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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】車体のピラー構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/02 20060101AFI20230302BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230302BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B62D25/02
B60J5/04 K
B60J5/04 L
F16B5/02 U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019060880
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020157991
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】濃野 功治
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-018254(JP,A)
【文献】特開2017-061304(JP,A)
【文献】実開昭62-083787(JP,U)
【文献】実開昭60-111774(JP,U)
【文献】特開2001-163055(JP,A)
【文献】特開2015-067090(JP,A)
【文献】特開2017-030442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/02
B60J 5/04
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を構成するピラーに取り付けられるドアへのハーネスを通すハーネス孔が形成された金属製の主部材と、
前記主部材の前記車体の内側に接着された、繊維強化樹脂製のピラー補強部材と、
前記ハーネス孔の周辺で前記ピラーに取り付けられるドアのヒンジと、を備えた車体のピラー構造であって、
前記主部材に接着された前記ピラー補強部材にも、前記主部材のハーネス孔に対応して、前記ハーネスを通すハーネス孔が形成されており、
前記主部材と前記ピラー補強部材との間の接着剤層が、前記ハーネス孔の近傍にまで形成されており、
前記ピラー補強部材が、前記ヒンジを前記主部材に取り付けるヒンジボルト及びヒンジナットによって前記主部材に共締めされている、ことを特徴とする車体のピラー構造。
【請求項2】
前記ピラー補強部材のさらに内側に、前記ヒンジボルト又は前記ヒンジナットの座面となる金属製の共締補強部材をさらに備えており、
前記共締補強部材も、前記ピラー補強部材と共に、前記ヒンジボルト及び前記ヒンジナットによって前記主部材に共締めされている、ことを特徴とする請求項1に記載の車体のピラー構造。
【請求項3】
前記共締補強部材に形成された前記ヒンジボルトの挿通孔の内周縁に沿って、前記ピラー補強部材側に突出するフランジが形成されており、
前記フランジが、前記ピラー補強部材を貫通して前記主部材に当接している、ことを特徴とする請求項2に記載の車体のピラー構造。
【請求項4】
前記共締補強部材が、前記ヒンジの取付位置及び前記ハーネス孔を含む大きさを有し、
前記共締補強部材には、前記主部材の前記ハーネス孔に対応するハーネス開口が形成されており、
前記共締補強部材が、前記ピラー補強部材と接着されている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の車体のピラー構造。
【請求項5】
前記主部材に前記ドアの最大開度を規制するチェックリンクが取り付けられ、
前記ピラー補強部材が、前記チェックリンクを前記主部材に取り付けるリンクボルト及びリンクナットによって、前記主部材に共締めされている、ことを特徴とする請求項2又は3の何れか一項に記載の車体のピラー構造。
【請求項6】
前記ハーネス孔が、前記ピラーの延在方向に沿って、前記ヒンジの取付位置と前記チェックリンクの取付位置との間に設けられている、請求項5に記載の車体のピラー構造。
【請求項7】
前記共締補強部材が、前記ヒンジの取付位置、前記ハーネス孔及び前記チェックリンクの取付位置の全てを含む大きさを有しており、
前記ピラー補強部材には、前記主部材の前記ハーネス孔に対応するハーネス開口が形成されており、
前記共締補強部材には、前記主部材の前記ハーネス孔及び前記ピラー補強部材の前記ハーネス孔に対応するハーネス開口が形成されており、
前記共締補強部材が、前記ピラー補強部材と接着されており、
前記ピラー補強部材及び前記共締補強部材が、前記リンクボルト及び前記リンクナットによって前記主部材に共締めされている、請求項5又は6に記載の車体のピラー構造。
【請求項8】
前記共締補強部材に形成された前記リンクボルトの挿通孔の内周縁に沿って、前記ピラー補強部材側に突出するフランジが形成されており、
前記フランジが、前記ピラー補強部材を貫通して前記主部材に当接している、ことを特徴とする請求項7に記載の車体のピラー構造。
【請求項9】
前記主部材に前記ドアとは別のドアのロックストライカが取り付けられ、
前記ピラー補強部材が、前記ロックストライカを前記主部材に取り付けるロックボルト及びロックナットによって、前記主部材に共締めされている、ことを特徴とする請求項2又は3の何れか一項に記載の車体のピラー構造。
【請求項10】
前記ハーネス孔が、前記ピラーの延在方向に沿って、前記ヒンジの取付位置と前記ロックストライカの取付位置との間に設けられている、請求項9に記載の車体のピラー構造。
【請求項11】
前記共締補強部材が、前記ヒンジの取付位置、前記ハーネス孔及び前記ロックストライカの取付位置の全てを含む大きさを有しており、
前記ピラー補強部材には、前記主部材の前記ハーネス孔に対応するハーネス開口が形成されており、
前記共締補強部材には、前記主部材の前記ハーネス孔及び前記ピラー補強部材の前記ハーネス孔に対応するハーネス開口が形成されており、
前記共締補強部材が、前記ピラー補強部材と接着されており、
前記ピラー補強部材及び前記共締補強部材が、前記ロックボルト及び前記ロックナットによって前記主部材に共締めされている、請求項9又は10に記載の車体のピラー構造。
【請求項12】
前記共締補強部材に形成された前記ロックボルトの挿通孔の内周縁に沿って、前記ピラー補強部材側に突出するフランジが形成されており、
前記フランジが、前記ピラー補強部材を貫通して前記主部材に当接している、ことを特徴とする請求項11に記載の車体のピラー構造。
【請求項13】
前記主部材に前記ドアの最大開度を規制するチェックリンクが取り付けられ、
前記ピラー補強部材及び前記共締補強部材が、前記チェックリンクを前記主部材に取り付けるリンクボルト及びリンクナットによって、前記主部材に共締めされており、
前記主部材に前記ドアとは別のドアのロックストライカが取り付けられ、
前記ピラー補強部材及び前記共締補強部材が、前記ロックストライカを前記主部材に取り付けるロックボルト及びロックナットによって、前記主部材に共締めされており、
前記ハーネス孔が、前記ピラーの延在方向に沿って、前記ヒンジの取付位置と前記チェックリンクの取付位置との間で、かつ、前記ヒンジの取付位置と前記ロックストライカの取付位置との間に設けられており、
前記共締補強部材が、前記ヒンジの取付位置、前記ハーネス孔、前記チェックリンクの取付位置及び前記ロックストライカの取付位置の全てを含む大きさを有しており、
前記ピラー補強部材には、前記主部材の前記ハーネス孔に対応するハーネス開口が形成されており、
前記共締補強部材には、前記主部材の前記ハーネス孔及び前記ピラー補強部材の前記ハーネス孔に対応するハーネス開口が形成されており、
前記共締補強部材が、前記ピラー補強部材と接着されており、
前記ピラー補強部材及び前記共締補強部材が、前記リンクボルト及び前記リンクナットによって前記主部材に共締めされ、かつ、前記ロックボルト及び前記ロックナットによって前記主部材に共締めされている、ことを特徴とする請求項2に記載の車体のピラー構造。
【請求項14】
前記共締補強部材に形成された前記ヒンジボルトの挿通孔、前記共締補強部材に形成された前記リンクボルトの挿通孔、及び、前記共締補強部材に形成された前記リンクボルトの挿通孔の各内周縁に沿って、前記ピラー補強部材側に突出するフランジが形成されており、
前記フランジが、前記ピラー補強部材を貫通して前記主部材に当接している、ことを特徴とする請求項13に記載の車体のピラー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のピラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両のドアへのハーネスの配設を考慮したセンターピラーの構造が開示されている。このセンターピラーは、コ字形断面の金属製の主部材の内部に、やはりコ字形断面の補強部材が接合されて構成されている。また、センターピラーには、リアドアへのハーネスを通すハーネス孔が形成されている。ハーネスにはコネクタが取り付けられており、ハーネス孔はこのコネクタも通過させる大きさに形成される。ハーネス孔は、センターピラーの強度及び剛性を低下させる要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-30442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した補強部材を金属板ではなく、繊維強化樹脂によって置換することによる車体軽量化が試みられている。近年、燃費向上に対する要求は非常に強く、燃費向上のための車体軽量化は重要である。補強部材が金属の場合は溶接によって金属製の主部材に接合できるが、補強部材が繊維強化樹脂の場合は接着によって主部材と接合する。上述したようにセンターピラーにはハーネス孔が形成されるが、ハーネス孔は主部材及び補強部材の両方に形成されなければならず、ハーネス孔周辺での接着面積が不足する。従って、ハーネス孔周辺で主部材と補強部材との接合強度が低下して、センターピラーの強度及び剛性がハーネス孔周辺で低下するおそれがある。
【0005】
従って、本発明の目的は、金属と繊維強化樹脂とからなり、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立することのできる、車体のピラー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車体のピラー構造は、金属製の主部材と、主部材の内面に接着される繊維強化樹脂製のピラー補強部材とを備えている。ピラーにはドアへのハーネスを通すハーネス孔が形成されている。ハーネス孔の周辺には、上記ドアのヒンジが取り付けられる。主部材とピラー補強部材との間の接着剤層は、ハーネス孔の近傍にまで形成されている。ピラー補強部材は、ヒンジを主部材に取り付けるヒンジボルト及びヒンジナットによって主部材に共締めされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車体のピラー構造によれば、ピラー補強部材は、主部材に接着されるだけでなく、ハーネス孔の周辺でヒンジボルト及びヒンジナットによって主部材と共締めにされるので、ハーネス孔周辺でのピラーの強度及び剛性の低下を回避できる。従って、金属と繊維強化樹脂とからなり、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第一実施形態に係る車体のピラー構造の分解斜視図である。
図2図2は、上記ピラー構造のヒンジ取付位置での断面図である。
図3図3は、上記ピラー構造のハーネス孔での断面図である。
図4図4は、上記ピラー構造のドアロック取付位置及びチェックリンク取付位置での断面図である。
図5図5は、第二実施形態に係るピラー構造のヒンジ取付位置での断面図である。
図6図6は、上記ピラー構造で用いられる共締補強部材(金属カラー)の斜視図である。
図7図7は、第三実施形態に係るピラー構造のヒンジ取付位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ実施形態に係る車体のピラー構造について説明する。
【0010】
図1図4に示されるように、第一実施形態に係る車体のピラー構造は、具体的にはセンターピラー(Bピラー)の構造である。ピラー構造は、主として、主部材としてのピラーアウターパネル1と、ピラーの強度及び剛性を向上させるためのピラー補強部材3とによって構成されている。ピラー構造は、ピラー補強部材3の内側にピラーインナーパネル2も備え、かつ、ピラーアウターパネル1の外側にボディサイドパネル5(図1には示されていない)も備えている。図2図4には、ボディサイドパネル5のセンターピラー部分のみが示されている。即ち、本実施形態のピラーアウターパネル1は、ピラーブレースやピラースティッフナとも呼ばれる、センターピラーの内部に設けられる部材である。
【0011】
ピラー構造は、ピラーに取り付けられるリアドア(図示せず)のヒンジ6も備えている。リアドアは、上下の二カ所でヒンジを介してピラーに取り付けられる。図2に示されているヒンジ6は、上側のヒンジである。また、図2には、ヒンジ6のブラケットの一部が示されている。ヒンジ6は、ヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーに固定される。ヒンジボルト6Bはブラケットに溶接されている。
【0012】
ピラーアウターパネル1及びピラーインナーパネル2は、スチールによって形成されている。また、ピラーアウターパネル1、ボディサイドパネル5(のセンターピラー部分)及びピラーインナーパネル2の長手方向に直角な断面形状は、いわゆるハット形である。なお、ハット形断面は、コ字形断面の両側縁から外側に向けてフランジがそれぞれ延設されたものであり、コ字形断面の一種である。コ字形断面は、底板(正面板と捉えることもできる)の両側縁からそれぞれ側板が立ち上げられて形成されている。一対の側板は、互いに対向しており、互いにほぼ平行である。
【0013】
本実施形態では、ピラーアウターパネル1の底板(正面板)の一部にフロントドアのロックストライカ9の取付面を確保するためのビード10が形成されているが、ピラーアウターパネル1の断面形状はコ字形(ハット形)であると言える。また、ピラーアウターパネル1のビード10に合わせて、ボディサイドパネル5にも、ビード50が形成されているが、ボディサイドパネル5の断面形状もコ字形(ハット形)であると言える。ボディサイドパネル5のビード50は、その表面に閉じられたフロントドアのウエザーストリップが密着されて、シール部としても機能する。
【0014】
ピラーアウターパネル1、ピラーインナーパネル2及びボディサイドパネル5は、上述したフランジで互いにスポット溶接により接合されている。ピラーアウターパネル1、ピラーインナーパネル2及びボディサイドパネル5によりセンターピラーが構成されるが、センターピラーの内部にピラー補強部材3が取り付けられることで、センターピラーの強度及び剛性が向上されている。なお、ピラーアウターパネル1、ピラーインナーパネル2及びボディサイドパネル5は、フランジ以外の部分でスポット溶接により接合されてもよい。
【0015】
ピラー補強部材3は、繊維強化性樹脂(FRP)で形成されている。より具体的には、ピラー補強部材3は、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP(炭素繊維強化性樹脂)で形成されている。ピラー補強部材3をFRP製とすることで、車体軽量化を実現している。なお、ピラー補強部材3のCFRPは、ピラーアウターパネル1に接着される前にそのマトリクス樹脂が硬化されている。ピラー補強部材3も、コ字形断面を有している。より詳細には、ピラー補強部材3は、ビード10の部分を除いてピラーアウターパネル1の内面と面接するコ字形断面を有している。このため、ピラーアウターパネル1の内面とピラー補強部材3の外面とは、接着剤層7Oを介して面接触する。
【0016】
センターピラーには、上述したリアドアのヒンジ6の他に、リアドアの最大開度を規制するチェックリンク8(図4右側参照)や、フロントドア(ヒンジ6のドアとは別のドア)のロックストライカ9(図4左側参照)も取り付けられる。リアドアのヒンジ6は、コ字形断面の底板(正面板)に取り付けられる。チェックリンク8は、コ字形断面の後側の側板に取り付けられる。ロックストライカ9は、コ字形断面の前側の側板に取り付けられる。
【0017】
なお、図4には、チェックリンク8のピラー側ブラケットの一部が示されている。チェックリンク8(のピラー側ブラケット)は、リンクボルト8B及びリンクナット8Nによってピラーに固定される。リンクナット8Nは後述する共締補強部材4に溶接されたウェルドナットである。同様に、図4には、ロックストライカ9のベースプレートが示されている。ロックストライカ9は、ロックボルト9B及びロックナット9Nによってピラーに固定される。ロックナット9Nも共締補強部材4に溶接されたウェルドナットである。
【0018】
図1に示されるように、ピラーアウターパネル1には、ヒンジボルト6Bを挿通させるヒンジボルト挿通孔11と、リンクボルト8Bを挿通させるリンクボルト挿通孔12と、ロックボルト9Bを挿通させるロックボルト挿通孔13とが形成されている。また、ピラーアウターパネル1には、リアドアへのハーネスを挿通させるハーネス孔14も形成されている。ハーネス孔14の周辺に、上側の一対のヒンジボルト挿通孔11(ヒンジ6の取付位置)が形成されている。より具体的には、ハーネス孔14は、ピラーの延在方向に沿って、上側のヒンジボルト挿通孔11とリンクボルト挿通孔12(チェックリンク8の取付位置)との間に形成されている。また、ハーネス孔14は、ピラーの延在方向に沿って、上側のヒンジボルト挿通孔11と(一対の)ロックボルト挿通孔13(ロックストライカ9の取付位置)との間に形成されている。なお、ロックボルト挿通孔13は、ピラーの延在方向に沿って、ハーネス孔14とリンクボルト挿通孔12との間に形成されている。
【0019】
図2に示されるように、ヒンジ6は、車室側からヒンジナット6Nで締結されるので、ピラーインナーパネル2には、ヒンジナット6Nをヒンジボルト6Bの先端に螺合させるためのヒンジナット挿通孔20が形成されている。なお、図2は上側の一対のヒンジボルト挿通孔11の一方を通る断面を示し、図4の左側は一対のロックボルト挿通孔13の一方を通る断面を示している。また、センターピラーの根元の内部には、前席のシートベルトユニットが収納される。このため、ピラーインナーパネル2の下端には開口21が形成されている。この開口21からは、シートベルトのウェビングの腰側が導出される。また、リアドアの下側のヒンジのヒンジナットは、この開口21を通してヒンジボルトの先端に螺合される。さらに、ピラーインナーパネル2には、シートベルトのウェビングの肩側が導出される開口22も形成されている。なお、図示されていないが、センターピラーの上部には、シートベルトアンカーを保持するための機構も設けられる。
【0020】
ピラーアウターパネル1に接着されるピラー補強部材3にも、ヒンジボルト6Bを挿通させるヒンジボルト挿通孔31と、リンクボルト8Bを挿通させるリンクボルト挿通孔32と、ロックボルト9Bを挿通させるロックボルト挿通孔33とが形成されている。また、ピラー補強部材3には、ピラーアウターパネル1のハーネス孔14に対応して、リアドアへのハーネスを挿通させるハーネス孔34も形成されている。ハーネス孔34の周辺に、上側の一対のヒンジボルト挿通孔31(ヒンジ6の取付位置)が形成されている。より具体的には、ハーネス孔34は、ピラーの延在方向に沿って、上側のヒンジボルト挿通孔31とリンクボルト挿通孔32(チェックリンク8の取付位置)との間に形成されている。また、ハーネス孔34は、ピラーの延在方向に沿って、上側のヒンジボルト挿通孔31と(一対の)ロックボルト挿通孔33(ロックストライカ9の取付位置)との間に形成されている。なお、ロックボルト挿通孔33は、ハーネス孔34とリンクボルト挿通孔32との間に形成されている。
【0021】
なお、図1には示されていないが、ボディサイドパネル5にも、ヒンジボルト6Bを挿通させるヒンジボルト挿通孔51(図2参照)と、リンクボルト8Bを挿通させるリンクボルト挿通孔52(図4右側参照)と、ロックボルト9Bを挿通させるロックボルト挿通孔53(図4左側参照)と、ハーネスを挿通させるハーネス孔54(図3参照)とが形成されている。これらの孔の位置関係も、上述したピラーアウターパネル1やピラー補強部材3と同様である。なお、ハーネス孔14、34及び54には、ハーネスを保護すると共にピラー内部への雨水の侵入を防止するグロメットの一端が取り付けられる。内部にハーネスが配索されたグロメットの他端はリアドアに取り付けられる。
【0022】
図3はハーネス孔34を通る断面を示している。上述したように、ハーネス孔14及び34が設けられることで、ハーネス孔14及び34の周辺におけるピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接着面積が減少する。特に、この部分は、上述したビード10が形成されることもあり、このビード10によって接着面積がさらに減少する。このため、本実施形態のピラー構造では、ヒンジ6をピラーアウターパネル1に取り付けるヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによって、ピラー補強部材3がピラーアウターパネル1に共締めされる。接着強度の低下が懸念されるハーネス孔14及び34の周辺のヒンジ6の取付位置で、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3とを共締めすることで、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合強度を向上させている。
【0023】
本実施形態のピラー構造では、ヒンジ6の取付位置での共締めをより確実なものとするために、金属製の共締補強部材4も設けられている。共締補強部材4は、ヒンジナット6Nの座面としても機能し、ピラー補強部材3と共に、ヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーアウターパネル1に共締めされる。共締補強部材4もさらに共締めすることで、ピラー補強部材3をピラーアウターパネル1と共締補強部材4とで挟み込んで、ヒンジ6の取付位置での接合強度をさらに向上させている。
【0024】
また、本実施形態では、ヒンジ6の取付位置だけでなく、チェックリンク8の取付位置でもピラーアウターパネル1とピラー補強部材3とがリンクボルト8B及びリンクナット8Nによって共締めされる。上述したように、ハーネス孔14及び34は、ヒンジ6の取付位置とチェックリンク8の取付位置との間にある。言い換えれば、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14及び34の両側(上側及び下側)で向上される。
【0025】
本実施形態では、チェックリンク8の取付位置での共締めをより確実なものとするために、共締補強部材4がチェックリンク8の取付位置もカバーしている。本実施形態におけるリンクナット8Nは共締補強部材4に予め溶接されたウェルドナットであるが、共締補強部材4はリンクナット8Nの座面としても機能する。共締補強部材4は、ピラー補強部材3と共に、リンクボルト8B及びリンクナット8Nによってピラーアウターパネル1に共締めされる。共締補強部材4もさらに共締めすることで、ピラー補強部材3をピラーアウターパネル1と共締補強部材4とで挟み込んで、チェックリンク8の取付位置での接合強度をさらに向上させている。
【0026】
さらに、本実施形態では、ヒンジ6及びチェックリンク8の取付位置だけでなく、ロックストライカ9の取付位置でもピラーアウターパネル1とピラー補強部材3とがロックボルト9B及びロックナット9Nによって共締めされる。上述したように、ハーネス孔14及び34は、ヒンジ6の取付位置とロックストライカ9の取付位置との間にある。言い換えれば、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14及び34の両側(上側及び下側)で向上される。
【0027】
本実施形態では、ロックストライカ9の取付位置での共締めをより確実なものとするために、共締補強部材4がロックストライカ9の取付位置もカバーしている。本実施形態におけるロックナット9Nは共締補強部材4に予め溶接されたウェルドナットであるが、共締補強部材4はロックナット9Nの座面としても機能する。共締補強部材4は、ピラー補強部材3と共に、ロックボルト9B及びロックナット9Nによってピラーアウターパネル1に共締めされる。共締補強部材4もさらに共締めすることで、ピラー補強部材3をピラーアウターパネル1と共締補強部材4とで挟み込んで、ロックストライカ9の取付位置での接合強度をさらに向上させている。
【0028】
特に、ロックストライカ9の取付位置には、上述したビード10が形成されるため、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接着面積が減る傾向にある。従って、ロックストライカ9の取付位置(車体前側、フロントドア側)での共締めは、ピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合をより確実なものとする。
【0029】
共締補強部材4は、スチールで形成されている。上述したように、共締補強部材4も、ピラーアウターパネル1及びピラー補強部材3と共締めされるので、共締補強部材4も、コ字形断面を有している。より詳細には、共締補強部材4は、その外面がピラー補強部材3の内面と面接するコ字形断面を有している。このため、ピラー補強部材3の内面と共締補強部材4の外面とは、接着剤層7Iを介して面接触する。
【0030】
共締補強部材4にも、ヒンジボルト6Bを挿通させるヒンジボルト挿通孔41と、リンクボルト8Bを挿通させるリンクボルト挿通孔42と、ロックボルト9Bを挿通させるロックボルト挿通孔43とが形成されている。また、共締補強部材4には、上述したハーネス孔14及び34に対応して、リアドアへのハーネスを挿通させるハーネス開口44も形成されている。ハーネス開口44の周辺に、上側の一対のヒンジボルト挿通孔41(ヒンジ6の取付位置)が形成されている。より具体的には、ハーネス開口44は、ピラーの延在方向に沿って、上側のヒンジボルト挿通孔41とリンクボルト挿通孔42(チェックリンク8の取付位置)との間に形成されている。また、ハーネス開口44は、ピラーの延在方向に沿って、上側のヒンジボルト挿通孔41と(一対の)ロックボルト挿通孔43(ロックストライカ9の取付位置)との間に形成されている。なお、ロックボルト挿通孔43は、ピラーの延在方向に沿って、ハーネス開口44とリンクボルト挿通孔42との間に形成されている。
【0031】
本実施形態では、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置、ハーネス孔14及び34、チェックリンク8の取付位置、並びに、ロックストライカ9の取付位置の全てを含む大きさを有している。即ち、共締補強部材4は、共締位置だけでなく、ピラー構造におけるハーネス孔14及び34の周辺を全て補強している。従って、共締補強部材4は、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合を向上させるだけでなく、それ自体でピラー構造におけるハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性を向上させている。
【0032】
特に、本実施形態の共締補強部材4はコ字形断面を有しており、それ自体でハーネス孔14及び34の周辺の曲げ強度及びねじり強度、並びに、曲げ剛性及びねじり剛性を向上させている。さらに、本実施形態では、共締補強部材4のコ字形断面の底板(正面板)がヒンジ6の取付位置で共締めされ、その後側の側板がチェックリンク8の取付位置で共締めされ、その前側の側板がロックストライカ9の取付位置で共締めされる。従って、コ字形断面の全ての面(板)が共締めされるため、上述したピラーのハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性を効果的に向上させている。
【0033】
なお、本実施形態では、ヒンジ6、チェックリンク8及びロックストライカ9の各取付位置において、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3とが(共締補強部材4も加えて)共締めされたが、ボディサイドパネル5もさらに共締めされる。従って、上述した強度及び剛性の向上は、一層効果的に実現される。
【0034】
また、本実施形態では、共締補強部材4のヒンジボルト挿通孔41、リンクボルト挿通孔42及びロックボルト挿通孔43の内周縁に沿って、ピラー補強部材3側に突出するフランジ41F、42F及び43Fがそれぞれ形成されている。ヒンジボルト挿通孔41のフランジ41Fの外径は、ピラー補強部材3のヒンジボルト挿通孔31の内径と同じかやや小さい。リンクボルト挿通孔42の外径は、ピラー補強部材3のリンクボルト挿通孔32の内径と同じかやや小さい。ロックボルト挿通孔43のフランジ43Fの外径は、ピラー補強部材3のロックボルト挿通孔33の内径と同じかやや小さい。
【0035】
さらに、ヒンジボルト挿通孔41の内径は、ピラーアウターパネル1のヒンジボルト挿通孔11(及び、ボディサイドパネル5のヒンジボルト挿通孔51)と同じであり、ヒンジボルト6Bよりやや大きい。リンクボルト挿通孔42の内径は、ピラーアウターパネル1のリンクボルト挿通孔12(及び、ボディサイドパネル5のリンクボルト挿通孔52)と同じであり、リンクボルト8Bよりやや大きい。ロックボルト挿通孔43の内径は、ピラーアウターパネル1のロックボルト挿通孔13(及び、ボディサイドパネル5のロックボルト挿通孔53)と同じであり、ロックボルト9Bよりやや大きい。
【0036】
従って、フランジ41F、42F及び43Fは、ピラー補強部材3のボルト挿通孔31、32及び33をそれぞれ貫通してピラーアウターパネル1の内面と当接する。このため、共締めによって繊維強化樹脂部材であるピラー補強部材3に不要な圧縮力が作用することはなく、樹脂部材のクリープを防止できる。
【0037】
本実施形態によれば、ハーネス孔14の周辺でヒンジ6がピラーに取り付けられるが、ピラー補強部材3がヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、ハーネス孔14の周辺でのピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接着面積、即ち、接着強度を共締めで補完できる。この結果、金属と繊維強化樹脂とからなり、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【0038】
特に、本実施形態では、共締補強部材4もさらに設けられており、共締補強部材4も、ピラー補強部材3と共に、ヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーアウターパネル1に共締めされる。共締補強部材4もさらに共締めすることで、ピラー補強部材3をピラーアウターパネル1と共締補強部材4とで挟み込んで、ヒンジ6の取付位置でのピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をさらに向上させている。
【0039】
また、本実施形態では、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔41)及びハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を含む大きさを有し、かつ、ピラー補強部材3に接着される。特に、ここでは、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔41)及びハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を含む広範囲で、ピラー補強部材3に接着される。従って、共締補強部材4が、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)周辺を裏から広範囲に支持することになり、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。
【0040】
また、本実施形態では、ヒンジ6の取付位置だけでなく、チェックリンク8の取付位置でも、ピラー補強部材3がリンクボルト8B及びリンクナット8Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、共締位置を増やしてピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4の併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0041】
特に、本実施形態では、ハーネス孔14(及び34)が、ピラーの延在方向に沿って、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔11及び31)とチェックリンク8の取付位置(リンクボルト挿通孔12及び32)との間に設けられている。即ち、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14(及び34)の両側で向上される。この結果、ただ共締位置を増やすのではなく、ハーネス孔14(及び34)の両側に共締位置を設けることでピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4の併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0042】
さらに、本実施形態では、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔41)及びハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を含むだけでなく、チェックリンク8の取付位置(リンクボルト挿通孔42)もさらに含む大きさを有している。また、共締補強部材4は、ピラー補強部材3に接着される。特に、ここでは、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔41)、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)、並びに、チェックリンク8の取付位置(リンクボルト挿通孔42)を含むさらに広範囲で、ピラー補強部材3に接着される。従って、共締補強部材4が、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)周辺を裏からより広範囲に支持することになり、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。
【0043】
特に、本実施形態では、上述したように、チェックリンク8の取付位置が、ハーネス孔14及び34に対して、ヒンジ6の取付位置の反対側に位置されている。従って、共締補強部材4は、ヒンジ6の取付位置、ハーネス孔14及び34、並びに、チェックリンク8の取付位置の全てを裏から二カ所の共締位置で支持することになる。それに加えて、ハーネス孔14及び34の両側から、二カ所の共締位置で支持することになる。この結果、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。
【0044】
さらに、本実施形態では、ヒンジ6の取付位置がコ字形断面の底板(正面板)に設けられ、チェックリンク8の取付位置がコ字形断面の一方の側板(後側側板)に設けられている。従って、ピラー補強部材3は、少なくともL字形断面を有している。この結果、ヒンジ6の取付位置及びチェックリンク8の取付位置の二カ所でピラー補強部材3がピラーアウターパネル1と共締めされるので、L字形断面のアングル材としてのピラー補強部材3によってピラーの強度及び剛性を効果的に向上できる。特に、ハーネス孔14及び34の周辺において、ねじり強度やねじり剛性を効果的に向上でき、かつ、車体側方からの外力に対する曲げ強度及び曲げ剛性を効果的に向上できる。
【0045】
ここで、特に、本実施形態では、共締補強部材4も、ヒンジ6の取付位置だけでなくチェックリンク8の取付位置を含む大きさを有しているので、同様に、少なくともL字形断面を有して共締めされる。この結果、L字形断面のアングル材としての共締補強部材4によってもピラーの強度及び剛性をより一層効果的に向上できる。特に、ハーネス孔14及び34の周辺において、ねじり強度やねじり剛性をより一層効果的に向上でき、また、車体側方からの外力に対する強度及び剛性をより一層効果的に向上できる。
【0046】
また、本実施形態では、ヒンジ6の取付位置だけでなく、ロックストライカ9の取付位置でも、ピラー補強部材3がロックボルト9B及びロックナット9Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、共締位置を増やしてピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4の併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0047】
特に、本実施形態では、ハーネス孔14(及び34)が、ピラーの延在方向に沿って、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔11及び31)とロックストライカ9の取付位置(ロックボルト挿通孔13及び33)との間に設けられている。即ち、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14(及び34)の両側で向上される。この結果、ただ共締位置を増やすのではなく、ハーネス孔14(及び34)の両側に共締位置を設けることでピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4の併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0048】
さらに、本実施形態では、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔41)及びハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を含むだけでなく、ロックストライカ9の取付位置(ロックボルト挿通孔43)もさらに含む大きさを有している。また、共締補強部材4は、ピラー補強部材3に接着される。特に、ここでは、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔41)、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)、並びに、ロックストライカ9の取付位置(ロックボルト挿通孔43)を含むさらに広範囲で、ピラー補強部材3に接着される。従って、共締補強部材4が、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)周辺を裏からより広範囲に支持することになり、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。
【0049】
特に、本実施形態では、上述したように、ロックストライカ9の取付位置が、ハーネス孔14及び34に対して、ヒンジ6の取付位置の反対側に位置されている。従って、共締補強部材4は、ヒンジ6の取付位置、ハーネス孔14及び34、並びに、ロックストライカ9の取付位置の全てを裏から二カ所の共締位置で支持することになる。それに加えて、ハーネス孔14及び34の両側から、二カ所の共締位置で支持することになる。この結果、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。
【0050】
さらに、本実施形態では、ヒンジ6の取付位置がコ字形断面の底板(正面板)に設けられ、ロックストライカ9の取付位置がコ字形断面の他方の側板(前側側板)に設けられている。従って、ピラー補強部材3は、少なくともL字形断面を有している。この結果、ヒンジ6の取付位置及びロックストライカ9の取付位置の二カ所でピラー補強部材3がピラーアウターパネル1と共締めされるので、L字形断面のアングル材としてのピラー補強部材3によってピラーの強度及び剛性を効果的に向上できる。特に、ハーネス孔14及び34の周辺において、ねじり強度やねじり剛性を効果的に向上でき、かつ、車体側方からの外力に対する曲げ強度及び曲げ剛性を効果的に向上できる。
【0051】
ここで、特に、本実施形態では、共締補強部材4も、ヒンジ6の取付位置だけでなくロックストライカ9の取付位置を含む大きさを有しているので、同様に、少なくともL字形断面を有して共締めされる。この結果、L字形断面のアングル材としての共締補強部材4によってもピラーの強度及び剛性をより一層効果的に向上できる。特に、ハーネス孔14及び34の周辺において、ねじり強度やねじり剛性をより一層効果的に向上でき、また、車体側方からの外力に対する強度及び剛性をより一層効果的に向上できる。
【0052】
なお、特に本実施形態では、共締補強部材4が、ヒンジ6の取付位置、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)、チェックリンク8の取付位置、並びに、ロックストライカ9の取付位置の全てを含む大きさを有し、かつ、ピラー補強部材3に接着される。即ち、共締補強部材4は、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を中心にして三カ所で共締めされる(ハーネス孔14及び34の一側でヒンジ6と共締め、他側の前後側でチェックリンク8及びロックストライカ9とそれぞれ共締め)。従って、共締補強部材4は、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を中心にして、より一層広範囲で、ピラー補強部材3に接着される。従って、共締補強部材4が、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)周辺全体を裏からより一層広範囲に支持することになり、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。
【0053】
そして、上述したように、ヒンジ6の取付位置がコ字形断面の底板(正面板)に設けられ、チェックリンク8の取付位置がコ字形断面の一方の側板(後側側板)に設けられ、ロックストライカ9の取付位置がコ字形断面の他方の側板(前側側板)に設けられている。これらのヒンジ6の取付位置、チェックリンク8の取付位置及びロックストライカ9の取付位置の三カ所でピラー補強部材3がピラーアウターパネル1と共締めされるので、コ字形断面のピラー補強部材3によってピラーの強度及び剛性をより効果的に向上できる。特に、ハーネス孔14及び34の周辺全体において、ねじり強度やねじり剛性をより効果的に向上でき、かつ、車体側方からの外力に対する曲げ強度及び曲げ剛性をより効果的に向上できる。
【0054】
なお、上述した部材の組み立て順は限定されないが、本実施形態の場合は、フランジ41F、42F及び43Fが形成されるので、まず、共締補強部材4をピラー補強部材3に接合(接着)するのが好ましい。ピラー補強部材3は、樹脂製であるので多少の弾性変形が可能であり、突出するフランジ41F、42F及び43Fを避ける程度に変形できる。その後、ピラー補強部材3がピラーアウターパネル1と接合(接着)されればよい。この時、ピラーアウターパネル1は先にボディサイドパネル5と接合(溶接)されていてもよい。最後には、ピラーアウターパネル1、ピラーインナーパネル2及びボディサイドパネル5が、ハット形断面のフランジにおいて接合(溶接)される。
【0055】
次に、図5及び図6を参照しつつ、第二実施形態に係る車体のピラー構造を説明する。なお、上述した第一実施形態に係るピラー構造における構成要素と同一又は同等の構成要素には、同一の符号を付してそれらの詳しい説明を省略する。上述した第一実施形態では、共締補強部材4が、ハーネス孔14及び34を中心として、ヒンジ6、チェックリンク8及びロックストライカ9の全ての取付位置を含む大きさを有していた。これに対して、本実施形態における共締補強部材4Xは、ヒンジ6、チェックリンク8及びロックストライカ9の各取付位置のみを含む大きさの金属カラー(図6参照)である。
【0056】
即ち、本実施形態では、ハーネス孔14及び34が形成されている部分は、ピラー補強部材3のみによって裏側から支持され、共締補強部材4によっては裏側から支持されない。しかし、共締補強部材4によってピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度が確保されており、金属と繊維強化樹脂とからなり、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造が実現される。なお、ここでは、第一実施形態の図2に相当する図5のみを示す。
【0057】
図5に示されるように、本実施形態の共締補強部材4Xも、ヒンジナット6Nの座面としても機能し、ピラー補強部材3と共に、ヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーアウターパネル1に共締めされる。共締補強部材4もさらに共締めすることで、ピラー補強部材3をピラーアウターパネル1と共締補強部材4とで挟み込んで、ヒンジ6の取付位置での接合強度をさらに向上させている。また、共締補強部材4Xは、接着剤層7Iを介してピラー補強部材3に接着される。
【0058】
また、本実施形態でも、共締補強部材4Xのボルト挿通孔41Xの内周縁に沿って、ピラー補強部材3側に突出するフランジ41Fが形成されている。ボルト挿通孔41Xのフランジ41Fの外径は、ピラー補強部材3のヒンジボルト挿通孔31の内径と同じかやや小さい。ボルト挿通孔41Xの内径は、ピラーアウターパネル1のヒンジボルト挿通孔11(及び、ボディサイドパネル5のヒンジボルト挿通孔51)と同じであり、ヒンジボルト6Bよりやや大きい。従って、フランジ41Fは、ピラー補強部材3のヒンジボルト挿通孔31を貫通してピラーアウターパネル1の内面と当接する。このため、共締めによって繊維強化樹脂部材であるピラー補強部材3に不要な圧縮力が作用することはなく、樹脂部材のクリープを防止できる。
【0059】
なお、本実施形態では、図5に示されるピラー補強部材3のヒンジボルト挿通孔31だけでなく、リンクボルト挿通孔32及びロックボルト挿通孔33にも、図6に示される共締補強部材4X(金属カラー)が取り付けられる。この場合、フランジ41Fの外径やボルト挿通孔41Xの内径に関しては、上述したヒンジ6の取付位置と同様である。そして、ピラーアウターパネル1、ピラーインナーパネル2及びボディサイドパネル5が、ハット形断面のフランジにおいて接合(溶接)される。その後、リンクボルト8B及びリンクナット8N、並びに、ロックボルト9B及びロックナット9Nによって、共締めされる。
【0060】
また、共締補強部材4Xは、接着剤によってピラー補強部材3に接合されるのではなく、樹脂部材であるピラー補強部材3の成形時にインサートされてもよい。この場合、フランジ41Fの外周面に周方向に複数の凹凸を形成し、ピラー補強部材3に対する共締補強部材4X(金属カラー)の空回りを抑止してもよい。また、共締補強部材4Xのボルト挿通孔41Xの内周面上にネジ溝が形成されて、共締補強部材4Xがヒンジナット6N、リンクナット8N又はロックナット9Nとして機能してもよい。
【0061】
本実施形態によっても、ハーネス孔14の周辺でヒンジ6がピラーに取り付けられるが、ピラー補強部材3がヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、ハーネス孔14の周辺でのピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接着面積、即ち、接着強度を共締めで補完できる。この結果、金属と繊維強化樹脂とからなり、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【0062】
また、本実施形態では、共締補強部材4Xがさらに設けられており、共締補強部材4も、ピラー補強部材3と共に、ヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーアウターパネル1に共締めされる。共締補強部材4もさらに共締めすることで、ピラー補強部材3をピラーアウターパネル1と共締補強部材4とで挟み込んで、ヒンジ6の取付位置でのピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をさらに向上させている。
【0063】
また、本実施形態でも、ヒンジ6の取付位置だけでなく、チェックリンク8の取付位置でも、ピラー補強部材3がリンクボルト8B及びリンクナット8Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、共締位置を増やしてピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4Xの併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0064】
特に、本実施形態では、ハーネス孔14(及び34)が、ピラーの延在方向に沿って、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔11及び31)とチェックリンク8の取付位置(リンクボルト挿通孔12及び32)との間に設けられている。即ち、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14(及び34)の両側で向上される。この結果、ただ共締位置を増やすのではなく、ハーネス孔14(及び34)の両側に共締位置を設けることでピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4Xの併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0065】
また、本実施形態でも、ヒンジ6の取付位置だけでなく、ロックストライカ9の取付位置でも、ピラー補強部材3がロックボルト9B及びロックナット9Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、共締位置を増やしてピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4Xの併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0066】
特に、本実施形態では、ハーネス孔14(及び34)が、ピラーの延在方向に沿って、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔11及び31)とロックストライカ9の取付位置(ロックボルト挿通孔13及び33)との間に設けられている。即ち、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14(及び34)の両側で向上される。この結果、ただ共締位置を増やすのではなく、ハーネス孔14(及び34)の両側に共締位置を設けることでピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。共締補強部材4Xの併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0067】
そして、上述したように、本実施形態では、ピラー補強部材3は、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を中心にして三カ所で共締めされる(ハーネス孔14及び34の一側でヒンジ6と共締め、他側でチェックリンク8及びロックストライカ9と共締め)。従って、ピラー補強部材3は、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を中心にして、より一層広範囲で、ピラーアウターパネル1としっかりと接合される。従って、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。共締補強部材4Xの併用がさらに効果的なのは上述した通りである。
【0068】
次に、図7を参照しつつ、第三実施形態に係る車体のピラー構造を説明する。なお、上述した第一実施形態に係るピラー構造における構成要素と同一又は同等の構成要素には、同一の符号を付してそれらの詳しい説明を省略する。上述した第一実施形態や第二実施形態では、共締補強部材4又は4Xが併用されたが、本実施形態では共締補強部材は設けられない。ここでは、第一実施形態の図2に相当する図7のみを示す。
【0069】
図7に示されるように、本実施形態では、ピラー補強部材3が、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔31)で、ヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによって直接ピラーアウターパネル1と共締めされる。このため、本実施形態のヒンジボルト挿通孔31の内径は、ピラーアウターパネル1のヒンジボルト挿通孔11(及び、ボディサイドパネル5のヒンジボルト挿通孔51)と同じであり、ヒンジボルト6Bよりやや大きい。
【0070】
なお、本実施形態では、図7に示されるヒンジボルト挿通孔31だけでなく、チェックリンク8の取付位置(リンクボルト挿通孔32)でも、ピラー補強部材3が、リンクボルト8B及びリンクナット8Nによって直接ピラーアウターパネル1と共締めされる。リンクボルト挿通孔32の内径は、ピラーアウターパネル1のリンクボルト挿通孔12(及び、ボディサイドパネル5のリンクボルト挿通孔52)と同じであり、リンクボルト8Bよりやや大きい。また、ロックストライカ9の取付位置(ロックボルト挿通孔33)でも、ピラー補強部材3が、ロックボルト9B及びロックナット9Nによって直接ピラーアウターパネル1と共締めされる。ロックボルト挿通孔33の内径は、ピラーアウターパネル1のロックボルト挿通孔13(及び、ボディサイドパネル5のロックボルト挿通孔53)と同じであり、ロックボルト9Bよりやや大きい。
【0071】
本実施形態によっても、ハーネス孔14の周辺でヒンジ6がピラーに取り付けられるが、ピラー補強部材3がヒンジボルト6B及びヒンジナット6Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、ハーネス孔14の周辺でのピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接着面積、即ち、接着強度を共締めで補完できる。この結果、金属と繊維強化樹脂とからなり、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【0072】
また、本実施形態でも、ヒンジ6の取付位置だけでなく、チェックリンク8の取付位置でも、ピラー補強部材3がリンクボルト8B及びリンクナット8Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、共締位置を増やしてピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【0073】
特に、本実施形態では、ハーネス孔14(及び34)が、ピラーの延在方向に沿って、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔11及び31)とチェックリンク8の取付位置(リンクボルト挿通孔12及び32)との間に設けられている。即ち、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14(及び34)の両側で向上される。この結果、ただ共締位置を増やすのではなく、ハーネス孔14(及び34)の両側に共締位置を設けることでピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【0074】
また、本実施形態でも、ヒンジ6の取付位置だけでなく、ロックストライカ9の取付位置でも、ピラー補強部材3がロックボルト9B及びロックナット9Nによってピラーアウターパネル(主部材)1に共締めされる。従って、共締位置を増やしてピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【0075】
特に、本実施形態では、ハーネス孔14(及び34)が、ピラーの延在方向に沿って、ヒンジ6の取付位置(ヒンジボルト挿通孔11及び31)とロックストライカ9の取付位置(ロックボルト挿通孔13及び33)との間に設けられている。即ち、ピラーアウターパネル1とピラー補強部材3との接合が、ハーネス孔14(及び34)の両側で向上される。この結果、ただ共締位置を増やすのではなく、ハーネス孔14(及び34)の両側に共締位置を設けることでピラー補強部材3のピラーアウターパネル1との接合強度をより一層向上でき、軽量化と優れた強度及び剛性とを両立するピラー構造を提供できる。
【0076】
そして、上述したように、本実施形態では、ピラー補強部材3は、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を中心にして三カ所で共締めされる(ハーネス孔14及び34の一側でヒンジ6と共締め、他側でチェックリンク8及びロックストライカ9と共締め)。従って、ピラー補強部材3は、ハーネス孔14及び34(ハーネス開口44)を中心にして、より一層広範囲で、ピラーアウターパネル1としっかりと接合される。従って、ハーネス孔14及び34の周辺の強度及び剛性の低下を確実に回避できる。
【0077】
上述した第1~第3実施形態のピラー構造では、金属製のピラーアウターパネル(主部材)1が車体の外側に配置され、強化繊維樹脂(本実施形態ではCFRP)製のピラー補強部材3が車体の内側に用いられている。他の車両が側方から車体に衝突したり、当該衝突によって車体が横転した場合、車体の外側からピラー構造に荷重が作用する。ピラー補強部材3によってピラーアウターパネル1が補強されているので、上述した荷重によってピラー補強部材3には引張荷重が作用する。ピラー補強部材3は強化繊維樹脂によって形成されており、圧縮荷重よりは引張荷重に強い。また、上述した荷重によってピラーアウターパネル1(及びボディサイドパネル5)には圧縮荷重が作用するが、金属で形成されたピラーアウターパネル1は圧縮荷重に対して強い。従って、本実施形態の車体のピラー構造は、衝突時や横転時に作用する荷重に効果的に対抗できる。なお、本実施形態の車体のピラー構造は、センターピラー(Bピラー)の他、AピラーやCピラーにも適用し得る。
【0078】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。(少なくとも、ヒンジ6の取付位置で「ピラー補強部材3による共締め」は行われるが、)三カ所の取付位置における、「ピラー補強部材3による共締めの実施の有無」及び「共締補強部材4(4X)のさらなる併用の有無」は、適宜の組み合わせで行われ得る。また、共締補強部材4(4X)をさらに併用する場合も、少なくとも二つの共締位置を含む共締補強部材を用いるのか、単一の共締位置のみのための図6に示される共締補強部材4Xを用いるのかも、さらに適宜選択し得る。
【0079】
例えば、ヒンジ6の取付位置及びチェックリンク8の取付位置をカバーする共締補強部材(L字形断面)と、ロックストライカ9の取付位置に設けられる図6に示される共締補強部材4Xとが併用されてもよい。同様に、ヒンジ6の取付位置及びロックストライカ9の取付位置をカバーする共締補強部材(L字形断面)と、チェックリンク8の取付位置に設けられる図6に示される共締補強部材4Xとが併用されてもよい。
【0080】
また、共締補強部材4(4X)は、共締めされると共にピラー補強部材3に接着されることが好ましいが、接着されずに共締めだけされてもよい。この場合、上述した接着剤層7Iは設けられない。なお、チェックリンク8の取付位置やロックストライカ9の取付位置でピラー補強部材3がピラーアウターパネル1と共締めされない場合、リンクナット8Nやロックナット9Nはピラーアウターパネル1の内面にウェルドナットとして設ければよい。この場合、ピラー補強部材3は、チェックリンク8の取付位置やロックストライカ9の取付位置では、ウェルドナットと干渉しないようにピラーアウターパネル1の内面から離間されればよい。
【符号の説明】
【0081】
1 ピラーアウターパネル(主部材)
2 ピラーインナーパネル
3 ピラー補強部材
4,4X 共締補強部材
5 ボディサイドパネル
6 ヒンジ
6B ヒンジボルト
6N ヒンジナット
7I,7O 接着剤層
8 チェックリンク
8B リンクボルト
8N リンクナット
9 ロックストライカ
9B ロックボルト
9N ロックナット
11,31,41 ヒンジボルト挿通孔
12,32,42 リンクボルト挿通孔
13,33,43 ロックボルト挿通孔
14,34,54 ハーネス孔
41X ボルト挿通孔
44,ハーネス開口
41F,42F,43F フランジ
51 ヒンジボルト挿通孔
52 リンクボルト挿通孔
53 ロックボルト挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7