(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/215 20160101AFI20230307BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20230307BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20230307BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K5/22
H02K11/33
(21)【出願番号】P 2019014240
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】磯永 賢
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-112516(JP,A)
【文献】特開2006-320109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
界磁用永久磁石を有するロータと、
前記ステータに設けられた端子台ユニットとを備え、
前記端子台ユニットは、
前記ステータに固定された端子台と、
前記端子台
ユニットを構成する回路基板に設けられ、前記ロータの回転位置を検知する位置検知素子と、
前記端子台に設けられ、外部回路との接続を可能にする外部接続端子とを備え、
前記回路基板と前記外部接続端子とが軸方向に重なるように、且つ前記外部接続端子が前記回路基板よりも前記ステータから軸方向に離間した位置に配置されているモータ。
【請求項2】
前記位置検知素子は、他の基板に位置検知信号を出力するための信号出力端子を有し、
前記外部接続端子と前記信号出力端子とは、同一の方向で接続を行うように配置されている請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ロータは、前記界磁用永久磁石として、
一方向に磁気配向された複数の主マグネットと、前記方向とは異なる方向に磁気配向され、前記主マグネットの間に配置される複数の補助マグネットとを備える請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記主マグネットは、ロータヨークが位置する方向に磁気配向され、
前記補助マグネットは、周方向に磁気配向されており、
前記主マグネット及び前記補助マグネットの長手方向において、前記位置検知素子に対向する側の端部には、段差が設けられている請求項3に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ロータの回転位置を検出する位置検知素子を備えたモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータには、ステータに装着された端子台ユニットを介してモータコイルと外部回路とを接続する構成を採用したものがある。更に、その端子台ユニットの端子台に、ロータの回転位置を検出する磁気検出回路を一体的に設けて、モータに対する端子台ユニットの組立精度や作業性の向上を図ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成において、端子台ユニットがモータコイルに覆い被さるように取り付けられると、モータコイルから発生した熱がこもり易くなり、端子台ユニット付近のモータが温度上昇して不具合が発生する可能性がある。そのため、モータの出力を制限するなど、温度上昇に対する対策が必要であった。
そこで、組立精度や作業性を維持しながらモータコイルの放熱性を向上させた端子台ユニットを備えたモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のモータは、ステータと、界磁用永久磁石を有するロータと、前記ステータに設けられた端子台ユニットとを備える。前記端子台ユニットは、前記ステータに固定された端子台と、前記端子台ユニットを構成する回路基板に設けられ、前記ロータの回転位置を検知する位置検知素子と、前記端子台に設けられ、外部回路との接続を可能にする外部接続端子とを備え、前記回路基板と前記外部接続端子とが軸方向に重なるように、且つ前記外部接続端子が前記回路基板よりも前記ステータから軸方向に離間した位置に配置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態によるモータの一部を示す平面図
【
図3】第1実施形態の端子台ユニットの上面側からの斜視図
【
図4】第1実施形態の端子台ユニットの下面側からの斜視図
【
図5】第1実施形態の端子台ユニットの組立構成を示す縦断側面図
【
図6】第1実施形態の基板収容部及び回路基板の構成を示す平面図
【
図9】第2実施形態によるモータに端子台ユニットが取り付けられた状態を示す斜視図
【
図10】第2実施形態の端子台ユニットの下面側からの斜視図
【
図11】第2実施形態の端子台ユニットの上面側からの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(第1実施形態)
本実施形態のモータは、例えば縦型洗濯機の回転槽を駆動するアウタロータ型DCブラシレスモータに適用したもので、以下、その全体構成を示す
図1及び
図2、並びに一部を拡大して示す
図3~
図6に基づき説明する。本実施形態のモータ10は、ステータ11及びロータ12を備える。ロータ12は、特に
図2に示すように浅皿容器形状をなす磁性体製のフレーム13と、フレーム13の周壁部の内周面に沿って配置された円環状のロータコア14と、ロータコア14の内周面に沿って配置された界磁用永久磁石15とを備える。ロータコア14,界磁用永久磁石15及びフレーム13は、
図2のみに示すモールド樹脂16により一体成型されている。なお、フレーム13の中央部には、図示しない回転槽回転軸の端部に連結されるボス17が埋設されている。
【0009】
一方、ステータ11は、放射状に延びる多数個のティース18を有するステータコア20と、ステータコア20を覆う絶縁カバー21と、絶縁カバー21のうち前記ティース18を覆う部分に巻回されたコイル22とを備えて構成されている。ステータコア20は、複数毎の鋼板を積層して構成されている。また絶縁カバー21は、非導電性の合成樹脂製であり、前記ステータコア20を軸方向の両側から挟みこむ一対のカバー部材21a,21bから構成されている。
【0010】
カバー部材21bの端部には、コイル22に対向する部位にかけて端子台ユニット30が装着されている。この端子台ユニット30は、コイル22を図示しない外部回路に電気的に接続するための端子台31と、端子台31に設けられ後述する回転センサなどを有する回路基板50とを備えている。端子台31は、カバー部材21bの端部に設けられ、
図2及び
図5に一部のみ示す複数の係合部211と、端子台31側の対向する位置に設けられた係合突片311との弾性係合によりカバー部材21bに取付固定され、以って端子台ユニット30がステータ11に設けられている。
【0011】
また、カバー部材21bの端子台31が装着される部分には、矩形筒状をなす6個の凹収容部212が一体に成型されている。凹収容部212は、カバー部材21bの内周部に沿って配置されている。端子台31の
図5中右方向に位置する3個の収容部212aには、コイル12の外部接続用の端子と接続した凹端子213が設けられ、また残る3個の凹収容部212は、コイル22のコモン接続用端子部が接続される図示しない端子が設けられている。収容部212a,凹端子213については、
図5に1個のみ示す。
【0012】
端子台31は、非導電性の合成樹脂で構成されている。端子台31の
図4中下方には、コモン接続用の端子に対応する位置に凸端子33bが、外部接続用の端子凹端子213と対応する位置に凸端子33aがそれぞれ埋設されている。かかる端子台31を絶縁カバー21に装着した際に、カバー部材21bの凹端子213等と端子台31側の凸端子33とが電気的に接続される。端子台31の外周側には、矩形筒状をなす3つのコネクタ部35があり、そのコネクタ部35に外部回路の図示しないコネクタが嵌合されることで、3個の凸端子33aは外部回路に接続される。
【0013】
また、
図4に示すように、コネクタ部35の図中下方には、矩形枠状の収容壁36によって区画された基板収容部37が端子台23と一体的に形成されている。基板収容部37には、矩形板状の回路基板50が収容されている。
図6に示すように、収容壁36の内周面には、回路基板50の外周部を係止する複数の爪部38が設けられている。爪部38の一部は回路基板50の一方の面を係止し、残りは他方の面を係止するようになっている。これにより、回路基板50は基板収容部37内に固定される。
【0014】
回路基板50には、
図6に示すように、チップ部品であるダイオード51やコンデンサ52、回転センサとしてのホール素子53などを備えた図示しない磁気検出回路が設けられている。ダイオード51及びコンデンサ52は、回路基板50の一方の面に実装されている。また、回路基板50の一方の面の端部には、基板コネクタ部54が設けられている。
図5に示すように、基板コネクタ部54内には、外部接続用の導電板55の一端部が突出している。基板コネクタ部54に図示しない外部回路のコネクタを嵌合することにより、回路基板50は、ホール素子53が検知した信号を外部回路へ出力できる。導電板55の他端部は、回路基板50に半田付けされている。なお、基板収容部37内には、回路基板50が露出しないように防湿材としての図示しないウレタンによるポッティングが施されている。
【0015】
以上説明した本実施形態によれば、モータ10は、ステータ11に端子台ユニット30を備えている。端子台ユニット30は、電源回路などの外部回路とコイル22とを接続するコネクタ部35と、ロータ12の回転を検知するホール素子53を搭載した回路基板50とを備えている。コネクタ部35と回路基板50は、ロータ12の回転軸方向に重なるように設けられており、そのうちコネクタ部35は、回路基板50よりステータ11から離れた位置に設けられる。
【0016】
このように、コネクタ部35と回路基板50とを回転軸方向に重ねたことで、端子台ユニット30がコイル22を覆う面積が少なくなり、コイル22の放熱を促すことができる。また、コネクタ部35を、回路基板50よりステータ11から離れた位置に設けることで、コイル22と端子台23との間に空間が生じるため、ステータ11と端子台23との間にコイル22が発生させた熱がこもりにくくなる。よって、端子台ユニット30を備えるモータ10の組立精度や作業性を維持したまま、モータ10の放熱性を向上させることが可能になる。
【0017】
また、端子台31の上面を、軸方向に突出するような部材を配すことなくフラットな形状にすることで、特別な冶具を利用せずとも回路収容部37を水平に保ち、回路基板50にウレタンによるポッティングを均一に施すことができる。
なお、本実施形態では回路基板50を端子台31と平行となるよう配置したが、回路基板50を端子台31に対して垂直になるように設けても良い。
【0018】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図7から
図11を参照しながら説明する。
図7に示すように第2実施形態は、ロータ41に、一方向に磁気配向された複数の主磁石と151、前記方向とは異なる方向に磁気配向され、主磁石151の間に配置される複数の補助磁石152とを備えるモータ40に適用したものである。
【0019】
第2実施形態では、ロータコア14はなく、主磁石151及び補助磁石152並びにフレーム13がモールド樹脂16により一体に成形されている。また、主磁石151と補助磁石152とでは、主磁石151のほうがロータ41の周方向幅が広い。さらに、主磁石151と補助磁石152は、ロータ41の軸方向の端部において段差ができるよう設けられている。端子台31Aが設けられる側の端部では、主磁石151はフレーム13から突出するよう設けられている。
【0020】
また、第2実施形態の端子台ユニット70は、回路基板80を端子台71に垂直に収容するようにした端子台71を用いている。第2実施形態のモータ40と、端子台ユニット70について、
図8~11に基づき説明する。
【0021】
図8は、端子台ユニット70が取り付けられた状態のモータ40の縦断側面図、
図9は、端子台ユニット70が取り付けられている部分のモータ40の斜視図を示す。
図10,
図11は、回路基板80を取り外した状態の端子台ユニット70を図中下面側から見た斜視図、同上面側から見た斜視図を示す。
【0022】
端子台ユニット70は、第1実施形態の端子台ユニット30と異なり、回路基板80を端子台71の平面に対して垂直に収容する構成となっている。端子台71の収容壁76は外周側から見ると、長辺側がロータ41の周方向に、短辺側が同軸方向に沿った矩形枠状である。また、収容壁76の外周側には、切り欠き部761が形成されている。
【0023】
回路基板80は、基本的に回路基板50と同様の構成であるが、第1実施形態ではリード部分が90度折り曲げられた状態で実装された基板コネクタ部54が、第2実施形態では、折り曲げられることなく実装されている。そして、回路基板80は、基板コネクタ部84が収容壁76の切り欠き部761に嵌り込む状態で基板収容部77に収容される。その状態で、基板コネクタ部54は、導電板55を臨む部分が径方向を向くようになっている。
【0024】
ホール素子53は、回路基板80が基板収容部77に収容された状態で、界磁用永久磁石15の側面と対向する位置に、且つロータ41の軸方向において、主磁石151の端面と補助磁石152の端面との間に位置するように設けられる。
【0025】
以上説明した第2実施形態によれば、一方向に磁気配向された複数の主磁石と151、前記方向とは異なる方向に磁気配向され、主磁石151の間に配置される複数の補助磁石152とを備えたロータ41を有するモータ40においても、コネクタ部35と回路基板80とを、ロータ41の軸方向に重ねるように配置した端子台71を適用できる。
【0026】
また、モータ40において、主磁石151と補助磁石152をロータ41の回転軸方向にずらして配置し、主磁石151と補助磁石152の端部に段差を設けた。さらに、回路基板80を端子台71に対して垂直となるように収容し、ホール素子53が界磁用永久磁石15の側面に対向し、ロータ41の軸方向において主磁石151の端部と補助磁石152端部との間に位置するようにした。
【0027】
これにより、ホール素子53は、主に主磁石151の側面に対向するようになる。そのため、ホール素子53は、主磁石151からの磁力を、補助磁石152からの磁力に比較して強く受けるようになり、モータ40においても主磁石151の磁極判別を安定して行うことができる。よって、ロータ41の回転位置を安定して検出できる。
【0028】
なお、第2実施形態では、主磁石151と補助磁石152をずらして配置することで双方の端部に段差を設けたが、双方のロータ41の軸方向長さを異ならせることで段差を設けてもよい。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
図面中、10は洗濯機、151はモータ、32は駆動制御部、33はスイッチ温度検知部、41はインバータ回路、42は駆動用電源回路、50はIGBT、51は抵抗素子、76は回転センサ、81は電流検出部、82はベクトル制御部、83は電圧制御部、84はPWM信号生成部を示す。