(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】ヒートポンプ熱源機
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20230227BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F25B39/04 H
(21)【出願番号】P 2019077003
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和人
(72)【発明者】
【氏名】町田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】町田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小石原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】山岡 由樹
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-052684(JP,A)
【文献】特開2015-045425(JP,A)
【文献】特開2013-221643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F25B 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、水-冷媒熱交換器の冷媒流路、減圧装置、蒸発器が環状に配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、
前記蒸発器を通過する空気を発生させる送風装置と、
前記蒸発器が載置されている底板と、を備え、
前記水-冷媒熱交換器は、周囲を断熱材で覆われており、
前記水-冷媒熱交換器は、水入口部と、水出口部と、水と前記冷媒とが熱交換する熱交換部と、を有し、
前記水入口部を、水流路と連通する水入口接続管とし、
前記水出口部を、前記水流路と連通する水出口接続管とし、
前記熱交換部を、内面に前記水流路を形成する内管と、前記内管の外周に巻き付けられる冷媒管とから形成し、
前記断熱材は、上方側断熱材と下方側断熱材を有し、
前記下方側断熱材には、断熱材第一支持部と断熱材第二支持部とが設けられ、
前記水入口接続管は、前記断熱材第一支持部によって下方側から支持され、前記水出口接続管は、前記断熱材第二支持部によって下方側から支持され、
前記熱交換部と前記断熱材の内面との間には、隙間が設けられている構成としたことを特徴とするヒートポンプ熱源機。
【請求項2】
前記水-冷媒熱交換器は、前記周囲を前記断熱材で覆われた状態で、前記底板に配設されている構成としたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ熱源機。
【請求項3】
前記上方側断熱材において、最も厚みの厚い部位は、前記熱交換部に対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ熱源機。
【請求項4】
前記
下方側断熱材の前記熱交換部の下方側に対向する部位の最大厚さよりも、前記
上方側断熱材の前記熱交換部の上方側に対向する部位の最大厚さの方が厚いことを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ熱源機。
【請求項5】
前記断熱材は、少なくとも上下方向に分割され構成されており、
前記上方側断熱材は
前記下方側断熱材よりも密度を大きくして形成してあることを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ熱源機。
【請求項6】
少なくとも前記熱交換部に対向する前記断熱材の外面には、真空断熱材が用いられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のヒートポンプ熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、この種のヒートポンプ熱源機は、水-熱交換器と送風ファンの背面側に空気熱交換器が配置されている。
【0003】
そして、送風ファンの送風路に配置されている水-熱交換器は、発泡断熱容器で覆われて断熱され、さらに保護カバーにより覆われて保護されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、水-熱交換器と発泡断熱容器とがほぼ密着しており、水熱交換器の温度上昇により、発泡断熱容器の耐久性能が低下してしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、水-冷媒熱交換器を覆う断熱材の耐久性能を向上させた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ熱源機は、圧縮機、水-冷媒熱交換器の冷媒流路、減圧装置、蒸発器が環状に配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、前記蒸発器を通過する空気を発生させる送風装置と、前記蒸発器が載置されている底板と、を備え、前記水-冷媒熱交換器は、周囲を断熱材で覆われており、前記水-冷媒熱交換器は、水入口部と、水出口部と、水と前記冷媒とが熱交換する熱交換部と、を有し、前記水入口部を、水流路と連通する水入口接続管とし、前記水出口部を、前記水流路と連通する水出口接続管とし、前記熱交換部を、内面に前記水流路を形成する内管と、前記内管の外周に巻き付けられる冷媒管とから形成し、前記断熱材は、上方側断熱材と下方側断熱材を有し、前記下方側断熱材には、断熱材第一支持部と断熱材第二支持部とが設けられ、前記水入口接続管は、前記断熱材第一支持部によって下方側から支持され、前記水出口接続管は、前記断熱材第二支持部によって下方側から支持され、前記熱交換部と前記断熱材の内面との間には、隙間が設けられている構成としたことを特徴とするものである。
【0008】
これにより、水-冷媒熱交換器の水入口部と水出口部とが、断熱材の内面によって支持され、水-冷媒熱交換器の水と冷媒とが熱交換する熱交換部と、水-冷媒熱交換器の周囲を覆う断熱材の内面との間に、隙間が設けられていることで、高温冷媒が流れる冷媒流路が断熱材の内面に接触することもないので、水-冷媒熱交換器を覆う断熱材の耐久性能を向上させた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水-冷媒熱交換器を覆う断熱材の耐久性能を向上させた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の上面内観図(b)同ヒートポンプ熱源機の正面内観図
【
図2】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の水-冷媒熱交換器の要部側断面図
【
図3】同ヒートポンプ熱源機の他の水-冷媒熱交換器の要部上断面図
【
図4】同ヒートポンプ熱源機を用いた給湯機の流体回路図
【
図5】同ヒートポンプ熱源機の他の水-冷媒熱交換器の要部側断面図
【
図6】同ヒートポンプ熱源機の他の水-冷媒熱交換器の要部側断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、圧縮機、水-冷媒熱交換器の冷媒流路、減圧装置、蒸発器が環状に配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、前記蒸発器を通過する空気を発生させる送風装置と、前記蒸発器が載置されている底板と、を備え、前記水-冷媒熱交換器は、周囲を断熱材で覆われており、前記水-冷媒熱交換器は、水入口部と、水出口部と、水と前記冷媒とが熱交換する熱交換部と、を有し、前記水入口部を、水流路と連通する水入口接続管とし、前記水出口部を、前記水流路と連通する水出口接続管とし、前記熱交換部を、内面に前記水流路を形成する内管と、前記内管の外周に巻き付けられる冷媒管とから形成し、前記断熱材は、上方側断熱材と下方側断熱材を有し、前記下方側断熱材には、断熱材第一支持部と断熱材第二支持部とが設けられ、前記水入口接続管は、前記断熱材第一支持部によって下方側から支持され、前記水出口接続管は、前記断熱材第二支持部によって下方側から支持され、前記熱交換部と前記断熱材の内面との間には、隙間が設けられている構成としたことを特徴とするヒートポンプ熱源機である。
【0012】
これにより、水-冷媒熱交換器の水入口部と水出口部とが、断熱材の内面によって支持され、水-冷媒熱交換器の水と冷媒とが熱交換する熱交換部と、水-冷媒熱交換器の周囲を覆う断熱材の内面との間に、隙間が設けられていることで、高温冷媒が流れる冷媒流路
が断熱材の内面に接触することもないので、水-冷媒熱交換器を覆う断熱材の耐久性能を向上させた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供できる。
【0013】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記水-冷媒熱交換器は、前記周囲を前記断熱材で覆われた状態で、前記底板に配設されている構成としたことを特徴とするものである。
【0014】
これにより、周囲を断熱材で覆われた水-冷媒熱交換器の重量が多少大きくても、安定化して固定できる。
【0015】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、前記上方側断熱材において、最も厚みの厚い部位は、前記熱交換部に対向する位置に形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
これにより、水-冷媒熱交換器の低温の水入口部や、放熱後の冷媒出口部の上方側に位置する断熱材の厚さよりも、水-冷媒熱交換器の高温の熱交換部に対向する部位の厚さの方が厚いため、高温の熱交換部からの放熱ロスを効率良く抑えた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供できる。
【0017】
第4の発明は、特に第2の発明において、前記下方側断熱材の前記熱交換部の下方側に対向する部位の最大厚さよりも、前記上方側断熱材の前記熱交換部の上方側に対向する部位の最大厚さの方が厚いことを特徴とするものである。
【0018】
これにより、周囲を断熱材で覆われた水-冷媒熱交換器が底板に載置されていることから、送風装置が発生させ蒸発器を通過した後の空気により、水-冷媒熱交換器の上方側の断熱材が冷却されたとしても、水-冷媒熱交換器の熱交換部の下方側に対向する断熱材の最大厚さよりも、水-冷媒熱交換器の熱交換部の上方側に対向する断熱材の最大厚さの方が厚いため、水-冷媒熱交換器の熱交換部は冷却されにくく、その結果、蒸発器の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供できる。
【0019】
第5の発明は、特に第2の発明において、前記断熱材は、少なくとも上下方向に分割され構成されており、前記上方側断熱材は前記下方側断熱材よりも密度を大きくして形成してあることを特徴とするものである。
【0020】
これにより、周囲を断熱材で覆われた水-冷媒熱交換器が底板に載置されていることから、送風装置が発生させ蒸発器を通過した後の空気により、水-冷媒熱交換器の上方側の断熱材が冷却されたとしても、水-冷媒熱交換器の周囲を覆う断熱材は、少なくとも上下方向に分割されており、上方側の断熱材は下方側の断熱材よりも密度を大きくして形成してあるため、水-冷媒熱交換器は冷却されにくく、その結果、蒸発器の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供できる。
【0021】
第6の発明は、特に第1~第5のいずれかの発明において、少なくとも前記熱交換部に対向する前記断熱材の外面には、真空断熱材が用いられていることを特徴とするものである。
【0022】
これにより、水-冷媒熱交換器の熱交換部に対向する断熱材の外面に、発泡断熱材の1/10程度の熱伝導率の真空断熱材を用いることで、特に、水-冷媒熱交換器の水と冷媒とが熱交換する熱交換部の周囲の断熱材の厚さをできるだけ薄くしながら、蒸発器の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器を有するヒートポンプ熱源機を提供できる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の上面内観図、
図1(b)は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の正面内観図である。
【0025】
図4は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機を用いた給湯機の回路図である。
【0026】
まず、
図4の給湯機の流体回路図を用いて、以下に説明する。1は水道水を加熱するためのヒートポンプ熱源機、2はヒートポンプ熱源機1にて加熱され、配管3を介して搬送された高温水を貯湯し、貯湯された温水と水道水を混合して、所定の温度の温水を供給するためのタンクユニットである。
【0027】
ヒートポンプ熱源機1には、冷媒を高温・高圧に圧縮する圧縮機4、冷媒が有する熱を水に放熱する水-冷媒熱交換器5、膨張弁である減圧装置6、空気から吸熱する空気-冷媒熱交換器である蒸発器7が配置されている。9は、蒸発器7に通過させる空気を発生させる送風ファンである送風装置である。
【0028】
そして、圧縮機4、水-冷媒熱交換器5、減圧装置6、蒸発器7を順次環状に配管接続して閉回路である冷媒回路8を形成している。冷媒回路8は、冷媒を高温・高圧と低温・低圧に変更させながら、冷媒を循環させるヒートポンプである。この水-冷媒熱交換器5では、水-冷媒熱交換器5を流れる水を、冷媒回路8を循環する高圧側の冷媒により加熱して、高温水を生成している。
【0029】
一方、タンクユニット2内に構成されている給湯サイクル10は、水-冷媒熱交換器5で生成された高温水を貯める貯湯タンク12と、貯湯タンク12に水道水を入水する入水管13と、貯湯タンク12から高温水を、蛇口やシャワーの給湯端末14に供給する給湯管15と、貯湯タンク12内の低温水を加熱し高温水を生成するために、水-冷媒熱交換器5に貯湯タンク12内の低温水を搬送する循環ポンプ16などで構成されている。
【0030】
図4の給湯機の回路図に記載されている構成部品の配置構成を示したのが、
図1(a)、
図1(b)である。
【0031】
次に、
図1(a)、
図1(b)を用いて、構成部品の配置構成等について、さらに詳細に説明する。
【0032】
ヒートポンプ熱源機1の外郭を形成する外装体のうち、底板11、右側方を形成する右板20、左側方を形成する左板21、上方を形成する天板22、前方を形成する前板23である。この外装体である前板23には、送風装置9と同心円状の吹出口23aが形成されてある。
【0033】
また、ヒートポンプ熱源機1は、正面から見て左右方向に、仕切板17で区画されており、正面から見て右側にあたる一方側には、圧縮機4、減圧装置6が配置されている。
【0034】
また、正面から見て左側にあたる他方側の、最後方から最左側にかけて蒸発器7が配置されている。そして、その蒸発器7の前方側には、蒸発器7を流れる冷媒に吸熱させるために、蒸発器7に通過させる空気を発生させる送風装置9が、蒸発器7に一部支持され配置されている。
【0035】
そして、その送風装置9の下方側に位置する底板11には、周囲を断熱材24で覆われた水-冷媒熱交換器5が載置されている。なお、断熱材24は、少なくとも上下方向に分割され構成されており、上方側断熱材24aと下方側断熱材24bを有している。従って、底板11には下方側断熱材24b側が配置されている。
【0036】
一方、送風装置9が発生させた空気は、蒸発器7に通過し、そのとき蒸発器7を流れる冷媒に吸熱させ、そして、水-冷媒熱交換器5の周囲を覆っている断熱材24に当たりながら、前板23に形成されてある吹出口23aから吹き出していく構成となっている。
【0037】
なお、このときには、送風装置9が発生させた空気は、水-冷媒熱交換器5の周囲を覆っている断熱材24に当たるが、底板11に下方側断熱材24bが載置されている構成上、下方側断熱材24bよりも上方側断熱材24aの方に、多くの蒸発器7を通過後の空気は当たることになる。
【0038】
次に、
図2を用いて、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の水-冷媒熱交換器と、その周囲を覆う断熱材について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の水-冷媒熱交換器の要部側断面図である。
【0039】
まず、水-冷媒熱交換器5について説明する。水などの第1流体が流れる内管25と、内管25に挿入される挿入体26があり、挿入体26には螺旋状凸部26aがあり、この螺旋状凸部26aと内管25の内面とが当接する形になっている。
【0040】
そのため、水などの第1流体は、内管25の内面と、挿入体26の外面と、螺旋状凸部26aの傾斜面とで形成される螺旋状の水流路28を流れる。一方、内管25の外周には、螺旋状に冷媒管である冷媒流路27が巻き付けられており、この冷媒流路27を冷媒などの第2流体が流れる。
【0041】
そして、水流路28を流れる水などの第1流体と、冷媒流路27を流れる冷媒などの第2流体は、
図2に示すように、対向流となるように構成されていて、冷媒流路27を流れる高温の冷媒などの第2流体が、水流路28を流れる低温の水などの第1流体を加熱し、高温水を生成する。第2流体としては炭酸ガスを用いることが、高温水を生成する意図からも好ましい。
【0042】
そのため、
図2に示すように、水-冷媒熱交換器5の、水などの第1流体の流れ方向の一端側には、水流路28と連通するように水入口部である水入口接続管28aが接続されており、また、その上方側には、冷媒流路27と連通するように冷媒出口部である冷媒出口接続管27bが接続されている。
【0043】
一方、水-冷媒熱交換器5の、水などの第1流体の流れ方向の他端側には、水流路28と連通するように水出口部である水出口接続管28bが接続されており、また、その上方側には、冷媒流路27と連通するように冷媒入口部である冷媒入口接続管27aが接続されている。
【0044】
そして、その間には、冷媒などの第2流体が、水などの第1流体を加熱する熱交換部5aが設けられている。
【0045】
すなわち、熱交換部5aとは、内管25の内面と、挿入体26の外面と、螺旋状凸部2
6aの傾斜面とで形成される螺旋状の水流路28を流れる水などの第1流体と、内管25の外周に巻き付けられている螺旋状の冷媒管である冷媒流路27を流れる冷媒などの第2流体とが熱交換し、水などの第1流体が冷媒などの第2流体によって加熱される部位のことである。
【0046】
また、冷媒入口接続管27aの温度は、圧縮機4の吐出温度であるため、100℃を超えることもある。それに対して、水入口接続管28a、水出口接続管28bは、その冷媒と熱交換された第1流体である水が流れるため、その温度は冷媒より低いものである。
【0047】
そのため、水入口接続管28aより、冷媒出口接続管27bを上方に配置して距離を離し、水出口接続管28bより、冷媒入口接続管27a上方に配置して距離を離している。
【0048】
なお、
図2、
図3、
図5、
図6において、実線は冷媒などの第2流体の流れ方向、破線は水などの第1流体の流れ方向を示している。
【0049】
次に、断熱材について説明する。断熱材24は、少なくとも上下方向に分割され構成されており、上方側断熱材24aと下方側断熱材24bを有して、水-冷媒熱交換器5を上下方向より挟み込んで覆っている。従って、底板11には下方側断熱材24bが載置されている。
【0050】
そして、上方側断熱材24aは一端側に、冷媒出口接続管27bの上方に位置する冷媒出口側上方断熱材24cA、他端側に冷媒入口接続管27aの上方に位置する冷媒入口側上方断熱材24dA、その間に断熱材第二支持部24bBの上方に位置する熱交換部上方断熱材24aAを有している。
【0051】
また、下方側断熱材24bは一端側に、水入口接続管28aの下方に位置する水入口側下方断熱材24cB、他端側に水出口接続管28bの下方に位置する水入出口側下方断熱材24dB、その間に熱交換部5aの下方に位置する熱交換部下方断熱材24aBを有している。
【0052】
そして、下方側断熱材24bの水などの第1流体の流れ方向である長手方向(横方向)において、水入口側下方断熱材24cBと熱交換部下方断熱材24aBとの間には、断熱材第一支持部24bAが設けられている。また、下方側断熱材24bの水などの第1流体の流れ方向である長手方向(横方向)において、熱交換部下方断熱材24aBと水入出口側下方断熱材24dBとの間には、断熱材第二支持部24bBが設けられている。
【0053】
そして、水-冷媒熱交換器5の水入口接続管28aは、断熱材第一支持部24bAによって下方側から支持されており、水-冷媒熱交換器5の水出口接続管28bは、断熱材第二支持部24bBによって下方側から支持されていて、熱交換部5aと上方側断熱材24aの内面、熱交換部5aと下方側断熱材24bの内面、すなわち、熱交換部5aと周囲の断熱材24の内面との間には、隙間が設けられている。
【0054】
これにより、高温冷媒が流れる冷媒流路27を有する熱交換部5aが、上方側断熱材24aの内面や下方側断熱材24bの内面、すなわち,熱交換部5aと周囲の断熱材24の内面と接触することがないので、上方側断熱材24aの内面や下方側断熱材24bの変形を防止し、長期間に渡り、安定して水-冷媒熱交換器5に配置位置を保つことができる。
【0055】
なお、上方側断熱材24a、下方側断熱材24bは主として、発泡スチロールが用いられるが、一般的な発泡スチロールの耐熱温度は約70℃~80℃であり、それ以上に加熱すると軟化・融解する可能性がある。用途に応じて原料を切り替えることで耐熱温度も向
上させている耐熱発泡スチロールというグレードも開発されているが、それでも90℃程度である。
【0056】
ここで、冷媒入口接続管27aの温度は、圧縮機4の吐出温度であるため、100℃を超えることもあるため、
図2に示すように、このような高温の冷媒入口接続管27aと、上方側断熱材24aの内面との間にも隙間が設けられていて接触することがないので、上方側断熱材24aの耐久性能を向上できる。
【0057】
そして、
図2に示すように、上方側断熱材24aにおいて、最も厚みの厚い部位は、熱交換部5aに対向する位置に形成されている。
【0058】
詳細には、低温の水入口接続管28aや放熱後の冷媒出口接続管27bの上方側に位置する冷媒出口側上方断熱材24cAの厚さ(t2)よりも、高温の熱交換部5aに対向する部位の厚さ(t1)の方が厚いため、高温の熱交換部5aからの放熱ロスを効率良く抑えることができる。
【0059】
なお、低温の水入口接続管28aと放熱後の冷媒出口接続管27bは、対向流の関係より、水-冷媒熱交換器5の同一側に接続されている。
【0060】
さらに、周囲を断熱材24で覆われた水-冷媒熱交換器5が底板11に載置されていることから、送風装置9が発生させ蒸発器7を通過した後の空気により、水-冷媒熱交換器5の上方側断熱材24aが冷却されたとしても、高温の熱交換部5aからの放熱ロスを効率良く抑えることができるため、その結果、蒸発器7の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器5を有するヒートポンプ熱源機1を提供できる。
【0061】
また、
図2に示すように、断熱材24の熱交換部5aの下方側に対向する下方側断熱材24bの最大厚さ(t3)よりも、断熱材24の熱交換部5aの上方側に対向する上方側断熱材24aの最大厚さ(t1)の方が厚い構成となっている。
【0062】
これにより、周囲を断熱材24で覆われた水-冷媒熱交換器5が底板11に載置されていることから、送風装置9が発生させ蒸発器7を通過した後の空気により、水-冷媒熱交換器5の上方側断熱材24aが冷却されたとしても、水-冷媒熱交換器5の熱交換部5aの下方側に対向する下方側断熱材24bの最大厚さよりも、水-冷媒熱交換器5の熱交換部5aの上方側に対向する上方側断熱材24aの最大厚さの方が厚いため、水-冷媒熱交換器5の熱交換部5aは冷却されにくく、その結果、蒸発器7の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器5を有するヒートポンプ熱源機1を提供できる。
【0063】
図3は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の他の水-冷媒熱交換器の要部上断面図である。
図3においては、
図2に示す構成と異なる箇所のみ説明する。
【0064】
図3において、水-冷媒熱交換器5が複数(本実施の形態においては2個)において、第1流体である水や第2流体である冷媒が、複数の水-冷媒熱交換器5を直列に流れるように構成してある。
【0065】
具体的には、第1流体である水や、第2流体である冷媒が最初の水-冷媒熱交換器5を通過した後に、次の水-冷媒熱交換器5に流入できるように、複数の水-冷媒熱交換器5の一端側には、それぞれの冷媒流路27、水流路28を連通させるために、冷媒戻り接続管27cと水戻り接続管28cとを設けている。
【0066】
複数の水-冷媒熱交換器5の他端側には、水入口接続管28aと冷媒出口接続管27b、水出口接続管28bと冷媒入口部である冷媒入口接続管27aとが一対となって、それぞれの水-冷媒熱交換器5に接続されている。
【0067】
なお、この場合、水-冷媒熱交換器5の水入口接続管28aと水出口接続管28bとが、断熱材第二支持部24bBによって下方側から支持されている。
【0068】
また、複数の水-冷媒熱交換器5にとって、水入口部に水出口部にも相当する水戻り接続管28cは、断熱材第一支持部24bAによって下方側から支持されていている。
【0069】
図5は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の他の水-冷媒熱交換器の要部側断面図である。
図5においては、
図2に示す構成と異なる箇所のみ説明する。
【0070】
図5においては、上方側断熱材24aの密度を、下方側断熱材24b断熱材の密度よりも大きくして形成してある。上方側断熱材24aの密度を大きくすれば、断熱性能が上昇する。
【0071】
これにより、周囲を断熱材24で覆われた水-冷媒熱交換器5が底板11に載置されていることから、送風装置9が発生させ蒸発器7を通過した後の空気により、水-冷媒熱交換器5の上方側断熱材24aが冷却されたとしても、水-冷媒熱交換器5の周囲を覆う断熱材24は、少なくとも上下方向に分割されており、上方側断熱材24aは下方側断熱材24bよりも密度を大きくして形成してあるため、水-冷媒熱交換器5は冷却されにくく、その結果、蒸発器7の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器5を有するヒートポンプ熱源機1を提供できる。
【0072】
図6は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ熱源機の他の水-冷媒熱交換器の要部側断面図である。
図6においては、
図2に示す構成と異なる箇所のみ説明する。
【0073】
少なくとも熱交換部5aに対向する上方側断熱材24aの断熱材の外面に、真空断熱材29が用いられている。
【0074】
これにより、水-冷媒熱交換器5の熱交換部5aに対向する上方側断熱材24aの外面に、発泡断熱材の1/10程度の熱伝導率の真空断熱材29を用いることで、特に、水-冷媒熱交換器5の水と冷媒とが熱交換する熱交換部5aの周囲の断熱材の厚さをできるだけ薄くしながら、蒸発器7の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器5を有するヒートポンプ熱源機1を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかるヒートポンプ熱源機は、水-冷媒熱交換器が、蒸発器の空気流の下流側に配置されていても、放熱ロスを抑えた水-冷媒熱交換器を有するため、給湯機や温水暖房などのヒートポンプ暖房機器に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 ヒートポンプ熱源機
2 タンクユニット
3 配管
4 圧縮機
5 水-冷媒熱交換器
5a 熱交換部
6 減圧装置
7 蒸発器
8 冷媒回路
9 送風装置
10 給湯サイクル
11 底板
12 貯湯タンク
13 入水管
14 給湯端末
15 給湯管
16 循環ポンプ
17 仕切板
20 右板
21 左板
22 天板
23 前板
23a 吹出口
24 断熱材
24a 上方側断熱材
24b 下方側断熱材
24aA 熱交換部上方断熱材
24aB 熱交換部下方断熱材
24bA 断熱材第一支持部
24bB 断熱材第二支持部
24cA 冷媒出口側上方断熱材
24cB 水入口側下方断熱材
24dA 冷媒入口側上方断熱材
24dB 水入出口側下方断熱材
25 内管
26 挿入体
26a 螺旋状凸部
27 冷媒流路
27a 冷媒入口接続管(冷媒入口部)
27b 冷媒出口接続管(冷媒出口部)
27c 冷媒戻り接続管
28 水流路
28a 水入口接続管(水入口部)
28b 水出口接続管(水出口部)
28c 水戻り接続管
29 真空断熱材