対象を開閉する装置として利用可能である。
【0011】
図1は、本開示の実施の形態に係る開閉装置の構成を示す。
図1(a)は、扉12が設けられた表示ユニット10の正面図であり、
図1(b)は、A-A断面図である。表示ユニット10は、表示画面を表示するためのパネル11と、表示ユニット10が備えるディスクドライブや操作入力用のボタンなどを保護するために開閉可能に設けられた扉12と、扉12を表示ユニット10に軸支するための回転軸13と、扉12を開閉するための開閉装置20とを備える。
【0012】
扉12が閉じられているときには、扉12は開閉装置20により閉じた状態にロックされている。使用者が扉12の上部を手で押し込むと、開閉装置20の作用により扉12のロックが解除される。その後、使用者が扉12から手を離すと、扉12が回転軸13を中心として使用者側に回転して開かれる。
【0013】
開閉装置20は、扉12を閉じた状態にロックするためのロック機構と、扉12の内側の面に沿った方向に移動可能に設けられ、所定の解除位置に移動されたときにロック機構による扉12のロックが解除されるように構成された移動体と、扉12が外側から押されたことによって移動体を解除位置に移動させるための移動機構とを備える。
【0014】
図1(c)は、表示ユニット10を裏側から見た補助投影図である。扉12が閉じられたときに扉12の上部が面する位置に、本開示の移動体の一例であるレバー21が設けられる。レバー21は、扉12が外側から押されたことによって、扉12の内側の面に沿って本図における右方向に移動する。レバー21は、本開示の付勢部の一例であるバネ22により本図における左方向へ付勢されている。
【0015】
図1(d)は、扉12の斜視図であり、
図1(e)は、レバー21の斜視図である。扉12の内側の面、すなわち扉12が閉じられた状態においてレバー21に対向する面と、レバー21の前面、すなわち扉12が閉じられた状態において扉12に対向する面には、レバー21を移動させるための1対の移動機構23a、23bが設けられる。移動機構23a、23bは、扉12が外側から押されたことによって、レバー21を解除位置に移動させる。
【0016】
扉12の内側の面とレバー21の前面には、扉12を閉じた状態にロックするためのロック機構24a、24bが設けられる。扉12が閉じられるときには、ロック機構24aがロック機構24bを係止することによって、扉12が閉じた状態にロックされる。扉12が開かれるときには、レバー21が解除位置まで移動したときにロック機構24aとロック機構24bとの係合が外れることによって、扉12のロックが解除される。
【0017】
扉12の内側の面とレバー21の前面には、扉12を開くためにレバー21が解除位置に移動されたときに、レバー21を解除位置又は解除位置から更に移動した位置に維持するための1対の維持機構25a、25bが設けられる。本実施の形態では、レバー21はバネ22により元の初期位置に戻る方向に付勢されているので、使用者が扉12を開けるために扉12を押し込んだ後、手を離すタイミングが遅いと、レバー21がバネ22により解除位置よりも初期位置に近い位置に戻っていることがある。この場合、ロック機構24aと24bは再び係合しているので、扉12が開かない。したがって、本実施の形態では、扉12を開くために扉12が外側から押し込まれたときに、レバー21が解除位置まで移動すると、維持機構25bが維持機構25aを係止することによって、扉12のロックが解除される位置にレバー21を維持する。これにより、使用者の操作ミスなどにより扉12が開かない事態を低減させることができる。扉12が開かれると、維持機構25aと維持機構25bとの係合が外れることによって、レバー21がバネ22により初期位置に戻される。
【0018】
扉12は、図示しないバネにより開方向に付勢されていてもよい。これにより、ロック機構24a、24bによるロックが解除されたときに、自動的に扉12が全開状態まで開くように構成することができるので、使用者の利便性を向上させることができる。維持機構25a、25bの係合部分に角度をつけ、レバー21がバネ22により初期位置に戻される動きを利用して、扉12がポップアップするように構成してもよい。
【0019】
扉12を閉じるときには、レバー21は初期位置に戻されているので、ロック機構24aとロック機構24bが当接する。ロック機構24aとロック機構24bの一方又は双方は、可撓性を有する樹脂などにより形成されており、使用者が扉12の上部を押し込むと、ロック機構24aとロック機構24bの一方又は双方が撓んで両者が係合し、扉12が閉じた状態にロックされる。このような構成により、扉12の上部を押し込む操作により、扉12を閉じることも開くことも可能なワン・ウェイ方式の開閉装置を実現することができる。
【0020】
移動機構23a、23b、ロック機構24a、24b、及び維持機構25a、25bの詳細について、
図2以降を参照して更に説明する。
【0021】
図2は、扉12が閉じられたときの表示ユニット10を示す。
図2~
図4では、パネル11の図示を省略している。
図2(a)は、扉12が閉じられたときの表示ユニット10の平面図であり、
図2(b)は、正面図であり、
図2(c)は、右側面図であり、
図2(d)は、B-B断面図であり、
図2(e)は、C-C断面図であり、
図2(f)は、D-D断面図である。扉12が閉じられた状態では、レバー21は初期位置にある。
【0022】
図2(e)に示すように、レバー21に設けられた移動機構23bは、扉12を開くために扉12が外側から押される方向、すなわち本図における上下方向に対して傾いた斜面26bを複数有する鋸歯状の形状を有し、本開示の第1部材として機能する。また、扉12に設けられた移動機構23aは、扉12が外側から押されたときに斜面26bを押す突起26aを複数有する鋸歯状の形状を有し、本開示の第2部材として機能する。扉12が外側から押されると、複数の突起26aのそれぞれが複数の斜面26bを本図における上方向に押すことによって、移動機構23bが移動機構23aに対して相対移動する。これにより、レバー21が本図における左方向に移動する。
【0023】
図2(f)に示すように、扉12に設けられたロック機構24aは、本開示の第1被係止部として機能する。また、レバー21に設けられたロック機構24bは、本開示の第1係止部として機能する。扉12が閉じられた状態では、ロック機構24bがロック機構24aを係止することによって扉12が閉じた状態にロックされる。扉12を開くときには、レバー21が本図における左方向に移動して解除位置に達したときに、ロック機構24aとロック機構24bとの係合が外れることによって扉12のロックが解除される。
【0024】
図2(d)に示すように、扉12に設けられた維持機構25aは、本開示の第2被係止部として機能する。また、レバー21に設けられた維持機構25bは、本開示の第2係止部として機能する。維持機構25bは、可撓性を有する樹脂などにより形成されており、扉12の上部が押し込まれてレバー21が本図における左方向に移動すると、維持機構25aの突起の斜面をせり上がる。維持機構25bが維持機構25aの突起を乗り越えて突起の左側まで達すると、維持機構25bが維持機構25aを係止することによって、ロック機構24a、24bによる扉12のロックが解除される位置にレバー21が維持される。
【0025】
扉12を閉じるときには、レバー21が初期位置にあるので、ロック機構24aとロック機構24bとが当接するが、ロック機構24aとロック機構24bとが当接する面に傾斜がつけられているので、容易にロック機構24aとロック機構24bとを係合させて扉12を閉じた状態にロックすることができる。
【0026】
使用者が扉12を閉じるときに、ロック機構24aとロック機構24bとが係合した後、更に扉12を手で押し込むと、移動機構23a、23bによりレバー21が移動され、ロック機構24aとロック機構24bとの係合が外れて、扉12が再び開いてしまう。したがって、本実施の形態では、扉12を閉じるときにロック機構24bによりロック機構24aを係止させるために扉12を外側から押すときの荷重と、扉12を開くときにレバー21を初期位置から解除位置まで移動させるために扉12を外側から押すときの荷重とが異なるように構成される。これにより、使用者が扉12を閉じるために扉12を手で押しているときに、ロック機構24a、24bが係合して扉12がロックされるタイミングを荷重の違いにより認識することができるので、扉12を手で押し過ぎて扉12が再び開いてしまう事態を低減させることができる。
【0027】
また、本実施の形態では、初期位置からロック機構24aとロック機構24bとの係合が外れる位置までのレバー21の移動距離X2(
図2(f))よりも、初期位置から維持機構25bにより維持機構25aが係止されるまでのレバー21の移動距離X1(
図2(d))の方が長い。これにより、扉12を閉じるときに誤って維持機構25aと維持機構25bとが係合してレバー21が固定されてしまう事態を低減させることができる。
【0028】
図3は、扉12が開かれるときの表示ユニット10を示す。
図3(a)は、扉12が開かれるときの表示ユニット10の平面図であり、
図3(b)は、正面図であり、
図3(c)は、右側面図であり、
図3(d)は、B-B断面図であり、
図3(e)は、C-C断面図であり、
図3(f)は、D-D断面図である。
【0029】
図3(c)に示すように、扉12の上部が外側から押し込まれると、
図3(e)に示すように、移動機構23aの突起26aが移動機構23bの斜面26bを押して、レバー21が本図における左方向に移動する。レバー21が本図に示す解除位置に達すると、
図3(f)に示すように、ロック機構24aとロック機構24bとの係合が外れ、扉12のロックが解除される。また、維持機構25bが維持機構25aを係止することによりレバー21が固定される。なお、
図3(e)に示すように、移動機構23aと移動機構23bは嵌合する形状を有しており、扉12が押し込まれて移動機構23aと移動機構23bが嵌合すると、それ以上は押し込まれないように構成されている。これにより、レバー21が必要以上に移動しないようにすることができる。
【0030】
図4は、扉12が開いたときの表示ユニット10を示す。
図4(a)は、扉12が開いたときの表示ユニット10の平面図であり、
図4(b)は、正面図であり、
図4(c)は、右側面図であり、
図4(d)は、B-B断面図であり、
図4(e)は、C-C断面図であり、
図4(f)は、D-D断面図である。
【0031】
扉12が回転軸13を中心として下方向に回転して開いたとき、
図4(c)に示すように、扉12が水平になる位置で全開となって維持されるように構成されている。別の例では、扉12は任意の位置で維持されるように構成されてもよいし、維持されないように構成されてもよい。
図4(d)に示すように、扉12が開くと、維持機構25aと維持機構25bとの係合が外れるので、レバー21はバネ22により本図における右方向に移動され、初期位置に戻される。
【0032】
移動機構23a、23bは、扉12の上辺のほぼ全域にわたって設けられるので、扉12の上部の任意の位置を押すことにより扉12を開けることができる。これにより、使用者の利便性を向上させることができる。移動機構23a、23bは、開閉対象の辺の全部にわたって設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。例えば、移動機構23a、23bは、開閉対象の辺の5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上にわたって設けられてもよい。移動機構23a、23bは、開閉対象のいずれの辺に設けられてもよい。移動機構は、開閉対象の2以上の辺に設けられてもよい。この場合、複数の移動機構により1つの移動体が移動されるように構成されてもよいし、複数の移動機構により複数の移動体のそれぞれが移動されるように構成されてもよい。後者の場合、複数の移動体のうち任意の1つにより1つのロック機構による開閉対象のロックが解除されるように構成されてもよい。
【0033】
図5は、本開示の実施の形態に係る開閉装置の別の構成例を示す。
図5(a)は、扉12が設けられた表示ユニット10の平面図であり、
図5(b)は、正面図であり、
図5(c)は、右側面図であり、
図5(d)は、B-B断面図であり、
図5(e)は、C-C断面図であり、
図5(f)は、D-D断面図である。
【0034】
図5(e)に示すように、移動機構23bは、
図1~4に示した例と同様に、複数の斜面26bを有する鋸歯状の形状を有するが、移動機構23aは、鋸歯状の形状ではなく、複数の矩形の突起26aを有する。この場合も、扉12が外側から押されると、移動機構23aの突起26aが移動機構23bの斜面26bを押すことによって、移動機構23bとともにレバー21が本図における左方向に移動する。移動機構23bは、移動機構23aの突起26aと嵌合する凹部27bを有しているので、突起26aと凹部27bが嵌合すると、それ以上は押し込まれないように構成されている。これにより、レバー21が必要以上に移動しないようにすることができる。なお、本図の例では、レバー21に設けられた移動機構23bに斜面26bが設けられ、扉12に設けられた移動機構23aに突起26aが設けられているが、逆に、レバー21に設けられた移動機構23bに突起が設けられ、扉12に設けられた移動機構23aに斜面が設けられてもよい。
【0035】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0036】
上記の実施の形態では、移動機構が斜面を有する第1部材と斜面を押す第2部材とにより構成される例を示したが、移動機構は、開閉対象が外側から押されたことによって開閉対象の内側の面に沿って移動体を移動させることが可能な機構であれば、任意の機構であってもよい。上記の実施の形態では、ロック機構が第1係止部と第1被係止部とにより構成される例を示したが、ロック機構は、移動体が所定の解除位置に移動されたときにロックが解除される機構であれば、任意の機構であってもよい。上記の実施の形態では、維持機構が第2係止部と第2被係止部とにより構成される例を示したが、維持機構は、移動体を解除位置に移動したときに、解除位置又は前記解除位置から更に移動した位置に移動体を維持することが可能な機構であれば、任意の機構であってもよい。上記の実施の形態では、移動体がレバーである例を示したが、移動体は、開閉対象の内側の面に沿って移動可能なものであれば、任意の形状を有していてもよい。
【0037】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の開閉装置は、開閉対象を閉じた状態にロックするためのロック機構と、開閉対象の内側の面に沿った方向に移動可能に設けられ、所定の解除位置に移動されたときにロック機構による開閉対象のロックが解除されるように構成された移動体と、開閉対象が外側から押されたことによって移動体を解除位置に移動させるための移動機構と、を備える。この態様によると、開閉対象を押すことにより容易に開閉対象を開くことが可能な開閉装置を実現することができる。
【0038】
移動機構は、開閉対象を開くために開閉対象が外側から押される方向に対して傾いた斜面を有する第1部材と、開閉対象が外側から押されたときに斜面を押すように構成された第2部材と、を備え、第1部材と第2部材の少なくとも一方が相対移動することによって移動体が移動するように構成されてもよい。この態様によると、上記の開閉装置を簡易な構成により実現することができる。
【0039】
移動機構は、開閉対象の少なくとも1つの辺にわたって設けられてもよい。この態様によると、開閉対象を押して開閉対象を開くことができる範囲を広くとることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0040】
ロック機構は、開閉対象と移動体の一方に設けられた第1被係止部と、他方に設けられた第1係止部と、を備え、第1係止部が第1被係止部を係止することによって開閉対象が閉じた状態にロックされ、移動体が解除位置まで移動したときに第1係止部と第1被係止部との係合が外れることによって開閉対象のロックが解除されてもよい。この態様によると、上記の開閉装置を簡易な構成により実現することができる。
【0041】
開閉装置は、移動体が初期位置から解除位置に向けて移動したときに初期位置に戻る方向へ移動体を付勢するための付勢部を備えてもよい。この態様によると、簡易な構成によりワン・ウェイ方式の開閉装置を実現することができる。
【0042】
開閉装置は、移動体が解除位置に移動したときに、解除位置又は解除位置から更に移動した位置に移動体を維持するための維持機構を備えてもよい。この態様によると、使用者の操作ミスにより開閉対象が開かない事態を低減させることができる。
【0043】
維持機構は、開閉対象と移動体の一方に設けられた第2被係止部と、他方に設けられた第2係止部と、を備え、第2係止部が第2被係止部を係止することによってロック機構による開閉対象のロックが解除される位置に移動体が維持され、開閉対象が開かれたときに第2係止部と第2被係止部との係合が外れることによって移動体が付勢部により初期位置に戻されてもよい。この態様によると、上記の開閉装置を簡易な構成により実現することができる。
【0044】
初期位置から第1係止部と第1被係止部との係合が外れる位置までの移動体の移動距離よりも、初期位置から第2係止部により第2被係止部が係止されるまでの移動体の移動距離の方が長くてもよい。この態様によると、開閉対象を閉じる際に誤って維持機構により移動体が維持される事態を低減させることができる。
【0045】
開閉対象を閉じるときに第1係止部により第1被係止部を係止させるために開閉対象を外側から押すときの荷重と、開閉対象を開くときに移動体を初期位置から解除位置まで移動させるために開閉対象を外側から押すときの荷重とが異なるように構成されてもよい。この態様によると、開閉対象を閉じる際に誤って開閉対象が再び開く事態を低減させることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 表示ユニット、11 パネル、12 扉、13 回転軸、20 開閉装置、21 レバー、22 バネ、23a,23b 移動機構、24a,24b ロック機構、25a,25b 維持機構、26a 突起、26b 斜面、27b 凹部。