(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/467 20060101AFI20230302BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H01L23/46 C
H05K7/20 H
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2018188553
(22)【出願日】2018-10-03
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江森 健太
(72)【発明者】
【氏名】新井田 淳平
(72)【発明者】
【氏名】山上 滋春
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雄二
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-175476(JP,A)
【文献】特開2005-166923(JP,A)
【文献】特開2003-218298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0065177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0230087(US,A1)
【文献】特開2006-100758(JP,A)
【文献】特開2009-200252(JP,A)
【文献】特開2008-078260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H05H 1/00-1/54
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を発生する発熱体と、
第1面に
前記発熱体が接合されたヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記第1面に対する裏面である第2面に設けられ、
前記第2面に沿った方向に電気的に誘起流を発生させる誘起流発生装置と
、
前記ヒートシンクを冷却する主流を前記第2面上で前記誘起流の流れに沿った方向に発生させる主流発生装置と、を備え、
前記誘起流発生装置は、前記第2面において、前記第1面の前記発熱体に対してオフセットして配置される、
冷却装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の冷却装置であって、
前記誘起流発生装置は、前記第1面に接合された前記発熱体に対向する前記第2面の位置に向かって前記誘起流を発生させるように配置された、
冷却装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の冷却装置であって、
前記誘起流発生装置は、第1電極及び第2電極の間に誘電体を介在させてなるプラズマアクチュエータを含む、
冷却装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の冷却装置であって、
前記プラズマアクチュエータは、前記第1面に接合された前記発熱体に対向する前記第2面の位置において、前記発熱体との間で所定距離離れた位置に配置された、
冷却装置。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか1項に記載の冷却装置であって、
前記ヒートシンクは、ヒートシンク本体と、該ヒートシンク本体に構成される前記第1面の裏面に設けられた放熱フィンと、を含み、
前記第2面は、前記放熱フィンの表面として構成される、
冷却装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の冷却装置であって、
前記放熱フィンは、櫛歯状に複数設けられた、
冷却装置。
【請求項7】
請求項
5に記載の冷却装置であって、
前記放熱フィンは、突起状に形成された、
冷却装置。
【請求項8】
請求項
1~7の何れか1項に記載の冷却装置であって、
前記誘起流発生装置及び前記主流発生装置は、それぞれが発生させる前記主流及び前記誘起流が相互に平行となる位置に配置される、
冷却装置。
【請求項9】
請求項
1~8の何れか1項に記載の冷却装置であって、
前記誘起流発生装置は、
前記主流と前記ヒートシンクの間に発生する境界層の厚みよりも薄く構成される、
冷却装置。
【請求項10】
請求項1~
9の何れか1項に記載の冷却装置であって、
前記ヒートシンクは、通気口を備える筐体に収容される、
冷却装置。
【請求項11】
請求項1~
10の何れか1項に記載の冷却装置であって、
前記発熱体は、電子機器内に設けられた電子部品である、
冷却装置。
【請求項12】
請求項1~
11の何れか1項に記載の冷却装置であって、
前記ヒートシンクは、
前記第1面と前記発熱体の間に設けられるヒートスプレッダをさらに備える、
冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバータ等の電力変換装置には半導体、コンデンサ、又はコイルなどの発熱要素となる電子部品が含まれているため、これらを冷却するヒートシンクが取り付けられる。一方、このような電力変換装置において、大電力化や小型化を実現する観点から、各回路要素及び冷却構造を高密度に構成することが要求される。
【0003】
しかしながら、高密度化により電力変換装置内の発熱密度が上昇するため、より高い冷却性能が要求されることとなる。ここで、ヒートシンクの冷却性能は、一般的にその体積(熱容量)、材料(熱伝導率)、及び形状に応じた表面積(伝熱面積)に依存する。
【0004】
したがって、冷却性能を向上させるためには、ヒートシンク自体を大型化することが要求され、電力変換装置全体の大型化に繋がることとなる。このため、ヒートシンク自体の大型化を抑えつつも、冷却性能の向上を実現する観点からヒートシンクの材料及び形状の改善が検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、複数のフィンが設けられたヒートシンクが提案されている。そして、ファンからの冷却風をヒートシンクのフィンに流通させて、ヒートシンクに設けられた発熱体を冷却させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、複数のフィンがファンからの冷却風の流れを乱すことで、圧力損失が大きくなり、冷却効率が低下する。
【0008】
このような事情に鑑み、本発明の目的は、より冷却効率の高い冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、第1面に発熱体が接合されたヒートシンクと、ヒートシンクの第1面に対向する第2面に設けられ、電気的に誘起流を発生させる誘起流発生装置と、を備える冷却装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より冷却効率の高い冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態による冷却装置の構成を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の変形例1-1を説明する断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態による冷却装置の構成を説明する断面図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるB1-B1’線矢視断面図である。
【
図6】
図6は、
図4におけるB2-B2’線矢視断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態による冷却装置の斜視図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の変形例2-1による冷却装置の斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例2-2による冷却装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例2-3による冷却装置の斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例2-4による冷却装置の斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例2-5による冷却装置の斜視図である。
【
図13】
図13は、変形例2-6による冷却装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、比較例によるファンを備えた冷却装置の構成を説明する図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態による冷却装置の構成を説明する断面図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態の変形例3-1による冷却装置の構成を説明する断面図である。
【
図17】
図17は、変形例3-2による冷却装置の構成を説明する断面図である。
【
図18】
図18は、変形例3-3による冷却装置の構成を説明する斜視図である。
【
図19】
図19は、変形例3-4による冷却装置の構成を説明する斜視図である。
【
図20】
図20は、変形例3-5による冷却装置の構成を説明する断面図である。
【
図21】
図21は、変形例3-5による冷却装置の斜視図である。
【
図22】
図22は、変形例3-6による冷却装置の構成を説明する斜視図である。
【
図23】
図23は、第4実施形態にかかるプラズマアクチュエータの構成を説明する断面図である。
【
図24】
図24は、プラズマアクチュエータが設けられた冷却装置の構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面等を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、各実施形態及びその変形例の説明に用いる図面は、各実施形態の構成の要部を概略的に示すものである。
【0013】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態による冷却装置10の構成を説明する流れ方向の断面図である。また、
図2は、
図1におけるA-A’線矢視断面図である。
【0015】
図示のように、冷却装置10は、発熱体1、本実施形態のヒートシンクを構成するヒートシンク本体2、及び誘起流発生装置3を備える。発熱体1は、モータ、エンジン、及び家電などの電子機器に含まれる種々の発熱要素である。特に、発熱体1としては、半導体、半導体のモールドパッケージ、コンデンサ、及びコイル等の電子部品が想定される。
【0016】
ヒートシンク本体2は、発熱体1が発生する熱を周囲の雰囲気中に放出する構造物である。本実施形態では、ヒートシンク本体2は、板状部材として形成されている。そして、ヒートシンク本体2の一方側(Z軸負方向側)の表面であって第1面として機能する第1表面2aに、発熱体1が接合されている。
【0017】
ヒートシンク本体2は、例えば、銅若しくはアルミニウムなどの比較的熱伝導率の高い金属製材料、又はFR4(Flame Retardant Type 4)若しくはセラミクス等の比較的熱伝導率が高い非金属製材料で構成される。
【0018】
誘起流発生装置3は、ヒートシンク本体2の他方側(Z軸正方向側)の面、すなわち、第1表面2aの裏面の第2面として機能する第2表面2bに設けられる。誘起流発生装置3は、X軸方向における一方側(図上ではX軸正方向)に誘起流発生部3aを有している。したがって、誘起流発生装置3は、
図2上のX軸正方向に向かって誘起流Ifを発生させることができる。
【0019】
より詳細に、誘起流発生装置3は、周囲の相(空気雰囲気、窒素雰囲気若しくはアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気等の気相、又は水等の液相)中の分子に対して電気的に作用し、当該雰囲気における電荷分布に偏りを与えることで圧力差を与えて誘起流Ifを生じさせる装置である。なお、以下では、説明の便宜上、周囲の相が空気雰囲気(空気層7)であることを前提とする。しかしながら、以下の説明は他の気相又は液相であっても同様に適用することができる。
【0020】
誘起流発生装置3は、Y軸方向における長さがヒートシンク本体2と略等しく(
図1参照)、X軸方向における長さがヒートシンク本体2より短く構成され、ヒートシンク本体2のX軸方向における伸長領域内の所定位置に取り付けられる。
【0021】
また、本実施形態の誘起流発生装置3は、発熱体1に対して誘起流Ifの方向(X軸方向)において上流に配置される。
【0022】
より詳細には、本実施形態の誘起流発生装置3は、第1表面2aに接合された発熱体1に対向する第2表面2bの周辺位置(以下、「発熱体対向位置P1」とも称する)に沿って流れるように、発熱体1から
図2上において左側(X軸負方向側)にオフセットした位置に配置されている。特に、誘起流Ifの流速が相対的に速くなる誘起流発生部3aから所定距離離れた位置が、発熱体対向位置P1と略一致するように、誘起流発生装置3の配置位置が調節されることが好ましい。これにより、誘起流Ifによる冷却の効率がより向上する。
【0023】
なお、発熱体1と誘起流発生装置3の間におけるY方向の幅の関係は、発熱体1の幅や熱量、ヒートシンク本体2へ熱が広がる面積に応じて誘起流Ifが熱伝達に効果的に幅になるよう適宜調整が可能である。
【0024】
上記構成を有する冷却装置10において、発熱体1の熱は先ずヒートシンク本体2に伝達される。そして、ヒートシンク本体2に伝達された熱は、当該ヒートシンク本体2において拡散されつつ、Z軸負方向(誘起流発生装置3の方向)に向かって伝導する。
【0025】
一方、誘起流発生装置3が発生させる誘起流Ifは、ヒートシンク本体2の第2表面2bに沿ってX軸正方向に流れ、ヒートシンク本体2の第2表面2bと空気層7との間の熱伝達を促進する。特に、発熱体1直下のヒートシンク本体2と接する空気層7の界面に誘起流Ifを流すことができるので、固体流体間に発生する断熱層のような境界層の過剰な発達を抑制することができる。その結果、比較的少ない誘起流Ifの流量で効果的に冷却を実行することが可能となる。
【0026】
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0027】
本実施形態による冷却装置10は、第1面としての第1表面2aに発熱体1に接合されたヒートシンクとしてのヒートシンク本体2と、ヒートシンク本体2の第1表面2aに対向する第2面(第1表面2aの裏面)としての第2表面2bに設けられ、電気的に誘起流Ifを発生させる誘起流発生装置3と、を備える。
【0028】
これにより、誘起流Ifがヒートシンク本体2の第2表面2bを通過することで、当該第2表面2bから空気層7へ熱伝達を促進することができ、発熱体1の冷却をより効率的に行うことができる。また、誘起流Ifの作用でヒートシンク本体2の第2表面2bと空気層7の間の界面に流れを生じさせることができるので、当該界面における境界層(断熱層)の過剰な発達を抑制することができる。結果として、ファンなどを用いて物理的に生じさせた冷却風と比べて比較的少ない流量の誘起流Ifで発熱体1を効率的に冷却することができる。
【0029】
特に、本実施形態の誘起流発生装置3は、ヒートシンク本体2の第2表面2bに沿った方向に誘起流Ifを発生させるように配置される。これにより、誘起流Ifがヒートシンク本体2の第2表面2b上における熱の拡散をより促進することができる。結果として、ヒートシンク本体2の第2表面2bと空気層7との間の実質的な伝熱領域をより拡大するこができるので、冷却効率をより向上させることができる。
【0030】
さらに、本実施形態では、誘起流発生装置3は、第1表面2aに接合された発熱体1に対向する第2表面2bの位置としての発熱体対向位置P1に向かって誘起流Ifを発生させるように配置される。
【0031】
これにより、ヒートシンク本体2上において発熱源である発熱体1に近い位置に好適に誘起流Ifを当てることができる。特に、誘起流発生装置3が発生させる誘起流Ifの流速が相対的に高い領域を発熱体対向位置P1に調節すれば、熱量が比較的高い部分に高い流速の誘起流Ifを当てることができるので、第2表面2bと空気層7との間の熱伝達をより効率的にすることができる。結果として、発熱体1に対する冷却効率をさらに向上させることができる。
【0032】
なお、本実施形態の発熱体1は、本実施形態の発熱体1としては、モータ、エンジン、及び家電などの電子機器内に設けられた電子部品が想定される。すなわち、コンデンサ及びコイル等の通電により発熱する電子部品を発熱体1として、本実施形態の冷却装置10の構成を適用することができる。したがって、電子部品を冷却するための好適な構成が提供されることとなる。
【0033】
次に、本実施形態の変形例1-1について説明する。
【0034】
図3は、本実施形態の変形例1-1による冷却装置10の構成を説明する図である。
図3に示すように、本変形例1-1では、発熱体1が絶縁材11を介してヒートシンク本体2に取り付けられている点で
図1又は
図2で示した冷却装置10の構成と異なる。絶縁材11は、発熱体1とヒートシンク本体2の導通を遮断する。これにより、ヒートシンク本体2に、銅又はアルミニウムなどの導電性材料を用いた場合であっても、発熱体1とヒートシンク本体2の間を好適に絶縁することができる。
【0035】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
図4は、本実施形態による冷却装置10の構成を説明する流れ方向の断面図である。また、
図5は、
図4におけるB1-B1’線矢視断面図である。さらに、
図6は、
図4におけるB2-B2’線矢視断面図である。そして、
図7は、冷却装置10の斜視図である。
【0037】
本実施形態による冷却装置10では、ヒートシンクが、ヒートシンク本体2と、ヒートシンク本体2の第2表面2bに設けられた放熱フィン6と、により構成されている。
【0038】
放熱フィン6は、発熱体1からヒートシンク本体2を介して伝達された熱を、その表面6aから空気層7へ放出する部材である。すなわち、放熱フィン6は、ヒートシンクと空気層7との間の伝熱領域(表面積)をより大きくすることを目的として構成される構造である。
【0039】
放熱フィン6は、ヒートシンク本体2の第2表面2bから
図4上で下方(Z軸正方向)に向かって伸長する断面視略矩形状に形成される。そして、本実施形態の放熱フィン6は、Y軸方向に沿って略一定のピッチで複数(
図4では4つ)設けられており、全体として櫛歯形状に構成される。以下では、放熱フィン6の表面6aの内、Z軸方向に沿った面(相対的に面積が大きい面)を「幅広面6a1」と称する。また、Y軸方向に沿った面(相対的に面積が小さい面)を「幅狭面6a2」と称する。
【0040】
また、放熱フィン6は、ヒートシンク本体2と同一材料又は異なる材料により構成される。すなわち、放熱フィン6は、例えば、銅若しくはアルミニウムなどの比較的熱伝導率の高い金属製材料又はFR4若しくはセラミクス等の比較的熱伝導率が高い非金属製材料で構成される。
【0041】
なお、ヒートシンク本体2が金属等の導電性材料で形成されている場合には、放熱フィン6を熱伝導率が比較的高い非導電性材料で形成することで、ヒートシンク本体2と放熱フィン6の間の熱伝導性能を確保しつつ、絶縁機能を与えることができる。一方、ヒートシンク本体2が絶縁材料で構成されるなどの発熱体1との間の絶縁機能が確保されている場合には、放熱フィン6をアルミニウムなどの比較的熱伝導率が高く且つ低コストの材料で形成することが好ましい。
【0042】
さらに、本実施形態の誘起流発生装置3は、ヒートシンク本体2の第2表面2b及び放熱フィン6の表面6aのY軸方向における伸長領域の全域に亘って形成されている。すなわち、本実施形態では、「ヒートシンクの第2面」は、ヒートシンク本体2の第2表面2b及び放熱フィン6の表面6aにより構成される。
【0043】
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0044】
本実施形態による冷却装置10では、ヒートシンクは、ヒートシンク本体2と、該ヒートシンク本体2に構成される第1面である第1表面2aに対向する第2面としての第2表面2bに設けられた放熱フィン6をさらに含む。
【0045】
これにより、簡易な構成でヒートシンクと空気層7との間の伝熱面積を増加させて、冷却性能をより向上させることができる。
【0046】
特に、本実施形態では、誘起流発生装置3が、放熱フィン6の表面6aの少なくとも一部に亘るように設けられる。したがって、放熱フィン6が設けられていない場合と比べて、誘起流発生装置3が設けられている領域(誘起流Ifの発生源として機能させることのできる領域)を実質的に増加させることができる。このため、第2表面2b及び放熱フィン6の表面6aと空気層7との間の熱伝達をより効率的にすることができる。結果として、発熱体1に対する冷却効率をさらに向上させることができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、放熱フィン6は、櫛歯状に複数設けられる。
【0048】
これにより、例えば幅広面6a1など、上に誘起流発生装置3を設けるための比較的広い領域を確保することができる。さらに、この構成であれば、誘起流Ifの流路を櫛歯状に並ぶ放熱フィン6の間に画定することができるので、各放熱フィン6の配置間隔及びサイズ(Y軸方向の幅及びX軸方向の長さ等)を適宜調節することで、ヒートシンク本体2の第2表面2b上に所望の経路の誘起流Ifの流路を構成することができる。
【0049】
また、本実施形態では、
図7に示すように、ヒートシンク本体2がY軸方向に所定ピッチで形成される櫛歯状の放熱フィン6を有し、誘起流発生装置3が放熱フィン6の表面6aにおいてY軸方向に沿って伸長するように配置されている。
【0050】
これにより、より広いY軸方向の幅領域で誘起流Ifを発生させることができる。このため、ヒートシンク本体2及び放熱フィン6と空気層7との間の熱伝達をより促進することができ、冷却効率をより向上させることができる。
【0051】
以下では、第2実施形態の各変形例2-1~2-6について説明する。
【0052】
(変形例2-1)
図8は、変形例2-1による冷却装置10の斜視図である。図示のように、本変形例2-1による冷却装置10では、発熱体1とヒートシンク本体2の間にヒートスプレッダ8が設けられている点で、
図7に示した冷却装置10の構成と異なる。
【0053】
ヒートスプレッダ8は、ヒートシンク本体2又は放熱フィン6と同一の材料又は異なる材料で形成することができる。好ましくは、ヒートスプレッダ8は、銅、アルミニウム、及び炭素構造体(カーボンブラック又はダイヤモンド等)の熱伝導率が比較的高い材料で形成される。特に、好ましくは、銅などの比較的低コストの材料で構成される。
【0054】
以上のように、本変形例の冷却装置10は、ヒートシンク本体2と発熱体1との間に設けられたヒートスプレッダ8をさらに備える。
【0055】
これにより、ヒートスプレッダ8によって発熱体1からの熱をより広範囲に拡散させつつヒートシンク本体2及び放熱フィン6に伝達させることができる。したがって、発熱体1からの熱を、複数の放熱フィン6の内の特定の放熱フィン6に偏らせることなく、より均等に伝達させることができる。結果として、複数の放熱フィン6の表面6aと空気層7との間の実質的な伝熱領域を増大させて、熱伝達性能をより向上させることができる。
【0056】
なお、本変形例2-1では、ヒートシンク本体2に放熱フィン6を設けてなるヒートシンクにおいて、ヒートスプレッダ8を設ける例を説明した。しかしながら、これに限られず、
図1等に示した放熱フィン6を備えていない態様のヒートシンク本体2にかかる冷却装置10において、発熱体1とヒートシンク本体2の間にヒートスプレッダ8を設ける構成としても良い。
【0057】
(変形例2-2)
図9は、変形例2-2による冷却装置10の斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、誘起流発生装置3が放熱フィン6の片側の幅広面6a1に設けられている点で、
図7に示した冷却装置10の構成と異なる。
【0058】
より詳細には、本変形例の冷却装置10では、誘起流発生装置3が片側の幅広面6a1の先端部(
図9上では放熱フィン6の上部領域)に所定長さに亘って伸長している。特に、
図9では放熱フィン6の先端から、片側の幅広面6a1のZ軸方向における全長さの略1/3程度の長さの位置まで延在している。また、誘起流発生装置3は、X軸方向において、放熱フィン6の片側の幅広面6a1の長さ領域の略全域に亘るように設けられている。
【0059】
さらに、誘起流発生装置3は、誘起流Ifがヒートシンク本体2の第2表面2bに向かって流れるように、誘起流発生部3aがZ軸負方向(図上下方)に向くように配置されている。これにより、本実施形態では、誘起流発生部3aからの誘起流Ifは、放熱フィン6の片側の幅広面6a1に沿って流れつつ、ヒートシンク本体2の第2表面2bに衝突して隣接する放熱フィン6の方向(Y軸の正方向)に向かう。そして、誘起流Ifは、隣接する放熱フィン6の幅広面6a1に衝突してZ軸方向の上方に向かうように誘導される。これにより、誘起流Ifは、隣接する放熱フィン6の間で渦を描くように流れることとなる。
【0060】
本変形例によれば、誘起流発生装置3は、その誘起流発生部3aがヒートシンク本体2の第2表面2bに向けられつつ、放熱フィン6の片側の幅広面6a1に沿ってX軸方向に伸長して配置されている。このため、誘起流発生装置3が発生させた誘起流Ifをヒートシンク本体2の第2表面2bに衝突させるその経路を好適に調節することができる。したがって、誘起流Ifによってヒートシンク本体2の第2表面2b及び放熱フィン6の表面6aの放熱効果をより高めることができる。
【0061】
特に、本変形例においては、誘起流発生装置3が、放熱フィン6の幅広面6a1のX軸方向における長さ領域の略全域に亘っていることにより、上記誘起流Ifが放熱フィン6の表面6a及びヒートシンク本体2の第2表面2bとの間で接触する領域をより大きくすることができる。結果として、放熱効果をより好適に発揮させることができる。
【0062】
さらに、本変形例では、放熱フィン6の片側の幅広面6a1にのみ誘起流発生装置3が配置されている。このため、誘起流Ifは、当該片側の幅広面6a1、ヒートシンク本体2の第2表面2b、及び隣接する放熱フィン6の幅広面6a1を沿う渦状の経路で流れることとなる。したがって、誘起流Ifによる放熱フィン6の幅広面6a1及びヒートシンク本体2の第2表面2bからの放熱効果をさらに高めることができる。
【0063】
(変形例2-3)
図10は、変形例2-3による冷却装置10の斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、
図9で説明した誘起流発生装置3と同様の構成を有する誘起流発生装置3が、放熱フィン6の両側の幅広面6a1に設けられている。
【0064】
本変形例の冷却装置10では、隣接する放熱フィン6における対向する2つの幅広面6a1の間で、誘起流Ifが、それぞれ、ヒートシンク本体2の第2表面2bに向かってZ軸方向の下方に流れる。そして、それぞれの誘起流Ifが、ヒートシンク本体2の第2表面2bに衝突して反射しつつ合流して、当該第2表面2bから離れる方向に流れることとなる。
【0065】
これにより、放熱フィン6の両側の幅広面6a1及びヒートシンク本体2の第2表面2bに沿った渦状の経路で流れることとなる。したがって、誘起流Ifによる放熱フィン6の表面6a及びヒートシンク本体2の第2表面2bからの放熱促進効果をさらに高めることができる。
【0066】
なお、上記変形例2-1~2-3においては、誘起流Ifがヒートシンク本体2の第2表面2bに沿って流れるか、又は第2表面2bで反射して離れる方向に流れるように誘起流発生装置3を配置する例を説明した。しかしながら、これらの例に代えて、ヒートシンク本体2の第2表面2bに対して誘起流Ifが所定角度をなして斜めに衝突するように、誘起流発生装置3の配置位置(誘起流発生部3aを向ける位置)を調節しても良い。
【0067】
すなわち、誘起流発生装置3の配置位置は、発熱体1からヒートシンク本体2又は放熱フィン6に伝達する熱の分布などに応じた誘起流Ifの所望の流れ方向を実現する観点から、適宜、調節することが可能である。
【0068】
(変形例2-4)
図11は、変形例2-4による冷却装置10の斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、
図7等で説明した櫛歯状の放熱フィン6に代えて、略円柱形状の突起状の放熱フィン6が、ヒートシンク本体2の第2表面2bに設けられる。
【0069】
特に、本変形例の放熱フィン6は、ヒートシンク本体2の第2表面2b上において、X軸方向に沿って等間隔に2列配置され、Y軸方向に沿って等間隔に3列配置される。すなわち、複数の放熱フィン6は、ヒートシンク本体2の第2表面2bに6つ配置されている。
【0070】
さらに、誘起流発生装置3は、X軸方向に2列の放熱フィン6の間においてヒートシンク本体2の第2表面2bに設けられている。特に、誘起流発生装置3は、その誘起流発生部3aをX軸正方向に向けた状態で、第2表面2bのY軸方向における全領域に亘るように設けられている。
【0071】
以上説明した本変形例による冷却装置10によれば、放熱フィン6が突起状(ピン形状)に形成されている。これにより、ヒートシンク本体2の第2表面2b上において流れる誘起流Ifが、放熱フィン6の表面6aに衝突しつつ変えられることとなる。
【0072】
したがって、放熱フィン6をヒートシンク本体2の第2表面2b上の適切な位置に配置することで、誘起流Ifの流れ方向を適宜調節することができる。結果として、ヒートシンク本体2又は放熱フィン6と周囲の空気層7との間の熱伝達をより促進することができる。
【0073】
特に、突起状の放熱フィン6であれば、誘起流発生装置3を各放熱フィン6の間を縫うように配置するなど、当該誘起流発生装置3を多様な配置態様で配置することができる。このため、ヒートシンク本体2の第2表面2b上において誘起流Ifの方向の調節を、より高い自由度で行うことができる。
【0074】
さらに、本変形例の構成によれば、誘起流発生装置3が発生させる誘起流Ifは、先ず、発熱体1に近いヒートシンク本体2の第2表面2bを流れ、当該第2表面2bを流れた後に放熱フィン6の表面6aに沿って流れることとなる。すなわち、誘起流Ifを、より熱量が高いヒートシンク本体2の第2表面2bに先に接触させることができるため、誘起流Ifによる放熱作用をより効率的に発揮させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、誘起流発生装置3は、X軸方向に2列の放熱フィン6の間においてヒートシンク本体2の第2表面2bに設けられ、X軸方向に沿った誘起流Ifを発生させる構成をとっている。このため、放熱フィン6に衝突して方向を変えられる誘起流Ifと、Y軸方向において隣接する放熱フィン6の間を通過する誘起流Ifと、が合流することで誘起流Ifの3次元的な流れが生成される。このため、当該誘起流Ifの作用でヒートシンク本体2又は放熱フィン6の放熱性能をより向上させることができる。
【0076】
(変形例2-5)
図12は、変形例2-5による冷却装置10の斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、誘起流発生装置3が、第2表面2b上に設置された複数の放熱フィン6の間を縫うように、X軸方向又はY軸方向に対して所定角度をなして斜め方向に伸長するように設けられている。
【0077】
本変形例の構成によっても、ヒートシンク本体2又は放熱フィン6の放熱性能を向上させ得る誘起流Ifの3次元的な流れを形成することができる。
【0078】
(変形例2-6)
図13は、変形例2-6による冷却装置10の斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、放熱フィン6が略四角柱形状に形成されている点が
図11で説明した構成と異なる。
【0079】
特に、本変形例の誘起流発生装置3は、Y軸又はZ軸と直交する放熱フィン6の表面6aを覆いつつ、ヒートシンク本体2の第2表面2bにおけるY軸方向の略全域に亘って伸長するように設けられている。
【0080】
本変形例の構成によれば、放熱フィン6の周囲における誘起流Ifが、
図12で説明した略円柱形状に形成された放熱フィン6の場合と異なる態様の3次元的な流れが形成されることとなる。
【0081】
本変形例の構成によっても、ヒートシンク本体2又は放熱フィン6の放熱性能を向上させ得る誘起流Ifの3次元的な流れを形成することができる。
【0082】
なお、放熱フィン6の数、設置位置、及び形状、並びに誘起流発生装置3の構成については、変形例2-5及び変形例2-6において説明した例に限られるものではない。すなわち、これらの構成は、ヒートシンク本体2又は放熱フィン6における熱分布などに応じて好適な誘起流Ifの流速、流量、又は流れ方向を実現する観点から適宜変更することが可能である。
【0083】
例えば、誘起流発生装置3をヒートシンク本体2の第1表面2a上における発熱体1の領域に対向する第2表面2b上の領域(発熱体対向位置P1)を囲うように配置して、3次元的に誘起流Ifを発生させるようにしても良い。また、誘起流Ifによる冷却作用を高める観点から、誘起流発生装置3を複数設けても良い。
【0084】
また、放熱フィン6は、上述した略円柱形状及び略四角柱形状以外の任意の形状(多角柱形状、円錐形状、又は多角錐形状など)に形成されても良い。
【0085】
上述した第2実施形態及び各変形例2-1~2-6の構成によれば、誘起流Ifによってヒートシンク本体2の第2表面2b又は放熱フィン6の表面6aに流れを作ることで、誘起流Ifの圧力損失を大きく増加させることなく熱伝達性能をより向上させることができる。結果として、誘起流Ifの作用によって、第2表面2b及び表面6aと空気層7との間に生成する境界層の発達を抑制することができる。すなわち、ヒートシンク本体2の大きさ及び形状を変更せずとも、誘起流Ifの作用によって冷却性能の向上を図ることができる。
【0086】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
図14は、比較例による冷却装置100の構成を説明する図である。図示のように、冷却装置100は、
図2で説明した冷却装置10と同様のヒートシンク本体2と、ファン4と、を備えているものの、誘起流発生装置3を備えていない。
【0088】
冷却装置100においても、ヒートシンク本体2の第1表面2a上における発熱体1からの熱がヒートシンク本体2に伝達して第2表面2bから空気層7へ放出される。ファン4は、発熱体1として想定される部品又は機器の形態及び設置スペースに応じて要求される流量及び流速などの要素を考慮してDC/AC軸ファン又はブロアファンなどで適宜構成される。なお、ヒートシンク本体2に放熱フィン6が設けられる場合には、当該放熱フィン6の形態に応じたタイプのファン4を構成することが好ましい。
【0089】
また、
図14の例において、ファン4はヒートシンク本体2の第2表面2bに沿った方向(X軸正方向)に冷却風(以下、「主流Mf」とも称する)が流れるように、ヒートシンク本体2のX軸方向における一端部の近傍に設けられている。
【0090】
この構成により、ファン4を駆動させることで、主流Mfがヒートシンク本体2の第2表面2bに沿って流れる。この時、ヒートシンク本体2の第2表面2bと主流Mfとの間で生じる摩擦によって、当該主流Mfの流速が低下して第2表面2bと空気層7の間に境界層18が発生する。境界層18は、主流Mfがファン4の位置からX軸正方向に進むに連れて発達して厚みが増加する。この境界層18の発達によって、第2表面2bと空気層7の間の界面における流速が低下し、第2表面2bから空気層7への熱伝達が妨げられる。結果として、発熱体1の冷却効率が低下する。以下に詳細に説明する本実施形態による冷却装置10によれば、このような境界層18の発達を抑制することができる。
【0091】
図15は、本実施形態による冷却装置10の構成を説明する断面図である。
図15に示す冷却装置10は、
図14で説明した冷却装置100の構成に加えて、ヒートシンク本体2の第2表面2bに誘起流発生装置3が設けられている。
【0092】
特に、誘起流発生装置3は、ヒートシンク本体2の第2表面2bにおける発熱体1の略直下位置に設けられている。
【0093】
この構成によれば、誘起流発生装置3による誘起流Ifによって、ヒートシンク本体2の第2表面2bにおける発熱体1の直下位置で流れを生じさせることで、第2表面2bと主流Mfとの摩擦を軽減して境界層18を薄くすることができる。
【0094】
さらに、本実施形態による冷却装置10では、誘起流発生装置3の厚みT1(Z軸方向における長さ)が、境界層18の厚みD1(X軸方向における最大の厚み)よりも薄く構成される。この構成により、ヒートシンク本体2の第2表面2bに設けられた誘起流発生装置3自身が、ファン4の主流Mfの流れを妨げることをより好適に抑制することができる。
【0095】
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0096】
本実施形態の冷却装置10は、ヒートシンク本体2に供給する主流Mfを発生させる主流発生装置としてのファン4を備える。
【0097】
これにより、誘起流発生装置3からの誘起流Ifの流量をファン4からの主流によって補うことができるので、発熱体1に対する冷却性能をより高めることができる。
【0098】
特に、レイアウト性を考慮して、誘起流発生装置3を比較的薄く形成する場合において、発熱体1の発熱量によっては誘起流Ifの流量が所望の冷却性能の観点から必ずしも十分とは言えないシーンが生じることも想定される。このようなシーンに対しても、本実施形態の冷却装置10の構成であれば、ファン4の主流Mfにより冷却のための流量を好適に補うことができる。
【0099】
さらに、誘起流発生装置3からの誘起流Ifを、ヒートシンク本体2の第2表面2bの付近における主流Mfの速度を加速するように作用させることができる。したがって、本実施形態の冷却装置10であれば、誘起流発生装置3及びファン4を併用することによる流量の増加という作用に加えて、冷却性能を低下させる要因となる境界層18の発達を抑制することができ、発熱体1に対する冷却性能をより一層高めることができる。
【0100】
特に、
図15に示す冷却装置10においては、誘起流発生装置3は、発熱体対向位置P1の近傍に設けられている。
【0101】
したがって、誘起流発生装置3からの誘起流Ifによって、発熱体対向位置P1の周りで流れを発生させることができる。また、ファン4は、第2表面2bに沿った方向に主流が流れるように、ヒートシンク本体2のX軸方向における一端部の近傍に設けられている。このため、第2表面2bに沿った方向に流れるファン4の主流Mfの少なくとも一部は、誘起流Ifとともに、発熱体対向位置P1における第2表面2bと空気層7の界面を通過する。これにより、ヒートシンク本体2の第2表面2bから空気層7への熱伝達をより促進することができ、その結果、冷却装置10の冷却性能をさらに向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、誘起流発生装置3は、主流Mfとヒートシンク本体2の間に発生する境界層18の厚みD1よりも薄く構成される。
【0103】
これにより、ヒートシンク本体2の第2表面2bに設けられた誘起流発生装置3自身によって、ファン4の主流Mfの流れを妨げることがより確実に抑制される。結果として、境界層18の発達を抑制する効果がより向上するので、さらなる冷却性能の向上に寄与することとなる。
【0104】
さらに、本実施形態では、誘起流発生装置3及びファン4は、それぞれが発生させる主流Mf及び誘起流Ifが相互に略平行となる位置に配置される。
【0105】
これにより、主流Mfが当該主流Mfと同方向に流れる誘起流Ifを加速させるので、境界層18の発達を抑制する効果がより好適に発揮させることができる。
【0106】
以下では、第3実施形態の各変形例3-1~3-4について説明する。
【0107】
(変形例3-1)
図16は、変形例3-1による冷却装置10の構成を説明する断面図である。図示のように、本変形例による冷却装置10は、
図15に示したヒートシンク本体2、誘起流発生装置3、及びファン4が筐体5に収容された形態をとる。
【0108】
筐体5は、金属材料又は樹脂材料により構成される。特に、発熱体1が電子部品であってアルミニウム等の金属材料で筐体5を構成する場合には、当該筐体5の表面にアルマイト処理等の絶縁処理を施すことが好ましい。
【0109】
以上のように、本変形例の冷却装置10では、ヒートシンク本体2は、通気口としての入口5a及び出口5bを備える筐体5に収容される。したがって、ファン4を作動させると、図中左側の筐体5の入口5aから主流Mfが取り込まれる。そして、取り込まれた主流Mfは、筐体5内においてヒートシンク本体2の冷却に用いられて、筐体5の出口5bから排出される。
【0110】
したがって、ファン4からの主流Mf及び誘起流Ifを筐体5内に維持して拡散させること無く、ヒートシンク本体2の第2表面2bに沿って流すことができる。このため、ヒートシンクと空気層7との間の熱伝達をより効率的に実行することができ、冷却性能がより向上する。また、筐体5により外部からの暴露や感電等をより確実に防止することができる。
【0111】
なお、本変形例の冷却装置10において、
図7~
図13で説明した形態の放熱フィン6をヒートシンク本体2に設けても良い。この構成により、主流Mf及び誘起流Ifがヒートシンク本体2の第2表面2b及び放熱フィン6の表面6aを沿うように流れるので、当該第2表面2b及び表面6aの空気層7への熱伝達を促進することができる。
【0112】
(変形例3-2)
図17は、変形例3-2による冷却装置10の構成を説明する断面図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、ヒートシンク本体2に発熱体1及び誘起流発生装置3が複数(
図17では2つずつ)設けられている。
【0113】
本変形例によれば、冷却対象である発熱体1が複数設けられている場合であっても、それらに応じてそれぞれ誘起流発生装置3を設けることで、誘起流Ifによるヒートシンク本体2の第2表面2bと空気層7との熱伝達の促進効果及び上記境界層18の発達を抑制する効果を好適に発揮させることができる。
【0114】
(変形例3-3)
図18は、変形例3-3による冷却装置10の構成を説明する斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、
図7で説明した櫛歯状の放熱フィン6を備える冷却装置10に、
図14等で説明したファン4を設けた態様で構成される。
【0115】
本変形例の構成によると、上述のように誘起流Ifによって第2表面2bと空気層7の間に境界層18が薄くなることで、ファン4の主流Mfが隣接する放熱フィン6の間に吸い込まれるように流れ込む。このため、主流Mfが誘起流Ifと共に、ヒートシンク本体2の第2表面2bと放熱フィン6の表面6aに沿って流れることとなる。
【0116】
したがって、ファン4の主流により誘起流発生装置3からの誘起流Ifの風量を補助する効果が、ヒートシンク本体2の第2表面2bに沿う領域だけでなく、放熱フィン6の表面6aに沿う領域においても発揮されることとなる。このため、放熱フィン6の表面6aから空気層7への伝熱も促進される。
【0117】
さらに、ファン4の主流Mfが放熱フィン6の表面6aに沿って流れることで、ヒートシンク本体2の第2表面2bの場合と同様に、表面6aと主流Mfとの間で摩擦が生じ、主流Mfの流速が低下して境界層18が生じることが想定される。これに対して、本変形例の構成であれば、放熱フィン6の表面6aに沿って主流とともに誘起流Ifが流れるので、放熱フィン6の表面6aと空気層7の界面に生じる境界層18の発達も抑制することができる。結果として、発熱体1に対する冷却効果をより一層向上させることができる。
【0118】
(変形例3-4)
図19は、変形例3-4による冷却装置10の構成を説明する斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、
図9で説明した構成(誘起流発生装置3が放熱フィン6の片側の幅広面6a1に設けられる構成)の冷却装置10に、
図14等で説明したファン4を設けた態様で構成される。
【0119】
本変形例の構成によれば、ヒートシンク本体2の第2表面2bへ向かって流れる誘起流Ifの方向と主流Mfの方向が略直交する。このため、誘起流Ifと主流Mfの合成により、ヒートシンク本体2の第2表面2bに向かって斜めに流れる合成流W1が生じる。
【0120】
したがって、誘起流If及び主流Mfの方向と異なる合成流W1が発生することで、ヒートシンク本体2の第2表面2b及び放熱フィン6の表面6aの周辺の流れを乱すことができる。結果として、ヒートシンク本体2の第2表面2b及び放熱フィン6の表面6aと空気層7の間の熱伝達を促進することができる。
【0121】
なお、上記変形例3-3及び変形例3-4のいずれの場合においても、誘起流発生装置3の厚みT1は、境界層18のD1及び放熱フィン6の厚み(
図19の略四角柱状の放熱フィン6におけるY軸方向の長さ)よりも薄く形成することが好ましい。これにより、放熱フィン6の表面6aに設けられた誘起流発生装置3自身によって、ファン4の主流の流れを妨げることがより確実に抑制される。結果として、境界層18の発達を抑制する効果がより向上するので、さらなる冷却性能の向上に寄与することとなる。
【0122】
(変形例3-5)
図20は、変形例3-5による冷却装置10の構成を説明する断面図である。
図21は、変形例3-5による冷却装置10の構成を説明する斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、
図7で説明した櫛歯状の放熱フィン6を備える冷却装置10において、放熱フィン6の図上下方(Z軸における正方向側)にファン4が設けられている。
【0123】
また、ヒートシンク本体2及び放熱フィン6には、X軸方向における所定間隔に沿って複数の誘起流発生装置3が設けられている。特に、
図21では、2つの誘起流発生装置3-1,3-2が示されている。誘起流発生装置3-1は、X軸正方向に向かう誘起流Ifを発生させるように構成されている。また、誘起流発生装置3-2は、X軸負方向に向かう誘起流Ifを発生させるように構成されている。
【0124】
本変形例による冷却装置10の構成により、ファン4からの主流Mfは、隣接する放熱フィン6の間を表面6aに沿ってヒートシンク本体2の第2表面2bに向かって流れる。そして、第2表面2bに衝突した主流Mfは、誘起流発生装置3-1が生成する誘起流Ifの作用によりX軸正方向に向かう成分と、誘起流発生装置3-2が生成する誘起流Ifの作用によりX軸負方向に向かう成分と、に分かれることとなる。
【0125】
したがって、本変形例による冷却装置10によれば、放熱フィン6の表面6aの表層及びヒートシンク本体2の第2表面2bの表層に冷却風を発生させることができるので、当該表面6a及び第2表面2bと空気層7との間の熱伝達をより促進することができる。
【0126】
(変形例3-6)
図22は、変形例3-6による冷却装置10の構成を説明する斜視図である。図示のように、本変形例による冷却装置10では、
図11で説明した突起状の放熱フィン6を備える冷却装置10において、放熱フィン6の図上上方(Z軸における正方向側)にファン4が設けられている。
【0127】
また、ヒートシンク本体2の第2表面2bにおけるX軸方向の両縁部において、当該第2表面2bのY軸方向の全長さ領域に亘って、それぞれ、誘起流発生装置3-1,3-2が設けられている。
【0128】
誘起流発生装置3-1は、X軸正方向に向かう誘起流Ifを発生させるように、その誘起流発生部3a-1がX軸正方向に向くように配置されている。また、誘起流発生装置3-2は、X軸負方向に向かう誘起流Ifを発生させるように、その誘起流発生部3a-2がX軸負方向に向くように配置されている。
【0129】
本変形例による冷却装置10の構成によれば、ファン4からの主流Mfは、ヒートシンク本体2の第2表面2bに向かって流れる。そして、主流Mfは第2表面2bに衝突して、誘起流発生装置3-1が生成する誘起流Ifの作用によりX軸正方向に向かう成分と、誘起流発生装置3-2が生成する誘起流Ifの作用によりX軸負方向に向かう成分と、に分かれることとなる。これにより、誘起流Ifによって、主流Mfが突起状の放熱フィン6の表面6aを通過しつつ第2表面2bに沿って流れるように好適に誘導することができる。結果として、放熱フィン6の表面6a及びヒートシンク本体2の第2表面2bと空気層7との間の熱伝達をより促進することができる。
【0130】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について説明する。なお、第1~3の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、上記各実施形態で説明した誘起流発生装置3の一態様として、プラズマアクチュエータ17を採用する例を説明する。
【0131】
図23は、第4実施形態にかかるプラズマアクチュエータ17の構成を説明する断面図である。
【0132】
図示のように、プラズマアクチュエータ17は、第1電極12と、接地された第2電極13との間に誘電体14が挟持されて構成される。そして、プラズマアクチュエータ17は、電源装置15に接続されている。なお、プラズマアクチュエータ17の上部及び下部には所定の絶縁層が施される。
【0133】
第1電極12及び第2電極13は、Z軸方向において相互に位置ずれした位置に設けられている。また、第1電極12及び第2電極13は、銅、アルミニウム、又は鉄などの金属材料で構成される。第1電極12及び第2電極13は、例えば、数百umオーダーの厚さの銅テープにより構成される。
【0134】
誘電体14は、所定の絶縁材料で構成される。特に、当該絶縁材料としては、高電圧に対する耐性及び高絶縁性の観点からポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、又はナイロンを採用することが好ましい。これらの絶縁材料であれば、数百umオーダーの厚さであっても数kV程度の高電圧に対しても耐性を保つことができる。
【0135】
また、第2電極13及び誘電体14は、Y軸方向(
図23の紙面直交方向)において位置ずれして設けられている。すなわち、第2電極13及び誘電体14は、Z軸方向において相互に重ならないように設けられている。
【0136】
そして、本実施形態のプラズマアクチュエータ17は、Z軸方向における全体の厚さが例えば1mm以下程度となるように構成される。
【0137】
電源装置15は交流電源により構成され、プラズマアクチュエータ17の第1電極12及び第2電極13にそれぞれ接続される。すなわち、電源装置15がプラズマアクチュエータ17に交流電圧を印加することで、第1電極12からX軸正方向側にプラズマ雰囲気16を発生させる。このプラズマ雰囲気16中のイオンが空気分子に電気的に作用することで移動させ、X軸正方向に沿って流れる誘起流Ifを発生させることができる。すなわち、第1電極12が誘起流発生部3aとして機能する。
【0138】
ここで、プラズマアクチュエータ17により生成される誘起流Ifは、第1電極12からX軸正方向に発生するものの、特に、プラズマ雰囲気16からX軸正方向に所定距離離れた位置P2において流速が最大となる。これは、プラズマ雰囲気16中の荷電粒子にクーロン力による体積力が生じて加速が始まり、上記所定距離離れた位置で一定の速度に達するためである。
【0139】
なお、上述の誘起流が発生するプラズマ雰囲気16からの所定距離は、電源装置15の印可交流電圧の周波数、電極材料、及び誘電体14の材料によって異なるが、たとえば数mm~数cmとなる。
【0140】
図24は、プラズマアクチュエータ17を備えた冷却装置10の構成を説明する断面図である。また、
図25は、
図24のD-D´線矢視断面図である。
【0141】
図示のように、本実施形態の冷却装置10は、
図1で説明した冷却装置10の誘起流発生装置3としてプラズマアクチュエータ17を採用した構成をとる。より詳細には、第2電極13及び誘電体14がヒートシンク本体2の第2表面2bに接続されている。なお、プラズマアクチュエータ17とヒートシンク本体2の第2表面2bの間に適宜絶縁材を設けてもよい。
【0142】
このように、冷却装置10の誘起流発生装置3にプラズマアクチュエータ17を採用することによって、誘起流発生装置3を境界層18の厚みD1に比べて薄く形成することができる。なお、ヒートシンク本体2に放熱フィン6が設けられる場合であっても、放熱フィン6の厚みに比べて薄く形成することができる。これにより、プラズマアクチュエータ17自身が、ヒートシンク本体2の第2表面2b又は放熱フィン6の表面6aに沿う流体の流れを阻害するという事態をより好適に抑制することができる。
【0143】
特に、複数の誘起流発生装置3が設けられる冷却装置10(例えば
図13に示す冷却装置10)、及びファン4を設ける冷却装置10(例えば
図15に示す冷却装置10)において、当該誘起流発生装置3にプラズマアクチュエータ17を採用することで、より好適に冷却性能を発揮させることができる。
【0144】
また、プラズマアクチュエータ17であれば、誘起流Ifを電気的に制御できる。より詳細には、電源装置15による電源供給のオン/オフを切り替えることで誘起流Ifを発生させる状態と発生させない状態の切り替えることができる。この電源供給のオン/オフの切り替えにより、主流Mfの流れを乱して乱流を促進して熱伝達を向上させることができる。さらに、誘起流Ifを発生させる必要が無い状況では、電源供給をオフ状態としておくことで、誘起流Ifの作用に起因する圧力損失の発生を抑制することができる。さらに、電源装置15による印加電圧の大きさを適宜調節することで、誘起流Ifの流速・流量を調節することができる。
【0145】
なお、本実施形態の冷却装置10においては、プラズマアクチュエータ17の作動により、電力損出に起因する発熱が想定される。しかしながら、上述のように、プラズマ雰囲気16から誘起流Ifの流速が最大となる位置P2までは所定距離離れる。したがって、発熱体1の中心位置C1とプラズマアクチュエータ17の中心位置C2の間の距離を、当該中心位置C2と上記位置P2の間の距離を越えるように構成することが好ましい。これにより、発熱体1とプラズマアクチュエータ17との熱干渉を軽減しつつも、当該発熱体1に対する冷却効率も高くすることができる。
【0146】
例えば、電源装置15の印可電圧(印可交流電圧の実効値)が数kV程度で且つ交流周波数が20kHz以下程度の場合には、位置P2はプラズマ雰囲気16から2cm程度離れた位部分となる。したがって、この場合、発熱体1の中心位置C1とプラズマアクチュエータ17の中心位置C2の間の距離を2cm以上に構成することで、発熱体対向位置P1で最大の流速の誘起流を流すことができ、熱伝達をより促進することができる。すなわち、発熱体1の中心位置C1とプラズマアクチュエータ17の中心位置C2の間の距離を、プラズマ雰囲気16から誘起流が発生する位置までは所定距離以上とすることが好ましい。
【0147】
以上説明した構成を有する本実施形態の冷却装置10によれば、以下の作用効果を奏する。
【0148】
本実施形態の冷却装置10では、誘起流発生装置3は、第1電極12及び第2電極13の間に誘電体14を介在させてなるプラズマアクチュエータ17を備える。
【0149】
これにより、冷却装置10の全体のサイズ及び体積の大幅な増加を伴うことなく、発熱体1の冷却を促進する誘起流Ifを発生させる構成を実現することができる。特に、プラズマアクチュエータ17は比較的小型に形成することができるので、誘起流発生装置3自身が、ヒートシンク本体2の第2表面2b又は放熱フィン6の表面6aに沿う流れを阻害するという事態をより好適に抑制することができる。
【0150】
また、プラズマアクチュエータ17に対する電気的制御又は構成材料の選択によって、誘起流Ifを発生させる領域を比較的小さくすることができる。したがって、冷却装置10の全体の圧力損失への影響を少なくしつつも、冷却のための流れを生成する構成が実現される。特に、制御装置としての電源装置15を用いたプラズマアクチュエータ17の電気的制御が可能となることで、冷却のための流れの流量及び流速等を調節する受動部品(流路の構造等)に比べて、当該流量及び流速等に調節に対する高速な応答性を持たせることが可能となる。
【0151】
さらに、本実施形態では、プラズマアクチュエータ17は、ヒートシンク本体2の第1表面2aに接合された発熱体1に対向する第2表面2bの位置(発熱体対向位置P1)において、発熱体1との間で所定距離離れた位置に配置される。
【0152】
これにより、熱量が相対的にヒートシンク本体2の部分に、流速が高くなった状態の誘起流Ifを与えることができるので、冷却をより効率的に行うことができる。特に、本実施形態では、プラズマアクチュエータ17が生成する誘起流Ifの流速が最大となる位置P2に発熱体1の中心位置C1が配置されるため、冷却の効率がより一層高くなる。また、プラズマアクチュエータ17と発熱体1が離れて配置されることによって、プラズマアクチュエータ17の発熱による発熱体1への熱干渉も抑制することができる。
【0153】
なお、本実施形態では、
図1で説明した構成の冷却装置10(第1実施形態の冷却装置10)の誘起流発生装置3にプラズマアクチュエータ17を採用する例を説明した。しかしながら、これに限らず、第2実施形態の冷却装置10(
図4~
図7に示す冷却装置10)、変形例2-1~変形例2-6の何れかの冷却装置10(
図8~
図13のいずれかに示す冷却装置10)、第3実施形態の冷却装置10(
図15に示す冷却装置10)、及び変形例3-1~変形例3-6の何れかの冷却装置10(
図16~
図20若しくは
図21、及び
図22のいずれかに示す冷却装置10)の誘起流発生装置3にプラズマアクチュエータ17を採用しても良い。
【0154】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記各実施形態及び各変形例は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0155】
例えば上記
図16及び
図17で説明した冷却装置10(変形例3-1及び変形例3-2の冷却装置10)では、ファン4を筐体5の入口5aに配置する例を説明した。しかしながら、この構成に代えて、ファン4を筐体5の出口5bに配置してファン4の作動により出口5bから空気を吸い込む構成としても良い。
【0156】
また、上記各実施形態を説明する図面において発熱体1は四角形状で示している。しかしながら、発熱体1として想定されるコイル及びコンデンサ等の電子部品、又は冷却が要求される他の装置などの形状に応じた形状の発熱体1についても、上記各実施形態に適用することができる。
【0157】
さらに、上記各実施形態では、一つの発熱体1に対して一つの誘起流発生装置3を設ける例について説明した。しかしながら、これに限らず、一つの発熱体1に対して複数の誘起流発生装置3を設けても良いし、複数の発熱体1に対して一つの誘起流発生装置3を設ける構成としても良い。
【0158】
また、誘起流発生装置3としては、上記第4実施形態で説明したプラズマアクチュエータ17以外の装置を用いることもできる。例えば、誘起流発生装置3を圧電素子等の電気的作用により気流を生じさせる他の装置により構成しても良い。
【0159】
さらに、上記各実施形態では、主流Mfに対して略直交する方向又は略平行する方向に誘起流Ifを発生させる態様を説明した。しかしながら、発生させる誘起流Ifの方向は当該態様に限られず、主流Mfに対して所定の角度をなすように誘起流Ifを発生させても良い。特に、境界層18を抑制する観点から誘起流Ifを発生させるのであれば、当該誘起流Ifの方向、流量又は流速を適宜、調節することが可能である。
【0160】
また、上記各実施形態では、主流発生装置として、送風式のファン4又は吸い込み式のファンを用いる例を説明した。しかしながら、主流発生装置は、ヒートシンクから空気層7への放熱を助長する機能を果たすものであれば、他のタイプの装置を採用しても良い。例えば、ファン4又は吸い込み式のファンに代えて、自然滞留によりヒートシンクの周辺に気流の流れを生じさせる装置を採用しても良い。
【符号の説明】
【0161】
1 発熱体
2 ヒートシンク
2a 第1表面
2b 第2表面
3 誘起流発生装置
4 ファン
5 筐体
5a 入口
5b 出口
6 放熱フィン
6a 表面
7 空気層
8 ヒートスプレッダ
10 冷却装置
17 プラズマアクチュエータ
18 境界層