IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイチアイ エルエルシーの特許一覧

特許7236534非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A61B5/00 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021514282
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2018062777
(87)【国際公開番号】W WO2019221784
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/673,065
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/687,659
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/051,462
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/058580
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520449150
【氏名又は名称】エイチアイ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】HI LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ド ヴァーレ
(72)【発明者】
【氏名】ロン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ダール
(72)【発明者】
【氏名】フザム カトナニ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン フィールド
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-124380(JP,A)
【文献】特開2006-297125(JP,A)
【文献】特開2012-223523(JP,A)
【文献】MORA Albert Dalla et al.,”Towards next-generation time-domain diffuse optics for extreme depth penetration and sensitivity”,Biomedical Optics Express,2015年05月01日,Vol. 6、No. 5,pp. 1749-1760
【文献】TOSI A.,”Fast-gated single-photon avalanche diode for extremely wide dynamic-range applications”,Proceedings of SPIE、Design and Quality for Biomedical Technologies II,2009年02月23日,Vol. 7170,pp. 71700K-1 - 71700K-11
【文献】BELLIS Stephen et al.,”Photon counting imaging: the Digital APD”,Proceedings of SPIE、Sensor, Cameras, and Systems for Scientific / Industrial Applications VII,2006年02月06日,Vol. 6068,pp. 60680D-1 - 60680D-10
【文献】DRAGOJEVIC Tanja et al.,”Compact, multi-exposure speckle contrast optical spectroscopy (SCOS) device for measuring deep tissue blood flow”,Biomedical Optics Express,2018年01月01日,Vol. 9、 No. 1,pp. 322-334
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に装着されるように構成されるヘッドギアと、
該ヘッドギアに取り外し可能に取り付けられるように構成されて、各々が前記使用者の脳内の標的から反射された後の光の光子を検出するように構成される複数の光検出器を備える、独立した複数の光検出部と、
複数の配線によって前記光検出部の各々と通信可能に結合して前記光検出部を制御するように構成される主制御部と、
該主制御部と前記光検出部用の電源を備え、
前記主制御部は、前記電源からの電力を供する電力ケーブルに接続するように構成され
る入力電力ポートを備え、
前記複数の光検出部に含まれる光検出器は、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、前記SPADが待機状態である間には、電源のバイアス電圧によって充電され、かつ、前記SPADが動作状態にされるときには、前記SPADにかかる電圧が前記SPADの破壊電圧よりも大きくなるように前記SPADの出力ノードへ前記バイアス電圧を供給するように構成されるキャパシタを有する、
非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステム。
【請求項2】
前記光を発生させるように構成される光源をさらに備える、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項3】
前記光源は、前記光検出部の各々内に含まれる独立の光源を含む、請求項2に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項4】
前記光源は前記主制御部内に含まれる、請求項2に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項5】
前記ヘッドギアは複数の切り抜き部を備え、
前記光検出部は前記切り抜き部内で適合するように構成される、
請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項6】
前記複数の切り抜き部内に含まれる各切り抜き部は、前記ヘッドギア内に埋め込まれる剛性輪によって取り囲まれ、かつ、前記ヘッドギアへの前記光検出部の取り付けを容易にするように構成される、請求項5に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項7】
前記ヘッドギアは複数の突出部を有し、かつ、
前記光検出部は、前記突出部に取り付けられるように構成される、
請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項8】
前記突出部の各々は、前記ヘッドギアへの前記光検出部の取り付けを容易にするように構成される剛性輪を有する、請求項7に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項9】
前記配線の少なくとも一部は、前記光検出部から前記ヘッドギア内の前記主制御部へ貫通する、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項10】
前記主制御部は、前記ヘッドギア内部に設けられる、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項11】
前記主制御部は、前記使用者の頭部以外の場所に装着されるように構成される、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項12】
前記電源は、前記使用者の頭部以外の場所に装着されるように構成される、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項13】
前記電源は、前記使用者の肩又はウエストに装着されるように構成される、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項14】
前記主制御部は、前記光の光子を検出するように前記光検出部の各々を駆動することによって前記光検出部を制御する、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項15】
前記ヘッドギアは、キャップ、つばなし帽子、ヘルメット、又はヘッドバンドによって実装される、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項16】
前記キャパシタは、前記電源から切り離されている間に、前記バイアス電圧を前記SPADの前記出力ノードに供給する、請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項17】
前記光検出器はさらに、前記SPADの入力ノードに接続され、かつ、前記入力ノードに逆バイアス電圧を供給するように構成されるさらなる電源と、スイッチ構成とを備え、
前記逆バイアス電圧は前記SPADの破壊電圧以下の大きさを有し、前記電源は、前記キャパシタと選択的に接続して前記キャパシタを前記バイアス電圧で充電し、前記バイアス電圧は、前記さらなる電源によって供給される前記逆バイアス電圧の大きさ未満の大きさを有する過剰バイアス電圧で、
前記スイッチ構成は、前記キャパシタが前記過剰バイアス電圧によって充電され、かつ、前記電源から切り離されている間に、前記キャパシタを前記SPADの出力ノードに接続することによって前記SPADを動作状態にするように構成され、
前記キャパシタが前記SPADの前記出力ノードに接続されるときには、前記キャパシタは、前記SPADにかかる電圧が前記破壊電圧よりも大きくなるように前記SPADの前記出力ノードへ前記過剰バイアス電圧を供給する、
請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項18】
前記キャパシタが前記SPADの出力ノードに接続され、
前記電源は、前記キャパシタと選択的に接続して前記キャパシタを前記バイアス電圧で充電し、前記バイアス電圧は前記SPADの破壊電圧以下の大きさを有し、
前記光検出器はさらに、前記バイアス電圧の大きさ未満の大きさを有する逆過剰バイアス電圧を供給するように構成されるさらなる電源と、前記キャパシタが前記バイアス電圧によって充電され、かつ、前記電源から切り離されている間に、前記さらなる電源を前記SPADの入力ノードに接続することによって前記SPADを動作状態にするように構成されるスイッチ構成を備える、
請求項1に記載の脳インターフェースシステム。
【請求項19】
複数の切り抜き部を備え、使用者の頭部に装着されるように構成されるヘッドギアと、
該ヘッドギアに取り外し可能に取り付けられるように構成されて、かつ、前記切り抜き部の内部で適合するように構成されて、光を発生させる光源及び前記使用者の脳内の標的から反射された後の前記光の光子を検出するように構成される複数の光検出器を有する独立した複数の光検出部と、
複数の配線によって前記光検出部の各々と通信可能に結合して前記光検出部を制御するように構成される主制御部と、
前記使用者の前記頭部以外の場所に装着され、前記主制御部と電力ケーブルよって接続して、前記主制御部と前記光検出部用の電力を供するように構成される電源とを備え、
前記複数の光検出部に含まれる光検出器は、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、前記SPADが待機状態である間には、電源のバイアス電圧によって充電され、かつ、前記SPADが動作状態にされるときには、前記SPADにかかる電圧が前記SPADの破壊電圧よりも大きくなるように前記SPADの出力ノードへ前記バイアス電圧を供給するように構成されるキャパシタを有する、
非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、2018年10月31日に出願されたPCT国際出願PCT/US18/58580の優先権を主張する。PCT国際出願PCT/US18/58580は、2018年7月31日に出願された米国特許出願16/051 ,462号の優先権を主張し、米国特許出願16/051 ,462号は、それぞれ2018年5月17日と2018年6月20日に出願された米国仮特許出願62/673,065号と62/687,659号の優先権を主張する。これらの出願は本願の一部として組み込まれる。
【0002】
脳内での神経活動の検出は、医療診断、イメージング、神経工学、脳―コンピュータのインターフェース、並びに、様々な他の診断及び消費者関連用途にとって有用である。たとえば脳の特定の領域が、血液洗浄の減少、出血、又は任意の他の型の損傷によって衝撃を受けたのか否かを判断するには患者の脳内の神経活動を検出することが望ましいと考えられる。他の例として、使用者の脳内での神経活動を検出して、その神経活動をコンピュータで、(たとえばコンピュータスクリーン上でカーソルを制御し、テレビのチャネルを変更し、電気のスイッチをオンにする等によって)様々な種類の消費者向け電子機器を制御することが可能な命令に復号することが望ましいと考えられる。
【0003】
単一光子(つまり光エネルギーの単一粒子)を検出できる光検出器は、脳内での神経活動を検出するのに利用可能な非侵襲的検出期の一例である。たとえばこれらの感受性を有する光検出器のアレイは、1つ以上の光パルスの印加に応じて脳内の細胞で反射される光子を記録することができる。光子が光検出器によって検出されるのに要する時間に基づいて、脳の神経活動と他の属性が判断又は推定され得る。
【0004】
半導体系単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を用いる光検出器は、非常に高い到達時間分解能(数十ピコ秒)で個々の光子を捕獲することができる。光子がSPADによって吸収されるとき、これらのエネルギーは、束縛された荷電粒子(電子と正孔)を解放して、その後その荷電粒子は自由担体対となる。ダイオードに印加される逆バイアス電圧によって生成される電場が存在することで、これらの自由担体は、増倍領域と呼ばれるSPADの領域を介して加速される。自由担体が増倍領域を通り抜けるように通り抜けることで、その自由担体は半導体の原子格子内に束縛される他の担体と衝突する。それにより衝突電離と呼ばれる過程を介してより多くの自由担体が生成される。これらの新たな自由担体もまた、印加電場によって加速され、より多くの自由担体を生成する。このアバランシェ事象は検出可能で、光子の到達時間を判断するのに利用できる。
【0005】
単一光子の検出を可能にするため、破壊電圧よりも大きな逆バイアス電圧でSPADはバイアス印加される。破壊電圧とは、超えると自由担体の生成が自己持続的となり、その結果として逃走アバランシェとなるバイアスレベルである。このSPADのバイアス印加は、デバイスの始動と呼ばれる。SPADが始動されるとき、単一光子の吸収によって生成される単一の自由担体は逃走アバランシェを生じさせ、その結果容易に検出可能な巨視的電流が発生する。
【0006】
従来のSPADアーキテクチャは、活性状態の電源によって生成されるゲート信号によってSPADを選択的にバイアス印加することによってSPADにゲートを構成する(つまりSPADを動作状態及び待機状態にする)。活性状態の電源を用いてSPADのゲートを構成することは不利益なことに、光検出器の出力にノイズを導入し、相対的に大きな電力を消費し、隣接するSPADアーキテクチャ内に供給電圧リップルを導入し、かつ、他の望ましくない効果を生じさせてしまう恐れがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は様々な実施形態を表し、明細書の一部を構成する。図示された実施形態は単なる例であり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面全体を通じて、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の構成要素を指す。
図1】当技術分野で知られている従来のSPADアーキテクチャを示している。
図2】本願で説明する原理による典型的な高速ゲート光検出器内に含まれる様々な構成要素を表している。
図3A】本願で説明する原理による典型的な光検出器システムを表している。
図3B】本願で説明する原理による光検出器システムを実装する典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを示している。
図4A】本願で説明する光検出器アーキテクチャで用いられ得る典型的なSPAD回路を示している。
図4B】本願で説明する光検出器アーキテクチャで用いられ得る他の典型的なSPAD回路を示している。
図5】本願で説明する原理による図4AのSPAD回路の典型的な動作モードを表すフローチャートである。
図6図4AのSPAD回路の典型的なスイッチ状態を示している。
図7図4AのSPAD回路の典型的なスイッチ状態を示している。
図8】本願で説明する原理による光パルスの発生とプログラマブルゲート遅延との間での関係を表す典型的なタイミング図を示している。
図9】A-Fは、本願で説明する任意のスイッチを実装可能な様々な回路を示している。
図10A】本願で説明する原理によるインバータの典型的な実施形態を表している。
図10B】本願で説明する原理によるコンパレータの典型的な実施形態を表している。
図11A】本願で説明する光検出器アーキテクチャで用いられ得る他の典型的なSPAD回路を示している。
図11B】本願で説明する光検出器アーキテクチャで用いられ得る他の典型的なSPAD回路を示している。
図12】本願で説明する原理による図11AのSPAD回路の典型的な動作モードを表すフローチャートである。
図13図11AのSPAD回路の典型的なスイッチ状態を示している。
図14図11AのSPAD回路の典型的なスイッチ状態を示している。
図15図11AのSPAD回路の代替回路トポロジーを示している。
図16図11AのSPAD回路の代替回路トポロジーを示している。
図17図11AのSPAD回路の代替回路トポロジーを示している。
図18図11AのSPAD回路の代替回路トポロジーを示している。
図19図11AのSPAD回路の代替回路トポロジーを示している。
図20図11AのSPAD回路の代替回路トポロジーを示している。
図21】本願で説明する原理による典型的な方法を表している。
図22】本願で説明する原理による他の典型的な方法を表している。
図23】本願で説明する原理による典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを表している。
図24】本願で説明する原理による典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを表している。
図25】本願で説明する原理による典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを表している。
図26】本願で説明する原理による典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを表している。
図27】本願で説明する原理による典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを表している。
図28】本願で説明する原理による典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを表している。
図29】本願で説明する原理による典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを表している。
【発明の実施するための形態】
【0008】
非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムについて本願では説明する。たとえば典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムは、使用者の頭部に装着されるように構成されるヘッドギアと、(たとえばヘッドギア内に含まれる切り抜き部内で適合する、ヘッドギアの突出部又は埋め込み筐体に取り付ける、あるいは他の任意の適切な方法によって)該ヘッドギアに取り外し可能に取り付けられるように構成される独立した複数の光検出部を備える。光検出部の各々は、使用者の脳内の標的から反射された後の光の光子を検出するように構成される複数の光検出器を備える。脳インターフェースシステムは、複数の配線によって光検出部の各々と通信可能に結合して光検出部を制御するように構成される主制御部をさらに備える。主制御部は、該主制御部と光検出部用の電源からの電力を供する電力ケーブルに接続するように構成される入力電力ポートを備える。
【0009】
他の典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムは、使用者の頭部に装着されるように構成されるヘッドギアと、該ヘッドギアに取り外し可能に取り付けられるように構成される独立し複数の光検出部を備える。光検出部の各々は、使用者の脳内の標的から反射された後の光の光子を検出するように構成される複数の光検出器を備える。複数の光検出器内に含まれる光検出器は、SPADとキャパシタを有する。キャパシタは、SPADが待機状態にある間に電源によるバイアス電圧によって充電されるように構成される。キャパシタはさらに、SPADが動作状態にされるときに、SPADにかかる電圧がSPADの破壊電圧よりも大きくなるようにバイアス電圧をSPADの出力ノードへ供給するように構成される。
【0010】
他の典型的な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムは、使用者の頭部に装着されるように構成されるヘッドギアと、該ヘッドギアに取り外し可能に取り付けられ、かつ、ヘッドギア内に含まれる切り抜き部内で適合するように構成される独立し複数の光検出部を備える。光検出部の各々は、光を発生させる光源と、使用者の脳内の標的から反射された後の光の光子を検出するように構成される複数の光検出器を備える。脳インターフェースシステムは、複数の配線によって光検出部の各々と通信可能に結合して光検出部を制御するように構成される主制御部をさらに備える。脳インターフェースシステムは、使用者の頭部を外して装着され、電源ケーブルによって主制御部に接続されて主制御部と光検出部に電力を供するように構成される電源を備える。
【0011】
本願で説明される非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムは、従来の脳インターフェースシステムと比較して様々な便益と利点を供する。たとえば非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムは、使用者の脳内での神経活動を検出するのに有効であると同時に使用者にとって便利かつ相対的に快適に装着できる。たとえば使用者は、日常活動―たとえばウォーキング、エクササイズ、仕事等―をしている間でも本願で説明される非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムを装着できる。本願で説明される非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムはまた、本願で説明される高速ゲート光検出器アーキテクチャに関連して説明される様々な便益を供し、「リアルタイムでの」神経測定をも供してよい。
【0012】
高速ゲート光検出器アーキテクチャについても本願で説明する。本願で説明される光検出器アー、キテクチャは、本願で説明される非侵襲で装着可能なインターフェースシステムによって実装され、かつ、不感時間、アフターパルス、電力消費、及び、時間揺らぎ(ジッター)を抑制しながらSPADの高速ゲートを実現するのに用いられ得る。従って本願で説明される光検出器アーキテクチャは、光検出の信号対雑音比を増大させることで、従来の光検出器と比較して時間分解能と空間分解能を改善することができる。本願で説明される光検出器アーキテクチャの上記及び他の利点は、以降でより詳細に説明する。
【0013】
図1は、従来の光検出器で用いることが可能な当技術分野で既知の従来型SPADアーキテクチャを示している。図1では、ゲート電圧VGATEによって生成されるゲート信号が、SPADの出力ノードに印加される。ゲート信号は、地電位と過剰バイアス電圧との間で切り替わる。ゲート信号が地電位に等しいとき、SPADにかかる電圧はSPADの破壊電圧以下である。このことはSPADが、アバランシェ事象を起こせない待機状態すなわち「オフ」状態であることを意味する。ゲート信号が過剰バイアス電位に等しいとき、SPADにかかる電圧はSPADの破壊電圧よりも大きい。このことはSPADが、内部で光子が検出可能なアバランシェ事象を引き起こすことが可能な起動状態すなわち「オン」状態であることを意味する。
【0014】
SPADが動作状態である間、SPADに入射する光子は、SPAD内部でアバランシェ事象を引き起こすことができる。アバランシェ事象が起こるとき、電流は、キャパシタC及び抵抗器RとRに流れ始める。その結果SPADの陽極での電圧が増加する。これによりSPADにかかる電圧は減少する。SPADにかかる電圧がSPADの破壊電圧を下回って減少するとき、アバランシェ事象は止まる。この過程は受動的クエンチングと呼ばれる。
【0015】
多数の不利益は、図1に示された従来のSPADアーキテクチャに関連する。たとえばSPADのゲート効果は電源VGATEによって実行されるので、SPADを起動するのに必要な時間は瞬時ではない。むしろSPADを起動するのに必要な時間は、電源VGATEによって供給されるゲート信号の立ち上がり時間(つまりゲート信号が地電位から過剰バイアス電圧へ向かうまでの時間)に依存する。ゲート信号の立ち上がり時間段階中に光子がSPADに衝突する場合、SPADは起動されないので光子を検出できない。従ってゲート信号の立ち上がり時間中に光検出器によって収集されるデータは歪められるので廃棄せざるを得なくなる。
【0016】
しかも図1に示された従来のSPADアーキテクチャによって実行される受動的クエンチングは相対的に遅い過程である。SPADが受動的にクエンチングされる間、SPADの出力ノードが電源VGATEに接続されたままであるので、アバランシェ事象が受動的にクエンチングされる前に相対的に大きな電流(であるため電力)がSPADアーキテクチャによって消費される。受動的クエンチングの過程が相対的に遅いことで、SPADにおけるトラップ回数とアフターパルスも大きくなる恐れがある。
【0017】
図1の従来のSPADの他の不利益は、光検出器アレイに全体にわたって意図しない供給電圧リップルである。たとえば光検出器アレイ中の各光検出器は、図1の従来のSPADを有してよい。この構成では、アバランシェ事象が特定のSPAD内部で起こるとき、SPADの電源(たとえばVGATE)からSPADへ大きな電流が流れることで、光検出器アレイ中の他のSPADによってわかる電圧で電圧のばらつきを生じさせる恐れがある。これらの電圧のばらつきは、所与の光検出器アレイ内でのSPADの個数が増加することでさらに悪化し、SPADパラメータ(たとえば光子を検出する確率、暗電流、タイミング等)のばらつきを引き起こす恐れがある。
【0018】
対照的に、本願で説明される光検出器アーキテクチャ内のSPADは、活性状態の電源-たとえばVGATE-によって直接ゲート作用を受けない。むしろ本願で説明される典型的なSPADは、SPADを起動させる命令が供される前にバイアス電圧によって充電される前のキャパシタによってゲート作用を受ける。活性状態の電源ではなくキャパシタによってSPADのゲート作用を起こすことは、多数の利点と便益を有する。
【0019】
たとえばキャパシタによるゲート作用を受けるSPADは、活性状態の電源によってゲート作用を受けるSPADと比較して実質的に瞬時に動作可能である。これは、SPADを起動する命令が供されるときにキャパシタはバイアス電圧によって既に充電されるからである。本願で説明される光検出器アーキテクチャによって供される立ち上がり時間が急峻(つまり高速)にすることで、深さ分解能を改善し(つまりSPADはより高い精度で動作可能となることで、光子が脳内の所望の深さに位置する標的で反射されるのに予想される時間でSPADを動作させるようにする機能を改善)、ノイズ(つまりSPADが完全に動作状態に遷移する前に収集されたため破棄しなければならない不良データ)を減少させることが可能となる。
【0020】
さらにキャパシタによるゲート作用を受けるSPADを備えるSPADアーキテクチャは、活性状態の電源によってゲート作用を受けて受動的クエンチングが可能なSPADを備える従来のSPADアーキテクチャよりも電流(つまりは電力)を消費しないことが可能である。これは、SPADがアバランシェ事象中に消費すると考えられる最大電流がキャパシタによって蓄電される電荷によって制限されるからである。SPADアーキテクチャの電力消費を抑制することによって、本願で説明されるSPADアーキテクチャは、少ない供給電力でSPADアーキテクチャ動作させることが可能になる(これは装着可能デバイスでは特に有利である)。しかもSPADアーキテクチャの電力消費を抑制することによって、長時間にわたるSPADアーキテクチャへの負荷が小さくなる。その結果、SPADアーキテクチャ内部での構成要素の寿命が長くなり得る。
【0021】
キャパシタによるゲート作用を受けるSPADはまた、活性状態の電源によってゲート作用を受けるSPADに係る供給電圧リップルの問題をも緩和する。これは、本願で説明されるSPADアーキテクチャ中のSPADは、すべての活性状態の電源から切り離される。したがって本願で説明されるSPADアーキテクチャは、同一の光検出器アレイ内に含まれる他のSPADアーキテクチャから分離され、他のSPADアーキテクチャの性能に影響を及ぼさない。この分離の結果、計数のばらつきが減少して、検出効率と感度が改善される。本願で説明される光検出器アーキテクチャによって供され得る上記及び他の便益並びに/又は利点は以降の詳細な説明によって明らかになる。
【0022】
図2は、典型的な高速ゲート光検出器202内に含まれる様々な構成要素を表している。図示されているように、光検出器202は、SPAD回路204、制御回路206、時間―デジタル変換器(TDC)208、及び信号処理回路210を備える。
【0023】
SPAD回路204は、SPAD、及び、SPADに入射する光子を検出するように協働するように構成される様々な他の電気的構成要素を備えてよい。後述するように、SPAD回路204は、光子を検出するときに出力パルスを生成し得る。SPAD回路204の様々な実施形態について以降で詳述する。
【0024】
制御回路206は、用途特定集積回路(ASIC)又はSPAD回路204内部の様々な構成要素の動作を制御するように構成される他の任意の適切な回路によって実装されてよい。たとえば以降で詳述するように、制御回路206は、SPAD回路204内部の1つ以上のスイッチの動作を制御する制御ロジックを出力することで、SPAD回路204内部のキャパシタを選択的に充電し、かつ、SPAD回路204内に含まれるSPADを動作状態又は待機状態にし得る。一部の例では、制御回路206は、光パルス(つまりレーザーパルス)の発生後にSPADを動作状態にするまでに制御回路が待つ所定の時間の長さを特定するゲート遅延を制御してよい。このため制御回路206は、光パルスが起こる時間(たとえば光パルスが脳内の組織に印加されるとき)を示唆する光パルスタイミング情報を受けてよい。制御回路206はまた、待機状態になる前にSPADが動作状態が維持される期間を特定するプログラマブルゲート幅をも制御してよい。
【0025】
制御回路206はさらに、信号処理回路210を制御するように構成される。たとえば制御回路206は、ヒストグラムパラメータを信号処理回路210へ供してよい。信号処理回路210は、ヒストグラムパラメータに従ってヒストグラムデータを生成してよい。
【0026】
TDC208は、SPAD回路204によって生成される出力パルスの発生と光パルスの発生との間の時間差を測定するように構成される。このためTDC208はまた、制御回路206が受け取る同一の光パルスタイミング情報を受け取ってもよい。TDC208は、特定の実施形態を供し得る任意の適切な回路によって実装されてよい。
【0027】
信号処理回路210は、TDC208によって出力されるデータに1つ以上の信号処理操作を実行するように構成される。たとえば信号処理回路210は、TDC208によって出力されるデータに基づき、かつ、制御回路206によって供されるヒストグラムパラメータに従ってヒストグラムデータを生成してよい。図示されているように、信号処理回路210は、TDC208によって出力されるデータに基づくヒストグラムを生成、記憶、送信、圧縮、解析、復号、及び/又は処理してよい。一部の例では、信号処理回路210は、処理済みデータを制御回路206へ供してよい。制御回路206は、任意の適切な方法で処理済みデータを用いてよい。
【0028】
図3Aは典型的な光検出器システム300を表している。図示されているように、光検出器システム300は、光源302、及び、プリント回路基板(PCB)306上に設けられる複数のSPAD回路304(つまりSPAD回路304-1~304-16)を備える。あるいはその代わりにSPAD回路304(及び光検出器システム300の他の構成要素)がASIC上に設けられてよい。光検出器システム300は、複数のSPAD304に共通の制御回路308、複数のSPAD304に共通の信号処理回路310、及び、各々が複数のSPAD304のうちの一に対応する複数のTDCを含むTDCアレイ312をさらに備える。制御回路308、信号処理回路310、及びTDCアレイ312の各々は、図3Aに示されているようにPCB306上に設けられてよく、あるいは、光検出器システム300内部の他の場所に設けられてよい。TDCアレイ312内に含まれるTDC、制御回路308、及び信号処理回路310と併用される各SPAD回路304は、特定の光検出器を実装してよい。従って光検出器システム300は、光検出器のアレイを含むと考えてもよい。
【0029】
光源302は、所望の標的(たとえば脳内の標的)に印加可能な1つ以上の波長で1つ以上の光パルスを生成するように構成されてよい。光源302は、複数の構成要素の任意の適切な組み合わせによって実装されてよい。たとえば光源302は、レーザーパルスを生成するレーザー光源によって実装されてよい。
【0030】
SPAD回路304の各々は、動作の点ではSPAD回路204と類似し、標的(たとえば脳組織のような使用者の内部の標的)から反射された後光源302によって生成される光パルスの光子を検出するように構成されてよい。SPAD回路304はまた、イメージング用の周辺光に起因して対象物から反射される光子を検出するのにも用いられてよい。この場合では、光子は周辺光又は他の光源によって生成されるので、光源302は必要ない。
【0031】
図示されているように、SPAD回路304は、PCB306上で4×4のアレイで配置される。各SPAD回路304の位置はたとえば、画素アレイ内部の1つの画素に対応してよい。あるいはその代わりにSPAD回路304は任意の適切な方法で配置されてよい。図3Aでは16のSPAD回路304が示されているが、任意の個数のSPAD回路304が光検出器システム300内に含まれてよいことに留意して欲しい。
【0032】
制御回路308は、機能の点で制御回路206と類似し、SPAD回路304の各々を制御するように構成されてよい。信号処理回路310は、機能の点で信号処理回路210と類似し、SPAD回路304の各々によって出力される信号を処理するように構成されてよい。TDCアレイ312は複数のTDC208を含んでよい。複数のTDC208の各々は、光パルス302の発生とSPAD回路304の各々によって生成される出力パルスとの間での時間差を測定するように構成される。
【0033】
光検出器システム300は、任意の適切なデバイスによって実装されてよく、あるいは、任意の適切なデバイス内に含まれてよい。たとえば光検出器システム300は、使用者が装着して1つ以上の診断操作、イメージング操作、及び/又は消費者関連操作を実行することが可能な非侵襲で装着可能なデバイス内に含まれてよい。
【0034】
図示されているように、図3Bは、光検出器システムを実装する非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステム320(「脳インターフェースシステム320」)を示している。光検出器システムは光検出器システム300と類似であってよい。図示されているように、脳インターフェースシステム320は、患者の頭部に取り付けられるように構成されるヘッドマウント構成要素322を有する。ヘッドマウント構成要素322は、複数の光検出器324、及び、光パルスを生成するように構成される複数の光源326を有する。一部の代替実施形態では、ヘッドマウント構成要素322は、単一の光検出器324及び/又は単一の光源326を有してよいことに留意して欲しい。たとえば脳インターフェースシステム320は、光路を制御し、かつ、深い位置の脳組織の光学特性を表す強度値へ光検出器の画素測定を変換するのに用いられてよい。表層の組織構造又は光学的に透明な構造しか撮像できない従来のイメージングシステム及び方法(たとえば光干渉断層撮影(OCT))とは対照的に、脳インターフェースシステム320は、深い標的位置に起因する光子からのデータを抽出することによって皮膚と骨を介して深い器官の位置の光学的検出を可能にする。
【0035】
脳インターフェースシステム320は、通信リンク330によって光検出器324及び光源326と通信する(たとえば制御及び/又は信号を受信する)ように構成される処理装置328をさらに備えてよい。通信リンク330は、任意の適切な有線通信リンク及び/又は無線通信リンクを含んでよい。処理装置328は、任意の適切な筐体を有し、かつ、望ましいと考えられる患者の頭皮、首、肩、胸、又は腕に設けられてよい。一部の変形例では、処理装置328は、光検出器324と光源326と同一のアセンブリ筐体内に一体にされてよい。
【0036】
図示されているように、脳インターフェースシステム320は任意で、処理装置328と通信する遠隔処理装置332を有してよい。たとえば遠隔処理装置332は、過去の検出期間からの光検出器324及び/又は処理装置328からの測定データを記憶してよい。光検出器324、光源326、及び/又は処理装置328の電力は、装着可能なバッテリー(不図示)を介して供されてよい。一部の例では、処理装置328とバッテリーは1つの筐体内に封止され、かつ、処理装置328及びバッテリーからの電力信号を伝える配線は、光検出器324及び光源326まで延びてよい。あるいはその代わりに電力は無線で(たとえば誘導によって)供されてもよい。
【0037】
さらに又は代わりに、本願で説明される光検出器システムを実装し得る脳インターフェースシステムについて以降でより詳細に説明する。
【0038】
あるいはその代わりに光検出器システム300は、装着不可能なデバイス(たとえば1つ以上の診断操作、イメージング操作、及び/又は消費者関連操作を実行するように使用者の頭部又は他の身体の一部の付近に設けられる医療デバイス及び/又は消費者向けデバイス)内に含まれてよい。あるいはその代わりに光検出器システム300は、装着可能な侵襲性デバイス(たとえば脳の記録及び撮像用の移植可能な医療装置)のサブアセンブリ封止体内に含まれてよい。
【0039】
本願で説明される光検出器アーキテクチャ内で用いられ得る様々なSPAD回路についてここで説明する。本願で説明されるSPAD回路の各々は、SPADを動作される命令が供される前にバイアス電圧によって事前に充電されるキャパシタ(場合によってはSPAD自身の寄生容量)によるゲート作用を受ける。
【0040】
図4Aは、本願で説明される光検出器アーキテクチャ内で用いられ得る典型的なSPAD回路400を示している。図示されているように、SPAD回路400は、SPAD402、電源404-1と404-2、キャパシタ406、複数のスイッチ408(つまりスイッチ408-1,408-2,408-3)、抵抗器410、及びインバータ412を有する。
【0041】
図示されているように、電源404-1は、SPAD402の入力ノード414(陽極とも呼ばれる)に接続される。電源404-1は、入力ノード414に逆バイアス電圧を供給するように構成される任意の適切な電源を有してよい。逆バイアス電圧は、SPAD402の破壊電圧以下の大きさを有する。一部の例では、電源404-1によって供給される逆バイアス電圧の大きさは、SPAD402の破壊電圧よりも所定量だけ小さい。たとえば電源404-1によって供給される逆バイアス電圧の大きさは、SPAD402の破壊電圧の1~2ボルトの範囲内であってよい。SPAD402の典型的な破壊電圧は20ボルトである。従って電源404-1によって供給される逆バイアス電圧の典型的だが排他的ではない大きさは18~19ボルトである。
【0042】
電源404-2は、任意の適切な活性状態の電源を含んでよく、かつ、スイッチ408-3によってキャパシタ406と選択的に接続されるように構成される。たとえば電源404-2は、スイッチ408-3が閉じられているときにキャパシタ406に接続され、かつ、スイッチ408-3が開いているときにキャパシタ406から切り離される。電源404-2がキャパシタ406に接続されるとき、電源404-2は過剰バイアス電圧によってキャパシタ406を充電する。一部の例では、過剰バイアス電圧は、SPAD402の破壊電圧以下(たとえば電源404-1によって供給される逆バイアス電圧の大きさ未満)の大きさを有する。たとえば過剰バイアス電圧は2~5ボルトであってよい。しかし過剰バイアス電圧は、特定の実施形態を供し得る他の任意の適切な値を有してよい。
【0043】
一部の例では、過剰バイアス電圧は、SPAD402の寄生容量を補償する値に設定されてよい。キャパシタ406がSPAD402に接続されるとき、キャパシタ406上の電荷の一部はSPAD402の寄生容量に移されることに留意して欲しい。従って過剰バイアス電圧は、SPAD402の寄生容量が充電された後でもSPAD402にかかる全電圧がSPAD402の破壊電圧を超えることを保証するように設定されてよい。
【0044】
スイッチ408(本願では「スイッチ構成」とも呼ばれる)は、選択的にSPAD402を動作及び待機させるように構成される。たとえば以降で表されているように、キャパシタ406が過剰バイアス電圧によって充電され、かつ、電源404-2から切り離されている間に、スイッチ408-1と408-2は、キャパシタ406をSPAD402の出力ノード416へ接続することによってSPAD402を動作状態にし得る。図示されているように、キャパシタ406は、抵抗器410によって出力ノード416に接続されてよい。一部の代替実施形態では、抵抗器410は、SPAD402と電源404-1との間で接続される。さらに他の代替実施形態では、抵抗器410はSPAD回路400内には含まれず、かつ、キャパシタ406は出力ノード416に直接接続されてよい。
【0045】
キャパシタ406が出力ノード416に接続されるとき、キャパシタ406は、過剰バイアス電圧を出力ノード416へ供給する。これにより、SPAD402にかかる電圧はSPAD402の破壊電圧よりも大きくなることで、SPAD402は動作状態になる。たとえば、SPAD402の破壊電圧が20ボルトである場合に入力ノード414で電源404-1によって供給される逆バイアス電圧は―18ボルトで、キャパシタ406が十分に充電されるときに出力ノード416でキャパシタ406によって供給される過剰バイアス電圧は3ボルトで、SPAD402にかかる電圧は21ボルトである。これはSPAD402の破壊電圧よりも大きい。
【0046】
キャパシタ406は任意の適切なサイズ(つまり容量)であってよい。一部の例では、キャパシタ406のサイズは、アバランシェ中にSPAD402を流れる電流を減少させるため、相対的に小さくてよい。これにより、電力消費、クエンチング時間、アフターパルス、及び揺らぎ(ジッター)が減少する。
【0047】
スイッチ408-1と408-2は、キャパシタ406をSPAD402の出力ノード416から切り離し、かつ、SPAD402の出力ノードを地電位へ接続することによって待機状態にしてよい。この構成では、SPAD402にかかる電圧は逆バイアス電圧の大きさに実質的に等しい。逆バイアス電圧はSPAD402の破壊電圧未満である。
【0048】
インバータ412は、SPAD402が動作状態にある間に光子がSPAD402に衝突するときに出力パルスを生成するように構成される。光子がSPAD402内部でのアバランシェを引き起こすとき、SPAD402はキャパシタ406からの電流を引き寄せる。その結果キャパシタ406はゼロにまで放電される。キャパシタ406が放電されることで、出力ノード416での電圧は減少する。出力ノード416での電圧があるレベルを下回って減少するとき、インバータ412はパルスを生成する。一部の例では、インバータ412への電力供給は、様々な閾値となるように調節可能である。
【0049】
図4Bは、インバータ412に代わってコンパレータ420がSPAD回路400内に含まれるSPAD回路400の代替実施形態を示している。コンパレータ420は、SPAD402が動作状態にある間に光子がSPAD402に衝突するときに出力パルスを生成するように構成される。このため、コンパレータ420は、負端子と正端子を有する。閾値電圧(V_threshold)は負の端子である。SPAD402が動作状態にあり、かつ、キャパシタ406が過剰バイアス電圧によって十分充電される間、この閾値電圧はSPAD402に係る電圧よりも小さい。コンパレータ420の正端子は、(たとえば抵抗器410によって)出力ノード416に接続される。光子がSPAD402内部でのアバランシェ事象を引き起こすとき、SPAD402はキャパシタ406からの電流を引き寄せる。その結果キャパシタ406はゼロにまで放電される。キャパシタ406が放電されることで、出力ノード416での電圧は減少する。出力ノード416での電圧がコンパレータ420の負端子の閾値電圧を下回って減少するとき、コンパレータ420はパルス出力パルスを生成する。
【0050】
図5は、SPAD回路400の典型的な動作モードを表すフローチャート500である。この例の説明のため、制御回路206はスイッチ408を制御することによってSPAD回路400を制御するように構成され、TDC208はインバータ412の出力に接続され、かつ、信号処理回路210はTDC208の出力に接続される。フローチャート500に示された1つ以上の操作は、制御回路206によって実行されてよい。操作502では、SPAD402が待機状態である間にキャパシタ406が過剰バイアス電圧によって充電される。SPAD402が待機状態である間に、スイッチ408-1を開いてSPAD402の出力ノード416をキャパシタ406から切り離し、スイッチ408-2を閉じてSPAD402の出力ノード416を地電位418へ接続し、かつ、スイッチ408-3を閉じて電源404-2をキャパシタ406へ接続する制御ロジックを供することによって、制御回路206はキャパシタ406を過剰バイアス電圧によって充電する。このスイッチ状態は図4Aに示されている。
【0051】
図4Aで示されているスイッチ状態の間では、電源404-2は、キャパシタ406を過剰バイアス電圧によって充電する。キャパシタ406が過剰バイアス電圧によって充電されることを制御回路206が検出するとき(Yes;判定ブロック504)、制御回路506は、キャパシタ406から電源404-2を切り離す(操作506)。これは、スイッチ408-1が依然として開かれ、かつ、スイッチ408-2が依然として閉じられている間にスイッチ408-3を開く制御ロジックを供する制御回路506によって実行される。このスイッチ状態は図6に示されている。
【0052】
操作508では、一旦キャパシタ406が過剰バイアス電圧によって充電されると、制御回路206はSPAD402を動作状態にする。このため制御回路206は、スイッチ408-1を閉じることでSPAD402の出力ノード416をキャパシタ406へ接続し、スイッチ408-2を開くことでキャパシタ406を地電位から切り離し、スイッチ408-3を開いたままにしておくことで電源404-2をキャパシタ406から切り離されたままにする制御ロジックを供する。このスイッチ状態は図7に示されている。図7に示されたスイッチ状態ではSPAD402は動作状態である。その理由はSPAD402にかかる電圧がSPAD402の破壊電圧よりも高いからである。
【0053】
一部の例では、制御回路206は、光パルス(たとえば光源302によって生成される光パルス)の発生後に所定時間が経過するまで待ってSPAD402を動作状態にする。このようにして、SPAD回路402は、使用者内の特定の深さ(たとえば使用者の脳内の特定の深さ)から到達する光子を検出するように構成されてよい。
【0054】
たとえば制御回路206は、プログラマブルゲート遅延を表すデータを保存してよい。プログラマブルゲート遅延は、制御回路206がSPAD402を動作状態にするのに光パルスの発生後に待つ所定期間を特定する。プログラマブルゲート遅延は、任意の適切な時間を特定するように使用者によって(たとえば制御回路206のソフトウエアインターフェース及び/又はハードウエアインターフェースを介して)プログラムされてよい。それに加えて又はその代わりに、プログラマブルゲート遅延は、信号処理回路によって決定されてよい。
【0055】
制御回路206は、SPAD402が動作状態である間に光パルスの発生を検出し(たとえば光パルスが生成される時間を特定する光パルスタイミング情報を受け取り)、光パルスの発生後、プログラマブルゲートによって特定される所定期間SPAD402を動作状態にすることによってプログラマブルゲート遅延を利用してよい。制御回路206はその代わりに、スイッチ408-2を開いたままにしながらスイッチ408-1と408-3を閉じることによって常に動作状態に設定されてよい。
【0056】
図8は、光パルスの発生と制御回路206によって利用されるプログラマブルゲート遅延との間での関係を表す典型的なタイミング図800を示している。図示されているように、光パルス802の列(たとえば光パルス802-1と802-2)が標的(たとえば使用者の脳内の組織)に印加されてよい。光パルス802が印加される典型的な周波数は40~100メガヘルツである。
【0057】
光パルス802の列の印加中、SPAD402は、制御回路406によって保存される1つ以上のタイミングパラメータ(たとえばプログラマブルゲート遅延、プログラマブルゲート幅等)に従って動作され、かつ、待機状態にされる。この動作及び待機状態はパルス波804によって表される。図示されているように、パルス波804がハイであるとき、SPAD402は動作状態である。パルス波804がローであるとき、SPAD402は待機状態である。
【0058】
図示されているように、SPAD402が待機状態にある間、各光パルス802は発生する(すなわち印加される)。各光パルス802は特定の時間で発生する。たとえば光パルス802-1は時間tで発生する。制御回路206によって保存されるプログラマブルゲート遅延は、SPAD402を動作状態にする制御データを出力するまでどの程度の期間制御回路206が待つのかを特定する。図8の例では、SPAD402は時間tで動作状態にされる。従ってプログラマブルゲート遅延はt-tに等しい。典型的なプログラマブルゲート遅延は0ピコ秒~4ナノ秒である。上述したように、待機状態から動作状態へのSPAD402に係る立ち上がり時間は相対的に速い(ほぼ瞬間)。その理由はSPAD402は、活性状態の電源ではなくキャパシタ406によってゲート作用を受けるからである。
【0059】
一部の例では、制御回路206はまた、プログラマブルゲート幅を表すデータをも保存してよい。プログラマブルゲート幅を表すデータは、SPAD402が待機状態になる前に動作状態が維持される期間を特定する。プログラマブルゲート幅は、任意の適切な時間を特定するように使用者によって(たとえば制御回路206のソフトウエアインターフェース及び/又はハードウエアインターフェースを介して)プログラムされてよい。それに加えて又はその代わりに、プログラマブルゲート幅は、信号処理回路210内で得られてよい。
【0060】
図8のタイミング図では、SPAD402は時間tで待機状態になる。従ってプログラマブルゲート幅は、この例ではt-tに等しい。ゲート幅を制御することによって、制御回路206は、後続の光パルスが発生する前に相対的に長い期間SPAD402が待機状態であることを保証し得る。これは有利となるようにアフターパルスを回避することができる。アフターパルスは、実際の光子の到達時間を示さないインバータ412による出力パルスを引き起こすことによって光検出器によって取得されるデータを改変してしまう恐れがある。
【0061】
したがって制御回路206が、プログラマブルゲート幅が満たされる(つまりプログラマブルゲート幅によって特定される所定期間が終了した)ことを検出する場合(Yes;判定ブロック510)、制御回路206は、スイッチ408-1を開いてSPAD402の出力ノード416をキャパシタ406から切り離し、スイッチ408-2を閉じてSPAD402の出力ノード416を地電位418に接続することによって、SPAD402を待機状態に戻す。図5の処理は後続の光パルスに対して繰り返され得る。たとえばSPAD402が待機状態である間、SPAD402が再度動作し、光パルス802-2からの光子を検出できるように、キャパシタ406は再度充電されてよい。
【0062】
一旦SPAD402が動作状態にされると、光パルスからの光子は、SPAD402内部でのアバランシェ事象を引き起こし得る。上述したように、SPAD402は、アバランシェ事象が起こっている間にキャパシタ406からの電流を引き寄せる。その結果出力ノード416での電圧は減少する。出力ノード416での電圧があるレベルを下回って減少するとき、インバータ412は出力パルスを生成する。
【0063】
TDC208は、インバータ412によって生成される出力パルスの発生と光パルス802-1の発生との間での時間差を任意の適切な方法で測定してよい。たとえば図8を参照すると、インバータ412は時間tで出力パルスを生成してよい。TDC208は、tとtとの差を計算することによって出力パルスの発生と光パルス802-1の発生との間での時間差を測定してよい。あるいはその代わりにTDC208は、tと後続の光パルス(つまり光パルス802-2)との間の時間差を計算することで、出力パルスの発生と光パルス802-1の発生との間での時間差を決定し得る。
【0064】
TDC208は、出力パルスの発生と光パルス802-1の発生との間の時間差を表すデータを信号処理回路210へ出力してよい。信号処理回路210は、本願で説明される1つ以上の信号処理操作をデータに実行してよい。
【0065】
SPAD回路400内に含まれる様々な構成要素は、任意の適切な方法で実装されてよい。たとえばスイッチ408の各々は、任意の適切な回路によって実装されてよい。図示されているように、図9A図9Fは、スイッチ408のうちの任意を実装可能な様々な回路を示している。
具体的には、図9Aは1つ以上のスイッチを実装可能なnpnバイポーラ接合トランジスタを示し、図9Bは1つ以上のスイッチを実装可能なpnpバイポーラ接合トランジスタを示し、図9Cは1つ以上のスイッチを実装可能なn型MOSFET(nMOS)を示し、図9Dは1つ以上のスイッチを実装可能なp型MOSFET(pMOS)を示し、図9Eは1つ以上のスイッチを実装可能な伝送ゲートを示し、かつ、図9Fは1つ以上のスイッチを実装可能な方形波発生器とキャパシタを示す。
【0066】
図10Aはインバータ412の典型的な実施形態を表している。この実施形態では、アバランシェ事象が起こるとき、SPAD402の出力ノード416の電圧はゼロに近づくように減少する。その結果インバータ412によって生成される出力パルスがハイになる。他の様々な回路トポロジーは、特定の実施形態を供し得るインバータ412を実装してよい。
【0067】
図10Bはキャパシタ420の典型的な実施形態を表している。この実施形態では、アバランシェ事象が起こるとき、SPAD402の出力ノード416の電圧はゼロに近づくように減少する。その結果キャパシタ420によって生成される出力パルスがハイになる。他の様々な回路トポロジーは、特定の実施形態を供し得るキャパシタ420を実装してよい。
【0068】
一部の例では、インバータ412とキャパシタ420はSPAD回路400から省略されてよい。これらの例では、SPADからの出力は、TDC208への入力として供される。
【0069】
図11Aは、本願で説明する光検出器アーキテクチャで用いられ得る他の典型的なSPAD回路1100を示している。図示されているように、SPAD回路1100は、電源1104-1と1104-2、キャパシタ1106-1と1106-2、複数のスイッチ1108(つまりスイッチ1108-1と1108-2)、抵抗器1110、及びインバータ1112を有する。
【0070】
図示されているように、キャパシタ1106-1は、SPAD1102の出力ノード416に接続される。キャパシタ1106-1は、特定の実施形態を供し得る任意の適切なサイズを有してよい。抵抗器1110によって出力ノード1114に接続されているキャパシタ1106-1が示されている。一部の例では、抵抗器1110は実際には物理的な抵抗器ではないが、SPAD1102の内部抵抗を表す。
【0071】
電源1104-1は、任意の適切な活性状態の電源を有してよく、かつ、スイッチ1108-2によってキャパシタ1106-1へ選択的に接続されるように構成される。たとえば電源1104-1は、スイッチ1108-1が第1位置にあるときにはキャパシタ1106-1に接続され、かつ、スイッチ1108-1が第2位置にあるときにはキャパシタ1106-1から切り離される。本願で供される例では、スイッチ1108-1は、第1位置にある間では閉じられ、かつ、第2位置にある間では開かれる。代替構成では、電源1104-1は、スイッチ1108-1が開かれているときにはキャパシタ1106-1に接続され、かつ、スイッチ1108-1が閉じられているときにはキャパシタ1106-1から切り離されることに留意して欲しい。
【0072】
電源1104-1がキャパシタ1106-1に接続されるとき、電源1104-1は、バイアス電圧によってキャパシタ1106-1を充電する。バイアス電圧は、SPAD1102の破壊電圧以下の大きさを有する。一部の例では、電源1104-1によって供給されるバイアス電圧は、SPAD1102の破壊電圧よりも所定量だけ小さい。たとえば電源1104-1によって供給されるバイアス電圧は、SPAD1102の破壊電圧の1~2ボルトの範囲内であってよい。SPAD1102の典型的な破壊電圧は20ボルトである。従って電源1404-1によって供給されるバイアス電圧の典型的だが排他的ではない大きさは18~19ボルトである。
【0073】
図示されているように、電源1102の入力ノード1116に接続される。電源1104-2は、入力ノード1116で逆過剰バイアス電圧を供給するように構成される任意の適切な活性状態の電源を含んでよい。一部の例では、過剰バイアス電圧は、SPAD1102の破壊電圧以下(たとえば電源1104-1によって供給される逆バイアス電圧の大きさ以下)の大きさを有する。たとえば逆過剰バイアス電圧は-2~5ボルトであってよい。しかし逆過剰バイアス電圧は、特定の実施形態を供し得る任意の他の適切な値を有してよい。上述したように逆過剰バイアス電圧は、SPAD1102の寄生容量を補償する値に設定されてよい。
【0074】
スイッチ1108は、SPAD1102を選択的に動作及び待機状態にするように構成される。たとえば以降で表すように、キャパシタ1106-1がバイアス電圧によって充電され、かつ、電源1104-1から切り離されている間に、スイッチ1108-1は、電源1104-2をSPAD1102の入力ノード1116に接続することによってSPAD1102を動作状態する。
【0075】
電源1104-2が入力ノード1116に接続されるとき、電源1104-2は、逆過剰バイアスを入力ノード1116に供給する。これにより、SPAD1102にかかる電圧はSPAD1102の破壊電圧よりも大きくなり、その結果SPAF1102は動作状態となる。たとえばSPAD1102の破壊電圧が20ボルトである場合、キャパシタ1106-1が十分に充電されるときに出力ノード1114でキャパシタ1106によって供給されるバイアス電圧は18ボルトであり、入力ノード1116で電源1104-2によって供給される逆過剰バイアス電圧は-3ボルトで、SPAD1102にかかる電圧は21ボルトである。このSPAD1102にかかる電圧はSPAD1102の破壊電圧よりも大きい。
【0076】
スイッチ1108-1は、SPAD1102の入力ノード1116から切り離し、かつ、SPAD1102の入力ノード1116を地電位に接続することによって、電源1104-2を待機状態にしてよい。この構成では、SPAD1102にかかる電圧は、SPAD1102の破壊電圧よりも小さなバイアス電圧の大きさと実質的に等しい。
【0077】
インバータ1112は、インバータ412と類似し、かつ、SPAD1102が待機状態にある間に光子がSPAD1102に衝突するときに出力パルスを生成するように構成される。光子がSPAD1102内部でのアバランシェ事象を引き起こすとき、SPAD1102はキャパシタ1106-1からの電流を引き寄せる。その結果キャパシタ1106-1はゼロにまで放電される。キャパシタ1106-1が放電されることで、出力ノード1114での電圧は減少する。出力ノード1114での電圧がある値を下回って減少するとき、インバータ1112は出力パルスを生成する。
【0078】
図11Bは、インバータ1112に代わってコンパレータ1120がSPAD回路1100内に含まれるSPAD回路1100の代替実施形態を示している。コンパレータ1120は、コンパレータ420と類似し、かつ、SPAD1102が動作状態にある間に光子がSPAD1102に衝突するときに出力パルスを生成するように構成される。図示されているように、コンパレータ1120の正端子は、キャパシタ1106-2によってSPAD1102の出力ノード1114に接続される。一部の例では、キャパシタ1106-2はSPAD回路1100から省略される。
【0079】
光子がSPAD1102内部でのアバランシェ事象を引き起こすとき、SPAD1102はキャパシタ1106-1からの電流を引き寄せる。その結果キャパシタ1106-1はゼロにまで放電される。キャパシタ1106-1が放電されることで、出力ノード1114での電圧は減少する。出力ノード1114での電圧がコンパレータ1120の負端子上での閾値を下回って減少するとき、コンパレータ1120は出力パルスを生成する。
【0080】
図12は、SPAD回路1100の典型的な動作モードを表すフローチャート1200である。この例の説明のため、制御回路206はスイッチ1108を制御することによってSPAD回路1100を制御するように構成され、TDC208はインバータ1112の出力に接続され、かつ、信号処理回路210はTDC208の出力に接続される。フローチャート1200に示された1つ以上の操作は、制御回路206によって実行されてよい。
【0081】
操作1202では、SPAD1102が待機状態である間にキャパシタ1106-1がバイアス電圧によって充電される。SPAD1102が待機状態である間に、スイッチ1108-1を第1位置にして(つまり閉じて)SPAD1102の出力ノード1116を地電位1118へ接続し、かつ、スイッチ1108-2を第1位置にして電源1104-1をキャパシタ1106-1へ接続する制御ロジックを供することによって、制御回路206はキャパシタ1106-1をバイアス電圧によって充電する。このスイッチ状態は図11Aで示されている。
【0082】
図11Aで示されているスイッチ状態にある間、電源1104-1は、バイアス電圧でキャパシタ1106-1を充電する。キャパシタ1106-1がバイアス電圧によって十分に充電されることを制御回路206が検出するとき(Yes;判定ブロック1204)、制御回路206は、キャパシタ1106-1から電源1104-1を切り離す(操作1206)。これは、スイッチ1108-1が依然として第1位置にある間にスイッチ1108-2を第2位置にする(つまり開く)制御ロジックを供する制御回路206によって実行される。このスイッチ状態は図13に示されている。
【0083】
操作1208では、キャパシタ1106-1がバイアス電圧によって充電される間、制御回路206はSPAD1102を動作状態にする。このため、制御回路206は、スイッチ1108-1を第2状態にして(つまり開いて)SPAD1102の入力ノード1116を電源1104-2に接続する制御ロジックを供する。制御ロジックはまた、スイッチ1108-2を第2位置に保って、電源1104-1をキャパシタ1106-1から切り離したままにもする。このスイッチ状態は図14に示されている。図14に示されたスイッチ状態ではSPAD1102は動作状態である。その理由はSPAD1102にかかる電圧がSPAD1102の破壊電圧よりも高いからである。
【0084】
上述したように、制御回路206は、プログラマブルゲート遅延及びプログラマブルゲート幅に従ってSPAD1102を動作し、かつ、待機状態にする。従って制御回路206が、プログラマブルゲート幅が満たされる(つまりプログラマブルゲート幅によって特定される所定期間が終了した)ことを検出する場合(Yes;判定ブロック1210)、制御回路206は、スイッチ1208-1を第1位置にしてSPAD1102の出力ノード1116を地電位1118に接続することによって、SPAD1102を待機状態に戻す。図12の処理は後続の光パルスに対して繰り返され得る。
【0085】
一旦SPAD1102が動作状態にされると、光パルスからの光子は、SPAD1102内部でのアバランシェ事象を引き起こし得る。上述したように、SPAD1102は、アバランシェ事象が起こっている間にキャパシタ1106からの電流を引き寄せる。その結果出力ノード1116での電圧は減少する。出力ノード1116での電圧があるレベルを下回って減少するとき、インバータ1112は出力パルスを生成する。TDC208は、上述したように出力パルスを処理してよい。
【0086】
SPAD回路1100内に含まれる様々な構成要素は、任意の適切な方法で実装されてよい。たとえばスイッチ1108の各々は、任意の適切な回路―たとえば図9A図9Fに示されたスイッチ回路―によって実装されてよい。インバータ1112は、図10Aに示された回路によって実装されてよい。コンパレータ1120は、図10Bに示された回路によって実装されてよい。
【0087】
一部の例では、インバータ1112とコンパレータ1120はSPAD回路1100から省略されてよい。これらの例では、SPAD1102からの出力は、TDC208への入力として供される。
【0088】
SPAD回路1100は、多数の代替回路トポロジーによって実装可能である。たとえば図15図20は、SPAD回路1100の代替回路トポロジーを示している。特に図17の回路トポロジーは、SPADにゲート作用を及ぼすキャパシタを含まない。むしろSPADの寄生容量は過剰バイアスによって充電され、SPADにゲート作用を及ぼすのに利用される。これは、空間的制約がSPAD回路1100内に含まれる構成要素の個数を制限する構成において有利となりえる。
【0089】
図21は典型的な方法2100を表している。図21は一の実施形態による典型的な操作を表しているが、他の実施形態は、図21に示された任意の操作を省略してもよいし、他の操作を追加してもよいし、これらの操作の順序を変更してもよいし、かつ/あるいはこれらの操作を修正してもよい。図21に示された1つ以上の操作は、SPAD回路400に接続する制御回路206によって実行されてよい。
【0090】
操作2102では、制御回路206は、SPADの破壊電圧以下の大きさを有する逆バイアス電圧をSPADの入力ノードに供給するように第1電源を駆動する。操作2102は本願で説明した任意の方法で実行されてよい。
【0091】
操作2104では、制御回路206は、キャパシタと選択的に接続して過剰バイアス電圧によってキャパシタを充電するように構成される第2電源を駆動する。操作2104は本願で説明した任意の方法で実行されてよい。
【0092】
操作2106では、制御回路206は、キャパシタが過剰バイアス電圧によって充電されることに応じて、キャパシタを第2電源から切り離す。操作2106は本願で説明した任意の方法で実行されてよい。
【0093】
操作2108では、キャパシタが過剰バイアス電圧によって充電され、かつ、第2電源から切り離されている間に、制御回路206は、キャパシタをSPADの出力ノードに接続することによってSPADを動作状態する。操作2108は本願で説明した任意の方法で実行されてよい。
【0094】
図22は他の典型的な方法2200を表している。図22は一の実施形態による典型的な操作を表しているが、他の実施形態は、図22に示された任意の操作を省略してもよいし、他の操作を追加してもよいし、これらの操作の順序を変更してもよいし、かつ/あるいはこれらの操作を修正してもよい。図22に示された1つ以上の操作は、SPAD回路1100に接続する制御回路206によって実行されてよい。
【0095】
操作2202では、制御回路206は、SPADの破壊電圧以下の大きさを有するバイアス電圧で、単一光子アバランシェダイオードの出力ノードに接続されるキャパシタを充電するように第1電源を駆動する。操作2202は本願で説明した任意の方法で実行されてよい。
【0096】
操作2204では、制御回路206は、逆過剰バイアス電圧を供給するように第2電源を駆動する。操作2204は本願で説明した任意の方法で実行されてよい。
【0097】
操作2206では、キャパシタがバイアス電圧によって充電され、かつ、第1電源から切り離されている間に、制御回路206は、第2電源をSPADの入力ノードに接続することによってSPADを動作状態する。操作2206は本願で説明した任意の方法で実行されてよい。
【0098】
ここで、本願で説明される光検出器アーキテクチャを実装可能な様々な非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムについて図23図29と関連させて説明する。図23図29と関連させて説明する非侵襲で装着可能な脳インターフェースシステムの各々を「脳インターフェースシステム」と呼ぶことにする。本願で説明される脳インターフェースシステムは、本願で説明される光検出器アーキテクチャを実装可能な多くの異なる型の脳インターフェースシステムのうちの単なる典型例である。
【0099】
図23は典型的な脳インターフェースシステム2300を示している。脳インターフェースシステム2300は、ヘッドギア2302、複数の光検出部2304(たとえば光検出器2304-1~2304-12)、主制御部2306、及び電源2308を有する。
【0100】
図23の例では、ヘッドギア2302は、使用者2310の頭部に装着されるキャップによって実装される。ヘッドギア2302の代替実施形態は、ヘルメット、つばなしニット帽子(beanies)、ヘッドバンド、他の帽子形状等を含む。ヘッドギア2302の代替実施形態について以降で説明するヘッドギア2302は、任意の適切な布、柔らかいポリマー、プラスチック、硬い外殻、及び/又は特定の実施形態を供し得る任意の他の適切な材料で作られてよい。
【0101】
光検出部2304は、任意の適切な方法でヘッドギア2302に取り付けられてよい。たとえばヘッドギア2302は、内部に光検出部2304が適合するように構成される複数の切り抜き部、光検出部2304が取り付けられるヘッドギア2302の内側表面上の複数の突出部、個々の光検出部2304を封止するように構成される複数の埋め込み筐体、及び/又は他の任意の適切な取り付け機構若しくは素子を有してよい。
【0102】
図示されているように、図24Aは、複数の切り抜き部2402(たとえば切り抜き部2402-1~2402-9)を有するヘッドギア2302の典型的な部分を示している。図24Aでは、光検出部2304はまだ切り抜き部2402内にまだ挿入されていない。図示されているように、各切り抜き部2402は、ヘッドギア2302内に埋め込まれる剛性輪2404によって取り囲まれてよい。たとえば切り抜き部2402は、剛性輪2404によって取り囲まれる。剛性輪2404は、任意の適切な材料(たとえばプラスチック、金属等)で作られてよい。剛性輪2404は、ヘッドギア2302への光検出部2304の取り外し可能な取り付けを容易にするように構成される1つ以上の溝又は他の部位を有してよい。図24Aには長方形の切り抜き部2402及び剛性輪2404が示されているが、その代わりに切り抜き部2402及び剛性輪2404は他の任意の形状及び/又はサイズであってよい。
【0103】
図24Bは、ヘッドギア2302の側部断面を示し、ヘッドギア2302が複数の突出部2406(たとえば突出部2406-1~2406-5)を含む代替構成を表している。突出部2406は、ヘッドギア2302と同一の材料で作られてよいし、あるいはヘッドギア2302と異なる材料で作られてよい。突出部2406は、ヘッドギア2302の内側表面に設けられてよい。図24Bにはヘッドギア2302に結合される別個の素子が示されているが、その代わりに突出部2406はヘッドギア2302の一部として形成されてよい。突出部2406は、光検出部2304の取り付けを可能にする任意の適切な形状及び/又はサイズを有してよい。一部の例では、突出部2406の各々は、光検出部2304が取り付け可能な剛性輪2404と類似の剛性輪を有してよい。
【0104】
一部の代替例では、光検出部2304は離散的な位置でヘッドギア2302に取り付けられていない。たとえばヘッドギア2302は、離散的な切り抜き部又は突出部の位置の代わりに連続的な経路に沿った任意の位置に光検出部2304を使用者が設置することを可能にするヘッドギア2302内部のレール状の案内部を有してよい。別例として、ヘッドギア2302は、光検出部が任意の所望の位置で磁気的に結合可能な磁性材料で作られてよい。
【0105】
光検出部2304がヘッドギア2302に取り付け可能な上述の方法も同様に、本願で説明される他の任意の脳インターフェースシステムにも適用可能である。
【0106】
図23に戻ると、光検出部2304の各々は独立してよい。換言すると、光検出部2304の各々はそれぞれのケースに格納されてよい。光検出部2304の各々は光検出システム300に類似してよい。たとえば光検出部2304の各々は、光を発生させるように構成される個々の光源、及び、使用者2310の脳内の標的から反射された後の光の光子を検出するように構成される複数の光検出器を有してよい。一部の例では、光検出部2304の各々は、光源と光検出器が上に設けられるプリント回路基板を有してよい。
【0107】
一部の代替実施形態では、光検出部2304は個々の光源を有しない。その代わりに光検出部2304によって検出される光を発生させるように構成される光源は、脳インターフェースシステム2300内のどこかに含まれてよい。たとえば光源は、主制御部2306内に含まれ、かつ、電気的接続によって光検出部2304に結合されてよい。
【0108】
本願で説明される光源の各々は、任意の適切な装置によって実装されてよい。たとえば本願で用いられる光源はたとえば、帰還分布型(DFB)レーザー、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、発光ダイオード(LED)、LD励起個体(DPSS)レーザー、レーザーダイオード(LD)、スーパールミネッセント発光ダイオード(sLED)、垂直面発光レーザー(VCSEL)、チタンサファイアレーザー、マイクロ発光ダイオード(mLED)、及び/又は他の任意の適切なレーザー若しくは光源であってよい。
【0109】
複数の光検出器内に含まれる各光検出器は、本願で説明される任意の光検出器によって実装されてよい。たとえば複数の光検出器内に含まれる特定の光検出器はSPAD及びキャパシタを有してよい。キャパシタは、SPADが待機状態にある間に、電源によるバイアス電圧によって充電されるように構成される。キャパシタは、SPADが動作状態にされるときに、SPADにかかる電圧がSPADの破壊電圧よりも大きくなるように電源によるバイアス電圧をSPADの出力ノードに供給するように構成される。
【0110】
主制御部2306は、複数の配線2312によって光検出部2304の各々によって通信可能なように結合される。一部の例では、配線2312の少なくとも一部は、光検出部2304からヘッドギア2302内の主制御部2306へ貫通する。一部の例では、光検出部2304の各々は、1つ以上の配線2312に接続されるように構成されるプラグインターフェースを有する。
【0111】
主制御部2306は、光検出部2304を制御するように構成される。たとえば主制御部2306は、光の光子を検出する光検出部2304の各々内で光を発生させるように光源を駆動させてよい。これは本願で説明される任意の方法で実行されてよい。
【0112】
図示されているように、主制御部2306はヘッドギア2302内に設けられる。代替実施形態では、後述するように、主制御部2306は、使用者2310の頭部以外の場所に装着されるように構成されてよい。一部の例では、主制御部2306は、ヘッドギア2302から選択的に取り外されてよい。
【0113】
電源2308は、主制御部2306、光検出部2304、及び/又は、脳インターフェースシステム2300内に含まれる他の任意の電気的構成要素に動作電力を供するように構成されるバッテリー及び/又は他の型の電源によって実装されてよい。図示されているように、電源2308は、主制御部2306の対応入力電源ポート2316へ差し込むように構成される電源ケーブル2314に接続されてよい。図23の例では、入力電源ポート2316は、配線(不図示)によって主制御部2306に接続される。代替例では、入力電源ポート2316は、主制御部2306に直接一体化されてよい。図23の例では、電源2308は、使用者2310の頭部以外の場所に装着されるように構成される。あるいはその代わりに電源2308は帽子2302に一体化されてよい。たとえば電源2308は、使用者2310の肩及び/又はウエストに装着され、使用者2310の身に着けるベルトに挟まれ、かつ/あるいは、使用者2310が担持するように構成されてよい。
【0114】
図25は、他の典型的な脳インターフェースシステム2500を示している。脳インターフェースシステム2300同様、脳インターフェースシステム2500は、ヘッドギア2502、及び、該ヘッドギア2502に選択的に取り付けられる複数の光検出部2504(たとえば光検出部2504-1~2504-4)を有する。しかし脳インターフェースシステム2500では、主制御部と電源のいずれも、使用者2508の肩に装着されるように独立する部材506内に含まれる。部材506内に含まれる主制御部と電源は、図23に関連して説明した機能と同一の機能を実行するように構成される。しかし主制御部と電源は部材506内に含まれるので、図25では明示的に表されていない。
【0115】
図26は、他の典型的な脳インターフェースシステム2600を示している。脳インターフェースシステム2600は、ヘッドギア2602、該ヘッドギア2602に選択的に取り付けられる複数の光検出部(たとえば光検出部2604)、及び、ヘッドギア2602内に含まれる主制御部2606を有する点で脳インターフェースシステム2300と類似する。しかし図26では、ヘッドギア2602は、使用者2608によって装着されるように構成されるつばなしニット帽子によって実装されてよい。
【0116】
図27は他の典型的な脳インターフェースシステム2700を示している。脳インターフェースシステム2700では、ヘッドギア2702は使用者2704によって装着されるヘッドバンドによって実装されてよい。脳インターフェースシステム2300同様、脳インターフェースシステム2700は、ヘッドギア2702、及び、該ヘッドギア2702に選択的に取り付けられる複数の光検出部2704を有する。複数の光検出部(たとえば光検出部2706)は、上述したようにヘッドギア2702に選択的に取り付けられる。脳インターフェースシステム2700では、主制御部と電源は、使用者2704の肩に装着されるように構成される独立部位2708内に含まれる。
【0117】
図28は、本願で説明される任意の脳インターフェースシステム内に含まれ得るヘッドギア2802の内側表面を示している。ヘッドギア2802は、使用者の頭部を固定(たとえば適合)するように構成されてよい。内側表面は、使用者がヘッドギア2802を装着している間に使用者の頭部に対向するように構成される。図示されているように、複数の光検出部(たとえば光検出部2804)は、(たとえばヘッドギアの複数の切り抜き部内で適合し、ヘッドギア2802の複数の突出部に取り付け、ヘッドギア2802の複数の埋め込み筐体内で封止されること等によって)ヘッドギア2802に取り付けられてよい。上述したように、各光検出部は、使用者の脳に光を導光するように構成される光源を有する。たとえば光検出部2804は光源2806を有する。光源2806は、図示されているように、光検出部2804の一部又は光検出部2804内に含まれてよく、あるいはその代わりに、光源2806は、光検出部2804から離れて設けられ、かつ、電気的接続を介して光検出部2804に結合されてよい。
【0118】
図29は他の典型的な脳インターフェースシステム2900を示している。脳インターフェースシステム2900は、使用者2904によって装着されるように構成されるヘッドギア2902を有し、かつ、主制御部2906及び複数の光検出部(不図示)を有する。主制御部2906は、電源ケーブル2910によって電源2908に接続される。ヘッドギア2902は、使用者2904の頭部を固定するように構成される点でヘッドギア2802に類似する。
【0119】
図示されているように、電源2908は、使用者2904が装着可能なベルト2912に取り付けられてよい。この構成では、使用者2904が走っているか動いている間、電源2908は使用者2904に固定されたままである。
【0120】
これまでの説明では、様々な典型的な実施形態は添付図面を参照しながら説明してきた。しかし以降の特許請求の範囲で規定された本発明の技術的範囲から逸脱することなく、様々な修正型及び変化型が可能で、かつ、追加の実施形態が可能であることは明らかである。たとえば本願で説明される一の実施形態のある特徴は、本願で説明される他の実施形態の特徴と結合又は置換されてよい。従って明細書と図面は、限定ではなく例示と解される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29