(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】タッチセンサおよびそれを用いた表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230227BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
G06F3/041 662
G06F3/044 122
G06F3/041 430
G06F3/041 522
(21)【出願番号】P 2020517017
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2019001297
(87)【国際公開番号】W WO2019211931
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2018088055
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 弘充
(72)【発明者】
【氏名】柴田 健二
(72)【発明者】
【氏名】橋本 理史
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-058697(JP,A)
【文献】特開2014-123274(JP,A)
【文献】特開2014-123640(JP,A)
【文献】特開2015-069609(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002645(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107025853(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230331(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0309579(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサ電極と、前記第1センサ電極と電気的に接続する第1センサ端子部とを有する第1センサ基板と、
前記第1センサ基板と機械的に接続する第1端部と、前記第1端部で前記第1センサ端子部と電気的に接続する信号線部と、前記信号線部と電気的に絶縁するグランド部と、前記グランド部を被覆する絶縁層とを有する配線基板と、
を備え、
前記絶縁層は、前記配線基板の厚み方向に前記絶縁層を貫通しかつ前記グランド部を露出させる複数の貫通孔を有し、
前記複数の貫通孔は、互いに間隔をあけて配置されており、
前記複数の貫通孔のうちの少なくとも2つの前記貫通孔同士を結ぶ線分は、前記信号線部と交差している、
タッチセンサ。
【請求項2】
前記信号線部は、前記第1端部で前記第1センサ端子部と電気的に接続する第1配線端子部と、前記第1配線端子部と電気的に接続する第2配線端子部とを含み、
前記配線基板は、前記第2配線端子部が配置された第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へと延びる第1外縁部と、前記第1外縁部と前記信号線部を挟んで向かい合いかつ前記第1端部から前記第2端部へと延びる第2外縁部とを有し、
前記複数の貫通孔は、前記第1外縁部と前記第2外縁部との間に位置する第1貫通孔と、前記第1貫通孔よりも前記第1外縁部の近くに位置する第2貫通孔と、前記第1貫通孔よりも前記第2外縁部側に位置する第3貫通孔とを含む、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔と前記第3貫通孔とを結ぶ線分上に位置している、
請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔と前記第3貫通孔とを結ぶ線分よりも前記第1端部の近くに位置している、
請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔と前記第3貫通孔とを結ぶ線分よりも前記第2端部の近くに位置している、
請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記線分は、前記信号線部と交差しかつ前記第1外縁部から前記第2外縁部に向かう方向に沿って延びており、
前記第1貫通孔は複数設けられており、
前記各第1貫通孔は、前記第2貫通孔と前記第3貫通孔との間に位置しかつ前記線分よりも前記第1端部側および前記第2端部側のそれぞれに配置されている、請求項4または5に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記信号線部は、前記第1端部で前記第1センサ端子部と電気的に接続する第1配線端子部と、前記第1配線端子部と電気的に接続する第2配線端子部とを含み、
前記配線基板は、前記第2配線端子部が配置された第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へと延びる第1外縁部と、前記第1外縁部と前記信号線部を挟んで向かい合いかつ前記第1端部から前記第2端部へと延びる第2外縁部とを有し、
前記絶縁層は、前記複数の貫通孔よりも前記第1外縁部の近くに位置しかつ前記配線基板の厚み方向に前記絶縁層を貫通する第5貫通孔と、前記複数の貫通孔よりも前記第2外縁部の近くに位置しかつ前記配線基板の厚み方向に前記絶縁層を貫通する第6貫通孔とを有する、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記複数の貫通孔は、前記第5貫通孔と前記第6貫通孔とを結ぶ線分上に位置している、請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記複数の貫通孔は、前記第5貫通孔と前記第6貫通孔とを結ぶ線分よりも前記第1端部の近くに位置している、
請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
前記複数の貫通孔は、前記第5貫通孔と前記第6貫通孔とを結ぶ線分よりも前記第2端部の近くに位置している、
請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項11】
前記配線基板は、前記複数の貫通孔内に積層されかつ前記グランド部と電気的に接続された導電層をさらに有し、
前記グランド部の材質は、銅を含み、
前記導電層の材質は、金を含む、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項12】
前記配線基板は、前記絶縁層の一部を被覆し、前記グランド部と電気的に接続する導電層をさらに有する、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項13】
前記導電層は、互いに隣り合う前記貫通孔同士を跨いた状態で前記絶縁層の一部を被覆するように構成されている、
請求項12に記載のタッチセンサ。
【請求項14】
前記信号線部は、前記第1端部で前記第1センサ端子部と電気的に接続する第1配線端子部と、前記第1配線端子部と電気的に接続する第2配線端子部とを含み、
前記配線基板は、前記第2配線端子部が配置された第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へと延びる第1外縁部と、前記第1外縁部と前記信号線部を挟んで向かい合いかつ前記第1端部から前記第2端部へと延びる第2外縁部とを有し、
前記貫通孔同士を結ぶ線分に沿う方向における前記複数の貫通孔のそれぞれの間隔は、前記複数の貫通孔の各々の孔径または対角線よりも大きい、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項15】
前記第1センサ基板は、前記第1センサ端子部を形成された第1センサ面をさらに有し、前記配線基板は、少なくとも一部が前記第1センサ面側に位置する第1配線基板面と、前記第1配線基板面の反対の面である第2配線基板面とをさらに有し、
前記グランド部は、前記第2配線基板面で露出する、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項16】
前記第1センサ基板は、前記第1センサ端子部が形成された第1センサ面をさらに有し、前記配線基板は、少なくとも一部で前記第1センサ面と向かい合う第1配線基板面をさらに有し、
前記グランド部は、前記第1配線基板面で露出する、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項17】
前記第1センサ基板を覆うカバー部材をさらに備え、
前記カバー部材の外形は、前記第1センサ基板よりも大きく、
前記複数の貫通孔は、前記カバー部材の外形と前記第1センサ基板の外形との間に位置する、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項18】
前記第1センサ電極と静電容量結合する第2センサ電極と、前記第2センサ電極および前記信号線部と電気的に接続する第2センサ端子と、前記第2センサ端子が形成された第2センサ面とを有し、前記第1端部と機械的に接続する第2センサ基板をさらに備え、
前記第1センサ基板は、前記第1センサ端子部が形成された第1センサ面をさらに有し、前記配線基板は、少なくとも一部で前記第1センサ面と向かい合う第1配線基板面と、前記第1配線基板面の反対に位置しかつ前記第2センサ面と向かい合う第2配線基板面とを有し、
前記グランド部は、前記第1配線基板面で露出している、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項19】
前記第1センサ電極は、受信電極であり、
前記第2センサ電極は、送信電極である、
請求項18に記載のタッチセンサ。
【請求項20】
請求項1に記載のタッチセンサと、
前記第1センサ基板と向かい合うディスプレイと、
前記タッチセンサから前記ディスプレイに向かう方向に配置された実装基板と、
を備え、
前記信号線部は、前記第1端部で前記第1センサ端子部と電気的に接続する第1配線端子部と、前記第1配線端子部と電気的に接続しかつ前記実装基板と電気的に接続する第2配線端子部とを含み、
前記配線基板は、少なくとも一部で前記タッチセンサと前記実装基板との間の空間と向かい合う第1配線基板面と、前記第1配線基板面の反対の面である第2配線基板面とを有し、
前記複数の露出部は、第2配線基板面に形成されている、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチセンサおよびそれを用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タッチセンサに関して、例えば特許文献1に示されるものが知られている。
【0003】
特許文献1には、センサ電極およびセンサ電極と電気的に接続される引き回し配線が形成されたセンサ基板と、接続部がセンサ基板の一部と機械的に接続された状態で引き回し配線と電気的に接続された信号用配線部材と、を備えたタッチセンサが開示されている。
【0004】
信号用配線部材は、信号線およびグランド用配線を有している。信号用配線部材は、導体を接続部とタッチセンサの外形部との間に露出させた導体露出部を有している。導体露出部は、信号線と非導通となりかつグランド用配線と導通している。導体露出部は、タッチセンサの表側で導体が露出する表側導体露出部と、表側導体露出部の裏側の層で導体が露出して表側導体露出部と電気的に接続される裏側導体露出部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のタッチセンサを組み込んだ表示装置(例えば特許文献1に示されたデジタルビデオカメラの表示ユニット)において、例えばタッチパネルの操作時に発生した静電気が表示ユニットの隙間から浸入した場合であっても、この静電気が導体露出部を介してグランド用配線に伝わることにより静電気が適切に除却されるようになっている。すなわち、特許文献1のタッチセンサを組み込んだ表示装置では、静電気による誤作動が生じにくくなっている。
【0007】
しかしながら、特許文献1のタッチセンサでは、強度的に脆い銅箔層からなる表側導体露出部が信号用配線部材の幅方向(すなわち、信号線が延びる方向と直交する方向)において一端から他端に亘って線状に延びるように形成されている。このため、折り曲げた状態の信号用配線部材を表示装置内に配置した場合ではいわゆる曲げ応力が信号用配線部材の折り曲げ位置で局所的に生じやすくなり、特に表側導体露出部で上記曲げ応力が集中しやすくなる。その結果、特許文献1のタッチセンサでは、信号用配線部材の機械的強度が低下してしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電気の影響を未然に防止するとともに、配線基板における機械的強度の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係るタッチセンサは、第1センサ電極と、第1センサ電極と電気的に接続する第1センサ端子部とを有する第1センサ基板と、第1センサ基板と機械的に接続する第1端部と、第1端部で第1センサ端子部と電気的に接続する信号線部と、信号線部と電気的に絶縁するグランド部と、グランド部を被覆する絶縁層とを有する配線基板と、を備えている。絶縁層は、配線基板の厚み方向に絶縁層を貫通しかつグランド部を露出させる複数の貫通孔を有している。複数の貫通孔は、互いに間隔をあけて配置されている。そして、複数の貫通孔のうちの少なくとも2つの貫通孔同士を結ぶ線分は、信号線部と交差していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、静電気の影響を未然に防止するとともに、配線基板における機械的強度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るタッチセンサの平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1センサ基板および配線基板の接続状態を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のA部を拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図7】
図7は、タッチセンサを備えた表示装置の構成を概略的に示す概略図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例1における配線基板を示す
図3相当図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の変形例2における配線基板を示す
図3相当図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の変形例3における配線基板を示す
図3相当図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態における配線基板を示す
図3相当図である。
【
図14】
図14は、第1および第2実施形態の更なる変形例1における配線基板の断面構成を示す
図4相当図である。
【
図15】
図15は、第1および第2実施形態の更なる変形例2における配線基板の断面構成を示す
図5相当図である。
【
図16】
図16は、第1および第2実施形態の更なる変形例3における配線基板の断面構成を示す
図4相当図である。
【
図17】
図17は、第1および第2実施形態の更なる変形例4における配線基板の断面構成を示す
図4相当図である。
【
図18】
図18は、第1および第2実施形態の更なる変形例5における配線基板の断面構成を示す
図6相当図である。
【
図19】
図19は、第1および第2実施形態の更なる変形例6における配線基板の断面構成を示す
図6相当図である。
【
図20】
図20は、第1および第2実施形態の更なる変形例7における配線基板の断面構成を示す
図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るタッチセンサ1の全体を示している。このタッチセンサ1は、タッチ操作が可能なセンサ型入力装置である。そして、タッチセンサ1を組み込んだ表示装置50(
図7参照)は、例えばカーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータのディスプレイ機器、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、現金自動預け払い機などに用いられる。
【0014】
以下の説明では、タッチセンサ1およびタッチセンサ1における後述する各構成要素の位置関係を、各図に示したX方向、Y方向、およびZ方向に基づいて特定している。具体的に、Y方向は、後述する信号線部32が延びる方向に平行な方向として定めている。X方向は、後述する第1センサ面11の面方向においてY方向と直交する方向として定めている。Z方向は、Y方向と直交する後述の配線基板30の厚み方向として定めている(
図4等を参照)。なお、このような位置関係は、タッチセンサ1およびそれが組み込まれた表示装置50における実際の方向とは無関係である。
【0015】
(カバー部材)
図1に示すように、タッチセンサ1は、光透過性を有するカバー部材2を備えている。カバー部材2は、例えばカバーガラスまたはプラスチック製のカバーレンズからなる。カバー部材2は、例えば平面視で矩形板状に形成されていて、外形が後述する第1センサ基板10の外形よりも大きくなるように構成されている。
【0016】
図6に示すように、カバー部材2は、接着層3を介して後述の第1センサ基板10の上側に積層配置されている。カバー部材2は、表面が使用者の視認側に位置するように配置されている。なお、接着層3としては、例えば光学用透明粘着シート(OCA:「Optical Clear Adhesive」)が用いられる。
【0017】
(第1センサ基板)
図1および
図2に示すように、タッチセンサ1は、第1センサ基板10を備えている。第1センサ基板10は、例えば光透明性を有する材料により構成されている。具体的に、第1センサ基板10の材料としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、PMMA(アクリル)、COP(シクロオレフィンポリマー)等の光透過性を有する樹脂材、またはガラスが適している。第1センサ基板10は、例えば長辺がX方向に沿う長方形状に形成されている。
【0018】
図2および
図6に示すように、第1センサ基板10は、第1センサ面11を有している。この実施形態において、第1センサ基板10は、第1センサ面11がカバーガラスの裏面と対向するように配置されている。
【0019】
第1センサ面11には、第1センサ電極12、引き回し配線13,13,…、および第1センサ端子部14,14,…が形成されている。
【0020】
第1センサ電極12は、カバー部材2の表面に接触した使用者の手指(検知対象物)によるタッチ操作を検知可能な静電容量式のセンサ体として構成されている。第1センサ電極12は、例えば導電性を有する複数の細線をメッシュ状に配置した網目構造となっている。
【0021】
第1センサ電極12の材質としては、例えば銀、銅、アルミニウム、ニッケル、モリブデン、または銅とニッケルとの合金などの導電金属が望ましいが、導電樹脂材などであってもよい。第1センサ電極12の形成方法としては、スパッタ蒸着法、メッキ処理、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、CMP研磨(埋設形成)等が挙げられる。
【0022】
図2に示すように、第1センサ端子部14,14,…は、第1センサ面11の周縁側に形成されている。第1センサ端子部14,14,…は、X方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。各第1センサ端子部14は、各引き回し配線13を介して第1センサ電極12と電気的に接続されている。
【0023】
(配線基板)
図1および
図2に示すように、タッチセンサ1は、配線基板30を備えている。配線基板30は、柔軟性を有しかつ変形状態でもその電気的特性が変化しないようなプリント基板として構成されている。配線基板30は、例えばフレキシブル配線板(FPC:「Flexible Printed Circuits」)により構成されている。配線基板30は、平面視で長辺がY方向に沿う長方形状に形成されている。なお、配線基板30の外形は、長方形状に限られず、種々の形状にすることが可能である。
【0024】
配線基板30は、第1および第2端部30a,30bを有している。第1端部30aは、第1センサ基板10の一部と重なる位置に形成されていて、第1センサ基板10と機械的に接続されている。具体的に、第1端部30aは、異方導電性樹脂材4により第1センサ基板10の第1センサ面11に固着されている(
図6参照)。一方、第2端部30bは、第1端部30aからY方向に離れた位置に形成されている。第2端部30bは、後述する表示装置50の実装基板54と機械的に接続されるようになっている(
図7参照)。
【0025】
配線基板30は、第1および第2外縁部30c,30dを有している。第1および第2外縁部30c,30dの各々は、Y方向に沿って直線状に延びていて、X方向において後述する信号線部32,32,…を挟んで互いに向かい合うように形成されている。
【0026】
図4および
図5に示すように、配線基板30は、絶縁層31a~31cを有している。絶縁層31a~31cの各々は、例えばポリイミドやポリエステル(PET)などの樹脂材からなる。絶縁層31a~31cは、各々がエポキシ樹脂系またはアクリル樹脂系の接着剤により互いに接着された状態でZ方向に積層配置されている。
【0027】
図6にも示すように、絶縁層31aは、断面視で第1センサ基板10側に配置されている。絶縁層31cは、断面視でカバー部材2側に配置されていて、後述するグランド部34の表側を被覆するように構成されている。絶縁層31bは、断面視で絶縁層31aと絶縁層31cとの間に配置されていて、後述するグランド部34の裏側を被覆するように構成されている。
【0028】
図6に示すように、第1センサ基板10と第1端部30aとが重なり合う領域には、絶縁層31bおよび絶縁層31cのみが位置している。この領域では、絶縁層31bの裏側に位置する後述の第1配線端子部33aが第1センサ面11と向き合うように配置されている。これと同様に、第2端部30bの領域においても、絶縁層31bおよび絶縁層31cのみが位置している。
【0029】
配線基板30は、第1および第2配線基板面30e,30fを有している。第1配線基板面30eは、第1センサ面11側に位置している。すなわち、第1配線基板面30eは、絶縁層31aの裏面に相当する。一方、第2配線基板面30fは、第1配線基板面30eの反対側に位置している。すなわち、第2配線基板面30fは、タッチセンサ1の視認側に面する絶縁層31cの表面に相当する。
【0030】
図2および
図3に示すように、配線基板30は、信号線部32,32,…を有している。各信号線部32は、銅などの導電材料からなる。各信号線部32は、Y方向に向かって直線状に延びている。信号線部32,32,…は、X方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。
図4~
図6に示すように、各信号線部32は、断面視で絶縁層31aと絶縁層31bとの間に積層配置されている。
【0031】
図2に示すように、各信号線部32の両端部には、第1および第2配線端子部33a,33bがそれぞれ形成されている。第1配線端子部33aは、第1端部30a側に位置する信号線部32の一端部に形成されている。第1配線端子部33aは、第1端部30aの領域内で絶縁層31bの裏面に積層配置されている(
図6参照)。一方、第2配線端子部33bは、第2端部30b側に位置する信号線部32の他端部に形成されている。第2配線端子部33bは、第2端部30bで絶縁層31bの裏面に積層配置されている(図示せず)。第1および第2配線端子部33a,33bは、各々が信号線部32を介して互いに電気的に接続されている。
【0032】
図4~
図6に示すように、配線基板30は、グランド部34を有している。グランド部34は、銅などの導電材料からなる。グランド部34は、絶縁層31bと絶縁層31cとの間で平面状に積層配置されている。グランド部34は、グランド電位に接続されていて、信号線部32と電気的に絶縁されている。そして、グランド部34は、その一部が第2配線基板面30f側に設けられた後述する貫通孔40,40,…から露出した状態となるように構成されている。
【0033】
図1~
図6に示すように、配線基板30には、グランド部34の一部を露出させるための複数の貫通孔40,40,…が設けられている。各貫通孔40は、絶縁層31cの一部がZ方向に向かって貫通した状態となるように形成されている(
図4~
図6参照)。なお、この実施形態において、貫通孔40,40,…は、カバー部材2と配線基板30とが重なる位置以外の位置に配置されている。
【0034】
図1~
図3に示すように、貫通孔40,40,…は、第1~第4貫通孔41~44からなる。第1~第4貫通孔41~44は、第2貫通孔42と第3貫通孔43とを結ぶ仮想的な線分L1に沿って一列に並べられている。この実施形態において、線分L1は、
図3中における左上から右下に向かってY方向に対し斜めに交差している。また、線分L1は、第1~第4貫通孔41~44の各々の対角線と重なるようになっている。すなわち、第1~第4貫通孔41~44は、少なくとも2つの貫通孔40,40同士を結ぶ線分L1が信号線部32と交差するように配置されている。また、第1~第4貫通孔41~44は、線分L1に沿う方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。
【0035】
第1貫通孔41は、第1外縁部30cの位置(
図3中における左側)から2番目の位置に配置されていて、線分L1上に位置するように配置されている。
【0036】
第2貫通孔42は、第1外縁部30cの位置から1番目の位置に配置されている。具体的に、第2貫通孔42は、第1貫通孔41の隣に位置しかつ第1貫通孔41よりも第1外縁部30cの近くに位置するように配置されている。
【0037】
第3貫通孔43は、第1外縁部30cの位置から3番目の位置に配置されている。具体的に、第3貫通孔43は、第1貫通孔41の隣に位置しかつ第1貫通孔41よりも第2外縁部30d側に位置するように配置されている。
【0038】
第4貫通孔44は、第1外縁部30cの位置から4番目の位置に配置されている。具体的に、第4貫通孔44は、第3貫通孔43の隣に位置しかつ第3貫通孔43よりも第2外縁部30dの近くに位置するように配置されている。
【0039】
図3および
図5に示すように、互いに隣り合う貫通孔41,43(40,40)同士は、その間隔B(
図5参照)が線分L1に沿う方向において各貫通孔40の対角線の長さよりも大きくなるように形成されている。そして、各貫通孔40は、外径が平面視で配線基板30の外形よりも極めて小さい形状となるように形成されている。なお、この実施形態において、各貫通孔40は、正方形状に形成されている。
【0040】
ここで、上記間隔Bは、例えば、距離D2と距離D3との合計値を距離D1から引いた距離D4に相当する。距離D1は、第1貫通孔41の中心から第3貫通孔43の中心までの距離である。距離D2は、第1貫通孔41における中心から対角線上の隅角部までの距離である。距離D3は、第3貫通孔43における中心から対角線上の隅角部までの距離である。
【0041】
図4~
図6に示すように、配線基板30は、導電層35を有している。導電層35は、金(Au)を含む導電材料により構成されている。導電層35は、各貫通孔40内においてグランド部34の上側に積層配置されている。導電層35は、グランド部34と電気的に接続されている。
【0042】
なお、導電層35を構成する導電材料としては、酸化しにくい材料が好ましい。導電層35が酸化してしまうと、後述する静電気を除却する効果が低減してしまうためである。具体的に、導電層35を構成する導電材料としては、上述の金(Au)に限られず、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などを含んでいてもよい。あるいは、導電層35は、電気伝導性を有する高分子化合物またはカーボンシートにより構成されていてもよい。
【0043】
(表示装置)
次に、
図7を参照しながら、タッチセンサ1を備えた表示装置50について説明する。
【0044】
表示装置50は、装置本体51を備えている(
図7の仮想線を参照)。装置本体51は、箱状に形成されていて、表示装置50のケーシングを構成している。装置本体51の上側には、開口部52が形成されている。装置本体51の内部には、タッチセンサ1、ディスプレイ53、および実装基板54が設けられている。
【0045】
ディスプレイ53は、例えば液晶ディスプレイ53(LCD)からなる。また、実装基板54には、表示装置50の動作を制御するための回路部および制御部(いずれも図示せず)などが設けられている。
【0046】
タッチセンサ1は、装置本体51の開口部52に対応する位置に配置されている。また、ディスプレイ53は、装置本体51の内部においてタッチセンサ1の下方に配置されている。具体的に、ディスプレイ53は、タッチセンサ1の第1センサ基板10裏面と向かい合う位置に配置されている。
【0047】
実装基板54は、タッチセンサ1に対しタッチセンサ1からディスプレイ53に向かう方向に配置されている。具体的に、実装基板54は、装置本体51内の底側においてディスプレイ53の裏面と向かい合う位置に配置されている。
【0048】
配線基板30は、装置本体51の内部において湾曲状に折り曲げられた状態で実装基板54と機械的に接続されている。そして、配線基板30の第1端部30aが第1センサ基板10の第1センサ面11に固着されている一方、配線基板30の第2端部30bが実装基板54の端子部(図示せず)に固着されている。これにより、タッチセンサ1および実装基板54は、配線基板30を介して互いに電気的に接続された状態となっている。また、配線基板30の第1配線基板面30eは、タッチセンサ1と実装基板54とが互いに向
かい合う空間に面するように位置している。
【0049】
ここで、上述したように、配線基板30は、グランド部34の一部が第2配線基板面30fに形成された貫通孔40,40,…から露出するように構成されている。一方、
図7に示すように、配線基板30の第2配線基板面30fは、装置本体51内においてタッチセンサ1のカバー部材2と装置本体51の開口部52との間に形成された隙間Cと向き合う位置に配置されている。そして、配線基板30は、貫通孔40,40,…が隙間Cの近傍に位置するように装置本体51内に配置されている。
【0050】
[第1実施形態の作用効果]
以上のように、タッチセンサ1の配線基板30には、グランド部34の一部を絶縁層31から外側に露出させるための貫通孔40,40,…が設けられている。これにより、例えばタッチセンサ1の操作時に発生した静電気が各貫通孔40で露出したグランド部34に流れ込みやすくなる。すなわち、グランド部34で静電気が除却されて、静電気が表示装置50(具体的には表示装置50の実装基板54)に向かって流れにくくなる。その結果、表示装置50において静電気により生じる誤作動を未然に防止することが可能となる。
【0051】
一方、タッチセンサ1を、配線基板30を折り曲げた状態(以下「折り曲げ状態」という)で例えば
図7に示した表示装置50の装置本体51内に配置した場合では、いわゆる曲げ応力が配線基板30の折り曲げ位置で局所的に生じやすくなる。これに対し、タッチセンサ1では、貫通孔40,40,…が互いに間隔をあけて配置されていて、貫通孔40,40,…のうちの少なくとも2つの貫通孔40,40同士を結ぶ線分L1が信号線部32と交差している。すなわち、グランド部34の一部を絶縁層31cから露出させるための貫通孔40,40,…が、信号線部32の延びる方向に対して分散した状態となっている。これにより、配線基板30が上記折り曲げ状態となっても、各貫通孔40から露出したグランド部34に上記曲げ応力が集中しにくくなる。その結果、配線基板30における機械的強度の低下を抑制することが可能となる。
【0052】
したがって、本発明の第1実施形態に係るタッチセンサ1では、静電気の影響を未然に防止するとともに、配線基板30における機械的強度の低下を抑制することができる。
【0053】
また、第1貫通孔41は、第2貫通孔42と第3貫通孔43とを結ぶ線分L1上に位置している。すなわち、線分L1上に少なくとも3つの貫通孔40,40,…が位置していることになる。これにより、表示装置50に対するタッチセンサ1の配置状態に応じて静電気を適切に除去することができる。
【0054】
また、配線基板30は、各貫通孔40内に積層されかつグランド部34と電気的に接続された導電層35を有している。この導電層35により、各貫通孔40から露出したグランド部34を適切に保護することができる。さらに、銅を含むグランド部34によりグランド部34の導電性が向上するとともに、金を含む導電層35によりグランド部34の酸化を適切に抑えることができる。
【0055】
また、線分L1に沿う方向において貫通孔40,40同士の間隔B(
図5参照)が各貫通孔40の対角線の長さよりも大きくなっている。これにより、各貫通孔40の外径を、配線基板30の外形に対し微小な形状にすることが可能となる。その結果、配線基板30の折り曲げ状態であっても、各貫通孔40から露出するグランド部34に対し応力が集中しにくくなる。したがって、配線基板30における機械的強度の低下をより一層抑制することができる。
【0056】
また、グランド部34は、第2配線基板面30fで露出している。具体的に、タッチセンサ1を例えば表示装置50の装置本体51内に配置した状態(
図7参照)では、グランド部34が、表示装置50の操作側(タッチセンサ1の視認側)に面する配線基板30の第2配線基板面30f側で各貫通孔40から露出するようになる。これにより、タッチセンサ1の操作時に発生した静電気が各貫通孔40からグランド部34に向かって流れ込みやすくなる。したがって、タッチセンサ1を組み込んだ表示装置50に対する静電気の影響をより確実に防止することができる。
【0057】
[第1実施形態の変形例1]
上記第1実施形態では、第1貫通孔41が線分L1上に位置する形態を示したが、この形態に限られない。例えば
図8に示した変形例1のように、第1貫通孔41を線分L1よりも第1端部30a側に配置してもよい。これにより、静電気が第1センサ電極12に向かって流れにくくすることができる。
【0058】
[第1実施形態の変形例2]
また、
図9に示した変形例2のように、第1貫通孔41を線分Lよりも第2端部30b側に配置してもよい。これにより、静電気が例えば
図7に示した表示装置50の実装基板54に向かって流れにくくすることができる。
【0059】
[第1実施形態の変形例3]
上記第1実施形態では、線分L1がY方向に対し斜めに交差した形態を示したが、この形態に限られない。例えば
図10に示した変形例3のように、線分L1に代わる線分L2が、信号線部32と交差しかつX方向(すなわち、第1外縁部30cから第2外縁部30dに向かう方向)に延びるように構成してもよい。
【0060】
また、上記変形例1および上記変形例2では、1つの第1貫通孔41を、線分L1よりも第1端部30a側および第2端部30b側のいずれか一方に配置した形態を示したが、この形態に限られない。具体的に、変形例3のように、第2貫通孔42と第3貫通孔43との間に複数(図示例では2つ)の第1貫通孔41,41を設けるとともに、各第1貫通孔41を、線分L2よりも第1端部30a側および第2端部30b側のそれぞれに配置してもよい。これにより、静電気が第1センサ電極12および表示装置50の実装基板54の双方に向かって流れにくくすることができる。
【0061】
[第2実施形態]
図11は、本発明の第2実施形態に係るタッチセンサ1を示すものである。この実施形態では、上記第1実施形態で示した第1~第4貫通孔41~44に代えて、第5~第8貫通孔45~48が設けられている。なお、この実施形態に係るタッチセンサ1の他の構成は、上記第1実施形態に係るタッチセンサ1の構成と同様である。このため、以下の説明では、
図1~
図10と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0062】
図11に示すように、この実施形態において、貫通孔40,40,…は、第5~第8貫通孔45~48からなる。配線基板30は、第5貫通孔45が第1外縁部30cの近くに位置しかつ第6貫通孔46が第2外縁部30dの近くに位置するように構成されている。
【0063】
第5~第8貫通孔は、第5貫通孔45と第6貫通孔46とを結ぶ線分L3に沿って互いに間隔をあけて配置されていて、線分L3に沿って一列に配列されている。すなわち、第7および第8貫通孔47,48は線分L3上に位置している。ここで、線分L3は、
図11中における右上から左下に向かってY方向に対し斜めに交差していて、各貫通孔40の対角線と重なるようになっている。
【0064】
この実施形態であっても、第1実施形態と同様に、タッチセンサ1を組み込んだ表示装置50に対する静電気の影響を未然に防止することができるとともに、配線基板30における機械的強度の低下を抑制することができる。また、線分L3上に配列させた4つの貫通孔40,40,…により、表示装置50に対するタッチセンサ1の配置状態に応じて静電気を適切に除去することができる。
【0065】
[第2実施形態の変形例1]
上記第2実施形態では、第7および第8貫通孔47,48が線分L3上に位置している形態を示したが、この形態に限られない。例えば
図12に示した変形例1のように、第7および第8貫通孔47,48を線分L3よりも第1端部30a側に配置してもよい。これにより、静電気が第1センサ電極12に向かって流れにくくすることができる。
【0066】
[第2実施形態の変形例2]
また、
図13に示した変形例2のように、第7および第8貫通孔47,48を線分L3よりも第2端部30b側に配置してもよい。これにより、静電気が例えば
図7に示した表示装置50の実装基板54に向かって流れにくくすることができる。
【0067】
[各実施形態の更なる変形例1]
上記各実施形態では、導電層35を各貫通孔40内でグランド部34の上側に積層配置した形態を示したが、この形態に限られない。例えば
図14に示すように、導電層35を各貫通孔40内でグランド部34の上側に積層配置して、導電層35の一部が各貫通孔40の周囲に位置する絶縁層31を被覆するように構成してもよい。これにより、各貫通孔40の周囲に位置する絶縁層31の強度が向上して、配線基板30を補強することができる。
【0068】
[各実施形態の更なる変形例2]
また、
図15に示すように、導電層35を、互いに隣り合う貫通孔40,40同士を跨いだ状態で絶縁層31の一部を被覆した構成としてもよい。これにより、絶縁層31の強度をより一層高めることができる。
【0069】
[各実施形態の更なる変形例3および4]
上記各実施形態では、配線基板30が絶縁層31a~31cを有していて、各信号線部32が絶縁層31aと絶縁層31bとの間に積層配置されている一方、グランド部34が絶縁層31bと絶縁層31cとの間に積層配置されている形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、
図16および
図17に示すように、配線基板30が絶縁層31bおよび絶縁層31cを有していて、各信号線部32およびグランド部34の各々が絶縁層31bと絶縁層31cとの間に積層配置されていてもよい。なお、信号線部32およびグランド部34の各々は、互いに間隔をあけて配置されていて、互いに電気的に絶縁された状態となっている。
【0070】
[各実施形態の更なる変形例5]
上記各実施形態では、各貫通孔40が第2配線基板面30f側の絶縁層31cに形成されかつグランド部34の一部が第2配線基板面30fに露出した形態を示したが、このような形態に限られない。すなわち、
図18に示すように、各貫通孔40を絶縁層31bおよび絶縁層31cに形成し、かつグランド部34の一部を第1配線基板面30eに露出させてもよい。これにより、タッチセンサ1における視認側の反対側から静電気が流れ込むことを防ぐことができる。なお、導電層35は、絶縁層31bに形成した各貫通孔40のみに形成されていればよい。
【0071】
[各実施形態の更なる変形例6]
上記各実施形態では、貫通孔40,40,…が配線基板30においてカバー部材2と配線基板30とがZ方向で互いに重ならない位置に配置された形態を示したが、このような形態に限られない。例えば
図19に示すように、少なくとも1つの貫通孔40を、カバー部材2と配線基板30とが互いに重なる位置に配置してもよい。すなわち、貫通孔40は、カバー部材2の外形と第1センサ基板10の外形との間に位置していてもよい。この変形例では、第1センサ電極12に向かう静電気の流れをより確実に防止することができる。
【0072】
[各実施形態の更なる変形例7]
上記各実施形態では、タッチセンサ1が第1センサ基板10のみを備える形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、
図20に示すように、タッチセンサ1は、第1および第2センサ基板10,20を備えていてもよい。
【0073】
この変形例において、第1センサ基板10は、第1センサ面11と反対側の面がカバー部材2の裏面と対向するように配置されている。そして、第1センサ電極12は、受信電極として構成されている。第1センサ基板10のその他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0074】
第2センサ基板20は、例えば光学用透明粘着シートを介して第1センサ基板10に積層配置されている。具体的に、第2センサ基板20は、第2センサ面21を有していて、第2センサ面21が第1センサ面11と対向するように第1センサ基板10に積層配置されている。第2センサ面21には、第2センサ電極22、引き回し配線23,23,…、および第2センサ端子部24,24,…が形成されている。第2センサ電極22は、送信電極として構成されている。すなわち、第1センサ電極12および第2センサ電極22は、互いに静電容量結合するように構成されている。各第2センサ端子部24は、第2センサ面21の周縁側に形成されている。
【0075】
配線基板30の第1端部30aは、第2センサ基板20と機械的に接続されている。具体的に、配線基板30の第1端部30aは、異方導電性樹脂材4により第2センサ基板20の第2センサ面21に固着されている。そして、配線基板30のグランド部34は、第1配線基板面30eで露出している。具体的に、グランド部34は、上記第1および第2実施形態と同様に、その一部が第2配線基板面30fに形成された各貫通孔40から露出するように構成されている。なお、信号線部32は、第1端部30aの位置で第1および第2センサ面11,21に向かって異なる2つの方向に分岐している。
【0076】
このような変形例であっても、上記第1および第2実施形態と同様に、タッチセンサ1を組み込んだ表示装置50に対する静電気の影響を未然に防止することができるとともに、配線基板30における機械的強度の低下を抑制することができる。
【0077】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、各貫通孔の外形を正方形状とした形態を示したが、この形態に限られず、円形状、楕円形状、多角形状などの種々の形状にすることが可能である。なお、各貫通孔の外形を例えば円形状とした形態では、互いに隣り合う貫通孔40,40同士の間隔がX方向において各貫通孔の孔径よりも大きくなるように形成されていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、タッチ操作可能なタッチセンサおよびそれを用いた表示装置として産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1:タッチセンサ
2:カバー部材
10:第1センサ基板
11:第1センサ面
12:第1センサ電極
14:第1センサ端子部
20:第2センサ基板
21:第2センサ面
22:第2センサ電極
24:第2センサ端子部
30:配線基板
30a:第1端部
30b:第2端部
30c:第1外縁部
30d:第2外縁部
30e:第1配線基板面
30f:第2配線基板面
31a~31c:絶縁層
32:信号線部
33a:第1配線端子部
33b:第2配線端子部
34:グランド部
35:導電層
40:貫通孔
50:表示装置
51:装置本体
52:開口部
53:ディスプレイ
54:実装基板
B:間隔
C:隙間
L1~L3:線分