(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】照明装置及び導光部材
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20230303BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20230303BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20230303BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230303BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230303BHJP
【FI】
F21V8/00 310
F21V8/00 355
G02B6/00 326
G02B6/00 331
F21Y103:00
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019111047
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山科 大悟
(72)【発明者】
【氏名】秋山 博紀
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-243124(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082385(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/008239(WO,A1)
【文献】特開2004-133318(JP,A)
【文献】特開2010-44320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
G02B 6/00
F21Y 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から発せられた光を導光する導光部材と、を備え、
前記導光部材には、前記光を前記導光部材から出射させるための光取り出し構造が設けられ、
前記導光部材は、可撓性を有する透明樹脂基材と、前記透明樹脂基材の表面に接する透明樹脂層とを有し、
前記透明樹脂基材は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの第1重合体ブロックと、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの第2重合体ブロックとからなるブロック共重合体を主成分として含み、
前記第1重合体ブロックの全重量W1と前記第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35の範囲であり、
前記透明樹脂層の表面硬度は、鉛筆硬度F以上である
照明装置。
【請求項2】
前記透明樹脂層は、脂環式構造含有重合体を主成分として含む
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記導光部材は、共押出成形品である
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光取り出し構造は、前記透明樹脂基材又は前記透明樹脂層の一面に設けられた複数のプリズムである
請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記複数のプリズムは、前記光源からの距離に応じて、設けられている単位面積当たりの数が異なる
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記複数のプリズムは、前記光源から離れるほど、設けられている単位面積当たりの数が多い
請求項4又は5に記載の照明装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の導光部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び導光部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導光部材の端面から光を入射させて、導光部材の所望の部分から光を取り出す導光方式の照明装置が知られている(特許文献1及び2を参照)。例えば、特許文献1では、導光板の一端面からLED(Light Emitting Diode)の光を導光板内に入射させ、導光板内を全反射させて光を導き、導光板に点在させた拡散部により光を外へ出射させる発光装飾器具が開示されている。また、特許文献2では、導光方式の照明器具として、導光部材に可撓性を有する部材を用いて、所望の照明範囲及び配光方向に変更可能とする照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-312600号公報
【文献】特開2012-64441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導光方式の照明装置において、フレキシブル性を有する照明装置は、照明装置を設置する部位の形状に合わせることが可能であり、デザイン性等に優れる。フレキシブル性を有する導光方式の照明器具では、所望の照度及び配光特性等の照明特性を実現し、かつ、耐久性を高めることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、所望の照明特性を実現し、かつ、耐久性の高い、フレキシブル性を有する導光方式の照明装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る照明装置は、光源と、前記光源から発せられた光を導光する導光部材と、を備え、前記導光部材には、前記光を前記導光部材から出射させるための光取り出し構造が設けられ、前記導光部材は、可撓性を有する透明樹脂基材と、前記透明樹脂基材の表面に接する透明樹脂層とを有し、前記透明樹脂基材は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの第1重合体ブロックと、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの第2重合体ブロックとからなるブロック共重合体を主成分として含み、前記第1重合体ブロックの全重量W1と前記第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35の範囲であり、前記透明樹脂層の表面硬度は、鉛筆硬度F以上である。
【0007】
また、本発明の一態様に係る導光部材は、上記導光部材である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所望の照明特性を実現し、かつ、耐久性の高い、フレキシブル性を有する導光方式の照明装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態に係る照明装置が曲げられている状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明装置の概略構成を示す平面視図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における実施の形態に係る照明装置の切断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線における実施の形態に係る照明装置の切断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る照明装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の形態に係る照明装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
また、本明細書において、均一などの要素間の関係性を示す用語、及び、円柱又は角柱などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る照明装置の構成について、図面を用いて説明する。
【0014】
図1Aは、本実施の形態に係る照明装置1の概略構成を示す斜視図である。
図1Bは、本実施の形態に係る照明装置1が曲げられている状態を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る照明装置1の概略構成を示す平面視図である。
【0015】
図1A、
図1B及び
図2に示されるように、照明装置1は、光源モジュール10と、導光部材20とを備える。導光部材20には、光取り出し構造30が設けられている。光源モジュール10は、光源の一例である。光源モジュール10は、導光部材20の長手方向両端に配置されている。なお、光源モジュール10は、導光部材20の長手方向の一端にのみ配置されていてもよい。また、照明装置1は、光源モジュール10と導光部材20とを所定の位置関係で支持する支持部材を備えてもよい。
【0016】
照明装置1は、
図1Bに示されるように、導光部材20が曲がっている状態で使用することが可能であり、フレキシブル性を有する照明装置である。
【0017】
実施の形態に係る照明装置1の詳細な構成について、さらに、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0018】
図3は、
図2のIII-III線における照明装置1の切断面を示す断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線における照明装置1の切断面を示す断面図である。
図3では、光源モジュール10の発光素子12が発する光の経路を、模式的に複数の矢印で表している。具体的には、光の経路は、発光素子12を起点として延びる矢印、導光部材20の内部に描かれた矢印、及び、導光部材20の側面20bから導光部材20の外側に向かって延びる矢印によって模式的に表されている。なお、当該光の経路を分かりやすくするため、導光部材20には断面を表す平行斜線を付していない。また、矢印によって示される光の経路は一例であり、矢印の方向にのみ光が出射されていることを意味していない。導光部材20内の光の経路は、透明樹脂基材21と透明樹脂層22との屈折率が同じである場合が示されている。これらは、後述する
図6においても同様である。
【0019】
光源モジュール10は、
図3に示されるように、基板11と、発光素子12とを備える。基板11及び発光素子12は、例えば、図示されていない制御回路及び図示されていない電源部等と共に、円柱状の筐体に収納される。光源モジュール10は、点灯させるための駆動回路などを有する電源部等から電流が供給され、導光部材20の端面20aに向けて光を出射する。
【0020】
基板11は、発光素子12の実装基板である。基板11は、例えばガラスエポキシ基板であるが、これに限らない。基板11は、セラミック基板、樹脂基板又はメタルベース基板などでもよい。基板11は、リジッド基板でもよく、フレキシブル基板でもよい。
【0021】
基板11は、導光部材20の端面20aに対向して平行な姿勢で配置されている。基板11は、端面20aの形状に応じた形状を有し、発光素子12の光が端面20aに入射するように配置される。基板11は、例えば、正方形又は円形である。また、導光部材20の端面20aが所定方向に延びる長尺形状を有する場合、基板11は、端面20aが延びる方向に長尺な形状を有していてもよい。
【0022】
発光素子12は、基板11の中央に1つ配置されている。発光素子12は、基板11に複数配置されていてもよい。また、基板11及び端面20aが長尺形状である場合、発光素子12は、基板11が延びる方向に沿って一列又は複数列に並んで配置されていてもよい。
【0023】
発光素子12は、例えば、白色光を発する表面実装(Surface Mount Device:SMD)型のLED(Light Emitting Diode)素子である。SMD型のLED素子とは、樹脂成型されたキャビティの中にLEDチップが配置され、かつ、当該キャビティ内に蛍光体含有樹脂が封入されたパッケージ型のLED素子である。LEDチップは、例えば、青色光を発する青色LEDチップである。蛍光体含有樹脂には、例えば、青色光を受けて黄色光を発する蛍光体が含まれている。LEDチップが発する青色光と、蛍光体が発する黄色光とが合成されることで、発光素子12の各々は白色光を発する。発光素子12は、発光色の異なる複数のLEDチップ又は複数の蛍光体が含まれるLED素子であってもよい。また、発光素子12は、白色以外の光を発するLED素子であってもよい。
【0024】
なお、光源モジュール10は、基板11にLEDチップが直接実装された、いわゆるCOB(Chip On Board)型のLEDモジュールであってもよい。この場合、LEDチップが発光素子12の一例であり、蛍光体含有樹脂がLEDチップを覆うように基板11上に設けられている。
【0025】
また、光源モジュール10は、LED素子の代わりに、有機EL(Electroluminescence)素子、又は、半導体レーザ素子などを発光素子12として備えてもよい。あるいは、光源モジュール10は、基板11及び発光素子12を備えなくてもよく、蛍光灯などの放電ランプであってもよい。
【0026】
導光部材20は、光源モジュール10の発光素子12から発せられた光を導光する。導光部材20は、所望の形状に曲げることが可能な柔軟性の細長い円柱状の部材である。導光部材20の形状は、目的に応じて設計されればよく、三角柱又は四角柱等の角柱状、もしくは、矩形平板状等であってもよい。
【0027】
導光部材20は、端面20aと、端面20aから垂直に立設する側面20bとを備える。端面20aは発光素子12から発せられた光が入射する光入射面である。また、側面20bは、導光部材20を導光された光が取り出される光取り出し面、すなわち、光出射面である。また、側面20bには、光取り出し構造30が設けられている。
【0028】
導光部材20の厚み又は径は、例えば、1mm以上50mm以下であるが、これに限らない。例えば、導光部材20の厚み又は径は、5mm以上30mm以下であってもよく、10mm以上20mm以下であってもよい。
【0029】
図3及び
図4に示されるように、導光部材20は、可撓性を有する透明樹脂基材21と、透明樹脂基材21の表面に接する透明樹脂層22とを有する。また、導光部材20には、光を導光部材20から出射させるための光取り出し構造30が設けられている。
【0030】
透明樹脂基材21は、可撓性及び透光性を有する樹脂材料を用いて形成されている。具体的には、透明樹脂基材21のヤング率は、例えば、1GPa以下であるが、これに限らない。透明樹脂基材21のヤング率は、0.8GPa以下であってもよく、0.5GPa以下であってもよい。透明樹脂基材21の材料については後述する。
【0031】
透明樹脂基材21は、導光部材20と同様に、細長い円柱状であるが、これに限られない。透明樹脂基材21の形状は、目的とする導光部材20の形状によって調整すればよい。例えば、導光部材20が角柱状である場合には、透明樹脂基材21も角柱状であり、導光部材20が矩形平板状である場合には、透明樹脂基材21も矩形平板状である。
【0032】
透明樹脂基材21の屈折率は、光の取り出し効率を高める観点からは、例えば、1.4以上である。
【0033】
透明樹脂層22は、透明樹脂基材21の表面に接し、透光性を有する樹脂材料を用いて形成されている。透明樹脂層22の材料については後述する。
図3及び
図4に示されるように、透明樹脂層22は、透明樹脂基材21における、導光部材20の側面20b方向の面上に配置されている。つまり、透明樹脂層22は、透明樹脂基材21の外側に配置されている。このため、透明樹脂層22の透明樹脂基材21とは反対側の面が、導光部材20の側面20bを形成している。なお、透明樹脂層22は、照明装置1の使用目的及び設計に応じて、透明樹脂基材21の一部の表面に配置されていてもよい。例えば、使用時に外部から接触される可能性がある透明樹脂基材21の表面にのみ、透明樹脂層22が配置されてもよい。また、透明樹脂層22は、透明樹脂基材21における、導光部材20の端面20a方向の面にも配置されていてもよい。
【0034】
透明樹脂層22の表面硬度は、透明樹脂基材21の表面硬度よりも高く、鉛筆硬度F以上であり、鉛筆硬度H以上であってもよい。つまり、透明樹脂層22に用いられる樹脂材料には、透明樹脂基材21の表面硬度よりも高い、鉛筆硬度F以上の表面硬度の樹脂材料が用いられる。鉛筆硬度は、JIS K5600に記載の方法により判定される。透明樹脂層22の表面硬度は、鉛筆硬度F以上であることにより、傷がつきにくく、導光部材20の摩耗、及び、それに伴う照明装置1の配光の乱れ等を軽減できる。よって、照明装置1の耐久性が向上する。
【0035】
透明樹脂層22の屈折率は、例えば、透明樹脂基材21の屈折率との差が0.2以下の範囲である。透明樹脂層22の屈折率は、透明樹脂基材21の屈折率との差が0.1以下の範囲であってもよい。透明樹脂層22の屈折率が上述の範囲であることにより、導光部材20が透明樹脂層22を有することによって、配光特性が低下することを抑制できる。
【0036】
透明樹脂層22の厚みは、使用用途及び目的とする導光部材20の可動範囲に応じて任意に設定すればよい。導光部材20の可動範囲を大きくする観点からは、透明樹脂層22の厚みは、例えば、導光部材20の厚み又は径の10分の1以下である。また、導光部材20の機械的強度を高める観点からは、透明樹脂層22の厚みは、例えば、0.1mm以上である。
【0037】
光取り出し構造30は、導光部材20を導光された光を導光部材20から出射させるための構造である。具体的には、光取り出し構造30は、導光部材20の側面20bを構成する透明樹脂層22の外側の面に設けられた複数のプリズムである。
図2から
図4に示されるように、複数のプリズムは、透明樹脂層22の外側の表面、すなわち、側面20bから内側に向かって凹んだ円錐状の凹部である。複数のプリズムは、側面20bの中でそれぞれが対向する位置に2列で配列されている。複数のプリズムの形状は、円錐状に限られず、半球状、円錐台状、角錐状、角錐状台及び角柱状等であってもよい。
【0038】
図3に示されるように、端面20aから導光部材20内に入射した光は、側面20bで全反射を繰り返しながら、導光部材20の内部を導光される。導光部材20内に入射した光は、主に透明樹脂基材21の内部を導光される。導光部材20の内部を導光される光は、光取り出し構造30を構成する複数のプリズムの1つに入射した場合に、プリズムによって反射されて側面20bから出射される。
【0039】
また、複数のプリズムは、光源モジュール10からの距離に応じて、設けられている単位面積当たりの数が異なる。これにより、側面20bからの光の出射量が任意に調整される。
【0040】
具体的には、
図3に示されるように、複数のプリズムは、光源モジュール10から離れるほど、設けられている単位面積当たりの数が多くてもよい。複数のプリズムは、導光距離が長くなる程、密に配置されていてもよい。言い換えると、複数のプリズムは、光源モジュール10に近い領域では単位面積当たりの数が少なく、光源モジュール10から離れた領域である程、単位面積当たりの数が多くてもよい。導光距離が長くなる程、導光部材20内を導光される光の光量が少なくなる。光量の減少の割合に応じてプリズムの数を増やすことにより、導光部材20の側面20bの全体から光を均等に出射させることができる。
【0041】
なお、複数のプリズムは、側面20bの全体に均一に分散配置されていてもよい。また、複数のプリズムは、側面20bにおいてランダムに配置されていてもよい。また、複数のプリズムは、導光部材20のうち、光を取り出したい部分の近傍にのみ設けられていてもよい。
【0042】
複数のプリズムは、例えば、レーザ加工により形成される。具体的には、導光部材20が成形された後、複数のレーザ光を導光部材20の側面20bに照射し、側面20bの一部を溶融させることで複数の凹状のプリズムを形成する。あるいは、複数のプリズムに対応した複数の凸部を有する金型を用いて、複数のプリズムと導光部材20とを一体的に形成してもよい。
【0043】
また、複数のプリズムは、側面20bから透明樹脂層22と透明樹脂基材21とを含む大きさで形成されていてもよい。また、複数のプリズムは、透明樹脂基材21の透明樹脂層22と接する面から内側に向かって凹んだ凹部であってもよい。この場合、透明樹脂基材21の外側の面に複数のプリズムを形成した後に、透明樹脂層22を形成する。
【0044】
複数のプリズムは、透明樹脂層22の外側の表面から外側に向かって突出する凸部であってもよい。例えば、複数のプリズムは、コーティング加工によって形成されてもよい。具体的には、導光部材20が成形された後、インクジェット法により樹脂材料をドット状に塗布することにより、複数のプリズムを形成してもよい。
【0045】
このように、光取り出し構造30は、透明樹脂基材21又は透明樹脂層22の一面に設けられた複数のプリズムである。複数のプリズムは、レーザ加工又はコーティングなどにより均一な形状で容易に形成することができる。このため、光の取り出し量及び取り出し方向などの調整が容易になるので、導光部材20から所望の方向に光を取り出すことができ、所望の光学特性を実現することができる。
【0046】
[導光部材の材料]
続いて、導光部材20が有する透明樹脂基材21及び透明樹脂層22に用いられる材料について説明する。
【0047】
可撓性及び透光性を有する樹脂材料として、シリコーン系樹脂及び軟質アクリル系樹脂等が知られている。シリコーン系樹脂は、可視光の短波長成分の吸収率が高いため、出射される光の色調の変化、及び、光量の低下が生じる。また、軟質アクリル系樹脂は、耐熱性が低く、光源モジュール10からの熱により変形しやすい。そこで、本実施の形態に係る透明樹脂基材21の樹脂材料には、以下のブロック共重合体が用いられる。
【0048】
透明樹脂基材21は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの第1重合体ブロックと、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの第2重合体ブロックとからなるブロック共重合体を主成分として含む。ブロック共重合体の含有量は、例えば、透明樹脂基材21に対して90重量%以上である。
【0049】
ブロック共重合体において、第1重合体ブロックの全重量W1と第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35の範囲である。W1:W2は、40:60から60:40の範囲であってもよく、45:55から55:45の範囲であってもよい。第1重合体ブロックは、耐熱性に寄与する重合体ブロックであり、第2重合体ブロックは柔軟性に寄与する重合体ブロックであるため、W1:W2が当該範囲であることにより、透明樹脂基材21の柔軟性と耐熱性とが両立される。そのため、透明樹脂基材21は、可撓性を有すると共に、透明樹脂基材21の耐久性が向上する。また、このようなブロック共重合体は、透明性に優れる。そのため、透明樹脂基材21に吸収される光が少なく、照明装置1の照明特性を向上させることができる。
【0050】
第1重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックである。芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位の含有量は、第1重合体ブロック全体に対し、例えば、90重量%以上であるが、95重量%以上であってもよく、99重量%以上であってもよい。芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックであってもよく、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックであってもよい。芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックは、主鎖の炭素-炭素不飽和結合及び芳香環の炭素-炭素不飽和結合が水素化された重合体ブロックである。
【0051】
第1重合体ブロック中の芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位以外の成分として、鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位及び/又はその他のエチレン性不飽和化合物由来の繰返し単位が含まれてもよい。芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位以外の成分の含有量は、例えば、第1重合体ブロック全体に対し、10重量%以下であるが、5重量%以下でもよく、1重量%以下でもよい。
【0052】
第2重合体ブロックは、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックである。鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位の含有量は、第2重合体ブロック全体に対し、例えば、90重量%以上であるが、95重量%以上であってもよく、99重量%以上であってもよい。鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックは、鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックであってもよく、鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックであってもよい。鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックは、主鎖及び側鎖の炭素-炭素不飽和結合が水素化された重合体ブロックである。第2重合体ブロック中の鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位以外の成分として、芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位及び/又はその他のエチレン性不飽和化合物由来の繰返し単位が含まれてもよい。鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位以外の成分の含有量は、例えば、第2重合体ブロック全体に対し、10重量%以下であるが、5重量%以下でもよく、1重量%以下でもよい。
【0053】
ブロック共重合体に用いる芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、又は、置換基としてアルキル基、ハロゲン原子若しくはアルコキシ基を有するスチレン誘導体を用いることができる。スチレン誘導体が有する置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。上記アルコシキ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。これらの中でも、例えば、吸湿性を低下させる観点から、芳香族ビニル化合物として、極性基を含有しない、スチレン又は置換基としてアルキル基を有するスチレン誘導体が用いられる。また、例えば、工業的な入手し易さの観点から、芳香族ビニル化合物として、スチレンが用いられる。
【0054】
ブロック共重合体に用いる鎖状共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどの、極性基を含有しないものを用いることができる。これらの中でも、例えば、重合制御性に優れるために透明樹脂基材21の耐熱性の低下を抑制できる観点から、鎖状共役ジエン化合物として、1,3-ブタジエン又はイソプレンが用いられる。
【0055】
その他のエチレン性不飽和化合物としては、鎖状エチレン性不飽和化合物又は環状エチレン性不飽和化合物を用いることができる。これらのエチレン性不飽和化合物は、置換基として、ニトリル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、酸無水物基又はハロゲン基を有してもよい。その他のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、4,6-ジメチル-1-ヘプテン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0056】
ブロック共重合体が、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物及び鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を含む場合、それぞれの水素化率は、例えば、90%以上であり、97%以上であってもよく、99%以上であってもよい。上記水素化率が高いほど、透明樹脂基材21の耐熱性及び耐候性が向上する。上記水素化率は、ブロック共重合体の1H-NMR測定データから求めることができる。
【0057】
ブロック共重合体中の第1重合体ブロックの数は、例えば、4個以下であり、3個以下であってもよく、2個であってもよい。また、第2重合体ブロックの数は、例えば、3個以下であり、2個以下であってもよく、1個であってもよい。
【0058】
ブロック共重合体のブロックの形態は、例えば、第1重合体ブロックと第2重合体ブロックとが交互に直鎖状に並ぶ、鎖状型ブロックである。鎖状型ブロックのブロック共重合体としては、例えば、第1重合体ブロック、第2重合体ブロック及び第1重合体がこの順で並ぶトリブロック共重合体である。
【0059】
ブロック共重合体の荷重たわみ温度は、例えば、70℃以上160℃以下であり、750℃以上130℃以下であってもよい。本明細書における荷重たわみ温度は、JIS K7191-1に記載の方法により、曲げ応力0.45MPaの条件で測定された値である。
【0060】
ブロック共重合体は、例えば、上述の芳香族ビニル化合物、鎖状共役ジエン化合物、及び、必要に応じてその他のエチレン性不飽和化合物を用いて、リビングアニオン重合を行う等の公知の方法で製造される。また、上述のリビングアニオン重合が完結した重合体を水素化することで、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物及び鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を含むブロック共重合体が製造される。水素化には、例えば、リビングアニオン重合が完了した反応溶液に水添触媒を添加し、水素ガスを加圧して加熱することにより水素化する等の公知の方法を用いることができる。
【0061】
透明樹脂基材21には、透明樹脂基材21の可撓性、光透過性及び耐候性等を損なわない範囲でブロック共重合体以外の樹脂材料が含まれていてもよい。透明樹脂基材21に他の樹脂材料が含まれる場合、透明性を高める観点から、他の樹脂材料は、ブロック共重合体と相溶性の高い樹脂材料であるとよい。
【0062】
透明樹脂層22は、透光性を有し、表面硬度が鉛筆硬度F以上になる樹脂材料で構成されればよく、例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、鎖状オレフィン系重合体、脂環式構造含有重合体及びビニル系芳香族重合体等で構成される。これらは、単独で用いられてもよく、複数を組み合わせて用いられてもよい。透明樹脂層22としては、透明性の観点から、非結晶性の樹脂材料で構成されるとよいが、ポリプロピレン系樹脂などの結晶性の樹脂材料に透明化核剤が添加された樹脂材料で構成されてもよい。
【0063】
低吸湿性、光透過性及び耐熱性に優れる観点から、透明樹脂層22は、例えば、脂環式構造含有重合体を主成分として含む。脂環式構造含有重合体の含有量は、例えば、透明樹脂層22に対して90%重量以上である。また、透明樹脂層22が脂環式構造含有重合体を主成分として含むことにより、脂環式構造含有重合体の極性が低いため、透明樹脂層22と透明樹脂基材21との接着性が向上する。また、透明樹脂層22が脂環式構造含有重合体を含む場合、上述のブロック共重合体が、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物及び鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を含むことで、透明樹脂基材21と透明樹脂層22との接着性がより向上する。
【0064】
脂環式構造含有重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの重合体の水素化物などが用いられる。これらの中でも、例えば、耐熱性及び機械的強度が高い観点から、脂環式構造含有重合体として、環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体及びこれらの重合体の水素化物が用いられる。これらの重合体は、市販の重合体、又は、公知の方法により製造された重合体を用いることができる。
【0065】
環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの付加重合体が挙げられる。
【0066】
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2-付加重合又は1,4-共役付加重合した重合体及びその水素化物が挙げられる。
【0067】
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル基と脂環構造を有する化合物の重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族単量体の重合体の水素化物、ビニル芳香族単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体の水素化物などが挙げられる。
【0068】
脂環式構造含有重合体のガラス転移温度は、例えば、100℃以上200℃以下であり、120℃以上160℃以下であってもよい。
【0069】
透明樹脂基材21及び透明樹脂層22は、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤及び滑剤等を含んでいてもよい。これらは、組み合わせて使用されてもよい。例えば、透明樹脂基材21及び透明樹脂層22が酸化防止剤、光安定剤及び紫外線吸収剤を含むことで、導光部材20の劣化が抑制され、耐久性が向上する。
【0070】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。これらは、単独で使用されてもよいが、組み合わせて使用されることで、相乗効果を発揮し、より導光部材20の劣化が抑制されやすい。
【0071】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤及びヒンダードアミンエーテル系光安定剤等が挙げられる。
【0072】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外光吸収剤、サリチル酸系紫外光吸収剤、及び、ベンゾトリアゾール系紫外光吸収剤等が挙げられる。
【0073】
導光部材20は、例えば、透明樹脂基材21の材料と透明樹脂層22の材料との共押出成形品である。導光部材20が共押出成形品であることで、簡易に透明樹脂基材21と透明樹脂層22との複合材料が形成されると共に、透明樹脂基材21と透明樹脂層22との接着性が高められる。よって、透明樹脂層22と透明樹脂基材21とが剥離しにくくなり、照明装置1の耐久性が向上する。
【0074】
共押出成形品は、透明樹脂基材21の材料と透明樹脂層22の材料とを同時に押出し、賦形することで、一体化された複合材料にする等の公知の共押出成形方法によって製造される。透明樹脂基材21及び/又は透明樹脂層22に複数種の材料を用いる場合には、複数種の材料を混合した混合物を押出てもよいし、熱分解しやすい材料をサイドフィーダなどから別で添加して押出てもよい。
【0075】
また、透明樹脂基材21及び/又は透明樹脂層22の樹脂材料は、過酸化物及びエチレン性不飽和化合物と混合して押出すことにより、透明樹脂基材21及び/又は透明樹脂層22の樹脂材料の主鎖及び/又は側鎖に、エチレン性不飽和化合物を導入されてもよい。
【0076】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明装置1は、光源モジュール10と、光源モジュール10から発せられた光を導光する導光部材20と、を備える。導光部材20には、光を導光部材20から出射させるための光取り出し構造30が設けられている。導光部材20は、可撓性を有する透明樹脂基材21と、透明樹脂基材21の表面に接する透明樹脂層22とを有する。透明樹脂基材21は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの第1重合体ブロックと、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの第2重合体ブロックとからなるブロック共重合体を主成分として含む。ブロック共重合体において、第1重合体ブロックの全重量W1と第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35の範囲である。透明樹脂層22の表面硬度は、鉛筆硬度F以上である。
【0077】
これにより、光源モジュール10から出射された光が、導光部材20の内部を導光され、光取り出し構造30により導光部材20から出射される。導光部材20は、可撓性を有する透明樹脂基材21を含むため、使用用途に合わせて形状を変更できる。また、表面硬度が鉛筆硬度F以上の透明樹脂層22が透明樹脂基材21に接して配置されるため、可撓性を有するために柔らかい透明樹脂基材21が摩耗等から保護される。また、透明樹脂基材21が透明性及び耐熱性が高い上記ブロック共重合体を含むため、導光部材20からの光の出射強度の低下が抑制されると同時に、光源モジュール10の熱による導光部材20の変形等が抑制される。
【0078】
よって、本実施の形態によれば、所望の照明特性を実現し、かつ、耐久性の高い、フレキシブル性を有する導光方式の照明装置1を実現することができる。
【0079】
また、透明樹脂層22は、脂環式構造含有重合体を主成分として含んでいてもよい。これにより、脂環式構造含有重合体の極性が低いため、透明樹脂層22と透明樹脂基材21との接着性が向上する。照明装置1は、導光部材20が透明樹脂層22と透明樹脂基材21とを有するため、透明樹脂層22と透明樹脂基材21とが剥離する可能性がある。特に、導光部材20を曲げて使用する場合には、透明樹脂層22と透明樹脂基材21とが剥離する可能性が高まる。そのため、透明樹脂層22と透明樹脂基材21との接着性が向上することにより、透明樹脂層22と透明樹脂基材21とが剥離しにくくなり、照明装置1の耐久性が向上する。
【0080】
(変形例)
以下では、実施の形態の変形例について、
図5及び
図6を用いて説明する。
【0081】
図5は、本変形例に係る照明装置101の概略構成を示す斜視図である。
図6は、本変形例に係る照明装置101の概略構成を示す断面図である。
図5及び
図6に示されるように、照明装置101は、実施の形態に係る照明装置1と比較して、導光部材20の代わりに導光部材120を備える点が相違する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0082】
図5及び
図6に示されるように、本変形例に係る照明装置101は、光源モジュール10と導光部材120とを備える。導光部材120には、光を導光部材120から出射させるための光取り出し構造30が設けられている。
【0083】
光源モジュール10は、導光部材120の端面120aに向けて光を出射する。基板11は、端面120aに対向して平行な姿勢で配置されている。基板11は、端面120aが所定方向に延びる長尺形状を有するのに応じて、端面120aが延びる方向に長尺な形状を有する。発光素子12は、基板11が延びる方向に沿って一列に並んで複数配置される。発光素子12は、複数列に並んで、各列に複数配置されていてもよい。
【0084】
導光部材120は、所望の形状に曲げることが可能な柔軟性の矩形平板状の部材である。導光部材120は、端面120aと、端面120aから垂直に立設する2つの主面である第1側面120b及び第2側面120cとを備える。端面120aは発光素子12から発せられた光が入射する光入射面である。また、第1側面120bは、導光部材120を導光された光が取り出される光取り出し面、すなわち、光出射面である。また、第2側面120cは、第1側面120bに対向する面である。第2側面120cには、光取り出し構造30が設けられている。
【0085】
導光部材120は、透明樹脂基材121と透明樹脂層122とを有する。透明樹脂基材121及び透明樹脂層122に用いられる材料については、実施の形態に係る透明樹脂基材21及び透明樹脂層22と同じであるため、説明は省略する。
【0086】
透明樹脂基材121は、導光部材120と同様に、矩形平板状である。また、透明樹脂層122は、導光部材120の第1側面120b方向の面上に配置されている。このため、透明樹脂層122の透明樹脂基材121とは反対側の面が導光部材120の第1側面120bを形成している。また、透明樹脂層122は、導光部材120の第1側面120b方向の面上にのみ配置されているため、透明樹脂基材121の透明樹脂層122とは反対側の面が、導光部材120の第2側面120cを形成している。
【0087】
光取り出し構造30は、導光部材120に設けられている。具体的には、光取り出し構造30は、導光部材120の第2側面120cを構成する透明樹脂基材121の透明樹脂層122とは反対側の面、すなわち、導光部材120の第2側面120cに設けられた複数のプリズムである。複数のプリズムは、第2側面120cから透明樹脂層122に向かって凹むように設けられている。複数のプリズムは、例えば、第2側面120cにおいて行列状に規則的に配置されていてもよい。
【0088】
図6に示されるように、端面120aから導光部材120内に入射した光は、第1側面120bと第2側面120cとで全反射を繰り返しながら、導光部材120の内部を導光される。導光部材120の内部を導光される光は、光取り出し構造30を構成する複数のプリズムの1つに入射した場合に、プリズムによって反射されて第1側面120bから出射される。
【0089】
また、図示されていないが、照明装置101は、第2側面120cに沿って設けられた反射部材を備えていてもよい。反射部材は、例えば、白色の樹脂カバー、又は、金属製のカバーである。反射部材が設けられることで、第2側面120cから漏れ出る光を抑えることができる。これにより、光出射面である第1側面120bから出射される光の量を増やすことができるので、照明装置101の光の取り出し効率を高めることができる。
【0090】
このように、本実施の形態に係る照明装置の導光部材の形状は、照明装置1の導光部材20のような細長い円柱状であってもよく、照明装置101の導光部材120のような矩形平板状であってもよい。
【0091】
(その他)
以上、本発明に係る照明装置について、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0092】
例えば、上記実施の形態では、導光部材20は、例えば、透明樹脂基材21の材料と透明樹脂層22の材料との共押出成形品であったが、これに限らない。導光部材20は、透明樹脂基材21を押出成形等で形成した後に、液状にした透明樹脂層22の材料を塗布し、固化させることで形成されてもよい。また、導光部材20は、別々に成形した透明樹脂基材21と透明樹脂層22とを接合することで形成されてもよい。
【0093】
また、例えば、上記実施の形態では、光取り出し構造30は、導光部材20に設けられた複数のプリズムであったが、これに限らない。光取り出し構造30は、光を反射させる光散乱粒子が導光部材20内又は導光部材20の任意の面に配置された構造であってもよい。
【0094】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1、101 照明装置
10 光源モジュール
20、120 導光部材
21、121 透明樹脂基材
22、122 透明樹脂層
30 光取り出し構造