(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20230303BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
(21)【出願番号】P 2021196547
(22)【出願日】2021-12-02
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2021108849
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】今村 典広
(72)【発明者】
【氏名】永冨 謙司
(72)【発明者】
【氏名】星田 裕文
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-210229(JP,A)
【文献】特開平06-347613(JP,A)
【文献】特開2000-155291(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035661(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/06
B60R 1/00-1/04,1/08-1/31
G09F 9/00
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
第1面および第2面を有する光学素子と、
前記第2面に設けられる反射部材とを備え、
前記第1面は、第1方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、前記表示部から発せられた光を入射させ、前記反射部材で反射した光を出射させ、
前記第2面は、前記第1方向と直交する第2方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、
前記反射部材は、前記第1面から入射した光を前記第1面に向かって反射させる反射面を有し、
前記反射面は、前記第2方向を軸方向とする凹状のシリンドリカル面である、
表示装置。
【請求項2】
前記表示部から発せられた光を前記第1面に向かって反射させ、前記第1面から出射した光を透過させるハーフミラーをさらに備える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1方向における前記第1面の寸法は、前記第2方向における前記第2面の寸法よりも大きい、
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光学素子は、前記第2方向における前記第1面の一端部と前記第2面の一端部とを繋ぎかつ前記第2方向に直交する一端面と、前記第2方向における前記第1面の他端部と前記第2面の他端部とを繋ぎかつ前記第2方向に直交する他端面とをさらに有し、
前記第1方向から見たとき、前記第1面の前記一端部と前記他端部とを繋ぐ直線は、前記第2方向に対して傾いている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光学素子の前記第1面側に配置される赤外線カット部材をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記赤外線カット部材は、赤外線カットフィルムである、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1面から出射した光の前記第1方向における集光点の位置、および前記第1面から出射した光の前記第2方向における集光点の位置は、前記第1方向に直交しかつ前記第2方向に直交する第3方向において相互に異なる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第3方向において、前記第1面から出射した光の前記第1方向における集光点の位置は、前記第1面から出射した光の前記第2方向における集光点の位置よりも前記光学素子から離れている、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2面の中心における曲率半径は、前記第1面の中心における曲率半径よりも大きい、
請求項1から8のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を表示するための表示装置が知られている。たとえば、表示装置の一例として、特許文献1には、ディスプレイと、ディスプレイに表示された映像を反射させるハーフミラーと、ハーフミラーで反射された映像を反射させる凹面鏡とを備える表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の表示装置では、太陽光等の外光が表示装置に入射した場合等に、凹面鏡による反射光が1点に集中し易く、集光部で温度が上昇し易い。
【0005】
そこで、本開示は、集光部における温度が上昇することを抑制できる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示装置は、表示部と、第1面および第2面を有する光学素子と、前記第2面に設けられる反射部材とを備え、前記第1面は、第1方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、前記表示部から発せられた光を入射させ、前記反射部材で反射した光を出射させ、前記第2面は、前記第1方向と直交する第2方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、前記反射部材は、前記第1面から入射した光を前記第1面に向かって反射させる反射面を有し、前記反射面は、前記第2方向を軸方向とする凹状のシリンドリカル面である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の表示装置によれば、集光部における温度が上昇することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置が車両に設置された状態を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1の表示装置の光学素子および反射部材を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の光学素子および反射部材を示す三面図である。
【
図5】
図5は、
図3の光学素子から出射した光の集光点の位置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第2の実施の形態に係る表示装置が備える光学素子を示す図である。
【
図7】
図7は、第3の実施の形態に係る表示装置が備える光学素子等を示す図である。
【
図8】
図8は、第4の実施の形態に係る表示装置が備える光学素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様に係る表示装置は、表示部と、第1面および第2面を有する光学素子と、前記第2面に設けられる反射部材とを備え、前記第1面は、第1方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、前記表示部から発せられた光を入射させ、前記反射部材で反射した光を出射させ、前記第2面は、前記第1方向と直交する第2方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、前記反射部材は、前記第1面から入射した光を前記第1面に向かって反射させる反射面を有し、前記反射面は、前記第2方向を軸方向とする凹状のシリンドリカル面である。
【0010】
これによれば、第1面は第1方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、反射面は、第1方向と直交する第2方向を軸方向とする凹状のシリンドリカル面であるので、第1面から入射して反射面で反射して第1面から出射した光が一点に集中することを抑制でき、集光部における温度が上昇することを抑制できる。
【0011】
また、前記表示装置は、前記表示部から発せられた光を前記第1面に向かって反射させ、前記第1面から出射した光を透過させるハーフミラーをさらに備えてもよい。
【0012】
これによれば、表示部から発せられた光を、ハーフミラーで反射させた後、第1面から入射させることにより、光路長を長くすることができる。その結果、運転手等は、表示部に表示される画像を、より遠方に視認することができる。
【0013】
また、前記第1方向における前記第1面の寸法は、前記第2方向における前記第2面の寸法よりも大きくてもよい。
【0014】
これによれば、光学素子の厚みの増大を抑制しつつ、長尺状の画像を容易に表示することができる。
【0015】
また、前記光学素子は、前記第2方向における前記第1面の一端部と前記第2面の一端部とを繋ぎかつ前記第2方向に直交する一端面と、前記第2方向における前記第1面の他端部と前記第2面の他端部とを繋ぎかつ前記第2方向に直交する他端面とをさらに有し、前記第1方向から見たとき、前記第1面の前記一端部と前記他端部とを繋ぐ直線は、前記第2方向に対して傾いていてもよい。
【0016】
これによれば、表示部から発せられた光が第1面で反射した場合、第1面で反射した光が進む方向と、反射面で反射して第1面から出射光した光が進む方向とを容易に異ならせることができるので、第1面で反射した光による映り込みを抑制できる。
【0017】
また、前記表示装置は、前記光学素子の前記第1面側に配置される赤外線カット部材をさらに備えてもよい。
【0018】
これによれば、太陽光等に含まれている赤外線が第1面から光学素子に入射することを抑制でき、集光部における温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0019】
また、前記赤外線カット部材は、赤外線カットフィルムであってもよい。
【0020】
これによれば、第1面が凸状のシリンドリカル面であるので、赤外線カット部材を第1面に容易に貼り付けることができ、太陽光等に含まれている赤外線が第1面から光学素子に入射することを容易に抑制できる。
【0021】
また、前記第1面から出射した光の前記第1方向における集光点の位置、および前記第1面から出射した光の前記第2方向における集光点の位置は、前記第1方向に直交しかつ前記第2方向に直交する第3方向において相互に異なってもよい。
【0022】
これによれば、第1面から出射した光が一点に集中することをさらに抑制でき、集光部における温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0023】
また、前記第3方向において、前記第1面から出射した光の前記第1方向における集光点の位置は、前記第1面から出射した光の前記第2方向における集光点の位置よりも前記光学素子から離れていてもよい。
【0024】
これによれば、第3方向において、第1面から出射した光の第1方向における集光点の位置が第1面から出射した光の第2方向における集光点の位置よりも光学素子から離れているので、第3方向(光学素子の光軸に平行な方向)における第2面の寸法が大きくなることを抑制でき、表示装置の小型化を達成することができる。
【0025】
また、前記第2面の中心における曲率半径は、前記第1面の中心における曲率半径よりも大きくてもよい。
【0026】
これによれば、第1方向に直交しかつ第2方向に直交する第3方向(光学素子の光軸に平行な方向)における第2面の寸法が大きくなることを抑制でき、表示装置の小型化を達成しつつ、第1面における拡大倍率(レンズパワー)を十分に得ることができる。
【0027】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0028】
また、以下の実施の形態において、平行および直交等の、2つの方向の相対的な姿勢を示す表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密にはその姿勢ではない場合も含む。たとえば、2つの方向が平行である、という場合、特に断りのない限り、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、たとえば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置10が車両1に設置された状態を示す図である。
図1では、車両1および筐体20を断面で示している。
【0030】
図1に示すように、表示装置10は、画像を表示するための装置である。この実施の形態では、表示装置10は、車両1の車室内に設置されている。たとえば、表示装置10は、車両1の後方を撮像するカメラによって撮像された画像を表示する。これによって、車両1の運転手2は、表示装置10を見ることによって(
図1の破線矢印を参照)、車両1の後方の状況を視認できる。
【0031】
なお、たとえば、表示装置10は、車両1の車速、車両1に近接する物体の検知結果、または車両1の現在地から目的地までのナビゲーション情報等を示す画像を表示してもよい。
【0032】
図2は、
図1の表示装置10を示す図である。
図2では、筐体20を断面で示している。
【0033】
図2に示すように、表示装置10は、筐体20と、表示部30と、光学素子40と、反射部材50と、ハーフミラー60と、透光カバー70とを備えている。
【0034】
筐体20は、表示部30、光学素子40、反射部材50、およびハーフミラー60を収容している。この実施の形態では、筐体20は、車両1の天井から吊り下げられている。筐体20は、表示部30から発せられた光を筐体20の外部に出射させるための出射部22を有している。出射部22は、筐体20の内部の空間と外部の空間とを連通させる貫通孔である。
【0035】
表示部30は、画像を表す光を発する。たとえば、表示部30は、車両1の後方を撮像するカメラによって撮像された画像を表す光を発する。たとえば、表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはマイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等を含んで実現される。
【0036】
図3は、
図1の表示装置10の光学素子40および反射部材50を示す斜視図である。
図4は、
図3の光学素子40および反射部材50を示す三面図である。
図4の(a)は、正面図であり、
図4の(b)は、平面図であり、
図4の(c)は、側面図である。
図4の(c)では、反射部材50の図示を省略している。
【0037】
図2から
図4に示すように、光学素子40は、第1面42と、第2面44とを有している。光学素子40は、表示部30から発せられた光を第1面42から入射させ、第2面44に設けられている反射部材50で反射した光を第1面42から出射させる(
図2の太線矢印を参照)。たとえば、光学素子40は、両主面が凸状のシリンドリカル面であるレンズである。
【0038】
第1面42は、第1方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面である。つまり、第1面42は、第1方向に延びる軸A(軸方向:
図4の(a)を参照)を中心とする周方向に沿う面である。第1方向は、
図2等におけるX軸で示す方向である。
【0039】
第1面42は、表示部30から発せられた光を入射させる。つまり、表示部30から発せられた光は、第1面42から光学素子40の内部に入射する。また、第1面42は、反射部材50で反射した光を出射させる。つまり、第1面42から光学素子40の内部に入射した後に反射部材50で反射した光は、第1面42から光学素子40の外部に出射する。このように、第1面42は、光を入出射させる入出射面である。
【0040】
第2面44は、第1方向と直交する第2方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面である。つまり、第2面44は、第2方向に延びる軸B(軸方向:
図4の(a)を参照)を中心とする周方向に沿う面である。第2方向は、
図2等におけるY軸で示す方向である。
【0041】
第2面44は、第1面42とは反対側の面であり、第1方向と直交しかつ第2方向と直交する第3方向において、第1面42と並んでいる。つまり、第2面44は、第3方向から見たとき、第1面42と重なっている。第3方向は、
図2等におけるZ軸で示す方向である。
【0042】
第2面44は、第1面42とは反対向きに突出している。具体的には、第1面42は、第3方向における一方側(Z軸方向のプラス側)に突出しており、第2面44は、第3方向における他方側(Z軸方向のマイナス側)に突出している。
【0043】
この実施の形態では、第1方向から見たとき、第2方向における第1面42の一端部と他端部とを繋ぐ直線C(
図4の(c)を参照)は、第2方向と平行である。また、この実施の形態では、第2方向から見たとき、第1方向における第2面44の一端部と他端部とを繋ぐ直線D(
図4の(b)を参照)は、第1方向と平行である。なお、たとえば、直線Cは、第2方向と平行でなくてもよいし、直線Dは、第1方向と平行でなくてもよい。
【0044】
第1方向における第1面42の寸法E(
図4の(a)を参照)は、第2方向における第2面44の寸法F(
図4の(c)を参照)よりも大きい。この実施の形態では、第3方向から見たとき、第2方向における第1面42の寸法は、第2方向における第2面44の寸法Fと等しく、第1方向における第2面44の寸法は、第1方向における第1面42の寸法Eと等しい。なお、たとえば、第3方向から見たとき、第2方向における第1面42の寸法は、第2方向における第2面44の寸法Fと等しくなくてもよく、第1方向における第2面44の寸法は、第1方向における第1面42の寸法Eと等しくなくてもよい。
【0045】
反射部材50は、第2面44に設けられており、第1面42から入射した光を第1面42に向かって反射させる反射面52を有している。たとえば、反射部材50は、金属膜または樹脂等によって形成されている。
【0046】
反射面52は、第2方向を軸方向とする凹状のシリンドリカル面である。つまり、反射面52は、第2方向に延びる軸B(軸方向:
図4の(a)を参照)を中心とする周方向に沿う面である。反射面52は、第2面44に沿って湾曲しており、第3方向における他方側に凹んでいる。反射面52は、第2面44に接している。
【0047】
反射面52は、第3方向において、第1面42と並んでいる。つまり、反射面52は、第3方向から見たとき、第1面42と重なっている。
【0048】
この実施の形態では、第3方向から見たとき、第1方向における反射面52の寸法は、第1方向における第1面42の寸法Eおよび第1方向における第2面44の寸法と等しく、第2方向における反射面52の寸法は、第2方向における第1面42の寸法および第2方向における第2面44の寸法Fと等しい。なお、たとえば、第3方向から見たとき、第1方向における反射面52の寸法は、第1方向における第1面42の寸法Eおよび第1方向における第2面44の寸法と等しくなくてもよく、第2方向における反射面52の寸法は、第2方向における第1面42の寸法および第2方向における第2面44の寸法Fと等しくなくてもよい。
【0049】
図2に示すように、ハーフミラー60は、表示部30から発せられた光を第1面42に向かって反射させる(
図2の太線矢印を参照)。つまり、この実施の形態では、表示部30から発せられた光は、ハーフミラー60で反射した後に第1面42から光学素子40の内部に入射する。
【0050】
また、ハーフミラー60は、第1面42から出射した光を透過させる。ハーフミラー60を透過した光は、透光カバー70を透過して筐体20の外部に出射する。
【0051】
透光カバー70は、出射部22に設けられており、ハーフミラー60を透過した光を透過させる。たとえば、透光カバー70は、透明なガラス、または透明な樹脂等によって形成されている。
【0052】
図5は、
図3の光学素子40から出射した光の集光点の位置を示す斜視図である。
図5では、光学素子40の中心軸(一点鎖線で示す)上における集光点の位置を示している。
【0053】
図5に示すように、反射面52で反射して第1面42から出射した光の第1方向における集光点Gの位置、および第1面42から出射した光の第2方向における集光点Hの位置は、第3方向において相互に異なっている。
【0054】
この実施の形態では、集光点Gは、集光点Hよりも光学素子40から離れた位置に位置している。つまり、この実施の形態では、第3方向において、第1面42から出射した光の第1方向における集光点Gの位置は、第1面42から出射した光の第2方向における集光点Hの位置よりも光学素子40から離れている。なお、たとえば、集光点Gは、集光点Hよりも光学素子40に近い位置に位置していてもよい。
【0055】
たとえば、第1面42の曲率、第2面44の曲率、および第1面42と第2面44との間隔等によって、集光点Gの位置および集光点Hの位置を定めることができる。
【0056】
なお、第1面42は、第1方向を軸方向(X軸に平行)とする凸状のシリンドリカル面であるので、第1面42から出射した光は集光点Hを通りX軸に平行な線分を長軸とする楕円状に集光する。同様に、第2面44は、第2方向を軸方向(Y軸に平行)とする凸状のシリンドリカル面であり、反射面52は、第2方向を軸方向(Y軸に平行)とする凹状のシリンドリカル面であるので、反射面52で反射して第1面42から出射した光は集光点Gを通りY軸に平行な線分を長軸とする楕円状に集光する。したがって、球面状のレンズのように光が一点に集光しないため、集光部における温度上昇を抑制できる。
【0057】
以上、第1の実施の形態に係る表示装置10について説明した。
【0058】
第1の実施の形態に係る表示装置10は、表示部30と、第1面42および第2面44を有する光学素子40と、第2面44に設けられる反射部材50とを備え、第1面42は、第1方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、表示部30から発せられた光を入射させ、反射部材50で反射した光を出射させ、第2面44は、第1方向と直交する第2方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、反射部材50は、第1面42から入射した光を第1面42に向かって反射させる反射面52を有し、反射面52は、第2方向を軸方向とする凹状のシリンドリカル面である。
【0059】
これによれば、第1面42は第1方向を軸方向とする凸状のシリンドリカル面であり、反射面52は、第1方向と直交する第2方向を軸方向とする凹状のシリンドリカル面であるので、第1面42から入射して反射面52で反射して第1面42から出射した光が一点に集中することを抑制でき、集光部における温度が上昇することを抑制できる。
【0060】
また、第1の実施の形態に係る表示装置10は、表示部30から発せられた光を第1面42に向かって反射させ、第1面42から出射した光を透過させるハーフミラー60をさらに備える。
【0061】
これによれば、表示部30から発せられた光を、ハーフミラー60で反射させた後、第1面42から入射させることにより、光路長を長くすることができる。その結果、運転手2は、表示部30に表示される画像を、より遠方に視認することができる。
【0062】
また、第1の実施の形態に係る表示装置10において、第1方向における第1面42の寸法Eは、第2方向における第2面44の寸法Fよりも大きい。
【0063】
これによれば、光学素子40の厚みの増大を抑制しつつ、長尺状の画像を容易に表示することができる。
【0064】
また、第1の実施の形態に係る表示装置10において、第1面42から出射した光の第1方向における集光点Gの位置、および第1面42から出射した光の第2方向における集光点Hの位置は、第1方向に直交しかつ第2方向に直交する第3方向において異なる。
【0065】
これによれば、第1面42から出射した光が一点に集中することをさらに抑制でき、集光部における温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0066】
また、第1の実施の形態に係る表示装置10において、第3方向において、第1面42から出射した光の第1方向における集光点Gの位置は、第1面42から出射した光の第2方向における集光点Hの位置よりも光学素子40から離れている。
【0067】
これによれば、第3方向において、第1面42から出射した光の第1方向における集光点Gの位置が第1面42から出射した光の第2方向における集光点Hの位置よりも光学素子40から離れているので、第3方向(光学素子40の光軸に平行な方向)における第2面44の寸法が大きくなることを抑制でき、表示装置10の小型化を達成することができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態に係る表示装置が備える光学素子40aを示す図である。第2の実施の形態に係る表示装置は、光学素子40とは異なる光学素子40aを備えている点において、表示装置10と主に異なっている。
【0069】
図6に示すように、光学素子40aは、第1方向から見たときに略楔形状である点において、光学素子40と主に異なっている。
【0070】
光学素子40aは、第2方向における第1面42aの一端部と第2面44の一端部とを繋ぎかつ第2方向に直交する一端面46と、第2方向における第1面42aの他端部と第2面44の他端部とを繋ぎかつ第2方向に直交する他端面48とをさらに有し、第1方向から見たとき、第1面42aの一端部と他端部とを繋ぐ直線Cは、第2方向に対して傾いている。
【0071】
以上、第2の実施の形態に係る表示装置について説明した。
【0072】
第2の実施の形態に係る表示装置において、光学素子40aは、第2方向における第1面42aの一端部と第2面44の一端部とを繋ぎかつ第2方向に直交する一端面46と、第2方向における第1面42aの他端部と第2面44の他端部とを繋ぎかつ第2方向に直交する他端面48とをさらに有し、第1方向から見たとき、第1面42aの一端部と他端部とを繋ぐ直線Cは、第2方向に対して傾いている。
【0073】
これによれば、表示部30から発せられた光が第1面42aで反射した場合、第1面42aで反射した光が進む方向と、反射面52で反射して第1面42aから出射光した光が進む方向とを容易に異ならせることができるので、第1面42aで反射した光による映り込みを抑制できる。
【0074】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態に係る表示装置が備える光学素子40等を示す図である。第3の実施の形態に係る表示装置は、赤外線カット部材80をさらに備えている点において、表示装置10と主に異なっている。
【0075】
図7に示すように、赤外線カット部材80は、光学素子40の第1面42側に配置されている。この実施の形態では、赤外線カット部材80は、赤外線カットフィルムであり、第1面42に貼り付けられている。なお、たとえば、赤外線カット部材80は、赤外線カットフィルムでなくてもよく、第1面42と離れた位置に配置されていてもよい。
【0076】
以上、第3の実施の形態に係る表示装置について説明した。
【0077】
第3の実施の形態に係る表示装置は、光学素子40の第1面42側に配置される赤外線カット部材80をさらに備える。
【0078】
これによれば、太陽光等に含まれている赤外線が第1面42から光学素子40に入射することを抑制でき、集光部における温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0079】
また、赤外線カット部材80は、赤外線カットフィルムである。
【0080】
これによれば、第1面42が凸状のシリンドリカル面であるので、赤外線カット部材80を第1面42に容易に貼り付けることができ、太陽光等に含まれている赤外線が第1面42から光学素子40に入射することを容易に抑制できる。
【0081】
(第4の実施の形態)
図8は、第4の実施の形態に係る表示装置が備える光学素子40を示す図である。
図8の(a)は、光学素子40の平面図であり、
図8の(b)は、光学素子40の側面図であり、
図8の(c)は、光学素子40の第1面42の中心Iと第2面44の中心Jとを重ね合わせた図である。
【0082】
図8の(a)に示す平面視における第2面44は、
図8の(c)において破線で示され、
図8の(b)に示す側面視における第1面42は、
図8の(c)において実線で示されている。そして、
図8の(c)では、第2面44の中心Jと第1面42の中心Iとが合わさった状態における、第2面44と第1面42とが記載されている。第2面44の中心Jは、第2方向回りにおける第2面44の中心である。また、第1面42の中心Iは、第1方向回りにおける第1面42の中心である。
図8の(c)では、第2方向から見た場合において第2面44の中心Jを通る第2面44の接線に直交する直線Lと、第1方向から見た場合において第1面42の中心Iを通る第1面42の接線に直交する直線Kとが重ね合わさった状態が記載されている。
【0083】
ここで、第4の実施の形態では、
図8の(c)に示すように、光学素子40は、第2面44の中心Jにおける曲率半径が、第1面42の中心Iにおける曲率半径よりも大きくなるように構成されている。つまり、第2面44の中心Jにおける曲率半径は、第1面42の中心Iにおける曲率半径よりも大きい。反射面52は、第2面44と同じ曲率半径であり、反射面52の中心における曲率半径は、第1面42の中心Iにおける曲率半径よりも大きい。
【0084】
たとえば、第2面44が単一の曲率半径を有する曲面であり、第1面42が単一の曲率半径を有する曲面である場合、第2面44の曲率半径は、第1面42の曲率半径よりも大きい。また、たとえば、この場合、反射面52の曲率半径は、第1面42の曲率半径よりも大きい。
【0085】
また、たとえば、第2面44が非球面の曲面であり、第1面42が非球面の曲面である場合、第2面44の中心Jを構成する曲面の曲率半径は、第1面42の中心Iを構成する曲面の曲率半径よりも大きい。また、たとえば、この場合、反射面52の中心を構成する曲面の曲率半径は、第1面42の中心Iを構成する曲面の曲率半径よりも大きい。なお、上記した第1面42の中心Iを構成する曲面の曲率半径とは、中心Iとその前後の近傍2点を含めた3点を通る円の半径であると定義する。また、第2面44の中心Jを構成する曲面の曲率半径とは、中心Jとその前後の近傍2点を含めた3点を通る円の半径であると定義する。また、反射面52の中心を構成する曲面の曲率半径とは、当該中心とその前後の近傍2点を含めた3点を通る円の半径であると定義する。
【0086】
以上、第4の実施の形態に係る表示装置について説明した。
【0087】
第4の実施の形態に係る表示装置において、第2面44の中心Jにおける曲率半径は、第1面42の中心Iにおける曲率半径よりも大きい。
【0088】
これによれば、第1方向に直交しかつ第2方向に直交する第3方向(光学素子40の光軸に平行な方向)における第2面44の寸法Tが大きくなることを抑制でき、表示装置の小型化を達成しつつ、第1面42における拡大倍率(レンズパワー)を十分に得ることができる。
【0089】
(他の実施の形態等)
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係る表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0090】
上述した実施の形態では、表示装置10が、ハーフミラー60を備えている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、表示装置10は、ハーフミラー60を備えていなくてもよい。この場合、たとえば、表示部30は、表示部30から発せられた光が直接第1面42に入射するように、第1面42に向けて配置される。
【0091】
また、上述した実施の形態では、第1方向における第1面42の寸法が、第2方向における第2面44の寸法よりも大きい場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第1方向における第1面42の寸法は、第2方向における第2面44の寸法よりも小さくてもよいし、第2方向における第2面44と等しくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示は、画像を表示するための表示装置等に利用できる。
【符号の説明】
【0093】
10 表示装置
20 筐体
22 出射部
30 表示部
40,40a 光学素子
42,42a 第1面
44 第2面
46 一端面
48 他端面
50 反射部材
52 反射面
60 ハーフミラー
70 透光カバー
80 赤外線カット部材