(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】手洗い器付き水洗便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 5/10 20060101AFI20230303BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20230303BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
E03D5/10
E03D9/08 A
E03D9/00 D
(21)【出願番号】P 2018141839
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-05-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】嶋澤 祐子
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 広志
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真悟
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-176173(JP,U)
【文献】特開2014-136952(JP,A)
【文献】特開2001-311200(JP,A)
【文献】特開平09-088152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 5/10
E03D 9/08
E03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器ボウルに対する給水および手洗いボウルに対する給水を制御する制御部と、前記便器ボウルに対する給水を該制御部に指示する洗浄指示手段と、便座への着座および離座を検知する着座検知部とを備えた手洗い器付き水洗便器装置であって、
前記手洗いボウルを有した手洗い器
と、前記便器ボウルに給水する洗浄水配管と、前記手洗いボウルに給水する吐水配管とを備え、
前記手洗い器には、前記手洗いボウルに給水された水を排水する排水管が接続されており、
前記洗浄水配管は、前記便器ボウルへの洗浄水の給水/停止を切り替える洗浄水制御弁を備え、
前記吐水配管は、前記手洗いボウルへの給水/停止を切り替える手洗い制御弁を備え、
前記制御部は、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知している場合は、前記便器ボウルへの給水を行い、前記手洗いボウルへの給水を禁止する一方、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知していない場合は、前記便器ボウルへの給水と、前記手洗いボウルへの給水とを行うことを特徴とする手洗い器付き水洗便器装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記手洗いボウルへの給水が禁止状態である場合に、前記着座検知部が離座を検知したときには前記禁止状態を解除して給水を行うことを特徴とする手洗い器付き水洗便器装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記手洗いボウルへの給水を前記制御部に指示する手洗い給水操作部をさらに備えた構成とされており、
前記制御部は、前記手洗いボウルへの給水が禁止状態である場合に、前記手洗い給水操作部からの給水指示を受けたときに前記禁止状態を解除して給水を行うことを特徴とする手洗い器付き水洗便器装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記洗浄指示手段の一手段として洗浄操作部を備えており、
前記手洗い給水操作部は、前記洗浄操作部に対する洗浄指示の操作とは異なる操作にて手洗い給水指示を前記制御部に対して行うことを特徴とする手洗い器付き水洗便器装置。
【請求項5】
便器ボウルに対する給水および手洗いボウルに対する給水を制御する制御部と、前記便器ボウルに対する給水を該制御部に指示する洗浄指示手段と、便座への着座および離座を検知する着座検知部とを備えた手洗い器付き水洗便器装置であって、
前記手洗いボウルを有した手洗い器と、前記手洗いボウルへの給水を前記制御部に指示する手洗い給水操作部とを備え、
前記手洗い器には、前記手洗いボウルに給水された水を排水する排水管が接続されており、
前記制御部は、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知している場合は、前記便器ボウルへの給水を行い、前記手洗いボウルへの給水を禁止する一方、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知していない場合は、前記便器ボウルへの給水と、前記手洗いボウルへの給水とを行い、前記手洗いボウルへの給水が禁止状態である場合に、前記手洗い給水操作部からの給水指示を受けたときには前記禁止状態を解除して給水を行うことを特徴とする手洗い器付き水洗便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器ボウルに対する給水、および手洗いボウルに対する給水を行う手洗い器付き水洗便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の水洗便器装置は、便器ボウルと手洗い器のそれぞれに、対応した給水管を通じて給水する構成とされている(例えば、特許文献1参照)。通例では、手洗いボウルへの給水が便器ボウルへの給水とほぼ同時に連動してなされるように、制御部が給水制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利用者は便座に着座している際に洗浄指示(例えば洗浄操作部を操作)をして便器ボウルを洗浄する場合、同時に手洗いボウルに給水しても、便座と手洗い器との位置関係などの理由により、すぐに手洗いをできないことがある。その場合には、用を足したのちに離座して、再度洗浄指示をするか、あるいは手洗い給水操作部を操作して手洗いボウルに給水する必要がある。したがってその場合には、先の洗浄指示による手洗いボウルへの給水が無駄になる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、手洗いボウルへの給水が無駄になることを抑制でき、かつ適切なタイミングで手洗いできる手洗い器付き水洗便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の手洗い器付き水洗便器装置は、便器ボウルに対する給水および手洗いボウルに対する給水を制御する制御部と、前記便器ボウルに対する給水を該制御部に指示する洗浄指示手段と、便座への着座および離座を検知する着座検知部とを備えた手洗い器付き水洗便器装置であって、前記手洗いボウルを有した手洗い器と、前記便器ボウルに給水する洗浄水配管と、前記手洗いボウルに給水する吐水配管とを備え、前記手洗い器には、前記手洗いボウルに給水された水を排水する排水管が接続されており、前記洗浄水配管は、前記便器ボウルへの洗浄水の給水/停止を切り替える洗浄水制御弁を備え、前記吐水配管は、前記手洗いボウルへの給水/停止を切り替える手洗い制御弁を備え、前記制御部は、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知している場合は、前記便器ボウルへの給水を行い、前記手洗いボウルへの給水を禁止する一方、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知していない場合は、前記便器ボウルへの給水と、前記手洗いボウルへの給水とを行うことを特徴とする。
また、本発明の他の手洗い器付き水洗便器装置は、便器ボウルに対する給水および手洗いボウルに対する給水を制御する制御部と、前記便器ボウルに対する給水を該制御部に指示する洗浄指示手段と、便座への着座および離座を検知する着座検知部とを備えた手洗い器付き水洗便器装置であって、前記手洗いボウルを有した手洗い器と、前記手洗いボウルへの給水を前記制御部に指示する手洗い給水操作部とを備え、前記手洗い器には、前記手洗いボウルに給水された水を排水する排水管が接続されており、前記制御部は、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知している場合は、前記便器ボウルへの給水を行い、前記手洗いボウルへの給水を禁止する一方、前記洗浄指示手段の洗浄指示を受けたときに、前記着座検知部が着座を検知していない場合は、前記便器ボウルへの給水と、前記手洗いボウルへの給水とを行い、前記手洗いボウルへの給水が禁止状態である場合に、前記手洗い給水操作部からの給水指示を受けたときには前記禁止状態を解除して給水を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の手洗い器付き水洗便器装置は上述した構成とされているため、手洗いボウルへの給水が無駄になることを抑制でき、かつ適切なタイミングで手洗いすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る手洗い器付き水洗便器装置の基本ブロック図である。
【
図2】(a)(b)は、手洗いボウルの給水禁止と給水動作の各態様を模式的に示した図である。
【
図3】同便器装置の手洗いボウルに対する給水動作の例の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係る手洗い器付き水洗便器装置1(以下、水洗便器装置1と略す)の概略基本構成について説明する。
【0010】
本水洗便器装置は、便器ボウル11に対する給水および手洗いボウル16に対する給水を制御する制御部30と、便器ボウル11に対する給水を制御部30に指示する洗浄指示手段31と、便座12への着座および離座を検知する着座検知部36とを備えている。制御部30は、洗浄指示手段31の洗浄指示を受けたときに、着座検知部36が着座を検知している場合は、便器ボウル11への給水を行い、手洗いボウル16への給水を禁止する。制御部30は他方、洗浄指示手段31の洗浄指示を受けたときに、着座検知部36が着座を検知していない場合は、便器ボウル11への給水と、手洗いボウル16への給水とを行う。
【0011】
ついで、本水洗便器装置1の詳細について説明する。
図1は本水洗便器装置1の構成を示すブロック図であり、この図を参照しながら水洗便器装置1の基本構成について説明する。
【0012】
水洗便器装置1は、便器ボウル11を有した便器本体10と、手洗いボウル16を有した手洗い器15とを備えてなる。便器本体10には洗浄水制御弁21を備えた洗浄水配管22が接続され、手洗い器15には手洗い制御弁23を備えた吐水配管24が接続され、いずれの配管にも給水管20を通じて給水できる構成とされている。また、手洗い器15と便器本体10との間は排水管25が接続されており、手洗いボウル16に流される水が便器本体10側へと排出される。
【0013】
また、便器本体10の便座12には、着座センサーよりなる着座検知部36が内装されている。着座検知部36は、便座12に対する着座/離座を検知する構成とされる。なお、着座検知部36として、着座センサーの代わりに、重量検知センサーを設け、検出値がゼロから所定値以上の値へ変化したときを着座と判断し、検出値が所定値以上の値からゼロへ変化したときを離座と判断するようにしてもよい。また、フォトセンサーにより着座/離座を検知するようにしてもよい。
【0014】
便器本体10には、CPUやプログラムなどにより構成された制御部30が内蔵されている。便器ボウル11への洗浄水の給水/停止は、洗浄水制御弁21の開閉によりなされ、その動作は上述したように制御部30の制御による。また、手洗いボウル16への給水(吐水)/停止は、手洗い制御弁23の開閉によりなされ、これについても制御部30の制御による。
【0015】
また、本水洗便器装置1は、制御部30へ種々の動作を指示する手段として、操作部32を備えている。操作部32は、便器本体10に設けた操作スイッチ(不図示)や、壁面に取り付けたリモコン装置32A(
図2参照)よりなる。操作部32には、便器ボウル11への大水量供給、小水量供給を指示するための洗浄操作部33や、手洗い給水操作部34が配設されている。
【0016】
制御部30に対する便器ボウル11への洗浄水の給水制御の指示は、洗浄指示手段31による。洗浄指示手段31としては、便器本体10や操作部32の洗浄操作部33が挙げられる。また、洗浄指示手段31としては、着座検知部36による着座から離座への状態変化によるものであってもよい。この場合の洗浄指示は、大水量供給の洗浄指示とされることが望ましいが、小水量供給の洗浄指示であってもよい。なお、着座から離座への状態変化による洗浄指示には、離座してから所定時間(例えば数秒)遅延後のタイミングに行うものも含むものとする。
【0017】
また、制御部30に対する手洗いボウル16への吐水制御の指示は、操作部32の手洗い給水操作部34によるが、洗浄操作部33(大または小)を、洗浄操作部33に対する洗浄指示の操作とは異なる操作にて代用してもよい。例えば、長押し、連続操作などでもよい。
【0018】
さらに、本水洗便器装置1では、手洗いボウル16に対する吐水が、便器ボウル11への洗浄水の供給に連動する場合と、連動することなく禁止状態となる場合がある。より具体的には、
図2に示すように、着座中の洗浄操作部33の操作による洗浄指示では便器ボウル11への給水はなされるが、手洗いボウル16への給水はなされない(
図2(a)参照)。一方、離座中の洗浄指示では便器ボウル11への給水も、手洗いボウル16への給水もなされる(
図2(b)参照)。
【0019】
洗浄指示手段31としては、上述したように、洗浄操作部33の操作によるものと、着座検知部36による着座から離座への状態変化の検知によるものとがあり、これらによる洗浄指示があったときの動作を
図3のフローチャートをもとに説明する。
【0020】
洗浄指示があったときに、制御部30は、着座か離座かを判別し、着座中であれば、便器ボウル11への給水を行い、手洗いボウル16への給水は禁止する(S101のY、S102、S103)。その後、制御部30は、着座か離座か、および手洗い給水指示ありかを判別し、着座中で手洗い給水指示がなければ手洗いボウル16への給水禁止状態を保持し、離座または手洗い給水指示ありの場合は、手洗いボウル16への給水を行う(S104、S105)。
【0021】
また、制御部30は、洗浄指示があったときに着座中でなければ(離座を検知している場合)、便器ボウル11への給水と、手洗いボウル16への給水とを連動するように実行する(S101のN、S106、S107)。
【0022】
なお、着座検知部36による着座から離座への状態変化検知による洗浄指示の場合については、S106、S107の動作が実行されるが、着座か離座かを判別する条件を変えることにより、手洗いボウル16への給水を制御してもよい。例えば、着座検知部36の検知時間に差を設け、便器ボウル11への給水については短時間で判断し、手洗いボウル16への給水の場合には長時間で判断してもよい。この場合、いったん離座した後に着座したような使用状態のときに、最初の離座によって便器ボウル11への給水は行われるが、その直後の着座によって、手洗いボウル16への給水は禁止される。
【0023】
なお、例えば操作のみによって便器ボウル11への給水指示が行われるような着座から離座への状態変化を検知したときに洗浄指示がされない装置、あるいはそのような設定がされていない場合においても、
図3のフローチャートは適用されればよい。その場合には着座から離座への状態変化で、便器ボウル11への給水および手洗いボウル16への給水(S106、S107)は実行されないが、手洗いボウル16の給水禁止状態の解除の指令として作用する。すなわち、給水禁止状態のときに、着座から離座への状態変化を検知した場合には(S103、S104)、手洗いボウル16への給水(S105)は実行される。
【0024】
以上の実施形態では、手洗いボウル16への給水禁止状態のときに着座から離座への状態変化検知があった場合には、給水禁止状態が解除されて手洗いボウル16への給水が行われるが、便器ボウル11への給水は行われない(S104、S105)。しかし、手洗いボウル16への給水禁止状態が所定の時間を超えた後に着座から離座への状態変化検知があった場合には、その状態変化を洗浄指示と判断して、便器ボウル11、手洗いボウル16の両給水が行われるようにしてもよい。
【0025】
このように本水洗便器装置1は、着座中に洗浄操作部33による洗浄指示があった場合に手洗いボウル11への給水をしない構成とされているため、手洗い器15が使えないような着座環境において無駄な手洗い用吐水を行わなくてもよく、節水効果を期待できる。
【0026】
ようするに、この水洗便器装置1は、手洗い器15が便器本体10よりも離れた箇所にあり、着座中に手洗い器15を使いにくい設置環境である場合や、身体が不自由で動きが遅い利用者に有効である。また、手洗いボウル16への給水は、その後、着座から離座への状態変化があったときに実行されるので、立ち上がってから、手洗い給水操作部34を操作しなくても、自動吐水により手洗いができる。もちろん、手洗い給水操作部34の操作によっても手洗い給水を行うことができる。
【0027】
また、手洗い給水操作部34の操作に加えて、あるいは手洗い給水操作部34の操作に代えて、洗浄操作部33の洗浄指示の操作とは異なる操作を用いるようにすれば、着座中でも操作部32の操作で手洗いを行うことができる。すなわち、手洗い器15が着座中に使用できる位置に配設されている場合に、洗浄指示で手洗いボウル16への給水が禁止されたときでも、着座したまま洗浄操作部33を操作すれば手洗いを行うことができるので便利である。
【符号の説明】
【0028】
1 手洗い器付き水洗便器装置(水洗便器装置)
11 便器ボウル
12 便座
15 手洗い器
16 手洗いボウル
30 制御部
31 洗浄指示手段
36 着座検知センサー(着座検知部)