IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社アルファサービスの特許一覧

<>
  • 特許-アオコ回収装置 図1
  • 特許-アオコ回収装置 図2
  • 特許-アオコ回収装置 図3
  • 特許-アオコ回収装置 図4
  • 特許-アオコ回収装置 図5
  • 特許-アオコ回収装置 図6
  • 特許-アオコ回収装置 図7
  • 特許-アオコ回収装置 図8
  • 特許-アオコ回収装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】アオコ回収装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/40 20230101AFI20230301BHJP
   C02F 1/24 20230101ALI20230301BHJP
   E02B 15/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
C02F1/40 K
C02F1/24 A
E02B15/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019121170
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021006339
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-02-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)試験の実施による公開 試験日 平成30年9月12日から令和1年6月14日 試験場所 大塚池(茨城県水戸市大塚町1832 大塚公園内)
(73)【特許権者】
【識別番号】512078708
【氏名又は名称】有限会社アルファサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 吉男
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-116515(JP,A)
【文献】実開昭52-002466(JP,U)
【文献】特開平11-070382(JP,A)
【文献】特開2007-160178(JP,A)
【文献】特開2007-098342(JP,A)
【文献】特開2015-029968(JP,A)
【文献】特開平09-225460(JP,A)
【文献】実開昭52-132362(JP,U)
【文献】特開平03-068490(JP,A)
【文献】米国特許第05167815(US,A)
【文献】特開平09-075631(JP,A)
【文献】特開平11-098913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/40
C02F 1/24
B01D 43/00
E02B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面近傍に浮遊するアオコを回収するアオコ回収装置において、
前記水面近傍に外周部分が浸漬して縦向きに回転する回転円板を有する回転円板手段と、
前記回転円板に吸着したアオコを掻き取るレーキと、
前記レーキによって掻き取られたアオコを受け取って排出するアオコ排出手段と、を備えたことを特徴とするアオコ回収装置。
【請求項2】
前記回転円板をプラス又はマイナスに帯電させて前記回転円板に前記アオコを静電気によって吸着させる吸着力を発生させる帯電手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のアオコ回収装置。
【請求項3】
前記アオコ回収装置は、
アオコを含有するアオコ原水からアオコを濃縮するアオコ濃縮装置を備えている請求項1または2に記載のアオコ回収装置。
【請求項4】
前記回転円板は絶縁性の高いプラスチック素材で製作されている請求項1から3のいずれか1項に記載のアオコ回収装置。
【請求項5】
前記回転円板は、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、硬質ナイロンのいずれかである請求項1から4のいずれか1項に記載のアオコ回収装置。
【請求項6】
前記回転円板は表面粗さが大きな素材で製作されるか又は前記回転円板に粗面化処理が施されている請求項1から5のいずれか1項に記載のアオコ回収装置。
【請求項7】
前記回転円板の回転数は3~6rpmである請求項1から6のいずれか1項に記載のアオコ回収装置。
【請求項8】
前記帯電手段は前記レーキであって、前記回転円板と前記レーキとの摩擦によって前記回転円板にプラス又はマイナスの電気を帯電させる請求項に記載のアオコ回収装置。
【請求項9】
前記回転円板手段は前記回転円板が複数並列配置されている請求項1から8のいずれか1項に記載のアオコ回収装置。
【請求項10】
前記アオコ排出手段は、前記排出する方向に向けて下向きに傾斜した樋状のアオコ排出部材である請求項1から9のいずれか1項に記載のアオコ回収装置。
【請求項11】
前記アオコ排出手段には、前記アオコ排出部材のアオコを前記排出する方向にエアー圧で押し出すエアーブロー手段を有する請求項10に記載のアオコ回収装置。
【請求項12】
前記アオコ排出手段には、前記アオコ排出部材の傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段が設けられている請求項10または11に記載のアオコ回収装置。
【請求項13】
前記アオコ濃縮装置は、
アオコ濃縮槽と、
前記アオコ濃縮槽にアオコ原水を取水するアオコ原水取水手段と、
気泡径がマイクロオーダーレベルのマイクロバブルを含有するマイクロバブル水を生成するマイクロバブル水生成手段と、
前記生成したマイクロバブル水を前記アオコ濃縮槽の液中に連続的に送り込むことにより前記アオコ濃縮槽の液面近傍にマイクロバブルの気泡密集層であるマイクロバブル膜を形成するマイクロバブル膜形成手段と、
前記形成したマイクロバブル膜の上側に前記アオコ原水を溢流させる溢流管を有するアオコ原水溢流手段と、
前記アオコ原水の溢流量と同等の液量を前記マイクロバブル膜の下側から前記アオコ濃縮槽外に排出して前記マイクロバブル膜の上側から下側に向かう流れを形成することにより前記溢流したアオコ原水を前記マイクロバブル膜で濾過するための濾過流を形成する濾過流形成手段と、を有する請求項3に記載のアオコ回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アオコ回収装置に係り、特に湖沼、池、河川、閉鎖性海域等の閉鎖性水域のアオコを濃縮するアオコ濃縮装置からアオコを回収するためのアオコ回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
湖沼、池、河川等の閉鎖性水域において水中のリンや窒素の栄養分濃度が増加し、アオコと呼ばれる植物性プランクトンが大量発生することがある。
【0003】
富栄養化した水から速やかに栄養分を取り除くことができれば、水草や適度な植物性プランクトンで水を浄化することは可能である。しかし、水に溶けた栄養分を速やかに取り除くことは難しく、アオコが大量発生し易い。
【0004】
大量発生したアオコを放置すると、その水域の酸素濃度が低下して魚が死んだり、水辺やその水域の水を水源とする水道水に異臭がしたりする被害が発生する。この為、閉鎖性水域が富栄養化する原因を改善すると同時に、発生したアオコを効率的に回収することにより閉鎖性水域から除去する必要がある。
【0005】
従来、アオコの回収は、落差を利用して水と一緒に回収するか、あるいは凝集剤で沈降させたアオコ凝集物を大量の水と一緒にポンプで回収していた。回収したアオコは体積を小さくしてから廃棄したり焼却したりするために、回収したアオコの乾燥や焼却に多大なエネルギーとコストを要していた。
【0006】
このため、閉鎖性水域からアオコを効率的に回収するアオコ回収装置の好ましい条件としては、アオコを効率的に回収できること、及びアオコを脱水して低水分状態で回収し、回収したアオコの体積をできるだけ小さくできることが必要である。
【0007】
このようなアオコ回収装置としては、例えば特許文献1がある。
【0008】
特許文献1のアオコ回収装置は、湖沼や池等のアオコの存在する箇所から取水したアオコを含有する混濁水を濾過部に移送する。移送した混濁水を濾過部に設けた濾過フィルタにより濾過することで高濃度のアオコを含むアオコ混入水と濾過水とを分離する。そして、濾過フィルタに付着したアオコをハケブラシで掻き取る。これにより、アオコを低水分状態で回収して体積を小さくすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-098342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
たしかに、特許文献1のアオコ回収装置は、濾過フィルタを使用することでアオコを効率的に回収できる。また、濾過フィルタを使用することでアオコを脱水することができるので、回収したアオコの体積も小さくできる。
【0011】
しかしながら、特許文献1のアオコ回収装置は、使用しているうちに濾過フィルタが目詰まりし易いだけでなく、目詰まりすることでアオコの脱水性能が低下して回収したアオコの含水量が増加しアオコ体積が大きくなってしまうという問題が生じる。このため、頻繁に濾過フィルタを洗浄する必要があり、メンテナンスが大変であるという大きな問題がある。
【0012】
このような背景から、長時間使用してもアオコを低水分状態で回収することができ且つメンテナンスを殆ど必要としないアオコ回収装置が要望されている。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、長時間使用してもアオコを脱水する脱水性能が低下しないので、回収したアオコの体積を常に小さくできると共にメンテナンスを殆ど必要としないアオコ回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のアオコ回収装置は目的を達成するために、水面近傍に浮遊するアオコを回収するアオコ回収装置において、前記水面近傍に外周部分が浸漬して縦向きに回転する回転円板を有する回転円板手段と、前記回転円板に吸着したアオコを掻き取るレーキと、前記レーキによって掻き取られたアオコを受け取って排出するアオコ排出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、前記回転円板は、プラス又はマイナスに帯電させて前記回転円板に前記アオコを静電気によって吸着させる吸着力を発生させる帯電手段を備えていても良い。
また、前記回転円板は、絶縁体で形成されていても良い。
【0016】
ここで、排出するとは、アオコを回収する前の場所(例えば、湖沼、池、河川、閉鎖性海域等の閉鎖性水域やアオコ濃縮装置等)からアオコを回収する場所へ排出することを言う。
【0017】
本発明によれば、水面近傍に外周部分が浸漬して縦向きに回転すると回転円板にアオコが付着するので、レーキによって掻き取ることができる。
ここで、回転円板を帯電手段でプラス又はマイナスに帯電させても良い。回転円板は絶縁性の高い素材で製作することもでき、放電し難くすることもできる。これにより、回転円板には静電気によるアオコ吸着力が発生する。
【0018】
例えば、マイナス又はプラスに帯電させた回転円板とアオコとが近づくと、静電誘導が生じて互いに引き合うので、アオコは回転円板により良く吸着される。また、アオコを吸着した回転円板は縦向きに回転しているので、アオコがレーキで回転円板から掻き取られるまでの間にアオコ中の水分が重力により回転円板の表面をつたって流れ落ちる。これにより、アオコは脱水されるので、アオコを低水分状態で回収することができる。
【0019】
また、本発明のアオコ回収装置は、上述のように、回転円板に吸着したアオコの水分を重力で脱水する方法なので、長時間使用しても脱水性能が低下することはなく、アオコを低水分状態で回収することができ回収したアオコの体積を常に小さくできると共に且つメンテナンスを殆ど必要としない。
【0020】
本発明において、アオコ回収装置は、アオコを含有するアオコ原水からアオコを濃縮するアオコ濃縮装置を備えていることが好ましい。
【0021】
本発明のアオコ回収装置は、湖沼、池、河川、閉鎖性海域等の閉鎖性水域に直接設置することも可能であるが、閉鎖性水域のアオコをアオコ濃縮装置で濃縮してから回収する方が一層効率的である。
【0022】
本発明において、回転円板は絶縁性の高いプラスチック素材で製作されていることが好ましい。
【0023】
絶縁性の高いプラスチック製の回転円板は、絶縁性の低いプラスチック製の回転円板に比べて帯電した電気を保持し易いからである。
【0024】
本発明において、回転円板は、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、硬質ナイロンの何れかであることが好ましい。
【0025】
これらのプラスチックは絶縁性が高いと共に硬質であり、汎用品として低価格で入手し易い。
【0026】
本発明において、回転円板は表面粗さが大きな素材で製作されるか又は回転円板に粗面化処理が施されていることが好ましい。
【0027】
回転円板の表面粗さが大きいとアオコを吸着し易くなるからである。
【0028】
本発明において、回転円板の回転数は3~6rpmであることが好ましい。
【0029】
回転円板の回転数が6rpmを超えて速いと、アオコと一緒に多くの水も回収されてしまい、回収したアオコの低水分化が図れない。一方、回転円板の回転数が3rpm未満と遅いと、回収したアオコの水分量は少なくなるが、アオコの回収効率が悪くなってしまう。
【0030】
本発明において、帯電手段はレーキであって、回転円板とレーキとの摩擦によって回転円板にプラス又はマイナスの電気を帯電させることが好ましい。
【0031】
このように、回転円板とレーキとの摩擦によって回転円板に静電気を発生させれば、専用の帯電装置を別途用意する必要がなく、装置のコンパクト化及び低コスト化を図ることができる。
【0032】
本発明において、回転円板手段は回転円板が複数並列配置されていることが好ましい。回転円板を複数並列配置することでアオコの回収効率を高めることができる。
【0033】
本発明において、アオコ排出手段は、排出方向に向けて下向きに傾斜した樋状のアオコ排出部材であることが好ましい。このようなアオコ排出部材は構造も簡単であり、低コストで作製できる。
【0034】
本発明において、アオコ排出手段には、アオコ排出部材のアオコを排出方向にエアー圧で押し出すエアーブロー手段を有することが好ましい。これにより、アオコ排出部材にアオコが堆積されないので、アオコをスムーズに排出できる。
【0035】
本発明において、アオコ排出手段には、アオコ排出部材の傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段が設けられていることが好ましい。これにより、アオコ排出部材にアオコが堆積されないので、アオコをスムーズに排出できる。
【0036】
本発明において、アオコ濃縮装置は、アオコ濃縮槽と、アオコ濃縮槽に前記アオコ原水を取水するアオコ原水取水手段と、気泡径がマイクロオーダーレベルのマイクロバブルを含有するマイクロバブル水を生成するマイクロバブル水生成手段と、生成したマイクロバブル水をアオコ濃縮槽の液中に連続的に送り込むことによりアオコ濃縮槽の液面近傍にマイクロバブルの気泡密集層であるマイクロバブル膜を形成するマイクロバブル膜形成手段と、形成したマイクロバブル膜の上側にアオコ原水を溢流させる溢流管を有するアオコ原水溢流手段と、アオコ原水の溢流量と同等の液量をマイクロバブル膜の下側からアオコ濃縮槽外に排出してマイクロバブル膜の上側から下側に向かう流れを形成することにより溢流したアオコ原水を前記マイクロバブル膜で濾過するための濾過流を形成する濾過流形成手段と、を有することが好ましい。
【0037】
ここで、アオコ原水とは、アオコを除去したい上記した閉鎖性水域のアオコを含んだ水を言う。
【0038】
上記構成のアオコ濃縮回収装置によれば、アオコ濃縮槽の液面近傍にマイクロバブル膜を形成し、マイクロバブル膜の上側にアオコを含有するアオコ原水を溢流すると共に、アオコ原水の溢流量と同等の液量をマイクロバブル膜の下側から排出してアオコ濃縮槽内にマイクロバブ膜の上側から下側に向かう濾過流を形成させる。
【0039】
これにより、マイクロバブル膜の上側にアオコが濃縮するので、アオコ原水からアオコを効率的に濃縮できる。
【発明の効果】
【0040】
本発明のアオコ回収装置によれば、長時間使用してもアオコを脱水する脱水性能が低下しないので、回収したアオコの体積を常に小さくできると共にメンテナンスを殆ど必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明のアオコ回収装置をアオコ濃縮装置に一体的に組み込んだアオコ濃縮回収装置を上方及び側方から見た概念図
図2】アオコ濃縮回収装置のアオコ濃縮槽の部分を示す斜視図
図3図2のa-a線に沿った断面図
図4】本発明のアオコ回収装置において回転円板を複数台配置した斜視図
図5】本発明のアオコ回収装置において回転円板を摩擦帯電で帯電させる斜視図
図6】本発明のアオコ回収装置において回転円板をプラズマ放電で帯電させる斜視図
図7】本発明のアオコ回収装置のアオコ排出手段の別態様の斜視図
図8】本発明のアオコ回収装置のアオコ排出手段の更に別態様の斜視図
図9】本発明のアオコ回収装置でアオコを回収するメカニズムの説明図
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付図面にしたがって本発明のアオコ回収装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0043】
本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0044】
本発明のアオコ回収装置は、湖沼、池、河川、閉鎖性海域等の閉鎖性水域に直接設置することも可能であるが、閉鎖性水域のアオコをアオコ濃縮装置で一旦濃縮してから回収する方が効率的である。したがって、本発明の実施の形態のアオコ回収装置がアオコ濃縮装置を備えることにより、一体的に組み込んだ形態となったアオコ濃縮回収装置の例で以下に説明する。
【0045】
また、アオコ濃縮装置でアオコを濃縮する方法としては、濃縮されたアオコが装置の水面近傍に浮遊するようにできればどのようなアオコ濃縮装置でもよいが、本実施の形態では、マイクロバブルを使用した濃縮方法で以下に説明する。
[アオコ濃縮回収装置の全体構成]
図1の(A)は、本発明のアオコ回収装置10Aをアオコ濃縮装置10Bに一体的に組み込んだアオコ濃縮回収装置10の全体構成を上方から見た概念図であり、(B)は全体構成を側方から見た概念図である。また、図2はアオコ濃縮回収装置10の主としてアオコ濃縮槽の部分を示す斜視図である。また、図3は、図2のa-a線に沿った断面図である。
【0046】
図1に示すように、アオコ濃縮回収装置10は、湖沼、池、河川等のアオコが大量発生した閉鎖性水域12の岸辺に配置される。先ず、アオコ濃縮装置10Bについて説明する。
【0047】
[アオコ濃縮装置]
アオコ濃縮装置10Bは、主として、アオコ濃縮槽14と、アオコを含有するアオコ原水をアオコ濃縮槽14に取水するアオコ原水取水手段16と、マイクロバブル水生成手段18と、マイクロバブル膜形成手段20と、アオコ原水溢流手段22と、濾過流形成手段24と、で構成される。
【0048】
(アオコ濃縮槽)
図2及び図3に示すように、アオコ濃縮槽14は、マイクロバブル膜Aでアオコ原水を濾過することでマイクロバブル膜Aの上側にアオコが濃縮したアオコ濃縮液を得る槽であり、アオコ原水が供給されると共にマイクロバブル水生成手段18(図1参照)で生成されたマイクロバブル水が供給される。
【0049】
アオコ濃縮槽14の形状は、上面が開放された容器形状であれば円筒容器形状、四角容器形状等どのような形状でもよいが、本実施の形態では、図2に示すように四角容器形状の場合で示す。アオコ濃縮槽14のサイズは、特に限定されないが、本実施の形態では、縦横のサイズが約1mの正方形の底辺と、約1mの高さを有する四角容器形状のものを用いた。
【0050】
アオコ濃縮槽14の材質は、水槽としての頑丈さを有していれば金属製、プラスチック製、木製等のどのような材質でもよいが、本実施の形態では金属製のアオコ濃縮槽14を用いた。
【0051】
(アオコ原水取水手段)
図1に示すように、アオコ原水取水手段16は、アオコW(図5参照)を含有するアオコ原水をアオコ濃縮槽14に取水するものであり、例えばアオコが繁茂した池等の閉鎖性水域12に取水口が配置された取水配管16Aと、取水ポンプ16Bとで構成される。
【0052】
アオコWは、比較的に球状な藍藻類(数ミクロン程度のミクロキスチス:Microcystisが主な構成)であり、細胞内のガス胞によって水面から数cm程度下の水面近傍に浮遊している。したがって、取水配管16Aの取水口は水面近傍に配置される。
【0053】
また、マイクロバブル膜Aによってアオコ原水を濾過する場合、アオコW以外のプラスチックゴミ、木片、木の葉等の夾雑物はマイクロバブル膜Aをかき乱して気泡消滅の原因になる。したがって、取水口に夾雑物を除去する夾雑物除去装置(図示せず)を設けることが好ましい。
【0054】
また、マイクロバブル膜Aでアオコ原水を濾過する場合、取水ポンプ16BでアオコWの気泡が破壊されるとアオコ自体の密度が大きくなり、マイクロバブル膜A(図3参照)を通過して沈み易くなる。したがって、取水ポンプ16Bの種類としては、アオコWの気泡を破壊しにくいポンプ、例えばモーノポンプやダイヤフラムポンプが好ましいが、これらのポンプは高価である。そこで、低コストである渦巻ポンプを排出側の圧力を0.3MPa以上の高さにせずに使用することにより、アオコWの気泡を破壊しにくくなるので、このポンプを上記圧力条件で使用することがより好ましい。
【0055】
(マイクロバブル水生成手段)
マイクロバブル水生成手段18は、気泡径がマイクロオーダーレベルのマイクロバブルを含有するマイクロバブル水を生成するものであり、気泡径が100μm~5μmのマイクロバブルを含有するマイクロバブル水を生成することが好ましい。
【0056】
気泡径が100μm~5μm以下のマイクロバブルは、課題を解決するための手段で述べた水中長時間滞在特性、気泡小径維持特性、及びマイナス帯電特性が一層良くなるので、濾過性能に優れたマイクロバブル膜Aを形成できる。
【0057】
マイクロバブル水生成手段18は、例えば加圧溶解方式、高速旋回方式、超音波方式等の何れでもよいが、本実施の形態では加圧溶解方式を用いた。
【0058】
図1に示すように、マイクロバブル水生成手段18は、主として、空気と水とを高圧下で混合することにより空気が過飽和状態で溶解した空気飽和水を形成するエアー混合ポンプ18Aと、高圧下にある空気飽和水を減圧することで空気飽和水から溶解した溶存空気を発泡させる減圧ノズル18Bとで構成される。
【0059】
マイクロバブル水生成手段18で使用される水は、イオン化物質や不純物が多く含まれている水の方がマイクロバブルを生成し易く、水道水よりも工業用水、海水あるいは異物が除去された排水の方が好ましい。本実施の形態では、アオコ濃縮槽14のマイクロバブル膜Aによる濾過液を使用した。即ち、アオコ濃縮槽14の底部近傍に引き抜き管18Cの一端が接続され、他端がエアー混合ポンプ18Aの吸水口に接続される。引き抜き管18Cには、濾過液中のゴミ等の異物を除去するフィルタ(図示せず)が設けられる。
【0060】
エアー混合ポンプ18Aでは0.6MPa近傍の圧力下で水と空気を混合することが好ましく、減圧ノズルでは0.6MPaから0.2MPa近傍まで急激に減圧することが好ましい。
【0061】
(マイクロバブル膜形成手段)
マイクロバブル膜形成手段20は、生成したマイクロバブル水をアオコ濃縮槽14の液中に連続的に送り込むことによりアオコ濃縮槽14の液面近傍にマイクロバブルの気泡密集層である白濁したマイクロバブル膜Aを形成する。
【0062】
図1から図3に示すように、マイクロバブル膜形成手段20は、主として、マイクロバブル水生成手段18で生成されたマイクロバブル水をアオコ濃縮槽14内に送液する送液配管20Aと、マイクロバブル膜Aの下方に配設され、送液配管20Aで送液されたマイクロバブル水をアオコ濃縮槽14内に拡散する拡散管20Bと、で構成される。
【0063】
マイクロバブル膜Aの下方にマイクロバブル水の拡散管20Bを配設してアオコ濃縮槽14の全体にマイクロバブルが拡散して液面C(図3参照)の全体にマイクロバブルが行き渡ることで、マイクロバブル膜Aの部分によって膜厚が異なることがない均等なマイクロバブル膜Aを形成し易い。これにより、マイクロバブル膜Aの部分による濾過性能のバラツキをなくすことができる。
【0064】
また、拡散管20Bはアオコ濃縮槽14に水平方向に延設された少なくとも1本の円筒パイプの上面にマイクロバブル水を吹き出す吹出口20Cを等間隔で複数穿設した構造に形成される。拡散管20Bの先端部は閉塞され、基端部は送液配管20Aを介してマイクロバブル水生成手段18に接続される。
【0065】
拡散管20Bの吹出口20Cから吹き出されたマイクロバブル水中の気泡は、アオコ濃縮槽14の液面方向にゆっくりと上昇していき、液面近傍に気泡が密集した気泡密集層である乳白色のマイクロバブル膜Aを形成する。形成されるマイクロバブル膜Aの厚みは、拡散管20Bの吹出口20Cから吹き出されたマイクロバブル水の吹出量によって調整する。
【0066】
マイクロバブルは、気泡同士がマイナスに帯電しており互いに反発しアオコ濃縮槽14内に拡散し易いので、上記したアオコ濃縮槽14のサイズであれば1本の拡散管20Bでも問題ない。このため、本実施の形態では、アオコ濃縮槽14の幅方向の真ん中に1本の拡散管20Bを水平方向に配設した。しかし、アオコ濃縮槽14に形成されるマイクロバブル膜Aの厚み分布やアオコ濃縮槽14の容積に応じて複数本の拡散管20Bを配置することができる。
【0067】
(アオコ原水溢流手段)
図2に示すように、アオコ原水溢流手段22は、アオコ濃縮槽14に形成したマイクロバブル膜Aの上側の膜面近傍にアオコ原水を溢流させるものであり、2本の溢流管22Aと、取水配管16Aで取水されたアオコ原水を2本の溢流管22Aに分流させる分流管22Bとで構成される。
【0068】
溢流管22Aは円筒パイプ管の上面に長さ方向に沿ってスリット口22Cを形成したものであり、図2及び図3のようにスリット口22Cからアオコ原水が溢れ出る。
【0069】
マイクロバブル膜Aを形成するマイクロバブルは、時間の経過以外に外的な衝撃によって消滅する。したがって、アオコ濃縮槽14に供給するアオコ原水の供給方法としては、マイクロバブル膜Aに当たるアオコ原水の供給水流の衝撃をできるだけ小さくすることが好ましい。
【0070】
また、マイクロバブル膜Aの上側の膜面近傍に配設した溢流管22Aからアオコ原水を溢流させるようにしたので、アオコ原水がマイクロバブル膜Aの上に静かに載るように供給することができる。これにより、マイクロバブル膜Aに対する衝撃を小さくできるので、マイクロバブル膜Aの膜形成を安定化できる。
【0071】
溢流管22Aをマイクロバブル膜Aの上側の膜面近傍に配置するとは、溢流管22Aの管径にもよるが、溢流管22Aの円周下端がマイクロバブル膜Aの上面に接しない膜面近傍であることが好ましい。
【0072】
(濾過流形成手段)
濾過流形成手段24は、マイクロバブル膜Aの上側から下側に向かう水流を形成することにより溢流したアオコ原水をマイクロバブル膜Aで濾過するための濾過流を形成するものである。
【0073】
この濾過流により、図3に示すように、アオコ原水溢流手段24の溢流管22Aのスリット口22Cからマイクロバブル膜Aの上側に溢流されたアオコ原水は、マイクロバブル膜Aによって濾過され、マイクロバブル膜Aの上側にアオコが濃縮したアオコ濃縮液の液層(以下、「アオコ濃縮層B」という)が形成される。
【0074】
この場合、アオコ原水の溢流量と同等の液量をマイクロバブル膜Aの下側からアオコ濃縮槽14外に排出することにより、一定速度の濾過流を形成することが重要である。これにより、マイクロバブル膜Aがかく乱されないので、濾過性能を向上できる。
【0075】
更には、アオコ原水の溢流量と同等の液量をマイクロバブル膜Aの下側からアオコ濃縮槽14外に排出することにより、アオコ濃縮槽14の液面Cを一定に維持することが重要である。これにより、アオコ原水溢流手段24の溢流管22Aのスリット口22Cからマイクロバブル膜Aの上面までの距離、即ちマイクロバブル膜Aに対する溢流管22Aの位置を一定に維持することができる。
【0076】
図2及び図3に示すように、濾過流形成手段24としては、アオコ原水の溢流量と同等の液量をマイクロバブル膜Aの下側からアオコ濃縮槽14外に排出することができればどのようなメカニズムでもよいが、本実施の形態では、L字管28と排出管30とで構成するようにした。
【0077】
L字管28は水平部28Aと垂直部28BとでL字状に形成され、水平部28Aの端部がアオコ濃縮槽14の側面下部に連通して接続される。また、L字管28の垂直部28Bはアオコ濃縮槽14の基準液面より高く(例えばアオコ濃縮槽14の高さ)になるようにアオコ濃縮槽14に沿って立設され、垂直部28Bの端部は大気に解放される。これにより、L字管28はアオコ濃縮槽14との間で液面C高さが同一なU字状連通路を形成する。
【0078】
また、排出管30は、アオコ濃縮槽14の液面CであるL字管28の液面高さに位置に水平方向に接続される。これにより、アオコ濃縮槽14の液面Cが排出管30の高さよりも高くなると、元の液面Cに戻るまで排出管30からアオコ濃縮槽14の濾過液がアオコ濃縮槽14外に排出される。逆に、アオコ濃縮槽14の液面Cが排出管30の高さより低いときには排出管30から濾過液は排出されないので、アオコ原水がアオコ濃縮槽14に供給されてマイクロバブル膜Aで濾過される濾過液が増えることでアオコ濃縮槽14の液面Cに戻る。
【0079】
これにより、アオコ濃縮槽14へ溢流する溢流量の分だけ排出管30から排出されるので、濾過流が一定速度になると共にアオコ濃縮槽14の液面Cが変化しない。したがって、マイクロバブル膜Aがかく乱され難いと共に溢流管22Aとアオコ濃縮槽14の液面Cとの関係を常に一定に維持することができるので、溢流管22Aを当初設定したマイクロバブル膜Aの上側の膜面近傍に常に位置させることができる。
【0080】
また、L字管28の水平部28Aのアオコ濃縮槽14における接続位置は、上記した拡散管20Bよりも下方に位置することが好ましい。これにより、マイクロバブル膜Aを形成する気泡がL字管28に5μm以上のマイクロバブルが吸い込まれることを防止できると共に、マイクロバブル膜Aからの距離が遠くなるので、マイクロバブル膜Aに対して斜め下方ではなく真っ直ぐ下向きの濾過流が形成され易い、又、マイクロバブルを作る時に3μm以下のマイクロバブル及びナノバブルも混在する事で浮上しない3μm以下の気泡は処理水に溶け込み、溶存酸素量の増えた水と成って排出されるので、湖沼の水質改善も行うことができる。
【0081】
ここで、アオコ濃縮槽14の液面Cとは、図3に示すように、アオコ濃縮層Bの上面ではなく、アオコ濃縮回収装置10の運転前の準備としてアオコ濃縮槽14に水を貯留してマイクロバブル膜Aを形成したときのアオコ濃縮槽14の液面Cをいい、図3における排出管30の高さをいう。
【0082】
(アオコ群体分割機)
図1に示すように、アオコ濃縮装置10Bには、アオコ群分割機48を設けることが好ましい。
【0083】
閉鎖性水域12にアオコWが大量発生すると、数十~数百μmスケールの立体構造を有するアオコの群体がマット状になって水面を覆う。
【0084】
マイクロバブル膜Aを利用してアオコWを濾過する濾過方式では、アオコ群体のようにアオコ同士が寄り集まって大きくなることで密度が大きくなり、マイクロバブル膜Aを通過して沈み易くなる。一方、群体を構成していない小さなアオコWは密度が小さく、マイクロバブル膜Aを通過しにくく沈み難い。したがって、アオコ群体をそのまま取水してマイクロバブル膜Aで濾過すると、濾過効率が悪くなる。
【0085】
しかし、アオコ群体を細かく分割するときにアオコWのガス胞を壊すと密度が大きくなってしまいマイクロバブル膜Aを通過して沈んでしまう。
【0086】
そこで、アオコ原水溢流手段22の前段に、アオコ原水中のアオコ群体のアオコWをアオコのガス胞を破壊しないように細かく分割するアオコ群分割機48を備えるようにした。これにより、マイクロバブル膜Aによるアオコの濾過効率を一層向上させることができる。この結果、マイクロバブル膜Aの上側に濃縮されるアオコ濃縮液の濃縮率を向上させることができる。
【0087】
アオコ群分割機48としては、アオコ群のアオコWのガス胞を破壊しないように解すことができれば特に限定されないが、例えばアオコWの群体を回転するトゲ付きドラムで小さな塊に解きほぐす解砕機を用いたり、アオコWのガス胞を破壊しない程度のジェット流をアオコ群体に噴射してアオコ群体を小さく分割するジェット流噴射機を用いたりすることができる。また、取水ポンプ16BとしてアオコWの気泡を破壊しない程度の渦巻きを有する渦巻きポンプを使用することで、アオコ原水の取水機能とアオコ群分割機能の両方を行うことも可能である。アオコ群分割機48は、図1のように、取水配管16Aの途中に組み込んでも、あるいは取水配管16Aの取水口の位置に組み込んでもよい。
次に、本発明のアオコ回収装置10Aについて詳細に説明する。
【0088】
[アオコ回収装置]
図2及び図3に示すように、本発明のアオコ回収装置10Aは、主として、マイクロバブル膜Aの上側に濃縮されたアオコ濃縮液からアオコWを回収するものであり、アオコ濃縮槽14の水面近傍(アオコ濃縮層Bを形成する部分)に外周部分が浸漬して縦向きに回転すると共に絶縁性の高い素材で製作された回転円板26Aを有する回転円板手段26と、回転円板26Aをプラス又はマイナスに帯電させて回転円板26AにアオコWを静電気によって吸着させる吸着力を発生させる帯電手段32と、回転円板26Aに吸着したアオコWを掻き取るレーキ34と、レーキ34によって掻き取られたアオコを受け取って排出するアオコ排出手段36と、を備えて構成される。
【0089】
ここで、回転円板は、必ずしも絶縁性の高い素材で無ければならないわけではなく、金属等の素材を用いることもできる。また、回転円板32を帯電させる機能を有する耐電手段32がなくともアオコは回転円板26Aに吸着されるのでアオコを回収することができる。しかしながら、本発明者の鋭意研究により、回転円板に絶縁性の高い素材を用いて回転円板32を帯電させることにより、より良くアオコを回収することができることを見いだした。
【0090】
(回転円板手段)
回転円板手段26は、主として、回転円板26Aと、回転円板26Aの回転軸26Bに連結されて回転円板26Aを回転するモータ26Cと、回転円板26Aとモータ26Cとの間に設けられた減速機26Dとで構成される。
【0091】
また、絶縁性の高い回転円板26Aの素材としては、プラスチックの中でも特に絶縁性が高いと共に硬質であり、汎用品として市販されているポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、硬質ナイロン等を好適に使用できる。
【0092】
回転円板26Aは、マイクロバブル膜Aの上側に濃縮されたアオコ濃縮液のアオコ濃縮層Bに回転円板26Aの外周部分が常時潜っているように縦向きに回転する。
【0093】
この場合、回転円板26Aの外周部分はアオコ濃縮層Bに潜るが、マイクロバブル膜Aにはできるだけ接触しないようにする。回転円板26Aがマイクロバブル膜Aに接触すると、マイクロバブル膜Aをかき乱すので、マイクロバブル膜Aの膜形成が安定しない要因になる。
【0094】
濾過液流形成手段24でアオコ濃縮槽14の液面Cを一定に維持することで、回転円板26Aがマイクロバブル膜Aに接触しないようにすることができる。更に、回転円板26Aがマイクロバブル膜Aに確実に接触しないようにアオコ濃縮槽14の液面C位置を下げたい場合には、図2及び図3のように、L字管28の液面C位置よりも低い位置にアオコ濃縮槽14の濾過液を排出する補助排出管44及び排出バルブ46を設けて、液面Cを強制的に下げることもできる。
【0095】
また、回転円板26Aの中心は、回転軸26B及び減速器26Dを介してアオコ濃縮槽14の搭載台14Aに搭載されたモータ26Cに連結される。これにより、回転円板26Aは、外周部分がアオコ濃縮層Bに潜りながらゆっくりと回転し、アオコ濃縮層BのアオコWを静電気によって吸着する。
【0096】
回転円板26Aの回転数は3~6rpmであることが好ましい。回転円板26Aの回転数が6rpmを超えて速いと、アオコWと一緒に多くの水も回収されてしまい、回収したアオコWの低水分化が図れない。一方、回転円板26Aの回転数が3rpm未満と遅いと、回収したアオコWの水分量は少なくなるが、アオコの回収効率が悪くなってしまう。
【0097】
また、回転円板26Aは表面粗さの小さな滑面であるよりも表面粗さが大きなザラザラな粗面であることがアオコ吸着にとって好ましい。したがって、回転円板26Aは表面粗さが大きな素材で製作されるか又は回転円板26Aに粗面化処理が施されていることが好ましい。
【0098】
なぜ、回転円板26Aを粗面にすることでアオコWを吸着し易くなるについての明快な理屈は分からないが、恐らく回転円板とアオコWとの摩擦力が大きくなるので、縦向きに回転する回転円板に吸着したアオコWが重力で落下し難くなるためと推察される。
【0099】
回転円板手段26によって回転する回転円板26Aの数は1基であることに限定するものではなく、図4に示すように複数並列配置されていることが好ましい。これにより、アオコWの回収速度(回収効率)を大きくすることができる。
【0100】
図4では回転円板26Aを3基並列配置するようにした。即ち、アオコ濃縮槽14のモータ26Cが配置された側の反対側に軸受26Eを設け、モータ26Cと軸受26Eとの間の回転軸26Bに3基の回転円板26A,26A…が設けられる。更に、それぞれの回転円板26Aには、上述したレーキ34とアオコ排出手段36が設けられる。
【0101】
3基の回転円板26A及びそれぞれに設けたレーキ34とアオコ排出手段36をアオコ濃縮槽14に支持する支持部材は図示していないが、強度的に問題ない構造であればどのような支持部材でもよい。
【0102】
(帯電手段)
帯電手段32は、回転円板26Aをプラス又はマイナスに帯電することができればどのような方法でもよいが、本実施の形態では、摩擦によって回転円板26Aを帯電する摩擦帯電方式とプラズマ放電によって回転円板26Aを帯電するコロナ帯電方式の2つの方法で説明する。
【0103】
図5は、摩擦帯電方式を利用した場合であり、レーキ34を帯電手段32として利用したものである。摩擦帯電方式の場合、帯電列のプラスに帯電し易い物質とマイナスに帯電し易い物質とを摩擦することによって、回転円板26Aにプラス又はマイナスの電気を帯電させる。また、金属のように導電性の高い物質は帯電してもすぐに放電してしまうため、本発明では導電性の低い(即ち絶縁性の高い)プラスチックを回転円板26Aの素材として使用した。
【0104】
摩擦帯電は、帯電列の近い2つの物質同士を摩擦するよりも帯電列の離れた2つの物質同士を摩擦する方が大きな帯電量を回転円板26Aに蓄積することができる。
【0105】
したがって、例えば、回転円板26Aをマイナスに帯電させたい場合には、回転円板26Aのプラスチック素材として、帯電列のマイナス側のポリ塩化ビニル、ポリカーボネートを使用することが好ましい。一方、レーキ34の素材として帯電列のプラス側の物質でレーキ34としての掻き取り機能を発揮できる物質であればどのようなものでもよいが、プラスチック製のレーキ34の場合には、アクリル樹脂又は硬質ナイロンを使用するとよい。
【0106】
逆に、回転円板26Aをプラスに帯電させたい場合には、回転円板26Aのプラスチック素材として、帯電列のプラス側のアクリル樹脂又は硬質ナイロンを使用することが好ましい。一方、レーキ34の素材として帯電列がマイナス側のポリ塩化ビニル、ポリカーボネートを使用するとよい。
【0107】
(レーキ)
レーキ34は、回転円板26Aに静電気で吸着したアオコを掻き取るものであるが、上記の如く摩擦帯電を利用して回転円板26Aに静電気を帯電させる場合には、帯電手段32の構成部材としても兼用する。したがって、レーキ34は、図2及び図3のように、回転円板26Aの両面にそれぞれ接触して一対設けることにより、アオコWの掻き取り機能と帯電機能の両方を持たせることができる。
【0108】
レーキ34の形状としては、回転円板26Aに静電気で吸着したアオコWを掻き取ってアオコ排出手段36に送り渡すことができるものであればどのような構造でもよいが、本発明の実施の形態では、径断面がU字状のレーキ34とした。U字状のレーキの一方辺が回転円板26Aの側面(アオコを吸着する面)に接触し、他方辺がアオコ排出手段36のアオコ排出部材36Aの内側に固定される。
【0109】
これにより、回転円板26Aが回転することによって、回転円板26Aとレーキ34とが接触して擦れあい、回転円板26Aがマイナス又はプラスに帯電する。したがって、回転円板26Aには静電気によるアオコ吸着力が発生する。
【0110】
なお、上述したように、回転円板26Aの両側面は、表面粗さが大きなザラザラな粗面であることが好ましい。したがって、レーキ34の素材としてプラスチックよりも硬質で擦れあうことにより回転円板26Aの両側面を荒らすことができる金属(例えば鉄製のもの)であることが一層好ましい。
【0111】
図6は、帯電手段32としてコロナ帯電装置38によって回転円板26Aを帯電するプラズマ帯電方式の図である。
【0112】
図6に示すように、コロナ帯電装置38は、主として帯電ガン38Aと、コントローラ38Bと、帯電ガン38Aとコントローラ38Bを繋ぐ制御ケーブル38Cと電源ケーブ38Dとで構成される。帯電ガン38AはU字状に形成され、回転円板26Aの両側面に接触しないように回転円板26Aの側方から回転円板の回転軸26B近くまで挿入される。これにより、U字状の帯電ガン38Aからはマイナス又はプラスのイオンが回転円板26Aの両側面にプラズマ放電され、回転円板26Aの両側面が帯電される。
【0113】
回転円板26Aに対する帯電ガン38Aの配置位置としては、図6に示すように、回転円板26Aの回転方向から見てレーキ34の下流側でアオコ濃縮槽14のアオコ濃縮層Bに接触しない位置が好ましい。これにより、帯電直後の大きな静電気を有する回転円板26AとアオコWとが出会うので、アオコWを効率的に吸着することができる。
【0114】
また、コントローラ38Bとしては、マイナス帯電専用又はプラス帯電専用のものもあるが、マイナスとプラスの共用のものを使用することが好ましい。これにより、レーキ34による摩擦帯電で回転円板26Aに生じる帯電極に合わせて摩擦帯電と同じ電極の電気を帯電ガン38Aから回転円板26Aに帯電できるので、効率よく帯電することができる。
【0115】
(アオコ排出手段)
図5に示すように、アオコ排出手段36は、アオコWの排出方向に向けて下向きに傾斜した樋状のアオコ排出部材36Aで構成され、アオコ排出部材36Aの先端部はアオコ回収容器36Bまで延設される。また、アオコ排出部材36Aの両側板の基端部内側に一対のレーキ34、34が対向して固定されると共に基端部外側にボルト37で固定された一対の連結板35,35を介してアオコ濃縮槽14の図示しない支持部材に支持される。これにより、レーキ34及びアオコ排出部材36Aがアオコ濃縮槽14に固定される。
【0116】
なお、図5図8において、一対の連結板35,35のうちの一方は、回転円板26A及びレーキ34が隠れないように、上部を切り欠いて示してある。
【0117】
樋状に形成されたアオコ排出部材36Aの基端部(傾斜方向の上端部)の底板には、回転円板26Aが回転する際にアオコ排出部材36Aが邪魔にならないための直線状の切り欠き(図示せず)が形成されている。
【0118】
これにより、回転円板26Aに付着したアオコWは回転円板26Aが回転することでレーキ34によって掻き取られ、アオコ排出部材36Aに流れ落ちる。アオコ排出部材36Aに流れ落ちたアオコWはアオコ排出部材36Aを滑ってアオコ回収容器36Bに回収される。
【0119】
図7は、アオコ排出手段36の別態様であり、アオコ排出部材36AのアオコWを排出方向にエアー圧で押し出す複数のエアーブロー手段40を備えた場合である。
【0120】
本発明のアオコ回収装置10Aのように、縦向きに回転する回転円板26AにアオコWを吸着して回収する場合、上述のようにアオコWは脱水されて低水分状態でレーキ34に掻き取られる。このため、低水分状態のアオコWがU字状のレーキ34及び樋状のアオコ排出部材36Aに堆積してアオコWのスムーズな排出を阻害する恐れがある。
【0121】
このことから、図7に示すように、一対のレーキ34、34及びアオコ排出部材36Aには、アオコWを排出方向にエアー圧で押し出す複数のエアーブロー手段40を設けるようにした。エアーブロー手段40は、主として、エアーノズル40Aと、図示しないブロアーと、エアーノズル40Aとブロアーとを繋ぐエアーホース40Bとで構成される。
【0122】
アオコWが堆積しないように排出できれば、エアーノズル40Aの配置位置や設ける数に限定されないが、本実施の形態では図7に示すように、一対のレーキ34、34の基端部とアオコ排出部材36Aの両側辺にそれぞれ合計4個設けた。
【0123】
これにより、レーキ34によって回転円板26Aから掻き取られたアオコWは、レーキ34に設けたエアーノズル40Aからの噴出エアーによってアオコ排出部材36Aに送り出される。その後、排出方向に向けて下向きに傾斜した樋状のアオコ排出部材36Aを滑り落ちると共に、アオコ排出部材36Aに設けたエアーノズル40Aからの噴出エアーによってアオコ回収容器36B(図2参照)に送られて回収される。
【0124】
図8は、アオコ排出手段36の別態様であり、アオコ排出手段36には、アオコ排出部材36Aの傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段42が設けられていることが好ましい。これにより、アオコ排出部材36Aの傾斜角度をアオコWが滑り落ちやすい傾斜角度に調整することができ、アオコWをスムーズに排出できる。
【0125】
傾斜角度調整手段42はアオコ排出部材36Aの傾斜角度を調整できる構造であれば手動又は自動の何れでもよいが、本実施の形態では低コストで製作可能な手動式の傾斜角度調整手段42で示した。
【0126】
図8に示すように、傾斜角度調整手段42は、アオコ排出部材36Aの長さ方向の略中間部を回動中心としてアオコ排出部材36Aを回動自在に支持する回動支持部材42Aと、所定の傾斜角度でアオコ排出部材36Aの回動を固定する回動ロック手段42Bとで構成するようにした。
【0127】
即ち、回動支持部材42Aは、樋状に形成されたアオコ排出部材36Aの長さ方向の略中間部における両側板にそれぞれ形成された第1回動孔50と、アオコ濃縮槽14に固定された一対のL字状の回動支持部材52、52に形成された第2回動孔54とが回動用ピン56により回動自在に連結される。これにより、アオコ排出部材36Aは、回動用ピン56を中心としてシーソのように回動することができる。
【0128】
なお、傾斜角度調整手段42を設ける場合には、アオコ排出部材36Aと上記したアオコ濃縮槽14に固定された連結板35との結合は解除してアオコ排出部材36Aが回動できるようにする必要がある。この場合、アオコ排出部材36Aは回動支持部材52、52によってアオコ濃縮槽14に支持される。
【0129】
また、回動ロック手段42Bは、傾斜角度調整手段42の位置よりもアオコ排出部材36Aの先端部側であってアオコ排出部材36Aの両側板に形成された第1ロック孔58と、アオコ排出部材36Aの両側板の外側近傍に立設された一対のロック用支柱60,60に形成された複数の第2ロック孔62,62…と、第1ロック孔58と第2ロック孔62とに挿入するロック用ピン64とで構成される。
【0130】
複数の第2ロック孔62は、アオコ排出部材36Aの傾斜に応じた位置に形成される。これにより、アオコ排出部材36Aの両側板に形成された第1ロック孔58と、ロック用支柱60に形成された一番上の第2ロック孔62とにロック用ピン64を挿入すると、アオコ排出部材36Aの傾斜が最も小さくなる。また、一番下の第2ロック孔62にロック用ピン64を挿入すると、アオコ排出部材36Aの傾斜が最も大きくなる。
【0131】
本実施の形態では、第2ロック孔62を3個形成し、3段階に傾斜角度を変えることができるようにしたが、この数に限定するものではない。
【0132】
これにより、アオコ排出部材36Aを滑り落ちるアオコWの滑り易さ、即ちレーキ34で掻き取られたアオコWの水分状態に応じてアオコ排出部材36Aの傾斜角度を調整することができる。したがって、アオコWをスムーズにアオコ回収容器36Bに回収することができる。
【0133】
なお、図示しなかったが、アオコ排出手段36に、エアーブロー手段40と傾斜角度調整手段42との両方を設けることも可能である。
[アオコ濃縮回収方法]
次に、本発明のアオコ回収装置10Aをアオコ濃縮装置10Bに組み込んだアオコ濃縮回収装置10でアオコWを濃縮して回収するまでのアオコ濃縮回収方法を説明する。
【0134】
なお、本発明のアオコ回収装置10Aにおいて回転円板26Aに帯電させる帯電方法として回転円板26Aとレーキ34との摩擦により帯電する摩擦帯電の場合で説明するが、コロナ帯電装置38を使用したプラズマ帯電でもよいことは勿論である。
【0135】
先ず、アオコ濃縮装置10Bのアオコ濃縮槽14内にアオコを含まない水、例えば工業用水あるいは閉鎖性水域12から取水してアオコや夾雑物を除去した水を貯留する。即ち、アオコ濃縮槽14に水を供給して、アオコ濃縮槽14に貯留される水深が濾過液流形成手段24の排出管30の高さになるまで貯留する。アオコ濃縮槽14に貯留される水深が排出管30の高さを超えると排出管から排出されるので、これによりアオコ濃縮槽14の液面Cが設定される。
【0136】
次に、マイクロバブル生成手段18を稼働してマイクロバブル膜形成手段20の散気管20Bからマイクロバブル水を吐出し、液面C近傍にマイクロバブルの気泡が密集した密集層であるマイクロバブル膜Aを形成する。これにより、アオコ濃縮の前準備が完了する。
【0137】
次に、アオコ原水取水手段16の取水配管16Aの取水口を閉鎖性水域12の水面近傍に動かないように配置し、取水ポンプ16Bを稼働する。これにより、閉鎖性水域12の水面近傍に浮遊するアオコを含有するアオコ原水をアオコ濃縮槽14に取水する。
【0138】
合わせて、本発明のアオコ回収装置26のモータ26Cを駆動し、減速機26Dを介して回転円板26Aをゆっくり(3~6rpm)と回転させる。
【0139】
そして、取水ポンプ16Bで取水されたアオコ原水を、アオコ原水溢流手段22の2本の溢流管22Aのスリット口22Cからマイクロバブル膜Aの上側に溢流させる。これにより、アオコ濃縮槽14の貯留量が液面Cより高くなるので、濾過流形成手段24の排出管30から貯留量の増加分がアオコ濃縮槽14から排出される。したがって、アオコ濃縮槽14には、マイクロバブル膜Aの上側から下側に向かう濾過流が自動的に形成される。これにより、アオコ原水はマイクロバブル膜Aにより濾過される。
【0140】
この濾過により、アオコ原水の水のみがマイクロバブル膜Aを透過して濾過液となり、マイクロバブル膜Aの上側にアオコが濃縮したアオコ濃縮液の液層が形成される。即ち、アオコ濃縮装置10Bの運転によって、図3に示すように、マイクロバブル膜Aの上側にアオコが濃縮されたアオコ濃縮液の液層であるアオコ濃縮層Bが形成される。
【0141】
アオコ濃縮装置10Bでは、マイクロバブル膜Aを構成するマイクロバブルの気泡は、時間や衝撃によって破壊して消滅するため、マイクロバブル膜Aを濾過膜として使用するには、マイクロバブル膜Aの厚みや気泡の密集性を一定に維持することが必要になる。
【0142】
マイクロバブルを含有するマイクロバブル水をアオコ濃縮槽14の液中に連続的に送り込むだけでなく、マイクロバブル膜Aの上側の膜面近傍にアオコ原水を溢流させる溢流管22Aを有すると共にアオコ原水の溢流量とアオコ濃縮槽14からの排出量とを同等になるように構成した。
【0143】
これにより、溢流管22Aを常にマイクロバブル膜Aの膜面近傍に位置させることができるので、溢流するアオコ原水によるマイクロバブル膜への衝撃が小さくなり気泡が破壊されにくくなると共に、マイクロバブル膜Aが動揺しにくくなり気泡の密集性が維持され易くなる。この結果、マイクロバブル膜Aの厚みや気泡の密集性を一定に維持することができる。これにより、マイクロバブル膜Aの膜形成を安定化でき、アオコ原水を効率的に濾過することができる。
【0144】
アオコ濃縮装置10Bによれば、回収されたアオコの濃縮率を70%以上にすることが可能である。また、アオコ濃縮装置10Bは、アオコ原水からアオコを濾過する濾過膜としてマイクロバブル膜Aを使用するので、アオコが目詰まりするという現象が生じない。これにより、ほぼメンテナンスフリーのアオコ濃縮装置10Bを構成できる。
【0145】
アオコ濃縮装置10Bのマイクロバブル膜Aの上側に濃縮したアオコ濃縮液中のアオコWは、本発明のアオコ回収装置26の回転円板26Aに付着する。そして、回転円板26Aに付着したアオコWはレーキ34によって掻き取られ、アオコ排出部材36Aを介してアオコ回収容器36Bに回収される。
【0146】
図9は、本発明のアオコ回収装置10Aのアオコ回収メカニズムを説明する図であり、回転円板26Aをマイナスに帯電させた場合である。
【0147】
図9の(A)に示すように、マイナスに帯電した回転円板26AとアオコWとが近づくと、回転円板26Aからは電気力線Kが出ているので、アオコWの陽子(+)は引き付けられ、電子(-)は遠ざけられる。即ち、図9の(B)のように、アオコWの回転円板26Aに近い部分がプラス電気を帯び、アオコWの回転円板26Aに遠い部分がマイナス電気を帯びる、いわゆる静電誘導が生じる。
【0148】
したがって、図9の(C)のように、マイナスに帯電した回転円板26AとアオコWのプラス帯電部分とが引き合い、アオコWは回転円板26Aに吸着される。
【0149】
このように、本発明のアオコ回収装置10Aによれば、回転円板26Aに帯電させた静電気によってアオコWを吸着させて回収するので、アオコWをフィルタで濾過する従来技術のように目詰まりすることはない。したがって、アオコ回収装置10Aを長時間使用してもアオコ回収性能が低下することはないと共にメンテナンスを殆ど必要としない。
【0150】
また、アオコWを吸着した回転円板26Aは縦向きに回転しているので、アオコWがレーキ34で回転円板26Aから掻き取られるまでの間にアオコW中の水分が重力により回転円板26Aの表面をつたって流れ落ちる。これにより、アオコWは脱水されるので、アオコWを低水分状態で回収することができる。
【0151】
このように、本発明のアオコ回収装置10Aは、回転円板26Aに吸着したアオコWの水分を重力で脱水する方法なので、長時間使用しても脱水性能が低下することはない。したがって、アオコWを低水分状態で回収することができ、回収したアオコWの体積を常に小さくできる。
【0152】
なお、図示しないが、プラスに帯電した回転円板26AとアオコWとが近づくと、回転円板26Aからは電気力線Kが出ているので、アオコWの電子(-)は引き付けられ、陽子(+)は遠ざけられる。即ち、アオコWの回転円板26Aに近い部分がマイナス電気を帯び、アオコWの回転円板26Aに遠い部分がプラス電気を帯びる、いわゆる静電誘導が生じ、アオコWは回転円板26Aに吸着される。
【0153】
自然界では、アオコWのような藻類の表面はマイナスに帯電していると言われており、回転円板26Aをマイナスに帯電するよりもプラスに帯電する方が帯電効率の点で得策であると考えられる。
【0154】
また、上述したように、回転円板26Aを粗面にすることで、アオコWを回転円板26Aに静電気力と摩擦力との両方で保持することができ、回収速度を大きくすることができるので、より効率的なアオコWの回収を行うことができる。
【符号の説明】
【0155】
10…アオコ濃縮回収装置、10A…アオコ回収装置、10B…アオコ濃縮装置、12…閉鎖性水域、14…アオコ濃縮槽、14A…搭載台、16…アオコ原水取水手段、16A…取水配管、16B…取水ポンプ、18…マイクロバブル水生成手段、18A…エアー混合ポンプ、18B…減圧ノズル、18C…引き抜き管、20…マイクロバブル膜形成手段、20A…送液配管、20B…拡散管、20C…吹出口、22…アオコ原水溢流手段、22A…溢流管、22B…分流管、22C…スリット口、24…濾過流形成手段、26…回転円板手段、26A…回転円板、26B…回転軸、26C…モータ、26D…減速機、28…L字管、28A…水平部、28B…垂直部、30…排出管、32…帯電手段、34…レーキ、35…連結板、36…アオコ排出手段、36A…アオコ排出部材、36B…アオコ回収容器、37…ボルト、38…コロナ帯電装置、38A…帯電ガン、38B…コントローラ、38C…制御ケーブル、38D…電源ケーブル、40…エアーブロー手段、40A…エアーノズル、40B…エアーホース、42…傾斜角度調整手段、42A…回動手段、42B…回動ロック手段、44…補助排出管、46…排出バルブ、48…アオコ群分割機、50…第1回動孔、52…回動支持部材、54…第2回動孔、56…回動用ピン、58…第1ロック孔、60…ロック用支柱、62…第2ロック孔、64…ロック用ピン、A…マイクロバブル膜、B…アオコ濃縮層、C…液面、K…電気力線、W…アオコ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9