IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルトルッツィ システミ エス.ピー.エー.の特許一覧

特許7237059摺動する折りたたみ可能な扉を備えている家具物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】摺動する折りたたみ可能な扉を備えている家具物品
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/58 20060101AFI20230303BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20230303BHJP
   E05D 15/26 20060101ALI20230303BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
E05D15/58 A
A47B55/00
E05D15/26
E06B3/48
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020501573
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 IB2018055094
(87)【国際公開番号】W WO2019012435
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102017000078326
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516265621
【氏名又は名称】ボルトルッツィ システミ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジロット,アドリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】スバルデラ,ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ダル カステル,ロドルフォ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2740870(EP,A1)
【文献】国際公開第2013/114730(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0433726(EP,A1)
【文献】特開2004-137789(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19902918(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0008811(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19709461(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0255699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
E06B 3/48
A47B 55/00-55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方開口を備えている第1のコンパートメント(20)を画定する胴体と、
摺動可能で、首を振るように前記前方開口を閉じる第1の扉(3)と、
第1の扉(30)に揺動自在に接続された第2の扉(32)と、
1つに接続されている2個の直線のセグメント(52、54)を有しているL形状のガイド(50)であって、第1のセグメント(52)は、前記開口の縁に平行で、第2のセグメント(54)は、前記第1のセグメント(52)に直交しており、前記胴体の外側に前記第1のコンパートメント(20)の奥行き方向に沿って配置されているガイドと、
前記外側に平行で前記外側に沿って直動可能な指令部材(60)と、
を有し、
前記第1の扉(30)は、その側部が前記第2の扉(32)に最も近い位置で前記ガイドに摺動可能に結合されている、
前記第2の扉(32)の側部は、前記指令部材(60)に第1の軸線(X2)を中心にヒンジ接続されており、
前記第2の扉は、前記第1の扉(30)に最も近い側部で、前記第1の扉(30)に対して、第2の軸線(X)を中心にヒンジ接続されている
前記指令部材の前後の直線運動によって、前記第1及び第2の(30,32)が前記開口を閉じる第1の位置、または前記第1及び第2の(30,32)が前記開口を開いて、前記外側と並んで配置される第2の位置に移動する、
家具の物品(MC)。
【請求項2】
前記第1及び第2の(30,32)の両方を前記第2の位置に向けて移動している間に、前記第2の扉(32)を前記第1の扉(30)に対して前記第2の軸線(X)を中心に回転させる手段を有する、請求項に記載の物品。
【請求項3】
前記胴体の外側に接続されている前記L形状のガイド(50)に移動可能にキャリッジ(40)が取り付けられている、請求項1からのいずれか1項に記載の物品。
【請求項4】
L形状に配置されており、かつ前記第1及び第2の(30,32)が折り曲げられたときに前記第1及び第2の(30,32)が収容される第2のコンパートメントつまり収容部分を区画するために、前記第1のコンパートメント(20)上に、そして前記第1のコンパートメント(20)に対して移動可能に取り付けられている、2個の垂直な壁を、前記キャリッジ(40)が支持している、請求項に記載の物品。
【請求項5】
前記直動可能な指令部材(0)に力を作用させて、前記指令部材(60)が前記第2のコンパートメントに収納された休止位置に移動させる戻り要素つまり手段を有する、請求項に記載の物品。
【請求項6】
前記指令部材(0)がその行程を終了する時に、それを制動する緩衝器を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の物品。
【請求項7】
前記第1の扉(30)は、前記L形状のガイド(50)に摺動可能に取り付けられているキャリッジ(40)に固定することによって、前記L形状のガイド(50)に結合されている、請求項1からのいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記L形状のガイド(50)の前記第1のセグメント(52)及び前記第2のセグメント(54)は、湾曲している部分(56)によって接続されており、平面上にある、請求項1からのいずれか1項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折りたためるように摺動し揺動する扉を備えている、特に扉によって閉じることができるコンパートメントを備えている家具物品に関する。
【背景技術】
【0002】
開いている位置で自体の寸法を減少させることができ、したがってヒンジ接続されている扉の欠点を回避することができるように、摺動し折り畳まれる扉が、多くの家具に備わっている。図1a~1dは、既知の構造の平面図を示しており、コンパートメント10は、2個の、摺動し折り畳まれる扉12、14によって閉じることができる前方開口を有している(図1a)。コンパートメント10を露出させるためには、扉12、14を横に移動させ、扉12、14をその隣接している側で結びつけている共通の垂直のヒンジ接続の軸線Qを中心に回転させる。Q軸線は、扉12、14が互いに重ねられ(図1c)、それらをコンパートメントの側部に移動させると(図1d)、コンパートメントから離れるように移動する(図1b)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
扉12、14の変位は、手動であって、操作が非常に困難であるが、それは使用者が扉12、14上で様々な動き、すなわち、少なくともそれらを重ねる1回の動き、及びコンパートメントの側部に沿ってそれらを押す1回の動きを行う必要があるからである。扉に力学における死点を乗り越えさせ、手動の苦労を減少させるためにばねが導入されていても、動きの複雑さには変化がないままである。
【0004】
この現状技術の改良が添付の請求項に定義されている本発明の主な目的であって、従属請求項は、有利な変形例を定めている。
【0005】
他の目的は、使用が容易で、使用には移動がほとんど必要なく、使用中に疲れない、摺動する蛇腹のような折りたたみ扉によって閉じることができるコンパートメントを有している家具物品を提供することである。
【0006】
前方開口を備えているコンパートメントを画定する胴体と、
摺動可能で、首を振るように前方開口を閉じる(垂直または水平の)扉と、
1つに接続されている2個の直線のセグメントを有しているL形状のガイドであって、第1のセグメントは、開口の縁に平行で、第2のセグメントは、第1のセグメントに直交しており、胴体の外側にコンパートメントの奥行き方向に沿って配置されているガイドと、
該外側に平行で該外側に沿って直動可能な指令部材と
を有し、
扉の横方向の縁は、ガイドと摺動可能に結合しており、
扉の反対側の横方向の縁は、揺動する態様で指令部材に接続されており、指令部材の交互の直線運動によって、扉が開口を閉じる第1の位置、または扉が開口を開いて、該外側と並んで配置される第2の位置に移動する、
家具の物品が提案される。
【0007】
言い換えると、指令部材は、2個の位置、すなわち
外側(側面)の前に配置されており、そこから前方に実質的に突き出していない休止位置と、
外側(及びコンパートメント)に対して水平方向にオフセットして、外側から、そしてコンパートメントから前方に突き出している位置と
の間を移動可能である(直動可能な指令部材は、コンパートメントの前方開口の方向に移動し、コンパートメントの後部から離れるように移動する)。
【0008】
第1の変形例によれば、家具物品は、1つの扉のみを有している。扉の側部は、摺動可能にガイドに結合され、扉の反対側の側部は、指令部材にたとえば垂直の軸線を中心にヒンジ接続されている。
【0009】
他の変形例によれば、家具物品は、第1の扉及び第1の扉に首を振る態様で接続されている(たとえば、互いにヒンジ接続されている)第2の扉を有している。
【0010】
第1の扉は、その側部が第2のセグメントに最も近い位置でガイドに摺動可能に結合されている。第の扉の側部は、直動可能な指令部材に第1の軸線を中心にヒンジ接続されている。第1の扉の反対側の側部は、第2の軸線を中心に第2の扉にヒンジ接続される。
【0011】
第1の扉がガイドに直接結合されていないときは、第2の扉を介して結合されている。しかし、直動可能な指令部材は、コンパートメントの奥行き方向に平行に発生するその交互の直動運動によって運動エネルギーを連続している扉に伝達して、扉を動作させることができる。
【0012】
それから、第2の変形例において、扉は蛇腹のように少なくとも1個の軸線を中心に折りたたみ可能であり、コンパートメントの前部で互いに同一平面に配置されている、コンパートメントを閉じる位置と、互いに折り畳まれており、互いに重ねて畳まれて、コンパートメントの該側部つまり側面に沿って配置されている、コンパートメントを開く位置との間を摺動することになる。
【0013】
扉は、直動可能な指令部材の交互の変位によって動くように設定されていて便利である。
【0014】
両方の変形例において、コンパートメントの該外側は、側部(側面)、上面、または底面であり得る。したがって、1個または2個以上の扉は、コンパートメントの隣で、コンパートメントの上方、またはその下方に隠すことが可能である。第1の場合、L形状のガイドは、水平方向に配置されている両方のセグメントを有しているのに対して、第2の場合、第1のセグメントは水平であって、第2のセグメントは垂直である。つまり、1個または2個の扉を備えている前述の変形例は、水平方向または垂直方向に移動するように適合している扉を使用して実装することができる。第1の場合、前述の軸線は垂直であって、第2の場合、それらは水平である。以下では、簡単化のため、水平方向に移動する扉の場合を参照し、第2の場合は、第1の場合に必要な変更を加えていることがわかる。
【0015】
第1のヒンジ接続軸線は、水平方向に剛性を備えて移動できるように、直動可能な指令部材に支持されている。それから、そのような第1の軸線は、2個の端位置、すなわち休止の端位置と、(よりコンパートメントから離れている)前進の端位置との間を水平方向に移動可能である。直動可能な指令部材の交互の動きに対応して、第1の軸線の第1の端位置から常に始まり、第2に到着し、再び第1に戻る、第1の軸線の変位と、ガイドに沿った第2の軸線の移動との両方が存在する。このガイドに沿った第2の軸線の変位は、直動可能な指令部材の2個の連続している交互の運動の間に、ある方向に、そして反対の方向に発生する。第1の端位置で、第1の軸線は前方開口の平面と実質的に同一平面にまたはその平面の近くに配置されており、この構成に対して、扉の閉じている位置と開いている位置が対応している。第2の端位置に対応して、軸線は前方開口の平面から直交方向に離れており、この構成には、扉の中間位置が対応している。
【0016】
家具物品は、両扉を第2の位置に向けて移動している間に、第2の扉を第1の扉に対して第2のヒンジ接続軸線を中心に回転させる手段を有していることが好ましい。特に、回転が徐々であって、1個または各扉の直動運動に同期しているように、手段は構成されており、たとえば、家具物品は、扉の第2/第1の位置に向けた移動中に、第2の扉を第1の扉に向けて/離れるように第2のヒンジ接続軸線を中心に回転させる手段を有している。
【0017】
直動可能な指令部材は、コンパートメント上に直動可能に取り付けられており、コンパートメントの奥行きを示している方向に実質的に平行にコンパートメントに対して摺動するように垂直な壁を有していることが好ましい。直動可能な指令部材は、互いに直交しており、コンパートメント上に、そしてコンパートメントに対して移動可能に取り付けられている2個の垂直な壁を有していることがより好ましい。第1の変形例において、2個の垂直な壁は、Lとして配置されており、扉がまとめられたときに扉が収容される第2のコンパートメントつまり収容領域を区画するように、コンパートメント上に、そしてコンパートメントに対して移動可能に取り付けられている。第2の変形例において、2個の垂直な壁は、Tのように配置されており、扉がまとめられたときに扉が収容される第2のコンパートメントつまり収容領域を閉じるように、コンパートメント上に、そしてコンパートメントに対して移動可能に取り付けられている。これによって、扉を使用していないときに、扉を覆い、ほこりから保護し、それらの機構に対する偶発的な衝撃を避けることができる。
【0018】
家具物品は、戻し要素つまり力を直動可能な指令部材に作用させる手段を有していることが好ましい。戻し要素つまり手段は、直動可能な指令部材を休止位置、つまり第1の端位置に向けて移動させるように作動する。したがって、使用者は、第1の端位置から第2の端位置に移動させるように、直動可能な指令部材を自分に向けて引くだけでよく、直動可能な指令部材は、解放されたときに、戻し要素つまり手段によって、自動的に位置に戻ることになる。
【0019】
家具物品は、直動可能な指令部材用のガイドシステムを有していることが好ましい。特に、駆動システムは、
家具物品の奥行きの方向に沿って配置されている家具物品の枠に一体の第1のガイドと、
家具物品の高さの方向に沿って配置されている指令部材に一体の第2のガイドと、
直動可能な指令部材が2個の位置の間を移動する時に、第1のガイド及び第2のガイドに同時に沿って直線状に摺動できるように取り付けられている部材と
を有している。
【0020】
より具体的に、駆動システムは、
第2のガイドとして、家具物品の奥行きの方向に沿って配置されている家具物品の枠に一体の2個のバーと、
ガイド沿って直線状に摺動可能で、直動可能な指令部材に摺動するように結合されている2個のスキッドと
を有している。
【0021】
さらにより具体的には、2個の平行なバーは、水平方向に対して傾斜しており、2個のスキッドは、それに対して垂直に移動可能なように直動可能な指令部材に一体の垂直のガイドに結合されている。
【0022】
スキッドは、たとえば、スキッドが移動する時の粘性摩擦と同等の抵抗力を発生するように、たとえば、磁性ブレーキまたは緩衝器を有していることが好ましい。
【0023】
衝撃または振動を避けるために、家具物品は、指令部材が休止位置と指令部材が水平方向にオフセットしている位置との間を移動するその移動を終了するときに、直動可能な指令部材を制動するための緩衝器を有していることが好ましい。
【0024】
組み立てを促進するために、扉は、ガイドに摺動するように取り付けられているキャリッジに締結することによって、ガイドに結合されている。
【0025】
ガイドの第1のセグメント及び第2のセグメントは、キャリッジ及び/またはガイドの摺動に役立つように、湾曲している接合部分によって接続されていることが好ましい。
【0026】
ガイドの第1のセグメント及び第2のセグメントは、摺動可能なそれぞれの車輪がキャリッジ上に回転可能に設けられている横に並んで配置された2個のトラックを区画する垂直の壁、たとえばL形状のもの、を有していることが好ましい。特に、キャリッジは、最も内側のトラック内で摺動可能な車輪が前進方向に沿って他方の車輪を前進させるように、キャリッジ上に取り付けられているそれぞれのトラック内で各々が係合している2個の車輪だけを有している。このように、Lの湾曲をキャリッジがより滑らかに移動し、キャリッジによって運ばれる扉は、L形状の湾曲が係合するやいなや、家具物品の外側を素早く移動する。
【0027】
直動可能な指令部材はアルミニウム枠であることが好ましい。
【0028】
該側部つまり側面を構成している家具物品の垂直な壁は、接続接合部分が配置されており、キャリッジが一方のセグメントから他方へ移動するように通過可能な凹部つまり入口を有しているように単純で堅牢な構造になっていることが好ましい。
【0029】
本発明の利点は、添付の図面を参照した好ましい実施形態の以下の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】既知の1個の家具の扉の開く過程を平面図で模式的に示している。
図1b】、既知の1個の家具の扉の開く過程を平面図で模式的に示している。
図1c】既知の1個の家具の扉の開く過程を平面図で模式的に示している。
図1d】既知の1個の家具の扉の開く過程を平面図で模式的に示している。
図2a】本発明の1個の家具の扉の開く過程を図3aの平面Sについて平面図で断面を模式的に示している。
図2b】本発明の1個の家具の扉の開く過程を図3aの平面Sについて平面図で断面を模式的に示している。
図2c】本発明の1個の家具の扉の開く過程を図3aの平面Sについて平面図で断面を模式的に示している。
図2d】本発明の1個の家具の扉の開く過程を図3aの平面Sについて平面図で断面を模式的に示している。
図2e】本発明の1個の家具の扉の開く過程を図3aの平面Sについて平面図で断面を模式的に示している。
図3a図2a~2eに関連して家具物品の3次元の図を示している。
図3b図2a~2eに関連して家具物品の3次元の図を示している。
図4a】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図4b】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図4c】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図4d】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図5a】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図5b】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図5c】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図5d】扉の閉じる過程を平面図で示している。
図6】家具物品の変形例の3次元の図を示している。
図7】家具物品の変形例の平面図を示している。
図8a】2個の異なる構成の一方における家具物品の後ろからの3次元の図を示している。
図8b】2個の異なる構成の一方における家具物品の後ろからの3次元の図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面において、同じ番号は、同じまたは概念的に類似している部分を示しており、要素は、使用状態で説明している。
【0032】
本発明の家具物品MCは、コンパートメント20によって構成されているモジュール(図3a、3b)を有しており、コンパートメント20は、底22、天井24、コンパートメント20の幅だけ互いに離れている2個の側部の垂直の壁26、及び後方壁28によって区画されている外側に向いて開いている空間を定めている。
【0033】
コンパートメント20は、コンパートメント20の前で摺動可能な2個の扉30、32によって止めることができる前方範囲を形成している。
【0034】
扉30、32は、コンパートメント20を閉じたり、外側からアクセスできるようにしたままにしたりするように、コンパートメント20の前で蛇腹のように移動可能である。移動中、扉30、32は常に垂直のままで、それらの相対位置をコンパートメント20に対して変更する。コンパートメント20が閉じられているときには、扉30、32は互いに隣り合っており、同一平面上にあるのに対して(図2a)、コンパートメント20を露出させるために、扉30、32は、コンパートメント20の一方の側で互いに積み重ねるように移動可能である(図2d~2e)。
【0035】
30で、扉30、32を積み重ねることができるコンパートメント20の側から最も遠い扉を慣習的に示しているのに対して、32でその側に最も近い扉を示している。
【0036】
扉30、32の(互いに最も近い)隣接している側は、垂直なヒンジ接続軸線Xを中心に1つにヒンジ接続されている。または、扉32は、キャリッジ40にヒンジ接続され得る。
【0037】
扉30は、水平方向に、そしてコンパートメント20に対して横方向に摺動するように移動可能なキャリッジ40だけによって支持されている。
【0038】
移動可能なキャリッジ40は、たとえば、(図2bの拡大図を参照)プレート44を有していて、プレート44には4個の車輪42が長方形の頂点に従って取り付けられており、車輪42はキャリッジ40が前後に移動可能なL形状の平坦なガイド上に係合している。安定性のために、車輪42は、たとえばガイドの対向している側に対になって配置されている。
【0039】
ガイドは、水平で互いに直交している2個の直線のセグメント52、54を有している。
【0040】
第1のセグメント52は、コンパートメント20の前方縁(または、同様に、扉30、32が同一平面で横に並んでいる平面に対して)に平行であって、面一である。第2のセグメント54は、コンパートメント20の前方縁に直交している(または、同様に、扉30、32が横に並んでいる平面に対して直交している)。セグメント54は、2個の壁26の一方に平行で、隣接して、そして外側に取り付けられている。セグメント52及びセグメント54は、湾曲しているまたはL状に曲がっていることが好ましい接合部分56によって接続されている。
【0041】
セグメント52は、コンパートメント20の外側の縁のわずかに内側に保持されるように、天井24に固定されていることが好ましい。第2のセグメント54は、接合部分56を組み立て、キャリッジ40が一方の直線状のセグメントから他方へ通過できるようにする凹部26rを有している側壁26の外側に固定されている。L形状のガイドが天井24の上方に取り付けられている場合、凹部26rは省略され得る。
【0042】
より安定させるために、扉30の基部もキャリッジ40と同等なキャリッジによって案内されていることが好ましく、2個のキャリッジは同期して動かすことができる。しかし、たとえば、キャリッジ40と同様なただ1つの、またはもう1つのキャリッジが扉30の半分の高さに位置している他の変形例も可能である。
【0043】
扉30は、他方の扉32にヒンジ接続されている扉30自体の垂直方向の縁、つまりキャリッジ40に固定されているセグメント54に面する扉30の縁の位置で、キャリッジ40に結合されている。
【0044】
前述のようにすることによって、そして従来のように使用されることで、扉30は、唯一キャリッジ40に取り付けられており、扉32は、扉30、32が同一平面であるときにセグメント54に最も近い扉である。
【0045】
扉30、32の移動を簡単にするために、家具物品MCは、壁26に平行な(言い換えると、セグメント54に平行な、つまり壁28に直交する)方向に沿って、直線状に-Din及びDoutで示している直動方向を参照-直動可能な移動可能な枠、側面、つまり部材60(図2bを参照)を有している。移動可能な枠、側面、つまり部材60は、たとえば、コンパートメントの側部に取り付けられている直線状のガイド、または他の既知の手段、たとえばスキッドによって直線状に直動可能である。
【0046】
図2a~2e及び3a~3bにおいて、部材60は、家具物品MCの移動可能な側部の変形例に示されており、平面視でL形状の断面を有し、扉30、32がまとめられたときには隣接している壁26と共に収容コンパートメントを区画する。この好ましい変形例によれば、部材60は、壁26とほぼ同じ大きさの垂直方向の横方向の壁62及び壁62に直交しており壁28に平行な前方壁64を有している。
【0047】
軸線Xとは反対側の扉32の端は、垂直な軸線X2を中心に部材60にヒンジ接続されている(図2c及び3a~3b)。必要に応じて、扉32が壁62に対して狭くなりすぎないことを補償する接続スペーサ70が存在する。要素70は、コンパートメントが閉じられたときに扉30、32及び前方壁64を平坦にするヒンジのアームであり得る。
【0048】
前述の構造のおかげで、扉30、32を部材60の作動によってコンパートメント20の前でそれから移動させることが可能で、困難な態様での手による、または他の手段による扉30、32の移動を避けることができる。
【0049】
扉32と部材60との間の結合は有利であるが、それは、同一平面の状態(図2a)からまとめられ隠されている状態(図2e)まで、またはその反対に、扉30、32を共に移動させる際に、使用者は(たとえばハンドル66を介して)部材60を前後に移動させるだけでよいためである。これによって、扉30、32の変位動作が簡単になる。
【0050】
前方壁64が壁26の前方縁上に乗って(図2e)、扉30、32によってコンパートメント20が閉じられたときに、最後に扉30、32と同一平面になるように、部材60はセグメント54を取り付ける垂直な壁26に平行に前後に(方向Din及びDoutに)直動可能である。
【0051】
図2~2eに示している構成の過程を参照する。
【0052】
図3a~3bは、図2bの家具物品MCの構成を3次元で示している。
【0053】
図2aにおいて、扉30、32は、コンパートメント20を閉じるように、同一平面内にあって、互いに隣接している。ここでキャリッジ40は、行程の最後で、セグメント52上にある。
【0054】
コンパートメント20を露出させるために、部材60はコンパートメント20から徐々に取り出される、つまり、部材60の牽引力は、部材60を物品MCから取り出す(Dout方向)(使用者に向かう移動させる、つまり、後方壁28からの後退させる)ためには充分である。部材60のこの変位によって、衝撃が扉30に扉32を通して付与される。それから、扉30は、セグメント54に向けて移動し(図2aの右側)、キャリッジ40は、セグメント52上を(図2b)結合部56に向けて移動し、扉30のセグメント54に向けた水平方向の直動を定める(図2aの方向V)。一方、扉32はX軸線を中心に回転し、部材60にヒンジ接続されているその垂直方向の縁をコンパートメント20から離れるように、そして、扉30に近づいて重なるように移動させる。キャリッジ40が、接合部分56に到達するまでセグメント52上を移動すると(図2c)、扉32は軸線Xを中心に扉30に向けて回転し続ける。
【0055】
部材60によって与えられる初期の動きの衝撃は、扉30をガイドに沿って動くようにするだけでなく、キャリッジ40を押して、扉32を接合部分56まで移動させ(図2c)、慣性によって扉32を接合部分56を越える(図2d)のに充分な運動エネルギーを扉30に与える。
【0056】
接合部分56に到着すると、キャリッジ40は、接合部分56を通り、通過し、セグメント54上を動き始める(図2d)。接合部分56の湾曲の間、扉30は、図2aの自体の初期位置に直交するまで、キャリッジ40と一体に扉32に向けて回転する。一方、扉32は、部材60の壁62に対して平坦になっている。
【0057】
この点において(図2d)、扉30、32は、互いにまとめられており、物品MCの内側に部材60を戻して(後方壁28に向けた変位)、キャリッジ40の接合部分56を越えた移動を終了させる(図2e)には、部材60を(方向Dinに)わずかに押すだけで充分である。この最後の動きの間に、キャリッジ40は、接線方向に、そして壁26に平行に後方壁28に向けて移動する。
【0058】
キャリッジ40は、セグメント54上を接合部分56の反対の端位置まで継続して移動する(図2e)。最後の位置で、扉30、32は、互いにまとめられて、両方がコンパートメント20に対して横方向に、セグメント54が取り付けられている壁26の外側に位置する。
【0059】
コンパートメントを覆うように、部材60は再度引き出され、扉30、32の移動が逆の順番で繰り返される。
【0060】
前述の開くまたは閉じる動作は使用者を疲れさせるものではなく、扉30、32の移動はほとんど自動的に行われる。コンパートメント20を開く場合と閉じる場合の両方で、扉30、32の運動を開始させるためには、部材60を引き、部材60を物品MCから(Doutの方向に)取り出す(使用者に向けて変位させる、つまり後方壁28から離す)だけで充分である。部材60のこの変位は、扉30をガイドに沿って動かすだけではなく、キャリッジ40を接合部分56まで押し(図2c)、慣性によって接合部分56を越えさせる(図2d)のに充分な運動エネルギーを扉30に扉32を通して与える衝撃を加え、これは、L形状のガイドの2個の反対の移動方向に当てはまる。物品MC内に戻して(後方壁28に向けて移動させて)、キャリッジ40の接合部分56を越えた移動を終了させるには、部材60をわずかに(方向Dinに)押すだけで充分である(図2aまたは図2e)。
【0061】
そのため、扉30の加速されている質量は、部材60上のコンパートメント20に向けた推力(図2cの方向Dinを参照)が扉30、32に対して効果を生まないか、またはそれらを止めてしまいがちな死点(図2cと2dとの間のほぼ中間の構成)を避けて、キャリッジ40が接合部分56に沿って移動できるようにする一種の弾み車を構成している。
【0062】
物品MCは、部材60を壁28に向けて(方向Din)戻すように、部材60の戻し手段(たとえばばねやつり合い重り)を有していることが好ましい。このように、使用者は、キャリッジ40が接合部分56を越えるか接合部分56に進入するまで部材60を自分に向けて引くだけでよい。その後、部材60を解放し、部材60は、戻し手段によって駆動されている扉30、32と共にその移動を終えることになる。
【0063】
物品MCは、部材60が、方向Dinでその移動を終えるときに、部材60を緩やかに制動する緩衝器を有していることが好ましい。このように、端位置での衝突と速すぎる急な動きが防止される。
【0064】
家具MCは、図1a~1cの扉12、14のような蛇腹を形成するように扉30に後の端で接続される第3の扉を有し得る。
【0065】
本発明の1個の家具は、図4a~4dの物品MC2の変形例に示しているように、ただ1個の扉も有し得る。部材60の構造、キャリッジ40の構造、及びL形状のガイドの構造は、前述のものと同じである。
【0066】
コンパートメント80は、1個の摺動する扉82で閉じることができる前方開口を有している(図4a)。扉82は、(扉32のように)部材60にヒンジ接続されている側部を有し、反対の側部はキャリッジ40に支持され、ヒンジ接続されている(ここでは図示していない)。
【0067】
コンパートメント80を露出させるには、扉82が部材60上で平坦になって、元の位置に対して直交するまで(図4c)、前述のように、扉82の摺動する縁がセグメント52、54に沿って移動するように(図4b)、第1の部材60が引かれる。それから、部材60は、扉82を隠すように物品MC2に向けて押され(図4d)、セグメント54上でのその行程を終了し、最後はキャビネットMC2の側部と平行になる。
【0068】
本発明の1個の家具は、たとえば、図5a~5dの変形例MC3に示しているように、自動的に扉をまとめる手段を有し得る。部材60の構造、キャリッジ40の構造、及びL形状のガイドの構造は、たとえば、前述のものと同等である。
【0069】
ここで、コンパートメント90は、2個の摺動する扉92、94によって閉じることができる前方開口を有している(図5a)。扉92、94は、それぞれ物品MCの扉30、32と同様に接続されており、扉92、94をまとめているときに(図5b)、トルクを扉90に作用させてX軸線を中心に扉94に向けて回転させる機構が追加されている。
【0070】
したがって、扉92、94は、コンパートメントの横に配置する前に(図5d)、既に重なっており、同一平面内にある(図5c)。他の利点は、キャリッジがまだ死点を通過していない時に、コンパートメントはより開いていることにある。
【0071】
この機構は、たとえば、同期しているヒンジ(つまり、角度方向の開きを同期させるヒンジ)、または、X軸線に取り付けられてトルクを発生するばねを使用して実装することができる。
【0072】
機構は、コンパートメントの閉じる段階中は、扉90を反対の方向に回転させるように動作することが好ましい。
【0073】
機構及び家具物品MC、MC2、またはMC3は、多くの変形を行うことができる。図6の家具物品MC4およびそれに続く家具物品は、単独で、または1個のまたは各変形例MC、MC2、またはMC3において組み合わせることによって使用可能なそれらのいくつかを示している。
【0074】
扉30は、水平方向に、そしてコンパートメント20に対して横方向に摺動するように移動可能な140で示している異なるキャリッジによって支持されている。扉30と扉32との間の接続は、たとえば図3aに対して変更されていない。
【0075】
移動可能なキャリッジ140は、たとえば、2個の車輪142a、142bが垂直方向に枢動してそれぞれの(X及び/またはX2に平行な)軸線X7を中心に回転するプレート144を有している(図6の拡大を参照)。
【0076】
車輪142a、bは、前述のように、キャリッジ140が前後に移動できるL形状の平坦なガイド上に係合し摺動する。ガイドは、水平で互いに直交し、湾曲している肘形状のセグメントによって接続されている2個のまっすぐなセクション152、154を有している。セクション152、154は、セグメント52、54と機能的に同様である。
【0077】
車輪142a、bの軸線X7は、平行にわずかにオフセットしている垂直方向の平面内に含まれている。そのため、車輪142a、bの一方、最も内側のトラックを走行する車輪は、他方の車輪に対して、後方壁28により近く、セクション154にもより近い。車輪142a、bは、それぞれのトラックの内側を摺動して、扉を移動させる。車輪142a、bのキャリッジ140上の相対的な配置は有利であるが、それは、セクション152、154の湾曲している接合部分に到達したときに、キャリッジ140は、扉30を支持しながら扉30と共に外向きに回転するからである。
【0078】
この変形例において、セクション152、154は、横に並んでいる2個のトラックからなり、その内側を車輪142a、bが案内されている態様で摺動することが可能で、たとえば、トラックは、横に並んでいる3個のL形状の垂直方向の隔壁199で作り得る。
【0079】
図7を参照して、車輪142a、b用のトラックの開始部分は、閉じている扉30の位置に対応して、湾曲198を有している他の好ましい変形例を想像し得る。湾曲198は、トラックの向きから後方壁28に向けてわずかに逸脱しており、したがってキャリッジ140は、扉30、32がコンパートメント20を覆う端位置で後方壁28に向けてわずかに押し戻され、それによって、扉30はコンパートメント20に向けて直動する。したがって、扉30は、障害物なしに摺動するように、家具物品からわずかに間隔を開けて摺動する一方で、よりよく閉じるように1個の家具の枠に接着される。
【0080】
枠、側面、つまり移動可能な部材60(図6を参照)は、異なる構造も有し得る。枠、側壁、つまり移動可能な要素の変形例を160で示しており、前述のように直線状に直動可能である。しかし、その形状は、壁26とほぼ寸法が等しい垂直方向の側壁162及び壁62に直交し壁28に平行な前方壁164からなる新しい例において変更されている。前方壁164及び壁162は、Tの断面を形成し、つまり、前方壁164は、中点の想像上の線に対応している壁162の垂直な縁に取り付けられている。前方壁164は、2個または3個以上の同一平面内のパネルからも形成し得る。
【0081】
たとえば60または160で示しているような指令部材と家具の残りの部分との間の結合は、前述の同じ一般的な動作を維持しながら、変化し得る。
【0082】
たとえば、図8a、8bは、部材60または160の直動を摺動するように支持する様々な方法を示している。
【0083】
たとえば60または160のように作られている指令部材は、2個のスキッド210が直線状に摺動可能な垂直方向のガイド200と一体である。たとえば、スキッド210は、たとえば、ガイド200上のスキッド210の動きを滑らかにする磁性ダンパを有している。
【0084】
各スキッド210は、たとえば、バー240を介して、剛性を備えて他方のスキッドに結びつけられており、1個の家具の枠に一体であって、側壁26の外側に取り付けられているそれぞれのまっすぐなバー230に摺動可能に拘束されている。2個のバー230は平行であって、互いに離れており、水平に対して傾斜していることが好ましい。
【0085】
バー240は、バー230に沿って離れずに水平方向に摺動し、スキッド210のおかげでガイド200上を垂直方向に同時に摺動する。
【0086】
扉30、32を移動させるように部材60または160が前後に移動(動きDout及びDin)するとき、摺動するスキッド210は、バー230に沿って移動し、その結果、スキッド210はガイド200に沿って一体に上下する。このように部材60または160の動きは、引っかかりや振動を避けるために安定化される。
【0087】
スキッド210と家具の枠の固定点との間にたとえばばねの弾性要素があることが好ましい。弾性部材は、スキッド210を部材60または160の端位置の一方または各々に対応している休止位置に向けて押したり引いたりする弾性力を発生する(つまり、家具物品の枠内に挿入されるか、枠から完全に取り出される)ように取り付けられている。この弾性要素は、部材60または160の動きを促進する及び/または補助する役割がある。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7
図8a
図8b