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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】架橋型人工ヌクレオシドの製造
(51)【国際特許分類】
   C07H 1/00 20060101AFI20230228BHJP
   C07H 19/06 20060101ALI20230228BHJP
   C07H 19/16 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
C07H1/00
C07H19/06
C07H19/16
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021512145
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2020014764
(87)【国際公開番号】W WO2020204022
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2019073073
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】馬場 武
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大司
(72)【発明者】
【氏名】野村 友美
(72)【発明者】
【氏名】小比賀 聡
(72)【発明者】
【氏名】山口 卓男
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/006478(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/126229(WO,A1)
【文献】特表2004-536817(JP,A)
【文献】特表2009-504704(JP,A)
【文献】特表2016-538829(JP,A)
【文献】特表2016-530313(JP,A)
【文献】特表2017-519784(JP,A)
【文献】特開2015-151346(JP,A)
【文献】国際公開第2018/227168(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/133712(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109893536(CN,A)
【文献】Journal of Organic Chemistry,2017年,82(1),12-24
【文献】Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2001年,45(5),1539-1546
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2000年,43(23),4516-4525
【文献】Nucleic Acids Symposium Series,1999年,42,127-128
【文献】Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,1999年,63(6),1146-1149
【文献】Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,1999年,63(4),736-742
【文献】Organic Letters,2015年,17(4),828-831
【文献】Modified Nucleosides: in Biochemistry, Biotechnology and Medicine,2008年,425-431
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2007年,17(9),2570-2576
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,1999年,42(15),2901-2908
【文献】Chem. Sci., ,2018年,9,1604-1609
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物を分子内環化する工程を少なくとも含む、式(II)で表される化合物の製造方法。
【化1】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表す)
【化2】
(式中、X、R、RおよびRは、前出と同様である)
【請求項2】
分子内環化を塩基の存在下で行う、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
塩基がアルコキシドである、請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
式(IV)で表される化合物の基Rを脱保護して、式(I)で表される化合物を製造する工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか記載の製造方法。
【化3】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表し;
は、核酸合成の水酸基の保護基を表す)
【請求項5】
がアセチル基である、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
式(V)で表される化合物を原料として式(I)で表される化合物を製造する工程を含む、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【化4】
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり、
およびRは、それぞれ独立して、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、または核酸合成の保護基で保護されたリン酸基であるか、あるいは
およびRは一緒になって、-C(R)(R)-[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表す]を表す)
【請求項7】
およびRがベンジル基である、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
式(I)で表される化合物を分子内環化して式(II)で表される化合物を製造する工程、および、式(II)で表される化合物をシクロプロパン化する工程を少なくとも含む、式(III)で表される化合物の製造方法。
【化5】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表す)
【化6】
(式中、X、R、RおよびRは、前出と同様である)
【化7】
(式中、X、R、RおよびRは、前出と同様であり、R5’はRと独立してRと同様に定義される)
【請求項9】
式(I)で表される化合物を請求項4~7のいずれかに記載の製造方法により調製する工程を含む、請求項記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載の製造方法により分子内環化工程を行う、請求項または記載の製造方法。
【請求項11】
クロプロパン化工程が反応液をアンモニアで後処理する工程を含む、請求項10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
Xがピリミジン骨格を有する基である、請求項8~11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
Xがプリン骨格を有する基である、請求項8~11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
式(II)で表される化合物を有機酸の存在下でシクロプロパン化する、請求項8~13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
請求項8~14のいずれかに記載の製造方法によって式(III)で表される化合物を製造し、得られた式(III)で表される化合物をアミダイト化してアミダイト誘導体を得る工程を含む、アミダイト誘導体の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の製造方法によってアミダイト誘導体を製造し、得られアミダイト誘導体を用いることを特徴とする核酸医薬の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピロシクロプロピレンブリッジ核酸(scpBNA)の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、scpBNAのヌクレオシドを製造する方法、および該製造方法において用いられる化合物、該製造方法により得られる化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、核酸医薬が新たな医薬品の創薬分子種として注目されている。天然型の核酸は、生体内の酵素により加水分解を受けるなどの問題を生じるため、修飾した核酸について種々の検討が行われており、例えば、scpBNAは一本鎖RNAに対する結合親和性が高く、生体内安定性に優れることが報告されている(特許文献1および非特許文献1~2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2015/125783号
【非特許文献】
【0004】
【文献】Chem. Commun., 2015, Vol.51, p.9737-9740
【文献】J. Org. Chem., 2016, Vol.81, p.11000-11008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術に依ってscpBNAを製造すると、多段階の工程を要することが判明し、大量合成を目的とした製造法という点において改良の余地を残していた。
【0006】
本発明は、スピロシクロプロピレンブリッジ核酸(scpBNA)およびその前駆体の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、スピロシクロプロピレンブリッジ核酸(scpBNA)およびその前駆体の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
またさらに、本発明は、前記製造方法などに使用し得る化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、後述する式(I)で表される中間化合物を介することで、scpBNAを効率的に合成できることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記〔1〕~〔37〕に関する。
〔1〕 式(I)で表される化合物を分子内環化する工程を少なくとも含む、式(II)で表される化合物の製造方法。
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表す)
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、X、R、RおよびRは、前出と同様である)
〔2〕 分子内環化を塩基の存在下で行う、前記〔1〕記載の製造方法。
〔3〕 塩基がアルコキシドである、前記〔2〕記載の製造方法。
〔4〕 式(IV)で表される化合物の基Rを脱保護して、式(I)で表される化合物を製造する工程をさらに含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか記載の製造方法。
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表し;
は、核酸合成の水酸基の保護基を表す)
〔5〕 Rがアセチル基である、前記〔4〕記載の製造方法。
〔6〕 式(V)で表される化合物を原料として式(I)で表される化合物を製造する工程を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり、
およびRは、それぞれ独立して、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、または核酸合成の保護基で保護されたリン酸基であるか、あるいは
およびRは一緒になって、-C(R)(R)-[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表す]を表す)
〔7〕 RおよびRがベンジル基である、前記〔6〕記載の製造方法。
〔8〕 前述の式(II)で表される化合物をシクロプロパン化する工程を含む、式(III)で表される化合物の製造方法において、前記シクロプロパン化工程が反応液をアンモニアで後処理する工程を含む、製造方法。
【0019】
【化5】
【0020】
(式中、X、R、RおよびRは、前出と同様であり、R5’はRと独立してRと同様に定義される)
〔9〕 Xがピリミジン骨格を有する基である、前記〔8〕記載の製造方法。
〔10〕 前述の式(II)で表される化合物を有機酸の存在下でシクロプロパン化する工程を少なくとも含む、前述の式(III)で表される化合物の製造方法。
〔11〕 Xがプリン骨格を有する基である、前記〔10〕記載の製造方法。
〔12〕 前述の式(I)で表される化合物を分子内環化して前述の式(II)で表される化合物を製造する工程、および、該式(II)で表される化合物をシクロプロパン化する工程を少なくとも含む、前述の式(III)で表される化合物の製造方法。
〔13〕 式(I)で表される化合物を前記〔4〕~〔7〕のいずれかに記載の製造方法により調製する工程を含む、前記〔12〕記載の製造方法。
〔14〕 前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の製造方法により分子内環化工程を行う、前記〔12〕または〔13〕記載の製造方法。
〔15〕 前記〔8〕~〔11〕のいずれかに記載の製造方法によりシクロプロパン化工程を行う、前記〔12〕~〔14〕のいずれかに記載の製造方法。
〔16〕 前述の式(IV)で表される化合物(ただし、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、RおよびRがベンジル基であり、Rがアセチル基である場合と
Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、R、RおよびRがアセチル基である場合を除く)。
〔17〕 Rがアセチル基である、前記〔16〕記載の化合物。
〔18〕 Xが置換基を有するウラシル骨格を有する基またはシトシン骨格を有する基である、前記〔16〕または〔17〕記載の化合物。
〔19〕 置換基が、水酸基および炭素数1から6のアルキル基からなる群より選ばれる、前記〔18〕記載の化合物。
〔20〕 式(IV)で表される化合物が下記から選ばれる化合物である、前記〔16〕~〔19〕のいずれかに記載の化合物。
【0021】
【化6】
【0022】
〔21〕 Xが置換基を有するプリン骨格を有する基である、前記〔16〕または〔17〕記載の化合物。
〔22〕 置換基が、水酸基、アミノ基および保護基で保護されたアミノ基からなる群より選ばれる、前記〔21〕記載の化合物。
〔23〕 式(IV)で表される化合物が下記から選ばれる化合物である、前記〔16〕、〔17〕、〔21〕、〔22〕のいずれかに記載の化合物。
【0023】
【化7】
【0024】
〔24〕 前述の式(I)で表される化合物(ただし、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、RおよびRがベンジル基である場合と
Xが2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基であり、RおよびRが水素原子である場合を除く)。
〔25〕 Xが置換基を有するウラシル骨格を有する基またはシトシン骨格を有する基である、前記〔24〕記載の化合物。
〔26〕 置換基が、水酸基および炭素数1から6のアルキル基からなる群より選ばれる、前記〔25〕記載の化合物。
〔27〕 式(I)で表される化合物が下記から選ばれる化合物である、前記〔24〕~〔26〕のいずれかに記載の化合物。
【0025】
【化8】
【0026】
〔28〕 Xが置換基を有するプリン骨格を有する基である、前記〔24〕記載の化合物。
〔29〕 置換基が、水酸基、アミノ基および保護基で保護されたアミノ基からなる群より選ばれる、前記〔28〕記載の化合物。
〔30〕 式(I)で表される化合物が下記から選ばれる化合物である、前記〔24〕、〔28〕、〔29〕のいずれかに記載の化合物。
【0027】
【化9】
【0028】
〔31〕 前述の式(II)で表される化合物(ただし、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、Rがナフチル基、Rがベンジル基である場合と
Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、Rがナフチル基、Rが水素原子である場合を除く)。
〔32〕 Xが置換基を有するウラシル骨格を有する基またはシトシン骨格を有する基である、前記〔31〕記載の化合物。
〔33〕 置換基が、水酸基および炭素数1から6のアルキル基からなる群より選ばれる、前記〔32〕記載の化合物。
〔34〕 式(II)で表される化合物が下記から選ばれる化合物である、前記〔31〕~〔33〕のいずれかに記載の化合物。
【0029】
【化10】
【0030】
〔35〕 Xが置換基を有するプリン骨格を有する基である、前記〔31〕記載の化合物。
〔36〕 置換基が、水酸基、アミノ基および保護基で保護されたアミノ基からなる群より選ばれる、前記〔35〕記載の化合物。
〔37〕 式(II)で表される化合物が下記から選ばれる化合物である、前記〔31〕、〔35〕、〔36〕のいずれかに記載の化合物。
【0031】
【化11】
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、scpBNAを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明では、後述する式(I)で表される中間化合物を用いることを特徴とする。
【0034】
本発明では、前記化合物を用いることで従来技術では工程数増加の要因となるヌクレオシド糖部2’位水酸基の立体反転工程が不要となり、工程数削減が可能であると推定され、scpBNAを効率よく製造することができると考えられる。ただし、前記推測は、本発明を限定するものではない。
【0035】
まず、本明細書中で用いられる用語を定義する。
【0036】
「核酸塩基部分」とは、炭化水素環式基の他、炭化水素環の構成原子である炭素原子を、1個以上の窒素原子、硫黄原子もしくは酸素原子などのヘテロ原子に置き換えた構造を有し、芳香族性を示す5~20員環のあらゆる複素環式基をいい、単環、縮合環を含む。具体的には、炭化水素環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インダン、インデン、テトラヒドロナフチレン、ビフェニレン等が挙げられる。複素環としては、例えば、プリン核酸塩基もしくはピリミジン核酸塩基が挙げられる。いずれの環も、以下のα群から選択される置換基を1つ以上有していてもよい。ここで、プリン核酸塩基もしくはピリミジン核酸塩基には、核酸の構成成分として一般に知られる塩基(例えば、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、ウラシル)、およびその他これらに類する核酸成分の塩基として作用もしくは代用し得るあらゆる化学構造およびその互変異性体(例えば、ケトエノール互変異性体、イミンエナミン互変異性体)が含まれる。その他、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリダジン、インドリジン、インドール、イソインドール、イソキノリン、キノリン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリジンなども含まれる。好適には、プリン核酸塩基もしくはピリミジン核酸塩基、以下のα群から選択される置換基を1つ以上有していてもよいプリン核酸塩基もしくはピリミジン核酸塩基であり、具体的には、プリン-9-イル基、2-オキソ-ピリミジン-1-イル基、または下記α群から選択される置換基を有するプリン-9-イル基もしくは2-オキソ-ピリミジン-1-イル基が好適である。
α群:水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子
【0037】
「置換基を有していてもよいプリン核酸塩基」として好適な基は、6-アミノプリン-9-イル(即ち、アデニニル)、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された6-アミノプリン-9-イル、2,6-ジアミノプリン-9-イル、2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル、2-アミノ-6-フルオロプリン-9-イル、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された2-アミノ-6-フルオロプリン-9-イル、2-アミノ-6-ブロモプリン-9-イル、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された2-アミノ-6-ブロモプリン-9-イル、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル(即ち、グアニニル)、アミノ基と水酸基の一方あるいは両方が核酸合成の保護基で保護された2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル、6-アミノ-2-メトキシプリン-9-イル、6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル、6-アミノ-2-フルオロプリン-9-イル、2,6-ジメトキシプリン-9-イル、2,6-ジクロロプロリン-2-イル又は6-メルカプトプリン-9-イル基である。
【0038】
「置換基を有していてもよいピリミジン核酸塩基」として好適な基は、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、シトシニル)、アミノ基と水酸基の一方あるいは両方が核酸合成の保護基で保護された2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル、2-オキソ-4-アミノ-5-フルオロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された2-オキソ-4-アミノ-5-フルオロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル、4-アミノ-2-オキソ-5-クロロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル、2-オキソ-4-メトキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル、2-オキソ-4-メルカプト-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル、2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、ウラシニル)、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、チミニル)、4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、5-メチルシトシニル)、または、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された2-オキソ-4-アミノ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基である。
【0039】
「置換基を有していてもよいプリン核酸塩基もしくはピリミジン核酸塩基」の中で、さらに好適には、6-アミノプリン-9-イル(即ち、アデニニル)、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された6-アミノプリン-9-イル(例えば、6-ベンゾイルアミノプリン-9-イル、1-ベンジルオキシメチル-6-ベンゾイルアミノプリン-9-イル)、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル(即ち、グアニニル)、アミノ基と水酸基の一方あるいは両方が核酸合成の保護基で保護された2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル(例えば、2-イソブチリルアミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル、2-イソブチリルアミノ-6-ジフェニルカルバモイルオキシプリン-9-イル)、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、シトシニル)、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(例えば2-オキソ-4-ベンゾイルアミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル)、2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、ウラシニル)、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、チミニル)、4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(即ち、5-メチルシトシニル)、または、アミノ基が核酸合成の保護基で保護された4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル(例えば2-オキソ-4-ベンゾイルアミノ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル)である。
【0040】
「核酸合成のアミノ基の保護基」、「核酸合成の水酸基の保護基」、「核酸合成の保護基で保護されたアミノ基」、「核酸合成の保護基で保護された水酸基」の保護基とは、核酸合成の際に安定してアミノ基または水酸基を保護し得るものであれば、特に制限はないが、具体的には、酸性又は中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解および光分解のような化学的方法により開裂し得る保護基のことをいい、そのような保護基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、3-メチルノナノイル、8-メチルノナノイル、3-エチルオクタノイル、3,7-ジメチルオクタノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、1-メチルペンタデカノイル、14-メチルペンタデカノイル、13,13-ジメチルテトラデカノイル、ヘプタデカノイル、15-メチルヘキサデカノイル、オクタデカノイル、1-メチルヘプタデカノイル、ノナデカノイル、4-オキソペンタノイル(レブリノイル)、アイコサノイルおよびヘナイコサノイルのようなアルキルカルボニル基、スクシノイル、グルタロイル、アジポイルのようなカルボキシ化アルキルカルボニル基、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルのようなハロゲノ低級アルキルカルボニル基、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、2-(4-tert-ブチル)フェノキシアセチルのようなアルコキシ低級アルキルカルボニル基、(E)-2-メチル-2-ブテノイルのような不飽和アルキルカルボニル基のような「脂肪族アシル基」;ベンゾイル、α-ナフトイル、β-ナフトイルのようなアリールカルボニル基、2-ブロモベンゾイル、4-クロロベンゾイルのようなハロゲノアリールカルボニル基、2,4,6-トリメチルベンゾイル、4-トルオイルのような低級アルキル化アリールカルボニル基、4-アニソイルのような低級アルコキシ化アリールカルボニル基、2-カルボキシベンゾイル、3-カルボキシベンゾイル、4-カルボキシベンゾイルのようなカルボキシ化アリールカルボニル基、2-(メトキシカルボニル)ベンゾイルのような低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基、4-ニトロベンゾイル、2-ニトロベンゾイルのようなニトロ化アリールカルボニル基、4-フェニルベンゾイルのようなアリール化アリールカルボニル基のような「芳香族アシル基」;メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルのような「低級アルキル基」;エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、2-エチル-2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、1-メチル-1-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニルのような「低級アルケニル基」;2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロ-1、1-ジメチルエチルのような「ハロゲノ低級アルキル基」;ベンジル、α-ナフチルメチル、β-ナフチルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、9-アンスリルメチルのような1~3個のアリール基で置換されたメチル基、4-メチルベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、3,4,5-トリメチルベンジル、4-メトキシベンジル、4-メトキシフェニルジフェニルメチル、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル、2-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、4-クロロベンジル、4-ブロモベンジル、4-シアノベンジルのような低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ基でアリール環が置換された1~3個のアリール基で置換されたメチル基のような「アラルキル基」;4-クロロフェニル、2-フロロフェニル、4-メトキシフェニル、4-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニルのような「ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はニトロ基で置換されたアリール基」;トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジ-t-ブチルシリル、トリイソプロピルシリルのようなトリ低級アルキルシリル基、ジフェニルメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、フェニルジイソプロピルシリルのような1~2個のアリール基で置換された低級アルキルシリル基のような「シリル基」;テトラヒドロピラン-2-イル、3-ブロモテトラヒドロピラン-2-イル、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロチオピラン-4-イル、4-メトキシテトラヒドロチオピラン-4-イルのような「テトラヒドロピラニル又はテトラヒドロチオピラニル基」;テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロチオフラン-2-イルのような「テトラヒドロフラニル又はテトラヒドロチオフラニル基」;メトキシメチル、1,1-ジメチル-1-メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、t-ブトキシメチルのような低級アルコキシメチル基、1-エトキシエチル、1-(イソプロポキシ)エチルのような低級アルコキシエチル基のような「低級アルコキシアルキル基」;2-メトキシエトキシメチルのような「低級アルコキシ化低級アルコキシメチル基」;2,2,2-トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチルのような「ハロゲノ低級アルコキシメチル基」;ベンジルオキシメチル、4-メトキシベンジルオキシメチル、2-ナフチルメトキシメチルのような「1~2個の低級アルコキシ又はニトロ基でアリール環が置換されていてもよいアラルキルオキシメチル基」;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-トリメチルシリルエトキシカルボニルのようなハロゲン又はトリ低級アルキルシリル基で置換された低級アルコキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニルのようなアルケニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニルのような1~2個の低級アルコキシ又はニトロ基でアリール環が置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニルのような「オキシカルボニル基」;ジメチルカルバモイル、ジフェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、1-ピロリジニルカルバモイル、モルホリノカルバモイルのような「アルキル基、アリール基、アルケニル基、低級アルコキシ基又はアラルキル基で窒素原子上が置換されていてもよいカルバモイル基」を挙げることができ、例えば、「核酸合成の水酸基の保護基」においては、好適には、「脂肪族アシル基」、「芳香族アシル基」、「1~3個のアリール基で置換されたメチル基」、「低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ基でアリール環が置換された1~3個のアリール基で置換されたメチル基」又は「シリル基」であり、さらに好適には、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基、p-メトキシベンゾイル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基又はtert-ブチルジフェニルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、4-オキソペンタノイル(レブリノイル)基であり、「核酸合成の保護基で保護された水酸基」の保護基においては、好適には、「脂肪族アシル基」、「芳香族アシル基」、「1~3個のアリール基で置換されたメチル基」、「ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はニトロ基で置換されたアリール基」、「低級アルキル基」又は「低級アルケニル基」であり、さらに好適には、ベンゾイル基、ベンジル基、2-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基又は2-プロペニル基である。
【0041】
「核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基」の保護基としては、核酸合成の際に安定してメルカプト基を保護し得るものであれば、特に限定はないが、具体的には、酸性又は中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解および光分解のような化学的方法により開裂し得る保護基をいい、例えば、上記水酸基の保護基として挙げたものの他、メチルチオ、エチルチオ、tert-ブチルチオのようなアルキルチオ基、ベンジルチオのようなアリールチオ基等の「ジスルフィドを形成する基」を挙げることができ、好適には、「脂肪族アシル基」又は「芳香族アシル基」であり、さらに好適には、ベンゾイル基である。
【0042】
「核酸合成の保護基で保護されたリン酸基」の「保護基」とは、核酸合成の際に安定してリン酸基を保護し得るものであれば、特に限定はないが、具体的には、酸性又は中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解および光分解のような化学的方法により開裂し得る保護基のことをいい、そのような保護基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルのような「低級アルキル基」;2-シアノエチル、2-シアノ-1,1-ジメチルエチルのような「シアノ化低級アルキル基」;2-メチルジフェニルシリルエチル、2-トリメチルシリルエチル、2-トリフェニルシリルエチルのような「シリル基で置換されたエチル基」;2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエチルのような「ハロゲン化低級アルキル基」;エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、2-エチル-2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、1-メチル-1-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニルのような「低級アルケニル基」;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、アダマンチルのような「シクロアルキル基」;2-シアノブテニルのような「シアノ化低級アルケニル基」;ベンジル、α-ナフチルメチル、β-ナフチルメチル、インデニルメチル、フェナンスレニルメチル、アントラセニルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-ナフチルエチル、2-ナフチルエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-ナフチルプロピル、2-ナフチルプロピル、3-ナフチルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチル、4-フェニルブチル、1-ナフチルブチル、2-ナフチルブチル、3-ナフチルブチル、4-ナフチルブチル、1-フェニルペンチル、2-フェニルペンチル、3-フェニルペンチル、4-フェニルペンチル、5-フェニルペンチル、1-ナフチルペンチル、2-ナフチルペンチル、3-ナフチルペンチル、4-ナフチルペンチル、5-ナフチルペンチル、1-フェニルヘキシル、2-フェニルヘキシル、3-フェニルヘキシル、4-フェニルヘキシル、5-フェニルヘキシル、6-フェニルヘキシル、1-ナフチルペンチル、2-ナフチルペンチル、3-ナフチルペンチル、4-ナフチルペンチル、5-ナフチルペンチル、6-ナフチルペンチルのような「アラルキル基」;4-クロロベンジル、2-(4-ニトロフェニル)エチル、o-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、2,4-ジニトロベンジル、4-クロロ-2-ニトロベンジルのような「ニトロ基、ハロゲン原子でアリール環が置換されたアラルキル基」;フェニル、インデニル、ナフチル、フェナンスレニル、アントラセニルのような「アリール基」;2-メチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、2-ブロモフェニル、4-ニトロフェニル、4-クロロ-2-ニトロフェニルのような「低級アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基で置換されたアリール基」を挙げることができ、好適には「低級アルキル基」、「シアノ基で置換された低級アルキル基」、「アラルキル基」、「ニトロ基、ハロゲン原子でアリール環が置換されたアラルキル基」または「低級アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基で置換されたアリール基」であり、さらに好適には、2-シアノエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、ベンジル基、2-クロロフェニル基または4-クロロフェニル基である。
【0043】
「アルキル基」とは、通常、炭素数1~20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルのような炭素数1~6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基(本明細書においては、これらを低級アルキル基とも称す。)の他、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど炭素数7~20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が含まれる。また、その一部が環を形成していてもよい。
【0044】
「アルコキシ基」とは、通常、前記アルキル基を有するアルコキシ基を示し、例えば、メチルオキシ(メトキシ)、エチルオキシ(エトキシ)、n-プロピルオキシ(n-プロポキシ)、イソプロポキシ、n-ブチルオキシ(n-ブトキシ)、イソブトキシ、s-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ(n-ペントキシ)などが含まれる。
【0045】
「シアノアルコキシ基」とは、通常、前記アルコキシ基に任意の数のシアノ基が置換した基を示し、例えば、シアノメトキシ、2-シアノエトキシ、3-シアノプロポキシ、4-シアノブトキシ、3-シアノ-2-メチルプロポキシ、1-シアノメチル-1,1-ジメチルメトキシ、5-シアノペンチルオキシ、6-シアノヘキシルオキシを挙げることができる。
【0046】
「アルキルチオ基」とは、通常、前記アルキル基を有するアルキルチオ基を示し、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオなどが含まれる。
【0047】
「アルキルアミノ基」とは、通常、前記アルキル基を1つまたは2つ有するアルキルアミノ基を示し、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ(s-ブチル)アミノ、ジ(tert-ブチル)アミノ、ペンチルアミノなどが含まれる。
【0048】
「アルケニル基」とは、通常、炭素数2~20の直鎖または分岐鎖状のアルケニル基を示し、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、2-エチル-2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、1-メチル-1-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニルのような炭素数2~6の直鎖または分岐鎖状のアルケニル基(本明細書においては、これらを低級アルケニル基とも称す。)の他、ヘプテニル、ゲラニル、ファルネシルなどが含まれる。また、その一部が環を形成していてもよい。
【0049】
「アリール基」とは、通常、芳香族炭化水素基から水素原子1個を除いた炭素数6~14の1価の置換基を意味し、例えば、フェニル、インデニル、ナフチル、フェナンスレニル、アントラセニルなどが挙げられる。また、アリール環が、ハロゲン原子、低級アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル、フェニル基等の1種以上の基によって置換されていてもよく、そのような置換されていてもよいアリール基としては、例えば、2-メチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、2-ブロモフェニル、4-メトキシフェニル、4-クロロ-2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ビフェニルなどが挙げられる。また、前記アリール基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、例えば、アリール基の環構造を構成する少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子など)で置換されたヘテロアリールを含む。ヘテロアリールとしては、ピリジル、ピロリル、キノリル、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニルなどが挙げられる。
【0050】
「アラルキル基」とは、通常、アリール基で置換された炭素数1~6のアルキル基を意味し、例えば、ベンジル、α-ナフチルメチル、β-ナフチルメチル、インデニルメチル、フェナンスレニルメチル、アントラセニルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、9-アンスリルメチルのような「1~3個のアリール基で置換されたメチル基」や、4-メチルベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、3,4,5-トリメチルベンジル、4-メトキシベンジル、4-メトキシフェニルジフェニルメチル、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル、2-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、4-クロロベンジル、4-ブロモベンジル、4-シアノベンジルのような「低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ基でアリール環が置換された1~3個のアリール基で置換されたメチル基」の他、1-フェネチル、2-フェネチル、1-ナフチルエチル、2-ナフチルエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-ナフチルプロピル、2-ナフチルプロピル、3-ナフチルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチル、4-フェニルブチル、1-ナフチルブチル、2-ナフチルブチル、3-ナフチルブチル、4-ナフチルブチル、1-フェニルペンチル、2-フェニルペンチル、3-フェニルペンチル、4-フェニルペンチル、5-フェニルペンチル、1-ナフチルペンチル、2-ナフチルペンチル、3-ナフチルペンチル、4-ナフチルペンチル、5-ナフチルペンチル、1-フェニルヘキシル、2-フェニルヘキシル、3-フェニルヘキシル、4-フェニルヘキシル、5-フェニルヘキシル、6-フェニルヘキシル、1-ナフチルペンチル、2-ナフチルペンチル、3-ナフチルペンチル、4-ナフチルペンチル、5-ナフチルペンチル、6-ナフチルペンチル、などの「アリール基で置換された炭素数2~6のアルキル基」などが含まれる。
【0051】
「アシル基」としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、3-メチルノナノイル、8-メチルノナノイル、3-エチルオクタノイル、3,7-ジメチルオクタノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、1-メチルペンタデカノイル、14-メチルペンタデカノイル、13,13-ジメチルテトラデカノイル、ヘプタデカノイル、15-メチルヘキサデカノイル、オクタデカノイル、1-メチルヘプタデカノイル、ノナデカノイル、アイコサノイルおよびヘナイコサノイルのようなアルキルカルボニル基、スクシノイル、グルタロイル、アジポイルのようなカルボキシ化アルキルカルボニル基、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルのようなハロゲノ低級アルキルカルボニル基、メトキシアセチルのような低級アルコキシ低級アルキルカルボニル基、(E)-2-メチル-2-ブテノイルのような不飽和アルキルカルボニル基のような「脂肪族アシル基」およびベンゾイル、α-ナフトイル、β-ナフトイルのようなアリールカルボニル基、2-ブロモベンゾイル、4-クロロベンゾイルのようなハロゲノアリールカルボニル基、2,4,6-トリメチルベンゾイル、4-トルオイルのような低級アルキル化アリールカルボニル基、4-アニソイルのような低級アルコキシ化アリールカルボニル基、2-カルボキシベンゾイル、3-カルボキシベンゾイル、4-カルボキシベンゾイルのようなカルボキシ化アリールカルボニル基、4-ニトロベンゾイル、2-ニトロベンゾイルのようなニトロ化アリールカルボニル基;2-(メトキシカルボニル)ベンゾイルのような低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基、4-フェニルベンゾイルのようなアリール化アリールカルボニル基のような「芳香族アシル基」が挙げられる。
【0052】
「シリル基」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジ-t-ブチルシリル、トリイソプロピルシリルのような「トリ低級アルキルシリル基」、ジフェニルメチルシリル、ブチルジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、フェニルジイソプロピルシリルのような「1~2個のアリール基で置換された低級アルキルシリル基」などが挙げられる。
【0053】
「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を挙げることができる。
【0054】
次に、本発明について詳述する。
【0055】
本発明の式(III)で表される化合物の製造方法は、下記式(I)で表される化合物を原料とする製造方法であればよく、式(I)で表される化合物を用いる工程を少なくとも含む。
【0056】
【化12】
【0057】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表す)
【0058】
式(I)におけるXとしては、前記した核酸塩基部分を挙げることができる。中でも、核酸医薬への導入という観点から、置換基を有していてもよいプリン核酸塩基もしくはピリミジン核酸塩基が好ましく、例えば、以下の構造式:
【0059】
【化13】
【0060】
でそれぞれ表される、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基(チミニル基)、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基(シトシニル基)、6-アミノプリン-9-イル基(アデニニル基)、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基(グアニニル基)、4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、および2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基(ウラシリル基)および、これらのアミノ基、カルボニル基の1又は2以上が、保護基で保護された基、ならびにこれらの互変異性体が好適である。
【0061】
式(I)におけるR~Rは、それぞれ独立して、前記した置換基を参照して適宜設定することができる。なお、-P(R)Rで表される基としては、好適には、式-P(OCCN)(N(iPr))で表される基、式-P(OCH)(N(iPr))で表される基が挙げられる。ここで、iPrはイソプロピル基を表す。
【0062】
式(I)で表される化合物を原料とする製造方法としては、例えば、式(I)で表される化合物を分子内環化して得られた式(II)で表される化合物を用いる方法を挙げることができる。よって、本発明の一態様として、式(I)で表される化合物を分子内環化する工程を少なくとも含む方法を挙げることができる。以降、当該工程を工程Aと記載することもある。
【0063】
分子内環化の方法としては、当該技術分野で公知の方法、例えば、アルキンへのアルコールの付加反応を用いて行うことができる。付加反応では、通常、基質に対して塩基を添加して、溶媒中又は無溶媒で必要に応じて冷却又は加熱して反応を行うことが好ましい。
【0064】
塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムt-ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルコキシド類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩類;メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム等の有機金属試薬;水素化ナトリウム等の金属の水素化物;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジシクロヘキシルアミド等の金属アミド類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、t-ブチルアミン, N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ピロリジン、ピペリジン、コリジン、ルチジン、モルホリン、ピペラジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の有機塩基類が挙げられる。これらの塩基は単独で又は組み合わせて用いてもよく、基質の種類や反応性や選択性を考慮して選択できる。
【0065】
反応における基質、塩基などの使用量、反応温度、反応時間などは公知技術に従って、適宜設定することができる。例えば、反応温度は-80~200℃、反応時間は1~24時間、塩基の使用量は1.0当量~30当量である。また、反応後の精製も特に制限されない。
【0066】
式(I)で表される化合物は、前記R~RおよびXを有するものであれば、市販品でも公知の方法に従って調製したものを用いてもよい。例えば、Xが置換基(好ましくは、水酸基、アミノ基、保護基で保護された水酸基およびアミノ基)を有していてもよいウラシル骨格を有する基またはシトシン骨格を有する基である化合物およびこれらの互変異性体を挙げることができる。具体的な構造を以下に示す。
【0067】
【化14】
【0068】
同様に、式(I)で表される化合物として、Xが置換基(好ましくは、水酸基、アミノ基、保護基で保護された水酸基およびアミノ基)を有していてもよいプリン骨格を有する基である化合物およびその互変異性体が例示される。具体的な構造を以下に示す。
【0069】
【化15】
【0070】
なお、本発明において、式(I)で表される化合物として、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、RおよびRがベンジル基、Rが水素原子である化合物と、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、R、RおよびRが水素原子である化合物を用いてもよい。
【0071】
また、式(I)で表される化合物は、下記式(IV)で表される化合物を脱保護して調製することができる。よって、本発明の一態様として、下記式(IV)で表される化合物を脱保護して式(I)で表される化合物を製造する工程をさらに含む製造方法を挙げることができる。
【0072】
【化16】
【0073】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表し;
は、核酸合成の水酸基の保護基を表す)
【0074】
なかでも、本発明の好適な一態様として、式(I)で表される化合物は、基Rが除去可能な基を示す式(IV)で表される化合物を脱保護して製造する態様を挙げることができる。
【0075】
式(IV)におけるR~RおよびXは、それぞれ独立して、前記した置換基を参照に適宜設定することができ、所望する式(I)で表される化合物の構造に応じて選択すればよい。
【0076】
脱保護の方法としては、当該技術分野で公知の方法に従って、保護基の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、Rがアセチル基である場合、有機溶媒に溶解させて塩基を添加し、必要に応じて冷却又は加熱して反応を行うことが好ましい。例えば、反応温度は-80~200℃、反応時間は0.1~24時間、塩基の使用量は1.0当量~30当量である。
【0077】
式(IV)で表される化合物は、前記R~RおよびXを有するものであれば、市販品でも公知の方法に従って調製したものを用いてもよい。例えば、Rがアセチル基である化合物や、Xが置換基(好ましくは、水酸基、アミノ基、保護基で保護された水酸基およびアミノ基)を有していてもよいウラシル骨格を有する基またはシトシン骨格を有する基である化合物およびこれらの互変異性体を挙げることができる。具体的な構造を以下に示す。
【0078】
【化17】
【0079】
同様に、式(IV)で表される化合物としては、Xが置換基(好ましくは、水酸基、アミノ基、保護基で保護された水酸基およびアミノ基)を有していてもよいプリン骨格を有する基である化合物およびその互変異性体が例示される。具体的な構造を以下に示す。
【0080】
【化18】
【0081】
なお、本発明において、式(IV)で表される化合物として、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、RおよびRがベンジル基であり、Rがアセチル基である化合物と、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、R、RおよびRがアセチル基である化合物を用いてもよい。
【0082】
また、式(I)で表される化合物は、例えば、下記式(V)で表される化合物を原料として調製することができる。よって、本発明の一態様として、下記式(V)で表される化合物を原料として式(I)で表される化合物を製造する工程を含む製造方法を挙げることができる。
【0083】
【化19】
【0084】
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり、
およびRは、それぞれ独立して、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、または核酸合成の保護基で保護されたリン酸基であるか、あるいは
およびRは一緒になって、-C(R)(R)-[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表す]を表す)
【0085】
式(V)におけるR~R4およびR~Rは、それぞれ独立して、前記した置換基を参照に適宜設定することができ、所望する式(I)で表される化合物の構造に応じて選択すればよい。
【0086】
式(V)化合物から式(I)化合物を調製する方法としては、当該技術分野で公知の方法を参照して行ってもよいが、製造工程の簡略化の観点から、次のように行ってもよい。
【0087】
具体的には、例えば、先ず、式(V)化合物を反応剤存在下で反応させて式(VI)で表される4-ホルミル化合物を調製する。反応温度としては-80~200℃、反応時間は0.1~24時間が好適である。
【0088】
【化20】
【0089】
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり、
およびRは、それぞれ独立して、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、または核酸合成の保護基で保護されたリン酸基であるか、あるいは
およびRは一緒になって、-C(R)(R)-[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表す]を表す)
【0090】
反応剤としては、公知の酸化反応で用いる反応剤を用いることができる。たとえば、公知の酸化剤であってもよく、デス-マーチン試薬、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル/次亜塩素酸ナトリウム、塩化オキサリル/ジメチルスルホキシド、無水酢酸/ジメチルスルホキシド、無水トリフルオロ酢酸/ジメチルスルホキシド、ジシクロヘキシルカルボジイミド/ジメチルスルホキシド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド/ジメチルスルホキシド、三酸化硫黄-ピリジン錯体/ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。なかでも、反応条件が温和な三酸化硫黄-ピリジン錯体/ジメチルスルホキシドが好ましい。反応剤の使用量は、1.0当量~20当量が好適である。
【0091】
式(VI)におけるR~RおよびR~Rは、それぞれ独立して、前記した置換基を参照に適宜設定することができ、所望する式(I)で表される化合物の構造に応じて選択すればよい。
【0092】
次に、得られた4-ホルミル化合物を、公知の方法に従って反応させて、4-ジブロモエテニル化合物を調製する。
【0093】
次に、4-ジブロモエテニル化合物にRを導入してRを有する4-エチニル化合物を調製する、または4-ジブロモエテニル化合物から4-エチニル化合物を調製し、さらにRを導入することでRを有する4-エチニル化合物を調製する。
【0094】
その後、得られた4-エチニル化合物の酢酸-無水酢酸溶液に濃硫酸を添加して下記式(VII)で表される化合物を合成し、該化合物の1位に核酸塩基部分を導入することで式(I)化合物を調製することができる。式(VII)化合物を調製する反応温度としては0~40℃、反応時間は0.1~24時間、濃硫酸使用量は0.01当量~1.0当量が好適であり、当該反応条件を用いることで2段階の反応を1段階で行うことが可能で、合成の効率化が可能である。
【0095】
【化21】
【0096】
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から5のアルキルチオ基、アミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、炭素数1から5のアルキル基で置換されたアミノ基、および、ハロゲン原子からなり、
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、または核酸合成の保護基で保護されたリン酸基を表す)
【0097】
式(VII)におけるR~Rは、それぞれ独立して、前記した置換基を参照に適宜設定することができ、所望する式(I)で表される化合物の構造に応じて選択すればよい。
【0098】
式(V)で表される化合物は、前記R~R4およびR~Rを有するものであれば、市販品でも公知の方法に従って調製したものを用いてもよい。
【0099】
得られた式(I)で表される化合物の精製は、公知技術に従って適宜行ってもよい。
【0100】
かくして、工程Aにより、式(I)で表される化合物から下記式(II)で表される化合物を調製することができる。
【0101】
【化22】
【0102】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
5は、水素原子;ハロゲン原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;またはシリル基を表す)
【0103】
なお、式(II)における置換基は、使用される式(I)で表される化合物に応じて適宜設定される。
【0104】
次に、式(II)で表される化合物から、下記式(III)で表される化合物を調製する方法について説明する。具体的には、式(II)で表される化合物をシクロプロパン化すれば調製することができる。よって、本発明の一態様として、式(II)で表される化合物をシクロプロパン化する工程を含む方法を挙げることができる。以降、当該工程を工程Bと記載することもある。
【0105】
【化23】
【0106】
(式中、
Xは、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい核酸塩基部分を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、前記α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から5のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す]を表し;
およびR5’は、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表す)
【0107】
シクロプロパン化の方法としては、例えば、シモンズ・スミス反応を用いて行うことができる。当該反応は、亜鉛カルベノイドの存在下で反応させればよく、亜鉛の代わりにジエチル亜鉛等を用いる方法や、CH-ZnI系試剤を用いる方法もある。例えば、反応させる亜鉛カルベノイドの量は、1.0当量~20当量が好適である。
【0108】
工程Bのシクロプロパン化反応は、亜鉛カルベノイドの種類によって反応進行が変動するため、有機酸の存在下で行ってもよい。有機酸が存在することで、沈殿の発生の抑制や、副反応の抑制が可能となる。有機酸としては、公知のものであれば制限はなく、ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ジフェニルリン酸、トシル酸、フェノールなどを好適に用いることができる。有機酸の使用量は、例えば、使用する亜鉛カルベノイドに対し0.5当量~2.0当量が好適である。
【0109】
前記した有機酸の存在下での反応は、式(II)で表される化合物に特に制限なく適用することができるが、式(II)におけるXがプリン骨格を有する化合物及びその互変異性体が好ましい。
【0110】
また、反応に供される式(II)で表される化合物は、市販品でも公知の方法に従って調製したものを用いてもよい。また、前記した工程Aに従って調製したものを用いてもよい。
【0111】
式(II)で表される化合物としては、例えば、Xが置換基(好ましくは、水酸基、アミノ基、保護基で保護された水酸基およびアミノ基)を有していてもよいウラシル骨格を有する基またはシトシン骨格を有する基である化合物及びそれらの互変異性体を挙げることができる。具体的な構造を以下に示す。
【0112】
【化24】
【0113】
同様に、式(II)で表される化合物としては、Xが置換基(好ましくは、水酸基、アミノ基、保護基で保護された水酸基およびアミノ基)を有するプリン骨格を有する基及びその互変異性体である化合物が例示される。具体的な構造を以下に示す。
【0114】
【化25】
【0115】
なお、本発明において、式(II)で表される化合物として、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、Rがナフチル基、Rがベンジル基、Rが水素原子である化合物と、Xが2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル基であり、Rがナフチル基、RおよびRが水素原子である化合物を用いてもよい。
【0116】
また、収率を向上させる観点から、シクロプロパン化に供される式(II)で表される化合物は、例えば基Xに活性反応基が存在する場合、それらの一部又は全部を公知の保護基で保護した化合物であってもよい。例えば、Xが保護基を導入されたプリン骨格を有する化合物である場合、Xを反応点とする副反応の抑制が可能となるため、収率を向上させることができる。
【0117】
工程Bにおいて得られた化合物の精製は、公知技術に従って適宜行うことができる。例えば、反応の後処理を容易にする観点から、反応液をアンモニアで後処理する工程を含んでもよい。アンモニアで処理することにより、試薬の残渣の除去が容易になり、好適に用いることができる。
【0118】
前記後処理方法は、あらゆる式(III)で表される化合物に対して適用することができるが、式(III)におけるXがピリミジン骨格を有する化合物が好ましい。この場合、有機層と水層の境界が明確になり、効率よく分取することが可能となる。
【0119】
かくして、式(II)で表される化合物から式(III)で表される化合物を調製することができる。
【0120】
本発明の一態様として、式(II)で表される化合物を工程Aに従って調製したものを用いるとすると、本発明の式(III)で表される化合物の製造方法としては、工程Aと工程Bを少なくとも含む方法を挙げることができる。なお、工程Aにおける式(I)で表される化合物を前記した方法によって調製する工程をさらに含む方法も含まれる。式(III)で表される化合物は、Xとして核酸合成の保護基で保護された基(水酸基、メルカプト基、アミノ基等)を有する化合物であってもよく、前記核酸合成の保護基で保護された基のうち一部又は全部が脱保護された基を有する化合物であってもよい。核酸合成の保護基で保護された基(水酸基、メルカプト基、アミノ基等)を脱保護する方法としては、公知の方法[例えば、弱酸(例えば、カルボン酸、シリカゲルなど)で処理する等]により脱保護するものであってもよい。
【0121】
また、種々の式(III)で表される化合物を調製するにあたって、本発明では、例えば、式(VII)で表される化合物を共通で調製した上で、そこに所望する核酸塩基部分をそれぞれ導入して調製することができるので、効率的な調製が可能になる。
【0122】
本発明により得られた式(III)で表される化合物は、公知の方法に従って、アミダイト化することができる。得られたアミダイト誘導体は、特定の遺伝子の働きを阻害して疾病を治療する核酸医薬品(アンチセンス核酸医薬)の合成原料としての有用性が期待される。
【実施例
【0123】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、室温とは15~35℃を意味する。
【0124】
実施例1:共通中間体化合物の合成
【0125】
【化26】
【0126】
(1)化合物2の合成
【0127】
【化27】
【0128】
化合物1(20g,50mmol)の無水ジクロロメタン溶液(167mL)に、ジメチルスルホキシド(32mL,0.45mol,9.0eq)およびトリエチルアミン(27.7mL,0.200mol,4.0eq)を添加し、内温7℃まで冷却した後、三酸化硫黄-ピリジン錯体(15.9g,0.100mol,2.0eq)を少量ずつ添加し、室温で21.5時間撹拌した。この反応液に市水(300mL)を添加し、酢酸エチル(200mL)とヘキサン(100mL)の混合溶媒で抽出、分液を行い、有機層Iと水層Iを得た。有機層Iを市水(200mL)と飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)の混合液で洗浄し、有機層IIと水層IIを得た。有機層IIをさらに市水(100mL)と飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)の混合液で洗浄し、有機層IIIと水層IIIを得た。水層IIとIIIを合わせ、酢酸エチル(100mL)で抽出し、市水(100mL)で洗浄し、有機層IVを得た。有機層III、IVを合わせ、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、化合物2(20.24g)の粗生成物を薄橙色油状液体として得た。得られた化合物2は精製を行わず、収率は定量的とし次工程に進めた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 9.91 (s, 1H), 7.37-7.26 (m, 8H), 7.25-7.21 (m, 2H), 5.84 (d, J=3.5 Hz, 1H), 4.71 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.59 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.60 (dd, J=4.4, 3.5 Hz, 1H), 4.52 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.46 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.37 (d, J=4.4 Hz, 1H), 3.67 (d, J=11.4 Hz, 1H), 3.61 (d, J=11.4 Hz, 1H), 1.60 (s, 3H), 1.35 (s, 3H)
【0129】
(2)化合物3の合成
【0130】
【化28】
【0131】
前工程で得られた化合物2の粗生成物(20.24g)を、トルエンで共沸した後、無水ジクロロメタン(250mL)に溶解させ、四臭化炭素(33.1g,100mmol,2.0eq)を添加した。次いで、内温20℃以下で、トリフェニルホスフィン(52.4g,200mmol,4.0eq)を添加し、室温で1.5時間撹拌した後、内温25℃以下でトリエチルアミン(41.5mL,300mmol,6.0eq)を添加し、さらに2時間撹拌した。この反応溶液にヘキサン(200mL)を添加して氷冷し、不溶物を濾別し、酢酸エチルおよびジクロロメタン(50mL)で洗浄した。洗浄液および濾液を合わせて減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルパッド(シリカゲル:100g)にジクロロメタン/ヘキサン=1/1(v/v)の混合液(300mL)を用いて導入し、ヘキサン/酢酸エチル=1/2(v/v)(300mL)、次いで酢酸エチル(400mL)で溶出させた。溶出液を減圧濃縮し、得られた残渣をヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v)(200mL)で懸濁洗浄し、不溶物を濾別した。母液を減圧濃縮し、得られた残渣をヘキサン/酢酸エチル=2/1(v/v)(100mL)で懸濁洗浄し、不溶物を濾別した。母液を減圧濃縮し、化合物3とトリフェニルホスフィンオキシドの混合物(28.1g)を茶色粘調液体として得た。得られた化合物3はこれ以上精製を行わず、収率は定量的とし、次工程に進めた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 7.39-7.26 (m, 8H), 7.26-7.22 (m, 2H), 7.11 (s, 1H), 5.76 (d, J=4.1 Hz, 1H), 4.72 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.60 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.59 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.53 (dd, J=4.7, 4.1 Hz, 1H), 4.42 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.21 (d, J=4.7 Hz, 1H), 3.83 (d, J=11.4 Hz, 1H), 3.40 (d, J=11.4 Hz, 1H), 1.59 (s, 3H), 1.30 (s, 3H)
【0132】
(3)化合物4の合成
【0133】
【化29】
【0134】
窒素雰囲気下、前工程で得られた化合物3とトリフェニルホスフィンオキシドの混合物(28.1g)を、無水テトラヒドロフランで共沸した後、無水テトラヒドロフランに溶解させた。内温-50℃以下で、n-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液,71mL,110mmol,2.2eq)を30分間で滴下し、-70℃で1時間撹拌した。同温で水(100mL)を添加し、酢酸エチル(400mL)、市水(100mL)、飽和食塩水(100mL)を加え、抽出し、有機層Iと水層Iを得た。得られた水層Iを酢酸エチル(100mL)で抽出し、有機層IIを得た。有機層IとIIを合わせ、飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)、飽和食塩水(100mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、化合物4(21.2g)の粗生成物を褐色液体として得た。得られた化合物4は精製を行わず、収率は定量的とし次工程に進めた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 7.41-7.27 (m, 8H), 7.22-7.19 (m, 2H), 5.70 (d, J=3.5 Hz, 1H), 4.77 (d, J=12.6 Hz, 1H), 4.69 (d, J=12.6 Hz, 1H), 4.55 (dd, J=4.7, 3.5 Hz, 1H), 4.52 (d, J=12.3 Hz, 1H), 4.44 (d, J=12.3 Hz, 1H), 4.16 (d, J=4.7 Hz, 1H), 3.70 (d, J=11.2 Hz, 1H), 3.55 (d, J=11.3 Hz, 1H), 2.65 (s, 1H), 1.72 (s, 3H), 1.33 (s, 3H)
【0135】
(4)化合物5の合成
【0136】
【化30】
【0137】
前工程で得られた化合物4の粗生成物(21.0g)の無水酢酸(94.5mL,1.00mol)溶液に、濃硫酸(255mg,2.60mmol,0.05eq)の酢酸(60mL,1.0mol)溶液を添加し、室温で7時間撹拌した。反応液に酢酸(57.2mL,1.00mol)を添加し、さらに15時間撹拌した。氷冷下、酢酸エチル(200mL)および飽和重曹水(300mL)の混合液に反応液を注加し、水層を酢酸エチル(100mL)で2回抽出し、合わせた有機層を飽和重曹水(100mL)、市水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:100g,ヘキサン/酢酸エチル=1/0~2/1(v/v))により精製し、化合物5(17.7g,40.4mmol,4工程収率82%)を橙色粘調液体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 7.36-7.27 (m, 8H), 7.26-7.16 (m, 2H), 6.19 (s, 1H), 5.29 (d, J=4.7 Hz, 1H), 4.72 (d, J=12.2 Hz, 1H), 4.59 (d, J=12.2 Hz, 1H), 4.50 (d, J=11.9 Hz, 1H), 4.46 (d, J=4.7 Hz, 1H), 4.39 (d, J=11.9 Hz, 1H), 3.67 (d, J=11.2 Hz, 1H), 3.56 (d, J=11.2 Hz, 1H), 2.65 (s, 1H), 2.15 (s, 3H), 1.80 (s, 3H)
【0138】
実施例2:T-ジベンジル体の合成
【0139】
【化31】
【0140】
(1)化合物6の合成
【0141】
【化32】
【0142】
窒素雰囲気下、化合物5(4.38g,10.0mmol)の無水アセトニトリル溶液(50mL)に、チミン(3.79g,30.1mmol,3.0eq)、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(7.15mL,49.9mmol,5.0eq)、トリメチルシリルトリフラート(2.71mL,15.0mmol,1.5eq)を順次添加し、5時間加熱還流した。室温まで放冷した反応液を飽和重曹水(300mL)に注加し、酢酸エチルで2回(300mL、200mL)抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:80g,ヘキサン/酢酸エチル=2/1~1/2(v/v))により精製し、化合物6(4.02g,7.97mmol,79.7%)を淡黄色アモルファス固体として得た。
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ: 8.45 (s, 1H), 7.37-7.29 (m, 9H), 7.26-7.22 (m, 2H), 6.28 (d, J=4.8 Hz, 1H), 5.26 (dd, J=6.0, 4.8 Hz, 1H), 4.67 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.62 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.50 (d, J=11.3 Hz, 1H), 4.46 (d, J=11.3 Hz, 1H), 4.40 (d, J=6.0 Hz, 1H), 3.85 (d, J=10.6 Hz, 1H), 3.62 (d, J=10.6 Hz, 1H), 2.68 (s, 1H), 2.11 (s, 3H), 1.54 (d, J=1.2 Hz, 3H)
【0143】
(2)化合物7の合成
【0144】
【化33】
【0145】
化合物6(1.0g,2.0mmol)のメタノール溶液(10mL)に、炭酸カリウム(821mg,5.94mmol,3.0eq)を添加し、室温で20分撹拌した。市水(10mL)、酢酸エチル(10mL)を添加し、さらに酢酸エチル(60mL)を加えて抽出した。得られた有機層を市水(30mL)と飽和食塩水(少量)の混合液、次いで飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、化合物7(0.83g,1.8mmol,91%)を白色固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 7.40-7.25 (m, 11H), 6.07 (d, J=5.3 Hz, 1H), 4.90 (d, J=11.4 Hz, 1H), 4.68 (d, J=11.4 Hz, 1H), 4.56 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.55 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.29 (dd, J=5.9, 5.3 Hz, 1H), 4.23 (d, J=5.9 Hz, 1H), 3.86 (d, J=10.6 Hz, 1H), 3.70 (d, J=10.6 Hz, 1H), 2.71 (s, 1H), 1.59 (d, J=0.9 Hz, 3H)
【0146】
(3)化合物8の合成
【0147】
【化34】
【0148】
窒素雰囲気下、化合物7(500mg,1.08mmol)の無水ジメチルスルホキシド溶液(10mL)に、カリウムtert-ブトキシド(303mg,2.70mmol,2.5eq)を添加し、室温で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を添加し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。得られた有機層を市水(50mL)で2回、次いで飽和食塩水(50mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、化合物8の粗生成物(435mg)を淡黄色アモルファス固体として得た。得られた化合物8の粗生成物は精製を行わず、次工程に進めた。
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ: 9.21 (br s, 1H), 7.48 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.38-7.23 (m, 10H), 5.61 (s, 1H), 4.72 (s, 1H), 4.64 (d, J=10.9 Hz, 1H), 4.66 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.61 (d, J=10.9 Hz, 1H), 4.56 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.50 (d, J=3.1 Hz, 1H), 4.04 (d, J=3.1 Hz, 1H), 4.02 (s, 1H), 4.00 (d, J=11.3 Hz, 1H), 3.94 (d, J=11.3 Hz, 1H), 1.59 (d, J=1.2 Hz, 3H)
【0149】
(4)化合物9の合成
【0150】
【化35】
【0151】
窒素雰囲気下、化合物8(2.67g,5.77mmol)の無水ジクロロメタン溶液(50mL)に、氷冷下、ジヨードメタン(7.73g,28.9mmol,5.0eq)の無水ジクロロメタン溶液(15mL)を滴下し、無水ジクロロメタン(5mL)で洗い込みを行った後、ジエチル亜鉛(1.0Mヘキサン溶液、28.9mL,28.9mmol,5.0eq)を15分間で滴下し、同温で2時間、その後室温で20時間撹拌した。10℃以下で、25w/w%アンモニア水(20mL)および水(50mL)を5分間で滴下し、酢酸エチル(150mL)で2回抽出した。得られた有機層を市水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:60g,クロロホルム/メタノール=1/0~9/1(v/v))により精製し、化合物9(2.16g,4.53mmol,78.5%)を黄色固体として得た。
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ: 8.89 (br s, 1H), 7.51 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.38-7.27 (m, 10H), 5.74 (s, 1H), 4.70 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.57 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.56 (s, 2H), 4.53 (s, 1H), 4.04 (s, 1H), 3.62 (d, J=10.7 Hz, 1H), 3.50 (d, J=10.7 Hz, 1H), 1.62 (d, J=1.2 Hz, 3H), 1.03-0.96 (m, 1H), 0.96-0.89 (m, 1H), 0.75-0.65 (m, 2H)
【0152】
化合物9は従来の合成法であるWO2015/125783号記載の方法を用いることで、化合物1から11工程の変換を経て合成することが可能である。一方、実施例1および実施例2の方法を用いることにより、化合物1から化合物9への変換を8工程で行うことができ、工程数の削減が可能となる。
【0153】
実施例3:G-ジベンジル体の合成(その1)
【0154】
【化36】
【0155】
(1)化合物10の合成
【0156】
【化37】
【0157】
窒素雰囲気下、化合物5(1.86g,4.24mmol)とO-N,N-ジフェニルカルバモイル-N-イソブチリルグアニン(1.94g,4.66mmol,1.1eq)の1,2‐ジクロロエタン(20mL)溶液に、氷冷下、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(1.5mL,8.3mmol,2.0eq)、トリメチルシリルトリフラート(1.8mL,13mmol,3.0eq)を順次添加し、2.5時間加熱還流した。室温まで放冷した反応液を氷冷し、飽和重曹水(50mL)を注加し、クロロホルムで2回(100mL、50mL)抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:45g,クロロホルム/酢酸エチル=1/0~85/15(v/v))により精製し、化合物10(1.78g,2.24mmol,52.8%)を淡黄色アモルファス固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.09 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.39-7.20 (m, 20H), 6.23 (d, J=3.8 Hz, 1H), 5.67 (dd, J=5.9, 3.8 Hz, 1H), 4.94 (d, J=5.9 Hz, 1H), 4.78 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.67 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.52 (d, J=12.1 Hz, 1H), 4.47 (d, J=12.1 Hz, 1H), 3.81 (d, J=10.9 Hz, 1H), 3.68 (d, J=10.9 Hz, 1H), 3.07-2.84 (m, 1H), 2.70 (s, 1H), 2.09 (s, 3H), 1.24 (d, J=6.8 Hz, 3H), 1.24 (d, J=6.8 Hz, 3H)
【0158】
(2)化合物12の合成
【0159】
【化38】

窒素雰囲気下、化合物10(100mg,0.126mmol)の無水ジメチルスルホキシド(1mL)溶液に、カリウムtert-ブトキシド(70.6mg,0.629mmol,5.0eq)を添加し、室温で30分撹拌した。メタノール(8.0μL,0.20mmol,1.6eq)を添加し、さらに3時間撹拌した。メタノール(4.0μL,0.10mmol,0.8eq)とカリウムtert-ブトキシド(37.5mg,0.334mmol,2.7eq)を添加し、さらに16時間撹拌した。酢酸エチル(10mL)および市水(10mL)を添加し、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を1M塩酸水溶液(20mL)で2回、次いで飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、化合物12とジフェニルアミンの混合物(76.2mg,1H‐NMRの積分比より純度72%、収率78%)を淡褐色アモルファス固体として得た。
1H NMR (600MHz, CDCl3) δ: 12.12 (br s, 1H), 9.48 (br s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.39-7.18 (m, 10H), 5.77 (s, 1H), 4.68 (d, J=12.3 Hz, 1H), 4.62 (d, J=12.3 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 4.59 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.53 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.50 (d, J=2.9 Hz, 1H), 4.28 (s, 1H), 4.12 (d, J=2.9 Hz, 1H), 3.94 (d, J=11.4 Hz, 1H), 3.90 (d, J=11.4 Hz, 1H), 2.71-2.65 (m, 1H), 1.26 (d, J=6.2 Hz, 3H), 1.25 (d, J=6.2 Hz, 3H)
【0160】
(3)化合物13の合成
【0161】
【化39】
【0162】
窒素雰囲気下、化合物12(110mg,0.197mmol)の無水ピリジン(0.8mL)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.10mL,0.59mmol,3.0eq)、N,N-ジフェニルカルバモイルクロリド(56mg,0.24mmol,1.2eq)を順次添加し、室温で6時間撹拌した。市水(0.1mL)を添加し、溶媒を減圧留去した後、トルエンで2回共沸した。残渣を酢酸エチルに溶解させ、1M塩酸水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をトルエンで2回共沸し、化合物13の粗生成物(178mg)を赤色アモルファス固体として得た。得られた化合物13は精製を行わず、次工程に進めた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.18 (s, 1H), 7.98 (br s, 1H), 7.50-7.14 (m, 20H), 5.95 (s, 1H), 4.97 (s, 1H), 4.67 (d, J=12.3 Hz, 1H), 4.62 (d, J=12.3 Hz, 1H), 4.59-4.55 (m, 2H), 4.52 (d, J=3.2 Hz, 1H), 4.28 (s, 1H), 4.12 (d, J=3.2 Hz, 1H), 3.94 (d, J=11.3 Hz, 1H), 3.89 (d, J=11.3 Hz, 1H), 3.06-2.90 (m, 1H), 1.26-1.24 (m, 6H)
【0163】
(4)化合物14の合成
【0164】
【化40】
【0165】
窒素雰囲気下、氷冷した無水ジクロロメタン(3mL)にジエチル亜鉛(1Mヘキサン溶液,2.0mL,2.0mmol,10eq)を添加した後、トリフルオロ酢酸(230mg,2.02mmol,10eq)の無水ジクロロメタン(1mL)溶液を5分間で滴下し、同温で30分間撹拌した後、ジヨードメタン(542mg,2.02mmol,10eq)の無水ジクロロメタン(1mL)溶液を5分間で滴下し、さらに30分同温で撹拌した。この溶液に対し、化合物13の粗生成物(178mg)の無水ジクロロメタン(0.5mL,さらに0.5mLを用いて洗い込み)溶液を滴下し、同温で3時間撹拌した。0.5M塩酸水溶液(10mL)およびクロロホルム(15mL)を添加し、室温で1時間激しく撹拌した。得られた溶液を水層と有機層に分離し、水層をさらにクロロホルムで抽出し、先の有機層と合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:14g,ヘキサン/酢酸エチル/メタノール=90/5/5~75/20/5(v/v/v))により精製し、化合物14(86.4mg,0.113mmol,57.2%)を赤褐色粘調液体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.19 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.51-7.20 (m, 20H), 6.10 (s, 1H), 4.78 (s, 1H), 4.62 (d, J=11.9 Hz, 1H), 4.59-4.53 (m, 1H), 4.55 (d, J=11.9 Hz, 1H), 4.30 (s, 1H), 3.64 (d, J=11.0 Hz, 1H), 3.54 (d, J=11.0 Hz, 1H), 3.08-2.95 (m, 1H), 1.25 (d, J=6.9 Hz, 3H), 1.25 (d, J=6.9 Hz, 3H), 1.01-0.91 (m, 2H), 0.88-0.83 (m, 1H), 0.76-0.70 (m, 1H)
【0166】
(5)式(a)に示す化合物の合成
【0167】
【化41】
【0168】
化合物14を弱酸(カルボン酸等)で処理することで、容易に式(a)に示す化合物へ変換できることを確認した。
【0169】
化合物14と同様にscpBNAの前駆体として用いることが出来る、以下の式(a)に示す化合物:
【0170】
【化42】
【0171】
は、従来の合成法であるWO2015/125783号記載の方法を用いることで、化合物1から12工程の変換を経て合成することが可能である。一方、実施例1および実施例3の方法を用いることにより、化合物1から式(a)に示す化合物への変換を9工程で行うことができ、工程数の削減が可能となる。
【0172】
実施例4:G-ジベンジル体の合成(その2)
【0173】
【化43】
【0174】
(1)化合物15の合成
【0175】
【化44】
【0176】
窒素雰囲気下、化合物5(4.0g,純度80%,7.3mmol)の1,2-ジクロロエタン(100mL)溶液に、氷冷下、N-イソブチリルグアニン(1.94g,8.77mmol,1.2eq)、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(3.14mL,21.9mmol,3.0eq)、トリメチルシリルトリフラート(2.64mL,14.6mmol,2.0eq)を順次添加し、室温で17時間撹拌した後、50℃に加温して1時間撹拌した。N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(3.14mL,21.9mmol,3.0eq)を添加して同温でさらに1時間撹拌し、2時間加熱還流した後、室温まで放冷しさらに3時間撹拌した。氷冷下、飽和重曹水(50mL)を注加し、クロロホルムで3回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:60g,ヘキサン/酢酸エチル/クロロホルム/メタノール=3/3/1/0~3/3/1/0.4(v/v/v/v))により精製し、化合物15と化合物16の混合物(3.00g,1H‐NMRより化合物15:化合物16=85:15,4.25mmol,収率58%)を淡茶色アモルファス固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 12.21 (s, 0.85H), 12.06 (s, 0.15H), 9.67 (br s, 0.15H), 8.19 (br s, 0.85H), 8.19 (s, 0.15H), 7.83 (s, 0.85H), 7.36-7.30 (m, 8H), 7.26-7.24 (m, 2H), 6.50 (d, J=3.2 Hz, 0.15H), 6.16 (d, J=5.0 Hz, 0.85H), 5.63 (dd, J=6.0, 3.2 Hz, 0.15H), 5.61 (dd, J=5.9, 5.0 Hz, 0.85H), 4.73 (d, J=11.6 Hz, 0.85H), 4.64 (d, J=11.4 Hz, 0.15H), 4.64 (d, J=5.9 Hz, 0.85H), 4.59 (d, J=11.6 Hz, 0.85H), 4.57 (d, J=6.0 Hz, 0.15H), 4.56 (d, J=11.4 Hz, 0.15H), 4.55 (d, J=11.9 Hz, 0.85H), 4.49-4.47 (m, 0.30H), 4.48 (d, J=11.9 Hz, 0.85H), 3.81 (d, J=10.9 Hz, 0.15H), 3.79 (d, J=10.9 Hz, 0.85H), 3.68 (d, J=10.9 Hz, 0.85H), 3.58 (d, J=10.9 Hz, 0.15H), 2.77 (dq, J=6.9, 6.9 Hz, 0.85H), 2.71 (s, 0.85H), 2.70 (s, 0.15H), 2.50 (dq, J=6.9, 6.9 Hz, 0.15H), 2.14 (s, 0.45H), 2.08 (s, 2.55H), 1.28 (d, J=6.9 Hz, 0.45H), 1.27 (d, J=6.9 Hz, 0.45H), 1.23 (d, J=6.9 Hz, 2.55H), 1.22 (d, J=6.9 Hz, 2.55H)
【0177】
(2)化合物17の合成
【0178】
【化45】
【0179】
氷冷下、化合物15と化合物16の混合物(3.0g,5.0mmol, 化合物15:化合物16=85:15)のメタノール(30mL)溶液に炭酸カリウム(2.07g,15.0mmol,3.0eq)を添加し、同温で30分間撹拌した。炭酸カリウム(0.50g,3.6mmol,0.72eq)を添加し、さらに15分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を市水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:30g,クロロホルム/酢酸エチル=1/0~4/1(v/v))により精製し、化合物17と化合物17’の混合物(2.41g,化合物17:化合物17’=85:15, 4.32mmol,収率86%)を白色アモルファス固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 12.50 (br s, 0.15H), 12.25 (br s, 0.85H), 9.82 (br s, 0.15H), 8.99 (br s, 0.85H), 8.12 (s, 0.85H), 7.88 (s, 0.15H), 7.42-7.21 (m, 10H), 6.31 (d, J=4.4 Hz, 0.85H), 6.02 (d, J=4.7 Hz, 0.15H), 4.91 (d, J=11.4 Hz, 0.15H), 4.82 (d, J=11.4 Hz, 0.85H), 4.78 (d, J=11.4 Hz, 0.15H), 4.70 (d, J=11.4 Hz, 0.85H), 4.65-4.62 (m, 0.15H), 4.59 (d, J=12.0 Hz, 0.85H), 4.55 (d, J=12.0 Hz, 0.15H), 4.55 (d, J=12.0 Hz, 0.85H), 4.55-4.53 (m, 0.15H), 4.54 (ddd, J=6.6, 6.2, 4.4 Hz, 0.85H), 4.49 (d, J=12.0 Hz, 0.15H), 4.40 (d, J=6.2 Hz, 0.85H), 3.87-3.85 (m, 0.15H), 3.85 (d, J=10.4 Hz, 0.85H), 3.78 (d, J=10.9 Hz, 0.15H), 3.71 (d, J=10.9 Hz, 0.15H), 3.69 (d, J=10.4 Hz, 0.85H), 3.52 (d, J=6.6 Hz, 0.85H), 2.81 (dq, J=6.9, 6.9 Hz, 0.85H), 2.74 (s, 0.85H), 2.73 (s, 0.15H), 2.62 (dq, J=6.9, 6.9 Hz, 0.15H), 1.26 (d, J=6.9 Hz, 2.55H), 1.26 (d, J=6.9 Hz, 2.55H), 1.22 (d, J=6.9 Hz, 0.45H), 1.22 (d, J=6.9 Hz, 0.45H)
【0180】
(3)化合物18の合成
【0181】
【化46】
【0182】
窒素雰囲気下、化合物17と化合物17’の混合物(1.00g,1.79mmol, 化合物17:化合物17’=85:15)の無水ジメチルスルホキシド(20mL)溶液に、カリウムtert-ブトキシド(302mg,2.69mmol,1.5eq)を添加し、室温で1時間撹拌した。カリウムtert-ブトキシド(150mg,1.34mmol,0.75eq)を添加して30分撹拌した後、カリウムtert-ブトキシド(273mg,2.43mmol,1.4eq)を添加してさらに3時間撹拌した。氷冷下、酢酸エチル(150mL)および市水(50mL)を添加し、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を市水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、化合物18と化合物18’の混合物の粗生成物(904mg, 化合物18:化合物18’=85:15)を淡褐色アモルファス固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 12.29 (br s, 0.85H), 12.12 (br s, 0.15H), 9.96 (br s, 0.15H), 8.85 (br s, 0.85H), 8.20 (s, 0.15H), 7.82 (s, 0.85H), 7.37-7.16 (m, 10H), 6.15 (s, 0.15H), 5.75 (s, 0.85H), 4.71-4.47 (m, 6H), 4.26 (s, 0.85H), 4.18 (s, 0.15H), 4.11 (d, J=3.23 Hz, 0.85H), 4.06 (d, J=3.23, 0.15H), 3.96 (d, J=10.9 Hz, 0.15H), 3.93 (d, J=11.2 Hz, 0.85H), 3.90 (d, J=10.9 Hz, 0.15H), 3.89 (d, J=11.2 Hz, 0.85H), 2.78 (dq, J=6.9, 6.9 Hz, 0.15H), 2.67 (dq, J=6.9, 6.9 Hz, 0.85H), 1.28 (d, J=6.9 Hz, 2.55H), 1.27 (d, J=6.9 Hz, 0.45H), 1.27 (d, J=6.9 Hz, 2.55H), 1.25 (d, J=6.9 Hz, 0.45H)
【0183】
(4)化合物19の合成
実施例3の工程(3)と同条件で実施した。
【0184】
(5)化合物20の合成
実施例3の工程(4)と同条件で実施した。
【0185】
実施例3と同様に、保護基の有無に係わらず、グアニン骨格を有する化合物を導入したscpBNAを得ることが出来ることがわかる。
【0186】
実施例5:A-ジベンジル体の合成(その1)
【0187】
【化47】
【0188】
(1)化合物21の合成
【0189】
【化48】
【0190】
窒素雰囲気下、化合物5(3.32g,純度80%,6.08mmol)のアセトニトリル溶液(80mL)にN6-ベンゾイルアデニン(1.60g,6.69mmol,1.1eq)を添加した後、氷冷下、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(2.61mL,18.2mmol,3.0eq)、トリメチルシリルトリフラート(1.65mL,9.12mmol,1.5eq)を順次添加し、室温で18時間撹拌した。5.5時間加熱還流した後放冷し、室温で18時間撹拌した後、6時間加熱還流し、再度室温まで放冷し、20時間室温で撹拌した。氷冷下、飽和重曹水を添加し、酢酸エチルで抽出した後、有機層を市水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:60g,クロロホルム/酢酸エチル=1/0~6/4(v/v))により精製し、化合物21(3.11g,5.04mmol,収率82.8%)を淡茶色アモルファス固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.95 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 8.04-8.00 (m, 2H), 7.64-7.59 (m, 1H), 7.56-7.51 (m, 2H), 7.38-7.27 (m, 8H), 7.23-7.19 (m, 2H), 6.40 (d, J=4.1 Hz, 1H), 5.82 (dd, J=5.6, 4.1 Hz, 1H), 4.76 (d, J=5.6 Hz, 1H), 4.72 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.66 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.49 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.44 (d, J=12.0 Hz, 1H), 3.81 (d, J=10.9 Hz, 1H), 3.63 (d, J=10.9 Hz, 1H), 2.72 (s, 1H), 2.11 (s, 3H)
【0191】
(2)化合物22の合成
【0192】
【化49】
【0193】
氷冷下、化合物21(1.50g,2.43mmol)のメタノール溶液(20mL)に炭酸カリウム(1.00g,7.24mmol,3.0eq)を添加し、同温で30分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して酢酸エチルで2回抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、化合物22の粗生成物(1.50g)を淡橙色アモルファス固体として得た。得られた化合物22は精製を行わず、直ちに次の反応に進めた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.91 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.03-8.00 (m, 2H), 7.64-7.60 (m, 1H), 7.56-7.51 (m, 2H), 7.43-7.29 (m, 8H), 7.25-7.22 (m, 2H), 6.23 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.92 (d, J=11.4 Hz, 1H), 4.81 (ddd, J=6.7, 5.9, 4.4 Hz, 1H), 4.72 (d, J=11.4 Hz, 1H), 4.60 (d, J=5.9 Hz, 1H), 4.56 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.51 (d, J=12.0 Hz, 1H), 3.83 (d, J=10.6 Hz, 1H), 3.70 (d, J=10.6 Hz, 1H), 3.33 (d, J=6.7 Hz, 1H), 2.76 (s, 1H)
【0194】
(3)化合物23の合成
【0195】
【化50】
【0196】
窒素雰囲気下、前工程で得られた化合物22の粗生成物(1.50g)の無水ジメチルスルホキシド溶液(30mL)にカリウムtert-ブトキシド(545mg,4.85mmol,2.0eq)を添加し、室温で2.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを添加し、酢酸エチルで2回抽出した後、合わせた有機層を市水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルパッド(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル/メタノール=8/8/1)にて精製し、化合物23(1.18g,2.05mmol,2工程収率84.4%)を褐色粘調液体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 9.04 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.04 (d, J=7.5 Hz, 2H), 7.63 (t, J=7.6 Hz, 1H), 7.54 (dd, J=7.6, 7.5 Hz, 2H), 7.41-7.28 (m, 6H), 7.26-7.17 (m, 4H), 6.06 (s, 1H), 4.98 (s, 1H), 4.69 (d, J=12.2 Hz, 1H), 4.64 (d, J=12.2 Hz, 1H), 4.61 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.58 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.56 (d, J=3.2 Hz, 1H), 4.36 (s, 1H), 4.15 (d, J=3.2 Hz, 1H), 3.98 (d, J=11.2 Hz, 1H), 3.92 (d, J=11.2 Hz, 1H)
【0197】
(4)化合物24の合成
【0198】
【化51】
【0199】
窒素雰囲気下、氷冷した無水ジクロロメタン(2.8mL)にジエチル亜鉛(1Mヘキサン溶液,2.4mL,2.4mmol,10eq)を添加した後、トリフルオロ酢酸(274mg,2.40mmol,10eq)の無水ジクロロメタン(1mL)溶液を5分間で滴下し、同温で30分間撹拌した後、ジヨードメタン(643mg,2.40mmol,10eq)の無水ジクロロメタン(1mL)溶液を5分間で滴下し、さらに30分同温で撹拌し、亜鉛カルベノイド溶液を調製した。窒素雰囲気下、氷冷した化合物23(138mg,0.240mmol)の無水ジクロロメタン(2.0mL)溶液に対し、亜鉛カルベノイド溶液(720μL)を滴下した。同温で1.5時間撹拌した後、亜鉛カルベノイド溶液(720μL)を滴下し、1時間撹拌した後に亜鉛カルベノイド溶液(720μL)を滴下した。さらに30分後および75分後に亜鉛カルベノイド溶液(各1.5mL)を滴下し、1.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液およびクロロホルムを添加し、室温で30分間激しく撹拌した後、得られた溶液を水層と有機層に分離し、水層をさらにクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、残渣を得た。得られた残渣の、化合物24と化合物25の比率は3:1であった(LC/MSおよび1H‐NMRより算出)。
【0200】
実施例6:A-ジベンジル体の合成(その2)
【0201】
【化52】
【0202】
(1)化合物26の合成
【0203】
【化53】
【0204】
窒素雰囲気下、アデニン(1.01g,7.47mmol,2.5eq)のビス(トリメチルシリル)アミン(25mL)溶液にクロロトリメチルシラン(11mL,87.1mmol,29eq)を添加し、5時間加熱還流した。放冷して減圧濃縮し、得られた残渣を窒素雰囲気下、1,2-ジクロロエタン(5mL)に溶解させ、化合物5(1.32g,3.00mmol)のジクロロエタン(10mL)溶液を添加した後、トリメチルシリルトリフラート(2.70mL,14.9mmol,5.0eq)を添加し、室温で17.5時間撹拌した。飽和重曹水(200mL)を添加し、酢酸エチル(200mL)で2回抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:60g,ヘキサン/酢酸エチル/メタノール=75/20/5~45/50/5(v/v/v))により精製し、化合物26(1.32g,2.57mmol,収率85.7%)を白色蝋状固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.29 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.38-7.27 (m, 8H), 7.24-7.20 (m, 2H), 6.32 (d, J=4.1 Hz, 1H), 5.79 (dd, J=5.9, 4.1 Hz, 1H), 5.74 (br s, 2H), 4.76 (d, J=5.9 Hz, 1H), 4.70 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.65 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.50 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.44 (d, J=12.0 Hz, 1H), 3.80 (d, J=10.7 Hz, 1H), 3.63 (d, J=10.7 Hz, 1H), 2.71 (s, 1H), 2.10 (s, 3H)
【0205】
(2)化合物27の合成
【0206】
【化54】
【0207】
化合物26(395mg,0.769mmol)のtert-ブチルアルコール溶液(4mL)にカリウムtert-ブトキシド(432mg,3.85mmol,5.0eq)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。カリウムtert-ブトキシド(480mg,4.28mmol,5.6eq)を添加して1時間撹拌した後、カリウムtert-ブトキシド(300mg,2.67mmol,3.5eq)を添加してさらに1時間撹拌した。市水(6mL)と飽和食塩水(12mL)を添加し、酢酸エチルで2回抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し化合物27の粗生成物(315mg)を橙色アモルファス固体として得た。得られた化合物27の粗生成物は精製を行わず、次工程に進めた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.31 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.30-7.22 (m, 10H), 5.99 (s, 1H), 5.78 (br s, 2H), 4.97 (s, 1H), 4.69 (d, J=12.2 Hz, 1H), 4.63 (d, J=12.2 Hz, 1H), 4.59 (s, 2H), 4.54 (d, J=2.9 Hz, 1H), 4.35 (s, 1H), 4.14 (d, J=2.9 Hz, 1H), 3.97 (d, J=11.3 Hz, 1H), 3.92 (d, J=11.3 Hz, 1H)
【0208】
(3)化合物28の合成
【0209】
【化55】
【0210】
窒素雰囲気下、化合物27(100mg,0.212mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(2mL)にヨウ化ナトリウム(318mg,2.12mmol,10eq)を添加した後、氷冷下、ベンジルクロロメチルエーテル(300μL,2.16mmol,10eq)を添加し、室温で3時間撹拌した。飽和重曹水(6mL)と市水(12mL)を添加し、酢酸エチルで2回抽出した後、合わせた有機層を15w/w%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し化合物28の粗生成物(390mg)を橙色油状液体として得た。得られた化合物28の粗生成物は精製を行わず、次工程に進めた。
【0211】
(4)化合物29の合成
【0212】
【化56】
【0213】
窒素雰囲気下、前工程で得られた化合物28の粗生成物(390mg)のピリジン溶液(3mL)にベンゾイルクロリド(120μL,1.03mmol,4.9eq)を添加し、室温で5時間撹拌した。市水(20mL)を添加し、酢酸エチルで2回抽出した後、合わせた有機層を1M塩酸水溶液、市水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル:20g,ヘキサン/酢酸エチル/メタノール=85/10/5~70/25/5(v/v/v))により精製し、化合物29(60.5mg,0.0870mol,収率41.0%)を淡黄色油状液体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.18-8.15 (m, 2H), 8.02 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.53-7.49 (m, 1H), 7.44-7.18 (m, 17H), 5.89 (s, 1H), 5.72 (d, J=10.7 Hz, 1H), 5.70 (d, J=10.7 Hz, 1H), 4.82 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.84 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.74 (s, 1H), 4.63 (d, J=12.6 Hz, 1H), 4.58 (d, J=12.6 Hz, 1H), 4.56 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.52 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.51 (d, J=3.1 Hz, 1H), 4.29 (s, 1H), 4.08 (d, J=3.1 Hz, 1H), 3.88 (d, J=11.2 Hz, 1H), 3.83 (d, J=11.2 Hz, 1H)
【0214】
(5)化合物29の合成
【0215】
【化57】
【0216】
窒素雰囲気下、化合物27(345mg,0.732mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(1.5mL)にヨウ化ナトリウム(241mg,1.61mmol,2.2eq)を添加した後、氷冷下、ベンジルクロロメチルエーテル(250μL,1.80mmol,2.5eq)を添加し、同温で2時間撹拌した。同温でベンジルクロロメチルエーテル(35μL,0.25mmol,0.34eq)を添加し、さらに1.5時間撹拌した。同温でトリエチルアミン(2.0mL,14.4mmol,20eq)、ベンゾイルクロリド(400μL,3.44mmol,4.7eq)を添加し、2時間撹拌した。酢酸エチル(30mL)と市水(10mL)を添加して撹拌した後、有機層と水層を分離し、有機層を15w/w%チオ硫酸ナトリウム水溶液、市水、飽和食塩水で順次洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル:30g,ヘキサン/酢酸エチル/メタノール=90/5/5~85/10/5(v/v/v))により精製し、化合物29(462.6mg,純度70%,0.465mmol,収率63.6%)を淡黄色油状液体として得た。
【0217】
(6)化合物30の合成
【0218】
【化58】
【0219】
窒素雰囲気下、氷冷した無水ジクロロメタン(0.25mL)にジエチル亜鉛(1Mヘキサン溶液,0.25mL,0.25mmol,7.0eq)を添加した後、トリフルオロ酢酸(30.0mg,0.263mmol,7.3eq)の無水ジクロロメタン(0.25mL)溶液を1分間で滴下し、同温で30分間撹拌した後、ジヨードメタン(67.4mg,0.259mmol,7.0eq)の無水ジクロロメタン(0.25mL)溶液を1分間で滴下し、さらに30分同温で撹拌し、亜鉛カルベノイド溶液を調製した。この溶液に対し、化合物29(25.0mg,0.0359mmol)の無水ジクロロメタン(0.5mL,さらに0.5mLを用いて洗い込み)溶液を滴下し、同温で4.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)およびクロロホルム(20mL)を添加し、室温で30分間激しく撹拌した後、得られた溶液を水層と有機層に分離し、水層をさらにクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:10g,ヘキサン/酢酸エチル/メタノール=80/15/5(v/v/v))により精製し、化合物30(20.0mg,0.0282mmol,収率78.5%)を淡黄色油状液体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 8.19-8.15 (m, 2H), 8.03 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.52-7.48 (m, 1H), 7.44-7.21 (m, 17H), 6.04 (s, 1H), 5.72 (d, J=10.3 Hz, 1H), 5.70 (d, J=10.3 Hz, 1H), 4.84 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.82 (d, J=12.0 Hz, 1H), 4.59-4.52 (m, 4H), 4.52 (s, 1H), 4.27 (s, 1H), 3.54 (d, J=11.2 Hz, 1H), 3.47 (d, J=11.2 Hz, 1H), 1.02-0.65 (m, 4H)
【0220】
(7)式(b)に示す化合物の合成
【0221】
【化59】
【0222】
化合物30を弱酸(カルボン酸、シリカゲル等)で処理することで、容易に式(b)に示す化合物へ変換できることを確認した。
【0223】
化合物30と同様にscpBNAの前駆体として用いることが出来る、以下の式(b)に示す化合物
【0224】
【化60】
【0225】
は、従来の合成法であるWO2015/125783号記載の方法を用いることで、化合物1から12工程の変換を経て合成することが可能である。一方、実施例1および実施例6の方法を用いることにより、化合物1から式(b)に示す化合物への変換を9工程で行うことができ、工程数の削減が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明により、スピロシクロプロピレンブリッジ核酸(scpBNA)のヌクレオシドを効率的に製造することが可能となるので、例えば、核酸医薬の分野に好適に用いることができる。