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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】基板を加工する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230228BHJP
   C03C 27/10 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C03C27/10 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019525843
(86)(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017061292
(87)【国際公開番号】W WO2018093719
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】62/422,312
(32)【優先日】2016-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,クリスティーナ スー
(72)【発明者】
【氏名】キャディ,レイモンド チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヒョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】コーブル,クレール レナータ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ティモシー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ソーパー,ジョゼフ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,ゲイリー カール
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-175420(JP,A)
【文献】特開2016-155683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C03C 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第1の主面および第2の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第2の主面を備える基板を加工する方法であって、
前記基板と前記第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置で剥離を開始して、前記第1の担体の一部を前記基板から分離するステップと、
前記第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第1の担体に順次加えることによって、前記第1の剥離された位置から離れて延びる第1の方向に沿って前記第1の剥離された位置から第1の剥離前縁を伝播するステップであって、前記第1の剥離前縁が前記第1の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力の各揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で加えられる、伝播するステップと、
を含み、
前記複数の揚力が、前記第1の方向に沿って配置された対応する複数の吸着カップによって順次加えられ、
前記第1の剥離前縁を伝播する前に前記複数の吸着カップが前記第1の担体と係合し、前記第1の剥離前縁がそれぞれの吸着カップを過ぎて伝播した後、前記第1の剥離前縁が前記第1の方向に沿ってそれぞれの吸着カップから下流に配置された前記複数の吸着カップのうちの直ぐ隣接する吸着カップを過ぎて伝播する前に、前記複数の揚力が前記複数の吸着カップのうちの前記それぞれの吸着カップによって順次加えられる、方法。
【請求項2】
前記第1の担体の前記対応する複数の連続する吊上げ位置で前記第1の担体に前記複数の揚力を順次加えて、前記第1の担体が前記基板から完全に分離されるまで前記第1の剥離前縁を伝播するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の担体が前記基板から完全に分離されるまで、前記第1の剥離前縁の伝播を止めることなく前記第1の剥離前縁を伝播し続けるステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第1の主面および第2の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第2の主面を備える基板を加工する方法であって、
前記基板と前記第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置で剥離を開始して、前記第1の担体の一部を前記基板から分離するステップと、
前記第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第1の担体に順次加えることによって、前記第1の剥離された位置から離れて延びる第1の方向に沿って前記第1の剥離された位置から第1の剥離前縁を伝播するステップであって、前記第1の剥離前縁が前記第1の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力の各揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で加えられる、伝播するステップと、を含み、
前記第1の担体の温度を低減することによって、熱電気効果に基づいて、前記基板と前記第1の担体との間の接合エネルギーを低減するステップを含む方法。
【請求項5】
前記第2の担体の第2の主面をプレートに取り外し可能に取り付けて、前記第1の担体に前記複数の揚力を加えると同時に前記第2の担体の曲げを抑制することによって、前記第1の担体に前記複数の揚力を加えると同時に前記第2の担体の曲げを抑制するステップを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板と前記第1の担体との間の前記外周接合界面の前記第1の位置が、前記基板の第1の縁と第2の縁との交点に画定された前記基板の角部を含み、前記第1の方向が、前記基板を斜めに横切って前記基板の前記角部から延びる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板と前記第1の担体との間の前記外周接合界面の前記第1の位置が、前記基板の外周縁を含み、前記第1の方向が、前記基板の前記外周縁に対して垂直に、前記基板を横切って延びる、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の担体を前記基板から完全に分離した後、前記基板と第2の担体との間の外周接合界面である第2の位置で剥離を開始して、前記第2の担体の一部を前記基板から分離し、前記第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第2の担体に順次加えることによって前記剥離された第2の位置から離れて延びる第2の方向に沿って前記剥離された第2の位置から第2の剥離前縁を伝播するステップであって、前記第2の剥離前縁が前記第2の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力のそれぞれの揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置に順次加えられる、伝播するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の担体が前記基板から完全に分離されるまで、前記第2の剥離前縁の伝播を止めることなく前記第2の剥離前縁を伝播し続けるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第1の主面および第2の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第2の主面を備える基板を加工する方法であって、
前記基板と前記第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置で剥離を開始して、前記第1の担体の一部を前記基板から分離するステップと、
前記第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第1の担体に順次加えることによって、前記第1の剥離された位置から離れて延びる第1の方向に沿って前記第1の剥離された位置から第1の剥離前縁を伝播するステップであって、前記第1の剥離前縁が前記第1の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力の各揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で加えられる、伝播するステップと、
を含み、
前記伝播するステップは、前記第1の担体が前記基板から完全に分離されるまで前記第1の剥離前縁を伝播し、
前記伝播するステップは、さらに、前記第1の担体を前記基板から完全に分離した後、前記基板と第2の担体との間の外周接合界面である第2の位置で剥離を開始して、前記第2の担体の一部を前記基板から分離し、前記第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第2の担体に順次加えることによって前記剥離された第2の位置から離れて延びる第2の方向に沿って前記剥離された第2の位置から第2の剥離前縁を伝播し、前記第2の剥離前縁が前記第2の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力のそれぞれの揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置に順次加えられるよう伝播し、
前記第2の担体の温度を低減することによって、熱電気効果に基づいて、前記基板と前記第2の担体との間の接合エネルギーを低減するステップを含む、方法。
【請求項11】
第1の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第1の主面および第2の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第2の主面を備える基板を加工する方法であって、
前記基板と前記第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置で剥離を開始して、前記第1の担体の一部を前記基板から分離するステップと、
前記第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第1の担体に順次加えることによって、前記第1の剥離された位置から離れて延びる第1の方向に沿って前記第1の剥離された位置から第1の剥離前縁を伝播するステップであって、前記第1の剥離前縁が前記第1の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力の各揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で加えられる、伝播するステップと、
を含み、
前記伝播するステップは、前記第1の担体が前記基板から完全に分離されるまで前記第1の剥離前縁を伝播し、前記第1の担体を前記基板から完全に分離した後、前記基板と第2の担体との間の外周接合界面である第2の位置で剥離を開始して、前記第2の担体の一部を前記基板から分離し、前記第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第2の担体に順次加えることによって前記剥離された第2の位置から離れて延びる第2の方向に沿って前記剥離された第2の位置から第2の剥離前縁を伝播し、前記第2の剥離前縁が前記第2の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力のそれぞれの揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置に順次加えられるよう伝播し、
前記伝播するステップは、前記第2の担体が前記基板から完全に分離されるまで、前記第2の剥離前縁の伝播を止めることなく前記第2の剥離前縁を伝播し続け、
前記第2の担体の温度を低減することによって、熱電気効果に基づいて、前記基板と前記第2の担体との間の接合エネルギーを低減するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記基板の前記第1の主面を取り外し可能にプレートに取り付けて、前記複数の揚力を前記第2の担体に加えると同時に、前記基板の曲げを抑制することによって、前記複数の揚力を前記第2の担体に加えると同時に、前記基板の曲げを抑制するステップを含む、請求項9から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記基板と前記第2の担体との間の前記外周接合界面の前記第2の位置が、前記基板の第1の縁と第2の縁との交点に画定された前記基板の角部を含み、前記第2の方向が、前記基板を斜めに横切って前記基板の前記角部から延びる、請求項9から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記基板と前記第2の担体との間の前記外周接合界面の前記第2の位置が、前記基板の外周縁を含み、前記第2の方向が、前記基板の前記外周縁に対して垂直に、前記基板を横切って延びる、請求項9から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記基板が、ガラスとシリコンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の担体の前記基板からの剥離の間に発生した静電気を中和することによって、消イオン作用に基づいて、前記基板と前記第1の担体との間の接合エネルギーを低減するステップを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の担体の前記基板からの剥離の間に発生した静電気を中和することによって、消イオン作用に基づいて、前記基板と前記第2の担体との間の接合エネルギーを低減するステップを含む、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条に基づき、2016年11月15日に出願された米国仮特許出願第62/422,312号の優先権を主張するものであり、その内容に依拠し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、基板を加工する方法に関し、より詳細には、基板と担体の間の外周接合界面の位置で剥離を開始することによって基板を加工する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートは一般に、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、タッチセンサ、または太陽光発電などの、ディスプレイ用途に使用される。ガラスシートは一般に、例えば、スロットドロー、フロート、ダウンドロー、フュージョンダウンドロー、ローリング、またはアップドローなどの、様々なリボン形成プロセスによって、ガラスリボンを形成できる、成形体に溶融ガラスを流すことによって製造される。ガラスリボンは、その後、分割されて、モバイル機器用、ウェアラブル(例えば、時計)、テレビ、コンピュータ、タブレット、およびその他の表示モニタ用の基板を含むがそれに限定されない、所望のディスプレイ用途にさらに加工するのに適切な、薄い、可撓性シートガラスを提供しうる。フレキシブルエレクトロニクスまたはその他の電子機器を含む基板の製作において、薄い、可撓性ガラスシートを提供し、加工することに関心がある。基板の製造は、薄い、可撓性ガラスシートの輸送および取り扱いを含みうる。したがって、基板を加工する方法に対する需要がある。
【0004】
基板の加工中に、薄い、可撓性ガラスを取り扱う一方法では、可撓性ガラスは担体に接合される。担体に接合されると、担体の特徴およびサイズにより、製造中、ガラスシートの望まない曲げがなく、かつガラスシートに損傷を与えることなく、接合構造体を取り扱い、搬送することができる。例えば、薄い、可撓性ガラスシートを相対的に硬い担体に接合することができ、その後、機能性部品(例えば、カラーフィルタ、タッチセンサ、または薄膜トランジスタ(TFT)部品)を薄い、可撓性ガラスシートに取り付けて、ディスプレイ用途の電子機器製造に使用されうるガラス基板を製造することができる。搬送、取り扱い、およびその他の加工工程が終了すると、基板を担体から取り外すことが望まれる。しかし、基板の繊細な特性を考慮すると、基板を担体から取り外そうとするとき、損傷が、担体および/または担体に接合された基板に不運にも起こる可能性がある。例えば、担体と基板の間の少なくとも部分的に強い接合界面に基づくと、接合を壊すためかなりの力を加える必要がありうる。加えて、担体を基板から剥がし、完全に分離しようとすると、担体および基板が、損傷する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、担体および/または担体に接合された基板を損傷することなく、基板を担体から分離するための実務的解決策が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つまたは複数の担体に取り外し可能に接合された基板を含む、基板を加工する方法の例示的な実施形態が述べられる。基板を加工する方法は、例えば、基板と1つまたは複数の担体との間の剥離の開始ならびに基板と1つまたは複数の担体の完全な分離を含みうる。
【0007】
本開示を通して、単一基板には、単一ガラス基板(例えば、単一の可撓性ガラス基板、または単一の硬いガラス基板)、単一ガラス-セラミック基板、単一セラミック基板、または単一シリコン基板を含む、広い範囲の基板が含まれる。本明細書で使用される、「ガラス」という用語は、ガラスおよびガラスセラミックを含む、少なくとも部分的にガラス製の任意の材料を含むことを意味する。「ガラスセラミック」には、ガラスの制御された結晶化を介して生成される材料を含む。実施形態では、ガラスセラミックには、約30%から約90%の結晶度がある。使用されうるガラスセラミック系の非限定的な例として、LiO×Al×nSiO(すなわち、LAS系)、MgO×Al×nSiO(すなわち、MAS系)、およびZnO×Al×nSiO(すなわち、ZAS系)が挙げられる。実施形態によっては、単一基板は、例えば、単一ブランクガラス基板(例えば、ダウンドローフュージョンプロセスまたはその他の技術で製造されたガラスリボンから分離されたプリスティン面を含むガラスシート)、単一ブランクガラス-セラミック基板、単一ブランクシリコン基板(例えば、単一ブランクシリコンウェハ)などの、材料の単一ブランク基板、を含む。単一ブランクガラス基板として提供される場合、単一ブランクガラス基板は、透明、半透明、または不透明であってもよく、単一ブランクガラス基板の第1の主面から第2の主面まで、単一ブランクガラス基板の厚さ全体を通して、適宜同じガラス組成を含んでもよい。実施形態によっては、単一ブランクガラス基板は、化学的に強化された単一ブランクガラス基板を含んでもよい。
【0008】
本開示の単一基板のいずれも、適宜、幅広い種類の機能を含んでもよい。例えば、単一ガラス基板が、光を修正できる、または表示装置、タッチセンサ部品、またはその他のデバイスに組み入れることができるという特徴を含んでもよい。実施形態によっては、単一ガラス基板は、カラーフィルタ、偏光子、薄膜トランジスタ(TFT)またはその他の構成部品を含んでもよい。実施形態によっては、単一基板が、単一シリコン基板として提供される場合、単一シリコン基板が、単一シリコン基板が集積回路、光起電デバイスまたはその他の電気部品に組み入れることができるという特徴を含んでもよい。
【0009】
実施形態によっては、基板は、例えば、任意の1つまたは複数の単一基板を含む、積層単一基板を含んでもよい。積層単一基板は、互いに対して接合された隣接する単一基板の主面を向いて、互いに対して積層された2つ以上の単一基板によって、造られてもよい。実施形態によっては、積層単一基板は、積層単一ガラス基板を含んでもよい。例えば、第1の単一ガラス基板は、カラーフィルタを含んでもよく、第2の単一ガラス基板は、1つまたは複数の薄膜トランジスタを含んでもよい。第1および第2の単一ガラス基板は、ディスプレイ用途のディスプレイパネルとして形成可能な積層単一基板として共に接合されてもよい。したがって、本開示の基板は、任意の1つまたは複数の単一基板または積層単一基板を含んでもよい。
【0010】
基板に接合された1つまたは複数の担体から基板を取り外すため有利な様々な方法も、提供される。実施形態によっては、基板(例えば、1つまたは複数の単一基板、積層単一基板)が、1つまたは複数の担体に取り外し可能に接合されている。実施形態によっては、基板の第1の主面が、単一の担体に接合されていてもよい。追加で、実施形態によっては、基板の両方の主面が、基板をそれぞれの担体の間に位置付けて、それぞれの担体に接合されてもよい。
【0011】
実施形態によっては、基板を1つまたは複数の担体に接合した後、基板を損傷することなく、1つまたは複数の担体を取り除く要求がある。本開示は、剥離の開始および担体の基板からの完全な分離を容易にする、基板および1つまたは複数の担体の例示的な実施形態を提供する。例えば、担体と担体に接合された基板との間の初期剥離ならびに担体の担体に接合された基板からの完全な分離(例えば、剥離により)を容易にしうる特徴が提供される。剥離が開始される接合界面の初期位置は、接合界面内の所望の弱い点を提供する。したがって、実施形態によっては、続いて起こる剥離技術は、剥離がすでに始まっているので、著しく低い力を伴うものでもよい。担体を基板から(例えば、剥離により)完全に分離するための最大加力が低減するため、基板に加える関連する応力が低下し、それにより、基板への損傷の可能性はさらに減少する。
【0012】
本開示の一部の例示的な実施形態は、様々な実施形態の任意の1つまたは複数の特徴を含む任意の実施形態が、単独でまたは互いに組み合わせて使用することができるという理解で以下に説明される。
【0013】
実施形態1。第1の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第1の主面および第2の担体の第1の主面に取り外し可能に接合された基板の第2の主面を備える基板を加工する方法は、基板と第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置で剥離を開始して、第1の担体の一部を基板から分離することを含む。その方法は、第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で第1の担体に複数の揚力を順次加えることによって、第1の剥離された位置から離れて延びる第1の方向に沿って第1の剥離された位置から第1の剥離前縁を伝播することをさらに含む。第1の剥離前縁が、第1の担体の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後で、複数の揚力の各揚力が、複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で順次加えられる。
【0014】
実施形態2。第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で第1の担体に複数の揚力を順次加えて、第1の担体が基板から完全に分離されるまで第1の剥離前縁を伝播することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0015】
実施形態3。複数の揚力が、第1の方向に沿って配置された対応する複数の吸着カップによって順次加えられる、実施形態1および2のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
実施形態4。第1の剥離前縁を伝播する前に複数の吸着カップが第1の担体と係合し、第1の剥離前縁がそれぞれの吸着カップを過ぎて伝播した後、第1の剥離前縁が第1の方向に沿うそれぞれの吸着カップから下流に配置された複数の吸着カップのうちの直ぐ隣接する吸着カップを過ぎて伝播する前に、複数の揚力が複数の吸着カップのうちのそれぞれの吸着カップによって順次加えられる、実施形態3に記載の方法。
【0017】
実施形態5。第1の担体が基板から完全に分離されるまで、第1の剥離前縁の伝播を止めることなく第1の剥離前縁を伝播し続けることを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
実施形態6。熱電気効果に基づいて、基板と第1の担体との間の接合エネルギーを低減することを含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施形態7。基板と第1の担体との間の接合エネルギーを低減することは、第1の担体の温度を低減することを含む、実施形態6に記載の方法。
【0020】
実施形態8。第1の担体に複数の揚力を加えると同時に、第2の担体の曲げを抑制することを含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
実施形態9。第2の担体の曲げを抑制することは、第1の担体に複数の揚力を加えると同時に、第2の担体の第2の主面をプレートに取り外し可能に取り付けて、第2の担体の曲げを抑制することを含む、実施形態8に記載の方法。
【0022】
実施形態10。基板と第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置は、基板の第1の縁と第2の縁との交点に画定された基板の角部を含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
実施形態11。第1の方向は、基板を斜めに横切って基板の角部から延びる、実施形態10に記載の方法。
【0024】
実施形態12。基板と第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置は、基板の外周縁を含み、第1の方向は、基板の外周縁に対して垂直に、基板を横切って延びる、実施形態1から9のいずれかに記載の方法。
【0025】
実施形態13。第1の担体を基板から完全に分離した後、基板と第2の担体との間の外周接合界面の第2の位置で剥離を開始して第2の担体の一部を基板から分離することを含む、実施形態2に記載の方法。その方法は、第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を第2の担体に順次加えることによって、第2の剥離された位置から離れて延びる第2の方向に沿って剥離された位置から第2の剥離前縁を伝播することをさらに含む。第2の剥離前縁が、第2の担体の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後で、複数の揚力の各揚力が、複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置に順次加えられる。
【0026】
実施形態14。複数の揚力を第2の担体に第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で順次加えて、第2の担体が基板から完全に分離されるまで剥離前縁を伝播することを含む、実施形態13に記載の方法。
【0027】
実施形態15。第2の担体が基板から完全に分離されるまで、第2の剥離前縁の伝播を止めることなく第2の剥離前縁を伝播し続けることを含む、実施形態13および14のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
実施形態16。熱電気効果に基づいて、基板と第2の担体との間の接合エネルギーを低減することを含む、実施形態13から15のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0029】
実施形態17。基板と第2の担体との間の接合エネルギーを低減することが、第2の担体の温度を低減することを含む、実施形態16に記載の方法。
【0030】
実施形態18。複数の揚力を第2の担体に加えると同時に、基板の曲げを抑制することを含む、実施形態13から17のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
実施形態19。基板の曲げを抑制することは、複数の揚力を第2の担体に加えると同時に、基板の第1の主面を取り外し可能にプレートに取り付けて、基板の曲げを抑制することを含む、実施形態18に記載の方法。
【0032】
実施形態20。基板と第2の担体との間の外周接合界面の第2の位置は、基板の第1の縁と第2の縁との交点に画定された基板の角部を含む、実施形態13から19のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
実施形態21。第2の方向は基板を斜めに横切って基板の角から延びる、実施形態20に記載の方法。
【0034】
実施形態22。基板と第2の担体との間の外周接合界面の第2の位置は、基板の外周縁を含み、第2の方向は、基板の外周縁に対して垂直に、基板を横切って延びる、実施形態13から19のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
実施形態23。基板は、ガラスとシリコンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から22のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
上記およびその他の特徴ならびに本開示の実施形態の利点は、以下の詳細の記述を添付の図面を参照して読むと、より良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】基板の部分、第1の担体、および第2の担体を分解して本開示の実施形態による真空プレートの真空ポートを図示する、真空プレートに真空取り付けされる第2の担体の概略平面図である。
図2】本開示の実施形態による、図1の2-2線に沿う概略断面図である。
図3】本開示の実施形態による、第1のシート、第2のシート、および界面壁を含む第1の担体、第2の担体、および基板を図示する図2の3における拡大概略図である。
図4】本開示の実施形態による、基板と第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置で剥離を開始する方法を図示する図3の代替図である。
図5】基板から第1の担体を完全に分離した後、本開示の実施形態による、基板と第2の担体との間の外周接合界面の第2の位置で剥離を開始する方法を図示する図3の代替図である。
図6】本開示の実施形態による、対応する複数の連続する吊上げ位置に対して対応する複数の揚力を順次加える、複数の吸着カップを含む剥離装置の概略図である。
図7】本開示の実施形態による、基板の外周縁に対して垂直に延びる方向に沿って基板を横切る剥離前縁の伝播を図示する図6の7-7線に沿う剥離装置の概略図である。
図8】本開示の実施形態による、基板を斜めに横切って基板の角部から延びる方向に沿う剥離前縁の伝播を図示する図7の剥離装置の代替の実施形態である。
図9】本開示の実施形態による、第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で第1の担体に複数の揚力を順次加えることによって第1の剥離前縁を伝播する、例示的な方法を示す。
図10】本開示の実施形態による、第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で第1の担体に複数の揚力を順次加えることによって第1の剥離前縁を伝播する、例示的な方法を示す。
図11】本開示の実施形態による、第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で第1の担体に複数の揚力を順次加えることによって第1の剥離前縁を伝播する、例示的な方法を示す。
図12】本開示の実施形態による、第1の担体が、基板から完全に分離されるまでの図9から図11の第1の剥離前縁を伝播する例示的な方法を示す。
図13】本開示の実施形態による、図12に示すように、第1の担体を基板から完全に分離した後で、第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を第2の担体に順次加えることによって第2の剥離前縁を伝播する例示的な方法を示す。
図14】本開示の実施形態による、図12に示すように、第1の担体を基板から完全に分離した後で、第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を第2の担体に順次加えることによって第2の剥離前縁を伝播する例示的な方法を示す。
図15】本開示の実施形態による、図12に示すように、第1の担体を基板から完全に分離した後で、第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を第2の担体に順次加えることによって第2の剥離前縁を伝播する例示的な方法を示す。
図16】本開示の実施形態による、第2の担体が、基板から完全に分離されるまでの図13から図15の第2の剥離前縁を伝播する例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで、以下に例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、実施形態をより完全に説明する。可能な限り、図面を通して、同一の参照符号が、同一または同様の部品を参照するため使用される。しかし、特許請求の範囲は、様々な実施形態の多くの異なる態様を包含してもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0039】
基板の加工中の取り扱いおよび搬送を容易にするため、基板を担体に接合してもよい。基板と比較して、担体の特性および大きさにより、基板および/または基板に搭載されうる構成部品を損傷しうる基板の著しい湾曲なく、加工中、接合された基板を取り扱い、搬送できるようになる。別途指定のない限り、本開示の実施形態のいずれの基板も、単一基板または積層した2つ以上の単一基板を含みうる。単一基板の厚さは、約50マイクロメートルから約300マイクロメートルまで、ならびに前述の間のすべての範囲および副範囲としうるが、実施形態によっては、その他の厚さが与えられてもよい。実施形態によっては、単一可撓性ガラス基板または積層単一可撓性ガラス基板は、例えば、ポリマー結着剤、シリコン結着剤、1つまたは複数の粗い当接面の間に自然発生した力またはその他の結着剤などの決着剤を用いて、担体に取り外し可能に接合されてもよい。実施形態によっては、基板は、ガラス、樹脂または基板の加工中の条件に耐えることが可能なその他の材料で作られた担体に接合されてもよい。その後、担体は、担体に取り外し可能に接合された基板の厚さと組み合わせて、担体に追加の厚さを与えることにより所望のレベルの硬さを随意導入しうる。実施形態によっては、担体は、担体に接合された単一基板の厚さより厚いプレート(例えば、剛体板)を含んでもよい。さらに、実施形態によっては、担体は、担体および担体に接合された基板の全体の厚さが、担体および担体に接合された基板の全体の厚さの範囲内の厚さを有する相対的に暑いガラス基板を加工するよう構成された加工機械および装置で使用可能な範囲内の厚さを含むよう選択されてもよい。
【0040】
基板を担体に接合した後、基板を損傷することなく、基板から担体を取り除く要求がありうる。例えば、単一基板を加工する前(例えば、1つまたは複数の機能性部品を加えることによって)、単一基板を担体から取り除く要求がありうる。実施形態によっては、代替で、基板を1つまたは複数の機能性部品で単一基板に加工した後、基板を積層単一基板として生成する前に、単一基板を担体から取り除く要求がありうる。実施形態によっては、追加で、積層単一基板を含む基板から担体を取り除く要求がありうる。したがって、基板の特定の構成に関係なく、1つまたは複数の担体を基板から最終的に取り除く要求がありうる。実施形態によっては、基板の繊細な性質により、基板に接触せずに担体の1つを基板から取り除き、その後、他の担体を基板から取り除く要求がありうる。例えば、実施形態によっては、基板と担体との間の外周接合界面の所定の位置で剥離を開始するように要求がありうる。こうした剥離の開始により、応力を減らすことができ、その他の方法で剥離開始の工程がないと起こりうる基板および/または担体への可能な結果としての損傷を低減または排除できる。実施形態によっては、剥離開始の工程を提供することは、外周接合界面の相対的に小さい場所を狙って、第1の力で小さい領域にわたる最初の剥離を可能にし、それによって、実施形態によっては、第1の力に比べて低減されうる第2の力で、より容易に担体の基板からの除去を完了できうる(例えば、剥がすことによって)基板と担体の間の接合の弱い点を与えることであってもよい。実施形態によっては、開始領域は、剥離の前に、基板および/または担体の全体の寸法の一部を越えて延びてもよい。
【0041】
図1および図1の2-2線に沿う断面図を提供する図2に概略的に示すように、実施形態によっては、装置100は、第1の担体110、第2の担体120、および基板130を含んでもよい。追加で、図2の3における装置100の拡大図を提供する図3に示すように、実施形態によっては、第1の担体110は、第1の主面111および第1の主面111から第2の主面112まで画定された第1の担体110の厚さ「t1」を有する対向する第2の主面112を含んでもよい。同様に、第2の担体120は、第1の主面121および第1の主面121から第2の主面122まで画定された第2の担体120の厚さ「t2」を有する対向する第2の主面122を含んでもよい。同様に、基板130は、第1の主面131および第1の主面131から第2の主面132まで画定された基板130の厚さ「t3」を有する対向する第2の主面132を含んでもよい。実施形態によっては、第1の担体110の厚さ「t1」と第2の担体120の厚さ「t2」のうちの少なくとも1つは、約200マイクロメートルから約700マイクロメートルであってもよく、しかし、実施形態によっては、第1の担体110の厚さ「t1」と第2の担体120の厚さ「t2」のうちの少なくとも1つは、本開示の範囲から逸脱しない限り、開示に提供された明確な寸法より厚くても薄くてもよい。実施形態によっては、第1の担体110の第1の主面111は、第2の担体120の第1の主面121に面してもよい(例えば、直面する第1の主面111と第1の主面121との間で取り外し可能に接合された基板130と)。追加で、実施形態によっては、基板130の第1の主面131は、第1の担体110の第1の主面111に取り外し可能に接合されてもよく、基板130の第2の主面132は、第2の担体120の第1の主面121に取り外し可能に接合されてもよい。
【0042】
基板130は、第1のシート141および第2のシート142を含んでもよいが、単一のシートまたは3枚以上のシートが、さらなる実施形態で提供されてもよい。追加で、実施形態によっては、基板130は、ガラスおよびシリコンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、実施形態によっては、第1のシート141および第2のシート142のうちの少なくとも1つは、ガラスおよびシリコンのうちの少なくとも1つのシートを含んでもよい。図示の通り、実施形態によっては、基板130の第1の主面131は、第1のシート141の外側面によって画定されてもよく、基板130の第2の主面132は、第2のシート142の外側面によって画定されてもよい。追加で、第1のシート141の内側面133は、第2のシート142の内側面134に界面壁145で接合されてもよい。図示の通り、界面壁145は、単一壁を備えてもよいが、界面壁145は、さらなる実施形態では、複数の壁部またはその他の構成要素を備えてもよい。例えば、界面壁145は、内側界面壁部および内側界面壁部を囲む外側界面壁部を備えてもよい。実施形態によっては、外側面131から内側面133までを画定する第1のシート141の厚さ「t4」は、約50マイクロメートルから約300マイクロメートルであってもよい。同様に、実施形態によっては、外側面132から内側面134までを画定する第2のシート142の厚さ「t5」は、約50マイクロメートルから約300マイクロメートルであってもよい。
【0043】
図2に戻ると、実施形態によっては、基板130の外側部分135は、第1の担体110の外側部分115と第2の担体120の外側部分125との間に配置されてもよい。例えば、図3に示すように、実施形態によっては、第1のシート141の外側部分143および第2のシート142の外側部分144は、第1の担体110の外側部分115と第2の担体120の外側部分125との間に配置されてもよい。
【0044】
実施形態によっては、第1のシート141は、第1の担体110に取り外し可能に接合されて第1の接合構造体113を提供してもよい。同様に、実施形態によっては、第2のシート142は、第2の担体120に取り外し可能に接合されて第2の接合構造体123を提供してもよい。実施形態によっては、第1の接合構造体113は、第1の接合構造体113と同様に1つまたは複数の特徴を有する(例えば、同一または同様の大きさ)構成部品を取り扱うよう設計された機械および装置で加工されてもよい。実施形態によっては、第1の接合構造体113の加工は、例えば、1つまたは複数の機能性部品(例えば、カラーフィルタ305)を第1のシート141の内側面133に加えることを含んでもよい。実施形態によっては、第1のシート141は、相対的に可撓性の第1のシート141と相対的に硬い第1の担体110との接合に少なくとも基づいて、剛直であってもよい。例えば、第1の担体110から完全に剥離されたとき、第1のシート141は、薄い、可撓性のガラスを含んでもよく、その加工、取り扱い、および搬送は、第1の接合構造体113に第1の担体110から与えられる少なくとも追加の剛性なしでは、難しい可能性がある。同様に、実施形態によっては、第2の接合構造体123は、第2の接合構造体123と同様に1つまたは複数の特徴を有する(例えば、同一または同様の大きさ)構成部品を取り扱うよう設計された機械および装置で加工されてもよい。実施形態によっては、第2の接合構造体123の加工は、例えば、第2のシート142の内側面134に1つまたは複数の機能性部品(例えば、薄膜トランジスタ(TFT)構成部品310)を加えて第2のシート142を生成することを含んでもよい。実施形態によっては、第2のシート142は、相対的に可撓性の第2のシート142と相対的に硬い第2の担体120との接合に少なくとも基づいて、剛直であってもよい。例えば、第2の担体120から完全に剥離されたとき、第2のシート142は、薄い、可撓性のガラスを含んでもよく、その加工、取り扱い、および搬送は、第2の接合構造体123に第2の担体120から与えられる少なくとも追加の剛性なしでは、難しい可能性がある。
【0045】
さらに、実施形態によっては、基板130は、相対的に可撓性の基板130と相対的に硬い第1の担体110および第2の担体120との接合に少なくとも基づいて、剛直であってもよい。例えば、第1の担体110および第2の担体120から完全に剥離されたとき、基板130は、ディスプレイ用途の薄い、可撓性のガラスパネルを含んでもよく、その加工、取り扱い、および搬送は、基板130に第1の担体110および/または第2の担体120から与えられる少なくとも追加の剛性なしでは、難しい可能性がある。したがって、基板130の特定の構成に関係なく、実施形態によっては、装置100は、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに取り外し可能に接合せずに基板130を加工、取り扱い、および搬送した場合にその他の方法で起こりうる基板130へのチッピング、ひび割れ、ひっかき傷、こすり傷、すりむき、曲げ、破断、またはその他の損傷を低減しうる。したがって、装置100はまた、基板130の加工、取り扱い、および搬送を改善して、例えば、基板130を第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに取り外し可能に接合せずに基板130を加工することよりも、基板130を加工するより効果的な方法を提供することができる。さらに、以下でより完全に論じるように、装置100は、基板130と第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つとの間で剥離の開始を容易にする特徴ならびに剥離前縁を伝播することによって第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの、基板130からの完全な分離を容易にする特徴を提供することができる。
【0046】
装置100の加工の例示的な方法を、図3に示す装置100の拡大図の代替図を提供する図4および図5に概略的に図示する。制限ではなく単純化のため、基板130を、図3に示す第1のシート141、第2のシート142、および界面壁145を含むいくつかの特徴を示さずに図4および図5に概略的に図示する。追加で、装置100が開放可能に固定されうるプレート151を含むオプションの真空装置150と共に装置100を図示する。例えば、図1および図2に示すように、真空装置150は、真空プレート151の表面153に開く(例えば、実質的に平らな表面)1つまたは複数の真空ポート152を含みうる真空プレート151を含んでもよい。実施形態によっては、1つまたは複数の真空ポート152は、例えば、真空タンクまたは真空ポンプなどの真空源205と(図2に示す)選択的に流体連通してもよい。図2に示すように、真空導管206、例えば、可撓性ホースは、1つまたは複数の真空ポート152と真空源205の間に流体連通を提供することができる。実施形態によっては、真空チャンバ210は、1つまたは複数の真空ポート152が真空導管206および真空源205と流体連通するように、1つまたは複数の真空ポート152と流体連通してもよい。したがって、真空装置150は、装置100(例えば、第1の担体110、第2の担体120、基板130)をプレート151に対して定位置に開放可能に固定するよう使用されうる。
【0047】
実施形態によっては、プレート151は、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウムなど)、プラスチック、樹脂、または加えられた曲げモーメント下で実質的に曲げに耐えうるその他の材料で製造される硬い構造体を含んでもよい。したがって、装置100がプレート151に開放可能に固定されるとき、実施形態によっては、プレート151は、装置100に同様に剛性を与えうる。プレート151から与えられた剛性に基づいて、実施形態によっては、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上も、実質的に加えられた曲げモーメント下で曲げに耐えうる。実施形態によっては、装置100をプレート151に対して開放可能に固定することにより、人が適度に制御できるようになり、それにより第1の担体110および第2の担体120のどちらが基板130から解放されるか予想できる。例えば、第2の担体120をプレート151に対して開放可能に固定することにより、装置100の曲げは、主に第1の担体110に限定されうる。代替で、第1の担体110をプレート151に対して開放可能に固定することにより、装置100の曲げは、主に第2の担体120に限定されうる。同様に、第1の担体110または第2の担体120のうちの1つが、基板130から完全に分離される場合、基板130をプレート151に開放可能に固定することにより、装置100の曲げは、主に残りの第1の担体110または残りの第2の担体120に限定されうる。
【0048】
図示されてないが、実施形態によっては、1つまたは複数のスタンドオフがまた設けられて、装置100の表面とプレート151の表面153との間の実際の係合を防止してもよい。設けられた場合、スタンドオフは、例えば、1つまたは複数の真空ポート152を囲むリングなどの周辺のスタンドオフを含んでもよい。追加でまたは代替で、スタンドオフは、真空ポート152のパターンの至る所の、1つまたは複数の真空ポート152の間に分布する柱を含んでもよい。柱は、例えば、高分子材料などの様々な材料を含んでもよい。追加で、スタンドオフは、約1.6mm(例えば、インチの16分の1)の距離を延ばすが、その他の距離は、さらなる実施形態で使用されうる。さらに、実施形態によっては、装置100をプレート151に開放可能に固定することは、真空源205なしで達成されてもよく、接着結合またはその他の技術を含んでもよい。
【0049】
図1に概略的に示すように、実施形態によっては、ツール170を用いて、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離を開始してもよい。実施形態によっては、ツール170を基板130のラウンドコーナ171に向けた方向175で挿入してもよい。代替で、実施形態によっては、ツール170を基板130の面取りコーナ172に向けて挿入してもよい。同様に、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの面取りコーナ173に向けて、または第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つのラウンドコーナ174に向けて、ツール170を挿入してもよい。別途指定のない限り、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上のコーナは、本開示の範囲から逸脱せずに、ラウンドコーナ、面取りコーナ、またはその他の形状のコーナを含んでもよい。
【0050】
実施形態によっては、ツール170を用いて、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つと係合して、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに力を付与してもよい。したがって、実施形態によっては、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに付与された力に少なくとも基づいて、ツール170を用いて、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離を開始してもよい。実施形態によっては、ツール170はくさび(図示せず)を含んで、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つと係合して、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに力を付与してもよい。例えば、実施形態によっては、くさびを用いて、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130からこじ開けてもよい。追加で、実施形態によっては、ツール170は、ホイール外側面に高摩擦係数を有する回転可能ホイール(図示せず)を含んでもよい。実施形態によっては、回転可能ホイールを用いて、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つと係合して、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに力を付与してもよい。例えば、実施形態によっては、回転可能ホイールを用いて、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130からこじ開けてもよい。
【0051】
例えば、図4に示すように、実施形態によっては、方法は第1の担体110の外側部分に力115「F1」を付加することによって基板130と第1の担体110との間の外周接合界面の第1の位置400で剥離を開始して、第1の担体110の一部を基板130から分離することを含んでもよい。実施形態によっては、基板130のいずれの部分にも接触せず第1の担体110の外側部分115に力「F1」を加えてもよい。基板130といずれの接触も防ぐことは、基板130への直接の力の付加を避けることでもよく、それにより、その他の方法で、外周接合界面を破断しようとして基板130および第1の担体110のうちの少なくとも1つに物体(例えば、ブレード、くさび、摩擦ホイール)を直接接触する可能性があるその他の技術により起こりうる基板130を損傷する可能性を低減する。
【0052】
追加で、方法は、第1の担体110の外側部分115に力「F1」を付加すると同時に、第2の担体120の曲げを抑制することを含んでもよい。実施形態によっては、第2の担体120の曲げを抑制することは、第1の担体110の外側部分115に力「F1」を加えると同時に、第2の担体120の第2の主面122をプレート151に取り外し可能に取り付けて、第2の担体120の曲げを抑制することを含んでもよい。実施形態によっては、第2の担体120の曲げを抑制することは、基板130と第1の担体110との間の外周接合界面の第1の位置400で剥離を開始するよう促進することでもよい。以下でより完全に論じるように、実施形態によっては、方法は、基板130と第1の担体110との間でさらに剥離を開始して、第1の担体110を基板130から完全に分離することを含んでもよい。例えば、実施形態によっては、剥離装置600(図6に示す)を用いて、揚力および剥離力のうちの少なくとも1つを基板130に対して第1の担体110に加えて、剥離前縁を伝播かつ第1の担体110の第1の主面111を基板130の第1の主面131から剥離し、それにより、第1の担体110を基板130から完全に分離してもよい。
【0053】
別途指定のない限り、「吊上げる」および「剥離する」という用語は、重力の方向に対する剥離装置600の外観の特定の向きを示唆することを意図しない。むしろ、一実施形態では、「吊上げる」は、重力の方向に関係なく、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上の主面に実質的に垂直方向に起こる力または動きとして定義されうる。同様に、「剥離する」は、重力の方向に関係なく、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上の主面に実質的に平行方向に起こる力または動きとして定義されうる。このように、図面に示すように、実施形態によっては、剥離装置600は、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上の主面が、実質的に水平(例えば、重力の方向に垂直)であるように、重力の方向に対する向きで位置付けられうる。したがって、吊上げるは、実質的に垂直方向に(例えば、重力の方向に平行かつ対向して)起こりえ、剥離するは、実質的に水平方向(例えば、重力の方向に垂直)に起こりうる。代替で、実施形態によっては、剥離装置600は、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上の主面が、重力の方向に対して実質的に垂直ではない角度で方向付けられるように、重力の方向に対する向きで位置付けられうる。したがって、吊上げるは、重力の方向に対して実質的に0でない角度で方向付けられる、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上の主面に、実質的に垂直方向に起こりうる。同様に、剥離するは、重力の方向に対して実質的に垂直ではない角度の向きを有する、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上の主面に実質的に平行方向に起こりうる。
【0054】
図5に示すように、実施形態によっては、第1の担体110を基板130から完全に分離した後、方法は、力「F2」を第2の担体120に加えて、基板130と第2の担体120との間の外周接合界面の第2の位置500で剥離を開始して、第2の担体120の一部を基板130から分離することを含んでもよい。例えば、力「F2」は、第2の担体120の外側部分125に加えられてもよい。追加で、方法は、第2の担体120の外側部分125に力「F2」を付加すると同時に、基板130の曲げを抑制することを含んでもよい。実施形態によっては、基板130の曲げを抑制することは、第2の担体120の外側部分125に力「F2」を付加すると同時に、基板130の第1の主面131をプレート151に取り外し可能に取り付けて、基板130の曲げを抑制することを含んでもよい。例えば、実施形態によっては、第1の担体110を基板130から完全に分離した後、装置100を裏返して、第2の担体120を基板130から剥離されるように用意して、基板130をプレート151に向けて提供してもよい。実施形態によっては、基板130の曲げを抑制することは、基板130と第2の担体120との間の外周接合界面の第2の位置500で剥離を開始するよう促進することでもよい。以下でより完全に論じるように、実施形態によっては、方法は、基板130と第2の担体120との間でさらに剥離を開始して、第2の担体120を基板130から完全に分離することを含んでもよい。例えば、実施形態によっては、剥離装置600(図6に示すように)を用いて、揚力および剥離力のうちの少なくとも1つを基板130に対して第2の担体120に加えて、剥離前縁を伝播かつ第2の担体120の第1の主面121を基板130の第2の主面132から剥離し、それにより、第2の担体120を基板130から完全に分離してもよい。
【0055】
別途指定のない限り、基板130を加工する順序は、様々な任意の手順で起こり、本開示の範囲から逸脱しない限り、本開示の実施形態にしたがって、変更されてもよい。例えば、実施形態によっては、第1の担体110と基板130との間で剥離を開始することは、第2の担体120と基板130との間で剥離を開始する前に行われてもよい。追加で、実施形態によっては、第1の担体110と基板130との間でさらに剥離を開始することは、第1の担体110と基板130との間で剥離を開始した後で、第2の担体120の基板130からの剥離を開始する前または後、ならびに第2の担体120の基板130からのさらなる剥離を開始する前または後に行われてもよい。同様に、実施形態によっては、第2の担体120と基板130との間でさらなる剥離を開始することは、第2の担体120と基板130との間で剥離を開始した後で、基板130から第1の担体110の剥離を開始する前または後、ならびに基板130から第1の担体110のさらなる剥離を開始する前または後に行われてもよい。さらに、第1の担体110を基板130から完全に分離することは、第2の担体120の基板130からの剥離を開始すること、第2の担体120の基板130からのさらなる剥離を開始すること、および第2の担体120を基板130から完全に分離することのうちの1つ以上の前または後に行われてもよい。同様に、第2の担体120を基板130から完全に分離することは、第1の担体110の基板130からの剥離を開始すること、第1の担体110の基板130からのさらなる剥離を開始すること、および第1の担体110を基板130から完全に分離することのうちの1つ以上の前または後に行われてもよい。
【0056】
図3に戻ると、実施形態によっては、セットバックの横方向距離「d1」は、基板130の外側部分135の外周縁136と第1の担体110の外側部分115の外周縁117および第2の担体120の外側部分125の外周縁127のうちの少なくとも1つとの間の距離を画定しうる。実施形態によっては、基板130の外側部分135の外周縁136は、第1のシート141の外側部分143の外周縁147および第2のシート142の外側部分144の外周縁148のうちの少なくとも1つの最も外側の外観によって画定されうる。実施形態によっては、セットバックの横方向距離「d1」は、基板130の外側部分135の外周縁136から基板130から第1の担体110および基板130から第2の担体120のうちの少なくとも1つの剥離を開始する力が加えられる位置までの距離を画定しうる。例えば、図4に示すように、実施形態によっては、力「F1」を第1の担体110に加えて、基板130と第1の担体110との間の外周接合界面の第1の位置400で、第1の担体110の基板130からの剥離を開始してもよい。したがって、実施形態によっては、セットバックの横方向距離「d1」×力「F1」は、基板130と第1の位置400の第1の担体110との間の外周接合界面に加えられる曲げモーメントを画定しうる。同様に、図5に示すように、実施形態によっては、力「F2」を第2の担体120に加えて、基板130と第2の担体120との間の外周接合界面の第2の位置500での第2の担体120の基板130からの剥離を開始してもよい。したがって、実施形態によっては、セットバックの横方向距離「d1」×力「F2」は、基板130と第2の位置500の第2の担体120との間の外周接合界面に加えられる曲げモーメントを画定しうる。
【0057】
図3に戻ると、オフセットの横方向距離「d2」は、基板130の外側部分135の外周縁136と界面壁145の外周縁146との間に画定されうる。実施形態によっては、オフセットの横方向距離「d2」は、基板130の外周縁136から所定の寸法で離間される界面壁145を設けてもよい。したがって、実施形態によっては、界面壁145は、第1の担体110および第2の担体120に接触するまたは干渉する界面壁145の特徴なしで、第1のシート141と第2のシート142との間に強い、永久接合をもたらしうる。例えば、実施形態によっては、界面壁145は、エポキシを含んでもよい。追加で、実施形態によっては、界面壁145は、ガラス(例えば、焼結フリット)を含むフリットを含んでもよい。実施形態によっては、オフセットの横方向距離「d2」は、基板130の周辺周囲に延びる境界に対して一定であってもよく、またはオフセットの横方向距離「d2」は、基板130の周辺周囲に延びる境界に対して変化してもよい。
【0058】
剥離を開始した後、剥離前縁を伝播する例示的な方法は(例えば、図4および図5に示すように)、ここで、図6から図16を参照して説明する。例えば、図6に示すように、実施形態によっては、剥離装置600は、複数の吸着カップ650を含んでもよい。実施形態によっては、複数の吸着カップ650の各吸着カップ(例えば、吸着カップ651)は、対応するシャフト(例えば、シャフト652)に取り付けられてもよい。実施形態によっては、剥離装置600は、複数の吸着カップ650の各シャフト652が動作可能に結合されうるフレーム620を含んでもよい。実施形態によっては、コントローラ625が設けられて、1つまたは複数の通信ライン630を介して複数の吸着カップ650と通信できる。実施形態によっては、コントローラ625は、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、ディスクリートコントローラ、回路、コンピュータ、またはロボットまたは人間のユーザが、複数の吸着カップ650の任意の1つ以上のタイミング(例えば、逐次タイミング)動作を含むが、それに限定されない剥離装置600の1つまたは複数の動作を選択、調整、開始、停止、またはその他の方法で制御しうる能動的ユーザインタフェースまたは受動的ユーザインタフェースを含む、その他の機械的制御機構または電子的制御機構のうちのいずれか1つ以上を含んでもよい。実施形態によっては、剥離装置600は、コントローラを備えてまたはコントローラなしで部分的あるいは全体的に手動で動作されてもよい。
【0059】
実施形態によっては、コントローラ625は、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上のうちの1つまたは複数の機構を独立して動作可能である。例えば、実施形態によっては、コントローラ625は、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上の真空機能を独立して動作して、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上から吸着力を与えうる。したがって、実施形態によっては、複数の吸着カップ650の吸着カップのいずれかは独立して動作可能で、例えば、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを開放可能に係合し、かつ/または係脱してもよい。実施形態によっては、コントローラ625は、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上の機械的機能を独立して動作して、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上を独立して移動可能(例えば、上げるまたは下げるのうちの少なくとも1つ)である。したがって、実施形態によっては、複数の吸着カップ650の吸着カップのいずれかは独立して動作可能で、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに対して移動可能でありうる。実施形態によっては、複数の吸着カップ650は、列に並べられてもよい(例えば、第1の列601、第2の列602、第3の列603、第4の列604、第5の列605、第6の列606、第7の列607、第8の列608、第9の列609、第10の列610)。実施形態によっては、複数の吸着カップ650の吸着カップの1つ以上の列は独立して動作可能で、例えば、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つと開放可能に係合し、かつ/または係脱してもよい。同様に、実施形態によっては、複数の吸着カップ650の吸着カップの1つ以上の列は独立して動作可能で、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに対して移動可能でありうる。
【0060】
別途指定のない限り、複数の吸着カップ650のうちの特定の数の吸着カップならびに特定の数の吸着カップの列は、本開示を制限することを意図するものではない。したがって、実施形態によっては、剥離装置600を本開示の実施形態にしたがって変更して、本開示の範囲から逸脱しない限り、任意の数の吸着カップならびに任意の数の吸着カップの列を含んでもよい。実施形態によっては、複数の吸着カップ650のうちの特定の数の吸着カップならびに特定の数の吸着カップの列は、例えば、装置100の大きさ、剥離装置600から供給されることが望まれる真空力、および吸着カップの大きさまたはその他の特性のうちの1つ以上に基づきうる。さらに、別途指定のない限り、吸着カップの特定の図示した形状(例えば、円形)は、本開示の範囲を制限することを意図しない。実施形態によっては、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上の吸着カップは、例えば、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つと係合するとき、曲がるよう順応する。例えば、実施形態によっては、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上の吸着カップは、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの主面に垂直な縦方向に(例えば、それぞれのシャフト652の軸に沿って)移動してもよく(例えば、上げるまたは下げるのうちの少なくとも1つ)、また縦方向に対して垂直な軸の周りを曲がってもよい。同様に、実施形態によっては、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上の吸着カップは、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに対して枢動自在であってもよい。例えば、実施形態によっては、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上の吸着カップは、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの主面に垂直な縦方向に移動してもよく(例えば、上げるまたは下げるのうちの少なくとも1つ)、また縦方向に対して垂直な軸の周りを枢動自在であってもよい。実施形態によっては、弾力のある、または枢動自在な吸着カップは、例えば、第1の担体110および第2の担体120の少なくとも1つを実質的に順応しない(例えば、硬い)吸着カップまたは第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに対して枢動に耐える吸着カップと係合するときなど、その他の方法で起こりうる、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上に応力集中を引き起こす可能性を低減しうる。したがって、実施形態によっては、複数の吸着カップ650のうちの1つ以上の吸着カップは、本開示の実施形態にしたがって、変更されて、本開示の範囲から逸脱しない限り、様々な形状およびその他の特性を含んでもよい。
【0061】
実施形態によっては、基板130を加工する方法は、第1の剥離された位置(例えば、図4に示す第1の位置400)から第1の方向700(図7および図8に示す)に沿って第1の剥離された位置400から離れて延びる、第1の剥離前縁(例えば、第1の剥離前縁900、1000、1100)を伝播することを含んでもよい。図7は、図6の7-7線に沿う剥離装置600の概略図を提供し、図8は、図7の剥離装置600の代替の実施形態を提供する。実施形態によっては、第1の剥離前縁900、1000、1100は、第1の担体110の第1の主面111を基板130の第1の主面131に取り外し可能に接合する接合が、剥離されている(例えば、伝播の第1の方向700に対して第1の剥離前縁900、1000、1100の後ろ)から接合されている(例えば、伝播の第1の方向700に対して第1の剥離前縁900、1000、1100の前)へ移行する、第1の担体110の第1の主面111と基板130の第1の主面131との間の位置として画定されてもよい。したがって、第1の担体110が基板130から剥がされるに連れ、第1の剥離前縁は、第1の方向700に沿って順次伝播しうる。実施形態によっては、基板130を加工する方法は、第1の担体110が基板130から完全に分離されるまで、第1の剥離前縁900、1000、1100の伝播を止めることなく、第1の剥離前縁900、1000、1100を伝播し続けることを含んでもよい。
【0062】
実施形態によっては、基板130を加工する方法は、第1の担体110の対応する複数の第1の連続する吊上げ位置(例えば、図6に示す、第1の連続する吊上げ位置671、第2の連続する吊上げ位置672、第3の連続する吊上げ位置673、第4の連続する吊上げ位置674、第5の連続する吊上げ位置675、第6の連続する吊上げ位置676、第7の連続する吊上げ位置677、第8の連続する吊上げ位置678、第9の連続する吊上げ位置679、第10の連続する吊上げ位置680)で複数の揚力を第1の担体110に順次加えることによって、第1の剥離前縁900、1100、1100を伝播することを含んでもよい。実施形態によっては、第1の剥離前縁900、1000、1100が、第1の担体110の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後で、複数の揚力の各揚力が、複数の第1の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で順次加えられてもよい。
【0063】
例えば、図9から図11は、第1の担体110の対応する複数の第1の連続する吊上げ位置671、672、673、674、675、676、677、678、679、680で第1の担体110に複数の揚力を順次加えることによって、第1の剥離前縁900、1000、1100を伝播する例示的な方法を示す。第1の剥離前縁の動的な伝播を概略的に図示するため、図9から図11に個別に図示するように、各代表的な瞬時の時間が第1の剥離前縁の連続する伝播中の個別の瞬時の時間に起こるという理解で、第1の剥離前縁の連続する伝播の3つの代表的な瞬時の時間を図7および図8に同時に示す。例えば、図9は、第1の個別の瞬時の時間の第1の剥離前縁900を示し、図10は、図9の第1の個別の瞬時の時間の後に起こる第2の個別の瞬時の時間の第1の剥離前縁1000を示し、図11は、図10の第2の個別の瞬時の時間の後に起こる第3の個別の瞬時の時間の第1の剥離前縁1100を示す。追加で図12は、第1の担体110が基板130から完全に分離されるまでの、図9から図11の第1の剥離前縁900、1000、1100を伝播する例示的な方法を示す。例えば、図12は、図11の第3の個別の瞬時の時間の後で起こる第4の個別の瞬時の時間の基板130を加工する方法を示す。
【0064】
図7および図8に戻ると、図示のように、基板130と第1の担体110との間の外周接合界面の第1の位置400は、基板130と第1の担体110との間で剥離が開始された(例えば、図4に示すように)基板130の角部を含んでもよい。実施形態によっては、基板130の角部は、基板130の第1の縁401と第2の縁402との交点で画定されうる。図7に示すように、実施形態によっては、基板130と第1の担体110との間の外周接合界面の第1の位置400を延ばして(例えば、広げる)、基板130の外周縁(例えば、全体的な第1の縁401)を含んでもよい。したがって、図示のように、実施形態によっては、第1の方向700は、基板130の外周縁401に対して垂直に、基板130を横切って延びてもよい。代替で、図8に示すように、第1の方向700は、基板130を斜めに横切って基板130の角部から(例えば、第1の縁401と第2の縁402との交点から)延びてもよい。
【0065】
実施形態によっては、第1の担体110を基板130から完全に分離した後、基板130を加工する方法は、第2の剥離された位置500から離れて延びる第2の方向800(図7および図8に示す)に沿って第2の剥離された位置(例えば、図5に示す第2の位置500)から第2の剥離前縁(例えば、第2の剥離前縁1300、1400、1500)を伝播することを含んでもよい。第2の剥離前縁1300、1400、1500は、第2の担体120の第1の主面121を基板130の第2の主面132に取り外し可能に接合する接合が、剥離されている(例えば、伝播の第2の方向800に対して第2の剥離前縁1300、1400、1500の後ろ)から接合されている(例えば、伝播の第2の方向800に対して第2の剥離前縁1300、1400、1500の前)へ移行する、第2の担体120の第1の主面121と基板130の第2の主面132との間の位置として画定されてもよい。したがって、第2の担体120が基板130から剥がされるに連れ、第2の剥離前縁は、第2の方向800に沿って順次伝播しうる。実施形態によっては、基板130を加工する方法は、第2の担体120が基板130から完全に分離されるまで、第2の剥離前縁1300、1400、1500の伝播を止めることなく、第2の剥離前縁1300、1400、1500を伝播し続けることを含んでもよい。
【0066】
実施形態によっては、基板130を加工する方法は、第2の担体120の対応する複数の第2の連続する吊上げ位置(例えば、図13に示す、第1の連続する吊上げ位置681、第2の連続する吊上げ位置682、第3の連続する吊上げ位置683、第4の連続する吊上げ位置684、第5の連続する吊上げ位置685、第6の連続する吊上げ位置686、第7の連続する吊上げ位置687、第8の連続する吊上げ位置688、第9の連続する吊上げ位置689、第10の連続する吊上げ位置690)で複数の揚力を第2の担体120に順次加えることによって、第2の剥離前縁1300、1400、1500を伝播することを含んでもよい。実施形態によっては、第2の剥離前縁1300、1400、1500が、第2の担体120の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後で、複数の揚力の各揚力が、第2の複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で順次加えられてもよい。
【0067】
例えば、図13から図15は、第2の担体120の対応する複数の第2の連続する吊上げ位置681、682、683、684、685、686、687、688、689、690で第2の担体120に複数の揚力を順次加えることによって、第2の剥離前縁1300、1400、1500を伝播する例示的な方法を示す。第2の剥離前縁の動的な伝播を概略的に図示するため、図13から図15に個別に図示するように、各代表的な瞬時の時間が第2の剥離前縁の連続する伝播中の個別の瞬時の時間に起こるという理解で、第2の剥離前縁の連続する伝播の3つの代表的な瞬時の時間を図7および図8に同時に示す。例えば、図13は、第1の個別の瞬時の時間の第2の剥離前縁1300を示し、図14は、図13の第1の個別の瞬時の時間の後に起こる第2の個別の瞬時の時間の第2の剥離前縁1400を示し、図15は、図14の第2の個別の瞬時の時間の後に起こる第3の個別の瞬時の時間の第2の剥離前縁1500を示す。追加で、図16は、第2の担体120が、基板130から完全に分離されるまで図13から図15の第2の剥離前縁1300、1400、1500を伝播する例示的な方法を示す。例えば、図16は、図15の第3の個別の瞬時の時間の後で起こる第4の個別の瞬時の時間の基板130を加工する方法を示す。
【0068】
図7および図8に戻ると、図示の通り、基板130と第2の担体120との間の外周接合界面の第2の位置500は、基板130と第2の担体120との間で剥離が開始された(例えば、図5に示すように)基板130の角部を含んでもよい。実施形態によっては、基板130の角部は、基板130の第1の縁401と第2の縁402との交点で画定されうる。図7に示すように、実施形態によっては、基板130と第2の担体120との間の外周接合界面の第2の位置500を延ばして(例えば、広げる)、基板130の外周縁(例えば、全体的な第1の縁401)を含んでもよい。したがって、図示のように、実施形態によっては、第2の方向800は、基板130の外周縁401に対して垂直に、基板130を横切って延びてもよい。代替で、図8に示すように、第2の方向800は、基板130を斜めに横切って基板130の角部(例えば、第1の縁401と第2の縁402との交点から)から延びてもよい。
【0069】
実施形態によっては、基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つを伝播することにより、例えば、基板130を横切る外周縁401に対して垂直な第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも1つを伝播するより、より滑らかな(例えば、より流れるような)それぞれの剥離前縁の伝播が提供されてもよい。追加で、実施形態によっては、基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つを伝播することは、例えば、基板130を横切る外周縁401に対して垂直な第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも1つを伝播するとき、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥がすのに相当する力より、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥がすために必要な力がより少なくてもよい。
【0070】
例えば、実施形態によっては、基板130の曲げ剛性は、不均一であってもよく、基板130の1つまたは複数の局部的な位置の基板130の局部的な剛性に応じて変化してもよい。例えば、実施形態によっては、界面壁145は、基板130の局部的な剛性を変えるまたは制御してもよく、それにより、加えられた曲げモーメントに対する基板130の向きに応じて、基板130の曲げ剛性が不均一であってもよい。基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つを伝播することにより、基板130の不均一な曲げ剛性に適応(例えば、埋め合わせる)しうる。例えば、実施形態によっては、界面壁145は、基板130の周囲境界に沿って延びてもよく、実施形態によっては、剥離前縁が基板130を横切って外周縁401に対して垂直に伝播されるとき、周囲境界の少なくとも一部が、剥離前縁の伝播の方向に対して実質的に平行に延びてもよい。界面壁145の周囲境界の少なくとも一部と基板130を横切る外周縁401に対して垂直な伝播の方向との実質的に平行な整列により、実施形態によっては、剥離前縁の伝播が引き止められるまたは妨害される場合がある。伝播の妨害を克服するため、実施形態によっては、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離する剥離力を増加してもよい。しかし、加力が増加すると、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上を損傷する可能性も増える可能性がある。例えば、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥がす力を加えて剥離前縁を伝播することは、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上に圧力を加えることでありうる。したがって、加力を増加すると、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上に応力の増加をもたらしうる。
【0071】
代替で、基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つを伝播することにより、剥離前縁の伝播の引き止めまたは妨害を減少または除外する場合がある。すなわち、基板130を斜めに横切る剥離前縁を伝播することにより、その他の方法で、界面壁145の周囲境界の少なくとも一部と基板130を横切る外周縁401に対して垂直な伝播の方向との実質的に平行な整列を変えうる。このように、界面壁145の周囲境界の少なくとも一部と伝播の方向との実質的に平行でない整列(例えば、斜め整列)により、界面壁145の周囲境界の少なくとも一部と伝播の方向との実質的に平行な整列より、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥がす比較的少ない加力での剥離の連続した伝播をもたらしうる。したがって、実施形態によっては、基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つを伝播することにより、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上の応力を低減かつ最小化しうる。したがって、剥離前縁を伝播するため力を加えることに基づく、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上を損傷する可能性は、同様にまた、低減かつ最小化されうる。
【0072】
さらに、実施形態によっては、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から完全に分離することに関して、基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つを伝播することは、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から、より緩やかで、より制御可能な完全な分離をもたらす方法で、それぞれ第1の方向700に対する第1の位置400および第2の方向800に対する第2の位置500のうちの少なくとも1つに対向する基板130の一部に到達するよう剥離前縁を制御しうる。例えば、図8に示すように、基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つを伝播することは、基板130からの第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの剥離および完全な分離がより制御可能で、より穏やかな方法で、実施されうるように、剥離前縁を制御して、基板130の対向する縁403、404に異なる時間に到達し(かつそれに沿って伝播する)、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上に圧力を加え損傷を与える可能性を低減する。
【0073】
逆に、図7に示すように、基板130を横切って基板130の外周縁401に対して垂直な第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも1つを伝播することで、剥離前縁を制御して、実質的に瞬時の時間に基板130の対向する縁403に到達する(かつ、それに沿って伝播する)。実施形態によっては、基板130の対向する縁403全体の最終剥離が実質的に瞬時の時間に起きる、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から完全に分離しようとすると、基板130からの第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの突然かつあまり制御可能でない剥離および完全な分離をもたらしうる。このように、実施形態によっては、基板130の対向する縁403全体の最終剥離が実質的に瞬時の時間に起きる、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から完全に分離しようとすると、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上に圧力を加え、損傷を与える可能性がある。したがって、基板130を斜めに横切る第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも一つ(例えば、図8に示すように)を伝播することにより、実施形態によっては、例えば、基板130を横切って(例えば、図7に示すように)基板130の外周縁401に垂直な第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも1つを伝播するより、基板130を加工するより効果的かつより信頼できる方法を提供しうる。
【0074】
図7および図8に示すように、複数の吸着カップ650のうちの吸着カップの列601、602、603、604、605、606、607、608、609、610は、第1の方向700および第2の方向800のうちの少なくとも1つに沿って配置されうる。実施形態によっては、複数の揚力(例えば、吸着カップのそれぞれの列からの揚力)は、第1の担体110(図6に示す)のそれぞれの第1の複数の連続する吊上げ位置671、672、673、674、675、676、677、678、679、680の対応する吊上げ位置および第2の担体120(図13に示す)の第2の複数の連続する吊上げ位置681、682、683、684、685、686、687、688、689、690で順次加えられうる。実施形態によっては、複数の揚力(例えば、吸着カップのそれぞれの列からの揚力)は、第1の剥離前縁900、1000、1100が、第1の担体110の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後(例えば、第1の担体110を基板130から剥離するとき)、および第2の剥離前縁1300、1400、1500が第2の担体120の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後(例えば、第2の担体120を基板130から剥離するとき)で、順次加えられてもよい。例えば、実施形態によっては、基板130から(例えば、図1に示す、ツール170を用いて)第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの剥離を開始した後、複数の揚力(例えば、吸着カップのそれぞれの列からの揚力)は、第1の担体110および第2の担体120の対応する吊上げ位置で順次加えられうる。
【0075】
第1の担体110および第2の担体120の対応する吊上げ位置でそれぞれの連続揚力を順次加えることは、基板130に対する第1の担体110の剥離および基板130に対する第2の担体120の剥離に基づいて、第1の担体110と基板130との間および第2の担体120と基板130との間を剥離することを容易にしうる。実施形態によっては、基板130から離れる第1の担体110の並進移動(例えば、吊上げ)および基板130から離れる第2の担体120の吊上げと比較して剥離は、それぞれの剥離前縁のより制御可能な伝播をもたらしうる。さらに、実施形態によっては、剥離によって剥離前縁を伝播することは、並進移動(例えば、吊上げ)によって剥離前縁を伝播するために要求される力と比較して比較的小さい力を加えることで達成されうる。したがって、第1の担体110を基板130から剥離するとき、第1の剥離前縁900、1000、1100が第1の担体110の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、吸着カップのそれぞれの列から揚力を順次加えることにより、剥離力(揚力ではない)を第1の担体110に加えて、第1の剥離前縁900、1000、1100を伝播し、第1の担体110を基板130から剥離する。同様に、第2の担体120を基板130から剥離するとき、第2の剥離前縁1300、1400、1500が、第2の担体120の対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、吸着カップのそれぞれの列から揚力を順次加えることにより、剥離力(揚力ではない)を第2の担体120に加えて、第2の剥離前縁1300、1400、1500を伝播し、第2の担体120を基板130から剥離する。
【0076】
したがって、第1の担体110が基板130から剥がされるに連れ、第1の剥離前縁900、1000、1100は、第1の方向700に沿って順次伝播しうる。同様に、第2の担体120が基板130から剥がされるに連れ、第2の剥離前縁1300、1400、1500は、第2の方向800に沿って順次伝播しうる。実施形態によっては、基板130を加工する方法は、第1の担体110が基板130から完全に分離されるまで、第1の剥離前縁900、1000、1100の伝播を止めることなく、第1の剥離前縁900、1000、1100を伝播し続けることを含んでもよい。同様に、実施形態によっては、基板130を加工する方法は、第2の担体120が基板130から完全に分離されるまで、第2の剥離前縁1300、1400、1500の伝播を止めることなく、第2の剥離前縁1300、1400、1500を伝播し続けることを含んでもよい。実施形態によっては、伝播を止めることなく剥離前縁を伝播し続けることにより、加力を低減して、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離できる。例えば、剥離前縁の伝播が始まると、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130に接合する位置エネルギーが解放され、剥離前縁を前進させるために、伝播は、例えば、動的接合エネルギーに打ち勝つことによって継続されうる。このように、剥離前縁の伝播が始まると、剥離前縁の伝播を止めることなく剥離前縁を伝播し続けて、剥離前縁が静止しているときに存在する、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130に接合する位置エネルギーに打ち勝つ必要を避けるので有利でありうる。
【0077】
したがって、剥離前縁が、対応する吊上げ位置を過ぎて伝播し、それにより第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離した(例えば、剥離を止めずに剥離し続けた)後、吸着カップのそれぞれの列から揚力を順次加えることによって、本開示の特徴は、加力を低減して、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離しうる。追加で、剥離前縁が、対応する吊上げ位置を過ぎて伝播し、それにより第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離した(例えば、剥離を止めずに剥離し続けた)後、吸着カップのそれぞれの列から揚力を順次加えることによって、実施形態によっては、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上に圧力を加え、かつ損傷を与える可能性が同様に低減されうる。したがって、剥離前縁が対応する吊上げ位置を過ぎて伝播し、それにより、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つを基板130から剥離した(例えば、剥離を止めずに剥離し続けた)後、吸着カップのそれぞれの列から揚力を順次加えることによって第1の剥離前縁900、1000、1100および第2の剥離前縁1300、1400、1500のうちの少なくとも1つを伝播することは、実施形態によっては、基板130を加工するより効果的かつより信頼できる方法を提供しうる。例えば、図6に示すように、実施形態によっては、複数の吸着カップ650が、第1の剥離前縁900、1000、1100を伝播する前に、第1の担体110と係合してもよい(例えば、接触し、吸着力を提供する)。例えば、実施形態によっては、第1の剥離前縁900、1000、1100がそれぞれの吸着カップを過ぎて伝播した後、第1の剥離前縁900、1000、1100が第1の方向700に沿ってそれぞれの吸着カップから下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、吸着カップの列)を過ぎて伝播する前に、複数の吸着カップ650が、第1の担体110と係合して、複数の揚力が複数の吸着カップ650のうちのそれぞれの吸着カップ(例えば、吸着カップの列)によって順次加えられてもよい。同様に、図示されていないが、実施形態によっては、第2の剥離前縁1300、1400、1500を伝播する前に、複数の吸着カップ650が、第2の担体120と係合してもよい(例えば、接触し、吸着力を提供する)。例えば、実施形態によっては、第2の剥離前縁1300、1400、1500がそれぞれの吸着カップを過ぎて伝播した後、第2の剥離前縁1300、1400、1500が第2の方向800に沿ってそれぞれの吸着カップから下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、吸着カップの列)を過ぎて伝播する前に、複数の吸着カップ650が、第2の担体120と係合して、複数の揚力が複数の吸着カップ650のうちのそれぞれの吸着カップ(例えば、吸着カップの列)によって順次加えられてもよい。
【0078】
例えば、図9に示すように、基板130を加工する方法は、第1の剥離前縁900が、第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置671を過ぎて伝播した後、連続揚力「F1」を第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置671に加えること(例えば、複数の吸着カップ650の列601を吊り上げることによって)を含んでもよい。追加で、実施形態によっては、第1の剥離前縁900が第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置671を過ぎて伝播した後、第1の剥離前縁900が伝播方向に沿ってそれぞれの吸着カップの列601から下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、列602)を過ぎて伝播する前に、連続揚力「F1」を、第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置671に加えてもよい。図10に示すように、図9の第1の剥離前縁900が図示のように第1の剥離前縁1000によって伝播されると、基板130を加工する方法は、第1の剥離前縁1000が第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置674を過ぎて伝播した後、連続揚力「F4」を第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置674にさらに加えること(例えば、複数の吸着カップ650の列604を吊り上げることによって)を含んでもよい。追加で、実施形態によっては、第1の剥離前縁1000が第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置674を過ぎて伝播した後で、かつ第1の剥離前縁1000が伝播方向に沿ってそれぞれの吸着カップの列604から下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、列605)を過ぎて伝播する前に、連続揚力「F4」を第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置674に加えてもよい。図11に示すように、図10の第1の剥離前縁1000が図示のように第1の剥離前縁1100によって伝播すると、基板130を加工する方法は、第1の剥離前縁1100が第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置679を過ぎて伝播した後、第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置679に連続揚力「F9」を加えること(例えば、複数の吸着カップ650の列609を吊上げることによって)をさらに含んでもよい。追加で、実施形態によっては、第1の剥離前縁1100が第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置679を過ぎて伝播した後で、かつ第1の剥離前縁1100が伝播方向に沿ってそれぞれの吸着カップの列609から下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、列610)を過ぎて伝播する前に、連続揚力「F9」を、第1の担体110の対応する連続する吊上げ位置679に加えてもよい。
【0079】
図12に示すように、第1の剥離前縁900、1000、1100が伝播して、第1の担体110が基板130から完全に分離されると、複数の吸着カップ650は、第1の担体110を解放可能に保持しうる。追加で、実施形態によっては、基板130を加工する方法は、複数の揚力(例えば、「F1」、「F4」、「F9」)を第1の担体110に順次加えると同時に、第2の担体120の曲げを抑制すること含んでもよい。実施形態によっては、第2の担体120の曲げを抑制することは、複数の揚力(例えば、「F1」、「F4」、「F9」)を第1の担体110に順次加えると同時に、第2の担体120の第2の主面122をプレート151に取り外し可能に取り付けて、第2の担体120の曲げを抑制することを含んでもよい。
【0080】
図13に示すように、第1の担体110を基板130から完全に分離した後、基板130を加工する方法は、第2の剥離前縁1300が、第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置681を過ぎて伝播した後、第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置681に連続揚力「F1」を加えること(例えば、複数の吸着カップ650の列601を吊り上げることによって)を含んでもよい。追加で、実施形態によっては、第2の剥離前縁1300が第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置681を過ぎて伝播した後、第2の剥離前縁1300が伝播方向に沿ってそれぞれの吸着カップの列601から下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、列602)を過ぎて伝播する前に、連続揚力「F1」を、第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置681に加えてもよい。図14に示すように、図13の第2の剥離前縁1300が、図示のように第2の剥離前縁1400によって伝播すると、基板130を加工する方法は、第2の剥離前縁1400が第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置684を過ぎて伝播した後、第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置684に連続揚力「F4」を加えること(例えば、複数の吸着カップ650の列604を吊り上げることによって)をさらに含んでもよい。追加で、実施形態によっては、第2の剥離前縁1400が第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置684を過ぎて伝播した後で、かつ第2の剥離前縁1400が伝播方向に沿ってそれぞれの吸着カップの列604から下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、列605)を過ぎて伝播する前に、連続揚力「F4」を、第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置684に加えてもよい。図15に示すように、図14の第2の剥離前縁1400が、図示のように第2の剥離前縁1500によって伝播すると、基板130を加工する方法は、第2の剥離前縁1500が第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置689を過ぎて伝播した後、第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置689に連続揚力「F9」を加えること(例えば、複数の吸着カップ650の列609を吊り上げることによって)をさらに含んでもよい。追加で、実施形態によっては、第2の剥離前縁1500が第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置689を過ぎて伝播した後で、かつ第2の剥離前縁1500が伝播方向に沿ってそれぞれの吸着カップの列609から下流に配置された複数の吸着カップ650のうちの直ぐ隣接する吸着カップ(例えば、列610)を過ぎて伝播する前に、連続揚力「F9」を、第2の担体120の対応する連続する吊上げ位置689に加えてもよい。
【0081】
図16に示すように、第2の剥離前縁1300、1400、1500が伝播して、第2の担体120が基板130から完全に分離されると、複数の吸着カップ650は、第2の担体120を開放可能に保持しうる。追加で、実施形態によっては、基板130を加工する方法は、複数の揚力(例えば、「F1」、「F4」、「F9」)を第2の担体120に順次加えると同時に、基板130の曲げを抑制すること含んでもよい。実施形態によっては、基板130の曲げを抑制することは、複数の揚力(例えば、「F1」、「F4」、「F9」)を第2の担体120に加えると同時に、基板130の第1の主面131をプレート151に取り外し可能に取り付けて、基板130の曲げを抑制することを含んでもよい。
【0082】
追加で、実施形態によっては、装置100を開放可能に固定するプレート151の機能により、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つに加えられうる力の量も制限されてもよい。例えば、装置100をプレート151に開放可能に固定する反作用より大きい加力(例えば、剥離装置600による)は、剥離前縁の伝播(例えば、完全な剥離)の前に装置100をプレート151から分離しうる。したがって、実施形態によっては、例えば、第1の担体110、第2の担体120、および基板130のうちの1つ以上が破断する前に、装置100をプレート151に開放可能に固定する反作用を選択して、装置100がプレート151から意図的に分離する加力(例えば、剥離装置600による)に対する閾値を与えてもよい。
【0083】
実施形態によっては、基板130を加工する方法は、熱電気効果に基づいて、基板130と第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも一つとの間の接合エネルギーを低減することを適宜含んでもよい。例えば、実施形態によっては、基板130と第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも一つとの間の接合エネルギーを低減することは、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの温度を下げることを含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの温度を下げることは、接合エネルギーを減らすので、例えば、熱電気効果に基づいて、基板130と第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも一つとの間の接合エネルギーを減らさずに剥離前縁を伝播する力より、比較的小さい力を加えて(例えば、剥離装置600によって)、剥離前縁を伝播できるように、接合力を減らすと信じられている。
【0084】
さらに、実施形態によっては、基板130を加工する方法は、消イオン作用に基づいて、基板130と第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも一つとの間の接合エネルギーを低減することを適宜含んでもよい。例えば、実施形態によっては、基板130と第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも一つとの間の接合エネルギーを低減することは、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つの基板130からの剥離の間に発生した静電気を中和することを含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、剥離中に発生した静電気を中和することは、接合エネルギーを減らすので、例えば、消イオン作用に基づいて、基板130と第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも一つとの間の剥離中に発生する静電気を中和せずに剥離前縁を伝播する力より、比較的小さい力を加えて(例えば、剥離装置600によって)剥離前縁を伝播できるように、接合力を減らすと信じられている。
【0085】
本明細書で使用される「接合」、「接合エネルギー」、および「接合強度」は、動的せん断強度、動的剥離強度、静的せん断強度、静的剥離強度およびその組み合わせのいずれか1つ以上を指してもよい。例えば、剥離強度は、剥離モードで、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つと基板130との間で接合界面に加えられた応力による、故障を開始する(例えば、静的)かつ/または指定された故障率(例えば、動的)を維持する単位幅当たりの力である。せん断強度は、せん断モードで、第1の担体110および第2の担体120のうちの少なくとも1つと基板130との間で接合界面に加えられた応力による、故障を開始する(例えば、静的)かつ/または指定された故障率(例えば、動的)を維持する単位幅当たりの力である。任意の適切な方法を使用して、任意の適切な剥離強度試験および/またはせん断強度試験を含む接合強度を決定してもよい。
【0086】
本明細書で使用される方向を表す用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部)は、図示の図面を参照するためにのみ使用され、絶対的な方向を示唆する意図はない。
【0087】
本明細書で使用される用語「その(the)」、「1つの(a)」、または、「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」を意味し、逆に別段の指示がない限り、「ただ1つ」に制限されるべきではない。したがって、例えば、「1つの構成要素」に対する参照は、2つ以上のこうした構成要素を有する実施形態を含むが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0088】
本明細書で使用される用語「約」は、量、大きさ、公式、パラメータ、およびその他の数量を意味し、特徴は正確でないかつ正確である必要がないが、公差、変換率、丸め、測定誤差などおよび当業者には既知のその他の要因を反映して、必要に応じて、およそおよび/またはより大きいもしくはより小さいであってもよい。用語「約」が範囲の値または終了点を説明する際に使用されるとき、本開示は、参照される特定の値または終了点を含むことを理解されたい。本明細書内の範囲の数値または終了点が「約」を列挙しているかどうかに関わらず、範囲の数値または終了点は、「約」によって修正されたものおよび「約」によって修正されていないものの2つの実施形態を含むことが意図される。さらに当然のことながら、範囲のそれぞれの終了点は、その他の終了点との関係でおよびその他の終了点と無関係に重要である。
【0089】
本明細書で使用される用語「実質的」、「実質的に」およびその変形は、説明された特徴が、値または記述に対して等しいまたはおよそ等しいことに言及することを意図する。例えば、「実質的に平らな」面は、平坦またはおよそ平坦な表面を示すことを意図する。さらに、上記に定義したように、「実質的に」は、2つの値が等しいまたはおよそ等しいと示すことを意図する。実施形態によっては、「実質的に」は、互いの約5%以内、または互いの約2%以内など、互いの約10%以内の値を示してもよい。
【0090】
上記の実施形態、およびそれら実施形態の特徴は、例示であり、本開示の範囲から逸脱しない限り、単独または本明細書に提供されたその他の実施形態の任意の1つ以上の特徴との任意の組み合わせで提供されうる。
【0091】
本開示の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示に対して様々な変更および変形が行われうることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲であるならば、本開示の変更および変形を網羅することが意図される。
【0092】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0093】
実施形態1
基板を加工する方法であって、
基板と第1の担体との間の外周接合界面の第1の位置で剥離を開始して、前記第1の担体の一部を前記基板から分離するステップと、
前記第1の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第1の担体に順次加えることによって、前記第1の剥離された位置から離れて延びる第1の方向に沿って前記第1の剥離された位置から第1の剥離前縁を伝播するステップであって、前記第1の剥離前縁が前記第1の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力の各揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置で加えられる、伝播するステップと、
を含む方法。
【0094】
実施形態2
前記第1の担体の前記対応する複数の連続する吊上げ位置で前記第1の担体に前記複数の揚力を順次加えて、前記第1の担体が前記基板から完全に分離されるまで前記第1の剥離前縁を伝播するステップを含む、実施形態1に記載の方法。
【0095】
実施形態3
前記複数の揚力が、前記第1の方向に沿って配置された対応する複数の吸着カップによって順次加えられる、実施形態1および2のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態4
前記第1の剥離前縁を伝播する前に前記複数の吸着カップが前記第1の担体と係合し、前記第1の剥離前縁がそれぞれの吸着カップを過ぎて伝播した後、前記第1の剥離前縁が前記第1の方向に沿ってそれぞれの吸着カップから下流に配置された前記複数の吸着カップのうちの直ぐ隣接する吸着カップを過ぎて伝播する前に、前記複数の揚力が前記複数の吸着カップのうちの前記それぞれの吸着カップによって順次加えられる、実施形態3に記載の方法。
【0097】
実施形態5
前記第1の担体が前記基板から完全に分離されるまで、前記第1の剥離前縁の伝播を止めることなく前記第1の剥離前縁を伝播し続けるステップを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態6
熱電気効果に基づいて、前記基板と前記第1の担体との間の接合エネルギーを低減するステップを含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態7
前記基板と前記第1の担体との間の接合エネルギーを低減するステップは、前記第1の担体の温度を低減するステップを含む、実施形態6に記載の方法。
【0100】
実施形態8
前記第1の担体に前記複数の揚力を加えると同時に、前記第2の担体の曲げを抑制するステップを含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態9
前記第2の担体の曲げを抑制するステップは、前記第1の担体に前記複数の揚力を加えると同時に、前記第2の担体の第2の主面をプレートに取り外し可能に取り付けて、前記第2の担体の曲げを抑制するステップを含む、実施形態8に記載の方法。
【0102】
実施形態10
前記基板と前記第1の担体との間の前記外周接合界面の前記第1の位置は、前記基板の第1の縁と第2の縁との交点に画定された前記基板の角部を含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態11
前記第1の方向は、前記基板を斜めに横切って前記基板の前記角部から延びる、実施形態10に記載の方法。
【0104】
実施形態12
前記基板と前記第1の担体との間の前記外周接合界面の前記第1の位置は、前記基板の外周縁を含み、前記第1の方向は、前記基板の前記外周縁に対して垂直に、前記基板を横切って延びる、実施形態1から9のいずれかに記載の方法。
【0105】
実施形態13
前記第1の担体を前記基板から完全に分離した後、前記基板と第2の担体との間の外周接合界面である第2の位置で剥離を開始して、前記第2の担体の一部を前記基板から分離して、前記第2の担体の対応する複数の連続する吊上げ位置で複数の揚力を前記第2の担体に順次加えることによって前記剥離された第2の位置から離れて延びる第2の方向に沿って前記剥離された第2の位置から第2の剥離前縁を伝播するステップであって、前記第2の剥離前縁が前記第2の担体の前記対応する吊上げ位置を過ぎて伝播した後、前記複数の揚力のそれぞれの揚力が前記複数の連続する吊上げ位置の対応する吊上げ位置に順次加えられる、伝播するステップを含む、実施形態2に記載の方法。
【0106】
実施形態14
前記複数の揚力を前記第2の担体に前記第2の担体の前記対応する複数の連続する吊上げ位置で順次加えて、前記第2の担体が前記基板から完全に分離されるまで前記剥離前縁を伝播するステップを含む、実施形態13に記載の方法。
【0107】
実施形態15
前記第2の担体が前記基板から完全に分離されるまで、前記第2の剥離前縁の伝播を止めることなく前記第2の剥離前縁を伝播し続けるステップを含む、実施形態13および14のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施形態16
熱電気効果に基づいて、前記基板と前記第2の担体との間の接合エネルギーを低減するステップを含む、実施形態13から15のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態17
前記基板と前記第2の担体との間の接合エネルギーを低減するステップが、前記第2の担体の温度を低減するステップを含む、実施形態16に記載の方法。
【0110】
実施形態18
前記複数の揚力を前記第2の担体に加えると同時に、前記基板の曲げを抑制するステップを含む、実施形態13から17のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態19
前記基板の曲げを抑制するステップは、前記複数の揚力を前記第2の担体に加えると同時に、前記基板の前記第1の主面を取り外し可能にプレートに取り付けて、前記基板の曲げを抑制するステップを含む、実施形態18に記載の方法。
【0112】
実施形態20
前記基板と前記第2の担体との間の前記外周接合界面の前記第2の位置は、前記基板の第1の縁と第2の縁との交点に画定された前記基板の角部を含む、実施形態13から19のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
実施形態21
前記第2の方向は、前記基板を斜めに横切って前記基板の角から延びる、実施形態20に記載の方法。
【0114】
実施形態22
前記基板と前記第2の担体との間の前記外周接合界面の前記第2の位置は、前記基板の前記外周縁を含み、前記第2の方向は、前記基板の前記外周縁に対して垂直に、前記基板を横切って延びる、実施形態13から19のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態23
前記基板は、ガラスとシリコンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から22のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0116】
100 装置
110 第1の担体
120 第2の担体
130 基板
136 外周縁
145 界面壁
151 プレート
400 第1の剥離された位置
500 第2の剥離された位置
600 剥離装置
650 複数の吸着カップ
700 第1の方向
800 第2の方向
900、1000、1100 第1の剥離前縁
1300、1400、1500 第2の剥離前縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図16