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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】スチーム噴出器およびスチームアイロン
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/18 20060101AFI20230303BHJP
   D06F 87/00 20060101ALI20230303BHJP
   D06F 75/24 20060101ALI20230303BHJP
   D06F 75/14 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
D06F75/18
D06F87/00
D06F75/24
D06F75/14 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019033931
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020137620
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】飯村 直之
(72)【発明者】
【氏名】松坂 建志
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一
(72)【発明者】
【氏名】森本 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】筏井 和康
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213106(JP,A)
【文献】実開昭60-044798(JP,U)
【文献】登録実用新案第3056996(JP,U)
【文献】特開2018-099420(JP,A)
【文献】特表2012-526586(JP,A)
【文献】特開2008-093087(JP,A)
【文献】特開2014-067661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 75/18
D06F 87/00
D06F 75/24
D06F 75/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が供給される気化室、および、前記気化室内の液体からスチームが生成されるように前記気化室を加熱するヒータユニットを含む気化体と、
液体を貯留するタンクから前記気化室に液体を供給するポンプと、
前記気化体で生成されたスチームを噴出する噴出口を含むベースとを備え、
前記ヒータユニットはヒータと、前記ヒータを収容するケースとを含み、
前記気化室は前記ポンプから供給された液体が流れる流路を有するプレートと、前記流路を流れるスチームを通過させ、前記流路を流れる液体を遮るように前記プレートに設けられる堰板とを含み、
前記堰板は前記プレートとの間に隙間が形成されないように前記プレートに設けられ、前記プレートが前記ケースに固定された状態において、前記ケースとの間にスチームが通過可能な隙間が形成されるように前記プレートに設けられ、
前記ケースの熱伝導率は前記ベースの熱伝導率よりも高く、
前記堰板の熱伝導率は前記ケースの熱伝導率以上である
スチーム噴出器。
【請求項2】
記ケースの熱伝導率は前記プレートの熱伝導率よりも高い
請求項1に記載のスチーム噴出器。
【請求項3】
前記プレートは前記ポンプから供給される液体を給水する給水口を含む基礎板と、前記給水口と繋がる前記流路が形成されるように前記基礎板に設けられる区画板とを含み、
前記流路は前記給水口の周囲を取り囲むように設けられる
請求項1または2に記載のスチーム噴出器。
【請求項4】
前記ヒータはPTCヒータである
請求項1~3のいずれか一項に記載のスチーム噴出器。
【請求項5】
前記ベースは掛面を含むベース本体と、前記掛面に対して凹んだ凹部とをさらに含み、
前記噴出口は前記ベース本体を貫通するように前記凹部に設けられる
請求項1~4のいずれか一項に記載のスチーム噴出器。
【請求項6】
前記凹部は前記ベース本体において横方向に延びるように設けられる
請求項5に記載のスチーム噴出器。
【請求項7】
前記凹部は第1端部、第2端部、および、前記第1端部と前記第2端部とを繋げる中間部分を含み、
前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方は、前記中間部分に対して持ち上がるように形成され、
前記噴出口は前記中間部分に設けられる
請求項6に記載のスチーム噴出器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のスチーム噴出器と、
衣類に熱を与える掛面とを備える
スチームアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチーム噴出器およびスチームアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
スチームを噴出可能なスチーム噴出器が知られている。従来のスチーム噴出器はスチームを噴出する噴出口を含むベースと、噴出口からスチームが噴出されるようにスチームを生成する気化体と、液体を貯留するタンクから気化体に液体を供給するポンプとを備える。気化体はポンプから液体が供給される気化室、および、気化室内の液体からスチームが生成されるように気化室を加熱するヒータを含む。このスチーム噴出器では、ポンプの駆動に伴ってタンク内の液体が気化室に供給され、気化室内の液体がヒータで加熱されることによりスチームが生成され、そのスチームが噴出口を介して外部に噴出される。特許文献1は従来のスチーム噴出器の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-99420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スチーム噴出器に搭載されるヒータの種類によっては、ヒータの温度分布が不均一になるとヒータの出力温度が低下することがある。この場合、ヒータの加熱によるスチームの生成効率が低下し、スチームが安定して噴出されないおそれがある。
【0005】
本発明の目的はスチームを安定して噴出できるスチーム噴出器およびスチームアイロンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に関するスチーム噴出器の一形態は、液体が供給される気化室、および、前記気化室内の液体からスチームが生成されるように前記気化室を加熱するヒータユニットを含む気化体と、液体を貯留するタンクから前記気化室に液体を供給するポンプと、前記気化体で生成されたスチームを噴出する噴出口を含むベースとを備え、前記ヒータユニットはヒータと、前記ヒータを収容するケースとを含み、前記ケースの熱伝導率は前記ベースの熱伝導率よりも高い。
【0007】
本発明に関するスチームアイロンの一形態は、前記スチーム噴出器と、衣類に熱を与える掛面とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンによれば、スチームを安定して噴出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態のスチームアイロンの正面を示す斜視図。
図2図1のスチームアイロンの背面を示す斜視図。
図3図1のスチームアイロンにおいて、第2部分の内部構造を示す側面図。
図4図1のスチームアイロンにカバーが取り付けられた状態を示す斜視図。
図5図1のスチームアイロンの分解斜視図。
図6図5の第1ブロックの分解斜視図。
図7図6の気化室の正面図。
図8図5の第2ブロックの分解斜視図。
図9図5の第3ブロックの分解斜視図。
図10図5の第3ブロックの構成を示す断面図。
図11図10のZ部の拡大図。
図12図1のスチームアイロンの使用状態の一例を示す斜視図。
図13】変形例のスチームアイロンの正面を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(スチーム噴出器およびスチームアイロンが取り得る形態の一例)
本発明に関するスチーム噴出器の一形態は、液体が供給される気化室、および、前記気化室内の液体からスチームが生成されるように前記気化室を加熱するヒータユニットを含む気化体と、液体を貯留するタンクから前記気化室に液体を供給するポンプと、前記気化体で生成されたスチームを噴出する噴出口を含むベースとを備え、前記ヒータユニットはヒータと、前記ヒータを収容するケースとを含み、前記ケースの熱伝導率は前記ベースの熱伝導率よりも高い。
ヒータの温度分布に影響を及ぼす主要な因子の1つとして、ヒータを収容するケースの熱伝導率が挙げられる。ケースの熱伝導率が高くなるほどヒータからケースへの熱の伝導性が高くなるため、ヒータの温度分布が不均一になりにくい。上記スチーム噴出器によれば、ケースの熱伝導率がベースの熱伝導率よりも高いため、ヒータの温度分布の均一性が向上する。ヒータの出力温度が安定するため、スチームを安定して噴出できる。
【0011】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記気化室は前記ポンプから供給された液体が流れる流路を有するプレートを含み、前記ケースの熱伝導率は前記プレートの熱伝導率よりも高い。
上記スチーム噴出器によれば、ケースの熱伝導率がプレートの熱伝導率よりも高いため、ヒータの温度分布の均一性が向上する。このため、ヒータの出力温度が安定し、スチームを安定して噴出できる。
【0012】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記気化室は、前記流路を流れるスチームを通過させ、前記流路を流れる液体を遮るように前記プレートに設けられる堰板をさらに含む。
上記スチーム噴出器によれば、流路を流れる液体が堰板により遮られるため、気化していない液体が気化室内に滞留しやすい。このため、噴出口から液体が噴出されるおそれを低減できる。
【0013】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記堰板の熱伝導率は前記ケースの熱伝導率以上である。
上記スチーム噴出器によれば、堰板に遮られた液体が堰板の熱により気化しやすいため、スチームの生成効率が向上する。
【0014】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記プレートは前記ポンプから供給される液体を給水する給水口を含む基礎板と、前記給水口と繋がる前記流路が形成されるように前記基礎板に設けられる区画板とを含み、前記流路は前記給水口の周囲を取り囲むように設けられる。
ポンプから供給される液体は給水口から給水され、流路を通過する過程で気化し、スチームとなって噴出口から噴出される。このため、プレートの給水口付近の温度が最も低くなり、ヒータの温度分布に影響を及ぼす。一方、上記スチーム噴出器によれば、流路が給水口の周囲を取り囲むように設けられるため、プレートの温度分布が均一に近づけられる。このため、ヒータの温度分布の均一性が向上し、スチームを安定して噴出できる。
【0015】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記ヒータはPTCヒータである。
PTCヒータの特性の1つとして、ヒータの出力温度がヒータの温度分布に依存する点が挙げられる。一例では、ヒータの温度分布の均一性が低下するほどヒータの出力温度が低下し、ヒータの温度分布の均一性が向上するほどヒータの出力温度が安定する。上記スチーム噴出器によれば、ヒータの温度分布の均一性が向上するようにケースの熱伝導率が設定されるため、PTCヒータを採用してもスチームを安定して噴出できる。
PTCヒータは温度の上昇に伴い電気抵抗が増大する。PTCヒータに接続される電源電圧がいずれの電圧の場合でも、変圧器を介さずに電源電圧からPTCヒータに電力を供給できる。熱源としてPTCヒータを搭載する上記スチーム噴出器は、日常の生活環境の商用電源の電圧とは異なる電圧の商用電源に直接的に接続されても正常に動作する。このため、ユーザが変圧器を用意する必要がなく、利便性の向上に貢献できる。
【0016】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記ベースは掛面を含むベース本体と、前記掛面に対して凹んだ凹部とをさらに含み、前記噴出口は前記ベース本体を貫通するように前記凹部に設けられる。
ヒータの加熱により生成されるスチームは噴出口から噴出される一方で、噴出口付近に付着することがある。噴出口付近に付着したスチームは集合すると液体になる。上記スチーム噴出器によれば、噴出口が凹部に設けられるため、噴出口付近に付着したスチームおよび液体が凹部に貯留される。このため、スチーム噴出器から液体が滴りにくい。
【0017】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記凹部は前記ベース本体において横方向に延びるように設けられる。
上記スチーム噴出器によれば、凹部に貯留された液体がベースの横方向に流れるようにスチーム噴出器を傾けることで、凹部に貯留された液体を容易に除去できる。
【0018】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記凹部は第1端部、第2端部、および、前記第1端部と前記第2端部とを繋げる中間部分を含み、前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方は、前記中間部分に対して持ち上がるように形成され、前記噴出口は前記中間部分に設けられる。
上記スチーム噴出器によれば、噴出口付近に付着したスチームおよび液体が中間部分に滞留しやすい。このため、スチーム噴出器から液体が滴りにくい。
【0019】
本発明に関するスチームアイロンの一形態は、前記スチーム噴出器と、衣類に熱を与える掛面とを備える。
上記スチームアイロンによれば、ケースの熱伝導率がベースの熱伝導率よりも高いため、ヒータの温度分布の均一性が向上する。ヒータの出力温度が安定するため、スチームを安定して噴出できる。
【0020】
(実施の形態)
図1および図2を参照して、スチームアイロン1の外観構成について説明する。
スチームアイロン1は衣類C(図12参照)のしわを伸ばすために利用される。スチームアイロン1は例えばアイロン機能およびスチーム機能を有する。アイロン機能は熱および圧力を衣類Cに与えることにより衣類Cのしわを伸ばす機能である。スチーム機能はスチームを衣類Cに与えることにより衣類Cのしわを伸ばす機能である。図示される例では、スチームアイロン1はスチーム機能に特化した衣類スチーマ(ハンディスチームアイロン)である。スチームアイロン1はアイロン機能に特化した一般的なスチームアイロンであってもよい。
【0021】
スチームアイロン1はスチーム噴出器10と、衣類Cに熱を与える掛面22A(図1参照)とを備える。スチーム噴出器10はスチーム機能を有する。掛面22Aはアイロン機能を有する。スチーム噴出器10は例えば携帯性が向上するように軽量に構成される。スチーム噴出器10はハウジング11、ロック操作部14(図2参照)、電源操作部15、ポンプ操作部16(図2参照)、電源コード17、および、ベース21(図1参照)を備える。
【0022】
ハウジング11はスチーム噴出器10の外郭を構成する。ハウジング11は例えば複数の部品が結合されることにより構成される。一例では、ハウジング11は一対の第1部分11Aおよび一対の第2部分11Bを含む。一対の第1部分11Aはスチーム噴出器10を構成する各種の要素を収容する。具体的には、一対の第1部分11Aが互いに結合されることにより、スチーム噴出器10を構成する各種の要素が収容される。一対の第1部分11Aは例えば互いに結合された状態において、前方が開口した釣鐘形状を有する。第1部分11Aを構成する材料の一例は樹脂である。第1部分11Aを構成する樹脂の一例はポリカーボネートである。
【0023】
一対の第2部分11Bはスチーム噴出器10を把持するための把持部12として機能する。具体的には、一対の第2部分11Bが互いに結合されることにより把持部12が構成される。第2部分11Bを構成する材料の一例は樹脂である。第2部分11Bを構成する樹脂の一例はABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂である。一対の第1部分11Aと一対の第2部分11Bとが互いに結合されることによりハウジング11が構成される。一例では、一対の第1部分11Aと一対の第2部分11Bとはヒンジ13(図3参照)を介して結合される。
【0024】
スチーム噴出器10は使用に適した第1姿勢と、収納に適した第2姿勢とを切り替え可能に構成される。第1姿勢は例えば第1部分11Aと第2部分11Bとがなす小さい方の角度が最も大きい姿勢である。第2姿勢は例えば第1部分11Aと第2部分11Bとがなす小さい方の角度が最も小さい姿勢である。図2に示される実線のスチーム噴出器10は第1姿勢を示す。図2に示される二点鎖線のスチーム噴出器10は第2姿勢を示す。
【0025】
ロック操作部14はスチーム噴出器10の姿勢をロック可能に構成される。ロック操作部14は例えばスライド式のスイッチを含む。ロック操作部14はハウジング11に設けられる。図2に示される例では、ロック操作部14は第2部分11Bの背面に設けられる。スチーム噴出器10の姿勢がロックされるようにロック操作部14が操作されると、スチーム噴出器10の姿勢が第1姿勢または第2姿勢でロックされる。スチーム噴出器10の姿勢がアンロックされるようにロック操作部14が操作されると、スチーム噴出器10の姿勢を切り替え可能な状態が形成される。
【0026】
電源操作部15はスチームアイロン1の電源のオンオフを切り替え可能に構成される。電源操作部15は例えばスライド式のスイッチを含む。電源操作部15はハウジング11に設けられる。図1に示される例では、電源操作部15は第2部分11Bの正面11Cに設けられる。この場合、電源操作部15はスチーム噴出器10の第2姿勢において第1部分11Aを臨む(図2参照)。このため、スチーム噴出器10が使用されない第2姿勢において、電源操作部15の誤操作を抑制できる。スチームアイロン1の電源がオフからオンに切り替えられるように電源操作部15が操作されると、後述するヒータ37(図6参照)が動作し始める。スチームアイロン1の電源がオンからオフに切り替えられるように電源操作部15が操作されると、ヒータ37の動作が停止する。
【0027】
図3に示されるように、電源操作部15はスイッチ本体15A、結合部15B、突出部15C、および、スライド部15Dを含む。スイッチ本体15Aはハウジング11の外部に露出する。結合部15Bはスイッチ本体15Aとスライド部15Dとを互いに結合する。一例では、結合部15Bはスイッチ本体15Aから延びるように設けられ、スライド部15Dを覆うようにスライド部15Dと結合する。突出部15Cは例えばスチームアイロン1の前後方向において、結合部15Bの背面から突出するように結合部15Bに設けられる。スライド部15Dはスイッチ本体15Aの操作に応じて、スチームアイロン1の電源のオンオフを切り替えるようにスライドする。このような構成では、互いに結合された一対の第2部分11Bの隙間Sから飛沫が侵入したとしても、その液体が結合部15Bおよび突出部15Cにより妨げられるため、一対の第2部分11B内に収容される各種の電気的な要素に影響を及ぼしにくい。図3はスチームアイロン1の側面視において、一方の第2部分11Bを省略した状態を示す。
【0028】
ポンプ操作部16は後述するポンプ60(図9参照)を駆動可能に構成される。ポンプ操作部16は例えばボタン式のスイッチを含む。ポンプ操作部16はハウジング11に設けられる。図2に示される例では、ポンプ操作部16は第1部分11Aの背面に設けられる。一例では、ポンプ操作部16の操作に応じてポンプ60が動作し、スチームアイロン1からスチームが噴出される。具体的には、ポンプ操作部16が操作される毎に、スチームアイロン1から所定量のスチームが噴出されるようにポンプ60が動作する。
【0029】
電源コード17は例えば外部電源から供給される電力を、スチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素に供給する。外部電源の一例は商用電源である。電源コード17はスチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素と電気的に接続される。電源コード17は例えばハウジング11において、第2部分11Bの端部11Dから延びる。一例では、電源コード17が外部電源に接続されると、スチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素に外部電源の電力が供給される。
【0030】
図1に示されるように、ベース21は長手方向および短手方向を規定可能な形状を有する。ベース21は衣類Cに熱を与える掛面22Aを含むベース本体22と、掛面22Aに対して凹んだ凹部23と、スチームを噴出する噴出口24とを含む。ベース本体22を構成する材料の一例はアルミニウム合金である。ベース本体22を構成するアルミニウム合金の一例はADC12である。ベース本体22は例えばハウジング11において、第1部分11Aの開口11Eに嵌め込まれるように設けられる。掛面22Aは例えばヒータ37から熱が伝達される。掛面22Aの形状は開口11Eの形状と相似形を有する。一例では、掛面22Aは略楕円形状を有する。
【0031】
凹部23はベース本体22において横方向に延びるように設けられる。一例では、凹部23は掛面22A上において、ベース21の短手方向における中央に配置され、かつ、ベース21の長手方向に延びるようにベース本体22に設けられる。凹部23は第1端部23A、第2端部23B、および、第1端部23Aと第2端部23Bとを繋げる中間部分23Cを含む。第1端部23Aおよび第2端部23Bの少なくとも一方は掛面22Aの外縁22Bに向けて延びる。一例では、第1端部23Aおよび第2端部23Bは掛面22Aの外縁22Bにおいて、互いに相反する側方に向けて延びる。第1端部23Aおよび第2端部23Bの少なくとも一方は掛面22Aの外縁22Bと繋げられてもよい。第1端部23Aおよび第2端部23Bの少なくとも一方は、中間部分23Cに対して持ち上がるように形成される。一例では、第1端部23Aおよび第2端部23Bはスチームアイロン1の高さ方向において、中間部分23Cに対して持ち上がるように掛面22Aの外縁22Bに向けて延びる。第1端部23Aの深さは例えば掛面22Aの外縁22Bに向かうにつれて浅くなる。第2端部23Bの深さは例えば掛面22Aの外縁22Bに向かうにつれて浅くなる。中間部分23Cの深さは例えば一定である。
【0032】
噴出口24はベース本体22を貫通する貫通孔である。噴出口24は例えばベース本体22を貫通するように凹部23に設けられる。一例では、噴出口24は中間部分23Cに設けられる。噴出口24の数の一例は5つである。図1に示される例では、複数の噴出口24はベース21の長手方向において、等間隔に並ぶように中間部分23Cに設けられる。噴出口24の数は4つ以下または6つ以上であってもよい。
【0033】
ヒータ37の加熱により生成されるスチームは噴出口24から噴出される一方で、噴出口24付近に付着することがある。噴出口24付近に付着したスチームは集合すると液体になる。スチームアイロン1では、噴出口24が凹部23に設けられるため、噴出口24付近に付着したスチームおよび液体が凹部23に貯留される。また、第1端部23Aおよび第2端部23Bが中間部分23Cに対して持ち上がるようにベース本体22に設けられるため、噴出口24付近に付着したスチームおよび液体が中間部分23Cに滞留しやすい。このため、スチームアイロン1から液体が滴りにくく、衣類Cを濡らすおそれを低減できる。また、凹部23に貯留された液体が掛面22Aの外縁22Bに向けて流れるようにスチームアイロン1を傾けることで、凹部23に貯留された液体を容易に除去できる。
【0034】
図4に示されるように、スチーム噴出器10はカバーCVを取り付け可能に構成される。カバーCVはベース21を被覆可能に構成される。カバーCVは例えばスタンド機能を有する。スタンド機能はスチームアイロン1を自立させる機能である。ハウジング11の第2部分11Bはスチーム噴出器10の第2姿勢において、カバーCVの被係合部PEと係合可能に構成される。具体的には、第2部分11Bの端部11DがカバーCVの被係合部PEと係合可能に構成される。一例では、カバーCVがベース21に取り付けられ、第2部分11Bの端部11DがカバーCVの被係合部PEに係合されることにより、カバーCVがベース21に保持される。図4に示される二点鎖線は、第2部分11Bの端部11DがカバーCVの被係合部PEに係合された状態を示す。
【0035】
図5図11を参照して、スチームアイロン1の内部構成について説明する。
図5に示されるように、スチーム噴出器10はベース21を含む第1ブロック20と、第2ブロック40と、ポンプ操作部16を含む第3ブロック50とをさらに備える。第1ブロック20、第2ブロック40、および、第3ブロック50はハウジング11に収容される。一例では、第1ブロック20、第2ブロック40、および、第3ブロック50はベース21が開口11Eから露出するように互いに結合された一対の第1部分11Aに収容される。第1ブロック20は例えばスチームアイロン1の前後方向において最も前方に設けられる。第2ブロック40は例えばスチームアイロン1の前後方向において、第1ブロック20と第3ブロック50とを互いに結合するように第1ブロック20と第3ブロック50との間に設けられる。第3ブロック50は例えばスチームアイロン1の前後方向において最も後方に設けられる。
【0036】
図6に示されるように、第1ブロック20を構成する主な要素はベース21および気化体30である。気化体30は噴出口24からスチームが噴出されるようにスチームを生成する。気化体30はポンプ60から液体が供給される気化室31、および、気化室31内の液体からスチームが生成されるように気化室31を加熱するヒータユニット36を含む。ヒータユニット36は例えばスチームアイロン1の前後方向において、ベース21と気化室31との間に設けられる。ヒータユニット36はベース21および気化室31を加熱するように構成される。
【0037】
ヒータユニット36はヒータ37と、ヒータ37を収容するケース38とを含む。ヒータ37は電源コード17を介して供給された電気エネルギを熱エネルギに変換する。ヒータ37の温度は例えばサーモスタット(図示略)により調節される。ヒータ37はPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータである。ヒータ37の数の一例は2つである。ヒータ37の数は1つまたは3つ以上であってもよい。ケース38はヒータ37が出力する熱を他の要素に伝達する。ケース38は高い熱伝導率を有する。一例では、ケース38の熱伝導率はベース21の熱伝導率よりも高い。ケース38を構成する材料の一例はアルミニウム合金である。ケース38を構成するアルミニウム合金の一例はA6063である。
【0038】
ケース38はケース本体38Aと、ヒータ37を収容可能な収容部38Bと、噴出口24と気化室31とを繋げる連通孔38Cとを含む。収容部38Bはケース本体38Aに設けられる。収容部38Bは例えばヒータ37を収容可能な空間である。収容部38Bの数はヒータ37の数と一致する。収容部38Bの数の一例は2つである。2つの収容部38Bは例えばベース21の短手方向において間隔を空けて設けられる。連通孔38Cは例えばベース21の短手方向において、一方の収容部38Bと他方の収容部38Bとの間に設けられる。連通孔38Cの数の一例は2つである。2つの連通孔38Cは例えばベース21の長手方向において間隔を空けて設けられる。連通孔38Cの数は1つまたは3つ以上であってもよい。
【0039】
図7に示されるように、気化室31はポンプ60から供給された液体が流れる流路32Aを有するプレート32を含む。プレート32は長手方向および短手方向を規定可能な形状を有する。プレート32の長手方向はベース21の長手方向と一致する。プレート32の短手方向はベース21の短手方向と一致する。プレート32は例えば前方が開口するように構成される。一例では、プレート32の開口32Bを閉鎖するようにプレート32とヒータユニット36のケース38とが結合されることにより、プレート32とケース38との間の空間に流路32Aが形成される。プレート32の流路32Aに相当する部分の面積はケース38の面積の半分以上である。一例では、プレート32の流路32Aに相当する部分の面積はケース38の面積の4分の3程度が好ましい。このため、流路32Aを流れる液体がヒータユニット36により加熱されやすい。プレート32を構成する材料の一例はアルミニウム合金である。プレート32を構成するアルミニウム合金の一例はADC12である。ケース38の熱伝導率はプレート32の熱伝導率よりも高い。
【0040】
プレート32はポンプ60から供給される液体を給水する給水口33Aを含む基礎板33と、給水口33Aと繋がる流路32Aが形成されるように基礎板33に設けられる区画板34とを含む。基礎板33は例えば平板である。一例では、給水口33Aは基礎板33の中央に設けられる。具体的には、給水口33Aはプレート32の長手方向および短手方向における基礎板33の中央に設けられる。区画板34は例えば基礎板33から立ち上がるように設けられる。
【0041】
流路32Aは給水口33Aの周囲を取り囲むように設けられる。一例では、給水口33Aに給水される液体よりも高い温度の液体が流れる流路32Aが給水口33Aの周囲を取り囲む。具体的には、流路32Aの下流が給水口33Aの周囲を取り囲む。図7に示される例では、流路32Aの最下流が給水口33Aの周囲を取り囲む。ポンプ60から供給される液体は給水口33Aから給水され、流路32Aを通過する過程で気化し、スチームとなって噴出口24から噴出される。このため、プレート32の給水口33A付近の温度が最も低くなり、ヒータ37の温度分布に影響を及ぼす。一方、スチームアイロン1では、流路32Aが給水口33Aの周囲を取り囲むように設けられるため、プレート32の温度分布が均一に近づけられる。このため、ヒータ37の温度分布の均一性が向上する。
【0042】
区画板34は流路32Aが給水口33Aの周囲を取り囲むように基礎板33に設けられる。区画板34は第1区画板34Aおよび第2区画板34Bを含む。第1区画板34Aは例えば基礎板33の外縁33Bから立ち上がるように設けられる。第2区画板34Bは例えば第1区画板34Aとの間、および、第2区画板34Bの別の部分との間に流路32Aが形成されるように基礎板33に設けられる。第1区画板34Aおよび第2区画板34Bは互いに連続する。
【0043】
プレート32は例えば接着剤ADを介してヒータユニット36のケース38に固定される。接着剤ADは例えば区画板34上に設けられる。図7に示されるドットは接着剤ADを示す。一例では、プレート32とケース38とが接着剤ADを介して結合されることにより、プレート32がケース38に固定される。流路32Aは例えばプレート32がケース38に固定された状態において、ケース38の連通孔38Cと繋がる。一例では、流路32Aは下流において連通孔38Cと繋がる。図7に示される例では、流路32Aは最下流において連通孔38Cと繋がる。一例では、給水口33Aから給水された液体が流路32Aを通過する過程において加熱され、加熱された液体が気化することによりスチームが生成され、生成されたスチームが連通孔38Cを介して噴出口24から噴出される。
【0044】
気化室31は、流路32Aを流れるスチームを通過させ、流路32Aを流れる液体を遮るようにプレート32に設けられる堰板35をさらに含む。堰板35は例えば流路32Aにおいて、連通孔38Cと繋がる部分よりも上流を流れる液体を遮るようにプレート32に設けられる。堰板35は基礎板33および区画板34との間に隙間が形成されないようにプレート32に設けられる。堰板35は例えば基礎板33から立ち上がるようにプレート32に設けられる。堰板35はプレート32がケース38に固定された状態において、ケース38との間にスチームが通過可能な隙間が形成されるようにプレート32に設けられる。流路32Aを流れる液体が堰板35により遮られるため、気化していない液体が気化室31内に滞留しやすい。このため、噴出口24から液体が噴出されるおそれを低減できる。堰板35の熱伝導率はケース38の熱伝導率以上である。堰板35を構成する材料の一例はアルミニウム合金である。堰板35を構成するアルミニウム合金の一例はA1100である。堰板35に遮られた液体が堰板35の熱により気化しやすいため、スチームの生成効率が向上する。
【0045】
図8に示されるように、第2ブロック40を構成する主な要素は筐体41、パッキン42、接続部43、および、バルブ44である。筐体41は例えばヒータ37の熱を断熱するように気化体30を収容する。筐体41を構成する材料は低い熱伝導率を有する。筐体41を構成する材料の一例はポリプロピレンである。一例では、筐体41は断熱材として機能する。パッキン42はベース21と筐体41とをシールするように構成される。
【0046】
接続部43は第1ブロック20と第3ブロック50とを流体的に接続するように構成される。接続部43は例えば筐体41に設けられる。接続部43は接続部本体43A、給水口43B、および、排水口43Cを含む。接続部本体43Aは例えば2つの部品が結合されることにより構成される。給水口43Bおよび排水口43Cは接続部本体43Aに設けられる。一例では、給水口43Bが接続部本体43Aを構成する一方の部品に設けられ、排水口43Cが接続部本体43Aを構成する他方の部品に設けられる。給水口43Bはポンプ60から供給される液体を給水する。給水口43Bから給水された液体は接続部本体43A内を通過して排水口43Cに流れ込む。排水口43Cは給水口43Bから給水された液体を排出する。排水口43Cは例えば気化室31の給水口33Aに接続される。一例では、ポンプ60から供給された液体は接続部43を介して気化室31内に供給される。
【0047】
バルブ44はポンプ60から供給される液体を気化室31に供給可能な状態と、ポンプ60から供給される液体を気化室31に供給不能な状態とを切り替え可能に構成される。バルブ44は例えば接続部43の給水口43Bに設けられる。バルブ44を構成する材料の一例はポリブチレンテレフタレートである。バルブ44はバイメタル(図示略)により開閉される。バイメタルは気化室31の熱により変形可能な構成を有する。一例では、バイメタルは気化室31の温度がスチームを生成可能な温度になると、バルブ44を開放するように変形する。バルブ44が開放されると、ポンプ60から供給される液体が接続部43を介して気化室31に供給される。一方、バイメタルは気化室31の温度がスチームを生成不能な温度になると、バルブ44を閉鎖するように変形する。バルブ44が閉鎖されると、ポンプ60から供給される液体がバルブ44により遮られ、気化室31に液体が供給されない。
【0048】
図9に示されるように、第3ブロック50を構成する主な要素はタンク51、ポンプ60、および、送水部70である。タンク51はスチーム生成用の液体を貯留可能に構成される。スチーム生成用の液体の一例は水である。タンク51は液体を貯留するタンク本体52と、液体をタンク本体52に注水可能な注水口55とを含む。タンク本体52を構成する材料の一例は樹脂である。タンク本体52を構成する樹脂の一例はポリカーボネートである。タンク本体52は第1タンク53および第2タンク54を含む。第1タンク53は液体を貯留可能な空間を含む。第2タンク54は液体を貯留可能な空間を含む。第1タンク53と第2タンク54とが互いに結合されることにより、第1タンク53内の空間と第2タンク54内の空間とが繋がり、タンク本体52が構成される。
【0049】
注水口55はタンク本体52に設けられる。一例では、注水口55は第1タンク53に設けられる。注水口55から注水された液体はタンク本体52内に貯留される。注水口55は例えば蓋56(図2参照)により覆われる。蓋56は注水口55を開閉可能に構成される。注水口55は例えば蓋56が開放された状態において外部に露出する。蓋56は例えば注水口55を閉鎖する状態において、ハウジング11の第1部分11Aの一部を形成するように構成される。(図2参照)。
【0050】
ポンプ60は例えば手動ポンプである。ポンプ60はタンク51内の液体を気化体30に供給可能に構成される。ポンプ60はピストン61およびシリンダ62を含む。ピストン61は例えばシリンダ62内を往復運動するように構成される。ピストン61はポンプ操作部16に結合される。一例では、ピストン61はポンプ操作部16と一体的に設けられる。ポンプ操作部16は例えばポンプ操作部16が操作されていない状態において、シリンダ62に対するピストン61の位置が初期位置に保持されるようにばね63により付勢されている。ピストン61の初期位置は例えばスチームアイロン1の前後方向において、ポンプ操作部16が最も後方に突出した位置である。
【0051】
シリンダ62はピストン61を収容可能に構成される。シリンダ62はシリンダ本体62A、給水口62B(図10参照)、および、排水口62C(図10参照)を含む。シリンダ本体62Aを構成する材料の一例は樹脂である。シリンダ本体62Aを構成する樹脂の一例はポリアセタールである。給水口62Bはシリンダ本体62Aに設けられる。給水口62Bは例えばタンク51内の液体を給水可能に構成される。給水口62Bから給水される液体はシリンダ本体62Aに貯留される。排水口62Cはシリンダ本体62Aに設けられる。排水口62Cは例えばシリンダ本体62A内の液体を排水可能に構成される。
【0052】
ポンプ60は例えばバルブ(図示略)を介してタンク本体52に設けられる。バルブは給水弁および排水弁を含む(図示略)。給水弁はシリンダ62の給水口62Bと繋がる。排水弁はシリンダ62の排水口62Cと繋がる。バルブはシリンダ本体62A内の容積が小さくなるようにピストン61が移動すると、給水弁が閉鎖され、排水弁が開放される。バルブはシリンダ本体62A内の容積が大きくなるようにピストン61が移動すると、給水弁が開放され、排水弁が閉鎖される。一例では、ポンプ操作部16の操作に応じてピストン61がシリンダ本体62A内を移動すると、シリンダ本体62A内に作用する圧力により排水弁が開放され、シリンダ本体62A内の液体が排水口62Cおよび排水弁を介して排水される。ポンプ操作部16の操作が解除され、ばね63の付勢力によりピストン61がシリンダ本体62A内を移動すると、シリンダ本体62A内に作用する負圧により給水弁が開放され、タンク51内の液体が給水弁および給水口62Bを介してシリンダ本体62A内に給水される。
【0053】
送水部70はポンプ60から供給される液体を送水可能に構成される。送水部70は第1送水部71および第2送水部72を含む。第1送水部71は例えば第1タンク53と第2タンク54との間に設けられる。一例では、第1送水部71は第1タンク53の第1流路53Aと第2タンク54の流路54Aとを繋げるように、第1タンク53と第2タンク54との間に設けられる。第1送水部71は第1流路71Aおよび第2流路71Bを含む。第1送水部71の第1流路71Aは第1タンク53の第1流路53Aから供給される液体を第2タンク54の流路54Aに送水する。第1流路71Aは第1タンク53の第1流路53Aと第2タンク54の流路54Aとを繋ぐように構成される。第1タンク53の第1流路53Aは第1タンク53内の液体を貯留可能な空間とは繋がらない。第1タンク53の第1流路53Aは排水弁と第1送水部71の第1流路71Aとを繋げる。第2タンク54の流路54Aは第2タンク54内の液体を貯留可能な空間とは繋がらない。第2タンク54の流路54Aは第1送水部71の第1流路71Aと第2送水部72とを繋げる。
【0054】
第1送水部71の第2流路71Bは第1タンク53の第2流路53Bから供給される液体をタンク51内に戻す。第1送水部71の第2流路71Bは第1タンク53の第2流路53Bとタンク51内とを繋ぐように構成される。第1タンク53の第2流路53Bは第1タンク53内の液体を貯留可能な空間とは繋がらない。第1タンク53の第2流路53Bは排水弁と第1送水部71の第2流路71Bとを繋げる。第1送水部71はパッキンとしても機能する。第2送水部72は例えば第2タンク54に設けられる。一例では、第2送水部72は第2タンク54の流路54Aと接続部43の給水口43Bとを繋げるように第2タンク54に設けられる。第2送水部72は第2タンク54の流路54Aから供給される液体を接続部43に送水する。
【0055】
図10に示されるように、タンク51内に貯留された液体はポンプ操作部16の操作に応じて第1ルートまたは第2ルートを流れる。バルブ44が開放されている例では、タンク51内に貯留された液体は第1ルートを経由して気化体30に供給される。第1ルートは例えば給水弁、給水口62B、シリンダ本体62A内、排水口62C、排水弁、第1タンク53の第1流路53A、第1送水部71の第1流路71A、および、第2送水部72を順に巡るルートである。この場合、ポンプ操作部16の操作に応じてスチームが噴出口24から噴出される。バルブ44が閉鎖されている例では、タンク51内に貯留された液体は第2ルートを経由して循環する。第2ルートは例えば給水弁、給水口62B、シリンダ本体62A内、排水口62C、排水弁、第1タンク53の第2流路53B、第1送水部71の第2流路71B、および、タンク51内を順に巡るルートである。この場合、ポンプ操作部16の操作に応じてスチームが噴出口24から噴出されない。
【0056】
図11に示されるように、第1送水部71は第1流路71Aと第1タンク53の第1流路53Aとが繋がるように、および、第2流路71Bと第1タンク53の第2流路53Bとが繋がるように第1タンク53とシールされる。また、第1送水部71は第2流路71Bと第2タンク54の流路54Aとが繋がるように第2タンク54とシールされる。第1送水部71と第2タンク54とのシール強度は、第1送水部71と第1タンク53とのシール強度よりも弱い。一例では、第1送水部71はタンク51内に貯留された液体が第2ルートを経由して循環する場合に、第2タンク54との間に隙間が生じるように第2タンク54と弱くシールされる。
【0057】
図12を参照して、スチームアイロン1の使用方法の一例について説明する。
スチームアイロン1は例えばユーザにより次の手順で使用される。第1手順では、タンク51の蓋56が開放され、注水口55からタンク本体52内に液体が注水される。十分な量の液体がタンク本体52内に貯留されている場合、第1手順を省略してもよい。第2手順では、スチームアイロン1の把持部12が把持され、スチームアイロン1の姿勢が第2姿勢から第1姿勢に切り替えられる。第3手順では、スチームアイロン1の電源がオフからオンに切り替えられるように電源操作部15が操作される。スチームアイロン1の電源がオンに設定されると、ヒータ37が動作し始める。
【0058】
第4手順では、スチームアイロン1の掛面22Aを衣類Cに押し当てた状態、または、スチームアイロン1の掛面22Aを衣類Cから離した状態において、スチームが衣類Cに噴出されるようにポンプ操作部16が操作される。一例では、気化室31の温度がスチームを生成可能な温度になって、バルブ44が開放されていると、ポンプ操作部16の操作に応じてスチームが噴出口24から噴出される。一方、気化室31の温度がスチームを生成不能な温度になって、バルブ44が閉鎖されていると、ポンプ操作部16の操作に応じてスチームが噴出口24から噴出されない。スチームアイロン1から噴出されたスチームが衣類Cに与えられると、衣類Cのしわが伸ばされる。衣類Cのアイロン掛けが終了するまで第4手順が繰り返される。第4手順では、スチームアイロン1のアイロン機能で衣類Cのしわを伸ばしながらポンプ操作部16が操作されてもよい。衣類Cのアイロン掛けが終了すると第5手順に移行する。
【0059】
第5手順では、スチームアイロン1の電源がオンからオフに切り替えられるように電源操作部15が操作される。スチームアイロン1の電源がオフに設定されると、ヒータ37の動作が停止する。第6手順では、スチームアイロン1のベース21にカバーCVが取り付けられ、スチームアイロン1の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に切り替えられる。以上の手順を経て、スチームアイロン1の使用が終了する。
【0060】
スチームアイロン1は片手で持ち上げた状態で操作できるように軽量化されている。このため、スチームアイロン1は携帯性も高い。スチームアイロン1は日常の生活環境とは別の環境に携帯されることがある。別の環境の一例は旅行時の宿泊先、または、ビジネスでの出張時の宿泊先である。日常の生活環境と別の環境とでは、商用電源の電圧が異なる場合がある。
【0061】
PTCヒータは温度の上昇に伴い電気抵抗が増大する。PTCヒータに接続される電源電圧がいずれの電圧の場合でも、変圧器を介さずに電源電圧からPTCヒータに電力を供給できる。熱源としてPTCヒータを搭載するスチームアイロン1は、日常の生活環境の商用電源の電圧と異なる電圧の商用電源に直接的に接続されても正常に動作する。このため、ユーザが変圧器を用意する必要がなく、利便性の向上に貢献できる。
【0062】
PTCヒータの特性の1つとして、ヒータ37の出力温度がヒータ37の温度分布に依存する点が挙げられる。一例では、ヒータ37の温度分布の均一性が低下するほどヒータ37の出力温度が低下し、ヒータ37の温度分布の均一性が向上するほどヒータ37の出力温度が安定する。ヒータ37の出力温度が安定すると、ヒータ37の加熱によるスチームの生成効率の向上に貢献できる。一方、PTCヒータの温度分布に影響を及ぼす主要な因子の1つとして、ヒータ37を収容するケース38の熱伝導率が挙げられる。ケース38の熱伝導率が高くなるほどヒータ37からケース38への熱の伝導性が高くなるため、ヒータ37の温度分布が不均一になりにくい。
【0063】
従来のスチームアイロンの熱源のケースは多数の凹凸を含む起伏に富んだ形状を有する。このような形状との関係からダイカストにより熱源のケースが製造される。このケースの材料にはダイカストに適したADC12が用いられる。ADC12の熱伝導率はA6063の熱伝導率よりも低い。A6063はADC12と比較してダイカストには適さないため、一般にA6063が熱源のケースに用いられることはない。
【0064】
スチームアイロン1では、ケース38の熱伝導率を高めるため、ケース38の材料にA6063を用いる。ケース38の形状は押出成形により形成できるように決められる。押出成形ではダイカストとは異なり、A6063を用いても適切に成型品を製造できる。従来のスチームアイロンのケースの形状との比較では、ケース38は凹凸の少ない形状を有する。一例では、ケース38の外面は全体的に平面で構成される。スチームアイロン1を構成する要素との関係では、PTCヒータのケース38の熱伝導率はベース21の熱伝導率よりも高い。さらに、ケース38の熱伝導率はプレート32の熱伝導率よりも高い。
【0065】
熱伝導率の高いA6063で成形されたケース38にPTCヒータが収容されるため、PTCヒータの温度分布が不均一になりにくい。このため、PTCヒータの出力温度が安定して一定の水準に保たれやすく、気化室31における単位時間あたりのスチームの発生量が安定する。このように、適量のスチームが安定して衣類Cに供給されるため、速やかに衣類Cのしわが伸ばされる。
【0066】
(変形例)
上記実施の形態に関する説明は本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンは例えば以下に示される上記実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0067】
・ポンプ60の構成は任意に変更可能である。一例では、ポンプ60は電動ポンプである。
・ケース38の熱伝導率と他の要素の熱伝導率との関係は任意に変更可能である。第1例では、ケース38の熱伝導率は堰板35の熱伝導率よりも高い。第2例では、ケース38の熱伝導率はプレート32の熱伝導率未満である。第3例では、ケース38の熱伝導率はベース21の熱伝導率未満である。
【0068】
・気化室31の構成は任意に変更可能である。第1例では、給水口33Aは基礎板33の外縁33Bに設けられる。第2例では、プレート32の流路32Aに相当する部分の面積はケース38の面積の半分未満である。第3例では、プレート32は区画板34を省略して構成される。第4例では、気化室31は堰板35を省略して構成される。
【0069】
・ベース21の構成は任意に変更可能である。図13に示されるように、ベース21は衣類Cに熱を与える掛面22Aを含むベース本体22と、掛面22Aに対して凹んだ凹部25と、スチームを噴出する噴出口24とを含む。凹部25は例えば略台形形状を有する。凹部25の上底25Aは掛面22Aの外縁22Bを構成する。凹部25の下底25Bは掛面22A上において、ベース21の短手方向における中央に設けられる。凹部25はベース21の長手方向において、上底25Aが下底25Bよりも長い。噴出口24は例えばベース本体22を貫通するように凹部25に設けられる。一例では、噴出口24は凹部25の下底25B付近に設けられる。噴出口24の数の一例は5つである。図13に示される例では、複数の噴出口24はベース21の長手方向において、等間隔に並ぶように凹部25に設けられる。噴出口24の数は4つ以下または6つ以上であってもよい。凹部25には、ベース21の短手方向に沿って延びるリブ26が設けられる。リブ26の数の一例は4本である。図13に示される例では、複数のリブ26はベース21の長手方向において、等間隔に並ぶように凹部25に設けられる。
【0070】
・スチーム噴出器10の構成は任意に変更可能である。第1例では、スチーム噴出器10はバッテリ(図示略)を内蔵する。この場合、スチーム噴出器10は電源コード17を省略して構成されてもよい。一例では、スチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素にバッテリの電力が供給される。第2例では、スチーム噴出器10は特開2018-99420号公報に開示されるスチーム噴出器と実質的に同じ外観または類似の外観を有する。第3例では、ベース21は積極的に熱を与えない掛面を含むベース本体22と、スチームを噴出する噴出口24とを含む。ヒータ37は気化室31のみを加熱するように構成される。この場合、スチーム噴出器10はスチームアイロン1を構成しない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンは、家庭用および業務用をはじめとする各種のスチームアイロンに利用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 :スチームアイロン
10 :スチーム噴出器
21 :ベース
22 :ベース本体
22A :掛面
23 :凹部
23A :第1端部
23B :第2端部
23C :中間部分
24 :噴出口
25 :凹部
30 :気化体
31 :気化室
32 :プレート
32A :流路
33 :基礎板
33A :給水口
34 :区画板
35 :堰板
36 :ヒータユニット
37 :ヒータ
38 :ケース
51 :タンク
60 :ポンプ
C :衣類
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13