(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット、エアロゾル生成装置の本体ユニット、エアロゾル生成装置、及び、非燃焼式吸引器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20230301BHJP
【FI】
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2019215759
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】松田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-516559(JP,A)
【文献】特表2018-527913(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0286865(US,A1)
【文献】国際公開第2018/020421(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、
前記電源部と電気的に接続されたフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板に実装されたセンサと、
前記電源部、前記フレキシブルプリント基板、及び、前記センサを少なくとも収容するハウジングと、備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記ハウジングの長手方向に対して略垂直に配置された垂直配置部を有し、
前記垂直配置部
の第1面に、前記センサが実装され
、
前記垂直配置部の前記第1面と反対側の第2面に、ピン電極が実装されている、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項2】
前記センサは、圧力センサであり、
前記ハウジングは、前記ピン電極を支持する端壁を有し、
前記端壁には、前記ハウジングの長手方向に貫通した通気口が形成されている、
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項3】
前記端壁と前記垂直配置部との隙間に、前記通気口に連通する圧力変動室を形成する枠部材を備える、
請求項2に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項4】
前記垂直配置部には、前記ハウジングの長手方向に貫通すると共に、前記圧力変動室と前記センサとを空間的に接続する接続口が形成されている、
請求項3に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項5】
前記垂直配置部の前記第1面側に配置され、前記ピン電極の背面領域の少なくとも一部を支持する支持部材を備える、
請求項4に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項6】
前記電源部を充電するための充電端子と、
前記ハウジングに収容された基板と、を備え、
前記電源部、前記センサ、前記充電端子、及び、前記基板は、前記フレキシブルプリント基板と電気的に接続されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項7】
前記垂直配置部は、前記ハウジングの長手方向の一端部側に配置され、
前記充電端子は、前記ハウジングの長手方向の他端部側に配置され、
前記フレキシブルプリント基板が、前記ハウジングの長手方向の一端部側から他端部側まで延びている、
請求項6に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項8】
電源部と、
前記電源部と電気的に接続されたフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板に実装されたセンサと、
前記電源部、前記フレキシブルプリント基板、及び、前記センサを少なくとも収容するハウジングと、
前記電源部を充電するための充電端子と、
前記ハウジングに収容された基板と、備え、
前記電源部、前記センサ、前記充電端子、及び、前記基板は、前記フレキシブルプリント基板と電気的に接続されており、
前記フレキシブルプリント基板は、前記ハウジングの長手方向に対して略垂直に配置された垂直配置部を有し、
前記垂直配置部に、前記センサが実装され、
前記垂直配置部は、前記ハウジングの長手方向の一端部側に配置され、
前記充電端子は、前記ハウジングの長手方向の他端部側に配置され、
前記フレキシブルプリント基板が、前記ハウジングの長手方向の一端部側から他端部側まで延びている、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットと、
前記電源ユニットと電気的に接続される霧化ユニットを収容可能な収容部と、を備える、エアロゾル生成装置の本体ユニット。
【請求項10】
前記収容部は、前記電源ユニットの前記ハウジングを収容する外ハウジング、あるいは、前記電源ユニットの前記ハウジングの一部である、請求項9に記載のエアロゾル生成装置の本体ユニット。
【請求項11】
請求項9または10に記載のエアロゾル生成装置の本体ユニットと、
前記本体ユニットの前記収容部に収容され、前記電源ユニットと電気的に接続された霧化ユニットと、を備える、エアロゾル生成装置。
【請求項12】
請求項11に記載のエアロゾル生成装置と、
前記エアロゾル生成装置の吸口部に装着された香味源容器と、を備える、非燃焼式吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニット、エアロゾル生成装置の本体ユニット、エアロゾル生成装置、及び、非燃焼式吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱により霧化させた蒸気(例えば、エアロゾル)を吸引することで、香味を味わう非燃焼式吸引器(以下、単に吸引器という。)が知られている。この種の吸引器としては、例えば霧化可能な内容物(例えば、エアロゾル源)が収容される霧化ユニットと、蓄電池が搭載された電源ユニットと、を備えたものがある。
吸引器では、蓄電池から供給される電力によって霧化ユニットに設けられた加熱部が発熱する。これにより、霧化ユニット内の内容物が霧化される。使用者は、霧化ユニットの吸口部を通じて、霧化したエアロゾルを空気とともに吸引できる。
【0003】
例えば下記特許文献1には、細長いシェルの内部に電子回路基板が収容された電源ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術にあっては、電子回路基板がシェルの中心軸と実質的に平行に配向されている。そして、この電子回路基板には、圧力センサが取り付けられている。そのため、電源ユニットの全長が長くなり、装置の大型化を招いていた。
【0006】
本発明は、装置の小型化を図ることができるエアロゾル生成装置の電源ユニット、エアロゾル生成装置の本体ユニット、エアロゾル生成装置、及び、非燃焼式吸引器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るエアロゾル生成装置の電源ユニットは、電源部と、前記電源部と電気的に接続されたフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に実装されたセンサと、前記電源部、前記フレキシブルプリント基板、及び、前記センサを少なくとも収容するハウジングと、備え、前記フレキシブルプリント基板は、前記ハウジングの長手方向に対して略垂直に配置された垂直配置部を有し、前記垂直配置部に、前記センサが実装されている。
本態様によれば、フレキシブルプリント基板がハウジングの長手方向に対して略垂直に配置された垂直配置部を有し、当該垂直配置部にセンサが実装されているため、ハウジングの長手方向の寸法を短くすることができる。これにより、装置の小型化、さらには、ハウジングの内部の省スペース化、部品の組付性の向上を図ることができる。
【0008】
上記エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいては、前記垂直配置部には、前記センサが実装された第1面と反対側の第2面に、ピン電極が実装されていてもよい。
本態様によれば、垂直配置部を利用して、センサと反対側にピン電極を実装することで、両部品を近接して配置でき、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0009】
上記エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいては、前記センサは、圧力センサであり、前記ハウジングは、前記ピン電極を支持する端壁を有し、前記端壁には、前記ハウジングの長手方向に貫通した通気口が形成されていてもよい。
本態様によれば、ピン電極とセンサ(圧力センサ)までの距離が近いため、このピン電極を支持する端壁に通気口を形成することで、センサの感度を向上させることができる。
【0010】
上記エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいては、前記端壁と前記垂直配置部との隙間に、前記通気口に連通する圧力変動室を形成する枠部材を備えてもよい。
本態様によれば、枠部材によって端壁と垂直配置部との隙間に圧力変動室を形成することで、圧力変動室のハウジングの長手方向における寸法を短くでき、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0011】
上記エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいては、前記垂直配置部には、前記ハウジングの長手方向に貫通すると共に、前記圧力変動室と前記センサとを空間的に接続する接続口が形成されていてもよい。
本態様によれば、垂直配置部にハウジングの長手方向に貫通する接続口が形成されているので、圧力変動室とセンサとを短距離で接続できる。これにより、センサの感度を向上させることができる。
【0012】
上記エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいては、前記垂直配置部の前記第1面側に配置され、前記ピン電極の背面領域の少なくとも一部を支持する支持部材を備えてもよい。
本態様によれば、ピン電極の押し込み反力を、フレキシブルな垂直配置部の背面領域を支持する支持部材で受けることができる。
【0013】
上記エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいては、前記電源部を充電するための充電端子と、前記ハウジングに収容された基板と、を備え、前記電源部、前記センサ、前記充電端子、及び、前記基板は、前記フレキシブルプリント基板と電気的に接続されていてもよい。
本態様によれば、フレキシブルプリント基板が各部品を接続する配線の役割を担うため、ハウジングの内部に多数の導体線を設置する必要がなくなる。これにより、ハウジングの内部の省スペース化、部品の組付性の向上を図ることができる。
【0014】
上記エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいては、前記垂直配置部は、前記ハウジングの長手方向の一端部側に配置され、前記充電端子は、前記ハウジングの長手方向の他端部側に配置され、前記フレキシブルプリント基板が、前記ハウジングの長手方向の一端部側から他端部側まで延びていてもよい。
本態様によれば、ハウジングの長手方向の一端部側から他端部側まで、一枚のフレキシブルプリント基板で各部品を接続することができる。
【0015】
本発明の一態様に係るエアロゾル生成装置の本体ユニットは、先に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットと、前記電源ユニットと電気的に接続される霧化ユニットを収容可能な収容部と、を備える。
本態様によれば、収容部に対する霧化ユニットの着脱操作によって、霧化ユニットの交換、エアロゾル源の補充などが容易に行える。また、小型の電源ユニットを備えるため、装置全体としても小型化を図ることができる。
【0016】
上記エアロゾル生成装置の本体ユニットにおいては、前記収容部は、前記電源ユニットの前記ハウジングを収容する外ハウジング、あるいは、前記電源ユニットの前記ハウジングの一部であってもよい。
本態様によれば、外ケーシングあるいは電源ユニットのハウジングの一部に対する霧化ユニットの着脱操作によって、霧化ユニットの交換、エアロゾル源の補充などが容易に行える。
【0017】
本発明の一態様に係るエアロゾル生成装置は、先に記載のエアロゾル生成装置の本体ユニットと、前記本体ユニットの前記収容部に収容され、前記電源ユニットと電気的に接続された霧化ユニットと、を備える。
本態様によれば、小型化された電源ユニットを備えるため、装置全体として小型化を図ることができる。
【0018】
本発明の一態様に係る非燃焼式吸引器は、先に記載のエアロゾル生成装置と、前記エアロゾル生成装置の吸口部に装着された香味源容器と、を備える。
本態様によれば、吸引口を通過するエアロゾルに香味を添加することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図7】一実施形態に係る吸引器を底面側から視た分解斜視図である。
【
図8】一実施形態に係る吸引器を平面側から視た分解斜視図である。
【
図9】一実施形態に係る吸引器の断面構成図である。
【
図10】一実施形態に係る香味源容器の正面図である。
【
図11】一実施形態に係る香味源容器の背面図である。
【
図12】一実施形態に係る香味源容器の右側面図である。
【
図13】一実施形態に係る香味源容器の左側面図である。
【
図14】一実施形態に係る香味源容器の底面図である。
【
図15】一実施形態に係る電源ユニットの縦断面図である。
【
図16】一実施形態に係る電源ユニットの分解斜視図である。
【
図17】一実施形態に係る電源ユニットの長手方向一端部側の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[吸引器]
図1は、一実施形態に係る吸引器の正面図である。
図2は、一実施形態に係る吸引器の背面図である。
図3は、一実施形態に係る吸引器の右側面図である。
図4は、一実施形態に係る吸引器の左側面図である。
図5は、一実施形態に係る吸引器の平面図である。
図6は、一実施形態に係る吸引器の底面図である。
吸引器1は、いわゆる非燃焼式吸引器であり、加熱により霧化されたエアロゾルを、香味源を通して吸引することで、香味を得るものである。
【0023】
図1に示すように、吸引器1は、本体ユニット10と、カートリッジ11(霧化ユニットとも言う)と、香味源容器12と、を備えている。カートリッジ11及び香味源容器12は、本体ユニット10に着脱可能に装着されている。カートリッジ11及び香味源容器12が装着された本体ユニット10(吸引器1ないし連続体とも言う)は、略直方体状に形成されている。
【0024】
なお、以下の説明において、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。X軸方向は吸引器1の長手方向であり、Y軸方向は吸引器1の幅方向であり、Z軸方向は吸引器1の厚み方向である。また、以下の説明において、「方向」とは2つの向きを意味し、「方向」のうち1つの向きを示す場合には「側」と記載する。
【0025】
<本体ユニット>
図7は、一実施形態に係る吸引器を底面側から視た分解斜視図である。
図8は、一実施形態に係る吸引器を平面側から視た分解斜視図である。
これらの図に示すように、本体ユニット10は、電源ユニット21と、保持ユニット22(収容部)と、を備えている。保持ユニット22は、X軸方向に延びる筒状に形成され、その長手方向の一端部側(+X側)からカートリッジ11を収容可能とされている。また、保持ユニット22は、その長手方向の一端部側(+X側)に、香味源容器12が装着可能とされている。
【0026】
電源ユニット21は、保持ユニット22の長手方向の他端部側(-X側)から収容可能なハウジング31を備えている。本実施形態の保持ユニット22は、電源ユニット21のハウジング31を収容する外ハウジングである。なお、保持ユニット22は、電源ユニット21のハウジング31の一部であっても構わない。つまり、電源ユニット21のハウジング31と保持ユニット22は、一体になっていても構わない。
【0027】
<電源ユニット>
電源ユニット21は、ハウジング31と、充電端子32と、蓄電池33と、フレキシブルプリント基板34と、リジット基板35(基板)と、ピン電極36などを備えている。ハウジング31は、X軸方向に延びると共に、+Z側が開口する略有底箱状に形成されている。ハウジング31の長手方向の一端側(+X側)の端壁40には、一対のピン電極36が支持されている。一対のピン電極36は、ハウジング31の幅方向(Y軸方向)に間隔をあけて、ハウジング31の長手方向(X軸方向)に平行に延びている。
【0028】
ハウジング31の長手方向の他端部側(-X側)には、充電端子32が配置されている。ハウジング31の長手方向の他端部には、底部カバー41が取り付けられ、底部カバー41には、ハウジング31の長手方向に貫通する複数の貫通口41aが形成されている。充電端子32は、これら貫通口41aを介して外部の充電器(例えばポケットチャージャなど)と接続可能とされている。なお、充電端子32をUSBコネクタ(Universal Serial Bus)などにすることで、外部電源から直接給電可能な構成としても構わない。
【0029】
ハウジング31には、上述した端壁40と底部カバー41との間で、ハウジング31の内部スペースを分ける仕切壁46が形成されている。仕切壁46よりも+X側には、リジット基板35及びピン電極36などが配置されている。また、仕切壁46よりも-X側には、充電端子32、蓄電池33などが配置されている。フレキシブルプリント基板34は、仕切壁46を乗り越えて、ハウジング31の長手方向の一端部側(+X側)から他端部側(-X側)まで延びて、各部品と電気的に接続されている。
【0030】
<保持ユニット>
保持ユニット22は、平面視あるいは底面視で四角形の角筒状に形成されている。保持ユニット22の長手方向の一端部側(+X側)には、保持ユニット22の長手方向(X軸方向)に対して斜めになった傾斜開口端22aが形成されている。傾斜開口端22aは、Y-Z平面に対し、Z軸回りに略45°傾いている。傾斜開口端22aの-Y側の端部は、傾斜開口端22aの+Y側の端部よりも、保持ユニット22の長手方向の一端部側(+X側)に位置している。
【0031】
傾斜開口端22aの+Y側には、カートリッジ11の着脱を案内する切欠き部23が形成されている。切欠き部23は、保持ユニット22の正面(
図1または
図7参照)及び背面(
図2または
図8参照)に形成されると共に、傾斜開口端22aから保持ユニット22の長手方向の他端部側(-X側)に向かって一定の幅で直線状に延びている。切欠き部23の-X側の端部は、傾斜開口端22aと同様に斜め方向に延びている。
【0032】
また、傾斜開口端22aの近傍には、香味源容器12を装着可能な貫通口24が形成されている。貫通口24は、保持ユニット22の右側面(
図3または
図7参照)及び左側面(
図4または
図8参照)に形成された矩形の貫通口である。保持ユニット22の右側面に形成された貫通口24は、傾斜開口端22aの+Y側の端部から-X側に一定距離離れて形成されている。また、保持ユニット22の左側面に形成された貫通口24も同様に、傾斜開口端22aの-Y側の端部から-X側に一定距離離れて形成されている。
【0033】
<カートリッジ>
カートリッジ11は、液体のエアロゾル源を貯留すると共に、この液体のエアロゾル源を霧化する。カートリッジ11は、上述した傾斜開口端22aから保持ユニット22の内部に収容される。
【0034】
カートリッジ11は、平面視あるいは底面視で四角柱状に形成されている。カートリッジ11の長手方向の一端部側(+X側)には、カートリッジ11の長手方向(X軸方向)に対して斜めになった傾斜面11aが形成されている。傾斜面11aは、上述した保持ユニット22の傾斜開口端22aと同様に斜め方向に傾いている。
【0035】
また、カートリッジ11には、ガイド部11bが形成されている。ガイド部11bは、保持ユニット22にカートリッジ11を着脱する際に、上述した切欠き部23に着脱方向(X軸方向)に案内される突出部である。ガイド部11bは、カートリッジ11の正面(
図1または
図7参照)及び背面(
図2または
図8参照)に形成されると共に、傾斜面11aからカートリッジ11の長手方向の他端部側(-X側)に向かって一定の幅で直線状に延びている。
【0036】
ガイド部11bの-X側の端部は、傾斜開口端22aと同様に斜め方向に延びている。また、ガイド部11bの+X側の端部も、傾斜開口端22aと同様に斜め方向に延びている。つまり、ガイド部11bは、正面視ないし背面視で、平行四辺形に形成されている。なお、切欠き部23も同様に、正面視ないし背面視で、平行四辺形に形成されているが、
図1に示すように、切欠き部23の長手方向(X軸方向)の寸法は、ガイド部11bの長手方向(X軸方向)の寸法よりも長くなっている。つまり、ガイド部11bは、切欠き部23の内部で、X軸方向に僅かに移動可能とされている。
【0037】
図7に示すように、カートリッジ11の長手方向の他端部側(-X側)の端面には、平面電極13が露出している。平面電極13は、カートリッジ11の幅方向(Y軸方向)に間隔をあけて一対で設けられ、電源ユニット21の一対のピン電極36と、X軸方向で接触可能とされている。また、一対の平面電極13の間には、吸気口14が形成されている。吸気口14から吸気された空気は、カートリッジ11の内部を長手方向(X軸方向)に通過する。
【0038】
図9は、一実施形態に係る吸引器の断面構成図である。
図9に示すように、カートリッジ11は、エアロゾル源を貯留するタンク50と、エアロゾル源を霧化するヒータユニット60と、を備えている。タンク50は、カートリッジ11の底部を除く部分を形成しており、平面視あるいは底面視で四角柱状に形成されている。タンク50の長手方向の一端部側(+X側)には、上述した傾斜面11aが形成されている。また、タンク50の正面及び背面には、上述したガイド部11bが形成されている。
【0039】
タンク50の長手方向の他端部側(-X側)には、係合爪51が形成されている。係合爪51は、タンク50の右側面及び左側面に一対で形成されている。係合爪51は、タンク50にヒータユニット60を固定するためのものである。また、タンク50には、上述した傾斜面11aをタンク50の長手方向(X軸方向)に貫通する流路管52が形成されている。流路管52は、上述した吸気口14と連通し、霧化されたエアロゾルの流路となる。
【0040】
傾斜面11aにおける流路管52の開口端の周囲には、環状壁53が形成されている。環状壁53は、傾斜面11aからタンク50の長手方向の一端部側(+X側)に向かって一定の高さで形成されている。つまり、環状壁53の上端面は、傾斜面11a(傾斜開口端22a)と同様に斜め方向に延びている。
【0041】
タンク50の長手方向の他端部側(-X側)は、開口しており、該開口を閉塞するようにヒータユニット60が取り付けられている。ヒータユニット60は、エアロゾル源を吸収するウィック61と、ウィック61を加熱する電熱線62と、ウィック61を支持する支持ユニット63と、支持ユニット63の内部に収められたヒータホルダ64と、上述したタンク50の係合爪51に係合するヒータカバー65と、を備えている。
【0042】
ウィック61は、吸液性を有する略円柱状の部材である。ウィック61は、繊維を束ねた繊維体や、多孔質体などから形成されている。ウィック61は、カートリッジ11の幅方向(Y軸方向)に直線状に延びている。ウィック61の両端部は、支持ユニット63に支持されている。ウィック61の両端部は、支持ユニット63による支持位置よりも幅方向外側に延びており、その部分からタンク50に貯留されたエアロゾル源を毛細管力などにより吸収する。
【0043】
電熱線62は、ウィック61の周囲を取り囲むように螺旋状に巻かれている。なお、電熱線62は、ウィック61に少なくとも一部が接してればよい。電熱線62の一対の端末部62aは、カートリッジ11の長手方向の他端部側(-X側)に延び、上述した一対の平面電極13と、それぞれ電気的に接続されている。一対の平面電極13を介して電熱線62が通電すると、ウィック61が加熱される。ウィック61が加熱されると、ウィック61に吸収されたエアロゾル源が霧化される。
【0044】
支持ユニット63は、ウィック61の両端部を挟み込む第1支持体63a及び第2支持体63bを備えている。第2支持体63bは、内部に、エアロゾル源を霧化する霧化室15を形成する有底角筒状に形成されている。第1支持体63aは、霧化室15の頂部を閉塞する有頂角筒状に形成されている。ウィック61の両端部は、第1支持体63a及び第2支持体63bの合わせ面に挟持されている。
【0045】
第1支持体63aの頂壁には、上述したタンク50の流路管52に嵌合する嵌合溝63a1と、嵌合溝63a1に連通する貫通口63a2と、が形成されている。第2支持体63bの底壁には、上述した吸気口14が形成されている。吸気口14は、霧化室15と連通している。つまり、吸気口14から吸気された空気は、霧化室15、貫通口63a2、嵌合溝63a1、及び流路管52を通り、カートリッジ11の長手方向に抜けていく。
【0046】
霧化室15には、ヒータホルダ64が収容されている。ヒータホルダ64は、電熱線62の一対の端末部62aを保持している。第2支持体63bの周壁には、環状溝63b1が形成されている。環状溝63b1には、環状のシール部材66が配置されている。シール部材66は、第2支持体63bの周壁とタンク50の内壁との隙間を液密にシールしている。支持ユニット63がタンク50の内壁に液密に嵌合することで、支持ユニット63の外部に、エアロゾル源が貯留される液体収容室16が形成される。
【0047】
ヒータカバー65は、上述した支持ユニット63を支持する有底角筒状に形成されている。ヒータカバー65の底壁には、上述した一対の平面電極13及び吸気口14を露出させる開口部65aが形成されている。また、ヒータカバー65の周壁には、上述したタンク50の係合爪51が係合する係合口65bが形成されている。係合口65bに係合爪51が係合することで、タンク50とヒータユニット60とが一体化されている。
【0048】
<香味源容器>
図10は、一実施形態に係る香味源容器の正面図である。
図11は、一実施形態に係る香味源容器の背面図である。
図12は、一実施形態に係る香味源容器の右側面図である。
図13は、一実施形態に係る香味源容器の左側面図である。
図14は、一実施形態に係る香味源容器の底面図である。
香味源容器12は、香味源を収容しており、カートリッジ11で霧化したエアロゾルに香味を添加する。香味源を構成する原料片としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に形成した成形体を用いることができる。また、香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。また、香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源容器12は、上述した保持ユニット22の傾斜開口端22a(
図1及び
図7参照)に装着される。
【0049】
図9に示すように、香味源容器12には、カートリッジ11により生成されたエアロゾルが流入する流入口70と、香味源により香味が付与されたエアロゾルが吸引されて流出する吸引口71と、が形成されている。流入口70は、上述した保持ユニット22の傾斜開口端22aと同様に斜め方向に傾いている。つまり、流入口70は、吸引口71に対して斜め方向に面するように形成されている。言い換えると、流入口70は、エアロゾルの流入方向(X軸方向)の垂直面(Y-Z平面)に対して角度が付けられた領域を、少なくとも一部に含むように形成されている。
【0050】
香味源容器12の内部には、流入口70及び吸引口71に連通する香味源収容室12cが形成されている。香味源収容室12cには、上述した香味源が収容されている。香味源収容室12cは、流入口70を形成する第1部材12aと、吸引口71を形成する第2部材12bとが、第1部材12aの内側に第2部材12bの一部が入り込むインロー嵌合することで形成されている。流入口70及び吸引口71には、複数のメッシュ開口73が形成されており、その内側(香味源収容室12c側)にフィルタ74が設けられている。フィルタ74は、例えば不織布から形成されている。なお、フィルタ74が、メッシュ開口73の役目を担って、フィルタ74とメッシュ開口73が一体の構成とされていても構わない。
【0051】
香味源容器12の流入口70側(-X側)には、保持ユニット22の傾斜開口端22aと当接する当接部75(
図1及び
図10参照)が形成されている。香味源容器12と保持ユニット22との間には、当接部75と傾斜開口端22aとが当接した状態において、保持ユニット22の長手方向に対して斜め方向の分割線75Dが形成されている。
【0052】
また、香味源容器12の流入口70側(-X側)には、固定爪76(
図9及び
図10参照)が形成されている。固定爪76は、上述した保持ユニット22の貫通口24に対応して一対で形成され、それぞれが貫通口24に係合することで、香味源容器12を保持ユニット22に固定する。また、香味源容器12の流入口70側(-X側)には、ガイド壁77が形成されている。
【0053】
ガイド壁77は、一対の固定爪76の間に配設されると共に、香味源容器12の流入口70側(-X側)に向かって一定の長さで垂設されている。ガイド壁77の下端面は、当接部75(傾斜開口端22a)と同様に斜め方向に延びている。
図9及び
図14に示すように、ガイド壁77は、流入口70の周囲に形成されている。ガイド壁77は、
図9に示すように、上述したカートリッジ11の環状壁53の内側に挿入され、保持ユニット22に対し香味源容器12を位置決めする。
【0054】
<電源ユニットのアセンブリ>
図15は、一実施形態に係る電源ユニットの縦断面図である。
図16は、一実施形態に係る電源ユニットの分解斜視図である。
図17は、一実施形態に係る電源ユニットの長手方向一端部側の縦断面図である。
図16に示すように、電源ユニット21のハウジング31には、上述した蓄電池33、フレキシブルプリント基板34、リジット基板35などを含む多数の部品が組み付けられている。
【0055】
蓄電池33は、X軸方向を長手方向とする略直方体状に形成されている。蓄電池33は、ハウジング31の内部において、上述した仕切壁46よりもハウジング31の長手方向の他端部側(-X側)に収容されている。なお、吸引器1に搭載される電源部(蓄電池33)は、充放電可能な電源として、二次電池に限らず、スーパキャパシタ等であってもよい。また、電源部は、一次電池であってもよい。
【0056】
リジット基板35は、ハウジング31の内部において、上述した仕切壁46よりもハウジング31の長手方向の一端部側(+X側)に収容されている。リジット基板35の表裏面は、ハウジング31の厚さ方向(Z軸方向)として配置されている。リジット基板35の表裏面には、図示しない多数の電子部品が実装されている。このリジット基板35は、ビス81によって厚さ方向にハウジング31に対し固定されている。なお、リジット基板35は、フレキシブルプリント基板34と同様のフレキシブルプリント基板であっても構わない。
【0057】
図15に示すように、フレキシブルプリント基板34は、ハウジング31の長手方向の一端部側(+X側)から他端部側(-X側)まで延びていている。具体的に、フレキシブルプリント基板34は、リジット基板35の+Z側を通り、仕切壁46を乗り越えて、蓄電池33の-Z側を通り、上述した底部カバー41の背面領域まで延びている。
【0058】
フレキシブルプリント基板34は、ハウジング31の長手方向の一端部側(+X側)において、ハウジング31の長手方向(X軸方向)に対して略垂直(略Y-Z平面)に配置された垂直配置部100を有している。なお、「略垂直」とは、理想的には、X軸方向に対して90°の垂直、あるいは、Y-Z平面に対して平行(0°)であるが、フレキシブルプリント基板34は柔軟性があるため現実的でない。したがって、ここで「略垂直」とは、例えば、X軸方向に対して75°~105°の垂直、あるいは、Y-Z平面に対して、Y軸回り、Z軸回りに、±15°の範囲内であれば「略垂直」とする。
【0059】
垂直配置部100には、センサ39が実装されている。本実施形態のセンサ39は、略直方体状の圧力センサである。センサ39は、その直方体の3軸直交方向の内、最も寸法が短い短辺方向が、ハウジング31の長手方向(X軸方向)に向くように配置されている。なお、センサ39は、圧力センサに限らず、温度センサなどであっても構わない。
【0060】
垂直配置部100には、センサ39が実装された第1面101と反対側の第2面102に、上述したピン電極36が実装されている。ピン電極36は、ハウジング31の長手方向の一端部側(-X側)の端壁40に支持されている。端壁40には、ハウジング31の長手方向に貫通した通気口90が形成されている。通気口90は、一対のピン電極36の間に配置されている。端壁40の外周には、環状溝40bが形成されている。環状溝40bには、保持ユニット22の内壁面に圧接される環状のシール部材98が配置されている。シール部材98は、例えば、シリコンリングのような弾性体が好ましい。
【0061】
図17に示すように、端壁40と垂直配置部100との隙間には、矩形枠状の枠部材91が配置されている。枠部材91は、端壁40と垂直配置部100との間に、通気口90に連通する圧力変動室17を形成する。なお、枠部材91は、垂直配置部100側に固定されている。圧力変動室17の内部には、一対のピン電極36の間を接続する補強部材97が配設されている。補強部材97には、通気口90とハウジング31の長手方向で対向する位置に、センサ39までの連通した空間を形成するための貫通口97aが形成されている。
【0062】
垂直配置部100には、ハウジング31の長手方向(X軸方向)に貫通すると共に、圧力変動室17とセンサ39とを空間的に接続する接続口103が形成されている。つまり、接続口103は、垂直配置部100の第1面101と第2面102とを空間的に連通させる。センサ39は、接続口103を閉塞するように、第1面101に取り付けられている。センサ39は、接続口103と対向する側が、圧力の検出部(検出面)となっている。センサ39は、例えば静電容量式の圧力センサを採用することができる。すなわち、センサ39は、圧力変動に応じて変形するダイアフラム(検出部)の挙動を静電容量の変化として検出する。
【0063】
図16に示すように、垂直配置部100の第1面101側には、支持部材92が配置されている。支持部材92は、ハウジング31の厚み方向(Z軸方向)から視て略Uの字状に形成された凹部93と、凹部93の両側に設けられ、ピン電極36の背面領域の少なくとも一部を支持する支持部94と、を備えている。凹部93は、センサ39の周囲を囲うが、センサ39とは非接触であってよい。また、凹部93の+Z側(フレキシブル基板34側)を樹脂等で封止して、センサ39を囲う空間を形成してもよい。対して、支持部94は、垂直配置部100の第1面101と接触し、ピン電極36の押し込み反力を受ける。ここで、ピン電極36の押し込み反力とは、ピン電極36がカートリッジ11の平面電極14と接触することで受ける力である。つまり、ピン電極36は、図示しないスプリングによってカートリッジ11側(+X側)に付勢されており、カートリッジ11と接触することで-X側に弾性変位する。この弾性変位によってスプリングが蓄勢され、-X側に反力が発生する。
【0064】
すなわち、垂直配置部100はフレキシブルであるため、ピン電極36の押し込み反力を受ける支持部材92(強度部材)が必要である。支持部材92は、例えば、ステンレス板などを曲げ加工することで形成することができる。ハウジング31には、支持部材92を取り付ける取付壁38が形成されている。取付壁38は、リジット基板35よりもハウジング31の長手方向一端部側に配置され、ハウジング31の左右の周壁の内壁面からY軸方向に突出して設けられている。
【0065】
なお、「ピン電極36の背面領域」とは、ハウジング31の長手方向(X軸方向)から視て、ピン電極36の外形と重なる第1面101側の領域を言う。したがって、ピン電極36の背面領域の少なくとも一部を支持する支持部94は、ハウジング31の長手方向(X軸方向)から視て、ピン電極36の外形の少なくとも一部と重なって配置されていると共に、ピン電極36の外形と重なる第1面101側の領域の少なくとも一部と接触している。
【0066】
フレキシブルプリント基板34は、上述したように、ハウジング31の長手方向の一端部側から他端部側まで延びている。フレキシブルプリント基板34には、上述した蓄電池33、センサ39、充電端子32、及び、リジット基板35が電気的に接続されていている。つまり、フレキシブルプリント基板34が各部品を接続する配線の役割を担っている。このため、ハウジング31の内部に多数の導体線を配線する必要がなくなる。なお、フレキシブルプリント基板34と各部品との接続は、雄雌コネクタあるいは半田により接続してもよい。
【0067】
<吸引器の組立方法>
次に、上述した吸引器1の組立方法について説明する。
図7に示すように、本実施形態の吸引器1を組み立てるにあたっては、まず電源ユニット21に保持ユニット22を組み付ける。具体的には、保持ユニット22の長手方向の他端部側(-X側)から、電源ユニット21のハウジング31を保持ユニット22に差し込む。すると、ハウジング31の周面が保持ユニット22の内壁面に嵌まり込み、また、上述したシール部材98がハウジング31の周面と保持ユニット22の内壁面との間に挟まることで、電源ユニット21及び保持ユニット22が互いに組み付けられる。なお、電源ユニット21と保持ユニット22とを取り外す際は、上述した動作と逆の動作を行う。
【0068】
続いて、保持ユニット22内にカートリッジ11を挿入する。具体的には、カートリッジ11の平面電極13を、保持ユニット22の長手方向の他端部側(-X側)に向けた状態で、保持ユニット22の長手方向の一端部側(+X側)から、保持ユニット22内にカートリッジ11を挿入する。保持ユニット22の長手方向の一端部側(+X側)には、切欠き部23が形成されている。この切欠き部23に、カートリッジ11のガイド部11bを合わせ込むことで、カートリッジ11が保持ユニット22に対してスムーズに挿入される。これにより、カートリッジ11が、正規の姿勢で電源ユニット21に組み付けられる。つまり、カートリッジ11の逆挿しを防止することができる。
【0069】
カートリッジ11が保持ユニット22に挿入されると、
図9に示すように、電源ユニット21のピン電極36が、カートリッジ11の平面電極13と接続される。これによって、ピン電極36及び平面電極13を介し、電源ユニット21の電力をヒータユニット60の電熱線62に通電可能となる。なお、保持ユニット22からカートリッジ11を取り外す際は、上述した動作と逆の動作を行うが、カートリッジ11には、
図7に示すように、ガイド部11b(突出部)が形成されているため、ガイド部11bに指をかけてスライドすることができる。したがって、カートリッジ11を保持ユニット22からスムーズに取り外すことができる。
【0070】
次に、香味源容器12を保持ユニット22に組み付ける。具体的には、香味源容器12の固定爪76を保持ユニット22の貫通口24に係止させる。すると、香味源容器12のガイド壁77が、カートリッジ11の環状壁53の内側に挿入され、傾斜面11aに接触する。これにより、香味源容器12が、カートリッジ11を電源ユニット21側に押し付けた状態となる。これにより、電源ユニット21のピン電極36が、-X側に弾性変位すると共に蓄勢され、カートリッジ11の平面電極13と密に接触する。
【0071】
以上により、吸引器1の組み立てが完了する。
【0072】
<吸引器の使用方法>
上述した吸引器1を使用する際、使用者は香味源容器12又は香味源容器12に取り付け可能な不図示のマウスピース等を咥えた状態で吸引する。すると、通気口90を通じて圧力変動室17内の空気も吸引され、圧力変動室17内が負圧になる。センサ39(圧力センサ)は、圧力変動室17と接続口103を介して空間的に接続されており、圧力変動室17内の圧力が例えば所定値未満になったことを検出すると、制御部に向けて起動信号を出力する。
【0073】
起動信号を受信した制御部は、カートリッジ11の電熱線62を通電により発熱させる。なお、保持ユニット22内も負圧になることで、保持ユニット22内には、外部から新たな空気が導入される。この外部から導入される空気は、例えば、保持ユニット22に形成された貫通口24を介して、保持ユニット22とカートリッジ11との隙間を通じて、カートリッジ11の吸気口14まで導かれる。あるいは、切欠き部23とガイド部11bとの隙間を介して、保持ユニット22内に空気が導入されてもよい。また、保持ユニット22に、専用の外気導入口を形成しても構わない。
【0074】
電熱線62が通電されることにより、ウィック61が加熱される。すると、ウィック61に含浸された液体のエアロゾル源が霧化する。霧化されたエアロゾルは、霧化室15に充満する。そして、霧化されたエアロゾルは、吸気口14を介して霧化室15に導入された新たな空気とともに、タンク50の流路管52を通って香味源容器12側に吸い上げられる。この後、霧化されたエアロゾルと空気との混合気体は、香味源容器12を通じて使用者の口内に進入する。これにより、使用者は、喫味、香味を得ることができる。
【0075】
[作用効果]
図15に示すように、上述した本実施形態の電源ユニット21は、蓄電池33と、蓄電池33と電気的に接続されたフレキシブルプリント基板34と、フレキシブルプリント基板34に実装されたセンサ39と、蓄電池33、フレキシブルプリント基板34、及び、センサ39を少なくとも収容するハウジング31と、備え、フレキシブルプリント基板34は、ハウジング31の長手方向に対して略垂直に配置された垂直配置部100を有し、垂直配置部100に、センサ39が実装されている。
【0076】
この構成によれば、フレキシブルプリント基板34がハウジング31の長手方向(X軸方向)に対して略垂直(略Y-Z平面)に配置された垂直配置部100を有し、当該垂直配置部100にセンサ39が実装されているため、ハウジング31の長手方向の寸法を短くすることができる。これにより、装置の小型化、さらには、ハウジング31の内部の省スペース化、部品の組付性の向上を図ることができる。
【0077】
また、本実施形態では、垂直配置部100には、センサ39が実装された第1面101と反対側の第2面102に、ピン電極36が実装されている。
この構成によれば、垂直配置部100を利用して、センサ39と反対側にピン電極36を実装することで、両部品を近接して配置でき、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0078】
また、本実施形態では、センサ39は、圧力センサであり、ハウジング31は、ピン電極36を支持する端壁40を有し、端壁40には、ハウジング31の長手方向に貫通した通気口90が形成されている。
この構成によれば、ピン電極36とセンサ39(圧力センサ)までの距離が近いため、このピン電極36を支持する端壁40に通気口90を形成することで、センサ39の感度を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態では、端壁40と垂直配置部100との隙間に、通気口90に連通する圧力変動室17を形成する枠部材91を備えている。
この構成によれば、枠部材91によって端壁40と垂直配置部100との隙間に圧力変動室17を形成することで、圧力変動室17のハウジング31の長手方向における寸法を短くでき、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0080】
また、本実施形態では、垂直配置部100には、ハウジング31の長手方向に貫通すると共に、圧力変動室17とセンサ39とを空間的に接続する接続口103が形成されている。
この構成によれば、垂直配置部100にハウジング31の長手方向に貫通する接続口103が形成されているので、圧力変動室17とセンサ39とを短距離で接続できる。これにより、センサ39の感度を向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、垂直配置部100の第1面101側に配置され、ピン電極36の背面領域の少なくとも一部を支持する支持部材92を備えている。
この構成によれば、ピン電極36の押し込み反力を、フレキシブルな垂直配置部100の背面領域を支持する支持部材92で受けることができる。これにより、垂直配置部100がフレキシブルであることに起因するピン電極36と平面電極14との接触不良を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態では、蓄電池33を充電するための充電端子32と、ハウジング31に収容されたリジット基板35と、を備え、蓄電池33、センサ39、充電端子32、及び、リジット基板35は、フレキシブルプリント基板34と電気的に接続されていている。
この構成によれば、フレキシブルプリント基板34が各部品を接続する配線の役割を担うため、ハウジング31の内部に多数の導体線を設置する必要がなくなる。これにより、ハウジング31の内部の省スペース化、部品の組付性の向上を図ることができる。
【0083】
また、本実施形態では、垂直配置部100は、ハウジング31の長手方向の一端部側に配置され、充電端子32は、ハウジング31の長手方向の他端部側に配置され、フレキシブルプリント基板34が、ハウジング31の長手方向の一端部側から他端部側まで延びている。
この構成によれば、ハウジング31の長手方向の一端部側から他端部側まで、一枚のフレキシブルプリント基板34で各部品を接続することができる。
【0084】
また、本実施形態の本体ユニット10は、上述した電源ユニット21と、電源ユニット21と電気的に接続されるカートリッジ11を収容可能な収容部(保持ユニット22)と、を備える。
この構成によれば、保持ユニット22に対するカートリッジ11の着脱操作によって、カートリッジ11の交換、エアロゾル源の補充などが容易に行える。また、小型化の電源ユニット21を備えるため、装置全体として小型化を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態では、収容部は、電源ユニット21のハウジング31を収容する保持ユニット22(外ハウジング)である。
この構成によれば、保持ユニット22(外ハウジング)に対するカートリッジ11の着脱操作によって、カートリッジ11の交換、エアロゾル源の補充などが容易に行える。
なお、収容部は、電源ユニット21のハウジング31の一部であってもよい。
【0086】
また、本実施形態の吸引器1は、上述した本体ユニット10と、本体ユニット10に収容され、電源ユニット21と電気的に接続されたカートリッジ11と、を備える。
この構成によれば、小型化された電源ユニット21を備えるため、装置全体として小型化を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態では、保持ユニット22に装着された香味源容器12を備える。
この構成によれば、吸引口71を通過するエアロゾルに香味を添加することができる。
【0088】
<その他の変形例>
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0089】
例えば、上述した実施形態では、燃焼を伴わずにエアロゾルを生成するエアロゾル生成装置の一例として、香味源容器12が着脱可能に構成された吸引器1を例に挙げて説明したが、この構成のみに限られない。エアロゾル生成装置の他の例として、電子たばこのように香味源容器12を有さない構成(香味源を収容しないマウスピースのみの構成)としてもよい。この場合には、香味が含まれたエアロゾル源をカートリッジ11内に収容し、エアロゾル生成装置によって香味が含まれたエアロゾルを生成する。
すなわち、上述した実施形態において、香味源容器12を備えず、本体ユニット10と、カートリッジ11と、を備えるものを、エアロゾル生成装置といってもよい。また、香味源容器12及びカートリッジ11を備えず、本体ユニット10のみを備えるものを、エアロゾル生成装置の本体ユニットといってもよい。
【0090】
上述した実施形態では、本体ユニット10が電源ユニット21と保持ユニット22の分割構成である場合について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、電源ユニット21及び保持ユニット22が一体で形成されていてもよい。この場合、ハウジング31のうち、蓄電池33部分のみが存在しない構成(リジット基板35側と充電端子32側の両端部にのみハウジング31があるような構成)であっても構わない。
また、保持ユニット22及び香味源容器12(またはマウスピース)が一体で形成されていてもよい。また、電源ユニット21、保持ユニット22及び香味源容器12(またはマウスピース)の少なくともいずれか一つが、さらに複数のユニットに分割可能であってもよい。
【0091】
上述した実施形態では、保持ユニット22がカートリッジ11の周囲を取り囲む筒状に形成されている構成について説明したが、この構成のみに限られない。保持ユニット22は、カートリッジ11を保持可能な構成であればよい。なお、本明細書において、カートリッジ11と本体ユニット10(電源ユニット21)との着脱とは、保持ユニット22内にカートリッジ11を収容して香味源容器12(またはマウスピース)で保持するものに限らず、単にピン電極36と平面電極13とが接続及び接続の解除を行うものも含む。
【0092】
上述した実施形態では、電源ユニット21及び保持ユニット22が同軸に配置された筒状に形成された構成について説明したが、この構成のみに限られない。電源ユニット21及び保持ユニット22は、互いに異形状であってもよい。つまり、吸引器1は、上述した略直方体状に限定されない。例えば、吸引器1は、平面視あるいは底面視で四角形以外の多角形であっても、また円形、楕円形などであっても構わない。
上述した実施形態では、切欠き部23及びガイド部11bが正面側及び背面側に設けられる構成について説明したが、切欠き部23及びガイド部11bが正面側または背面側のいずれか一方のみに設けられる場合であっても、カートリッジ11の向きが決定し、上述したガイド効果も発揮することができる。さらに、切欠き部23及びガイド部11bは、正面視ないし背面視で平行四辺形に形成されていなくても構わない。つまり、切欠き部23及びガイド部11bは、例えば正面視ないし背面視で長方形に形成されていてもよい。なお、切欠き部23及びガイド部11bが、正面側及び背面側の両方に設けられ且つ平行四辺形に形成されていれば、例えば、切欠き部23が幅方向(Y軸方向)のセンター位置に形成されていたり、カートリッジ11の長手方向一端部側が傾斜していない(例えば、カートリッジ11が四角柱状)としても、カートリッジ11の挿入向きを一つに決定できるため、使用者の選択余地を排除でき、確実な電気的接続(ピン電極36との接続)を得ることができる。
上述した実施形態では、起動準備信号を出力するためのボタンを有さない構成(圧力センサによる検出により起動する構成)について説明したが、当該ボタンを有する構成(ボタンの押下により起動する構成)であってもよい。
上述した実施形態では、一枚のフレキシブルプリント基板34で各部品を接続した構成について説明したが、蓄電池33、センサ39、充電端子32、及び、リジット基板35の少なくともいずれか一つが、フレキシブルプリント基板34と電気的に接続されて、フレキシブルプリント基板34と電気的に接続されない部品は、導体線などで別途電気的に接続する構成であってもよい。
【0093】
上述した実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0094】
(付記1)
電源部と、
センサと、
前記電源部、及び、前記センサを少なくとも収容するハウジングと、備え、
前記センサは、前記ハウジングの長手方向に対して略垂直に配置されている、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0095】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 吸引器
2 吸引器
10 本体ユニット
11 カートリッジ
11a 傾斜面
11b ガイド部
12 カプセル
12a 第1部材
12b 第2部材
12c 香味源収容室
13 平面電極
14 吸気口
15 霧化室
16 液体収容室
17 圧力変動室
21 電源ユニット
22 保持ユニット
22a 傾斜開口端
23 切欠き部
24 貫通口
31 ハウジング
32 充電端子
33 蓄電池
34 フレキシブルプリント基板
35 リジット基板
36 ピン電極
38 取付壁
39 センサ
40 端壁
40b 環状溝
41 底部カバー
41a 貫通口
46 仕切壁
50 タンク
51 係合爪
52 流路管
53 環状壁
60 ヒータユニット
61 ウィック
62 電熱線
62a 端末部
63 支持ユニット
63a 第1支持体
63a1 嵌合溝
63a2 貫通口
63b 第2支持体
63b1 環状溝
64 ヒータホルダ
65 ヒータカバー
65a 開口部
65b 係合口
66 シール部材
70 流入口
71 吸引口
73 メッシュ開口
74 フィルタ
75 当接部
75D 分割線
76 固定爪
77 ガイド壁
81 ビス
90 通気口
91 枠部材
92 支持部材
93 凹部
94 支持部
97 補強部材
97a 貫通口
98 シール部材
100 垂直配置部
101 第1面
102 第2面
103 接続口