(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】走行支援サーバ及び走行支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20230302BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2019060962
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 彩加
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/004468(WO,A1)
【文献】特開2003-281692(JP,A)
【文献】特開2003-077094(JP,A)
【文献】特開2002-288791(JP,A)
【文献】特開2002-133588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を用いた輸送サービスを要求するユーザに対して前記輸送サービスに使用される候補車両を提案してから、前記候補車両が前記ユーザにより承諾されるまでの間において、前記候補車両の走行を支援する走行支援サーバであって、
前記走行支援サーバは、通信部とコントローラとを備え、
前記通信部は、
前記ユーザが前記候補車両に乗車する予定の場所である乗車予定場所を取得し、
前記候補車両を提案してから前記候補車両が承諾されるまでの間において、前記候補車両の位置を取得し、
前記コントローラは、
前記候補車両を提案してから前記候補車両が承諾されるまでの間において、前記候補車両の位置から前記乗車予定場所までの前記候補車両の移動時間が、短くなるように又は維持されるように、前記候補車両の走行を支援する
走行支援サーバ。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記候補車両を提案した時の前記候補車両の位置から前記乗車予定場所まで前記候補車両が移動するのに必要な時間である初期移動時間を算出し、
前記候補車両を提案してから前記候補車両が承諾されるまでの間において、前記移動時間が前記初期移動時間以下になるように、前記候補車両の走行を支援する
請求項1に記載の走行支援サーバ。
【請求項3】
前記候補車両の走行を支援することとは、
前記移動時間が前記初期移動時間よりも長い場合、前記候補車両が前記乗車予定場所に向かって走行するように、前記候補車両の走行を支援することである
請求項2に記載の走行支援サーバ。
【請求項4】
前記候補車両の走行を支援することとは、
前記移動時間が前記初期移動時間以下である場合、待機場に停車して待機するように前記候補車両の走行を支援することである
請求項2又は3に記載の走行支援サーバ。
【請求項5】
前記候補車両の走行を支援することとは、
前記移動時間が前記初期移動時間以下である場合、回遊するように前記候補車両の走行を支援することである
請求項2~4のいずれか一項に記載の走行支援サーバ。
【請求項6】
前記候補車両の走行を支援することとは、
前記候補車両が走行するルートを設定し、
設定したルートを前記候補車両へ出力する
ことである請求項1~5のいずれか一項に記載の走行支援サーバ。
【請求項7】
車両を用いた輸送サービスを要求するユーザに対して前記輸送サービスに使用される候補車両を提案してから、前記候補車両が前記ユーザにより承諾されるまでの間において、前記候補車両の走行を支援する
走行支援サーバの走行支援方法であって、
前記走行支援サーバは、
前記ユーザが前記候補車両に乗車する予定の場所である乗車予定場所を取得し、
前記候補車両を提案してから前記候補車両が承諾されるまでの間において、前記候補車両の現在位置を取得し、
前記候補車両を提案してから前記候補車両が承諾されるまでの間において、前記候補車両の位置から前記乗車予定場所までの前記候補車両の移動時間が、短くなるように又は維持されるように、前記候補車両の走行を支援する
走行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援サーバ及び走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2018/0089784号明細書に開示されたネットワークコンピュータシステムは、車両を用いた輸送サービスを希望するユーザが所有するユーザインターフェース(表示画面)上に、サービスプロバイダ(利用可能な車両)の位置を表示し、ユーザは表示画面上で希望する車両を指定することにより、輸送サービスを利用することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0089784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用可能な車両をユーザに提案してからユーザが当該提案を承諾するまでの間、特許文献1は車両の走行を考慮していない。車両が走行することによって、ユーザが実際に車両を待つ時間が、ユーザに利用可能な車両を提案した時のユーザの待ち時間よりも長くなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、候補車両の提案から候補車両の承諾までの間の車両の走行により、ユーザの待ち時間が長くなることを抑制する走行支援サーバ及び走行支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる走行支援サーバ及び走行支援方法は、車両を用いた輸送サービスを要求するユーザに対して輸送サービスに使用される候補車両を提案してから、候補車両がユーザにより承諾されるまでの間において、候補車両の走行を支援する。走行支援サーバは、通信部とコントローラとを備える。通信部は、ユーザが候補車両に乗車する予定の場所(乗車予定場所)を取得し、候補車両の位置を取得する。コントローラは、候補車両を提案してから候補車両が承諾されるまでの間において、候補車両の位置から乗車予定場所までの候補車両の移動時間が、短くなるように又は維持されるように、候補車両の走行を支援する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係わる走行支援サーバ及び走行支援方法によれば、候補車両の提案から候補車両の承諾までの間の車両の走行により、ユーザの待ち時間が長くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係わる走行支援サーバ1、及び周辺機器により構築されるネットワークを示すイメージ図である。
【
図2】
図2は、
図1の走行支援サーバ1の具体的な構成の例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、輸送サービス提供サーバ2及び携帯情報端末3の具体的な動作の例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図2の走行支援サーバ1の動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1を参照して、実施形態に係わる走行支援サーバ1、及び周辺機器により構築されるネットワークについて説明する。走行支援サーバ1は、車両を用いた輸送サービスに使用される車両の候補(以後、「候補車両」と呼ぶ)の走行を支援する。
【0011】
「車両を用いた輸送サービス」とは、ユーザの求めに応じて、ユーザを車両に乗車させ、乗車地から目的地(降車地)までユーザを輸送することを請け負うサービスである。「輸送サービスに使用される車両」には、人間が全ての運転操作を行う車両(手動運転車両)、車両が走行する為に必要な運転操作のうち一部の運転操作を車両自らが補助的或いは主体的に行う車両、及び手動運転及び自動運転を切り替えることができる車両(自動運転車両)が含まれる。
【0012】
「候補車両の走行を支援する」とは、候補車両の走行に必要な運転操作の全て又は一部を、人間又は候補車両の代わりに実行すること、運転操作を行う人間(運転者)又は候補車両に対して、実行すべき運転操作を実行すべき時に具体的に指示又は提案すること、及び候補車両が走行すべきルートを指示又は提案することが含まれる。走行支援サーバ1からの指示を受けた候補車両又運転者は、当該指示に従い、運転操作を行う。これにより、候補車両は、走行支援サーバ1からの指示通りに走行することができる。
【0013】
図1に示すネットワークには、走行支援サーバ1の他に、周辺機器として、ユーザが所持する携帯情報端末3(個人情報端末、PDA、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータを含む)と、輸送サービスに使用される車両4と、車両4を用いた輸送サービスを提供する機能を備える輸送サービス提供サーバ2とが接続されている。
【0014】
輸送サービス提供サーバ2は、走行支援サーバ1、携帯情報端末3、車両4に接続され、直接通信することができる。走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2、及び車両4に接続され、直接通信することができる。走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2を介して携帯情報端末3と接続され、輸送サービス提供サーバ2を介して携帯情報端末3と通信する。
【0015】
本実施形態では、輸送サービス提供サーバ2と走行支援サーバ1とを異なるハードウェアで構成する場合を例示する。ここでは、輸送サービスを希望するユーザから直接、輸送サービスを請け負い、ユーザの要求に応じた輸送サービスを提供する輸送サービス提供者(輸送サービス提供サーバ2)と、輸送サービスを提供する者とは異なる者であって、輸送サービスを提供する者に対して、輸送サービスに利用される車両の走行を支援する走行支援サービスを提供する走行支援サービス提供者(走行支援サーバ1)とが存在する状況を想定している。
【0016】
このため、輸送サービス提供サーバ2は、ユーザが所持する携帯情報端末3と直接通信することができる。一方、走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2を経由して、携帯情報端末3と間接的に通信することができる。
【0017】
本実施形態に限らず、輸送サービス提供サーバ2と走行支援サーバ1が、同じハードウェアで構成されていてもよい。換言すれば、輸送サービス提供者と走行支援サービス提供者とが同一であってもよい。
【0018】
或いは、輸送サービス提供サーバ2の一部の機能(例えば、候補車両の選択、候補車両の誘導制御など)を、走行支援サーバ1上において実行してもよい。
【0019】
走行支援サーバ1を説明する前に、
図3を参照して、輸送サービス提供サーバ2及び携帯情報端末3の具体的な動作の例を説明する。
【0020】
先ず、ユーザは、所持する携帯情報端末3を用いて、車両4を用いた輸送サービスの提供を輸送サービス提供サーバ2に対して要求する。具体的に、ユーザは、輸送サービス提供サーバ2が開設するウェブサイト(Webサイト)内の輸送サービスの申し込みを行うウェブページにアクセスし、当該ページから車両を用いた輸送サービスの提供を要求する(これを「配車リクエスト」という)。配車リクエストを行う時、ユーザは、乗車地、目的地(降車地)、乗車日時、降車日時、乗車人数、乗り合いの可否等、輸送サービスの提供に際してユーザが希望する事項(「ユーザの予約情報」という)を入力する。
【0021】
ステップS01において、輸送サービス提供サーバ2は、ユーザから送信された配車リクエストを受信し、配車リクエストに含まれるユーザの予約情報を検出する。
【0022】
なお、ステップS01において、輸送サービス提供サーバ2は、受信した配車リクエストをそのまま、或いは、検出したユーザの予約情報を、走行支援サーバ1へ送信してもよい。これにより、走行支援サーバ1は、ユーザから配車リクエストが有ったことを知ることができるので、車両4の走行支援の準備を行うことができる。車両4の走行支援の準備には、例えば、各車両(4a、4b、4c、・・・)の現在位置及び進行方向、乗車可能人数、車載バッテリの充電状態(SOC)又は燃料残量から算出される走行可能距離、等の車両情報を予め取得することが含まれる。
【0023】
ステップS02に進み、輸送サービス提供サーバ2は、車両情報を取得する。車両情報には、輸送サービスに使用される各車両(4a、4b、4c、・・・)の現在位置、進行方向、乗車可能人数、乗車可能な空車状態であるか、或いは他のユーザにサービス提供中であり乗車不可能な状態であるか、車載バッテリの充電状態(SOC)又は燃料残量から算出される走行可能距離、等が含まれる。
【0024】
例えば、輸送サービス提供サーバ2は、全ての車両4に対して車両情報の提供を要求するリクエスト信号をブロードキャストし、各車両(4a、4b、4c、・・・)から返信を受けることにより、車両情報を取得することができる。或いは、所定の周期で繰り返し、車両情報を取得してもよい。これにより、ブロードキャストに対する返信によるトラフィックの混雑を解消することができる。
【0025】
ステップS03に進み、輸送サービス提供サーバ2は、ユーザの予約情報と各車両(4a、4b、4c、・・・)の車両情報とを対比することにより、車両4の中から、ユーザの予約情報に含まれるユーザの希望の全て又はその一部を満たす1又は2以上の候補車両、及びユーザの希望に近い1又は2以上の候補車両の少なくとも一方を選択する。ここでは、輸送サービス提供サーバ2が1台の候補車両4aを選択した場合を例示する。勿論、2台以上の候補車両(4a、4b、4c、・・・)を同時に選択してもよい。
【0026】
選択された候補車両4aには、1又は2以上の乗車予定場所が紐付けられている(ステップS04)。即ち、輸送サービス提供サーバ2は、候補車両4aと1又は2以上の乗車予定場所との組合せを選択する。「乗車予定場所」とは、ユーザが候補車両4aに乗車する予定の場所である。輸送サービス提供サーバ2は、ユーザが希望する乗車地及び降車地、及び候補車両の現在位置に基づいて、降車地に最も早く到着するための場所(ピックアップポイント)を、乗車予定場所として判断する。
【0027】
ステップS05に進み、輸送サービス提供サーバ2は、選択した候補車両4aと乗車予定場所との組合せを、ユーザに対して提案する。勿論、候補車両4aのみをユーザに提案してもよい。この場合、候補車両に紐付けされた乗車予定場所は、当該提案をユーザが承諾した後にユーザに通知される。
【0028】
具体的に、輸送サービス提供サーバ2は、選択した候補車両4aと乗車予定場所とを組み合わせた配車提案を、配車リクエストに対する返信としてユーザの携帯情報端末3に送信する。配車提案には、候補車両4a、及びユーザが乗車予定場所において乗車を待つ予想時間(「ユーザの待ち時間」という)が少なくとも含まれている。配車提案には、更に、乗車予定場所が含まれていてもよい。
【0029】
ユーザの待ち時間は、ユーザの現在位置、乗車予定場所、乗車予定場所まで候補車両が移動する時間(移動時間)に基づいて算出可能である。例えば、移動時間からユーザが現在位置から乗車予定場所まで徒歩で移動する時間(徒歩時間)を減算することによりユーザの待ち時間を算出することが出来る。
【0030】
配車提案を携帯情報端末3で受信したユーザは、輸送サービス提供サーバ2により提案された候補車両4aを承諾するか否かを検討する。例えば、輸送サービスの代わりに、バス、電車などの他の移動手段を選択する可能性が有る場合、これらを対比して検討する時間がユーザに必要である。このため、候補車両4aが提案されてから候補車両4aを承諾までの時間が長期化する場合がある。走行支援サーバ1は、ユーザに候補車両4aを提案してから候補車両4aをユーザが承諾までの間、候補車両4aの乗車予定場所までの移動時間が長くなることがないように、ひいては、ユーザの待ち時間が長くなることがないように、候補車両4aの走行を支援する。走行支援サーバ1の構成及び動作は、
図2及び
図4を参照して後述する。候補車両4aをユーザが承諾する旨の意思決定をした場合、ステップS06へ進む。
【0031】
なお、輸送サービス提供サーバ2により提案された候補車両が複数である場合、ユーザは、提案された候補車両(4a、4b、4c、・・・)の中から1台の候補車両4aを選択した上で、候補車両4aを承諾する。また、配車提案において、候補車両1台あたりに1又は2以上の乗車予定場所が組み合わされている場合、ユーザは、選択した候補車両4aに組み合わせる1つの乗車予定場所を指定した上で、候補車両4a及び乗車予定場所の組合せの提案を承諾する。
【0032】
ステップS06において、ユーザは、輸送サービス提供サーバ2により提案された候補車両4aを承諾する旨の意思表示を、輸送サービス提供サーバ2に対して行う。具体的には、ユーザは、携帯情報端末3を用いて、受信した配車提案に対する返信として、配車提案を承諾する承諾確認を輸送サービス提供サーバ2に送信する。配車提案が、2以上の択一的な候補車両及び乗車予定場所の組合せを含む場合、ユーザは、いずれか1つの組合せを選択した上で、承諾確認を輸送サービス提供サーバ2に送信する。
【0033】
ステップS07に進み、輸送サービス提供サーバ2は、選択及び承諾された候補車両4aに対して、乗車予定場所に向けて移動することを指示する。これにより、ユーザは、乗車予定場所において、候補車両4aに乗車することができる。
【0034】
ここで、候補車両4aと乗車予定場所とを組み合わせた配車提案には、ユーザの待ち時間が含まれる。ユーザの待ち時間は、候補車両4aの位置から乗車予定場所まで候補車両4aが移動するのに必要な移動時間に応じて変化する。「移動時間」は、候補車両4aの位置に応じて変化する。例えば、走行中の候補車両4aが乗車予定場所に近づく方向に移動すれば、移動時間は短くなり、走行中の候補車両4aが乗車予定場所から遠ざかる方向に移動すれば、移動時間は長くなる。
【0035】
配車提案に含まれる「ユーザの待ち時間」は、候補車両4aを提案する時の候補車両4aの位置から乗車予定場所まで候補車両が移動するのに必要な時間(「初期移動時間」と呼ぶ)に基づいて算出される。候補車両4aをユーザに提案した時(ステップS05)からユーザが候補車両4aを承諾する時(ステップS06)までの間、候補車両4aの位置が変化することにより、移動時間は、初期移動時間から変化する。移動時間が、初期移動時間よりも長くなってしまうと、ユーザは、当初想定していた待ち時間よりも長い時間、乗車を待たなければならないので、ユーザの利便性が低下してしまう。
【0036】
そこで、走行支援サーバ1は、ユーザに対して候補車両4aを提案してから、候補車両4aがユーザにより承諾されるまでの間において、候補車両4aの走行を支援する。勿論、配車提案に含まれる候補車両が複数である場合、全ての候補車両(4a、4b、4c、・・・)の走行を制御する。なぜなら、いずれの候補車両(4a、4b、4c、・・・)がユーザにより選択されるかは、輸送サービス提供サーバ2が承諾確認を受領するまで分からないからである。
【0037】
図2を参照して、
図1の走行支援サーバ1の具体的な構成の例を説明する。走行支援サーバ1は、通信部11とコントローラ12とを備える。
【0038】
通信部11は、
図1に示すネットワーク上で車両4及び輸送サービス提供サーバ2との間でデータの送受信を行うためのゲートウェイ(プロトコルコンバータ)である。ネットワークの一部にはインターネットが含まれる。例えば、通信部11は、インターネットとコントローラとの間を接続するゲートウェイである。また、車両4は移動体であるため、車両4との通信の一部には、3G、4G、5Gなどの携帯電話の通信規格を利用するセルラー通信である。或いは、車両4との通信の一部には、5.8GHz帯のISMバンドを用いた短距離無線通信技術(DSRC:Dedicated Short Range Communications)を利用してもよい。
【0039】
ここでは、走行支援サーバ1が車両4と直接通信できる例を示す。しかし、これに限らず、通信部11は、輸送サービス提供サーバ2のみとの間でデータの送受信を行ってもよい。この場合、通信部11は、輸送サービス提供サーバ2を介して、車両4と間接的に通信することになる。
【0040】
通信部11は、乗車予定場所を取得する乗車予定場所取得部21、及び候補車両4の位置、例えば、緯度経度などの絶対座標を取得する候補車両位置取得部22として機能する。
【0041】
乗車予定場所取得部21は、輸送サービス提供サーバ2と通信することにより、携帯情報端末3へ送信した配車提案に含まれる乗車予定場所を取得する。例えば、乗車予定場所取得部21は、輸送サービス提供サーバ2が携帯情報端末3に送信した配車提案をそのまま、或いは配車提案に含まれる乗車予定場所を抽出して、転送するよう輸送サービス提供サーバ2に要求してもよい。或いは、走行支援サーバ1は、予め、輸送サービス提供サーバ2との間で、携帯情報端末3へ送信した配車提案、或いは、配車提案に含まれる乗車予定場所を、自動的に、走行支援サーバ1へ転送するよう取り決めを結んでもよい。
【0042】
候補車両位置取得部22は、候補車両4をユーザに提案してから候補車両がユーザにより承諾されるまでの間(ステップS05~S06の間)において、所定の周期で繰り返し、候補車両4aの現在位置を取得する。候補車両4aの現在位置は、候補車両4aから取得することができる。
【0043】
例えば、候補車両位置取得部22は、候補車両4aに搭載されたGPS受信機により受信された自己位置情報(絶対座標の自己位置情報)を取得する。又は、候補車両位置取得部22は、カメラ、レーダ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車輪速センサ等の車載センサから得られたセンサ信号を組み合わせたデッドレコニング技術又はマップマッチング又はデッドレコニング技術及びマップマッチングを組み合わせた自己位置情報を取得してもよい。
【0044】
更に、通信部11は、輸送サービス提供サーバ2から候補車両4aに係わる車両情報を転送するよう要求してもよいし、或いは、候補車両4aに対して直接、候補車両4aに係わる車両情報を送信するよう要求してもよい。これにより、通信部11は、配車提案に係わる候補車両4aの車両情報を取得することができる。
【0045】
コントローラ12は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータをコントローラ12として機能させるためのコンピュータプログラム(走行支援プログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、コントローラ1212が備える複数の情報処理部(23~27)として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによってコントローラ12を実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、コントローラ12を構成することも可能である。専用のハードウェアには、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。また、コントローラ12に含まれる複数の情報処理部(23~27)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0046】
コントローラ12は、複数の情報処理部(23~27)として、初期値算出部23と、移動時間算出部24と、移動時間判断部25と、走行支援部26とを備える。走行支援部26は、ルート設定部27を備える。
【0047】
初期値算出部23は、輸送サービス提供サーバ2が候補車両4aをユーザに提案した時(ステップS05)の候補車両4aの位置から乗車予定場所まで候補車両4aが移動するのに必要な時間(初期移動時間)を算出する。具体的には、初期値算出部23は、通信部11を通じて、輸送サービス提供サーバ2から、ユーザに提案した候補車両4aの識別情報、候補車両4aを提案した時(ステップS05)の候補車両4aの位置、乗車予定場所、及びユーザの待ち時間を示す情報を取得する。初期値算出部23は、候補車両4aを提案した時(ステップS05)の候補車両4の位置、及び乗車予定場所から、初期移動時間を算出する。更に、ユーザの待ち時間及び初期移動時間から徒歩時間を算出してもよい。又は、初期値算出部23は、輸送サービス提供サーバ2から徒歩時間を取得してもよい。
【0048】
例えば、初期値算出部23は、道路構造を含む地図データを参照して、候補車両4aをユーザに提案した時(ステップS05)の候補車両4aの位置及び進行方向に基づいて、候補車両4aの乗車予定場所までの走行ルートを探索し、走行ルートのうち移動時間が最も短い最短ルートを走行した時の移動時間を、初期移動時間として算出する。
【0049】
或いは、初期値算出部23は、輸送サービス提供サーバ2から携帯情報端末3に送信した配車提案に含まれる「ユーザの待ち時間」から初期移動時間を算出してもよい。例えば、ユーザの位置から乗車予定場所までの距離又はユーザの徒歩時間から、初期移動時間を算出することができる。
【0050】
移動時間算出部24は、候補車両4aを提案してから候補車両4aが承諾されるまでの間において、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間を、所定の周期で繰り返し算出する。候補車両4を提案してから候補車両が承諾されるまでの間において、候補車両の位置は変化する。候補車両の位置の変化に応じて、候補車両4aの移動時間も変化する。そこで、移動時間算出部24は、候補車両位置取得部22により繰り返し取得された候補車両4の位置のうち最新の位置に基づいて、候補車両の移動時間を算出する。
【0051】
例えば、移動時間算出部24は、道路構造を含む地図データを参照して、候補車両4の現在位置から乗車予定場所までの走行ルートを所定の周期で繰り返し探索し、移動時間が最も短い最短ルートを走行した時の移動時間を算出する。或いは、移動時間が最も短い最短ルートから候補車両4が外れたタイミングで、移動時間算出部24は、最短ルートを再計算し、最短ルートを走行した時の移動時間を算出してもよい。或いは、移動時間算出部24は、移動時間算出部24により候補車両4の位置が更新される度に、最短ルートを再計算し、最短ルートを走行した時の移動時間を算出してもよい。コントローラ12の計算負荷を軽減することができる。
【0052】
移動時間判断部25は、初期値算出部23で算出された初期移動時間と、移動時間算出部24で算出された移動時間とを、所定の周期で繰り返し比較して、移動時間が初期移動時間以下であるか否かを判断する。
【0053】
走行支援部26は、候補車両4aを提案してから候補車両4aが承諾されるまでの間において、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間が、短くなるように又は維持されるように、候補車両4aの走行を支援する。具体的に、走行支援部26は、候補車両4aを提案してから候補車両4aが承諾されるまでの間において、移動時間が初期移動時間以下になるように、候補車両4aの走行を支援する。例えば、走行支援部26は、移動時間判断部25による判断結果に基づいて、候補車両4aに対して様々な指示を送信する。
【0054】
例えば、ルート設定部27は、候補車両4aが走行するルートであって、移動時間が初期移動時間以下になるようなルートを設定する。具体的に、ルート設定部27は、ルート上の任意の位置から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間が初期移動時間以下になるようなルートを設定する。これにより、ルート上を走行する限りにおいて、候補車両4aは、初期移動時間以下の移動時間で、乗車予定場所まで到達することができる。よって、配車提案の承諾時において、ユーザの待ち時間が長くなることはない。
【0055】
走行支援部26は、設定したルートを候補車両4aへ出力する。具体的には、走行支援部26は、ネットワークを介してルートを候補車両4aへ送信する。走行支援部26は、候補車両4aをルートに沿って走行させることにより、移動時間を初期移動時間以下に維持することができる。
【0056】
或いは、走行支援部26は、移動時間が初期移動時間よりも長い場合、候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行するように、候補車両4aの走行を支援する。候補車両44aを乗車予定場所に向かって走行させることにより、移動時間を初期移動時間以下にすることができる。これにより、候補車両4の移動時間を短くする又は維持することができる。
【0057】
「候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行する」ことには、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの直線距離が短くなるように走行すること、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの道なりの距離が短くなるように走行すること、及び、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの移動時間が短くなるように走行すること、が含まれる。候補車両4aの位置から乗車予定場所までの移動時間が短くなるように走行することには、例えば、候補車両4aが走行するルートを、制限速度が低い道路を通るルートから制限速度が高い道路を通るルートへ変更することが含まれる。
【0058】
或いは、走行支援部26は、移動時間が初期移動時間以下である場合、待機場に停車して待機するように候補車両4aの走行を支援する。例えば、走行支援部26は、候補車両4aの周囲に、候補車両4aを停車することが可能な場所である待機場を探索する。
【0059】
候補車両4aの周囲にある待機場であって、候補車両4aを停車させるスペースが空いている待機場を発見した場合、走行支援部26は、候補車両4aの位置から待機場までのルートを検索する。走行支援部26は、検索したルートを候補車両4aに出力すると共に、候補車両4aに対して待機場にて停車して待機することを指示する。走行支援部26は、候補車両4aをルートに沿って走行させ待機場にて停車させることにより、移動時間を初期移動時間以下に維持することができる。走行支援部26は、待機場から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間が初期移動時間以下となる待機場を探索してもよい。
【0060】
或いは、走行支援部26は、移動時間が初期移動時間以下である場合、候補車両4aの位置の周囲を回遊するように候補車両4aの走行を支援してもよい。例えば、候補車両4の周囲に待機場が無い場合、走行支援部26は、候補車両4aの最新の位置の周囲を回遊するルートを探索する。候補車両4の最新の位置の周囲を回遊するルートとは、例えば、ルート上の任意の位置から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間が初期移動時間以下になるようなルートであって、ルートの両端が互いに同じ位置、つまり、ルートの両端が接続された周回ルートである。走行支援部26は、検索したルートを候補車両4に出力する。走行支援部26は、候補車両4をルートに沿って走行させることにより、移動時間を初期移動時間以下に維持することができる。
【0061】
なお、1台の候補車両に対して複数の乗車予定場所が組み合わされている場合、走行支援サーバ1は、全ての乗車予定場所を示す情報を取得し、全ての乗車予定場所について、ユーザの待ち時間、徒歩時間、初期移動時間を算出或いは取得し、移動時間を算出する。そして、移動時間判断部25は、全ての初期移動時間と移動時間とを比較して、移動時間が初期移動時間以下であるか否かを、全ての初期移動時間について判断する。走行支援部26は、候補車両4aの位置から全ての乗車予定場所までの候補車両4aの全ての移動時間が、短くなる又は維持されるように、候補車両4aの走行を支援する。
【0062】
図4を参照して、
図2の走行支援サーバ1の動作の例を説明する。
【0063】
先ず、ステップS51において、走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2がユーザに対して候補車両4を提案することを待機する。つまり、輸送サービス提供サーバ2が携帯情報端末3に対して配車提案を送信することを待機する。例えば、走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2から、携帯情報端末3に送信した配車提案を転送してもらってもよい。或いは、走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2から、候補車両4をユーザに提案した事実のみを通知するメールを受領してもよい。
【0064】
走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2から携帯情報端末3への配車提案の送信(ステップS05)を確認した場合(ステップS51でYES)、候補車両4をユーザに提案したことを示す「ユーザ提案フラグ」を立てて、ステップS52へ進む。
【0065】
ステップS52において、乗車予定場所取得部21は、輸送サービス提供サーバ2と通信することにより、携帯情報端末3へ送信した配車提案に含まれる乗車予定場所を取得する。ステップS51で配車提案が転送された場合、乗車予定場所取得部21は、配車提案から乗車予定場所を抽出すればよい。
【0066】
ステップS53に進み、初期値算出部23は、輸送サービス提供サーバ2が候補車両4aをユーザに提案した時(ステップS05)の候補車両4aの位置を取得する。例えば、初期値算出部23は、輸送サービス提供サーバ2から転送された配車提案から、ユーザ提案時の候補車両4の初期位置を取得することができる。或いは、初期値算出部23は、候補車両4aの過去の走行履歴を候補車両4aから取得し、走行履歴を検索することにより、ユーザに候補車両4を提案した時刻における候補車両4の位置を検出してもよい。
【0067】
ステップS54に進み、初期値算出部23は、候補車両4を提案した時(ステップS05)の候補車両4の位置から乗車予定場所まで候補車両4が移動するのに必要な時間(初期移動時間)を算出する。具体的に、初期値算出部23は、輸送サービス提供サーバ2から、候補車両4aをユーザに提案した時(ステップS05)の候補車両4の位置、及び乗車予定場所を取得し、候補車両4aをユーザに提案した時(ステップS05)の候補車両4の位置、及び乗車予定場所から初期移動時間を算出する。或いは、
図2を参照して説明した初期値算出部23の動作により、初期移動時間を算出してもよい。
【0068】
ステップS55に進み、候補車両位置取得部22は、候補車両4と通信することにより、候補車両4aの現在位置、例えば、緯度及び経度などの絶対座標を取得する。詳細な取得方法は、
図2を参照して説明した候補車両位置取得部22の動作により、候補車両4aの現在位置を取得すればよい。
【0069】
なお、ステップS55において、通信部11は、輸送サービス提供サーバ2又は候補車両4aから候補車両4aに係わる車両情報を取得してもよい。これにより、走行支援サーバ1は、時間と共に変化する、候補車両4aの車載バッテリの充電状態(SOC)、燃料残量、走行可能距離に基づいて、候補車両4aの走行を制御することができる。例えば、走行可能距離が短くなった場合に、走行支援サーバ1は、候補車両4aの走行速度を低下させ、或いは、後述するように候補車両4aを停車させて待機することができる待機場を検索する範囲を広げることができる。
【0070】
ステップS56に進み、移動時間判断部25は、初期値算出部23により算出された初期移動時間と、移動時間算出部24により算出された移動時間とを比較して、移動時間(現在値)が初期移動時間(初期値)以下であるか否かを判断する。現在値が初期値以下である場合(S56でYES)、ステップS57へ進み、現在値が初期値よりも長い場合(S56でNO)、ステップS58へ進む。
【0071】
ステップS57において、走行支援部26は、候補車両4aの周囲に、候補車両4aを停車することが可能な待機場であって、車両を停車させるスペースが空いている待機場を探索する。走行支援部26は、待機場から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間が初期移動時間以下となる待機場を探索する。待機場を発見した場合(ステップS57でYES)、ステップS60へ進み、走行支援部26は、待機場に停車して待機するように候補車両4aの走行を支援する。
【0072】
具体的に、走行支援部26は、候補車両4aの位置から待機場までのルートを検索する。走行支援部26は、検索したルートを候補車両4aに出力すると共に、候補車両4aに対して待機場にて停車して待機することを指示する。走行支援部26は、候補車両4aをルートに沿って走行させ待機場にて停車させることにより、移動時間を初期移動時間以下に維持することができる。
【0073】
一方、待機場を発見できない場合(ステップS57でNO)、ステップS59へ進み、走行支援部26は、ステップS55で取得した候補車両4aの現在位置の周囲を回遊するように候補車両4aの走行を支援する。候補車両4aの周囲の範囲は、移動時間(現在値)が初期移動時間(初期値)以下である限りにおいて、広げることができる。
【0074】
例えば、走行支援部26は、ステップS55で取得した候補車両4aの位置の周囲を回遊するルートを探索する。詳細には、走行支援部26は、ルート上の任意の位置から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間が初期移動時間以下になるような周回ルートを探索する。走行支援部26は、検索したルートを候補車両4に出力する。走行支援部26は、候補車両4をルートに沿って走行させることにより、移動時間を初期移動時間以下に維持することができる。
【0075】
ステップS58において、候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行しているか否かを判断する。候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行している場合(ステップS58でYES)、ステップS61に進み、走行支援部26は、候補車両4aに対して、現在の走行状態(設定されたルート上の走行状態)を維持するよう指示する。
【0076】
候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行していない場合(ステップS58でNO)、ステップS62に進み、走行支援部26は、候補車両4aに対して、候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行するよう指示する。具体的には、走行支援部26は、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの直線距離が短くなるように走行するよう指示する、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの道なりの距離が短くなるように走行するよう指示する、又は、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの移動時間が短くなるように走行する。
【0077】
例えば、ルート設定部27は、候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行するためのルートを設定する。具体的には、ルート設定部27は、候補車両4aがルートを走行することにより、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの直線距離が短くなる、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの道なりの距離が短くなる、或いは、移動時間が短くなるようなルートを設定する。走行支援部26は、候補車両4をルートに沿って走行させることにより、移動時間を短くして、最新の移動時間を初期移動時間以下へ変化させることができる。
【0078】
ステップS59~S62の後に、ステップS63へ進み、走行支援サーバ1は、ユーザが候補車両4を承諾したか否かを判断する。つまり、配車提案をユーザが承諾する承諾確認を輸送サービス提供サーバ2が受領したか否かを判断する。例えば、走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2から、携帯情報端末3から受信した承諾確認を転送してもらってもよい。或いは、走行支援サーバ1は、輸送サービス提供サーバ2から、候補車両4aをユーザが承諾した事実のみを通知するメールを受領してもよい。
【0079】
ユーザが候補車両4を承諾した場合(ステップS63でYES)、走行支援サーバ1は、ステップS51で立てた「ユーザ提案フラグ」を下ろし、
図4に示す走行支援サーバ1の動作は終了する。
【0080】
一方、ユーザが候補車両4を承諾した場合(ステップS63でNO)、走行支援サーバ1は、「ユーザ提案フラグ」を立てたまま、ステップS55に戻り、ステップS55~S62を、所定の周期で繰り返し、実行する。
【0081】
これにより、「ユーザ提案フラグ」が立てられている間、つまり、ユーザに対して候補車両4aを提案してから、候補車両4aがユーザにより承諾されるまでの間において、走行支援サーバ1は、所定の周期で繰り返し、候補車両4aの最新の位置を取得し、最新の移動時間(現在値)と初期移動時間(初期値)とを比較することができる。よって、走行支援サーバ1は、最新の移動時間を初期移動時間以下に維持するように、又は、最新の移動時間が初期移動時間以下になるように、候補車両4aの走行を支援することができる。
【0082】
輸送サービス提供サーバ2の一部の機能を、走行支援サーバ1上において実行してもよい。例えば、輸送サービス提供サーバ2は、専ら、ユーザ(携帯情報端末3)との通信を行い、車両4(候補車両4aを含む)との通信は、走行支援サーバ1上において実行してもよい。この場合、例えば、輸送サービス提供サーバ2は、
図3に示すステップS01(ユーザの予約情報の検出)、S05(ユーザへの提案)、及びS06(ユーザの承諾)等の処理動作を実行する。そして、走行支援サーバ1は、ステップS02(車両情報の取得)、S03(候補車両選択)、S04(乗降地の算出)、及びS07(車両移動指示)を、輸送サービス提供サーバ2の代わりに実行しても構わない。
【0083】
これにより、
図1に示すネットワークにおいて、輸送サービス提供サーバ2と車両4との直接の通信が不要となる。よって、ネットワークの構成が簡略化され、輸送サービス提供サーバ2の処理負担が軽減される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0085】
走行支援サーバ1は、車両4を用いた輸送サービスを要求するユーザに対して輸送サービスに使用される候補車両4aを提案してから、候補車両4aがユーザにより承諾されるまでの間において、候補車両4aの走行を支援する。走行支援サーバは、通信部11とコントローラ12とを備える。通信部11は、ユーザが候補車両4aに乗車する予定の場所である乗車予定場所を取得し、候補車両4aを提案してから候補車両4aが承諾されるまでの間において、候補車両4aの位置を取得する。コントローラ12は、候補車両4aを提案してから候補車両4aが承諾されるまでの間において、候補車両4aの位置から乗車予定場所までの候補車両4aの移動時間(現在値)が短くなるように、又は維持されるように、候補車両4aの走行を支援する。これにより、候補車両4aを提案してから候補車両4aが承諾されるまでの間において、ユーザの乗車までの待ち時間が長くなることがないように、候補車両4aの動きを誘導することができる。よって、候補車両4aの提案から候補車両4aの承諾までの間に候補車両4aの位置が変化することによって、ユーザの待ち時間が長くなることを抑制できる。
【0086】
コントローラ12は、候補車両4aを提案した時の候補車両4aの位置から乗車予定場所まで候補車両4aが移動するのに必要な時間である初期移動時間(初期値)を算出し、候補車両4aを提案してから候補車両4aが承諾されるまでの間において、移動時間(現在値)が初期移動時間(初期値)以下になるように、候補車両4aの走行を支援する。これにより、ユーザの乗車までの待ち時間が、候補車両4aを提案した時の待ち時間も長くなることがないように、候補車両4aの動きを誘導することができる。
【0087】
候補車両4aの走行を支援することとは、移動時間が初期移動時間よりも長い場合(S56NO)、候補車両4aが乗車予定場所に向かって走行するように、候補車両の走行を支援することである(S62)。これにより、移動時間を短くして、最新の移動時間を初期移動時間以下へ変化させることができる。
【0088】
候補車両4aの走行を支援することとは、移動時間が初期移動時間以下である場合(S56でYES)、待機場に停車して待機するように候補車両4aの走行を支援することである。これにより、移動時間を初期移動時間以下に維持することができる。
【0089】
候補車両4aの走行を支援することとは、移動時間が初期移動時間以下である場合(S56でYES)、回遊するように候補車両4aの走行を支援することである。これにより、移動時間を初期移動時間以下に維持することができる。
【0090】
候補車両4aの走行を支援することとは、候補車両4aが走行するルートを設定し、設定したルートを候補車両4aへ出力する。これにより、ユーザの乗車までの待ち時間が、候補車両4aを提案した時の待ち時間も長くなることがないように、候補車両4aの動きを誘導することができる。
【0091】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0092】
走行支援サーバが走行を支援する対象は、走行中の候補車両4aに限らない。停車中の候補車両4aであっても、候補車両4aをユーザに提案してから候補車両4aがユーザにより承諾されるまでの間において、候補車両4aが走行を開始する可能性があれば、停車中の候補車両4aは、走行支援サーバ1が支援する対象に含まれる。
【0093】
また、移動時間が初期移動時間以下である位置で停車している候補車両4aは、走行支援サーバ1が支援する対象となる。具体的には、候補車両4aの移動時間が初期移動時間以下になるようなルートを設定し、候補車両4aに対して、当該ルートに沿って走行することを指示してもよい。
【0094】
上述した実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理装置は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。
【符号の説明】
【0095】
1 走行支援サーバ
2 輸送サービス提供サーバ
3 携帯情報端末(ユーザ)
4 車両
4a、4b、4c 候補車両
11 通信部
12 コントローラ