(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】キャップおよびキャップ付きボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20230227BHJP
B65D 53/04 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B65D41/04 200
B65D53/04
(21)【出願番号】P 2021129102
(22)【出願日】2021-08-05
(62)【分割の表示】P 2017146793の分割
【原出願日】2017-07-28
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】武藤 英泰
(72)【発明者】
【氏名】永澤 加奈子
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-026961(JP,A)
【文献】特開2011-240937(JP,A)
【文献】特開2007-030927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/04
B65D 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ中心線を中心とした円板状の天板部と、この天板部の外周から上記キャップ中心線を中心として円筒状に延びる周壁部とが一体に成形されたキャップ本体と、
このキャップ本体の上記天板部の内面に配設される円板状のライナーとを備えたキャップであって、
上記キャップ本体の上記周壁部における上記天板部寄りの部分には、該周壁部を貫通することなく、前記周壁部の上端部側から下端部側に向かうに従い半径方向内周側に凹んだ後、凸曲線を描いて半径方向外周側に向かうように形成され、上記ライナーの外周縁よりも上記キャップ中心線に対する半径方向内周側に突出して上記ライナーがなす円板の外周縁を係止するライナー係止部が形成されるとともに、
上記周壁部において上記ライナー係止部が形成されていない部分には、該周壁部を貫通するベントホールが形成されており、上記ライナー係止部は、周方向に点在するように間隔をあけて複数形成され、上記ベントホールは、上記キャップ中心線方向において上記ライナー係止部と重なるようにして、周方向に上記ライナー係止部と間隔をあけて形成されており、
前記ベントホールに内接するキャップ中心線を中心とした円筒面の半径は、前記ライナー係止部に内接するキャップ中心線を中心とした円筒面の半径よりも大きいことを特徴とするキャップ
【請求項2】
請求項1に記載のキャップを、ボトル本体のキャップ取付部に取り付けたことを特徴とするキャップ付きボトル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル缶等のボトルの口部に取り付けられるキャップ、およびこのキャップを取り付けたキャップ付きボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなキャップおよびキャップ付きボトルとして、例えば特許文献1には、天面部と該天面部の周縁から略垂下されてなる円筒部とを備えるキャップ本体と、天面部の内面に設けられたライナーとを有し、容器の口金部を密栓するライナー付キャップであって、上記容器にライナー付キャップを再栓して該容器内部の内圧を600kPaとした場合において、ライナー付キャップを閉止位置から周方向に180°回転させて開栓した際に、容器内部の内圧が150kPa以下に低下するライナー付キャップと、このようなライナー付キャップを容器の口金部に巻締めて密栓したキャップ付容器であって、容器にライナー付キャップを再栓して該容器の内圧を600kPaとした場合において、ライナー付キャップを閉止位置から開栓方向に180°開栓させて開栓するまでに生じる最大トルクが80N・cm以下とされるキャップ付容器とが記載されている。
【0003】
ここで、上記キャップの円筒部の天面部近傍には、周方向にスリット状に開口形成されて開栓時に内圧を開放する複数のベントホールが設けられており、これらのベントホールが最も大きく開口して観察される位置における、ベントホールのそれぞれの開口面積が0.35mm2以上0.8mm2以下とされ、各ベントホールの開口面積を総合した総面積が5.0mm2以上11.5mm2以下とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この特許文献1に記載されたキャップでは、上記キャップ本体の円筒部における上記ベントホールの上部開口部端部および下部開口部端部を円筒部の半径方向内方に向けて折り曲げて形成した上部突起部および下部突起部が設けられており、上部突起部の先端はライナーの外周縁よりも半径方向内方に位置されているとともに、下部突起部の先端と半径方向で同位置または半径方向外方に位置している。このようなキャップにおいて上記ライナーは、キャップ本体の開口端部から挿入されることにより、その外周縁が弾性変形して下部突起部および上部突起部を乗り越えて組み付けられ、上部突起部に係止されて天面部の内面との間に保持される。
【0006】
従って、ライナーを確実にキャップ本体に係止するには、ベントホールの上部開口部端部によって形成される上部突起部を、半径方向内方により大きく折り曲げなければならない。しかしながら、そのようなキャップでは、個々のベントホールも大きく開口することになるため、キャップの外観が悪くなるとともに、特許文献1にも記載されているようにベントホールからキャップ本体内に異物が混入し易くなるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたもので、キャップの外観を保つとともにベントホールからの異物の混入を防止しつつ、ライナーを確実に係止してキャップ本体からの抜け外れを防ぐことが可能なキャップおよびキャップ付きボトルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のキャップは、キャップ中心線を中心とした円板状の天板部と、この天板部の外周から上記キャップ中心線を中心として円筒状に延びる周壁部とが一体に成形されたキャップ本体と、このキャップ本体の上記天板部の内面に配設される円板状のライナーとを備えたキャップであって、上記キャップ本体の上記周壁部における上記天板部寄りの部分には、該周壁部を貫通することなく、前記周壁部の上端部側から下端部側に向かうに従い半径方向内周側に凹んだ後、凸曲線を描いて半径方向外周側に向かうように形成され、上記ライナーの外周縁よりも上記キャップ中心線に対する半径方向内周側に突出して上記ライナーがなす円板の外周縁を係止するライナー係止部が形成されるとともに、上記周壁部において上記ライナー係止部が形成されていない部分には、該周壁部を貫通するベントホールが形成されており、上記ライナー係止部は、周方向に点在するように間隔をあけて複数形成され、上記ベントホールは、上記キャップ中心線方向において上記ライナー係止部と重なるようにして、周方向に上記ライナー係止部と間隔をあけて形成されており、前記ベントホールに内接するキャップ中心線を中心とした円筒面の半径は、前記ライナー係止部に内接するキャップ中心線を中心とした円筒面の半径よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のキャップ付きボトルは、このようなキャップを、ボトル本体のキャップ取付部に取り付けたことを特徴とする。
【0010】
このように構成されたキャップおよびキャップ付きボトルでは、ライナーの外周縁よりもキャップ中心線に対する半径方向内周側に突出してライナーを係止するライナー係止部にはベントホールのように周壁部を貫通する部分が形成されておらず、周壁部を貫通して開栓時に内圧を開放するベントホールは、このライナー係止部が形成されていない部分に形成されている。このため、ライナーはライナー係止部によって確実に係止しつつ、ベントホールを大きく開口させる必要は無くなり、キャップ付きボトルにおいてベントホールからキャップ取付部が覗けて外観が悪くなったり、ベントホールから異物が混入し易くなったりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、ベントホールを大きく開口させる必要が無くなって、外観の悪化や異物の混入を防ぐことができるとともに、ライナーを確実に係止してキャップ本体からの抜け外れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のキャップの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す実施形態の一部破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1ないし
図3は、本発明のキャップの一実施形態を示すものである。本実施形態のキャップは、雄ネジ部が形成されたキャップ取付部を有するネジ付きボトル缶用のキャップであって、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属材料により形成されてキャップ中心線Oを中心とした有底円筒状のキャップ本体1を備えている。すなわち、このキャップ本体1においては、円板状の天板部2と、この天板部2の外周からキャップ本体1の下端側(
図2および
図3において下側)に向けて上記キャップ中心線Oを中心とする円筒状に延びる周壁部3とが一体に成形されている。
【0014】
また、天板部2の内面(下面)2aには、樹脂製の円板状のライナー4が配設される。このライナー4は、ポリエチレンまたはポリプロピレンを主とする硬質樹脂製で天板部2側に内面2aと非接着状態で配置される大径の摺動層4aと、この摺動層4aの天板部2とは反対側に直接またはバリア層等の中間層を介して配置されるエラストマー樹脂の摺動層4aよりも軟質な樹脂製で小径の密封層4bとを備えた多層構造とされている。摺動層4aは厚さが略均一な平板状とされる一方、密封層4bは外周縁部が厚肉で内周部は天板部2側に凹んだ薄肉とされ、これら内周部と外周縁部との間の段差部は内周側に向かうに従い天板部2側に向かうテーパ面状とされている。
【0015】
また、キャップ本体1の周壁部3には、天板部2寄りの上端部側に、下端側に向けてキャップ中心線Oに対する半径方向外周側に膨らむナール5と、このナール5の下端に連なって内周側に凹むグルーブ6とがキャップ中心線O回りに周壁部3を周回するように形成されている。さらに、天板部2とは反対側の周壁部3の下端部側には、上端部側から下端部側に向けて順に、やはり外周側に膨らむビード7と、このビード7よりも外径が小径の破断容易部8と、この破断容易部8よりも外径が大径とされてキャップ本体1の下端に延びる円筒状のフレア(開放端部)9とが形成されている。
【0016】
破断容易部8には、側面視に周方向に延びてキャップ中心線Oに対する半径方向内周側に凹むスリット部8aが周方向に等間隔をあけて複数形成されるとともに、これらのスリット部8aの間の部分はブリッジ部8bとされている。スリット部8aには、該スリット部8aの上端部側の長辺に、周壁部3を貫通するスリット8cが形成されている。また、フレア9は、ボトル缶の上記キャップ取付部へのキャッピングの際に、キャップ取付部の雄ネジ部の下端部側に形成された膨出部の下端部に裾巻きされる。
【0017】
さらに、周壁部3の上端部側のグルーブ6と下端部側のビード7との間の部分は、ボトル缶の上記キャップ取付部へのキャッピングの際にキャップ取付部の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成される雌ネジ形成予定部10とされている。この雌ネジ形成予定部10の外径は、グルーブ6の外径よりも大きく、ビード7の外径よりは小さな略一定の外径とされている。
【0018】
一方、上記ナール5には、このナール5のうちでも天板部2寄りの部分に、キャップ本体1の周壁部3が内周側に凹まされるように成形されてキャップ中心線Oに対する半径方向内周側に突出し、ただし周壁部3を貫通することのないライナー係止部11が形成されている。このライナー係止部11に内接するキャップ中心線Oを中心とした円筒面の半径は、上記ライナー4の外周縁(摺動層4aの外周縁)の半径より小さくされるとともに、密封層4bの外周縁の半径よりは大きくされていて、このライナー係止部11によってライナー4は摺動層4aの外周縁が係止されて抜け止めされ、天板部2の内面2aとの間に保持される。
【0019】
ここで、本実施形態において、このライナー係止部11は、キャップ中心線Oに沿った断面において
図2および
図3に示すように、周壁部3の上端部側から下端部側に向かうに従い半径方向内周側に凹んだ後、凸曲線を描いて半径方向外周側に向かうように形成されるとともに、キャップ中心線O回りに周壁部3の全周に亙って形成されていて、これにより本実施形態のキャップにおけるナール5は2段で半径方向外周側に膨らむように成形される。なお、ライナー係止部11に内接するキャップ中心線Oを中心とした上記円筒面の半径は、グルーブ6に内接するキャップ中心線Oを中心とした円筒面の半径よりも僅かに小さい。
【0020】
また、このように2段に膨らむナール5のうち、周壁部3の下端部側の段のキャップ中心線O方向の幅は、上端部側の段のキャップ中心線O方向の幅よりも大きくされている。
そして、この幅広とされたナール5の天板部2とは反対側における下端部側の段のライナー係止部11が形成されていない部分には、周壁部3をキャップ中心線Oに対する半径方向に貫通するベントホール12が形成されている。
【0021】
ここで、本実施形態におけるベントホール12は、このナール5の下端部側の段を外周側から見て下端部側に開口する「コ」字状に切り欠いて内周側に折り曲げることにより下部突起部12aを形成して周壁部3を貫通させたものであり、このようなベントホール12が周方向に等間隔をあけて複数形成されている。なお、このようにして内周側に折り曲げられた下部突起部12aに内接するキャップ中心線Oを中心とした円筒面の半径は、ライナー係止部11に内接するキャップ中心線Oを中心とした上記円筒面の半径よりも僅かに大きい。
【0022】
このようなボトル缶用キャップのキャップ本体1を製造するには、まず上記アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属材料よりなる所定の元板厚の圧延板材を円板状のブランク材に打ち抜き、このブランク材の外周部を、円形孔を有するダイの上面に配置して上記円形孔と同軸の円形孔を有する押さえとの間に挟み込んで支持するとともに、押さえの円形孔からダイの円形孔に円柱状のパンチを挿入することにより絞り込んで有底円筒状のキャップシェルを成形する。
【0023】
このとき、キャップ本体1の天板部2となるキャップシェルの天板部の厚さは、圧延板材の元板厚と略等しくなる。また、このキャップシェルを成形する際に、同時にキャップシェルの開放端部をトリミングしてキャップ中心線O方向の高さを揃える。しかる後、このキャップシェルの周壁部に、ライナー係止部11とベントホール12および下部突起部12aとを備えたナール5と、グルーブ6、ビード7、スリット部8aを備えた破断容易部8、フレア9、および雌ネジ形成予定部10とを成形することにより、上述のようなキャップ本体1が製造される。
【0024】
また、このようなキャップ本体1の天板部2の内面2aにライナー4を配設するには、例えば予め上述のような多層構造とされて円板状に切断されたライナー4を、弾性変形しつつライナー係止部11内を通してキャップ本体1内の天板部2の内面2aとの間に挿入する。あるいは、例えば特開2011-240937号公報に記載されているように、円板状に切断したライナー4の摺動層4aを弾性変形しつつライナー係止部11内を通してキャップ本体1内の天板部2の内面2a側に挿入した上で、モールド成形用の金型をキャップ本体1内に挿入し、この金型によって密封層4bをモールド成形する。または、例えば特開2015-003325号公報に記載されているように、ライナー4の摺動層4aと密封層4bとを、それぞれモールド成形用の金型を用いてこの順にモールド成形してもよい。
【0025】
さらに、このようにしてライナー4が配設されたキャップ本体1をボトル缶等のボトル本体にキャッピングして本発明の一実施形態のキャップ付きボトルを製造するには、飲料等の内容物が充填されたボトル本体のキャップ取付部にキャップ本体1を被せて、天板部2の上面外周部をキャッピング装置のプッシャーブロックによってキャップ取付部の開口縁に押圧して絞り加工することにより、ライナー4の密封層4bのうち厚肉とされた外周縁部を開口縁に圧着する。
【0026】
そして、この状態のまま、キャッピング装置の裾巻きローラによってキャップ本体1のフレア9をキャップ取付部の上記膨出部の下端部に裾巻きするとともに、ボトル本体がキャップ取付部に雄ネジ部を有しているネジ付きのボトル缶等の場合には、ネジ切りローラをこの雄ネジ部のネジ谷部に沿って螺旋状に移動させることにより、キャップ本体1の雌ネジ形成予定部10に雌ネジ部を成形する。これにより、キャップ本体1がキャップ取付部に螺着されてボトル本体内が封止され、本発明の一実施形態のキャップ付きボトルが製造される。
【0027】
上記構成のキャップ、およびこのキャップを上述のようにボトル本体のキャップ取付部に取り付けたキャップ付きボトルでは、ライナー4の外周縁よりもキャップ中心線Oに対する半径方向内周側に突出してライナー4を係止するライナー係止部11にはベントホール12のようにキャップ本体1の周壁部3を貫通する部分が形成されていないので、ライナーを確実に係止するためにライナー係止部11に内接するキャップ中心線Oを中心とした円筒面の半径を小さくしても、このように周壁部3を貫通する部分が大きくなることは無い。
【0028】
そして、周壁部3を貫通して開栓時に内圧を開放するベントホール12は、このライナー係止部11が形成されていない部分に形成されている。このため、ライナー4はライナー係止部11によって確実に係止して抜け外れを防ぐとともに、ベントホール12は内圧を開放するのに必要な範囲で小さくすることができ、大きく開口したベントホール12からキャップ付きボトルのキャップ取付部が覗いて見えて外観が悪くなったり、ベントホール12からキャップ本体1とキャップ取付部との間に異物が混入し易くなったりするのを防ぐことができる。
【0029】
また、本実施形態では、ライナー係止部11がキャップ中心線O回りに周壁部3の全周に亙って形成されており、従ってライナー4の外周縁も全周に亙ってライナー係止部11により係止されるので、ライナー4の抜け外れを一層確実に防ぐことが可能となる。さらに、こうしてライナー係止部11を周壁部3の全周に亙って形成した場合に、本実施形態では、ベントホール12がライナー係止部11よりも天板部2とは反対側に形成されているので、やはりライナー係止部11に内接するキャップ中心線Oを中心とした円筒面の半径を小さくしてもベントホール12が大きく開口するのは避けることができる。
【0030】
ただし、本実施形態では、ライナー係止部11を周壁部3の全周に亙って形成してナール5が上端部側と下端部側とで2段に膨らむようにしているが、特許文献1に記載されたキャップのように1段に膨らむナール5のままとし、このナール5に、周壁部3を貫通することなくライナー4の外周縁よりもキャップ中心線Oに対する半径方向内周側に突出するライナー係止部11を、周方向に点在するように間隔をあけて複数形成してライナー4を係止するようにしてもよい。このような場合に、ベントホール12は、上記実施形態と同じくライナー係止部11よりも周壁部3の下端部側に形成されていてもよく、またキャップ中心線O方向においてライナー係止部11と重なるようにして、周方向にライナー係止部と間隔をあけて形成されていてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、ナール5を外周側から見て下端部側に開口する「コ」字状に切り欠いて内周側に折り曲げることにより下部突起部12aを形成し、周壁部3を貫通するベントホール12を形成しているが、ナール5に外周側から見て涙滴形、または円形や楕円形をなしてキャップ本体1の内周側に凹む凹部を形成し、この凹部に、周方向にスリット状に延びて周壁部3を貫通するベントホール12を形成するとともに、このベントホール12の上部開口部および下部開口部を半径方向内周側に折り曲げて該ベントホール12を開口するようにしてもよい。なお、ベントホール12は、単なる断面円形の孔状に開口するものであってもよい。
【0032】
さらに、本実施形態では、ナール5にベントホール12が周方向に等間隔に形成されているが、このベントホール12が形成されない非形成領域をナール5に設け、この非形成領域に、ベントホール12よりも周方向に長い弱化スリットや弱化スコアを形成したり、さらにこれら弱化スリットや弱化スコアに凹部によって薄肉化されたりスリット加工されたりして周囲よりもさらに弱化された開口基点部を設けたりしてもよい。このような弱化スリットや弱化スコアを設けることにより、キャップを一旦開栓してから閉栓した後にボトル内の内容物が腐敗したり発酵したりして内圧が上昇したときでも、弱化スリットや弱化スコアが押し広げられることにより内部のガスを放出する、防爆機能をキャップ本体1に付与することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 キャップ本体
2 天板部
2a 天板部2の内面
3 周壁部
4 ライナー
4a 摺動層
4b 密封層
5 ナール
6 グルーブ
7 ビード
8 破断容易部
9 フレア
10 雌ネジ形成予定部
11 ライナー係止部
12 ベントホール
12a 下部突起部
O キャップ中心線