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特許7236592メモリセルのスクリーニングによる、アナログ不揮発性メモリにおける読み出し電流の安定性を改善する方法
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  • 特許-メモリセルのスクリーニングによる、アナログ不揮発性メモリにおける読み出し電流の安定性を改善する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】メモリセルのスクリーニングによる、アナログ不揮発性メモリにおける読み出し電流の安定性を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/50 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
G11C29/50 100
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022513539
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020047834
(87)【国際公開番号】W WO2021045934
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】62/895,458
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/828,206
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコフ、ビクター
(72)【発明者】
【氏名】コトフ、アレキサンダー
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-196871(JP,A)
【文献】特開昭64-17300(JP,A)
【文献】特開2005-141864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0206981(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0293271(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0077912(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0259979(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0113714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 29/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスであって、
複数の不揮発性メモリセルと、
コントローラであって、
前記複数のメモリセルを消去すること、
前記メモリセルの各々をプログラムすること、
前記メモリセルごとに、
第1の読み出し動作において、前記メモリセルを通るターゲット電流に対応する、前記メモリセルに印加されるスレッショルド電圧を測定すること、
第2の読み出し動作において、前記メモリセルを通る前記ターゲット電流に対応する、前記メモリセルに印加されるスレッショルド電圧を再測定すること、及び
測定された前記スレッショルド電圧と再測定された前記スレッショルド電圧との差が所定の量を超える場合に前記メモリセルを不良として識別すること、を行うように構成されている、コントローラと、を備える、デバイス。
【請求項2】
前記メモリセルの各々は、
半導体基板内に形成された、離間したソース領域及びドレイン領域であって、間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の垂直方向上方に絶縁されて配設される浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の垂直方向上方に絶縁されて配設される選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの垂直方向上方に絶縁されて配設される制御ゲートと、を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記メモリセルの各々は、
前記ソース領域の上方に絶縁されて配設される消去ゲートを更に備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の読み出し動作において前記スレッショルド電圧を測定するために、前記コントローラは、
前記選択ゲート及び前記ドレイン領域に正電圧を印加すること、及び
前記メモリセルを通る前記ターゲット電流が達成されるまで、振幅を増加させる電圧を前記制御ゲートに印加すること、を行うように構成されている、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2の読み出し動作において前記スレッショルド電圧を再測定するために、前記コントローラは、
前記選択ゲート及び前記ドレイン領域に前記正電圧を印加すること、及び
前記メモリセルを通る前記ターゲット電流が達成されるまで、振幅を増加させる電圧を前記制御ゲートに印加すること、を行うように構成されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記メモリセルごとに、測定される前記スレッショルド電圧及び再測定される前記スレッショルド電圧が、前記制御ゲートに印加される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
不良として識別された前記メモリセルごとに、前記コントローラは、前記メモリセルを不良として識別する前記メモリデバイスに情報を記憶するように更に構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記コントローラは、不良として識別された前記メモリセルをディーププログラミングするように更に構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記コントローラは、前記メモリセルの前記プログラミング後、かつ前記スレッショルド電圧の前記測定及び前記再測定前に、前記メモリセルのゲートに正電圧又は負電圧を印加するように更に構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記コントローラは、前記メモリセルの前記プログラミング後、かつ前記スレッショルド電圧の前記測定及び前記再測定前に、前記メモリセルのゲートに正電圧を印加するように更に構成されており、前記コントローラは、前記メモリセルの前記プログラミング後に、前記メモリセルのゲートに負電圧を印加し、次いで、前記メモリセルごとに、
第3の読み出し動作において、前記メモリセルを通るターゲット電流に対応する、前記メモリセルに印加されるスレッショルド電圧を測定すること、
第4の読み出し動作において、前記メモリセルを通る前記ターゲット電流に対応する、前記メモリセルに印加されるスレッショルド電圧を再測定すること、及び
前記第3の読み出し動作において測定された前記スレッショルド電圧と前記第4の読み出し動作において再測定された前記スレッショルド電圧との差が所定の量を超える場合に前記メモリセルを不良として識別すること、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
メモリデバイスであって、
複数の不揮発性メモリセルと、
コントローラであって、
前記複数のメモリセルを消去すること、
前記メモリセルの各々を、前記メモリセルの所定のスレッショルド電圧に対応するプログラム状態にプログラムすること、
前記メモリセルごとに、
前記所定のスレッショルド電圧から正又は負のオフセット値だけオフセットされている、前記メモリセルに印加される第1の読み出し電圧を使用して、第1の読み出し動作において前記メモリセルを通る電流を測定すること、及び
前記オフセット値が正である場合に前記第1の読み出し動作において測定された電流が基準電流値又は基準電流値範囲よりも低い場合、あるいは、前記オフセット値が負である場合に前記第1の読み出し動作において測定された電流が前記基準電流値又は前記基準電流値範囲よりも高い場合、前記メモリセルを不良として識別することを行うように構成されている、コントローラと、を備える、デバイス。
【請求項12】
前記オフセット値は正のオフセット値であり、前記メモリセルごとに、前記第1の読み出し動作において測定された電流が前記基準電流値又は前記基準電流値範囲よりも低い場合に、前記メモリセルは不良として識別される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記コントローラは、前記メモリセルごとに、
前記所定のスレッショルド電圧から負のオフセット値だけオフセットされている、前記メモリセルに印加される第2の読み出し電圧を使用して、第2の読み出し動作において前記メモリセルを通る電流を測定すること、及び
前記第2の読み出し動作において測定された電流が前記基準電流値又は前記基準電流値範囲よりも高い場合に、前記メモリセルを不良として識別すること、を行うように更に構成されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記メモリセルの各々は、
半導体基板内に形成された、離間したソース領域及びドレイン領域であって、間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の垂直方向上方に絶縁されて配設される浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の垂直方向上方に絶縁されて配設される選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの垂直方向上方に絶縁されて配設される制御ゲートと、を備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記メモリセルの各々は、
前記ソース領域の上方に絶縁されて配設される消去ゲートを更に備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の読み出し動作中に、前記コントローラは、
正の電圧を前記選択ゲート及び前記ドレイン領域に印加するように構成されている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記メモリセルごとに、前記第1の読み出し電圧が、前記読み出し動作において前記制御ゲートに印加される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
不良として識別された前記メモリセルごとに、前記コントローラは、前記メモリセルを不良として識別する情報を前記メモリデバイスに記憶するように更に構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項19】
前記コントローラは、不良として識別された前記メモリセルをディーププログラミングするように更に構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項20】
前記コントローラは、
前記メモリセルの前記プログラミング後、かつ前記第1の読み出し動作の前に、前記メモリセルのゲートに正電圧を印加すること、及び
前記メモリセルの前記プログラミング後、かつ前記第2の読み出し動作の前に、前記メモリセルの前記ゲートに負電圧を印加すること、を行うように更に構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2019年9月3日出願の米国特許仮出願第62/895,458号及び2020年3月24日出願の米国特許出願第16/828,206号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、不揮発性メモリデバイスに関し、より具体的には、読み出し動作中のメモリセル電流の安定性を改善することに関する。
【背景技術】
【0003】
不揮発性メモリデバイスは、当該技術分野において周知である。例えば、4ゲートメモリセル構成を開示する米国特許第7,868,375号を参照されたい。具体的には、本出願の図1は、シリコン半導体基板12内に形成された、離間されたソース領域14及びドレイン領域16を有するスプリットゲートメモリセル10を例示する。ソース領域14は、ソース線SLと称され得(同じ行又は列内の他のメモリセルの他のソース領域に共通に接続されるため)、ドレイン領域16は、ビット線コンタクト28によってビット線に共通に接続される。基板のチャネル領域18は、ソース領域14とドレイン領域16との間に画定される。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に絶縁されて配設される(また、チャネル領域18の第1の部分の伝導率を制御し、ソース領域14の上方に部分的に絶縁されて配設される)。制御ゲート22は、浮遊ゲート20の上方に絶縁されて配設される。選択ゲート24は、チャネル領域18の第2の部分の上方に絶縁されて配設される(また、チャネル領域18の第2の部分の伝導率を制限する)。消去ゲート26は、ソース領域14の上方に絶縁されて配設され、浮遊ゲート20に横方向に隣接する。複数のそのようなメモリセルを行及び列に配置して、メモリセルアレイを形成することができる。
【0004】
電圧の様々な組み合わせが、制御ゲート22、選択ゲート24、消去ゲート26、並びに/又はソース領域14及びドレイン領域16に印加されて、メモリセルをプログラムし(すなわち、浮遊ゲートに電子を注入し)、メモリセルを消去し(すなわち、浮遊ゲートから電子を除去し)、メモリセルを読み出す(すなわち、チャネル領域18の伝導率を測定又は検出して、浮遊ゲート20のプログラミング状態を決定する)。
【0005】
メモリセル10は、デジタル様式で動作することができ、メモリセルは、2つのみの考えられる状態(プログラム状態及び消去状態)のうちの1つに設定される。メモリセルは、消去ゲート26に正の高電圧、(かつ任意選択的に制御ゲート22に負電圧)をかけて、浮遊ゲート20から消去ゲート26へと電子のトンネリングを生じさせることにより消去される(浮遊ゲートはより正に帯電した状態のままにする、つまり消去状態にする)。メモリセル10は、制御ゲート22、消去ゲート26、選択ゲート24、及びソース領域14に正電圧をかけ、かつドレイン領域16に電流を流すことによりプログラムされ得る。次に、電子は、いくつかの電子を加速及び加熱しながら、チャネル領域18に沿ってドレイン領域16からソース領域14に向かって流れ、それによって、電子の一部は、ホットエレクトロン注入によって浮遊ゲート20に注入される(浮遊ゲートをより負に帯電した状態のままにする、つまりプログラム状態にする)。メモリセル10は、制御ゲート24に正電圧をかけ(選択ゲート24の下のチャネル領域部分をオンにする)、またドレイン領域16(任意選択的に、消去ゲート26及び/又は制御ゲート22)に正電圧をかけ、チャネル領域18を通る電流を検知することにより読み出され得る。浮遊ゲート20が正に帯電する(メモリセルが消去される)場合、メモリセルはオンになり、電流は、ソース領域14からドレイン領域16へ流れる(すなわち、メモリセル10は、検知された電流に基づいて、その消去された「1」状態であることが検知される)。浮遊ゲート20が負に帯電する(メモリセルがプログラムされる)場合、浮遊ゲート下のチャネル領域はオフになり、それによって、あらゆる電流を阻止する(すなわち、メモリセル10は、電流なしであることに基づいて、そのプログラムされた「0」状態を検知する)。
【0006】
表1は、Vccが電源電圧又は2.5Vなど別の正電圧である、消去電圧、プログラム電圧、及び読み出し電圧の非限定的な例を提供する。
表1
【表1】
【0007】
メモリセル10は、交互にアナログ様式で動作し得、メモリセルのメモリ状態(すなわち、浮遊ゲートの電子の数など電荷の量)が、完全に消去された状態(浮遊ゲートの電子が最小数)から完全にプログラムされた状態(浮遊ゲートの電子が最大数)までの範囲で、又はこの範囲の一部のみで連続的に変化し得る。つまり、セル記憶はアナログであり、これによりメモリセルアレイ内の各メモリセルを非常に精密に、かつ個別に調整することができる。あるいは、メモリは、MLC(マルチレベルセル)として動作することができ、多くの離散値(16又は64の異なる値など)のうちの1つにプログラムされるように構成されている。アナログ又はMLCプログラミングの場合、プログラミング電圧は、所望のプログラミング状態が達成されるまで、限られた時間のみ、又は一連のパルスとして印加される。多重プログラミングパルスの場合、プログラミングパルス間の介在読み出し動作を使用して、所望のプログラミング状態が達成されたか(この場合、プログラミングは停止)、又は達成されていないか(この場合、プログラミングは継続)を判定することができる。
【0008】
アナログ様式で、又はMLCとして動作するメモリセル10は、メモリデバイスの精度に悪影響を及ぼし得るノイズ及び読み出し電流の不安定性に対してより敏感であり得る。アナログ不揮発性メモリデバイスにおける読み出し電流の不安定性の1つの原因は、ゲート酸化物-チャネルインターフェースの電子トラップによる電子の捕獲及び放出である。ゲート酸化物は、浮遊ゲート20と基板12のチャネル領域18とを分離する絶縁層である。電子がインターフェーストラップで捕獲されると、読み出し動作中のチャネル伝導率を低下させ、したがってメモリセルのスレッショルド電圧Vt(すなわち、メモリセルのチャネル領域をオンにして、特定レベルの電流、例えば1μAを生成するために必要な制御ゲートの最小電圧)を増加させる。制御ゲート電圧がスレッショルド電圧以上であると、ソース領域とドレイン領域との間に伝導路が形成される。制御ゲート電圧がスレッショルド電圧未満であると、伝導路は形成されず、全てのソース/ドレイン電流はサブスレッショルド又は漏れ電流と見なされる。インターフェーストラップで捕獲された電子は、トラップから放出され得、メモリセルのVtを減少させ、したがって、読み出し動作中のチャネル伝導率を増加させる。トラップによる電子の捕獲及び放出というこれらの単電子イベントは、読み出し電流ノイズとして現れ、他の場所でランダムテレグラフノイズ(RTN)と称される。一般に、単一のインターフェーストラップによって生じるRTNは、2つの状態、すなわち、電子がトラップから放出された場合の、より低いVt状態(すなわち、より高い読み出し電流状態)及び電子がトラップによって捕獲された場合の、より高いVt状態(すなわち、より低い読み出し電流状態)を特徴とする。上に示すように、読み出し中のメモリセルの不安定性は、ターゲット電流に対応するスレッショルド電圧、又は所与の読み出し電圧条件下でのメモリセル電流のいずれかを特徴とし得る。メモリセル読み出しの不安定性の特性を評価する好ましい方法は、「発明を実施するための形態」で使用されるスレッショルド電圧である。
【0009】
アナログ及びMLC不揮発性メモリデバイスにおいてRTNを低減する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
上記の問題及び必要性は、複数の不揮発性メモリセル及びコントローラを含むメモリデバイスによって対処される。コントローラは、複数のメモリセルを消去し、メモリセルの各々をプログラムし、メモリセルごとに、第1の読み出し動作において、メモリセルを通るターゲット電流に対応する、メモリセルに印加されるスレッショルド電圧を測定し、第2の読み出し動作において、メモリセルを通るターゲット電流に対応する、メモリセルに印加されるスレッショルド電圧を再測定し、測定されたスレッショルド電圧と再測定されたスレッショルド電圧との差が所定の量を超える場合にメモリセルを不良として識別するように構成されている。
【0011】
メモリデバイスは、複数の不揮発性メモリセル及びコントローラを含む。コントローラは、複数のメモリセルを消去し、メモリセルの各々をメモリセルの所定のスレッショルド電圧に対応するプログラム状態にプログラムし、次いで、メモリセルごとに、所定のスレッショルド電圧から正又は負のオフセット値だけオフセットされている、メモリセルに印加される第1の読み出し電圧を使用して、第1の読み出し動作においてメモリセルを通る電流を測定し、前記オフセット値が正である場合に第1の読み出し動作において測定された電流が基準電流値又は基準電流値範囲よりも低い場合、あるいは、前記オフセット値が負である場合に前記第1の読み出し動作において測定された電流が基準電流値又は基準電流値範囲よりも高い場合、メモリセルを不良として識別するように構成されている。
【0012】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲、添付図面を精読することによって明らかになるであろう。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】先行技術のメモリセルの側断面図である。
図2】メモリデバイスの構成要素を例示する図である。
図3】不良メモリセルを識別するためのステップを示すフロー図である。
図4】Vtcgを測定するためのステップを示すフロー図である。
図5】不良メモリセルを識別するための代替実施形態のステップを示すフロー図である。
図6】不良メモリセルを識別するための代替実施形態のステップを示すフロー図である。
図7】不良メモリセルを識別するための代替実施形態のステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、図1のタイプのメモリセルのアレイの読み出し電流を安定化して、読み出し動作の精度及びメモリ保持寿命を改善するための技術である。読み出し安定化技術は、メモリセルのアレイを分析して、許容不能なレベルのRTNを呈するメモリアレイ内のメモリセルを検出し、排除することを含む。
【0021】
読み出し安定化技術は、メモリアレイのコントローラ構成の一部として実装され、図2に示された例示的なメモリデバイスのアーキテクチャからよりよく理解され得る。メモリデバイスは、不揮発性メモリセル10のアレイ50を含み、アレイ50は、2つの分離した平面(平面A 52a及び平面B 52b)に隔離され得る。メモリセル10は、半導体基板12に複数の行及び列で配置され、単一のチップ上に形成された、図1に例示されたタイプであり得る。不揮発性メモリセルのアレイには、アドレスをデコードし、選択されたメモリセルに対する読み出し動作、プログラム動作、及び消去動作中に、様々なメモリセルゲート及び領域に様々な電圧を提供するために使用される、アドレスデコーダ(例えば、XDEC54)、ソース線ドライバ(例えば、SLDRV56)、列デコーダ(例えば、YMUX58)、高圧行デコーダ(例えば、HVDEC60)、及びビット線コントローラ(例えば、BLINHCTL62)が隣接する。行デコーダ58は、読み出し動作中にビット線47の電流を測定するための回路を含むセンス増幅器を含む。コントローラ66(制御回路を備える)は、様々なデバイス素子を制御し、各動作(プログラム、消去、読み出し)を、対象のメモリセルで実現する。電荷ポンプCHRGPMP64は、コントローラ66の制御下にて、メモリセルの読み出し、プログラム、及び消去に使用される様々な電圧を提供する。コントローラ66は、メモリデバイスを動作させてメモリセル10をプログラムし、消去し、読み出すように構成されている。これらの動作の一部として、コントローラ66には、同じ又は異なる線に提供されるプログラム、消去、及び読み出しコマンドと共に、メモリセルにプログラムされるデータである入力データへのアクセスが提供され得る。メモリアレイから読み出されたデータは、出力データとして提供される。
【0022】
読み出し安定化技術は、コントローラ66がメモリセルのアレイを分析して、許容不能なレベルの読み出し電流の不安定性を示すメモリセルを検出し、排除することを含む。この技術は、メモリセルをプログラムし、メモリセルスレッショルド電圧パラメータ(すなわち、ターゲット電流と称される、特定レベルのソース/ドレイン電流を実現するためにメモリセルに印加される最小電圧)を複数回測定することを含む。好ましいスレッショルド電圧パラメータは、制御ゲート22から見たメモリセルのスレッショルド電圧であるVtcgである。具体的には、制御ゲートスレッショルド電圧Vtcgは、伝導路であるチャネル領域をもたらす制御ゲートの電圧であり、したがって、読み出し動作の読み出し電位が選択ゲート24及びドレイン領域16に印加されたときに、メモリセルがオンになったと見なす所定量のチャネル領域電流(Itarget、例えば、1μA)が生じる。制御ゲートスレッショルド電圧Vtcgは、メモリセルのプログラミング状態に応じて変化するが、メモリセルが特定のプログラミング状態にプログラムされると、経時的なVtcgの任意の変動は所定の量未満であることが望ましい。
【0023】
この技術の第1の実施形態は図3に例示され、(ステップ1)メモリセル10を消去することによって開始する。次いで、(ステップ2)全てのメモリセルに対してプログラミング動作が実行され、その結果、Vtcgは、全てのメモリセルに対して、コントローラ66によって使用される読み出し動作の最小レベル、例えば0V、よりも大きくなる。ステップ3では、次いで、セルごとにVtcgを2回以上測定する(すなわち、読み出し動作で1回測定し、同じ読み出し動作パラメータを使用して別の読み出し動作で少なくとも1回再測定する)。Vtcgを測定するための1つの方法は、選択ゲート24及びドレイン領域16に読み出し電位をかけ(ステップ3a)、図4に示すように、チャネル領域18を通る電流が特定レベルの電流(例えば、1μA)に達する(すなわち、Vtcgが読み出し動作におけるItargetに対応する)まで、制御ゲート22の電圧の振幅を増加させる(ステップ3b)ことである。セルごとに検出されたVtcg値を分析して、Vtcgの変動が、所定の最大値ΔVtcg(60mVなど)を超えるかどうかを判定する。例えば、測定されたVtcg及び再測定されたVtcgが、ΔVtcgを超えて互いに異なるかどうかを判定する。ステップ4では、ΔVtcgを超えるVtcgの変動を呈するメモリセルを不良として識別する。
【0024】
メモリセルが不良として識別されると、1つのオプションは、通常の使用中にデータを記憶するために今後使用されないように、任意の適切な様式でそれらを排除することである(ステップ5)。例えば、排除された(不良の)メモリセルを識別する情報は、コントローラ66にローカルに、又はコントローラ66によってアクセス可能なメモリデバイス内の他の場所(例えば、メモリアレイに記憶されたルックアップテーブル)に記憶され得、この情報は、通常のプログラム動作及び読み出し動作中にコントローラによってアクセスされて使用される。そのため、今後、いずれの不良メモリセルに対してもデータの記憶又は読み出しを試みることはない(すなわち、それらは、データを記憶し、メモリデバイスからデータを読み出すために使用される通常のプログラム動作及び読み出し動作の一部としてのサービスから原則的に排除される)。本明細書の実施形態のいずれかで使用することができる別の既知のスクリーニング技術は、行又は列の冗長性であり、メモリアレイは、不良メモリセルを含むことが見出される任意の行又は列の代わりに使用される、メモリセルの予備の行又は列を含む。任意の適切なスクリーニング技術を使用して、不良メモリセルを使用されないように除外することができる。不良メモリセルのスクリーニングの別のオプションは、不良メモリセルが、同一メモリアレイ内の他のメモリセルの動作中に任意の検出されたセル電流に関与しないように、選択されたMLC又はアナログ動作範囲をはるかに超えてディーププログラミングされ得ることである(ステップ6)。このオプションでは、他のメモリセルと一緒にアナログプログラミングする前に不良メモリセルが毎回消去されるものの、これらのアドレスは、任意の他の記憶デバイスに恒久的に記憶される必要はない。コントローラは、消去前に各々の読み出し動作を毎回適用して、ディーププログラミングされた不良メモリセルを探し出すことができ、次いで、消去後かつアナログプログラミング前にそれらを再度ディーププログラミングすることができる。具体的には、特定のアナログデータを記憶するために使用されない良好なセル(ユーザ動作範囲よりも高いVtcgレベルにプログラムされている)と不良メモリセルとを区別するために、良好なセルは、不良セルよりも低いVtcgレベルにプログラムされ得るが、読み出し電流への関与を排除するのに十分にディーププログラミングされる。上に列挙した全てのスクリーニングオプションは、単独で、及び/又は任意の組み合わせで適用することができる。
【0025】
読み出し安定化技術の代替実施形態は、図5に例示されたステップを含み、(ステップ1)メモリセル10を消去することによって開始する。次いで、(ステップ2)各メモリセルを、ターゲット制御ゲートスレッショルド電圧(Vtcg_target)(すなわち、次に記載する後続のステップで使用される任意の所定のスレッショルド電圧)を呈する所望のプログラミング状態に正確にプログラムする。次いで、(ステップ3)Vtcg_target+ΔVcgに等しい制御ゲート電圧スレッショルド(すなわち、ΔVcgで示される、所定の正のオフセット値だけVtcg_targetからオフセットされた制御ゲート電圧)を使用して、各メモリセルを1回以上読み出し、基準電流値(あるいはターゲット電流値)又は基準(ターゲット)電流範囲と比較し、基準電流値又は基準電流値範囲よりも低い読み出し電流を少なくとも1回呈したメモリセルを不良として識別する。一実施形態では、基準電流値は、Vtcg_targetの定義の一例として本明細書で使用される1μA又は1μAを包含する小範囲である。上で説明したように、読み出し動作中に、Vcgが制御ゲートに印加され、正電圧が選択ゲート及びドレイン領域の各々に印加される。安定したメモリセルは、VcgがΔVcgだけ増加すると、基準電流値又は基準(ターゲット)電流値範囲よりも高い電流を提供する。したがって、Vcg=Vcg_target+ΔVcgであるときに、基準電流値よりも低い電流を少なくとも1回生成するほどに、メモリセルが十分に不安定である場合、メモリセルは排除される。
【0026】
ステップ4では、Vtcg_target-ΔVcgに等しいVcg(すなわち、所定量だけVtcg_targetから負方向にオフセットされた制御ゲート電圧)を使用して各メモリセルを1回以上再度読み出し、1μA又は1μAを包含する小範囲などの基準電流値又は基準電流値範囲と比較し、基準電流値又は基準電流値範囲よりも高い読み出し電流を少なくとも1回呈するメモリセルを不良として識別する。上で説明したように、読み出し動作中に、Vcgが制御ゲートに印加され、正電圧が選択ゲート及びドレイン領域の各々に印加される。安定したメモリセルは、VcgがΔVcgだけ減少すると、基準電流値よりも低い電流を提供する。したがって、Vcg=Vcg_target-ΔVcgであるときに、基準電流値又は基準(ターゲット)電流範囲よりも高い電流を少なくとも1回生成するほどに、メモリセルが十分に不安定である場合、メモリセルは排除される。ステップ3及び4は、逆の順序で実行することができる。更に、いくつかの用途では、ステップ3又はステップ4のうちの1つだけを両ステップの代わりに実行することができるが、このオプションは、効果が低くなるであろう。最後に、前述のように、不良セルを任意選択的に排除することができる(ステップ5)、及び/又は上記のようにディーププログラミングすることができる(ステップ6)。読み出し安定化技術のこの代替実施形態は、高速であり、アレイ内のメモリセルごとにVtcgデータを保存するための試験メモリを必要とせず、フラッシュメモリデバイスで典型的に使用される論理データ読み出し検知回路図によって設計することができるので、前述の実施形態と比較して有利である。換言すると、読み出し電流の不安定性を過剰に有するメモリセルは、迅速かつ効率的な方法で論理合格/不合格基準によって排除される。
【0027】
図6は、不良メモリセルを識別するための別の実施形態を例示しており、メモリセルのゲートに電圧を印加する追加ステップが、図3の方法に追加される。この修正された方法によって、メモリセルをVtcg_targetにプログラミングした後で、かつ、Vtcgを測定する前に、メモリセルの1つ以上のゲート(例えば、制御ゲート、消去ゲート、選択ゲート)に電圧を印加する。具体的には、メモリセルゲートに印加した正電圧は、メモリセルのゲート酸化物に対する電界ストレスを生じさせ、メモリセルのゲート酸化物-チャネルインターフェースにおけるトラップでの電子トラップを刺激する。同様に、メモリセルゲートに印加した負電圧は、メモリセルのゲート酸化物に対する電界ストレスを生じさせ、インターフェーストラップからの電子のデトラップを刺激する。したがって、RTNを生成するインターフェーストラップを有するメモリセルの場合、正電圧は電子のトラップを刺激し、Vtcgをより高い状態にする。その反対に、負電圧は電子のデトラップを刺激し、Vtcgをより低い状態にする。RTNは不安定な挙動をするため、不良メモリセルは、全ての読み出し動作中に1つのVtcg状態のみに留まり得る。この場合、不良メモリセルは排除されない。したがって、読み出し前に正電圧(1V~7V)及び負電圧(-1V~-7V)を印加すること(各読み出し前に1つの極性)は、RTNを有するメモリセルを刺激して両方のVtcg状態を提示させ、それによってスクリーニング効率を高める。メモリセルが印加された電圧の下で取得したRTN状態を「思い出す」特性時間が存在する。電圧の印加と読み出し動作との間の遅延は、典型的な電子捕獲及び放出時間(例として、室温で100ms)よりも長くあるべきではない。そうでなければ、読み出し動作前の電圧印加の効率が低下する。各極性の電圧は、図6に例示するように1回印加することができ、その後に各々の読み出し動作が続く。各極性の一連の電圧印加を複数回行い、各回に後の読み出し動作を続けることを行うことにより、スクリーニング効率を向上させることがでる。更に、電圧の極性を逆にすることができる(すなわち、ステップ3c/3dは、ステップ3a/3bの前に実行することができる)。
【0028】
読み出し動作前のメモリセルのゲートへの電圧の印加はまた、図7に例示される不良メモリセルを識別するための方法の別の実施形態として使用することができる。図7の方法は、Vtcg_target+ΔVcgに等しいVcgで読み出す(ステップ3b)前に、正電圧を印加する(ステップ3a)こと、及びVtcg_target-ΔVcgに等しいVcgで読み出す(ステップ4b)前に、負電圧を印加する(ステップ4a)ことを除いて、図5の方法と同じである。Vtcg_target+ΔVcgでの読み出し(ステップ3b)は、読み出し中により高いVtcg状態に留まる(電子がインターフェーストラップでトラップされたとき)セルを排除することを意図している。読み出し前の電子のトラップを刺激するために、印加電圧は正の極性を有するべきである。その反対に、Vtcg_target-ΔVcgでの読み出し(ステップ4b)は、読み出し中により低いVtcg状態に留まる(電子がインターフェーストラップから放出されたとき)セルを排除することを意図している。読み出し前の電子のデトラップを刺激するために、印加電圧は負の極性を有するべきである。ステップ3及び4は、逆の順序で実行することができる。前の実施形態で述べたように、電圧の印加と読み出し動作との間の遅延は、典型的な電子捕獲及び放出時間(例として、室温で100ms)よりも長くあるべきではない。そうでなければ、読み出し動作前の電圧印加の効率が低下する。各極性の電圧は、図7に例示するように1回印加することができ、その後に各々の読み出し動作が続く。各極性の一連の電圧印加を複数回行い、それぞれ、その後に各々の読み出し動作が続くようにして、スクリーニング効率を向上させることができる。更に、電圧の極性を逆にすることができる(すなわち、ステップ4a/4bは、ステップ3a/3bの前に実行することができる)。
【0029】
本発明は、本明細書に図示された上記実施形態に限定されるものではなく、任意の特許請求の範囲の範疇に収まるあらゆる変形例を包含することが理解されよう。例えば、本明細書における本発明への言及は、特許請求の範囲又は特許請求項の用語の限定を意図するものではなく、代わりに特許請求の範囲の1つ以上によって網羅され得る1つ以上の特徴に関連するにすぎない。上記で説明した材料、プロセス、及び数値の実施例は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではない。更に、特許請求の範囲及び明細書から明らかであるように、特に指定のない限り、全ての方法工程が図示又は請求されている厳密な順序で行われる必要はない。単一の材料層は、かかる又は類似の材料から構成される多数の層として形成することができ、そして、逆もまた同様である。本明細書で使用される、用語「形成」及び「形成される」とは、材料堆積、材料増加、又は開示又は特許請求される材料を提供する際の任意の他の技法を含むものとする。最後に、本発明は、図1のメモリセルよりも少ないゲートを有する(例えば、消去ゲートを有さない)メモリセルのアレイで実施され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7