(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230303BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20230303BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230303BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20230303BHJP
H04W 4/02 20180101ALI20230303BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/13
G08G1/01 A
H04W4/44
H04W4/02
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2019234458
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 幸成
(72)【発明者】
【氏名】本塚 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】入江 誠隆
(72)【発明者】
【氏名】ウィー ヤオ ハン ガイアス
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032258(JP,A)
【文献】特開2008-204003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G08G 1/13
G08G 1/01
H04W 4/44
H04W 4/02
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される通信装置であって、
地図作成に用いられる静止画像を撮影するカメラと、
前記静止画像の撮影位置を測位する測位部と、
前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付ける制御部と、
路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信する通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、前記位置情報に基づいて
、前記画像データを地図データ上に配置し、前記地図データをグリッドで区切り、前記グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択した前記グリッドの中から画像データを1つ以上選択して、並び替える、
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像データの送信順を、前記静止画像の撮影順とは異なる順番に並び替える、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記グリッドを水平方向に掃引するよう選択する、
請求項
1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記グリッドを垂直方向に掃引するよう選択する、
請求項
1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記グリッドをランダムに選択する、
請求項
1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記グリッドを1つずつ全て選択した後、前記グリッドのサイズを変更して、前記サイズ変更後のグリッドを1つずつ選択する、
請求項
1から
5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
車両に搭載される通信装置であって、
地図作成に用いられる静止画像を撮影するカメラと、
前記静止画像の撮影位置を測位する測位部と、
前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付ける制御部と、
路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信する通信部と、
を備え、
前記制御部は、
前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、
前記位置情報に基づいて、前記画像データを距離軸上に配置し、
前記距離軸をグリッドで区切り、
前記グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択した前記グリッドの中から画像データを1つ以上選択して
、並び替える
、
通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、ダウンサンプリングアルゴリズムを用い、撮影順に並んだ前記画像データを並び替える、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
車両に搭載される通信装置の通信方法であって、
地図作成に用いられる静止画像を撮影し、
前記静止画像の撮影位置を測位し、
前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付け、
路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信し、
前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、前記位置情報に基づいて
、前記画像データを地図データ上に配置し、前記地図データをグリッドで区切り、前記グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択した前記グリッドの中から画像データを1つ以上選択して、並び替える、
通信方法。
【請求項10】
車両に搭載される通信装置の通信方法であって、
地図作成に用いられる静止画像を撮影し、
前記静止画像の撮影位置を測位し、
前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付け、
路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信し、
前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、前記位置情報に基づいて、前記画像データを距離軸上に配置し、前記距離軸をグリッドで区切り、前記グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択した前記グリッドの中から画像データを1つ以上選択して、並び替える、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通信手段の制限により、一度に全ての情報を送信することが困難な場合、情報内に優先順位を付けて全ての情報を受信可能にする情報送受信システムが開示されている。特許文献1には、重要度を認識する方法として、例えば、画像情報のドット密度が高い部分をより重要と認識する方法と、画像情報の位置座標が中央に近い方をより重要と認識する方法とが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地図作成に用いられる写真画像(静止画像)を、走行しながら撮影する撮影車両がある。撮影車両の車載器は、街中の静止画像を撮影し、記憶部に記憶する。撮影車両の車載器は、走行中に、例えば、路側に設置された路側機と無線通信を確立した場合、記憶部に記憶した画像データを、路側機を介して、地図を作成するサーバーに送信する。
【0005】
しかしながら、撮影車両の車載器が、記憶部に記憶した静止画像の画像データを、撮影順に路側機に送信し、画像データの送信途中に車載器と路側機との無線通信が切断された場合、一部の範囲に偏った狭域の地図が作成されるという問題がある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、路側機との無線通信が切断された場合でも、広域の地図作成を可能にする通信装置および通信方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係る通信装置は、車両に搭載される通信装置であって、地図作成に用いられる静止画像を撮影するカメラと、前記静止画像の撮影位置を測位する測位部と、前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付ける制御部と、路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信する通信部と、を備え、前記制御部は、前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、前記位置情報に基づいて並び替える。
【0008】
本開示の一実施例に係る通信方法は、車両に搭載される通信装置の通信方法であって、地図作成に用いられる静止画像を撮影し、前記静止画像の撮影位置を測位し、前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付け、路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信し、前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、前記位置情報に基づいて並び替える。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施例によれば、路側機との無線通信が切断された場合でも、広域の地図作成が可能になる。
【0011】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態に係る通信システムの一例を示した図
【
図2】画像データのアップロードの一例を説明する図
【
図3】画像データのアップロードの一例を説明する図
【
図4】画像データのアップロードの一例を説明する図
【
図11】画像データの並び替え処理の一例を示したフローチャート
【
図12A】画像データの並び替えの一例を説明する図
【
図12B】画像データの並び替えの一例を説明する図
【
図13】第2の実施の形態に係る画像データの並び替えの一例を説明する図
【
図14】画像データの並び替え処理の一例を示したフローチャート
【
図15】第3の実施の形態に係る画像データの並び替えの一例を説明する図
【
図16】画像データの並び替え処理の一例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る通信システム1の一例を示した図である。
図1に示すように、通信システム1は、車載器(OBU:On-Board Unit)11と、路側機(RSU:RoadSide Unit)12a,12bと、サーバー13と、を有する。
【0016】
図1には、車両V1が示してある。車両V1は、地図作成に用いられる静止画像を撮影する撮影車両である。車両V1は、例えば、交差点や幹線道路、高速道路等を走行しながら街中の静止画像を撮影する。車両V1は、例えば、
図1において、左側から右側に向かって走行する。
【0017】
車載器11は、車両V1に搭載される。車載器11は、路側機12a,12bと無線通信する。例えば、車載器11は、路側機12aの通信エリアA1a内において、路側機12aと無線通信する。車載器11は、路側機12bの通信エリアA1b内において、路側機12bと無線通信する。
【0018】
車載器11は、例えば、ミリ波帯域を用いて、路側機12a,12bと無線通信する。例えば、車載器11は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)に基づいて、路側機12a,12bと無線通信する。
【0019】
車載器11は、カメラと、測位部と、を備える。カメラは、例えば、全天球カメラであり、街中を撮影する。測位部は、例えば、GNSS(global navigation satellite system)またはGPS(global positioning system)等の装置であり、車載器11(車両V1)の位置を測定する。
【0020】
車載器11は、カメラが撮影した静止画像の画像データと、静止画像が撮影されたときの車載器11の位置を示す位置情報とを紐付け、路側機12a,12bおよびネットワーク14を介して、サーバー13に送信する。すなわち、車載器11は、カメラが撮影した静止画像の画像データと、カメラが静止画像を撮影した位置を示す位置情報とを紐付け、サーバー13に送信する。
【0021】
路側機12a,12bは、例えば、信号機、街路灯、電柱に設置してもよい。路側機12a,12bは、車載器11から送信された画像データ(位置情報が紐付けられた画像データ)を、ネットワーク14を介してサーバー13へ送信する。
【0022】
路側機12a,12bは、画像データを一時的に記憶できる記憶部を備えてもよい。この場合、路側機12a,12bは、車載器11から送信された画像データを記憶部に一旦記憶し、サーバー13へ送信してもよい。
【0023】
サーバー13は、データベース、オブジェクトストレージといった記憶部を有する。サーバー13は、路側機12a,12bから送信された画像データを記憶部に記憶する。サーバー13は、記憶部に記憶した画像データに対し、画像処理や物体検出処理等を行って、静止画像を用いた地図を作成する。サーバー13は、オンプレミスのサーバーであってもよいし、クラウド上のサーバーであってもよい。
【0024】
ネットワーク14は、例えば、インターネット、携帯電話といった無線通信ネットワークを含むネットワークである。
【0025】
なお、
図1では、1台の車両V1および車載器11を示したが、これに限られない。車両および車載器は、複数存在してもよい。また、
図1では、2台の路側機12a,12bを示したが、これに限られない。路側機は、1台であってもよいし、3台以上複数存在してもよい。車載器11は、通信装置と称されてもよい。
【0026】
また、
図1では、路側機12a,12bは、無線通信によってネットワーク14に接続されてもよいし、有線通信によってネットワーク14に接続されてもよい。
【0027】
以下では、車載器11からサーバー13への画像データの送信を、アップロードと呼ぶことがある。
【0028】
図2は、画像データのアップロードの一例を説明する図である。
図2には、車載器を搭載した車両V11と、車両V11が走行する街と、路側機を搭載した信号機Z1と、が示してある。
【0029】
車両V11は、
図2に示す点線矢印の走行経路R1を走行する。車両V11は、
図2に示すポイントP1から、走行経路R1に示すように、街の或る区画を反時計回り(左回り)に走行する。
【0030】
車両V11の車載器は、
図2に示すポイントP1から、カメラによる静止画像の撮影を開始する。車両V11の車載器は、例えば、車両V11が一定距離を走行する毎に、静止画像を撮影してもよい。車両V11の車載器は、カメラが撮影した静止画像の画像データを記憶部に記憶する。
【0031】
信号機Z1に搭載された路側機は、通信エリアA11を形成する。車両V11の車載器は、通信エリアA11内において、信号機Z1に搭載された路側機と無線通信し、記憶部に記憶した画像データをアップロードする。例えば、車両V11の車載器は、ポイントP1から、路側機の通信エリアA11に進入するまでの間、静止画像を記憶部に記憶し、路側機の通信エリアA11に進入した後、記憶部に記憶した静止画像をアップロードする。
【0032】
図3は、画像データのアップロードの一例を説明する図である。
図3において、
図2と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
図3のハッチングを掛けた四角で示す画像Im1は、車両V11の車載器のカメラが撮影した1枚の静止画像であって、アップロードされた静止画像を示す。
【0033】
車両V11の車載器は、
図2で説明したように、通信エリアA11内おいて、記憶部に記憶した画像データをアップロードする。車両V11の車載器は、記憶部に記憶した画像データを、撮影した順にアップロードする。
【0034】
車両V11の車載器が、ポイントP1から、通信エリアA11に侵入するまでの間に撮影した全静止画像の画像データのアップロードが完了する前に、車両V11の車載器と信号機Z1に搭載された路側機との無線通信が切断された場合について説明する。この場合、サーバー13にアップロードされる静止画像は、例えば、
図3の画像Im1となる。例えば、走行経路R1のうち、
図3に示すポイントP1から、
図3に示すポイントP2までの、一部の静止画像がサーバーにアップロードされる。
【0035】
例えば、車両V11の車載器が、画像データを時系列順(例えば撮影順)にアップロードした場合、サーバー13では、走行経路R1において、一部の範囲に偏った狭域の地図が作成される。例えば、車両V11の車載器と、路側機との間の無線通信が、画像データのアップロードの途中に切断された場合、ポイントP1からポイントP2までの地図は作成されるが、ポイントP2から通信エリアA11までの地図は作成されず、狭域の偏った地図が作成される。
【0036】
そこで、
図1に示した車載器11は、記憶部に記憶した画像データを、撮影順とは異なる順番においてアップロードする。
【0037】
図4は、画像データのアップロードの一例を説明する図である。
図4において、
図2と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
図4のハッチングを掛けた四角で示す画像Im2は、
図1に示した車載器11のカメラが撮影した1枚の静止画像であって、アップロードされた静止画像を示す。
【0038】
車載器11は、信号機Z1の通信エリアA11内に侵入する。車載器11は、画像データをアップロードする前に、例えば、撮影順に記憶部に記憶した画像データを並び替え、並び替えた順に画像データをアップロードする。例えば、車載器11は、アップロードする画像データが地理的に広範囲に分布し、アップロードする画像データのデータ量が増加するにつれて、画像データの密度が高まっていくような(画像データ同士の距離間隔が狭まっていくような)並び替えを行う。すなわち、車載器11は、画像データが地理的に分散されるように、画像データをアップロードする。
【0039】
これにより、車載器11と、信号機Z1の路側機との間の無線通信が、画像データのアップロードの途中に切断した場合であっても、サーバー13では、走行経路R1において一様な(万遍な)広域の地図を作成できる。例えば、
図4の画像Im2に示すように、サーバー13は、走行経路R1の全体における静止画像を用いて地図を作成できる。
【0040】
なお、画像データの送信量が少ない場合、サーバー13において、とびとびの地図が作成されるが、送信量が増加していくにつれて情報量(画像データ数)の多い地図が生成される。
【0041】
また、
図2~
図4において、走行経路R1は周回しているが、周回してなくてもよい。
【0042】
図5は、車載器11のブロック構成例を示した図である。
図5に示すように、車載器11は、CPU(Central Processing Unit)21と、記憶部22と、通信部23と、測位部24と、カメラ25と、を有する。
【0043】
CPU21は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行し、所定の機能を発揮する。CPU21は、車載器11の各部の制御を行う。CPU21は、制御部と称されてもよい。
【0044】
記憶部22には、CPU21が動作するためのプログラムが記憶される。また、記憶部22には、CPU21が計算処理を行うためのデータ、または、CPU21が各部を制御するためのデータ等が記憶される。例えば、記憶部22には、カメラが撮影した静止画像の画像データが撮影順に記憶される。記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、およびHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部によって構成されてもよい。
【0045】
通信部23は、例えば、DSRCに基づいて、路側機12a,12bと双方向の無線通信を行う。
【0046】
測位部24は、車載器11(車両V1)の位置を測位する。例えば、測位部24は、車載器11の経度および緯度を測位する。測位部24は、例えば、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて、車載器11の位置を測位する。
【0047】
カメラ25は、例えば、車両V1のルーフに設けてもよいし、バンパーに設けてもよい。カメラ25は、例えば、全天球カメラであり、街中を撮影する。
【0048】
図6は、路側機12aのブロック構成例を示した図である。
図6に示すように、路側機12aは、CPU31と、記憶部32と、通信部33,34と、を有している。
【0049】
CPU31は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行し、所定の機能を発揮する。CPU31は、路側機12aの各部の制御を行う。CPU31は、制御部と称されてもよい。
【0050】
記憶部32には、CPU31が動作するためのプログラムが記憶される。また、記憶部32には、CPU31が計算処理を行うためのデータ、または、CPU31が各部を制御するためのデータ等が記憶される。記憶部32は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、およびHDDなどの記憶部によって構成されてもよい。
【0051】
通信部33は、例えば、DSRCに基づいて、車載器11と双方向の無線通信を行う。
【0052】
通信部34は、ネットワーク14を介して、サーバー13と通信を行う。通信部34は、無線によってネットワーク14に接続されてもよいし、有線によってネットワーク14に接続されてもよい。
【0053】
なお、路側機12bも路側機12aと同様のブロック構成を有する。
【0054】
図7は、サーバー13のブロック構成例を示した図である。
図7に示すように、サーバー13は、CPU41と、記憶部42と、通信部43と、を有している。
【0055】
CPU41は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行し、所定の機能を発揮する。CPU41は、サーバー13の各部の制御を行う。CPU41は、制御部と称されてもよい。
【0056】
記憶部42には、CPU41が動作するためのプログラムが記憶される。また、記憶部42には、CPU41が計算処理を行うためのデータ、または、CPU41が各部を制御するためのデータ等が記憶される。記憶部42は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、およびHDDなどの記憶部によって構成されてもよい。また、記憶部42は、オブジェクトストレージであってもよい。
【0057】
通信部43は、ネットワーク14を介して、路側機12a,12bと通信を行う。通信部43は、無線によってネットワーク14に接続されてもよいし、有線によってネットワーク14に接続されてもよい。
【0058】
図8は、車載器11の動作例を示したフローチャートである。車載器11を搭載した車両V1は、街中を走行する。
【0059】
CPU21は、カメラ25を制御し、静止画像を撮影する(S1)。
【0060】
CPU21は、測位部24から、車載器11の位置情報を取得する(S2)。すなわち、CPU21は、測位部24から、S1にて撮影された静止画像の撮影位置を取得する。
【0061】
CPU21は、S1にて撮影した静止画像の画像データに、S2にて取得した位置情報を紐付け、記憶部22に記憶する(S3)。なお、CPU21は、時系列順、すなわち、撮影順に、画像データを記憶部22に記憶する。
【0062】
CPU21は、通信部23を制御し、路側機12a,12bと接続を確立したか否かを判定する(S4)。CPU21は、路側機12a,12bと接続を確立していないと判定した場合(S4の「No」)、処理をS1に移行する。
【0063】
一方、CPU21は、路側機12a,12bと接続を確立したと判定した場合(S4の「Yes」)、記憶部22から、サーバー13にアップロードする画像データを取得し、対象リストを作成する。(S5)。
【0064】
なお、S5にて作成される対象リストの画像データは、撮影順に並んでいる。例えば、対象リストの画像データは、対象リストの先頭から後尾に向かって新しくなるように並んでいる。より具体的には、対象リストの先頭の画像データは、対象リスト内において、最も過去に撮影された画像データである。対象リストの後尾の画像データは、対象リスト内において、最も新しく撮影された画像データである。
【0065】
CPU21は、S5にて作成した対象リストの画像データの順番を並び替え、送信リストを作成する(S6)。画像データの並び替えについては、
図9Aおよび
図9Bにおいて詳述する。
【0066】
CPU21は、S6にて作成した送信リストをサーバー13にアップロードする(S7)。
【0067】
CPU21は、S7のアップロードにおいて、送信リストの先頭から、画像データをサーバー13にアップロードする。すなわち、CPU21は、撮影順とは異なった順番において、静止画像の画像データをサーバー13にアップロードする。
【0068】
なお、CPU21は、S1のカメラ撮影の後、毎回、S2の位置情報の取得処理を実行しなくてもよい。例えば、CPU21は、一定回数カメラ撮影した後、位置情報を取得してもよい。この場合、CPU21は、線形補間を用いて、位置情報を取得しなかった画像データの位置情報を算出してもよい。
【0069】
また、CPU21は、S3の紐付け処理において、位置情報をメタデータとして画像データに付与してもよい。
【0070】
また、CPU21は、S5の対象リストの作成において、特定の時間またはエリアにおける画像データの対象リストを作成してもよい。特定の時間またはエリアは、サーバー13から指定されてもよい。
【0071】
また、CPU21は、S7の送信リストのアップロードにおいて、複数枚の静止画像の画像データを連結して、または、複数枚の静止画像の画像データを並列にアップロードしてもよい。また、CPU21は、S7の送信リストのアップロードにおいて、複数枚の静止画像の画像データを圧縮してアップロードしてもよい。また、CPU21は、S7の送信リストのアップロードにおいて、複数の圧縮した画像データを連結して、または、複数の圧縮した画像データを並列にアップロードしてもよい。
【0072】
また、CPU21は、S7の送信リストのアップロード処理において、送信リストの全ての画像データを送信しなかった場合、送信しなかった画像データを破棄してもよいし、次回のアップロード処理において、残りの画像データをアップロードしてもよい。
【0073】
また、送信リストは、送信ファイルと言い換えられてもよい。また、S4は、S5、S6の後段に配置してもよい。
【0074】
図9Aおよび
図9Bは、画像データの並び替えの一例を説明する図である。
図9Aおよび
図9Bのハッチングを掛けた四角で示す画像Im11は、車載器11のカメラ25が撮影した1枚の静止画像を示す。
【0075】
図9Aには、
図8のS5にて説明した対象リストL1が示してある。対象リストL1では、静止画像(画像データ)は、撮影された順に並んでいる。
【0076】
CPU21は、対象リストL1を作成した後、画像データに紐付けられた位置情報に基づき、対象リストL1の画像データを並び替える。
【0077】
例えば、CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、
図9Aの「配置」に示すように、画像データを地図上(例えば、経度および緯度を軸とした2次元の地図データ上)に配置する。CPU21は、画像データを地図上に配置した後、
図9Aの「配置」の点線で示すように、地図を所定のサイズのグリッドで区切る。
【0078】
CPU21は、地図をグリッドで区切った後、
図9Aの「一巡目」に示すように、各グリッドから、画像データを1つずつ選択し(グリッドに画像データが無い場合、画像データを選択しない)、送信リストL2に追加する。CPU21は、選択した画像データを、送信リストL2の先頭から順に追加する。また、CPU21は、送信リストL2に追加した画像データを、地図上から削除する。なお、
図9Bにおいて、削除された画像データは白抜きで示される。
【0079】
CPU21は、各グリッドからの画像データの選択、および、送信リストL2への追加処理を繰り返す。例えば、
図9Bの「二巡目」に示すように、CPU21は、各グリッドに残った画像データから、画像データを選択し、送信リストL2に追加する。
【0080】
CPU21は、地図上に配置した全ての画像データを選択するまで、上記の処理を繰り返す。例えば、
図9Bの「N巡目」に示すように、CPU21は、地図上の全ての画像データを選択するまで、送信リストL2への画像データの追加処理を繰り返す。
【0081】
以上の処理により、「N巡目」における送信リストL2の画像データは、対象リストL1における画像データ(撮影順に並んだ画像データ)とは異なった並び順になる。
【0082】
CPU21は、送信リストL2を作成した後、送信リストL2の画像データをサーバー13にアップロードする。CPU21は、送信リストL2の先頭から、画像データをサーバー13にアップロードする。
【0083】
これにより、例えば、送信リストL2のアップロード中に、車載器11と路側機12a,12bとの間の通信が切断されても、通信システム1(サーバー13)は、位置的に広く分散した静止画像に基づいて地図を作成できる。また、走行経路R1が位置的に偏っている場合であっても、通信システム1は、位置的に広く分散した静止画像に基づいて地図を作成できる。
【0084】
なお、CPU21は、地図上に配置した画像データを全て選び終えなくても、処理時間に応じて、画像データの並び替え処理を終了してもよい。また、CPU21は、地図上に配置した画像データを全て選び終えなくても、予め設定された数の画像データが送信リストL2に追加された場合、画像データの並び替え処理を終了してもよい。すなわち、CPU21は、サーバー13において地図作成が可能な数の画像データが送信リストL2に追加された場合、画像データの並び替え処理を終了してもよい。
【0085】
図10A、
図10B、および
図10Cは、グリッド選択の一例を説明する図である。上記したように、CPU21は、地図をグリッドで区切った後、各グリッドから画像データを1つずつ選択する。
【0086】
このとき、CPU21は、例えば、
図10Aの矢印A21に示すように、グリッドを水平方向に掃引するよう順番に選択し、選択したグリッド内に含まれる画像データを1つずつ選択して、送信リストに追加してもよい。CPU21は、例えば、
図10Aの矢印A21の終点のグリッドにおいて画像データを1つ選択した後、
図10Aの矢印A21の始点のグリッドに戻って、画像データを1つ選択する。
【0087】
または、CPU21は、例えば、
図10Bの矢印A22に示すように、グリッドを水平方向に掃引するよう順番に選択し、選択したグリッド内に含まれる画像データを1つずつ選択して、送信リストに追加してもよい。CPU21は、例えば、
図10Bの矢印A22の終点のグリッドにおいて画像データを1つ選択した後、
図10Bの矢印A22の始点のグリッドに戻って、画像データを1つ選択する。
【0088】
または、CPU21は、例えば、
図10Cの矢印A23に示すように、グリッドを垂直方向に掃引するよう順番に選択し、選択したグリッド内に含まれる画像データを1つずつ選択して、送信リストに追加してもよい。CPU21は、例えば、
図10Cの矢印A23の終点のグリッドにおいて画像データを1つ選択した後、
図10Cの矢印A23の始点のグリッドに戻って、画像データを1つ選択する。
【0089】
グリッドの選択は、
図10A、
図10B、および
図10Cの例に限られない。グリッドは、例えば、斜めに掃引するよう選択されてもよいし、ランダムに選択されてもよい。グリッドの選択は、走行経路1に沿って選択してもよいし、走行経路1に沿って選択しなくてもよい。
【0090】
また、CPU21は、選択した1つのグリッドの中から、ランダムに画像データを1つ選択してもよい。また、CPU21は、選択した1つのグリッドの中から、所定の規則に従って、画像データを1つ選択してもよい。
【0091】
図11は、画像データの並び替え処理の一例を示したフローチャートである。
図11のフローチャートの処理は、例えば、
図8のS6の処理に対応する。
【0092】
CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、画像データを地図上に配置する(S11)。
【0093】
CPU21は、地図を所定のサイズのグリッドで区切る(S12)。
【0094】
CPU21は、S12にて区切った各グリッドから、1つずつ画像データを選択し、送信リストの先頭から順に、送信リストに挿入する(S13)。
【0095】
CPU21は、地図上に配置した画像データを全て選択したか否かを判定する(S14)。すなわち、CPU21は、地図上に配置した画像データを全て送信リストに追加したか否かを判定する。
【0096】
CPU21は、地図上に配置した画像データを全て選択した場合(S14の「Yes」)、画像データの並び替え処理を終了する。なお、CPU21は、画像データの並び替え処理を終了した後、送信リストの先頭の画像データから順に、サーバー13にアップロードする。
【0097】
一方、CPU21は、地図上に配置した画像データを全て選択していない場合(S14の「No」)、処理をS13に移行する。すなわち、CPU21は、k巡目(k=1,2,…,N-1)の画像データの選択処理から、k+1巡目の画像データの選択処理に移行する。なお、S13において、選択される画像は、複数であってもよいし、グリッド毎に異なる枚数であってもよい。
【0098】
以上説明したように、車載器11は、静止画像を撮影するカメラ25と、静止画像の撮影位置を測位する測位部24と、静止画像の画像データに、撮影位置の位置情報を紐付けるCPU21と、路側機12a,12bと無線通信を確立し、画像データを無線送信する通信部23と、を備え、CPU21は、路側機12a,12bに無線送信される画像データの送信順を、位置情報に基づいて、静止画像の撮影順とは異なる順番に並び替える。これにより、画像データのアップロード中に、車載器11と路側機12a,12bとの間の通信が切断されても、サーバー13は、広域の地図を作成できる。
【0099】
また、CPU21は、位置情報に基づいて、画像データを地図上に配置し、地図をグリッドで区切り、グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択したグリッドの中から画像データを1つ選択して送信リストの先頭から順番に追加する。通信部23は、送信リストの先頭から、画像データを路側機12a,12bに無線送信する。これにより、画像データのアップロード中に、車載器11と路側機12a,12bとの間の通信が切断されても、サーバー13は、広域の地図を作成できる。
【0100】
(変形例1)
上記では、グリッドの大きさは、画像データの選択処理の各巡において一定であったが、これに限られない。CPU21は、画像データの選択において、一巡目の画像データの選択処理、二巡目の画像データの選択処理、・・・、N巡目の画像データの選択処理、と処理を進めたときに、グリッドのサイズを変更してもよい。
【0101】
【0102】
図12Aには、
図8のS5にて説明した対象リストL1が示してある。対象リストL1では、静止画像(画像データ)は、撮影された順に並んでいる。
【0103】
CPU21は、対象リストL1を作成した後、画像データに紐付けられた位置情報に基づき、対象リストL1の画像データを並び替える。
【0104】
例えば、CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、
図12Aの「配置」に示すように、画像データを地図上に配置する。CPU21は、画像データを地図上に配置した後、
図12Aの「配置」の点線で示すように、地図を所定のサイズのグリッドで区切る。
【0105】
CPU21は、地図をグリッドで区切った後、
図12Aの「一巡目」に示すように、各グリッドから、画像データを1つずつ選択し(グリッドに画像データが無い場合、画像データを選択しない)、送信リストL2に追加する。CPU21は、選択した画像データを、送信リストL2の先頭から順に追加する。また、CPU21は、送信リストL2に追加した画像データを、地図上から削除する。なお、
図12Aの例では、CPU21は、
図10Cで説明した順番に従って、グリッドを選択している。
【0106】
CPU21は、「一巡目」の画像データの選択処理の後、地図上のグリッドを小さくする。例えば、
図12Bの「配置」に示すように、地図上のグリッドを、「一巡目」のグリッドより小さくする。
【0107】
CPU21は、各グリッドからの画像データの選択、および、送信リストL2への追加処理を繰り返す。例えば、
図12Bの「二巡目」に示すように、CPU21は、「一巡目」のグリッドより小さい各グリッドに残った画像データから、画像データを選択し、送信リストL2に追加する。
【0108】
CPU21は、「二巡目」の画像データの選択処理の後、地図上のグリッドを、「二巡目」のグリッドより小さくする(図示せず)。CPU21は、地図上から画像データが無くなるまで、上記の処理を繰り返す。
【0109】
このように、CPU21は、第1巡(例えば、k巡目(k=1,2,…,N-1))においてグリッドを全て選択した後、次の第2巡(例えば、k+1巡目)におけるグリッドのサイズを、第1巡におけるグリッドのサイズより小さくしてもよい。すなわち、CPU21は、各巡における画像データの選択処理後、地図上のグリッドを小さくしてもよい。これにより、例えば、所定の領域に画像データが集中した場合でも、サーバー13は、位置的に分散した静止画像に基づいて地図を作成できる。
【0110】
なお、
図12Aおよび
図12Bにおける並び替え処理においては、CPU21は、
図11に示したフローチャートのS14において、「No」の判定をした場合、処理をS12へ移行する。CPU21は、S14からS12へ処理を移行した場合、S12の処理において、前回より小さいグリッドで地図を区切る。なお、グリッドの大きさは、各巡において、同じ大きさとして説明したが、画像データの枚数によって、大きさを変更してもよい。また、グリッドは、地図上の建物に応じて大きさを変化させてもよい。例えば、交差点では、グリッドを小さくし、画像データ量を増やしてもよい。
【0111】
(変形例2)
上記では、車載器11は、カメラ25が撮影した画像データをサーバー13にアップロードしたが、これに限られない。車載器11は、画像データ以外のデータを並び替えて、サーバー13にアップロードしてもよい。
【0112】
例えば、車載器11は、レーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging)、ソナー、超音波センサ、およびECU(Electronic Control Unit)の少なくとも1つを備えてもよい。CPU21は、これらの装置から出力されるデータと、位置情報とを紐付け、データを画像データと同様の手法によって並び替えて、路側機12a,12bに送信してもよい。
【0113】
(変形例3)
車載器11は、送信部と、撮影部と、に分かれてもよい。例えば、送信部は、
図3に示したCPU21と、通信部23と、を有してもよい。撮影部は、記憶部22と、測位部24と、カメラ25と、を有してもよい。
【0114】
これにより、撮影部には、一般的なカメラや測位部等のモジュールを使用できる。また、撮影部は、送信部の画像データ送信処理と並行して、街中を撮影できる。
【0115】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、車載器11のCPU21は、画像データを、位置情報に基づいて、道のり上(距離軸上)に配置する。CPU21は、道のりをグリッドで区切り、各グリッドから画像データを1つずつ選択して、画像データを並び替える。以下では、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0116】
図13は、第2の実施の形態に係る画像データの並び替えの一例を説明する図である。
図13において、
図9Aおよび
図9Bと同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0117】
図13には、
図8のS5にて説明した対象リストL1が示してある。対象リストL1では、静止画像(画像データ)は、撮影された順に並んでいる。
【0118】
CPU21は、対象リストL1を作成した後、画像データに紐付けられた位置情報に基づき、対象リストL1の画像データを並び替える。
【0119】
例えば、CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、
図13の「配置」に示すように、画像データを道のり上(例えば、最初に撮影された静止画像の位置を原点とした距離軸上)に配置する。CPU21は、画像データを道のり上に配置した後、
図13の「配置」の点線で示すように、道のりを所定のサイズのグリッドで区切る。
【0120】
CPU21は、道のりをグリッドで区切った後、
図13の「一巡目」に示すように、各グリッドから、画像データを1つずつ選択し(グリッドに画像データが無い場合、画像データを選択しない)、送信リストL2に追加する。CPU21は、画像データを選択するグリッドを、例えば、道のりの小さい方(開始)から大きい方(終了)に向かって順に選択する。CPU21は、選択した画像データを、送信リストL2の先頭から順に追加する。CPU21は、送信リストL2に追加した画像データを、道のりから削除する。
【0121】
CPU21は、各グリッドからの画像データの選択、および、送信リストL2への追加処理を繰り返す。例えば、
図13の「二巡目」に示すように、CPU21は、各グリッドに残った画像データから、画像データを選択し、送信リストL2に追加する。
【0122】
CPU21は、道のり上に配置した全ての画像データを選択するまで、上記の処理を繰り返す。例えば、
図13の「N巡目」に示すように、CPU21は、道のり上の全ての画像データを選択するまで、送信リストL2への画像データの追加処理を繰り返す。
【0123】
以上の処理により、「N巡目」における送信リストL2の画像データは、対象リストL1における画像データ(撮影順に並んだ画像データ)とは異なった並び順になる。
【0124】
CPU21は、送信リストL2を作成した後、送信リストL2の画像データをサーバー13にアップロードする。CPU21は、送信リストL2の先頭から、画像データをサーバー13にアップロードする。
【0125】
これにより、例えば、送信リストL2のアップロード中に、車載器11と路側機12a,12bとの間の通信が切断されても、サーバー13は、例えば、或る地域に偏って静止画像が撮影された場合でも、広く分散した静止画像に基づいて地図を作成できる。
【0126】
図14は、画像データの並び替え処理の一例を示したフローチャートである。
図14のフローチャートの処理は、例えば、
図8のS6の処理に対応する。
【0127】
CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、画像データを道のり上に配置する(S21)。
【0128】
CPU21は、道のりを所定のサイズのグリッドで区切る(S22)。
【0129】
CPU21は、S22にて区切った各グリッドから、1つずつ画像データを選択し、送信リストの先頭から順に、送信リストに挿入する(S23)。
【0130】
CPU21は、道のり上に配置した画像データを全て選択したか否かを判定する(S24)。すなわち、CPU21は、道のり上に配置した画像データを全て送信リストに追加したか否かを判定する。
【0131】
CPU21は、道のり上に配置した画像データを全て選択した場合(S24の「Yes」)、画像データの並び替え処理を終了する。なお、CPU21は、画像データの並び替え処理を終了した後、送信リストの先頭の画像データから、サーバー13にアップロードする。
【0132】
一方、CPU21は、道のり上に配置した画像データを全て選択していない場合(S24の「No」)、処理をS23に移行する。すなわち、CPU21は、k巡目(k=1,2,…,N-1)の画像データの選択処理から、k+1巡目の画像データの選択処理に移行する。
【0133】
以上説明したように、CPU21は、位置情報に基づいて、画像データを道のり上に配置し、道のりをグリッドで区切り、グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択したグリッドの中から画像データを1つ選択して送信リストの先頭から順番に追加する。通信部23は、送信リストの先頭から、画像データを順に路側機に無線送信する。これにより、サーバー13は、例えば、或る地域に偏って静止画像が撮影された場合において、送信リストのアップロード中に、車載器11と路側機12a,12bとの間の通信が切断されても、広く分散した静止画像に基づいて地図を作成できる。なお、グリッド毎に選択される画像は、複数枚でもよい。
【0134】
(変形例1)
上記では、グリッドの大きさは、画像データの選択処理の各巡において一定であったが、これに限られない。CPU21は、画像データの選択において、一巡目の画像データの選択、二巡目の画像データの選、・・・N巡目の画像データの選と処理を進めたとき、グリッドを小さくしてもよい。
【0135】
(変形例2)
上記では、CPU21は、画像データを選択するグリッドを、道のりの小さい方から大きい方に向かって順に選択したが、これにかぎられない。CPU21は、グリッドをランダムに選択してもよい。
【0136】
(変形例3)
CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報(例えば、緯度および経度)から、道のりを算出してもよい。また、CPU21は、車両V1に搭載されている走行距離メータから、道のりを取得してもよい。
【0137】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、車載器11のCPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、ダウンサンプリングアルゴリズムを用い、撮影順に並んだ画像データを並び替える。以下では、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0138】
図15は、第3の実施の形態に係る画像データの並び替えの一例を説明する図である。
図15において、
図9Aおよび
図9Bと同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0139】
図15には、
図8のS5にて説明した対象リストL1が示してある。対象リストL1では、静止画像(画像データ)は、撮影された順に並んでいる。
【0140】
CPU21は、対象リストL1を作成した後、画像データに紐付けられた位置情報に基づき、ダウンサンプリングアルゴリズムを用いて、対象リストL1の画像データを並び替える。
【0141】
例えば、CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、対象リストL1からn個、2n個、3n個、…と選択する。CPU21は、選択した画像データを、送信リストL2の先頭から順に追加する。
【0142】
nは、アップロード可能な最小なデータ数に設定する。CPU21は、対象リストL1から、重複した画像データを選択しないように、選択した画像データを対象リストL1から削除する。CPU21は、対象リストL1から全ての画像データを選択するまで、前述の処理を繰り返す。ダウンサンプリングアルゴリズムには、例えば、LTTB(Largest Triangle Three Buckets)が用いられてもよい。
【0143】
図16は、画像データの並び替え処理の一例を示したフローチャートである。
図16のフローチャートの処理は、例えば、
図8のS6の処理に対応する。
【0144】
CPU21は、変数iに1を設定する(S31)。
【0145】
CPU21は、画像データに紐付けられた位置情報に基づいて、対象リストからi*n個の画像データを選択する(S32)。
【0146】
CPU21は、S32にて選択した画像データを対象リストから削除し、S32にて選択した画像データを送信リストに追加する(S33)。
【0147】
CPU21は、対象リストから画像データを全て選択したか否かを判定する(S34)。CPU21は、対象リストから画像データを全て選択した場合(S34の「Yes」)、画像データの並び替え処理を終了する。なお、CPU21は、画像データの並び替え処理を終了した後、送信リストの先頭の画像データから、サーバー13にアップロードする。
【0148】
一方、CPU21は、対象リストL1から画像データを全て選択していない場合(S34の「No」)、変数iに1を加算し、処理をS32に移行する。すなわち、CPU21は、対象リストL1から、次の画像データを選択する。
【0149】
以上説明したように、CPU11は、位置情報に基づいて、ダウンサンプリングアルゴリズムを用い、撮影順に並んだ画像データを並び替える。これにより、送信リストのアップロード中に、車載器11と路側機12a,12bとの間の通信が切断されても、サーバー13は、広範囲にわたる地図を作成できる。
【0150】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0151】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例または修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0152】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0153】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0154】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0155】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信部と総称)において実施可能である。通信部は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信部の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0156】
通信部は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0157】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0158】
また、通信部には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信部の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0159】
また、通信部には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0160】
(本開示のまとめ)
【0161】
本開示に係る通信装置は、車両に搭載される通信装置であって、地図作成に用いられる静止画像を撮影するカメラと、前記静止画像の撮影位置を測位する測位部と、前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付ける制御部と、路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信する通信部と、を備え、前記制御部は、前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、前記位置情報に基づいて並び替える。
【0162】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記画像データの送信順を、前記静止画像の撮影順とは異なる順番に並び替える。
【0163】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記画像データを地図データ上に配置し、前記地図データをグリッドで区切り、前記グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択した前記グリッドの中から画像データを1つ以上選択して、前記画像データの送信順を並び替える。
【0164】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記グリッドを水平方向に掃引するよう選択する。
【0165】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記グリッドを垂直方向に掃引するよう選択する。
【0166】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記グリッドをランダムに選択する。
【0167】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記グリッドを1つずつ全て選択した後、前記グリッドのサイズを変更して、前記サイズ変更後のグリッドを1つずつ選択する。
【0168】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記画像データを距離軸上に配置し、前記距離軸をグリッドで区切り、前記グリッドを所定の規則に従って1つずつ選択し、選択した前記グリッドの中から画像データを1つ以上選択して、前記画像データの送信順を並び替える。
【0169】
本開示に係る通信装置において、前記制御部は、前記位置情報に基づいて、ダウンサンプリングアルゴリズムを用い、撮影順に並んだ前記画像データを並び替える。
【0170】
本開示に係る通信方法は、車両に搭載される通信装置の通信方法であって、地図作成に用いられる静止画像を撮影し、前記静止画像の撮影位置を測位し、前記静止画像の画像データに、前記撮影位置を示す位置情報を紐付け、路側機と無線通信を確立し、前記画像データを無線送信し、前記路側機に無線送信される前記画像データの送信順を、前記位置情報に基づいて並び替える。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本開示は、地図作成に用いられる静止画像を撮影する車両に搭載される通信装置に有用である。
【符号の説明】
【0172】
1 通信システム
11 車載器
12a,12b 路側機
13 サーバー
14 ネットワーク
V1,V11 車両
A1a,A1b 通信エリア
R1 走行経路
Z1 信号機
Im1,Im2,Im11 画像
L1 対象リスト
L2 送信リスト