(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】ミスト発生装置
(51)【国際特許分類】
B81B 7/02 20060101AFI20230303BHJP
B81C 99/00 20100101ALI20230303BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230303BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230303BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20230303BHJP
A61L 9/14 20060101ALN20230303BHJP
A61L 9/01 20060101ALN20230303BHJP
【FI】
B81B7/02
B81C99/00
B05C5/00 Z
B05C11/10
B05B17/00
A61L9/14
A61L9/01 Q
(21)【出願番号】P 2021548818
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2020034706
(87)【国際公開番号】W WO2021060052
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2019174931
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】植田 充彦
(72)【発明者】
【氏名】大石 公輝
(72)【発明者】
【氏名】植村 真利子
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 章吾
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/012954(WO,A1)
【文献】特表2010-535644(JP,A)
【文献】特開2011-237201(JP,A)
【文献】国際公開第2012/008497(WO,A1)
【文献】特開2011-116901(JP,A)
【文献】国際公開第2002/068104(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00-7/04
B81C 1/00-99/00
G01N 37/00
B05C 5/00-21/00
B05B 17/00-17/04
A61L 9/14
A61L 9/01
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体及び第2液体を供給する液供給部と、
前記第1液体を球状にした第1液滴を生成して前記第2液体に含める液滴生成部と、
前記液滴生成部から導入された前記第1液滴を含む前記第2液体を排出してミスト化させるための排出口を有する排出部と、
ファンと、を備え、
前記液供給部は、圧力を印加することで、前記第1液体及び前記第2液体を前記液滴生成部に供給し、前記液滴生成部で生成された前記第1液滴を含む前記第2液体を前記排出部に導入させ、且つ、前記第1液滴を含む前記第2液体が液柱を形成するように前記排出口から排出させることで、前記第1液滴を含む前記第2液体をミスト化させ
、
前記ファンは、前記液柱の延在方向と交差する方向に向けて送風する、
ミスト発生装置。
【請求項2】
前記排出部は、前記排出口が設けられた排出面を有し、
前記排出口の周囲の排出面は、前記第1液滴を含む前記第2液体が排出される方向に突出している、
請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記排出部は、前記第1液滴を含む前記第2液体が前記液滴生成部から導入される導入口と、前記排出口が設けられた排出面とを有し、
前記排出口は、前記導入口より小さい、
請求項1又は2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記排出面は、前記第2液体に対する撥液性を有する、
請求項2又は3に記載のミスト発生装置。
【請求項5】
さらに、前記液滴生成部と前記排出部とを繋ぐ接続流路と、
前記接続流路と繋がる調整流路と、
前記調整流路を介して、(i)前記接続流路に位置する前記第2液体を回収する制御、及び、(ii)前記接続流路に前記第2液体を供給する制御、のうち、少なくとも一方の
制御を行う液調整部と、を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項6】
前記ファンの送風方向に平行な方向から見た場合、前記ファンは、前記液柱と重ならない位置に配置されている、
請求項
1に記載のミスト発生装置。
【請求項7】
前記液滴生成部は、前記第1液滴を生成して前記第2液体に含めるための混合流路を有し、
前記ミスト発生装置は、前記混合流路と、前記混合流路と繋がれた前記排出口との組を複数備える、
請求項1~
6のいずれか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項8】
前記液供給部は、前記第1液体と、前記第1液体よりも揮発性が低い前記第2液体とを前記液滴生成部に供給する、
請求項1~
7のいずれか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項9】
前記液供給部は、前記第1液体と、前記第1液体よりも揮発性が低い第3液体と、前記第3液体よりも揮発性が高い前記第2液体とを前記液滴生成部に供給し、
前記液滴生成部は、前記第1液滴を含む前記第3液体を球状にした第2液滴を生成し、前記第2液滴を前記第2液体に含める、
請求項1~
8のいずれか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項10】
前記液滴生成部及び前記排出部を備える基板を有し、
前記液滴生成部は、
前記液供給部から前記第1液体が供給される第1液供給口と、
前記液供給部から前記第2液体が供給される第2液供給口と、
前記第1液供給口及び前記第2液供給口と繋がり、前記第1液滴を生成して前記第2液体に含めるための混合流路と、を有する、
請求項1~
9のいずれか1項に記載のミスト発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミストを発生させる装置がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、溶剤によって溶解させた薬剤調合物を当該溶剤とともに噴霧化できるように構成された吸引器が開示されている。
【0004】
特許文献2には、マイクロメートルオーダの径の流路(マイクロ流路)が形成された基板と、当該流路を通過した液体をミスト化する電子噴霧ノズルと、を備える装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2009-532073号公報
【文献】特表2007-519914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来、液滴の周囲を当該液滴とは異なる液体で覆ったミスト(多層ミスト)を発生させる装置があることで、多層ミストを大気中に存在できる時間を長くさせる方法がある。
【0007】
当該液滴には、例えば、殺菌、除菌等の効果がある液体が採用される。これにより、ミストは、当該液体の効果を発揮することができる。
【0008】
例えば、ミストを発生する装置は、複数のミストを発生する。ここで、複数のミストは、効果又はサイズ等、均質であることが要求される。
【0009】
本発明は、従来より均質に多層ミストを発生できるミスト発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るミスト発生装置は、第1液体及び第2液体を供給する液供給部と、前記第1液体を球状にした第1液滴を生成して前記第2液体に含める液滴生成部と、前記液滴生成部から導入された前記第1液滴を含む前記第2液体を排出してミスト化させるための排出口を有する排出部と、を備え、前記液供給部は、圧力を印加することで、前記第1液体及び前記第2液体を前記液滴生成部に供給し、前記液滴生成部で生成された前記第1液滴を含む前記第2液体を前記排出部に導入させ、且つ、前記第1液滴を含む前記第2液体が液柱を形成するように前記排出口から排出させることで、前記第1液滴を含む前記第2液体をミスト化させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来より均質に多層ミストを発生できるミスト発生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係るミスト発生装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るミスト発生装置が備える基板を示す上面図である。
【
図3】
図3は、基板から放出された液柱からミストが発生する様子を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図2の破線IVで囲まれた領域を拡大して示す、実施の形態1に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【
図5】
図5は、ファンによるミストへの送風の実験方法を説明するための図である。
【
図6】
図6は、ファンの位置に対するミストの発生状態の実験結果を示す図である。
【
図7】
図7は、ファンの位置に対するミストの発生状態の実験結果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施の形態1の変形例1に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1の変形例2に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1の変形例3に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1の変形例4に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態1の変形例5に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態1の変形例6に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係るミスト発生装置を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2に係るミスト発生装置が備える基板を示す上面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態2の変形例1に係るミスト発生装置を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、実施の形態2の変形例2に係るミスト発生装置を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、実施の形態3に係るミスト発生装置を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、実施の形態3に係るミスト発生装置が備える基板を示す上面図である。
【
図20】
図20は、実施の形態4に係るミスト発生装置を示す上面図である。
【
図21】
図21は、実施の形態4に係るミスト発生装置が備える液滴生成部及びミスト発生部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。
【0014】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0015】
また、本明細書において、殺菌とは、例えば、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌等の菌類、Escherichia coli.(大腸菌)、Pseudomonas sp.(緑膿菌)、Klebsiella sp.(肺炎桿菌)等の細菌、Cladosporium. sp.(黒カビ)、Aspergillus(黒コウジカビ)等のカビ類を含む真菌類、及び/又は、ノロウィルス等のウィルスを分解して菌等の全体数を減らすことを意味し、除菌又は滅菌する意味も含む。なお、上記の殺菌の対象とする菌類、細菌類、真菌、ウィルス等は一例であり、限定されるものではない。
【0016】
また、以下の実施の形態では、基板から第1液体の液滴を含む第2液体が排出される方向を水平方向とし、ファンが送風する送風方向を上方として説明する場合がある。
【0017】
(実施の形態1)
[構成]
図1~
図4を参照して、実施の形態1に係るミスト発生装置の構成について説明する。
【0018】
図1は、実施の形態1に係るミスト発生装置100を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係るミスト発生装置100が備える基板110を示す上面図である。
【0019】
ミスト発生装置100は、液滴状の第1液体300である第1液滴320を含む第2液体301をミスト化した多層ミストであるミスト400として噴出する噴霧装置である。
【0020】
例えば、第1液体300が次亜塩素酸等の殺菌成分又は除菌成分を含む場合には、ミスト発生装置100は、殺菌装置又は除菌装置等として利用される。また、例えば、第1液体300が香料成分を含む場合には、ミスト発生装置100は、香料成分を含むミスト400を発生するアロマ発生器として利用される。
【0021】
ミスト発生装置100は、液供給部210と、基板110と、ファン220と、制御部200と、を備える。基板110は、液滴生成部500と、ミスト発生部(排出部)510と、を備える。
【0022】
なお、制御部200を機能的なブロックとして表している。
【0023】
以下、ミスト発生装置100が備える各構成要素の詳細について説明する。
【0024】
<液供給部>
液供給部210は、第1液体300及び第2液体301を基板110(具体的には、液滴生成部500)に供給する装置である。液供給部210は、第1液供給部211と、第2液供給部212と、を備える。
【0025】
第1液供給部211は、第1液体300を基板110に供給する装置である。第1液供給部211は、例えば、第1液体300を収容する容器と、当該容器と基板110とを繋ぐ配管と、当該容器に収容された第1液体300を、当該配管を介して基板110に送液するポンプと、を備える。
【0026】
また、第1液供給部211は、例えば、ポンプにより圧力を印加して第1液体300を基板110に形成された第1液供給口121に送液する。
【0027】
第2液供給部212は、第2液体301を基板110に供給する装置である。第2液供給部212は、例えば、第2液体301を収容する容器と、当該容器と基板110とを繋ぐ配管と、当該容器に収容された第2液体301を、当該配管を介して基板110に送液するポンプと、を備える。
【0028】
また、第2液供給部212は、例えば、ポンプにより圧力を印加して第2液体301を基板110に形成された第2液供給口122に送液する。
【0029】
また、液供給部210は、圧力を印加することで、第1液体300及び第2液体301を液滴生成部500に供給し、液滴生成部500で生成された第1液滴320を含む第2液体301をミスト発生部510に導入させ、且つ、第1液滴320を含む第2液体301が液柱310を形成するように排出口140から排出させることで、第1液滴320を含む第2液体301をミスト化させる。つまり、液供給部210は、第1液体300及び第2液体301を液滴生成部500に供給し、且つ、供給した第1液体300及び第2液体301がミスト発生部510から排出されるように、第1液体300及び第2液体301に圧力を印加する。本実施の形態では、第1液供給部211及び第2液供給部212は、圧力を印加することで、第1液体300及び第2液体301を液滴生成部500に供給し、液滴生成部500で生成された第1液滴320を含む第2液体301をミスト発生部510に導入させ、且つ、第1液滴320を含む第2液体301が液柱310を形成するように排出口140から排出させることで、第1液滴320を含む第2液体301をミスト化させる。
【0030】
このように、ミスト発生装置100では、液供給部210が第1液体300及び第2液体301を供給する液供給圧力によって、第1液体300及び第2液体301に流路130を通過させ、第2液体301が液柱310を形成するように、第1液滴320を含む第2液体301を、排出口140から排出させることでミスト化させる。
【0031】
第1液体300は、例えば、除菌又は殺菌等の効果を発揮する液体である。第1液体300は、例えば、次亜塩素酸を含む水性の液体である。或いは、第1液体300は、例えば、香料を含む油性の液体である。
【0032】
第2液体301は、例えば、第1液体300よりも低い揮発性を有する液体である。つまり、本実施の形態では、液供給部210は、第1液体300と、第1液体300よりも揮発性が低い第2液体301とを液滴生成部500に供給する。第2液体301は、第1液体300よりも揮発しにくくすることで、第1液体300が空気中で気化してしまうのを遅らせる役割を担う。なお、第2液体301は、不揮発性の液体でもよい。これにより、ミスト400は、空間に存在する物体と接触するまでは機能せずに浮遊し続け、空間に存在する物体と接触してはじめて第1液体300が有する効果を発揮できる。
【0033】
また、例えば、第1液体300及び第2液体301が混ざり合わないようにするために、第1液体300及び第2液体301の一方は油性であり、他方は水性でもよい。
【0034】
このような構成によれば、第1液体300と第2液体301とは、混ざり合いにくくなる。そのため、このような構成によれば、第1液滴320を含む第2液体301からなるミスト400の大気中での浮遊時間をより長くすることができる。
【0035】
また、第2液体301は、第1液体300よりも粘度が高くてもよい。
【0036】
<基板>
基板110は、液供給部210から供給された第1液体300を液滴にして第2液体301に含ませ、液滴状の第1液体300である第1液滴320を含む第2液体301を液柱310にして放出することで、ミスト400を発生させるための基板である。基板110は、第1液体300及び第2液体301が流れる流路130を備えるマイクロ流路チップである。流路130は、第1流路131と、第2流路132と、混合流路133と、接続流路137と、排出流路136と、混合部139と、を含む。第1流路131と、第2流路132と、混合流路133と、接続流路137と、排出流路136とは、液体(第1液体300及び第2液体301)が移動可能に繋がれている。本実施の形態では、基板110は、平面視で矩形の平板状の板体である。
【0037】
流路130の径(より具体的には、流路130の延在方向に直交する断面における流路幅)は、特に限定されない。流路130の径は、例えば、数μm~数100μmである。第1流路131、第2流路132等の各流路の径は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
基板110は、液滴生成部500と、ミスト発生部510と、液滴生成部500とミスト発生部510とを接続する接続流路137と、を備える。
【0039】
液滴生成部500は、液供給部210から供給された第1液体300を液滴にして第2液体301に含ませ、液滴状の第1液体300を含む第2液体301を生成する。本実施の形態では、液滴生成部500は、基板110の一部分である。
【0040】
液滴生成部500は、第1液供給口121と、第2液供給口122と、第1流路131と、第2流路132と、混合流路133と、混合部139と、を備える。具体的には、液滴生成部500は、液供給部210から第1液体300が供給される第1液供給口121と、液供給部210から第2液体301が供給される第2液供給口122と、第1液供給口121及び第2液供給口122と第1流路131及び第2流路132を介して繋がり、第1液体300を球状(液滴状)にした第1液滴320を生成して第2液体301に含めるための混合流路133と、を有する。
【0041】
基板110は、第1液供給部211によって第1液体300が導入される第1液供給口121と、第2液供給部212によって第2液体301が導入される第2液供給口122と、を備える。
【0042】
第1液供給口121は、第1液供給部211によって第1液体300が供給される開口部である。第1液供給口121は、第1流路131に繋がれている。
【0043】
第2液供給口122は、第2液供給部212によって第2液体301が供給される開口部である。第2液供給口122は、第2流路132に繋がれている。
【0044】
第1流路131と第2流路132とは、いずれも、混合部139を介して混合流路133と繋がれている。本実施の形態では、第1流路131と第2流路132とは、混合部139でT字に分岐している。第1流路131と第2流路132とは、例えば、Y字に分岐していてもよい。
【0045】
第1流路131が第2流路132と交差しているために、第1流路131を流れる第1液体300の流速及び第2液体301が第2流路132を流れる流速のそれぞれが適切に制御されることで、第1液体300は、個々に分断されて球状の液体粒子(液滴)となる。
【0046】
第2液体301は、第1流路131及び第2流路132の交点である混合部139で、第1液体300が球状となるように第1液体300を覆って、言い換えると、第1液滴320を含んで混合流路133に流れる。
【0047】
混合流路133は、液滴生成部500とミスト発生部510とを繋ぐ接続流路137と繋がれている。接続流路137は、ミスト発生部510が備える排出流路136と繋がれている。
【0048】
なお、例えば、基板110における、第1流路131、第2流路132、及び、混合流路133は、第1液体300及び第2液体301が水性であるか油性であるかによって、濡れ性が異なっていてもよい。
【0049】
例えば、第1液体300が水性である場合、第1液体300が通過する第1流路131は、油性(油相)に対する濡れ性よりも、水性(水相)に対する濡れ性が高くなるように形成されていてもよい。
【0050】
また、例えば、第2液体301が油性である場合、第2液体301が通過する第2流路132及び混合流路133は、水性に対する濡れ性よりも、油性に対する濡れ性が高くなるように形成されていてもよい。
【0051】
こうすることで、第1液体300及び第2液体301は、第1液体300及び第2液体301が通過する流路130で流れやすくなる。また、こうすることで、例えば、第2液体301は、混合部139で、第1液体300が球状となるように、つまり、第1液滴320が形成されるように、第1液体300を覆いやすくなる。
【0052】
なお、流路130の濡れ性は、基板110に採用される材料、及び、流路130の内表面の形状等によって調整される。本実施の形態では、1つの基板110に流路130が全て形成されている例を示しているが、これに限定されない。例えば、基板110は、濡れ性の異なる流路を備える複数の基板から実現されてもよい。
【0053】
上記した流路130の濡れ性は、ミスト発生部510が備える流路(例えば、排出流路136)の濡れ性についても同様である。
【0054】
ミスト発生部510は、液滴状の第1液体300を含む第2液体301を液柱310にして放出することで、ミスト400を発生させるための構成である。本実施の形態では、ミスト発生部510は、基板110の一部分である。ミスト発生部510は、導入口138と、排出流路136と、排出口140と、を備える。
【0055】
導入口138は、接続流路137と繋がる開口部である。接続流路137を流れる第1液滴320を含む第2液体301は、導入口138に導入される。
【0056】
排出流路136は、導入口138及び排出口140と繋がる流路である。排出口140からは、第1液滴320を含む第2液体301が柱状となった液柱310として排出される。
【0057】
図3は、基板110から排出された液柱310からミスト400が発生する様子を示す模式図である。
【0058】
図3の(a)に示すように、第1液滴320を含む第2液体301は、柱状の液柱310としてミスト発生部510(より具体的には、排出口140)から排出される。
【0059】
第1液滴320を含む第2液体301が排出口140から液柱310を形成するように排出されるために、例えば、制御部200は、液供給部210の基板110への第1液体300及び第2液体301の単位時間当たりの供給量を制御する。
【0060】
次に、
図3の(b)に示すように、液柱310の表面にわずかなくびれが生じる。第2液体301が第1液体300と比較して揮発性が低く、且つ、粘度の高いことで、第2液体301が起点となり、液柱310の表面にわずかなくびれが生じる。
【0061】
次に、
図3の(c)に示すように、表面張力によりくびれが成長して液柱310が分裂して、第1液滴320を覆う第2液体301からなる多層ミストであるミスト400が形成される。
【0062】
ミスト400における第1液滴320の外径(粒径)は、例えば、10μm以下である。
【0063】
このような構成によれば、ミスト400は、自重ですぐに落下することなく、且つ、大気中での浮遊時間をより長くされ得る。
【0064】
なお、ミスト400における第1液滴320の外径は、5μm以下でもよい。また、ミスト400における第1液滴320の外径は、10nm以上3μm以下でもよい。
【0065】
ミスト400における第1液滴320の外径及び第2液体301の膜厚は、例えば、基板110に形成される流路130のサイズ、形状、並びに、第1液体300及び第2液体301が流路130を流れる流量及び流速等によって制御される。
【0066】
図4は、
図2の破線IVで囲まれた領域を拡大して示す、実施の形態1に係るミスト発生装置が備える基板の排出口を示す部分拡大上面図である。
【0067】
排出口140は、排出流路136と繋がり、排出流路136を通過した第1液滴320を含む第2液体301を基板110の外部に排出するために基板110に形成されている開口部である。本実施の形態では、排出口140は、基板110の側面である排出面141に設けられている。
【0068】
基板110に採用される材料は、特に限定されない。基板110に採用される材料は、例えば、ガラス材料、樹脂材料、金属材料、又は、シリコン等の無機材料等である。
【0069】
<ファン>
ファン220は、液柱310の延在方向と交差する方向に向けて送風する送風機である。具体的には、ファン220は、排出口140の近傍に配置され、液柱310から分裂することで発生したミスト400に送風する。例えば、ファン220は、鉛直下方側から鉛直上方側へ向けて送風する。また、例えば、基板110は、ファン220の鉛直上方側に配置され、ファン220の直上に向けて、排出口140から第1液滴320を含む第2液体301を水平方向に排出する。
【0070】
また、例えば、ファン220は、ファン220の送風方向に平行な方向から見た場合(本実施の形態では、上面視した場合)、液柱310と重ならない位置に配置されている。ここで、例えば、液柱310と重ならない位置とは、上面視した場合に、液柱310の先端部と、ファン220とが重ならない位置である。また、例えば、液柱310と重ならない位置とは、上面視した場合に、液柱310の先端部と、ファン220が備える外郭筐体ではなく、風を生成するための羽部とが重ならない位置である。
【0071】
<制御部>
制御部200は、ミスト発生装置100の全体的な動作を制御する制御装置である。具体的には、制御部200は、液供給部210及びファン220の動作を制御する。例えば、制御部200は、液供給部210を制御することで、基板110に供給される第1液体300等の液量の制御、及び、第1液体300等の液体を基板110に供給するタイミングの制御を行う。また、例えば、制御部200は、ファン220を制御することで、ファン220に発生させる風の風量、風速、及び、ファン220の駆動タイミングを制御する。
【0072】
制御部200は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、制御部200は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。制御部200は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0073】
制御部200は、例えば、ミスト発生装置100の図示しない外殻筐体の内部に配置されている。
【0074】
なお、制御部200は、液供給部210及びファン220を制御することができればよく、無線信号を送信することで液供給部210及びファン220を制御できるように、液供給部210及びファン220と無線通信可能に接続されていてもよいし、液供給部210及びファン220と制御線等により接続されていてもよい。
【0075】
[効果等]
以上のように、実施の形態1に係るミスト発生装置100は、第1液体300及び第2液体301を供給する液供給部210と、第1液体300を球状にした第1液滴320を生成して第2液体301に含める液滴生成部500と、液滴生成部500から導入された第1液滴320を含む第2液体301を排出してミスト化させるための排出口140を有するミスト発生部510と、を備える。液供給部210は、水圧を印加することで、第1液体300及び第2液体301を液滴生成部500に供給し、液滴生成部500で生成された第1液滴320を含む第2液体301をミスト発生部510に導入させ、且つ、第1液滴320を含む第2液体301が液柱310を形成するように排出口140から排出させることで、第1液滴320を含む第2液体301をミスト化させる。
【0076】
従来の装置では、例えば、液滴を液体内に生成する装置と液滴を含む液体をミスト化する装置とは、別々である。そのために、従来の装置では、液滴を含む液体をミスト化すると、ミストの中に含まれる液滴の数が不安定となる場合がある。ミスト発生装置100によれば、第1液体300を液滴にして第2液体301に含め、さらに、第1液滴320を含む第2液体301を液柱310にしてミスト化するまでに、第1液体300及び第2液体301には、液供給部210から印加される水圧しか印加されない。そのため、液供給部210により、第1液滴320の数が安定して排出口140に供給され続ける。これにより、ミスト400に含まれる第1液滴320の個数は、安定化され得る。また、ミスト400の径は、安定化され得る。これらにより、ミスト発生装置100によれば、従来より均質に多層ミスト(ミスト400)を発生できる。
【0077】
また、例えば、ミスト発生装置100は、さらに、液柱310の延在方向と交差する方向に向けて送風するファン220を備える。
【0078】
これによれば、ファン220は、例えば、上方に向けて送風することで、ミスト400を上方に飛ばすことができるため、ミスト400を長時間の浮遊させることができる。また、ファン220によって液柱310の分裂を促進できるために、液柱310の効率的なミスト化を期待できる。
【0079】
また、例えば、ファン220の送風方向に平行な方向から見た場合、ファン220は、液柱310と重ならない位置に配置されている。
【0080】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ファン220の送風方向に平行な方向から見た場合、ファン220は、液柱310と重ならない位置に配置されていることで、ミスト400の径を安定化させることができることを見出した。
【0081】
図5は、ファン220によるミスト540への送風の実験方法を説明するための図である。
【0082】
本実験では、ノズル520から液体530を排出させ、排出させた液体530にファン220によって送風する。ノズル520の内径は、110μmとし、ノズル520から排出される液体530の流量を約20μL/sとした。この場合、液柱550の延在方向の長さは、0.1mm程度となった。また、ノズル520は、ファン220の送風方向に平行な方向にファン220から10mm離間させた。また、ファン220は、送風方向に平行な方向から見た場合、40mm四方の矩形とした。
【0083】
図6は、ファン220の位置に対するミスト540の発生状態の実験結果を示す図である。
図7は、ファン220の位置に対するミスト540の発生状態の実験結果を示すグラフである。
図6及び
図7には、送風方向に直交する方向(言い換えると、ノズル520から液体530が排出される方向、又は、液柱550の延在方向)における、ファン220の中心からノズル520の液体530を排出する端部までの距離をYとして、当該Yの値を変化させた実験結果を示している。なお、
図7に示すエラーバーは、本実験で径を測定したミスト540の数N=20における標準偏差を示す。
【0084】
図6及び
図7に示すように、風速が10m/s以上の領域に液柱550が位置している場合、つまり、ファン220により発生された風が強く液柱550にあたっている場合、風速が10m/s以上の領域に液柱550が位置していない場合と比較して、つまり、ファン220により発生された風がさほど液柱550にあたっていない場合と比較して、ミスト540の径のばらつきが大きい。
【0085】
以上の結果から、ミスト発生装置100は、ファン220により発生された風を液柱310にあたりにくくすることで、径が安定したミスト400を発生させることができる。そのため、例えば、ファン220の送風方向に平行な方向から見た場合、ファン220は、液柱310と重ならない位置に配置されていることで、ファン220により発生された風を液柱310にあたりにくくして安定した径のミスト400を発生でき、且つ、ミスト400をファン220が発生させた風で長時間浮遊させることができる。
【0086】
また、例えば、液供給部210は、第1液体300と、第1液体300よりも揮発性が低い第2液体301とを液滴生成部500に供給する。
【0087】
これによれば、第1液体300(第1液滴320)が第2液体301に覆われていない場合と比較して、第1液体300が空気中に浮遊できる時間を長くできる。
【0088】
また、例えば、ミスト発生装置100は、液滴生成部500及びミスト発生部510を備える基板110を有する。液滴生成部500は、液供給部210から第1液体300が供給される第1液供給口121と、液供給部210から第2液体301が供給される第2液供給口122と、第1液供給口121及び第2液供給口122と繋がり、第1液体300を球状にした液滴を生成して第2液体301に含めるための混合流路133と、を有する。
【0089】
これによれば、液滴生成部500とミスト発生部510とが一つの基板110で実現され得る。これにより、液滴生成部500とミスト発生部510とでそれぞれ別の装置が不要となるため、ミスト発生装置100の部品点数が削減され得る。また、ミスト発生装置100は、部品点数が削減されることで、従来より安価に製造され得る。
【0090】
[変形例]
続いて、
図8~
図13を参照して、実施の形態1の変形例に係るミスト発生装置について説明する。なお、以下で説明する変形例は、ミスト発生装置100が備える基板110のミスト発生部510における排出口140近傍が異なる。以下で説明する変形例の説明においては、実施の形態1に係るミスト発生装置100と実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を簡略化又は省略する場合がある。なお、以下に示す
図8~
図13は、
図4に対応する部分拡大上面図である。
【0091】
<変形例1>
図8は、実施の形態1の変形例1に係るミスト発生装置が備える基板110aの排出口140を示す部分拡大上面図である。
【0092】
実施の形態1の変形例1に係るミスト発生装置が備える基板110aのミスト発生部510aが有する排出口140の周囲の排出面141aは、第1液滴320を含む第2液体301が排出される方向(例えば、
図8の紙面右側)に突出している。具体的には、排出面141aには、第1液滴320を含む第2液体301が排出口140から排出される方向に対して傾斜して突出した突出部142が形成されている。
【0093】
このように、例えば、ミスト発生部510aは、排出口140が設けられた排出面141aを有する。この場合、排出口140の周囲の排出面141aは、第1液滴320を含む第2液体301が排出される方向に突出している。
【0094】
これによれば、排出口140の周囲の排出面141aが突出していない場合と比較して、第1液滴320を含む第2液体301は、排出面141aに付着しにくくなる。言い換えると、第1液滴320を含む第2液体301は、排出面141aに濡れ広がりにくくなる。そのため、これにより、第2液体301が垂れることなく排出口140から勢いよく吐出されやすくなるため、液柱310が形成されやすくなる。また、液柱310を形成しやすくすることで、第1液体300及び第2液体301に液供給部210が印加する水圧の条件を広げることができる。そのため、第1液体300及び第2液体301に採用される液体(材料、言い換えると、物性)の条件を広げることができる。これにより、ミスト発生装置の汎用性が向上され得る。
【0095】
なお、
図8には、上面視で排出口140の近傍が第1液滴320を含む第2液体301が排出される方向に突出した排出面141aを示している。排出面141aは、基板110aを側面視した場合に、(基板110の主面(上面)に平行な方向であって、且つ、排出面141aに平行な方向から見た場合に)、排出口140の周囲の排出面141aが、第1液滴320を含む第2液体301が排出される方向(例えば、
図8の紙面右側)に突出していてもよい。
【0096】
<変形例2>
図9は、実施の形態1の変形例2に係るミスト発生装置が備える基板110bの排出口140を示す部分拡大上面図である。
【0097】
実施の形態1の変形例2に係るミスト発生装置が備える基板110bのミスト発生部510bが備える排出口140の周囲の排出面141bは、第1液滴320を含む第2液体301が排出される方向に突出している。具体的には、排出面141bには、第1液滴320を含む第2液体301が排出口140から排出される方向に対して傾斜せずに突出した突出部142aが形成されている。
【0098】
<変形例3>
図10は、実施の形態1の変形例3に係るミスト発生装置が備える基板110cの排出口140を示す部分拡大上面図である。
【0099】
実施の形態1の変形例3に係るミスト発生装置が備える基板110cのミスト発生部510cが備える排出口140の周囲の排出面141cは、第1液滴320を含む第2液体301が排出される方向に突出している。具体的には、排出面141cには、排出口140の周囲に溝部143が形成されることで、第1液滴320を含む第2液体301が排出口140から排出される方向に対して突出した突出部142bが形成されている。
【0100】
変形例1~3に示すように、突出部の形状は、排出面において、排出口140の周囲がさらにその周囲よりも排出口140から第1液滴320を含む第2液体301が排出される方向に突出していればよく、特に限定されない。
【0101】
<変形例4>
図11は、実施の形態1の変形例4に係るミスト発生装置が備える基板110dの排出口140aを示す部分拡大上面図である。
【0102】
実施の形態1の変形例4に係るミスト発生装置が備える基板110dのミスト発生部510dが備える排出流路136は、縮径部136aを介して排出口140と繋がる。排出流路136は、導入口138と同じ径で一様に延在している。
【0103】
縮径部136aは、導入口138及び排出流路136よりも径が小さい流路である。縮径部136aは、排出口140aと同じ径で一様に延在している。
【0104】
例えば、排出口140aの径(言い換えると、縮径部136aの径)は、導入口138の径(言い換えると、排出流路136の径)の半分以程度となっている。例えば、導入口138の径を1とし、排出口140aの径をxとした場合、xがとり得る値の範囲は、0.5<x<1でもよい。
【0105】
このように、例えば、ミスト発生部510dは、第1液滴320を含む第2液体301が液滴生成部500から導入される導入口138と、排出口140aが設けられた排出面141dと、を有する。ここで、例えば、排出口140aは、導入口138より小さい。
【0106】
これによれば、液供給部210が第2液体301へ印加する水圧を変更することなく、導入口138から導入された時の第1液滴320を含む第2液体301の流速よりも、排出口140aから排出される時の第1液滴320を含む第2液体301の流速の方が大きくできる。そのため、第1液滴320を適切に生成しつつ、且つ、排出口140aから排出される時の第1液滴320を含む第2液体301の流速を大きくできる。排出口140aから排出される時の第1液滴320を含む第2液体301の流速を大きくすることで、液柱310が形成されやすくなる。また、液柱310を形成しやすくすることで、第1液体300及び第2液体301に液供給部210が印加する水圧の条件を広げることができる。そのため、第1液体300及び第2液体301に採用される液体(材料、言い換えると、物性)の条件を広げることができる。これにより、ミスト発生装置の汎用性が向上され得る。
【0107】
<変形例5>
図12は、実施の形態1の変形例5に係るミスト発生装置が備える基板110eの排出口140aを示す部分拡大上面図である。
【0108】
実施の形態1の変形例5に係るミスト発生装置が備える基板110eのミスト発生部510eが有する縮径部136bは、排出流路136から排出口140aに向かうにつれて漸次的に縮径している。このように、排出口140aは、排出流路136(導入口138)より径が小さければよい。
【0109】
<変形例6>
図13は、実施の形態1の変形例6に係るミスト発生装置が備える基板110fの排出口を示す部分拡大上面図である。
【0110】
実施の形態1の変形例6に係るミスト発生装置が備える基板110fのミスト発生部510fが備える排出面141eは、第2液体301に対する撥液性を有する。例えば、排出面141eには、第2液体301に対して撥液性を有する撥液部材160が製膜(形成)されている。
【0111】
こうすることで、排出口140aから排出された第2液体301は、排出面141eに付着しにくくなる。これにより、第2液体301は、垂れることなく排出口140aから勢いよく吐出されやすくなる。そのため、液柱310が形成されやすくなる。
【0112】
なお、撥液部材160は、排出面141e全体に設けられていてもよいし、排出面141eにおける排出口140a近傍にのみ設けられていてもよい。
【0113】
また、撥液部材160に採用される材料は、第2液体301に対して撥液性を有していればよく、特に限定されない。また、排出面141eには、撥液部材160が設けられるのではなく、加工等によって撥液性が付与されてもよい。
【0114】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係るミスト発生装置について説明する。なお、実施の形態2に係るミスト発生装置の説明においては、実施の形態1に係るミスト発生装置100との差異点を中心に説明する。実施の形態2に係るミスト発生装置の説明においては、実施の形態1に係るミスト発生装置100と実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0115】
[構成]
図14は、実施の形態2に係るミスト発生装置100aを示す斜視図である。
図15は、実施の形態2に係るミスト発生装置100aが備える基板110gを示す上面図である。
【0116】
ミスト発生装置100aは、液供給部210と、基板110gと、制御部200aと、液調整部230と、を備える。ミスト発生装置100aのように、本発明に係るミスト発生装置は、ファン220を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0117】
なお、制御部200aを機能的なブロックとして表している。
【0118】
基板110gは、液滴生成部500と、ミスト発生部510と、を備える。また、基板110gは、流路130aを備える。流路130aは、第1流路131と、第2流路132と、混合流路133と、接続流路137aと、排出流路136と、調整流路135と、を含む。
【0119】
基板110gは、液滴生成部500とミスト発生部510とを繋ぐ接続流路137aと繋がる調整流路135を備える点が、基板110と異なる。
【0120】
調整流路135は、流路130aを流れる第2液体301の量を調整するための流路である。調整流路135は、一端が接続流路137aと繋がれている。また、調整流路135は、他端が基板110gが備える開口である調整口150と繋がれている。調整口150は、液調整部230と繋がれている。
【0121】
液調整部230は、(i)接続流路137aに位置する第2液体301を回収する制御、及び、(ii)接続流路137aに第2液体301を供給する制御、のうち、少なくとも一方の制御を行う装置である。本実施の形態では、液調整部230は、接続流路137aに位置する第2液体301を回収する制御を行う。
【0122】
接続流路137aに流れる第2液体301が適切に回収されることで、接続流路137aを流れる第1液滴320の間隔が適切に調整され得る。これにより、ミスト400に適切な量の第1液滴320を含めやすくできる。
【0123】
液調整部230は、例えば、第2液体301を収容するための容器と、当該容器と基板110gが備える開口である調整口150とを繋ぐ配管と、当該配管を介して基板110gから第2液体301を当該容器に回収するポンプと、を備える。
【0124】
なお、基板110gが備える調整流路135の数は、特に限定されない。また、ミスト発生装置100aが備える液調整部230の数は、特に限定されない。
【0125】
制御部200aは、ミスト発生装置100aの全体的な動作を制御する制御装置である。具体的には、制御部200aは、液供給部210、及び、液調整部230の動作を制御する。例えば、制御部200aは、液調整部230を制御することで、接続流路137aに位置する第2液体301の液量を減らす制御、及び、接続流路137aに位置する第2液体301の液量を減らすタイミングの制御を行う。
【0126】
なお、制御部200aは、液調整部230を制御することができればよく、無線信号を送信することで液調整部230を制御できるように、液調整部230と無線通信可能に接続されていてもよいし、液調整部230と制御線等により接続されていてもよい。
【0127】
[変形例]
続いて、
図16及び
図17を参照して、実施の形態2の変形例に係るミスト発生装置について説明する。なお、以下で説明する変形例の説明においては、実施の形態2に係るミスト発生装置100aと実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0128】
<変形例1>
液調整部は、接続流路137aに第2液体301を供給することで、接続流路137aに流れる第1液体の液滴の間隔を調整してもよい。
【0129】
図16は、実施の形態2の変形例1に係るミスト発生装置100bを示す斜視図である。なお、
図16では、制御部200bを機能的なブロックとして表している。
【0130】
ミスト発生装置100bは、ミスト発生装置100aと液調整部230aが異なる。
【0131】
液調整部230aは、接続流路137aに位置する第2液体301を供給する制御を行う装置である。
【0132】
接続流路137aに第2液体301が適切に供給されることで、接続流路137aを流れる第1液滴320の間隔が適切に調整され得る。これにより、ミスト400に適切な量の第1液滴320を含めやすくできる。
【0133】
また、第2液体301が供給されることで、液供給部210が第2液体301へ印加する水圧を変更することなく、排出口140から排出される時の第1液滴320を含む第2液体301の流速を大きくできる。そのため、第1液滴320の間隔を適切に制御しつつ、且つ、排出口140から排出される時の第1液滴320を含む第2液体301の流速を大きくできる。
【0134】
液調整部230aは、例えば、第2液体301を収容する容器と、当該容器と基板110gが備える開口である調整口150とを繋ぐ配管と、当該容器に収容されている第2液体301を当該配管を介して基板110gに供給するポンプと、を備える。
【0135】
制御部200bは、ミスト発生装置100bの全体的な動作を制御する制御装置である。具体的には、制御部200bは、液供給部210、及び、液調整部230aの動作を制御する。例えば、制御部200bは、液調整部230aを制御することで、接続流路137aに位置する第2液体301の液量を増やす制御、及び、接続流路137aに位置する第2液体301の液量を増やすタイミングの制御を行う。
【0136】
<変形例2>
図17は、実施の形態2の変形例2に係るミスト発生装置100cを示す斜視図である。なお、
図17では、制御部200bを機能的なブロックとして表している。
【0137】
ミスト発生装置100cは、ミスト発生装置100bと基板110hが異なる。具体的には、基板110hが備える調整流路135aが、基板110gが備える調整流路135と異なる。
【0138】
調整流路135は、
図16に示すように、接続流路137aが延在する方向に直交する方向に延在している。一方、調整流路135aは、
図17に示すように、接続流路137aが延在する方向に直交せずに交差する方向に延在している。例えば、調整流路135aは、接続流路137aを流れる第2液体301の進行方向に沿う方向に調整流路135aを流れる第2液体301が進行するように、基板110hに設けられている。また、例えば、調整流路135aは、混合流路133と接続流路137aとのなす角度が鋭角となるように、基板110hに設けられている。
【0139】
これによれば、液調整部230aが第2液体301を接続流路137aに供給することにより、排出口140から排出される時の第1液滴320を含む第2液体301の流速を大きくしやすくできる。
【0140】
[効果等]
以上のように、本開示に係るミスト発生装置は、例えば、液供給部210と、液滴生成部500と、ミスト発生部510と、液滴生成部500とミスト発生部510とを繋ぐ接続流路137aと、接続流路137aと繋がる調整流路135と、調整流路135を介して、(i)接続流路137aに位置する第2液体301を回収する制御、及び、(ii)接続流路137aに第2液体301を供給する制御、のうち、少なくとも一方の制御を行う液調整部と、を備える。上記説明したように、ミスト発生装置100aは、調整流路135を介して、(i)接続流路137aに位置する第2液体301を回収する制御を行う液調整部230を備える。また、ミスト発生装置100bは、(ii)接続流路137aに第2液体301を供給する制御を行う液調整部230aと、を備える。
【0141】
これによれば、接続流路137aに流れる第2液体301の液量が適切に制御されることで、接続流路137aを流れる第1液滴320の間隔を適切に調整しやすくできる。これにより、ミスト400に適切な量の第1液滴320を含めやすくできる。
【0142】
なお、本開示に係るミスト発生装置は、調整流路135を介して、(i)接続流路137aに位置する第2液体301を回収する制御、及び、(ii)接続流路137aに第2液体301を供給する制御、の両方の制御を行う液調整部を備えてもよい。或いは、本開示に係るミスト発生装置は、液調整部230と液調整部230aの両方を備えてもよい。
【0143】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3に係るミスト発生装置について説明する。なお、実施の形態3に係るミスト発生装置の説明においては、実施の形態1に係るミスト発生装置100との差異点を中心に説明する。実施の形態3に係るミスト発生装置の説明においては、実施の形態1に係るミスト発生装置100と実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0144】
図18は、実施の形態3に係るミスト発生装置100dを示す斜視図である。
図19は、実施の形態3に係るミスト発生装置100dが備える基板110iを示す上面図である。
【0145】
ミスト発生装置100dは、第1液滴320を第3液体302で包んだ液滴である第2液滴330を含む第2液体301aをミスト化した多層ミストであるミスト401として噴出する噴霧装置である。
【0146】
なお、ミスト401における第1液滴320及び第2液滴330の外径、第2液体301a及び第3液体302のそれぞれの膜厚は、例えば、基板110iに形成される流路130bのサイズ、形状、並びに、第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302が流路130bを流れる流量及び流速等によって制御される。
【0147】
ミスト発生装置100dは、液供給部210aと、基板110iと、ファン220と、制御部200cと、を備える。基板110iは、液滴生成部500aと、ミスト発生部510と、を備える。
【0148】
なお、制御部200cを機能的なブロックとして表している。
【0149】
液供給部210aは、第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302を基板110i(具体的には、液滴生成部500a)に供給する装置である。液供給部210aは、第1液供給部211と、第2液供給部212と、第3液供給部213と、を備える。
【0150】
第3液供給部213は、第3液体302を基板110iに供給する装置である。第3液供給部213は、例えば、第3液体302を収容する容器と、当該容器と基板110iとを繋ぐ配管と、当該容器に収容された第3液体302を、当該配管を介して基板110iに送液するポンプと、を備える。
【0151】
また、第3液供給部213は、例えば、ポンプにより水圧を印加して第3液体302を基板110iに形成された第3液供給口123に送液する。
【0152】
また、液供給部210aは、水圧を印加することで、第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302を液滴生成部500aに供給し、液滴生成部500aで生成された第1液滴320を含む第3液体302を球状にした第2液滴330を生成し、生成した第2液滴330を含む第2液体301aをミスト発生部510に導入させ、且つ、第2液滴330を含む第2液体301aが液柱311を形成するように排出口140から排出させることで、第2液滴330を含む第2液体301aをミスト化させる。つまり、液供給部210aは、第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302を液滴生成部500aに供給し、且つ、供給した第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302がミスト発生部510から排出されるように、第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302に水圧を印加する。本実施の形態では、第1液供給部211、第2液供給部212、及び、第3液供給部213は、水圧を印加することで、第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302を液滴生成部500aに供給し、液滴生成部500aで生成された第2液滴330を含む第2液体301aをミスト発生部510に導入させ、且つ、第2液滴330を含む第2液体301aが液柱311を形成するように排出口140から排出させることで、第2液滴330を含む第2液体301aをミスト化させる。
【0153】
ここで、例えば、第2液体301aは、揮発性が高く、空気中に少量ずつ放出されると、しばらくした後で揮発して姿を消す(つまり、気体となる)性質が強い液体である。例えば、第2液体301aは、第3液体302より高い揮発性を有する。
【0154】
第2液体301aを高い揮発性とすることで、空気中にミスト401が存在する場合に、すぐに第2液体301aは揮発する。そのため、ミスト401は、第2液体301aが揮発してなくなる。
【0155】
また、例えば、第3液体302は、第1液体300よりも低い揮発性を有する。つまり、液供給部210aは、第1液体300と、第1液体300よりも揮発性が低い第3液体302と、第3液体302よりも揮発性が高い第2液体301aとを液滴生成部500aに供給する。また、例えば、第3液体302は、第1液体300と混ざり合わないようにするために、第1液体300が水性の場合には油性であり、第1液体300が油性の場合には水性である。
【0156】
また、例えば、第2液体301aは、第3液体302と混ざり合わないようにするために、第3液体302が水性の場合には油性であり、第3液体302が油性の場合には水性である。
【0157】
基板110iは、液供給部210aから供給された第1液体300を液滴にした第1液滴320を生成して第3液体302に含ませ、さらに、第1液滴320を含む第3液体302を液滴にした第2液滴330を生成して第2液体301aに含ませ、さらに、第2液滴330を含む第2液体301aを液柱311にして放出することで、ミスト401を発生させるための基板である。基板110iは、第1液体300、第2液体301、及び、第3液体302が流れる流路130bを備えるマイクロ流路チップである。流路130bは、第1流路131と、第2流路132と、混合流路133a、133bと、第3流路134と、接続流路137と、排出流路136と、を含む。第1流路131と、第2流路132と、混合流路133a、133bと、第3流路134と、接続流路137と、排出流路136とは、液体(第1液体300、第2液体301a、及び、第3液体302)が移動可能に繋がれている。
【0158】
基板110iは、液滴生成部500aと、ミスト発生部510と、液滴生成部500aとミスト発生部510とを接続する接続流路137と、を備える。
【0159】
液滴生成部500aは、第1液滴320を含む第3液体302を球状にした第2液滴330を生成し、第2液滴330を第2液体301aに含める。具体的には、液滴生成部500aは、液供給部210aから供給された第1液体300を液滴にした第1液滴320を生成して第3液体302に含ませ、さらに、第1液滴320を含む第3液体を液滴にした第2液滴330を生成して第2液体301aに含ませる。本実施の形態では、液滴生成部500aは、基板110iの一部分である。
【0160】
液滴生成部500aは、第1液供給口121と、第2液供給口122と、第3液供給口123と、第1流路131と、第2流路132と、第3流路134と、混合流路133a、133bと、を備える。具体的には、基板110iは、第1液供給口121と、第2液供給口122と、第3液供給口123と、第1流路131と、第2流路132と、第3流路134と、混合流路133a及び混合流路133bと、を備える。
【0161】
第1流路131と第3流路134とは、いずれも、混合部139aを介して混合流路133aと繋がれている。
【0162】
第1流路131が第3流路134と交差しているために、第1流路131を流れる第1液体300の流速及び第3液体302が第3流路134を流れる流速のそれぞれが適切に制御されることで、第1液体300は、個々に分断されて球状の液体粒子(液滴)となる。
【0163】
第3液体302は、第1流路131及び第3流路134の交点である混合部139aで、第1液体300が球状となるように第1液体300を覆って、言い換えると、第1液滴320を含んで混合流路133aに流れる。
【0164】
混合流路133aは、混合部139bを介して第2流路132及び混合流路133bと繋がれている。言い換えると、混合流路133aと第2流路132とは、いずれも、混合部139bを介して混合流路133bと繋がれている。本実施の形態では、混合流路133aと第2流路132とは、混合部139bでT字に分岐している。混合流路133aと第2流路132とは、例えば、Y字に分岐していてもよい。
【0165】
混合流路133aが第2流路132と交差しているために、混合流路133aを流れる第1液滴320を含む第3液体302の流速及び第2液体301aが第2流路132を流れる流速のそれぞれが適切に制御されることで、第1液滴320を含む第3液体302は、個々に分断されて球状の液体粒子(液滴)となる。
【0166】
第2液体301aは、混合流路133b及び第2流路132の交点である混合部139bで、第1液滴320を含む第3液体302が球状となるように第3液体302を覆って、言い換えると、第2液滴330を含んで混合流路133bに流れる。
【0167】
混合流路133bは、液滴生成部500aとミスト発生部510とを繋ぐ接続流路137と繋がれている。
【0168】
なお、例えば、基板110iにおける、第3流路134、及び、混合流路133a、133bは、第2液体301a及び第3液体302が水性であるか油性であるかによって、濡れ性が異なっていてもよい。
【0169】
例えば、第3液体302が油性である場合、第3液体302が通過する第3流路134及び混合流路133aは、水性に対する濡れ性よりも、油性に対する濡れ性が高くなるように形成されていてもよい。
【0170】
こうすることで、例えば、第3液体302は、混合部139aで、第1液体300が球状となるように、つまり、第1液体300の液滴が形成されるように、第1液体300を覆いやすくなる。
【0171】
また、例えば、第2液体301aが水性である場合、第2液体301aが通過する第2流路132及び混合流路133bは、油性に対する濡れ性よりも、水性に対する濡れ性が高くなるように形成されていてもよい。
【0172】
こうすることで、例えば、第2液体301aは、混合部139bで、第1液滴320を含む第3液体302が球状となるように、つまり、第3液体302の液滴が形成されるように、第3液体302を覆いやすくなる。
【0173】
なお、流路130bの濡れ性は、基板110iに採用される材料、及び、流路130bの内表面の形状等によって調整される。
【0174】
上記した流路130bの濡れ性は、ミスト発生部510が備える流路(例えば、排出流路136)の濡れ性についても同様である。
【0175】
<制御部>
制御部200cは、ミスト発生装置100dの全体的な動作を制御する制御装置である。具体的には、制御部200cは、液供給部210a及びファン220の動作を制御する。例えば、制御部200cは、液供給部210aを制御することで、制御部200が行う制御内容に加えて、さらに、基板110iに供給される第3液体302の液量の制御、及び、第3液体302を基板110に供給するタイミングの制御を行う。
【0176】
なお、制御部200cは、液供給部210aを制御することができればよく、無線信号を送信することで液供給部210aを制御できるように、液供給部210aと無線通信可能に接続されていてもよいし、液供給部210aと制御線等により接続されていてもよい。
【0177】
[効果等]
以上のように、ミスト発生装置100dが備える液供給部210aは、第1液体300と、第1液体300よりも揮発性が低い第3液体302と、第3液体302よりも揮発性が高い第2液体301aとを液滴生成部500aに供給し、液滴生成部500aは、第1液滴320を含む第3液体302を球状にした第2液滴330を生成し、第2液滴330を第2液体301aに含める。
【0178】
これによれば、第2液体301aを高い揮発性とすることで、空気中にミスト401が存在する場合に、すぐに第2液体301aは揮発する。そのため、ミスト401は、第2液体301aが揮発してなくなることで、生成されてすぐに粒径が小さくなり且つ軽くなる。これにより、ミスト401(第1液体300)は、空気中でさらに長く浮遊できる。
【0179】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4に係るミスト発生装置について説明する。なお、実施の形態4に係るミスト発生装置の説明においては、実施の形態1に係るミスト発生装置100との差異点を中心に説明する。実施の形態4に係るミスト発生装置の説明においては、実施の形態1に係るミスト発生装置100と実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0180】
[構成]
図20は、実施の形態4に係るミスト発生装置100eを示す上面図である。
図21は、実施の形態4に係るミスト発生装置100eが備える液滴生成部500b及びミスト発生部510gを示す上面図である。
【0181】
ミスト発生装置100eは、液供給部210と、基板110jと、ファン220と、制御部200と、を備える。
【0182】
なお、
図20においては、第1液供給部211は、全ての第1液供給口121に第1液体300を供給しているが、一部図示を省略している。
【0183】
また、
図20においては、第2液供給部212は、全ての第2液供給口122に第2液体301を供給しているが、一部図示を省略している。
【0184】
また、
図20においては、制御部200及び液供給部210(第1液供給部211及び第2液供給部212)を機能的なブロックとして示している。
【0185】
基板110jは、液滴生成部500bと、ミスト発生部510gと、を備える。
【0186】
液滴生成部500bは、複数の第1液供給口121と、複数の第2液供給口122と、を備える。複数の第1液供給口121のそれぞれには、第1液供給部211によって第1液体300を供給される。また、複数の第2液供給口122のそれぞれには、第2液供給部212によって第2液体301を供給される。
【0187】
ミスト発生部510gは、排出口140を複数備える。
【0188】
このような構成によれば、ミスト発生装置100eは、一度に多くのミスト400を発生できる。
【0189】
本実施の形態では、液滴生成部500bは、第1液滴320(例えば、
図2参照)を生成して第2液体301(例えば、
図2参照)に含めるための混合流路133を複数有する。より具体的には、ミスト発生装置100eは、混合流路133と、混合流路133と繋がれた排出口140との組を複数備える。本実施の形態では、ミスト発生装置100eは、混合流路133と、混合流路133と繋がれた排出口140との組を8組備える。なお、ミスト発生装置100eは、混合流路133と、混合流路133と繋がれた排出口140との組を7組以下備えてもよいし、9組以上備えてもよい。
【0190】
複数の第2液供給口122のそれぞれに供給された第2液体301は、複数の流路130(より具体的には、複数の混合流路133)を通過して複数の第1液供給口121のそれぞれに供給された第1液体300を球状にして含み、複数の排出口140のそれぞれからミスト化されて、上面して基板110jの中心に向かって排出される。
【0191】
基板110jは、上面視で環状に形成されている。ファン220は、上面視で基板110jの環状の中央部であって、基板110jとは重ならない位置に配置されている。
【0192】
なお、本実施の形態では、基板110jは、環状であり、上面視で基板110jの内側の側面に排出口140が設けられている。例えば、基板は、上面視で矩形であり、側面に排出口140が複数並んで設けられていてもよい。また、1つの側面にのみ排出口140が設けられていてもよいし、複数の側面それぞれに排出口140が設けられていてもよい。
【0193】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係るミスト発生装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0194】
例えば、上記実施の形態では、ミスト発生装置100dは、第1液体300、第2液体301、及び、第3液体302の3つの液体(1つの液滴及び2つの液層)からなるミスト401を発生する。ミスト発生装置は、例えば、3以上の混合流路と4以上の導入口とが形成された基板によって4つ以上の液体(1つの液滴及び3つ以上の液層)からなるミストを発生してもよい。
【0195】
また、例えば、液滴生成部及びミスト発生部は、基板ではなく流路を有するノズルで実現されてもよい。
【0196】
また、例えば、上記実施の形態では、基板110の上面に第1液供給口121及び第2液供給口122が形成されている。第1液供給口121及び第2液供給口122が形成される位置は、特に限定されない。第1液供給口121及び第2液供給口122は、基板110の側面に形成されていてもよいし、基板110の下面に形成されていてもよい。
【0197】
また、例えば、上記実施の形態では、基板110の側面に排出口140が形成されている。排出口140が形成される位置は、特に限定されない。排出口140は、基板110の上面に形成されていてもよいし、基板110の下面に形成されていてもよい。
【0198】
また、例えば、上記実施の形態4では、ミスト発生装置100eは、複数の排出口140を備える。例えば、上記実施の形態4では、ミスト発生装置100eは、混合流路133と、混合流路133と繋がれた排出口140との組を複数備える。このように、ミスト発生装置は、1つの混合流路に対して1つの排出口が繋がれた組を備えてもよい。或いは、ミスト発生装置は、1つの混合流路に対して複数の排出口が繋がれた組を備えてもよい。或いは、ミスト発生装置は、複数の混合流路に対して1つの排出口が繋がれた組を備えてもよい。或いは、ミスト発生装置は、これらの組を任意の組み合わせで備えてもよい。
【0199】
また、例えば、制御部200等の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0200】
また、制御部200等の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0201】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0202】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0203】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0204】
100、100a、100b、100c、100d、100e ミスト発生装置
110、110a、110b、110c、110d、110e、110f、110g、110h、110i、110j 基板
121 第1液供給口
122 第2液供給口
133、133a、133b 混合流路
135、135a 調整流路
137、137a 接続流路
138 導入口
140、140a 排出口
141、141a、141b、141c、141d、141e 排出面
142、142a、142b 突出部
210、210a 液供給部
220 ファン
230、230a 液調整部
300 第1液体
301、301a 第2液体
302 第3液体
310、311、550 液柱
320 第1液滴
330 第2液滴
400、401、540 ミスト
500、500a、500b 液滴生成部
510、510a、510b、510c、510d、510e、510f、510g ミスト発生部(排出部)