(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】点灯装置、及び照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/30 20200101AFI20230303BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
H05B45/30
H02M3/155 H
(21)【出願番号】P 2019120589
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 暁
(72)【発明者】
【氏名】林 洋平
(72)【発明者】
【氏名】平山 克利
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 将人
(72)【発明者】
【氏名】上畑 義泰
(72)【発明者】
【氏名】滝北 久也
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 和宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 真史
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-103001(JP,A)
【文献】特開2018-098104(JP,A)
【文献】特開2013-109921(JP,A)
【文献】特開2015-216044(JP,A)
【文献】特開2011-233260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を入力されて交流電力を直流電力に変換し、直流電圧を光源に出力する電源回路と、
前記光源に直列接続されて、前記光源に流れる負荷電流を調整する電流可変回路と、
前記電流可変回路に生じるフィードバック電圧と所定の目標電圧との差分に応じた電流を誤差電流として出力する誤差検出部と、
前記誤差電流が流れる補償抵抗と補償コンデンサとの直列回路を有するゲイン設定回路と、
前記直列回路に生じる電圧に応じて前記電源回路を制御して、前記直流電圧をフィードバック制御する電圧制御部と、を備え、
前記補償コンデンサの容量をα、前記補償抵抗の抵抗値をβ、前記誤差電流の最大値をImとした場合に、
前記補償コンデンサの容量αと前記誤差電流の最大値Imとの比率は、前記光源の全調光範囲に亘って前記交流電圧の周期と前記フィードバック電圧の周期とが一致するように設定され、
かつ、
1/(2・π・α・β)は、前記交流電圧の周波数の2倍値に一致する
点灯装置。
【請求項2】
前記補償コンデンサの容量αと前記誤差電流の最大値Imとの比率はIm/αであり、前記比率は所定の閾値未満に設定されている
請求項1の点灯装置。
【請求項3】
前記閾値は20である
請求項2の点灯装置。
【請求項4】
前記ゲイン設定回路は、前記補償抵抗と前記補償コンデンサとの直列回路に並列接続された別の補償コンデンサをさらに有する
請求項1乃至3のいずれか一つの点灯装置。
【請求項5】
前記電源回路は、スイッチング素子を有し、
前記電圧制御部は、前記交流電力の力率を改善する力率改善回路及び前記交流電力を前記直流電力に変換する電力変換回路として前記電源回路が機能するように、前記スイッチング素子をスイッチング制御する
請求項1乃至4のいずれか一つの点灯装置。
【請求項6】
前記電源回路は、SEPIC回路を備える
請求項5の点灯装置。
【請求項7】
前記電流可変回路は、
前記負荷電流が流れるトランジスタと検出抵抗との直列回路と、
前記検出抵抗の両端電圧が基準電圧に一致するように前記トランジスタを制御して前記負荷電流を調節する電流制御部と、備える
請求項1乃至6のいずれか一項の点灯装置。
【請求項8】
前記フィードバック電圧は、前記トランジスタと前記検出抵抗との直列回路の両端電圧である
請求項7の点灯装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項の点灯装置と、前記点灯装置から直流電力を供給される光源と、前記点灯装置及び前記光源の少なくとも一方を支持する器具本体とを備える
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置、及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の照明装置は電源ユニットを備え、電源ユニットは、交流電圧を入力されて、直流電圧を光源に出力する。電源ユニットの主回路は、SEPIC(Single Ended Primary Inductor Converter)回路であり、力率改善回路の機能とDC/DCコンバータ回路の機能を備えた1コンバータ方式の電源変換回路で構成される。電源ユニットの制御部は、光源に直列に接続されている検出抵抗を通じて検出される検出電圧に基づいて、主回路のスイッチング素子のスイッチング動作をフィードバック制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のような電源ユニット(点灯装置)では、力率を改善するためにフィードバック制御のフィードバックゲインを低い値に抑える必要がある。しかしながら、フィードバックゲインを低い値に抑えると、起動直後に光源の光がちらつくことがある。
【0005】
本開示の目的とするところは、フィードバック制御を行って、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる点灯装置、及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る点灯装置は、電源回路と、電流可変回路と、誤差検出部と、ゲイン設定回路と、電圧制御部と、を備える。前記電源回路は、交流電圧を入力されて交流電力を直流電力に変換し、直流電圧を光源に出力する。前記電流可変回路は、前記光源に直列接続されて、前記光源に流れる負荷電流を調整する。前記誤差検出部は、前記電流可変回路に生じるフィードバック電圧と所定の目標電圧との差分に応じた電流を誤差電流として出力する。前記ゲイン設定回路は、前記誤差電流が流れる補償抵抗と補償コンデンサとの直列回路を有する。前記電圧制御部は、前記直列回路に生じる電圧に応じて前記電源回路を制御して、前記直流電圧をフィードバック制御する。前記補償コンデンサの容量をα、前記補償抵抗の抵抗値をβ、前記誤差電流の最大値をImとした場合に、前記補償コンデンサの容量αと前記誤差電流の最大値Imとの比率は、前記光源の全調光範囲に亘って前記交流電圧の周期と前記フィードバック電圧の周期とが一致するように設定される。かつ、1/(2・π・α・β)は、前記交流電圧の周波数の2倍値に一致する。
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、上述の点灯装置と、前記点灯装置から直流電力を供給される光源と、前記点灯装置及び前記光源の少なくとも一方を支持する器具本体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本開示では、フィードバック制御を行って、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る点灯装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、比較例の点灯装置を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、比較例の各部の波形を示す図である。
【
図4】
図4Aは、実施形態に係る点灯装置において非発振時の各部の波形を示す図である。
図4Bは、発振時の各部の波形を示す図である。
【
図5】
図5は、同上の点灯装置の動作を説明するための図である。
【
図6】
図6は、同上の点灯装置の別の動作を説明するための図である。
【
図7】
図7は、同上の点灯装置のOK領域における各部の波形を示す図である。
【
図8】
図8は、同上の点灯装置のNG領域における各部の波形を示す図である。
【
図9】
図9は、同上の点灯装置のNG領域における各部の別の波形を示す図である。
【
図10】
図10は、同上の点灯装置のOK領域における各部の別の波形を示す図である。
【
図11】
図11は、同上の点灯装置の変形例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、同上の点灯装置のフィードバックゲイン特性を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る照明器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態は、一般に、点灯装置、および照明器具に関する。より詳細には、以下の実施形態は、交流電力を入力されて、直流電力を光源に供給する点灯装置、および照明器具に関する。
【0011】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(1)基本構成
図1は、本実施形態の点灯装置1の回路構成を示す。
【0013】
点灯装置1は、電源回路11と、電流可変回路12と、制御回路13と、ゲイン設定回路14とを、主構成として備える。
【0014】
電源回路11の入力端は、交流電源9に電気的に接続している。交流電源9は、100V系又は200V系の商用電力系統である。電源回路11は、交流電源9から交流電力を供給され、交流電力を電力変換して直流電力を生成し、生成した直流電力を光源2へ供給する。交流電源9の電圧は交流電圧Viであり、交流電圧Viが電源回路11に入力され、交流電源9から電源回路11には交流電流Iiが供給される。
【0015】
電源回路11は、昇降圧機能及び昇圧機能のいずれかを有するワンコンバータ(又はシングルステージコンバータ)のスイッチング電源回路である。ワンコンバータでは、交流電力の力率を改善する力率改善回路と、交流電力を直流電力に変換する電力変換回路とが一体に構成されており、部品点数の低減、及び高効率化を図っている。すなわち、電源回路11は、力率改善回路、及び電力変換回路として機能することができる。電源回路11が昇降圧機能を有する場合、電源回路11は、SEPIC(Single Ended Primary Inductor Converter)回路、CUK回路、及びZETA回路のいずれかの構成を備えることが好ましい。
【0016】
図1の電源回路11は、整流回路111、及びコンバータ112を備えており、コンバータ112は、SEPIC回路を構成している。
【0017】
整流回路111は、フルブリッジ接続された4個のダイオードを有するダイオードブリッジ11a、及びコンデンサ11bを備える。コンデンサ11bは、ダイオードブリッジ11aの出力端間に接続される。ダイオードブリッジ11aは、交流電源9から入力された交流電圧Viを全波整流し、コンデンサ11bの両端間には直流の脈流電圧が生成される。整流回路111が出力する脈流電圧は、コンバータ112に入力される。コンデンサ11bの負極がグランドに接続されており、コンデンサ11bの負極の電位がグランド電位になる。
【0018】
コンバータ112は、整流回路111から脈流電圧を入力されて、直流の出力電圧Voを出力する。コンバータ112は、制御回路13によって制御される。
【0019】
具体的に、コンバータ112は、インダクタ11c,11i、コンデンサ11d、ダイオード11e、出力コンデンサ11f、スイッチング素子11g、及び抵抗11hを備えて、SEPIC回路を構成する。インダクタ11cとインダクタ11iとは、同じ鉄心に巻き回されていてもよいし、それぞれ別の鉄心に巻き回されていてもよい。コンデンサ11bの正極(脈流電圧の高電位)と負極(脈流電圧の負電位)との間には、正極からインダクタ11c、コンデンサ11d、ダイオード11e、出力コンデンサ11fを順に接続した直列回路が接続されている。インダクタ11cとコンデンサ11dとの接続点とコンデンサ11bの負極との間には、スイッチング素子11gと抵抗11hとの直列回路が接続されている。
図1のスイッチング素子11gは、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子11gのドレインは、インダクタ11cとコンデンサ11dとの接続点に接続され、スイッチング素子11gのソースは抵抗11hの一端に接続される。抵抗11hの他端は、コンデンサ11bの負極に接続される。なお、スイッチング素子11gは、MOSFET以外に、例えばバイポーラトランジスタなどの他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0020】
コンデンサ11dとダイオード11eとの接続点とコンデンサ11bの負極との間には、インダクタ11iが接続されている。そして、出力コンデンサ11fの両端電圧が出力電圧Voになる。なお、ダイオード11eのアノードはコンデンサ11dに接続され、ダイオード11eのカソードは出力コンデンサ11fの正極(出力電圧Voの高電位)に接続されている。
【0021】
そして、スイッチング素子11gがオンすると、コンデンサ11bの正極、インダクタ11c、スイッチング素子11g、抵抗11h、コンデンサ11bの負極の順序で電流が流れて、インダクタ11cにエネルギー(磁気エネルギー)が蓄積される。また、スイッチング素子11gがオンすると、コンデンサ11d、スイッチング素子11g、抵抗11h、インダクタ11i、コンデンサ11dの順序で電流が流れて、インダクタ11iにエネルギー(磁気エネルギー)が蓄積される。
【0022】
次に、スイッチング素子11gがオフすると、インダクタ11c及びインダクタ11iに蓄積されているエネルギーによって、出力コンデンサ11fが充電される。また、スイッチング素子11gがオフすると、インダクタ11cを通じて脈流電圧によってコンデンサ11dが充電される。
【0023】
そして、スイッチング素子11gがオンオフすることによって、脈流電圧を入力とする昇降圧動作が行われ、出力コンデンサ11fの両端間に直流の出力電圧Voが発生する。電源回路11は、出力電圧Voを出力する。
【0024】
電源回路11の出力端間(出力コンデンサ11fの両端間)には、光源2と電流可変回路12との直列回路が接続されている。光源2と電流可変回路12との直列回路には、出力電圧Voが印加される。光源2に流れる負荷電流Ioは、電流可変回路12によって制御される。電流可変回路12は、負荷電流Ioを制御することで光源2の光出力を調整し、光源2の点灯、消灯、及び調光を行うことができる。
【0025】
光源2は、固体発光素子としてLED(Light Emitting Diode)を用いており、直列接続された複数のLEDを備える。隣り合う一対のLEDでは、一方のLEDのカソードが、他方のLEDのアノードに接続している。光源2は、高電位側をアノード側とし、低電位側をカソード側とする。この場合、光源2のアノード側は、出力コンデンサ11fの正極に接続している。光源2のカソード側は、電流可変回路12に接続している。
【0026】
電流可変回路12は、FET121(トランジスタ)と、電流制御部122とを備える。
【0027】
FET121は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETであり、FET121のドレインは、光源2のカソード側に接続している。なお、FET121の代わりに、例えばバイポーラトランジスタなどの他のトランジスタを用いてもよい。
【0028】
電流制御部122は、オペアンプ12aと、抵抗12b,12cと、検出抵抗12dとを備える。FET121のソースは、検出抵抗12dの一端に接続している。検出抵抗12dの他端は、出力コンデンサ11fの負極に接続している。すなわち、電源回路11の出力端間には、光源2とFET121と検出抵抗12dとの直列回路が接続している。
【0029】
抵抗12bの一端は、FET121のソースに接続し、抵抗12bの他端は、オペアンプ12aの-側入力端子に接続している。すなわち、FET121のソースと検出抵抗12dとの接続点は、抵抗12bを介してオペアンプ12aの-側入力端子に接続している。また、オペアンプ12aの+側入力端子には、制御回路13から基準電圧Vr2が入力される。また、オペアンプ12aの出力端子と-側入力端子との間には、抵抗12cが接続されている。さらに、オペアンプ12aの出力端子は、FET121のゲートに接続している。そして、電流制御部122は、FET121のゲート電圧を制御することで、FET121と検出抵抗12dとの直列回路に流れる負荷電流Ioを調節できる。
【0030】
本実施形態では、FET121と検出抵抗12dとの直列回路の両端電圧(FET121のドレインと出力コンデンサ11fの負極との間の電圧)をフィードバック電圧Vbとする。このフィードバック電圧Vbは、FET121の両端電圧(ドレイン-ソース間電圧)を含む。本実施形態では、フィードバック電圧Vbは、FET121と検出抵抗12dとの直列回路の両端電圧である。フィードバック電圧Vbは、制御回路13の入力ポートP3に入力される。入力ポートP3には、例えば制御回路13のFB(Feedback)ポートを用いることができる。
【0031】
図1の制御回路13は、誤差検出部131、及び電圧制御部132を備える。誤差検出部131は、電流源に相当し、例えば電流出力のエラーアンプなどのハードウェアで構成される。電圧制御部132は、SEPIC回路の制御ICで構成される。また、電圧制御部132は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータなどのコンピュータを有していてもよい。この場合、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが電圧制御部132として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、電圧制御部132は、ディスクリート部品を組み合わせて構成されてもよい。
【0032】
制御回路13の設定ポートP4には、誤差検出部131のゲイン(フィードバックゲイン)を設定するためのゲイン設定回路14が接続される。ゲイン設定回路14は、位相補償用の抵抗である補償抵抗R1と、位相補償用のコンデンサである補償コンデンサC1との直列回路を、RC直列回路140として有する。設定ポートP4には、例えば制御回路13のcomp(phase compensation)ポートを用いることができる。フィードバックゲインは、フィードバック系のゲインに相当する。
【0033】
そして、制御回路13は、電源回路11が、交流電源9から供給される交流電力の力率を改善する力率改善回路、及び交流電力を直流電力に変換する電力変換回路として機能するように、スイッチング素子11gをスイッチング制御する。すなわち、制御回路13は、電源回路11を制御することで、出力電圧Voを制御することができる。さらに、制御回路13は、基準電圧Vr2を生成し、DCポートP2から基準電圧Vr2を電流制御部122へ出力する。すなわち、制御回路13は、基準電圧Vr2の値を調整することで、負荷電流Ioを制御することができる。
【0034】
なお、光源2は、LEDに限らず、有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)、または半導体レーザ(Laser Diode、LD)などの他の固体発光素子を有していてもよい。
【0035】
(2)電流制御
以下、負荷電流Ioの制御について説明する。
【0036】
電流可変回路12のオペアンプ12aの+側入力端子には基準電圧Vr2が入力されている。そして、オペアンプ12aは、イマジナリショート(Imaginary Short)の作用によって、オペアンプ12aの-側入力端子の電位が基準電圧Vr2に等しくなるように出力電圧を調整する。つまり、負荷電流Ioによって生じる検出抵抗12dの両端電圧が基準電圧Vr2に等しくなるように、オペアンプ12aは出力電圧を調整する。
【0037】
そして、オペアンプ12aの出力電圧はFET121のゲートに印加されるため、基準電圧Vr2によってFET121のゲート電圧(ゲート-ソース間電圧)が決まる。電流制御部122は、FET121のゲート電圧を調整することで、負荷電流Io(FET121のドレイン電流)を制御することができる。したがって、制御回路13が、外部からの指示信号などに応じた基準電圧Vr2を設定することで、光源2の光出力が制御される。
【0038】
(3)電圧制御
以下、出力電圧Voのフィードバック制御について説明する。
【0039】
誤差検出部131は、入力ポートP3を介してフィードバック電圧Vbを受け取る。そして、誤差検出部131は、フィードバック電圧Vbから目標電圧Vr1を差し引いた差分電圧に応じた大きさの電流を誤差電流Ieとして出力する。誤差検出部131は、フィードバック電圧Vbと目標電圧Vr1との大小関係に応じて、誤差電流Ieを吐き出すソース(source)動作、及び誤差電流Ieを引き込むシンク(sink)動作を切り換える。誤差検出部131は、フィードバック電圧Vbが目標電圧Vr1より大きければ、ソース動作及びシンク動作の一方を行い、フィードバック電圧Vbが目標電圧Vr1より小さければ、ソース動作及びシンク動作の他方を行う。また、誤差検出部131は、差分電圧の絶対値が大きいほど、誤差電流Ieの絶対値を大きくすることが好ましく、例えば誤差電流Ieの絶対値は差分電圧の絶対値に比例する。
【0040】
誤差検出部131の出力端は、設定ポートP4及びゲイン設定回路14を介してグランドに接続している。誤差電流Ieは、設定ポートP4を介してゲイン設定回路14に供給され、RC直列回路140を通ってグランドに流れ込む。誤差検出部131がソース動作を行えば補償コンデンサC1は補償抵抗R1を介して充電され、RC直列回路140の両端電圧は増加する。誤差検出部131がシンク動作を行えば、補償コンデンサC1は補償抵抗R1を介して放電され、RC直列回路140の両端電圧は低下する。RC直列回路140の両端電圧は、誤差信号Y1として電圧制御部132に入力される。
【0041】
電圧制御部132は、誤差信号Y1を受け取り、誤差信号Y1に基づいて駆動信号Y2を生成し、駆動信号Y2を出力ポートP1からスイッチング素子11gのゲートへ出力する。駆動信号Y2は、スイッチング素子11gをスイッチング制御するための電圧信号である。駆動信号Y2の電圧値がH(High)レベルであれば、スイッチング素子11gはオンし、駆動信号Y2の電圧値がL(Low)レベルであれば、スイッチング素子11gはオフする。
【0042】
電圧制御部132は、スイッチング素子11gを繰り返しオンオフさせるスイッチング制御を駆動信号Y2によって行うことで、電源回路11を力率改善回路及び電力変換回路として機能させる。具体的に、電圧制御部132は、スイッチング素子11gを一定の周期毎にターンオンさせ、誤差信号Y1に基づいてオン期間を調整することで、出力電圧Voを制御する。電圧制御部132は、誤差信号Y1に基づいて、フィードバック電圧Vbが目標電圧Vr1に一致するように(差分電圧が0(ゼロ)になるように)、スイッチング素子11gのオン期間を調整して、出力電圧Voをフィードバック制御する。目標電圧Vr1は、光源2を点灯可能、かつ、できるだけ低い値に設定されることが好ましく、光源2の順方向電圧Vfの最大値に一定値(例えば2~3V程度)を加算した値になる。したがって、FET121のドレイン-ソース間電圧は、目標電圧Vr1から検出抵抗12dでの電圧降下を引いた値に維持され、FET121の電力損失を抑制することができる。
【0043】
なお、制御回路13は、抵抗11hの両端電圧を監視し、抵抗11hの両端電圧が上限値を上回れば、スイッチング素子11gのドレイン電流が過大になる過電流異常を検出することが好ましい。制御回路13は、過電流異常を検出すると、例えばスイッチング素子11gのスイッチング制御を停止して、スイッチング素子11gをオフ状態に維持する。
【0044】
(4)比較例
図2は、比較例の点灯装置10の回路構成を示す。
【0045】
図2の点灯装置10は、
図1の点灯装置1のゲイン設定回路14の代わりにゲイン設定回路15を備える。なお、
図1の点灯装置1と同様の構成には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0046】
ゲイン設定回路15では、設定ポートP4とグランドとの間に補償コンデンサC10が接続されている。誤差電流Ieは、補償コンデンサC10を流れる。誤差検出部131がソース動作を行えば補償コンデンサC10は充電され、補償コンデンサC10の両端電圧は増加する。誤差検出部131がシンク動作を行えば、補償コンデンサC10は放電され、補償コンデンサC10の両端電圧は低下する。補償コンデンサC10の両端電圧は、誤差信号Y10として電圧制御部132に入力される。
【0047】
電圧制御部132は、誤差信号Y10を受け取り、誤差信号Y10に基づいて駆動信号Y20を生成し、駆動信号Y20をスイッチング素子11gのゲートへ出力する。電圧制御部132は、スイッチング素子11gを繰り返しオンオフさせるスイッチング制御を駆動信号Y20によって行うことで、電源回路11を力率改善回路及び電力変換回路として機能させる。具体的に、電圧制御部132は、スイッチング素子11gを一定の周期毎にターンオンさせ、誤差信号Y10に基づいてオン期間を調整することで、出力電圧Voを制御する。
【0048】
このように、フィードバック電圧Vbに基づいてスイッチング素子11gのオン幅を調整する出力電圧Voのフィードバック制御において、電源回路11を力率改善回路として機能させるためには、誤差検出部131のゲインを比較的低く抑えたい。しかし、誤差検出部131のゲインを低くするほど、フィードバック制御の応答速度が遅くなる。この結果、出力電圧Voのフィードバック制御(スイッチング素子11gのオン幅の制御)がコンバータ112の入力の変化に追従し難くなり、光源2の光がちらつくことがある。この光源2の光のちらつきは、点灯装置10の起動直後に発生しやすく、コンバータ112の入力電圧が比較的低いときに顕著になる。
【0049】
図3は、上段から順に、比較例の点灯装置10における交流電圧Vi、駆動信号Y20、フィードバック電圧Vb、及び負荷電流Ioの各波形を示す。
【0050】
交流電源9が投入された(時間t1)後、電圧制御部132が起動して駆動信号Y20の出力を開始すると(時間t2)、スイッチング素子11gがオンオフして、出力電圧Voが0(ゼロ)から増加し、フィードバック電圧Vbも0から増加する。しかし、誤差検出部131のゲインが低すぎるために、起動直後の出力電圧Voのフィードバック制御は不安定になり、フィードバック電圧Vbは、目標電圧Vr1に振動しながら徐々に近付く(減衰)。このとき、フィードバック電圧Vbが電流可変回路12の制御限界である限界値Va1未満にまで低下すると(時間t3~t4)、負荷電流Ioが一瞬落ち込み、光源2の光量も一瞬低下して、光源2の光がちらついてしまう。限界値Va1は、FET121のオン抵抗と負荷電流Ioとの乗算値である。
【0051】
そこで、光源2の光のちらつきを改善するために、補償コンデンサC10の容量を小さくして、フィードバック制御の応答速度を速くすることが考えられる。しかし、補償コンデンサC10の容量を小さくし過ぎると、交流電源9の周波数(商用周波数:50Hz又は60Hz)において、誤差信号Y10が発振しやすくなる。すなわち、商用周波数において、フィードバック(フィードバック系)が発振しやすくなる。この結果、交流電流Iiの波形が歪み、力率が低下することがある。
【0052】
(5)本実施形態におけるゲイン設定
そこで、本実施形態では、以下のようにフィードバックゲインを設定する。
【0053】
ゲイン設定回路14は、補償抵抗R1と補償コンデンサC1との直列回路を、RC直列回路140として備える。そして、補償コンデンサC1の容量をα、補償抵抗R1の抵抗値をβ、誤差電流Ieの最大値をImとした場合に、α、β、及びImは、以下の条件(1)、及び条件(2)を満たす。なお、誤差電流Ieの最大値Imは、誤差検出部131のソース動作及びシンク動作における誤差電流Ieの絶対値の最大値である。
【0054】
条件(1):αとImとの比率は、光源2の全調光範囲に亘って交流電圧Viの周期とフィードバック電圧Vbの周期とが一致するように設定される。なお、「交流電圧Viの周期とフィードバック電圧Vbの周期とが一致する」とは、点灯装置1に供給される交流電力の力率が所定値(例えば0.85以上)以上に維持される程度に、交流電圧Viの周期とフィードバック電圧Vbの周期とが重なっていることを意味する。
【0055】
条件(2):フィードバック系の零点に対応する1/(2・π・α・β)は、交流電圧Viの周波数(商用周波数)の2倍値に一致する。なお、「1/(2・π・α・β)は、交流電圧Viの周波数(商用周波数)の2倍値に一致する」とは、1/(2・π・α・β)が、商用周波数の2倍値に完全に一致するだけでなく、商用周波数の2倍値を基準として設定された所定範囲内に収まっていることも含む。すなわち、1/(2・π・α・β)は、光源2の光のちらつきを抑制できる程度に、商用周波数の2倍値を基準として設定された所定範囲内に収まっていればよい。
【0056】
条件(1)は、全調光範囲に亘って商用周波数でフィードバックが発振しないようにするための条件である。条件(1)が満たされれば、フィードバックが発振せず、
図4Aに示すように、交流電流Iiの波形が商用周波数の正弦波状となる。この結果、交流電圧Viの周期と交流電流Iiの周期とが一致し、力率は高い値(例えば0.85以上)に維持される。条件(1)が満たされなければ、フィードバックが発振し、
図4Bに示すように、交流電流Iiの波形が商用周波数の1/2の周波数の歪んだ波形となり、
図4Aに比べて力率は低下する。
【0057】
さらに、αとImとの比率をIm/αとすると、比率Im/αは、所定の閾値未満に設定されていることが好ましい。閾値は、全調光範囲に亘って交流電圧Viの周期とフィードバック電圧Vbの周期とが一致するように設定される。閾値は、例えば以下のように求められる。
【0058】
点灯装置1を全調光範囲に亘って動作させ、α及びImの少なくとも一方を複数の値のそれぞれに順次設定し、各設定における交流電力の力率を求める。通常、誤差電流Ieの最大値Imは、誤差検出部131の仕様によって一義に決まるので、容量αを複数の値のそれぞれに順次設定する。そして、力率が0.85以上になる各設定の比率Im/αに基づいて閾値を求めることができる。閾値は、力率が0.85以上になる各設定の比率Im/αのうちの最小値であることが好ましいが、各設定の比率Im/αの平均値、最大値、及び中央値などのいずれであってもよい。
【0059】
なお、全調光範囲とは、点灯装置1の仕様として予め決められている調光範囲である。全調光範囲は、例えば消灯から全点灯に至る範囲、所定の調光レベルから全点灯に至る範囲、消灯から所定の調光レベルに至る範囲、及び第1調光レベルから第2調光レベルに至る範囲のいずれであってもよい。また、全調光範囲は、不連続な複数の範囲であってもよい。
【0060】
条件(2)は、光源2の光のちらつきを抑制するための条件である。条件(2)では、1/(2・π・α・β)が、商用周波数の2倍値に一致することが好ましい。しかし、1/(2・π・α・β)は、商用周波数の2倍値に一致していなくても、光源2の光のちらつきを抑制できる程度に、商用周波数の2倍値を基準として設定された所定範囲内に収まっていればよい。
【0061】
点灯装置1では、補償コンデンサC1の容量α、補償抵抗R1の抵抗値β、及び誤差電流Ieの最大値Imが、上述の条件(1)及び条件(2)を満たすように設定されている。したがって、点灯装置1のフィードバック制御には、力率改善とちらつきの低減との両立を可能とするフィードバックゲインが設定されている。すなわち、点灯装置1は、フィードバック制御を行って、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0062】
次に、点灯装置1には、当該点灯装置の仕様を保障できる交流電圧Vi(定格入力電圧)の範囲が予め定められている。そして、公称電圧が異なる複数の電力系統に対応できるように、点灯装置の定格入力電圧が、複数の公称電圧を含む広い範囲に設定されることがある。本実施形態の点灯装置1は、交流電源9が100V系及び200V系の商用電力系統のいずれであっても、動作可能である。
【0063】
図5は、交流電源9の交流電圧Viの実効値が254Vである場合の点灯装置1の動作を示す。
図5は、横軸に比率Im/αを表し、縦軸に調光レベルを表す座標平面である。そして、
図5は、比率Im/αと調光レベルの各組合せに対する点灯装置1の動作を座標平面に対応付けている。以降、座標平面の任意の点を(比率、調光レベル)で表すことがある。
【0064】
座標平面は、2つの直線L1、L2によって3つの領域に分割されている。直線L1は、正の傾きでQ1(20、0)を通る直線である。直線L2は、正の傾きでQ2(40、0)を通る直線である。直線L1の傾きは、直線L2の傾きより大きい。そして、直線L1と横軸と縦軸とで囲まれた領域をOK領域G1とする。直線L1、L2と横軸とで囲まれた領域をNG領域G2とする。直線L2と横軸とで囲まれた領域をOK領域G3とする。OK領域G1、G3は、フィードバックが発振せずに、力率が0.85以上となる領域である。NG領域G2は、フィードバックが発振して、力率が0.85未満となる領域である。
【0065】
例えば、消灯から全点灯に至る範囲(調光レベル0%~100%)を全調光範囲とする場合、全調光範囲においてフィードバックが発振せずに、力率が0.85以上となるためには、比率Im/αを閾値20未満に設定することが好ましい。したがって、交流電圧Viの実効値が254Vである場合に、全調光範囲において力率改善を実現するためには、比率Im/αを閾値20未満に設定する。例えば、誤差電流Ieの最大値Imが20μAであれば、補償コンデンサC1の容量αは1μFより大きくなる。
【0066】
図6は、交流電源9の交流電圧Viの実効値が100Vである場合の点灯装置1の動作を示す。
図6では、直線L1と直線L2とで囲まれた全領域がOK領域G11になる。したがって、交流電圧Viの実効値が100Vである場合には、比率Im/αを200程度まで大きくしても、全調光範囲において力率改善を実現することができる。
【0067】
図7~
図10は、交流電圧Vi及びフィードバック電圧Vbの各波形を示す。フィードバック電圧Vbには、交流電流Iiの変化が同様に反映されている。
【0068】
図7は、点灯装置1がOK領域G1(
図5参照)で動作したときの各波形であり、交流電圧Viの周期とフィードバック電圧Vbの周期とが一致している。フィードバック電圧Vbは正弦波状に変動している。したがって、
図7では、フィードバックが発振せずに、力率が0.85以上となる。OK領域G1内で調光レベルが徐々に低下すると、フィードバック電圧Vbの大きさが徐々に低下する。
【0069】
図8は、点灯装置1がNG領域G2(
図5参照)で動作したときの各波形であり、フィードバック電圧Vbの波形が商用周波数の1/2の周波数の歪んだ波形となる。すなわち、
図8では、光源2の消費電力(負荷の重さ)と比率Im/α(又はフィードバックゲイン)とのバランスがとれておらず、フィードバックが発振して、力率が0.85未満となる。
【0070】
図9は、点灯装置1がNG領域G2で
図8の調光レベルよりも低い調光レベルで動作したときの各波形である。フィードバック電圧Vbの波形が歪んだまま、フィードバック電圧Vbの大きさが
図8よりも小さくなっている。
【0071】
図10は、点灯装置1がOK領域G3(
図5参照)で動作したときの各波形であり、交流電圧Viの周期とフィードバック電圧Vbの周期とが一致している。フィードバック電圧Vbは正弦波状に変動し、フィードバック電圧Vbの大きさが
図7よりも小さくなっている。したがって、
図10では、フィードバックが発振せずに、力率が0.85以上となる。
【0072】
(6)ゲイン設定の変形例
図11は、点灯装置1の変形例を示す。変形例では、
図1のゲイン設定回路14の代わりにゲイン設定回路14Aを備える。なお、
図1の点灯装置1と同様の構成には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0073】
ゲイン設定回路14Aは、RC直列回路140に並列接続された補償コンデンサC2(別のコンデンサ)を更に備える。補償コンデンサC2は、フィードバック系に極を与える。
図12は、ゲイン設定回路14Aによるフィードバックゲイン(誤差検出部131のゲイン)の周波数特性を示す。
図12中の周波数f1は、フィードバック系の零点に対応する1/(2・π・α・β)に等しい。
図12中の周波数f2は、フィードバック系の極に対応する。周波数f2は、周波数f1より高く、補償コンデンサC2の容量によって決まる。そして、周波数f1より低い低周波域では、周波数の増加に伴ってフィードバックゲインは低下する。周波数f1~f2の周波数域では、フィードバックゲインはほぼ一定に維持される。周波数f2より低い高周波域では、周波数の増加に伴ってフィードバックゲインは低下する。すなわち、補償コンデンサC2は、高周波域でのフィードバックゲインを抑える機能を有する。したがって、補償コンデンサC2によってフィードバック系の安定性が向上する。
【0074】
(7)照明器具
本開示の照明器具B1について、
図13及び
図14を参照して説明する。
【0075】
照明器具B1は、
図13及び
図14に示すように、光源ユニット6と、光源ユニット6を支持する器具本体7とを備える。光源ユニット6は、天井に直付けされる器具本体7に着脱可能に取り付けられる。ただし、器具本体7は、天井に埋め込まれてもよいし、あるいは、壁に直付けされてもよいし、壁に埋め込まれてもよい。
【0076】
器具本体7は、下面が開放された矩形箱状の収容部70と、収容部70の長手方向に沿った両側の開口端縁より斜め上向きに突出する一対の反射板71と、収容部70及び一対の反射板71の長手方向の両端に設けられた一対のエンド板72とを備える(
図14参照)。器具本体7は、収容部70の底面に設けられている複数の取付孔700のうちの少なくともいずれか二つの取付孔700に吊りボルト(不図示)がそれぞれ挿通され、それらの吊りボルトにナット(不図示)が締め付けられることで天井に設置される。また、収容部70の底面に設けられている複数の電源孔701のうちのいずれか一つの電源孔701に電源線が挿通される。電源孔701に挿通された電源線は、端子台702を介して、点灯装置1と電気的に接続される。
【0077】
光源ユニット6は、
図14に示すように、本開示の点灯装置1と、点灯装置1によって点灯させられるLEDモジュール62を光源2として備えている。また、光源ユニット6は、取付部材61とカバー63とを更に備えている。
【0078】
LEDモジュール62は、多数のLED620と、基板621とを備えている。基板621は、長尺の矩形板状に形成されている。多数のLED620は、基板621の表面(下面)における短手方向の中央に、基板621の長手方向に沿って等間隔かつ一列に並べて実装されている。
【0079】
取付部材61は、金属板によって長尺の角樋状に形成されている。取付部材61は、長尺の矩形板状の底板610と、底板610の長手方向に沿った両端から上向きに立ち上がる一対の側板611とを有している。LEDモジュール62は、底板610から切り起こされている複数の爪によって底板610の下面に取り付けられている。なお、LEDモジュール62は、不図示の電線によって点灯装置1の出力用のコネクタと電気的に接続される。
【0080】
カバー63は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって半円筒形状に形成されている。また、カバー63は、長手方向に沿って上向きに突出する一対の突壁633を有している。カバー63は、一対の突壁633の間に取付部材61を収容し、取付部材61の一対の側板611の先端(上端)に、一対の突壁633の先端(上端)に形成されている引掛部が引っ掛けられることで取付部材61に取り付けられる。
【0081】
点灯装置1は、プリント回路板19と、プリント回路板19を収容するケース18とを有する。プリント回路板19は、電源回路11と、電流可変回路12と、制御回路13と、ゲイン設定回路14とを含む種々の電子部品が長方形状のプリント配線板に実装されて構成されている。ケース18は、金属板により、一面(下面)が開口した長尺の矩形箱状に形成されている。ケース18は、プリント回路板19を収容し、開口面を底板610の下面に向けるようにして取付部材61に固定される。なお、ケース18は、取付部材61に固定された状態において、取付部材61と電気的に接続されている。さらに、取付部材61は、光源ユニット6が器具本体7に取り付けられた状態において器具本体7と電気的に接続されている。したがって、点灯装置1のケース18は、取付部材61を通して器具本体7と電気的に接続される。
【0082】
照明器具B1は、上述の点灯装置1を備えるので、フィードバック制御を行って、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0083】
(8)まとめ
以上のように、実施形態に係る第1の態様の点灯装置(1)は、電源回路(11)と、電流可変回路(12)と、誤差検出部(131)と、ゲイン設定回路(14)と、電圧制御部(132)と、を備える。電源回路(11)は、交流電圧(Vi)を入力されて交流電力を直流電力に変換し、直流電圧(Vo)を光源(2)に出力する。電流可変回路(12)は、光源(2)に直列接続されて、光源(2)に流れる負荷電流(Io)を調整する。誤差検出部(131)は、電流可変回路(12)に生じるフィードバック電圧(Vb)と所定の目標電圧(Vr1)との差分に応じた電流を誤差電流(Ie)として出力する。ゲイン設定回路(14)は、誤差電流(Ie)が流れる補償抵抗(R1)と補償コンデンサ(C1)との直列回路(140)を有する。電圧制御部(132)は、直列回路(140)に生じる電圧に応じて電源回路(11)を制御して、直流電圧(Vo)をフィードバック制御する。補償コンデンサ(C1)の容量をα、補償抵抗(R1)の抵抗値をβ、誤差電流(Ie)の最大値をImとした場合に、補償コンデンサ(C1)の容量αと誤差電流(Ie)の最大値Imとの比率は、光源(2)の全調光範囲に亘って交流電圧(Vi)の周期とフィードバック電圧(Vb)の周期とが一致するように設定される。かつ、1/(2・π・α・β)は、交流電圧(Vi)の周波数の2倍値に一致する。
【0084】
上述の点灯装置(1)は、フィードバック制御を行って、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0085】
実施形態に係る第2の態様の点灯装置(1)では、第1の態様において、補償コンデンサ(C1)の容量αと誤差電流(Ie)の最大値Imとの比率はIm/αであり、比率は所定の閾値未満に設定されていることが好ましい。
【0086】
上述の点灯装置(1)は、フィードバック制御を行って、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0087】
実施形態に係る第3の態様の点灯装置(1)では、第2の態様において、閾値は20であることが好ましい。
【0088】
上述の点灯装置(1)は、広範囲の交流電圧(Vi)に対して、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0089】
実施形態に係る第4の態様の点灯装置(1)は、第1乃至第3の態様のいずれか一つにおいて、ゲイン設定回路(14)は、補償抵抗(R1)と補償コンデンサ(C1)との直列回路(140)に並列接続された別の補償コンデンサ(C2)をさらに有することが好ましい。
【0090】
上述の点灯装置(1)は、高周波域でのフィードバックゲインを抑えて、フィードバック系の安定性を向上させることができる。
【0091】
実施形態に係る第5の態様の点灯装置(1)は、第1乃至第4の態様のいずれか一つにおいて、電源回路(11)は、スイッチング素子(11g)を有することが好ましい。電圧制御部(132)は、交流電力の力率を改善する力率改善回路及び交流電力を直流電力に変換する電力変換回路として電源回路(11)が機能するように、スイッチング素子(11g)をスイッチング制御する。
【0092】
上述の点灯装置(1)は、力率改善回路及び電力変換回路の各機能をフィードバック制御して、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0093】
実施形態に係る第6の態様の点灯装置(1)は、第5の態様において、電源回路(11)は、SEPIC回路を備えることが好ましい。
【0094】
上述の点灯装置(1)は、SEPIC回路をフィードバック制御して、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0095】
実施形態に係る第7の態様の点灯装置(1)は、第1乃至第6の態様のいずれか一つにおいて、電流可変回路(12)は、負荷電流(Io)が流れるトランジスタ(121)と検出抵抗(12d)との直列回路と、電流制御部(122)と、備えることが好ましい。電流制御部(122)は、検出抵抗(12d)の両端電圧が基準電圧(Vr2)に一致するようにトランジスタ(121)を制御して負荷電流(Io)を調節する。
【0096】
上述の点灯装置(1)は、負荷電流(Io)を定電流制御することができる。
【0097】
実施形態に係る第8の態様の点灯装置(1)は、第7の態様において、フィードバック電圧(Vb)は、トランジスタ(121)と検出抵抗(12d)との直列回路の両端電圧であることが好ましい。
【0098】
上述の点灯装置(1)は、トランジスタ(121)における電力損失を低減できる。
【0099】
実施形態に係る第9の態様の照明器具(B1,B2)は、第1乃至第8の態様のいずれか一つの点灯装置(1)と、点灯装置(1)から直流電力を供給される光源(2)と、点灯装置(1)及び光源(2)の少なくとも一方を支持する器具本体(7)とを備える。
【0100】
上述の照明器具(B1,B2)は、フィードバック制御を行って、力率改善とちらつきの低減との両方を実現できる。
【0101】
また、上述の実施形態および変形例は本開示の一例である。このため、本開示は、上述の実施形態および変形例に限定されることはなく、この実施形態および変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0102】
1 点灯装置
11 電源回路
11g スイッチング素子
12 電流可変回路
121 トランジスタ
122 電流制御部
12d 検出抵抗
131 誤差検出部
132 電圧制御部
14 ゲイン設定回路
140 RC直列回路(直列回路)
2 光源
7 器具本体
B1、B2 照明器具
Vi 交流電圧
Vo 出力電圧(直流電圧)
Vb フィードバック電圧
Vr1 目標電圧
Vr2 基準電圧
Io 負荷電流
Ie 誤差電流
R1 補償抵抗
C1 補償コンデンサ
C2 補償コンデンサ
α 容量
β 抵抗値
Im 誤差電流の最大値
Im/α 比率