(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ブレーキ評価装置及びブレーキ評価方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20230302BHJP
F16D 66/00 20060101ALI20230302BHJP
B66D 5/00 20060101ALI20230302BHJP
B66C 19/00 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
B66C13/00 D
F16D66/00 Z
B66D5/00 A
B66C19/00 D
(21)【出願番号】P 2019030761
(22)【出願日】2019-02-22
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大串 泰斗
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-071239(JP,A)
【文献】特開2005-067508(JP,A)
【文献】実開昭61-198739(JP,U)
【文献】実開平01-098934(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00
F16D 49/00-71/04
B66D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体を駆動する電動モータに係る運転状態を示す運転状態データを取得する運転状態データ取得部と、
前記回転体を制動するディスクブレーキのブレーキ部材に係る固有データを取得する固有データ取得部と、
前記運転状態データ及び前記固有データに基づいて、前記ブレーキ部材の状態を推定する状態推定部と、
を備え
、
前記運転状態データは、前記電動モータの回転数、前記電動モータのトルク、及び前記回転体が停止するまでの制動時間を含み、
前記固有データは、前記ブレーキ部材の表面積を含み、
前記状態推定部は、前記運転状態データ及び前記固有データに基づいて、前記ブレーキ部材の制動エネルギーを算出し、
前記ブレーキ部材の状態は、前記制動エネルギーから算出される前記ブレーキ部材の推定温度を含み、
前記ブレーキ部材の耐熱温度と前記推定温度とに基づいて、前記ブレーキ部材の評価データを出力する評価データ出力部を備える、ブレーキ評価装置。
【請求項2】
前記固有データ
は、前記ブレーキ部材の摩耗率を含み、
前記ブレーキ部材の状態は、前記ブレーキ部材の推定摩耗量を含む、
請求項1に記載のブレーキ評価装置。
【請求項3】
前記推定摩耗量を積算した累積摩耗量に基づいて、前記ブレーキ部材の評価データを出力する評価データ出力部を備える、
請求項
2に記載のブレーキ評価装置。
【請求項4】
前記回転体は、クレーンの昇降ワイヤを昇降させる、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のブレーキ評価装置。
【請求項5】
前記状態推定部は、前記ディスクブレーキが開放状態から制動状態に変化するときの前記運転状態に基づいて、前記ブレーキ部材の状態を推定する、
請求項
4に記載のブレーキ評価装置。
【請求項6】
回転体を駆動する電動モータに係る運転状態を示す運転状態データを取得するステップと、
前記回転体を制動するディスクブレーキのブレーキ部材に係る固有データを取得するステップと、
前記運転状態データ及び前記固有データに基づいて、前記ブレーキ部材の状態を推定するステップと、
前記ブレーキ部材の推定結果に基づいて、前記ブレーキ部材の評価データを出力するステップと、
を含
み、
前記運転状態データは、前記電動モータの回転数、前記電動モータのトルク、及び前記回転体が停止するまでの制動時間を含み、
前記固有データは、前記ブレーキ部材の表面積を含み、
前記ブレーキ部材の状態を推定するステップは、前記運転状態データ及び前記固有データに基づいて、前記ブレーキ部材の制動エネルギーを算出し、
前記ブレーキ部材の状態は、前記制動エネルギーから算出される前記ブレーキ部材の推定温度を含み、
前記ブレーキ部材の評価データを出力するステップは、前記ブレーキ部材の耐熱温度と前記推定温度とに基づいて、前記ブレーキ部材の評価データを出力するブレーキ評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ評価装置及びブレーキ評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶における荷役作業にデッキクレーンが使用される。デッキクレーンは、旋回軸を中心に旋回する旋回体と、俯仰軸を中心に回動するジブと、昇降ワイヤとを備える。また、デッキクレーンは、旋回体、ジブ、及び昇降ワイヤのそれぞれを制動させるためのディスクブレーキを備える。ブレーキライニング及びブレーキディスクを有するディスクブレーキの一例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレーキライニングは消耗品である。そのため、ブレーキライニングとブレーキディスクとの隙間調整作業又はブレーキライニングの交換作業のようなメンテナンス作業が実施される。メンテナンス作業の実施時期を判定する方法として、ブレーキライニングとブレーキディスクとの隙間をセンサにより計測する方法、メンテナンス作業者がブレーキライニングを目視により点検する方法、及びディスクブレーキの稼働時間又は稼働回数を指標とする方法が挙げられる。
【0005】
ブレーキライニングとブレーキディスクとの隙間をセンサにより計測する方法は、メンテナンス作業のコストアップがもたらされる可能性がある。また、ブレーキライニングの摩耗量は計測できるものの、ブレーキライニングが熱破壊されたか否かを判定することが困難である。メンテナンス作業者がブレーキライニングを目視により点検する方法は、定期的な点検を要するとともに、メンテナンス作業者によって判定結果にばらつきが生じる可能性がある。ディスクブレーキの稼働時間又は稼働回数を指標とする方法は、メンテナンス作業の実施時期を適切に判定することが困難となる可能性がある。すなわち、ディスクブレーキの使用条件によってブレーキライニングの劣化状態が変動する。例えば非常制動のようなブレーキライニングにとって厳しい使用条件でディスクブレーキが使用される場合、メンテナンス作業を早期に実施する必要があるにもかかわらず、ディスクブレーキの稼働時間又は稼働回数を指標としてしまうと、メンテナンス作業の実施時期を適切に判定することが困難となる。
【0006】
本発明は、ディスクブレーキのメンテナンス作業の実施時期を適切に判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転体を駆動する電動モータに係る運転状態を示す運転状態データを取得する運転状態データ取得部と、前記回転体を制動するディスクブレーキのブレーキ部材に係る固有データを取得する固有データ取得部と、前記運転状態データ及び前記固有データに基づいて、前記ブレーキ部材の状態を推定する状態推定部と、を備えるブレーキ評価装置を提供する。
【0008】
本発明は、回転体を駆動する電動モータに係る運転状態を示す運転状態データを取得するステップと、前記回転体を制動するディスクブレーキのブレーキ部材に係る固有データを取得するステップと、前記運転状態データ及び前記固有データに基づいて、前記ブレーキ部材の状態を推定するステップと、を含むブレーキ評価方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ディスクブレーキのメンテナンス作業の実施時期を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るデッキクレーンシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るデッキクレーンの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るディスクブレーキの一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るデッキクレーンの一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るブレーキ評価方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明は実施形態に限定されない。複数の実施形態に係る構成要素は組み合わせることができるし、一部の構成要素を省略することができる。
【0012】
[デッキクレーンシステム]
図1は、本実施形態に係るデッキクレーンシステム100の一例を示す図である。デッキクレーンシステム100は、船舶101における荷役作業に使用される。デッキクレーンシステム100は、デッキクレーン10と、制御装置20と、ブレーキ評価装置30とを備える。
【0013】
デッキクレーンシステム100は、貨物を上げ下ろしする作業機械である。デッキクレーン10は、船舶101のデッキ102に設置される。複数のデッキクレーン10がデッキ102に設置されてもよいし、単数のデッキクレーン10がデッキ102に設置されてもよい。
図1は、4基のデッキクレーン10がデッキ102に設置されている例を示す。
【0014】
制御装置20は、コンピュータシステムを含む。制御装置20は、デッキクレーン10を制御する。制御装置20は、複数のデッキクレーン10のそれぞれに配置される。
【0015】
ブレーキ評価装置30は、コンピュータシステムを含む。ブレーキ評価装置30は、デッキクレーン10に設けられているディスクブレーキの状態を評価する。ブレーキ評価装置30は、複数のデッキクレーン10のそれぞれに配置される。ブレーキ評価装置30から出力される評価データに基づいて、メンテナンス作業の実施時期が判定される。
【0016】
[デッキクレーン]
図2は、本実施形態に係るデッキクレーン10の一例を示す図である。
図2に示すように、デッキクレーン10は、旋回体11と、ジブ12と、旋回装置13と、俯仰装置14と、昇降装置15とを有する。
【0017】
船舶101のデッキ102に架台16が支持される。旋回体11は、架台16に支持される。旋回体11は、旋回軸AX1を中心に旋回可能に架台16に支持される。旋回軸AX1は、架台16の支持面16Sと直交する。
【0018】
ジブ12は、旋回体11に連結される。ジブ12は、棒状の部材である。ジブ12の基端部が旋回体11に連結される。ジブ12は、俯仰軸AX2を中心に回動可能に旋回体11に連結される。俯仰軸AX2は、架台16の支持面16Sと平行である。
【0019】
ジブ12の先端部に滑車17が設けられる。貨物を昇降するための昇降ワイヤ18が滑車17に掛けられる。昇降ワイヤ18の基端部は、昇降装置15のドラム15Dに取り付けられる。昇降ワイヤ18の先端部に、貨物を保持するための保持具18Hが設けられる。保持具18Hとして、貨物を掴むグラブバケット又は貨物を引っ掛けるフックが例示される。
【0020】
俯仰用ワイヤ19がジブ12に取り付けられる。俯仰用ワイヤ19の一端部は、ジブ12の中間部に取り付けられ、俯仰用ワイヤ19の他端部は、俯仰装置14のドラム14Dに取り付けられる。
【0021】
旋回装置13は、旋回軸AX1を中心に旋回体11を旋回させる。旋回装置13は、旋回体11を駆動する旋回モータ13Mと、旋回体11を制動する旋回ブレーキ13Bとを有する。旋回モータ13Mが発生する駆動力により、旋回体11は旋回軸AX1を中心に旋回する。旋回ブレーキ13Bが発生する制動力により、旋回体11は停止する。
【0022】
俯仰装置14は、俯仰軸AX2を中心にジブ12を回動させる。俯仰装置14は、ジブ12を駆動する俯仰モータ14Mと、ジブ12を制動する俯仰ブレーキ14Bとを有する。俯仰モータ14Mが発生する駆動力により、ジブ12は俯仰軸AX2を中心に回動する。俯仰ブレーキ14Bが発生する制動力により、ジブ12は停止する。
【0023】
昇降装置15は、昇降ワイヤ18を昇降させる。昇降装置15は、昇降ワイヤ18を駆動する昇降モータ15Mと、昇降ワイヤ18を制動する昇降ブレーキ15Bとを有する。昇降モータ15Mが発生する駆動力により、昇降ワイヤ18は昇降する。昇降ブレーキ15Bが発生する制動力により、昇降ワイヤ18は停止する。
【0024】
俯仰モータ14Mは、ドラム14Dを回転させる駆動力を発生する。ドラム14Dの回転により俯仰用ワイヤ19がドラム14Dに巻き取られることにより、ジブ12は、仰方向に回動する。仰方向とは、ジブ12の先端部が上方に移動する方向をいう。ドラム14Dの回転により俯仰用ワイヤ19がドラム14Dから繰り出されることにより、ジブ12は、俯方向に回動する。俯方向とは、ジブ12の先端部が下方に移動する方向をいう。
【0025】
昇降モータ15Mは、ドラム15Dを回転させる駆動力を発生する。ドラム15Dの回転により昇降ワイヤ18がドラム15Dに巻き取られることにより、保持具18Hは、上昇する。ドラム15Dの回転により昇降ワイヤ18がドラム15Dから繰り出されることにより、保持具18Hは、下降する。
【0026】
旋回モータ13Mは、回転体である旋回体11を駆動する電動モータである。俯仰モータ14Mは、回転体であるドラム14Dを駆動する電動モータである。昇降モータ15Mは、回転体であるドラム15Dを駆動する電動モータである。デッキクレーン10は、電動モータが発生する駆動力により作動する電動デッキクレーンである。
【0027】
旋回ブレーキ13Bは、旋回体11を制動するディスクブレーキである。俯仰ブレーキ14Bは、ドラム14Dを制動するディスクブレーキである。昇降ブレーキ15Bは、ドラム15Dを制動するディスクブレーキである。
【0028】
制御装置20は、デッキクレーン10を制御する。制御装置20は、旋回モータ13M、旋回ブレーキ13B、俯仰モータ14M、俯仰ブレーキ14B、昇降モータ15M、及び昇降ブレーキ15Bを制御する。架台16に制御室R及び運転室Cが設けられる。制御装置20は、制御室Rに配置される。なお、制御装置20は、運転室Cに配置されてもよい。
【0029】
ブレーキ評価装置30は、旋回ブレーキ13Bの状態、俯仰ブレーキ14Bの状態、及び昇降ブレーキ15Bの状態を評価する。ブレーキ評価装置30は、制御室Rに配置される。なお、ブレーキ評価装置30は、運転室Cに配置されてもよい。
【0030】
[ディスクブレーキ]
図3は、本実施形態に係るディスクブレーキの一例を模式的に示す図である。
図3は、昇降ブレーキ15Bの一例を示す。旋回ブレーキ13Bの構造及び俯仰ブレーキ14Bの構造は、昇降ブレーキ15Bの構造と同様である。
【0031】
昇降ブレーキ15Bは、乾式ディスクブレーキである。
図3に示すように、昇降ブレーキ15Bは、複数のブレーキホイール51と、ブレーキホイール51に対向するブレーキディスク52と、ブレーキホイール51の周縁部に配置されたブレーキライニング53と、ブレーキディスク52を変位させるアクチュエータ54とを有する。
【0032】
ブレーキホイール51は、回転体であるドラム15Dの少なくとも一部に固定される。なお、ブレーキホイール51は、回転体である昇降モータ15Mの出力シャフトに固定されてもよい。昇降モータ15M及び昇降ブレーキ15Bに減速機が連結されている場合、ブレーキホイール51は、減速機の回転体に固定されてもよい。本実施形態において、ブレーキホイール51は、回転体の回転軸と平行な軸方向に2つ設けられる。ブレーキホイール51は、回転体と一緒に回転する。ブレーキホイール51は、回転体との相対回転が制限された状態で、軸方向に移動可能である。
【0033】
ブレーキディスク52は、環状である。ブレーキディスク52は、複数のブレーキホイール51の間に配置される。ブレーキディスク52は、固定側のブレーキ部材である。ブレーキディスク52の一部に開口が設けられる。ガイドピン55がブレーキディスク52の開口に挿入される。ガイドピン55により、ブレーキディスク52の回転が規制される。ブレーキディスク52は、軸方向に移動可能である。
【0034】
ブレーキライニング53は、ブレーキホイール51の周縁部に配置される。ブレーキライニング53は、ブレーキホイール51と一緒に回転する。ブレーキライニング53は、回転側のブレーキ部材である。
【0035】
アクチュエータ54の作動により、ブレーキライニング53とブレーキディスク52とが接触すると、昇降ブレーキ15Bは、制動状態になる。昇降ブレーキ15Bが制動状態において、ドラム15Dの回転が規制される。ブレーキライニング53とブレーキディスク52との接触が解除されると、昇降ブレーキ15Bは、開放状態になる。昇降ブレーキ15Bが開放状態において、ドラム15Dは回転可能である。
【0036】
[ブレーキ評価装置]
図4は、本実施形態に係るデッキクレーン10の一例を示す機能ブロック図である。以下の説明においては、ブレーキ評価装置30により昇降装置15の昇降ブレーキ15Bが評価される例について説明する。
【0037】
デッキクレーン10は、ドラム15Dを駆動する昇降モータ15Mと、昇降モータ15Mに電流を供給するインバータ61と、昇降モータ15Mの回転を検出する回転センサ62と、昇降ブレーキ15Bを制動状態と解放状態とに切り換えるアクチュエータ54と、制御装置20と、ブレーキ評価装置30と、通知装置63とを備える。
【0038】
インバータ61は、昇降モータ15Mを駆動するための電流を昇降モータ15Mに供給する。インバータ61は、制御装置20に制御される。制御装置20は、インバータ61から昇降モータ15Mに電流が供給されるようにインバータ61に制御指令を出力する。本実施形態において、制御装置20は、昇降モータ15Mが目標回転速度で駆動するように、インバータ61に速度指令を出力する。インバータ61は、制御装置20から出力された速度指令に基づいて、昇降モータ15Mが目標回転速度で駆動するように、昇降モータ15Mに電流を供給する。
【0039】
昇降モータ15Mは、インバータ61から供給された電流に基づいて駆動する。昇降モータ15Mが発生するトルクは、インバータ61から供給された電流に基づいて変化する。インバータ61から供給される電流が大きいほど、昇降モータ15Mが発生するトルクは大きくなり、インバータ61から供給される電流が小さいほど、昇降モータ15Mが発生するトルクは小さくなる。本実施形態において、昇降モータ15Mが発生するトルクは、インバータ61から供給される電流と実質的に比例する。
【0040】
回転センサ62は、昇降モータ15Mの単位時間当たりの回転数を検出する。回転センサ62の検出データより、昇降モータ15Mの回転速度及び回転加速度が算出される。
【0041】
アクチュエータ54は、ブレーキライニング53とブレーキディスク52とが接触する昇降ブレーキ15Bの制動状態と、ブレーキライニング53とブレーキディスク52との接触が解除される昇降ブレーキ15Bの開放状態とを切り換える。アクチュエータ54は、制御装置20に制御される。昇降ブレーキ15Bが開放状態において、制御装置20は、昇降ブレーキ15Bが制動状態になるように、制動指令を出力する。制御装置20から制動指令が出力されることにより、昇降ブレーキ15Bが制動状態になり、ドラム15Dが停止する。ドラム15Dが停止することにより、昇降ワイヤ18の昇降が停止する。また、昇降ブレーキ15Bが制動状態になることにより、昇降モータ15Mが停止する。昇降ブレーキ15Bが制動状態において、制御装置20は、昇降ブレーキ15Bが開放状態になるように、開放指令を出力する。制御装置20から開放指令が出力されることにより、昇降ブレーキ15Bが開放状態になり、ドラム15Dは回転可能となる。ドラム15Dが回転可能となることにより、昇降ワイヤ18は昇降可能となる。また、昇降ブレーキ15Bが開放状態になることにより、昇降モータ15Mが回転可能となる。
【0042】
ブレーキ評価装置30は、運転状態データ取得部31と、固有データ取得部32と、記憶部33と、状態推定部34と、評価データ出力部35とを有する。
【0043】
運転状態データ取得部31は、ドラム15Dを駆動する昇降モータ15Mに係る運転状態を示す運転状態データを取得する。運転状態データは、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、及び制御装置20から制動指令が出力されてからドラム15Dが実際に停止するまでの制動時間を含む。
【0044】
本実施形態において、昇降モータ15Mの運転状態は、昇降ブレーキ15Bが開放状態から制動状態に変化するときの昇降モータ15Mの運転状態である。すなわち、昇降モータ15Mの運転状態は、昇降ブレーキ15Bが制動状態に変化する直前の開放状態における昇降モータ15Mの運転状態である。
【0045】
昇降モータ15Mの回転数は、昇降ブレーキ15Bが開放状態から制動状態に変化するときの昇降モータ15Mの回転数である。昇降モータ15Mの回転数は、回転センサ62によって検出される。運転状態データ取得部31は、回転センサ62の検出データに基づいて、昇降モータ15Mの回転数を取得することができる。
【0046】
昇降モータ15Mのトルクは、昇降ブレーキ15Bが開放状態から制動状態に変化するときの昇降モータ15Mのトルクである。昇降モータ15Mのトルクは、インバータ61から昇降モータ15Mに供給された電流に基づいて変化する。運転状態データ取得部31は、インバータ61から出力される電流に基づいて、昇降モータ15Mのトルクを取得することができる。
【0047】
制動時間の開始時点は、昇降ブレーキ15Bが開放状態において、制御装置20から制動指令が出力された時点である。制動時間の終了時点は、ドラム15D及び昇降モータ15Mの回転が実際に停止した時点である。運転状態データ取得部31は、制御装置20から出力された制動指令を取得することにより、制動時間の開始時点を特定することができる。運転状態データ取得部31は、回転センサ62の検出データを取得することにより、制動時間の終了時点を特定することができる。運転状態データ取得部31は、制動時間の開始時点と制動時間の終了時点とに基づいて、制動時間を取得することができる。
【0048】
固有データ取得部32は、ドラム15Dを制動する昇降ブレーキ15Bのブレーキライニング53に係る固有データを取得する。固有データは、ブレーキディスク52と接触するブレーキライニング53の表面積、及びブレーキライニング53の摩耗率を含む。
【0049】
ブレーキライニング53の表面積は、ブレーキディスク52と接触するブレーキライニング53の接触面積を含む。ブレーキライニング53の表面積は、例えばブレーキライニング53の諸元データから導出される既知データである。ブレーキライニング53の表面積は、記憶部33に記憶されている。
【0050】
ブレーキライニング53の摩耗率とは、単位摩擦仕事当たりの摩耗量[cm3/J]をいう。摩耗率は、例えばブレーキライニング53を構成する材料に基づいて決定される値である。ブレーキライニング53の摩耗率は、例えばブレーキライニング53の諸元データから導出される既知データである。ブレーキライニング53の摩耗率は、記憶部33に記憶されている。
【0051】
固有データ取得部32は、記憶部33からブレーキライニング53に係る固有データを取得する。なお、ブレーキ評価装置30に入力装置が接続されている場合、メンテナンス作業者は、入力装置を操作して、ブレーキライニング53に係る固有データをブレーキ評価装置30に入力することができる。固有データ取得部32は、入力装置からブレーキライニング53に係る固有データを取得することができる。
【0052】
状態推定部34は、運転状態データ取得部31により取得された運転状態データと、固有データ取得部32により取得された固有データとに基づいて、ブレーキライニング53の状態を推定する。状態推定部34は、ブレーキライニング53の状態として、ブレーキライニング53の温度、及びブレーキライニング53の摩耗量を推定する。
【0053】
以下の説明においては、状態推定部34により推定されるブレーキライニング53の温度を適宜、ブレーキライニング53の推定温度、と称し、状態推定部34により推定されるブレーキライニング53の摩耗量を適宜、ブレーキライニング53の推定摩耗量、と称する。状態推定部34により推定されるブレーキライニング53の状態は、ブレーキライニング53の推定温度、及びブレーキライニング53の推定摩耗量を含む。
【0054】
ブレーキライニング53の温度を推定する場合、状態推定部34は、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、制動時間、及びブレーキライニング53の表面積に基づいて、ブレーキライニング53における制動エネルギーを算出する。状態推定部34は、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、制動時間、及びブレーキライニング53の表面積から制動エネルギーを算出する演算式を保有する。状態推定部34は、演算式を用いて、制動エネルギーを算出する。
【0055】
状態推定部34は、算出されたブレーキライニング53の制動エネルギーから、ブレーキライニング53の温度を推定する。状態推定部34は、制動エネルギーからブレーキライニング53の温度を算出する演算式を保有する。状態推定部34は、演算式を用いて、ブレーキライニング53の推定温度を算出する。
【0056】
昇降モータ15Mの回転数が高いほど、制動エネルギーは大きくなる。昇降モータ15Mのトルクが大きいほど、制動エネルギーは大きくなる。制動時間は、昇降モータ15Mの回転数が高いほど長くなり、昇降モータ15Mのトルクが大きいほど長くなる。また、制動時間が短いほど、制動エネルギーは大きくなる。ブレーキライニング53の表面積が大きいほど、制動エネルギーは大きくなる。状態推定部34は、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、制動時間、及びブレーキライニング53の表面積に基づいて、ブレーキライニング53における制動エネルギーを算出することができる。状態推定部34は、制動エネルギーに基づいて、ブレーキライニング53の推定温度を算出することができる。
【0057】
ブレーキライニング53の摩耗量を推定する場合、状態推定部34は、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、ブレーキライニング53の表面積、及びブレーキライニング53の摩耗率に基づいて、ブレーキライニング53の摩耗量を推定する。状態推定部34は、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、ブレーキライニング53の表面積、及びブレーキライニング53の摩耗率から摩耗量を算出する演算式を保有する。状態推定部34は、演算式を用いて、ブレーキライニング53の摩耗量を算出する。
【0058】
評価データ出力部35は、ブレーキライニング53の評価データを出力する。ブレーキライニング53の評価データは、ブレーキライニング53が熱破壊されているか否かを示す評価データを含む。ブレーキライニング53の評価データは、ブレーキライニング53の摩耗量が基準値以上であるか否かを示す評価データを含む。
【0059】
評価データ出力部35は、ブレーキライニング53の耐熱温度と状態推定部34により推定されたブレーキライニング53の推定温度とに基づいて、ブレーキライニング53の評価データを出力する。ブレーキライニング53の耐熱温度とは、ブレーキライニング53が熱破壊されない温度の最高値をいう。ブレーキライニング53の温度が耐熱温度を超えると、ブレーキライニング53が熱破壊されてしまうため、メンテナンス作業が必要となる。ブレーキライニング53の耐熱温度は、例えばブレーキライニング53の諸元データから導出される既知データである。ブレーキライニング53の耐熱温度は、記憶部33に記憶されている。評価データ出力部35は、記憶部33に記憶されているブレーキライニング53の耐熱温度と状態推定部34により推定されたブレーキライニング53の推定温度とに基づいて、ブレーキライニング53が熱破壊されているか否かを示す評価データを出力することができる。
【0060】
評価データ出力部35は、状態推定部34により推定されたブレーキライニング53の推定摩耗量を積算した累積摩耗量に基づいて、ブレーキライニング53の評価データを出力する。ブレーキライニング53の累積摩耗量が基準値を超えると、ブレーキライニング53のメンテナンス作業が必要とある。ブレーキライニング53の累積摩耗量に係る基準値は、予め定められた値であり、記憶部33に記憶されている。評価データ出力部35は、記憶部33に記憶されているブレーキライニング53の基準値と状態推定部34により推定されたブレーキライニング53の累積摩耗量とに基づいて、ブレーキライニング53の摩耗量が基準値以上であるか否かを示す評価データを出力することができる。
【0061】
本実施形態において、ブレーキライニング53の累積摩耗量に係る基準値は、ブレーキライニング53とブレーキディスク52との隙間調整作業に係る調整基準値と、ブレーキライニング53の交換作業に係る交換基準値とを含む。交換基準値は、調整基準値よりも大きい。
【0062】
通知装置63は、評価データ出力部35から出力されたブレーキライニング53の評価データをメンテナンス作業者に通知する。通知装置63は、例えば制御室Rに配置される。通知装置63は、評価データ出力部35から出力された評価データに基づいて作動する。通知装置63として、表示データを表示する表示装置及び音声を出力する音声出力装置が例示される。表示装置として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)又は有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。
【0063】
[ブレーキ評価方法]
図5は、本実施形態に係るブレーキ評価方法の一例を示すフローチャートである。
【0064】
運転状態データ取得部31は、昇降モータ15Mに係る運転状態を示す運転状態データを取得する(ステップS1)。
【0065】
本実施形態において、昇降モータ15Mの運転状態は、昇降ブレーキ15Bが開放状態から制動状態に変化するときの昇降モータ15Mの運転状態である。運転状態データは、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、及び制動時間を含む。
【0066】
固有データ取得部32は、昇降ブレーキ15Bのブレーキライニング53に係る固有データを取得する(ステップS2)。
【0067】
本実施形態において、固有データは、ブレーキライニング53の表面積、及びブレーキライニング53の摩耗率を含む。
【0068】
状態推定部34は、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、制動時間、及びブレーキライニング53の表面積に基づいて、ブレーキライニング53における制動エネルギーを算出する(ステップS3)。
【0069】
状態推定部34は、ステップS3において算出したブレーキライニング53の制動エネルギーに基づいて、ブレーキライニング53の温度を推定する(ステップS4)。
【0070】
評価データ出力部35は、記憶部33に記憶されているブレーキライニング53の耐熱温度と、ステップS4において推定されたブレーキライニング53の推定温度とを比較して、推定温度が耐熱温度以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0071】
ステップS5において、推定温度が耐熱温度以上でないと判定した場合(ステップS5:No)、状態推定部34は、昇降モータ15Mの回転数、昇降モータ15Mのトルク、ブレーキライニング53の表面積、及びブレーキライニング53の摩耗率に基づいて、ブレーキライニング53の摩耗量を推定する(ステップS6)。
【0072】
評価データ出力部35は、過去において算出されたブレーキライニング53の推定摩耗量と、ステップS6において推定されたブレーキライニング53の推定摩耗量とを積算した、ブレーキライニング53の累積摩耗量を算出する(ステップS7)。
【0073】
評価データ出力部35は、記憶部33に記憶されている調整基準値と、ステップS7において算出されたブレーキライニング53の累積摩耗量とを比較して、累積摩耗量が調整基準値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0074】
ステップS8において、累積摩耗量が調整基準値以上であると判定した場合(ステップS8:Yes)、評価データ出力部35は、記憶部33に記憶されている交換基準値と、ステップS7において算出されたブレーキライニング53の累積摩耗量とを比較して、累積摩耗量が交換基準値以上であるか否かを判定する(ステップS9)。
【0075】
ステップS9において、累積摩耗量が交換基準値以上であると判定した場合(ステップS9:Yes)、評価データ出力部35は、ブレーキライニング53が過度に摩耗している可能性があることを示す評価データを通知装置63に出力する。通知装置63は、ブレーキライニング53の交換作業が必要であることを示す通知データを通知する(ステップS10)。
【0076】
ステップS9において、累積摩耗量が交換基準値以上でないと判定した場合(ステップS9:No)、評価データ出力部35は、ブレーキライニング53が摩耗している可能性があることを示す評価データを通知装置63に出力する。通知装置63は、ブレーキライニング53とブレーキディスク52との隙間調整作業が必要であることを示す通知データを通知する(ステップS11)。
【0077】
ステップS5において、推定温度が耐熱温度以上であると判定した場合(ステップS5:Yes)、評価データ出力部35は、ブレーキライニング53が熱破壊されている可能性があることを示す評価データを通知装置63に出力する。通知装置63は、ブレーキライニング53の交換作業が必要であることを示す通知データを通知する(ステップS10)。
【0078】
[コンピュータシステム]
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の制御装置20及びブレーキ評価装置30のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。制御装置20及びブレーキ評価装置30のそれぞれの機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0079】
プログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、回転体を駆動する電動モータに係る運転状態を示す運転状態データを取得するステップと、回転体を制動するディスクブレーキのブレーキ部材に係る固有データを取得するステップと、運転状態データ及び固有データに基づいて、ブレーキ部材の状態を推定するステップと、を含むブレーキ評価方法を実行させることができる。
【0080】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、昇降モータ15Mの運転状態データ及びブレーキライニング53の固有データに基づいて、温度及び摩耗量を含むブレーキライニング53の状態を推定することができる。そのため、ディスクブレーキのメンテナンス作業の実施時期を適切に判定することができる。
【0081】
デッキクレーン10は、デッキ102から約10mの高さに配置される。また、デッキクレーン10は、デッキ102に複数設けられる場合が多い。そのため、ディスクブレーキのメンテナンスがおろそかになる傾向がある。また、デッキクレーン10が搭載される船舶101及びデッキクレーン10が扱う貨物によって、ディスクブレーキの劣化状態が変化する。また、デッキクレーン10は、船舶101とともに移動するため、メンテナンス作業の機会が限定される。そのため、ディスクブレーキの劣化状態を的確に把握することが要望される。
【0082】
本実施形態においては、昇降モータ15Mの運転状態データ及びブレーキライニング53の固有データに基づいて、温度及び摩耗量を含むブレーキライニング53の状態が推定される。これにより、例えばメンテナンス作業者の力量の影響を受けることなく、ディスクブレーキのメンテナンス作業の実施時期を適切に判定することができる。
【0083】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、状態推定部34は、昇降ブレーキ15Bが開放状態から制動状態に変化するときの昇降モータ15Mの運転状態に基づいて、昇降ブレーキ15Bのブレーキライニング53の状態を推定することとした。状態推定部34は、昇降ブレーキ15Bが制動状態から開放状態に変化するときの昇降モータ15Mの運転状態に基づいて、昇降ブレーキ15Bのブレーキライニング53の状態を推定してもよい。すなわち、状態推定部34は、昇降ブレーキ15Bが開放状態に変化する直前の制動状態における昇降モータ15Mの運転状態に基づいて、昇降ブレーキ15Bのブレーキライニング53の状態を推定してもよい。例えば、保持具18Hに貨物が保持された状態で、昇降ブレーキ15Bが制動状態である場合、昇降ブレーキ15Bが制動状態から開放状態に変化するとき、貨物の重量により昇降ワイヤ18が下降し、ブレーキライニング53とブレーキディスク52とが僅かに接触した状態で、ドラム15Dが回転する可能性がある。すなわち、制動状態から開放状態に変化するとき、ブレーキライニング53とブレーキディスク52とが接触した状態で相対回転する可能性がある。その結果、ブレーキライニング53の温度が上昇したりブレーキライニング53が摩耗したりする可能性がある。状態推定部34は、昇降ブレーキ15Bが制動状態から開放状態に変化するときの昇降モータ15Mの運転状態に基づいて、昇降ブレーキ15Bのブレーキライニング53の状態を推定することにより、貨物の重量により昇降ワイヤ18が下降することに起因するブレーキライニング53の温度又は摩耗を推定することができる。昇降ブレーキ15Bが制動状態から開放状態に変化するときの昇降モータ15Mの運転状態に基づいてブレーキライニング53の状態を推定する場合、昇降モータ15Mの運転状態(回転数、トルク、及び制動時間)として、予め定められた値が使用されてもよい。例えば、過去に取得された昇降ブレーキ15Bが開放状態から制動状態に変化するときの昇降モータ15Mの運転状態の代表値を用いて、上述の実施形態に従って、ブレーキライニング53の状態を推定することができる。
【0084】
上述の実施形態においては、デッキクレーン10の昇降ワイヤ18を昇降させる回転体であるドラム15Dを駆動する昇降モータ15Mの運転状態に基づいて、昇降ブレーキ15Bのブレーキライニング53の状態を推定することとした。旋回モータ13Mの運転状態に基づいて、旋回ブレーキ13Bのブレーキライニング53の状態が推定されてもよい。俯仰モータ14Mの運転状態に基づいて、俯仰ブレーキ14Bのブレーキライニング53の状態が推定されてもよい。
【0085】
上述の実施形態においては、ブレーキライニング53の状態を推定することとした。ブレーキディスク52の状態が推定されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…デッキクレーン、11…旋回体、12…ジブ、13…旋回装置、13B…旋回ブレーキ、13M…旋回モータ、14…俯仰装置、14B…俯仰ブレーキ、14D…ドラム、14M…俯仰モータ、15…昇降装置、15B…昇降ブレーキ、15D…ドラム、15M…昇降モータ、16…架台、16S…支持面、17…滑車、18…昇降ワイヤ、18H…保持具、19…俯仰用ワイヤ、20…制御装置、30…ブレーキ評価装置、31…運転状態データ取得部、32…固有データ取得部、33…記憶部、34…状態推定部、35…評価データ出力部、51…ブレーキホイール、52…ブレーキディスク、53…ブレーキライニング、54…アクチュエータ、55…ガイドピン、61…インバータ、62…回転センサ、63…通知装置、100…デッキクレーンシステム、101…船舶、102…デッキ、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、AX1…旋回軸、AX2…俯仰軸、C…運転室、R…制御室。