(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】車両の配車管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/13 20060101AFI20230307BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230307BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230307BHJP
【FI】
G08G1/13
G01C21/26 B
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2019025834
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 浩幹
(72)【発明者】
【氏名】富張 金剛
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和正
(72)【発明者】
【氏名】平林 知己
(72)【発明者】
【氏名】山崎 勝
(72)【発明者】
【氏名】町川 高明
(72)【発明者】
【氏名】川原 尚也
(72)【発明者】
【氏名】河野 匡貴
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一起
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-146500(JP,A)
【文献】特開2016-091411(JP,A)
【文献】特開2018-122650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された複数の乗降地のうちの一の乗降地において乗車した乗客又は荷物を、前記複数の乗降地のうちの他の一の乗降地へ輸送する車両の配車を管理する配車管理装置であって、
前記車両を利用する旨の利用申請であって、前記乗客又は荷物が乗車又は降車する第1の乗降地を含む利用申請が入力される利用申請入力部と、
前記第1の乗降地に車両が停車できない場合の代替の乗降地として、1以上の第2の乗降地を設定する代替乗降地設定部と、
前記利用申請に含まれる第1の乗降地に対して、前記第2の乗降地が設定されている場合には前記利用申請を受け付け、前記第2の乗降地が設定されていない場合には前記利用申請を受け付けない利用申請受付部と、
前記利用申請受付部にて受け付けられた利用申請に基づいて、前記車両の配車を管理する管理部と、
を備える車両の配車管理装置。
【請求項2】
前記代替乗降地設定部は、前記複数の乗降地のうちの一の乗降地に対し、道路を走行した場合の走行距離が所定距離以内にある乗降地、及び/又は、道路を走行した場合の走行時間が所定時間以内にある乗降地を前記複数の乗降地から抽出し、当該乗降地を前記第2の乗降地に設定する請求項1に記載の車両の配車管理装置。
【請求項3】
前記利用申請受付部は、前記車両の利用目的を含む利用申請を受け付け、
前記代替乗降地設定部は、前記複数の乗降地のうちの一の乗降地に対し、前記利用目的を達成できる乗降地を前記複数の乗降地から抽出し、当該乗降地を前記第2の乗降地に設定する請求項1に記載の車両の配車管理装置。
【請求項4】
前記代替乗降地設定部は、前記第1の乗降地から前記第2の乗降地に至る右回りの経路と左回りの経路とを演算し、前記右回りの経路と左回りの経路のうち、走行距離又は走行時間が最短の経路を前記第1の乗降地から前記第2の乗降地に至る経路に設定する請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の配車管理装置。
【請求項5】
前記代替乗降地設定部は、前記第2の乗降地が複数設定されている場合には、前記右回りの経路及び前記左回りの経路は、設定された全ての第2の乗降地を経由する最短距離又は最短時間の経路として演算する請求項4に記載の車両の配車管理装置。
【請求項6】
前記管理部は、
配車が可能な車両に対し、現在地から前記第1の乗降地へ走行し、当該第1の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力し、
前記第1の乗降地において停車できない旨の信号を入力した場合には、前記代替乗降地設定部により設定された前記第2の乗降地を抽出し、前記車両に対し、現在地から前記第2の乗降地へ走行し、当該第2の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する請求項1~5のいずれか一項に記載の車両の配車管理装置。
【請求項7】
前記管理部は、
前記第1の乗降地において停車できない旨の信号を入力した場合に、前記代替乗降地設定部により設定された前記第2の乗降地と、前記最短の経路とを抽出し、前記車両に対し、前記最短の経路に沿って現在地から前記第2の乗降地へ走行し、当該第2の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する請求項4又は5に記載の車両の配車管理装置。
【請求項8】
前記管理部は、
前記第2の乗降地が複数設定されている場合に、最初の第2の乗降地において停車できない旨の信号を入力したときは、前記車両に対し、前記最短の経路に沿って現在地から次の第2の乗降地へ走行し、当該次の第2の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する請求項7に記載の車両の配車管理装置。
【請求項9】
予め設定された複数の乗降地のうちの一の乗降地において乗車した乗客又は荷物を、前記複数の乗降地のうちの他の一の乗降地へ輸送する車両の配車を管理するコンピュータ
が実行する車両の配車管理方法であって、
前記コンピュータが、
前記車両を利用する旨の利用申請であって、前記乗客又は荷物が乗車又は降車する第1の乗降地を含む利用申請が入力される利用申請入力ステップと、
前記第1の乗降地に車両が停車できない場合の代替の乗降地として、1以上の第2の乗降地を設定する代替乗降地設定ステップと、
前記利用申請に含まれる第1の乗降地に対して、前記第2の乗降地が設定されている場合には前記利用申請を受け付け、前記第2の乗降地が設定されていない場合には前記利用申請を受け付けない利用申請受付ステップと、
前記利用申請受付ステップにて受け付けられた利用申請に基づいて、前記車両の配車を管理する管理ステップと、を実行する車両の配車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー、荷物配送車、乗合自動車その他の商用車を含む車両の配車管理装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロッカーを搭載した自動運転車両が、配送センターから受取人の自宅前まで走行し、受取人が、自宅を出て自動運転車両のロッカーから荷物を受け取るといった自動運転車両を用いたオンライン配送システムが知られている。この種の自動運転車両を用いたオンライン配送システムでは、受取人が自宅で荷物を受け取るために、自動運転車両は自宅前に駐停車するが、自宅前に駐停車することが不可能である場合には、その駐停車予定位置の周辺で駐停車が可能な位置を探索し、そこに自動運転車両を停車させる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のオンライン配送システムにあっては、自動運転車両が配送先である自宅前に到着して初めて、駐停車予定位置に駐停車できないことが判る。そのため、駐停車予定位置の周辺に駐停車が可能な位置が一つもない場合には、その自動運転車両は目的地を失うことから、自律走行制御が終了する。その結果、サービス利用者の利便性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、予定の乗降地に駐停車ができない場合でもサービス利用者に対する利便性の低下を抑制できる車両配車管理装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、サービス利用者が利用申請に含めて入力する第1の乗降地に車両が停車できない場合の代替の乗降地として、1以上の第2の乗降地を設定し、利用申請に含まれる第1の乗降地に対して、第2の乗降地が設定されている場合には利用申請を受け付けて車両を配車し、第2の乗降地が設定されていない場合には利用申請を受け付けないで車両を配車しないことによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サービス利用者が入力した第1の乗降地に車両が停車できない場合の代替の乗降地として1以上の第2の乗降地が設定されていない場合には、利用申請を受け付けないので、換言すれば第2の乗降地が設定されている場合にのみ利用申請を受け付けるので、目的とする乗降地に到着して初めて停車できないことが判っても、第2の乗降地に停車することができる。その結果、サービス利用者に対する利便性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る車両の配車管理装置及び方法を適用した配車システムを示すブロック図である。
【
図3】
図1の配車管理装置で実行される配車管理処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のステップS7のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図5】
図3のステップS10のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図6】乗降地の具体例と第2の乗降地の設定例(その1)を示す図である。
【
図7】乗降地の具体例と第2の乗降地の設定例(その2)を示す図である。
【
図8】第1の乗降地から第2の乗降地に至る左回りの経路を示す図である。
【
図9】第1の乗降地から第2の乗降地に至る右回りの経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る車両の配車管理装置及び方法を適用した配車システムを示すブロック図である。本例の配車システムは、配車管理装置1と、1又は複数の端末装置2と、1又は複数の車両(又はこれに搭載された車載装置)3とを備える。
【0010】
本例の配車システムは、予め設定された複数の乗降地のうちの一の乗降地において乗車した乗客又は荷物を、複数の乗降地のうちの他の一の乗降地へ輸送する輸送サービスを運営するシステムである。本例の配車システムの輸送対象は、人間(乗客)又は荷物の何れであってもよい。輸送対象が人間(乗客)である場合には、車両3としてタクシー又は乗合自動車(乗合バスや乗合タクシー)が用いられ、サービス利用者である乗客は、予め設定された複数の乗降地のうちの一の乗降地を選択してここで乗車し、ここから予め設定された複数の乗降地のうちの他の乗降地を選択してここで降車する。また、輸送対象が荷物である場合には、車両3として荷物配送車(バンやトラック)が用いられ、サービス利用者である乗客は、予め設定された複数の乗降地のうちの一の乗降地を選択してここで荷物を積み込み、ここから予め設定された複数の乗降地のうちの他の乗降地を選択してここで荷物を降ろす。
【0011】
本例の配車システムで用いられる車両3は、自律走行制御を備えた自律走行車両であることが好ましいが、ドライバが手動運転する車両であってもよい。車両3として自律走行車両を用いた場合、車両3は、通信部31と自律走行制御部32とを備え、自律走行制御部32に、通信部31を介して配車管理装置1から目的地が入力される。自律走行制御部32は、車両3の駆動系(エンジンや走行駆動用モータ)、制動系及び操舵系の各アクチュエータを制御することで、配車管理装置1から送信された目的地へ車両3を自律走行させる。なお、車両3としてドライバの手動操作による車両を用いた場合、配車管理装置1からは、車両3のナビゲーション装置又はディスプレイに目的地が送信され、ドライバがこれを視認することで目的地を認識する。通信部31は、インターネット又は商用電話回線網その他の電気通信回線網を介して、配車管理装置1と情報信号の送受信を行う。
【0012】
端末装置2は、プログラムが格納されたROMと、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMと、を備えるコンピュータであり、サービス利用者が各自で所有する。端末装置2は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
図2は、スマートフォンで構成した端末装置2であって、表示部23に、配車サービス用アプリケーションプログラムの、入力部21を含む操作画面が表示された状態を示す図である。
【0013】
端末装置2は、キーボード又はタッチパネルなどで構成され、サービス利用者からの情報を入力する入力部21と、端末装置2にインストールされた各種プログラムを制御する制御部22と、液晶ディスプレイなどで構成される表示部23と、インターネット又は商用電話回線網その他の電気通信回線網を介して、配車管理装置1と情報信号の送受信を行う通信部24と、を備える。本例の配車システムへの利用申請情報の入力操作は、端末装置2に予めインストールされる配車サービス用アプリケーションプログラムの操作画面から実行される。なお、本例の配車システムの利用申請にあたっては、サービス利用者のIDを含む各種個人情報が、端末装置2から配車管理装置1の車両・利用者データベース15へ予め登録され、これにより配車予約処理やサービス提供に対する課金処理などが行われる。
【0014】
配車管理装置1は、本例の配車システムの各種処理を実行するためのプログラムが格納されたROMと、このROMに格納されたプログラムを実行することで、配車管理装置1として機能する動作回路としてのCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMとを備えたサーバコンピュータから構成される。配車管理装置1は、本例の配車システムに係るプログラムを実行することで発揮される機能構成から見ると、利用申請入力部11と、代替乗降地設定部12と、利用申請受付部13と、管理部14と、車両・利用者データベース15と、地図データベース16と、通信部17と、を備える。
【0015】
利用申請入力部11は、サービス利用者が車両3を利用する旨の利用申請であって、乗客又は荷物が乗車又は降車する第1の乗降地を含む利用申請に係る情報信号が入力される。第1の乗降地とは、サービス利用者が所望する乗車地及び降車地を意味する。より具体的には、乗車地及び降車地の何れも所望できる場合には、サービス利用者は、
図2に示すように乗車地及び降車地の入力部21に、自分が所望する乗車地と降車地を入力する。これに対して、乗車地が予め決まっている場合は、サービス利用者は、自分が所望する降車地のみを入力部21から入力する。これにより、乗車地及び降車地、又は降車地を含む利用申請に係る情報信号が、端末装置2の入力部21、通信部24及び配車管理装置1の通信部17を介して、利用申請入力部11に入力される。
【0016】
利用申請入力部11は、第1の乗降地のほかに、車両3の利用目的を含む利用申請を受け付けてもよい。車両3の利用目的とは、買い物、観光、食事、通院、通勤、荷物の輸送といった乗車行為の目標であって、予め決められたカテゴリに分類される。そして、端末装置2の入力部21に、たとえば予め決められた複数の利用目的のカテゴリがプルダウンメニューとして表示され、サービス利用者がこれを選択することによって一の利用目的が入力される。これにより、乗降地に加えて利用目的を含む利用申請に係る情報信号が、端末装置2の入力部21、通信部24及び配車管理装置1の通信部17を介して、利用申請入力部11に入力される。なお、利用目的の入力は、後述する代替乗降地設定部12において、代替乗降地をグループ化する際の指標の一つとして供される。
【0017】
代替乗降地設定部12は、サービス利用者が端末装置2から利用申請入力部11へ入力する第1の乗降地に車両が停車できない場合の代替の乗降地として、1以上の第2の乗降地を設定する。すなわち、代替乗降地設定部12は、予め設定されている複数の乗降地のうちの一の乗降地に対し、道路を走行した場合の走行距離が所定距離以内にある乗降地、及び/又は、道路を走行した場合の走行時間が所定時間以内にある乗降地を、複数の乗降地から抽出し、当該乗降地を第2の乗降地に設定する。またこれに加えて又はこれに代えて、代替乗降地設定部12は、予め設定されている複数の乗降地のうちの一の乗降地に対し、サービス利用者が端末装置2から利用申請入力部11へ入力する利用目的を達成できる乗降地を、複数の乗降地から抽出し、当該乗降地を第2の乗降地に設定する。
【0018】
代替乗降地設定部12は、走行距離、走行時間又は利用目的の3つを指標として、複数の乗降地をグループ化し、このグループに属する乗降地をその第1の乗降地に対する第2の乗降地として設定する。
図6及び
図7は、乗降地の具体例と第2の乗降地の設定例を示す図(地図)であり、同図において実線が道路(車両3は左通行とする)を示し、P1~P22の符号が付された逆三角形の印が、予め設定されている複数の乗降地を示す。予め設定されている複数の乗降地P1~P22は、車両3が左通行であることから、1本の道路の左側に設定されている。たとえば、P7の乗降地は、右下から左上に延在する道路R1を右下から左上に向かう方向に走行した場合の左側に設定されているので、右下から左上に向かって走行する場合は、乗降のために停車できるが、逆方向、すなわち左上から右下に向かって走行する場合は、道路R1の左側ではなく右側に乗降地P7が位置するので停車することはできない。
【0019】
このようなことも勘案し、代替乗降地設定部12は、P1~P22の乗降地の全てについて、予め第2の乗降地を設定しておく。たとえば、一の乗降地P7の第2の乗降地を設定する場合は、以下のようにする。まず、乗降地P7からの走行距離が所定距離L
0以内の乗降地をグループ化してこれを第2の乗降地に設定するものとすると、
図7に示すように、第1の乗降地P7に停車できない場合を想定したものであるから、車両3は道路を右下から左上に向かって走行している場合である。したがって、乗降地P7から左上に向かって右回りに走行した場合の走行距離と、乗降地P7から左上に向かって左回りに走行した場合の走行距離との両方の走行距離を演算する。
【0020】
図7において、乗降地P4は、車両3が道路R2を左上から右下に向かって走行している場合の左側に設定され、乗降地P13は、車両3が道路R3を左上から右下に向かって走行している場合の左側に設定され、乗降地P10は、車両3が道路R2を右下から左上に向かって走行している場合の左側に設定されている。この場合、乗降地P7から出発して左上に向かって走行し、さらに右回りの経路RRを走行すると、乗降地P10が所定距離L
0以内の乗降地として抽出される。これに対して、乗降地P7から出発して左上に向かって走行し、さらに左回りの経路LRを走行すると、乗降地P4が所定距離L
0以内の乗降地として抽出される。同様に、乗降地P3も、左回りの経路を走行した場合の所定距離L0以内の乗降地として抽出される。
【0021】
すなわち、代替乗降地設定部12は、第1の乗降地(
図7に示す例では乗降地P7)から第2の乗降地(
図7に示す例では乗降地P4,P10,P13の3つ)に至る右回りの経路RRと左回りの経路LRとを演算し、右回りの経路RRと左回りの経路LRのうち、走行距離が所定距離L
0以内である乗降地を抽出し、これらを第2の乗降地として設定する。
図7に示すように、乗降地P3やP4は、右回りの経路RRだけで演算した場合には所定距離L
0以内に該当しないため、第2の乗降地としては設定されないが、左回りの経路をも考慮すれば所定距離L
0以内に該当し、第2の乗降地として設定される。実際に車両3が走行する場合を考えても、一方通行などの交通規制がない限り、乗降地P7から右回りにでも左回りにでも走行することができるので、第2の乗降地として乗降地P3,P4が設定されている方が、利便性が高い。
【0022】
図6に戻り、代替乗降地設定部12は、乗降地P7に対しては乗降地P3,P4,P10を第2の乗降地として設定し、これら4つの乗降地P7,P3,P4,P10を、走行距離を指標とするグループG6、すなわち互いに走行距離が所定距離L
0以内の乗降地のグループとして分類する。同様に走行距離を指標として、たとえば
図6の乗降地P1,P6はグループG1、乗降地P5,P9,P14はグループG2、乗降地P12,P8,P11はグループG4、乗降地P2,P16,P21はグループG5、乗降地P7,P4,P13,P10はグループG6、乗降地P4,P19はグループG7、乗降地P17,P19はグループG8としてそれぞれ分類されている。これに対して、乗降地P1,P6,P5,P9,P14は、利用目的を指標としてグループG3に分類されている。すなわち、これらの乗降地P1,P6,P5,P9,P14が設定されている地域は、たとえば飲食街であって、車両3の利用目的が「食事」といった行為である場合にグループG3が抽出される。なお、代替乗降地設定部12は、走行距離を指標とすることに代えて走行時間を指標として第2の乗降地を設定してもよい。
【0023】
なお、乗降地P4は2つのグループG6,G7に属し、乗降地P19も2つのグループG7,G8に属し、乗降地P1,P6も2つのグループG1,G3に属し、乗降地P5,P14,P9も2つのグループG2,G3に属する。このように、同じ走行距離又は同じ走行時間といった同じ指標であっても複数のグループに属することもあり、同じ走行距離又は同じ利用目的といった異なる指標で分類することで複数のグループに属することもある。
【0024】
代替乗降地設定部12は、
図6に示す乗降地P3,P15,P18,P22の4つの乗降地については、第2の乗降地を設定しない。これら4つの乗降地は、走行距離が所定距離以内、走行時間が所定時間以内、又は利用目的が同じといった3つの指標の何れで分類してみても、これに属する乗降地が抽出されない乗降地である。そして、サービス利用者が乗降地としてこれら乗降地P3,P15,P18,P22のいずれかを選択すると、これらの乗降地において車両3が停車できない場合にはその代替の乗降地が存在せずサービス利用者に不便させてしまうことから、後述する利用申請受付部13による受け付け自体を禁止する。詳細は後述する。
【0025】
図6に示すグループG6には、走行距離の観点から分類されて第2の乗降地として設定された4つの乗降地P4,P7,P10,P13が属する。このうちの一つの乗降地P7が第1の乗降地として指定され、車両3が乗降地7へ到着した際に、当該乗降地7に他の車両が駐車していたり、道路工事中で駐停車できなかったりすると、第2の乗降地として設定された他の乗降地P4,P10,P13へ車両3を走行させる。この場合、代替の乗降地としての第2の乗降地が複数設定されていると、代替乗降地設定部12は、走行距離、走行時間又は利用目的といったいずれかの指標に基づき、最も走行距離が短い乗降地から順に走行するか、最も走行時間が短い乗降地から順に走行するか、同じ利用目的の乗降地であっても最短距離又は最短時間の乗降地から走行するかを決める。
【0026】
すなわち、
図6にグループG6で示すように、当初設定されている第1の乗降地をP7,乗降地P7の第2の乗降地をP4,P10,P13とすると、代替乗降地設定部12は、第1の乗降地P7から第2の乗降地P4,P10,P13に至る左回りの経路LR(
図8参照)と、右回りの経路RR(
図9参照)とを演算し、これら2つの左回りの経路LRと右回りの経路RRのうち、走行距離又は走行時間が最短の経路を、第1の乗降地P7から第2の乗降地P4,P10,P13に至る経路に設定する。このとき、代替乗降地設定部12は、
図6のグループG6のように第2の乗降地P4,P10,P13が複数設定されている場合には、演算する際の左回りの経路LR及び右回りの経路RRは、設定された全ての第2の乗降地P4,P10,P13を経由する最短距離又は最短時間の経路として演算する。この演算方法を
図8及び
図9を参照して説明する。
【0027】
図8は、第1の乗降地P7から、3つの第2の乗降地P4,P10,P13へ左回りの経路LRで走行した場合の一例を示す図、
図9は、
図8と同じ第1の乗降地P7から、3つの第2の乗降地P4,P10,P13へ右回りの経路RRで走行した場合の一例を示す図である。まず
図8を参照して、車両3が道路R1を右下から左上に向かって走行している場合、車両3が停車できないとされた乗降地P7から、第2の乗降地として設定された3つの乗降地P4,P10,P13へ走行する左回りの経路LRを演算する場合について説明する。車両3は、乗降地P7から道路R1を右下から左上に向かって走行し、左回りの経路LR1に沿って乗降地P4に至り、さらに道路R2を左上から右下に向かったのち左下から右上、さらに左上に向かう経路LR2に沿って乗降地P10に至る。ここからさらに道路R4を左上に向かい、経路LR3に沿って左回りに道路R3に入り、乗降地P13に至る。これにより、3つの乗降地P4,P10,P13をこの順序で走行する左回りの経路LRが演算される。
【0028】
次に
図9を参照して、車両3が道路R1を右下から左上に向かって走行している場合、車両3が停車できないとされた乗降地P7から、第2の乗降地として設定された3つの乗降地P4,P10,P13へ走行する右回りの経路RRを演算する場合について説明する。車両3は、乗降地P7から道路R1を右下から左上に向かって走行し、右回りの経路RR1に沿って道路R5及びR4に入り、乗降地P10に至る。さらに道路R4を右下から左上に向かう経路RR2に沿って道路R3に入り、乗降地P13に至る。ここからさらに道路R3を右下に向かい、経路RR3に沿って右回りに道路R6及びR2に入り、乗降地P4に至る。これにより、3つの乗降地P10,P13,P4をこの順序で走行する右回りの経路RRが演算される。
【0029】
図8に示す左回りの経路LRと、
図9に示す右回りの経路RRが演算されたら、代替乗降地設定部12は、2つの経路LR,RRの走行距離又は走行時間を演算し、いずれか短い経路を第2の乗降地に向かう経路に設定する。
【0030】
図1に戻り、利用申請受付部13は、利用申請入力部11に入力された利用申請に含まれる第1の乗降地に対して、第2の乗降地が設定されている場合には、利用申請を受け付け、第2の乗降地が設定されていない場合には利用申請を受け付けない処理を実行する。すなわち、利用申請に含まれる第1の乗降地に対して、第2の乗降地が設定されていない場合には利用申請を受け付けないので、この場合は車両3を配車しない。
【0031】
管理部14は、利用申請受付部13にて受け付けられた利用申請に基づいて、車両3の配車を管理する。すなわち、管理部14は、配車が可能な車両3に対し、現在地から第1の乗降地へ走行し、当該第1の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。またこれに加え、管理部14は、車両3から第1の乗降地において停車できない旨の信号を入力した場合には、代替乗降地設定部12により設定された第2の乗降地を抽出し、車両3に対し、現在地から第2の乗降地へ走行し、当該第2の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。
【0032】
また管理部14は、車両3から第1の乗降地において停車できない旨の信号を入力した場合に、代替乗降地設定部12により設定された第2の乗降地と、最短の経路LR/RRとを抽出し、車両3に対し、最短の経路LR/RRに沿って現在地から第2の乗降地へ走行し、当該第2の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。このとき、管理部14は、第2の乗降地が複数設定されている場合に、車両3から最初の第2の乗降地において停車できない旨の信号を入力したときは、車両3に対し、最短の経路LR/RRに沿って現在地から次の第2の乗降地へ走行し、当該次の第2の乗降地において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。そして車両3が停車可能な乗降地を検出するまでこれを繰り返す。
【0033】
たとえば、
図8に示す左回りの経路LRの方が、
図9に示す右回りの経路RRに比べて走行距離が短いとすると、
図8及び
図9に示すシーンにおいて、管理部14は、車両3から第1の乗降地P7において停車できない旨の信号を入力した場合に、代替乗降地設定部12により設定された第2の乗降地P4,P10,P13と、最短の経路LRとを抽出し、車両3に対し、最短の経路LR1に沿って現在地である第1の乗降地P7から最初の第2の乗降地P4へ走行し、当該第2の乗降地P4において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。ここで、車両3から最初の第2の乗降地P4において停車できない旨の信号を入力したときは、車両3に対し、最短の経路LR2に沿って現在地である最初の第2の乗降地P4から次の第2の乗降地P10へ走行し、当該次の第2の乗降地P10において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。ここで、車両3から次の第2の乗降地P10において停車できない旨の信号を入力したときは、車両3に対し、最短の経路LR3に沿って現在地である2番目の第2の乗降地P10から3番目の第2の乗降地P13へ走行し、当該3番目の第2の乗降地P13において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。
【0034】
再び
図1に戻り、車両・利用者データベース15は、本例の配車システムで保有する複数の車両3のID,車型,仕様,燃料残量,保守状況その他の車両情報と、本例の配車システムを利用するサービス利用者のID,住所,氏名,電話番号,年齢その他の個人情報とを蓄積保存する。この車両・利用者データベース15に蓄積された車両情報と個人情報は、サービスの予約、実行、課金などの後処理等に供される。
【0035】
地図データベース16は、本例の配車システムのサービス提供範囲の地図情報と、上述した複数の乗降地P1~P22の位置情報とを蓄積保存し、代替乗降地設定部12における各種の演算処理に供される。
【0036】
通信部17は、インターネット又は商用電話回線網その他の電気通信回線網を介して、配車管理装置1と情報信号の送受信を行う。
【0037】
次に、配車管理装置1で実行される配車管理処理の手順を説明する。
図3は、本例の配車管理処理の手順を示すフローチャート、
図4は、
図3のステップS7のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0038】
図3のステップS1では、本例の配車システムのサービス利用者が、自分の端末装置2を用い、
図2に示す端末装置2の入力部21に、乗車地、降車地及び利用目的を、たとえば、乗車地は「乗降地P16」、降車地は「乗降地P7」、利用目的は「病院へ通院」と入力する。これら乗車地は「乗降地P16」、降車地は「乗降地P7」、利用目的は「病院へ通院」とする入力情報は、端末装置2の入力部21及び制御部22、通信部24からネットワークなどを介して配車管理装置1の通信部17で受信され、利用申請入力部11に入力される。
【0039】
ステップS2では、利用申請入力部11に入力された乗車地が「乗降地P16」、降車地が「乗降地P7」のそれぞれ対し、利用申請受付部13は、代替乗降地である第2の乗降地が設定されているか否かを判定する。そして、乗車地が「乗降地P16」、降車地が「乗降地P7」のそれぞれ対し、第2の乗降地が設定されている場合は、ステップS4へ進み、第2の乗降地が一つも設定されていない場合は、ステップS3へ進む。ステップS3では、利用申請受付部13は、端末装置2から入力された乗車地又は降車地では、代替できる第2の乗降地が設定されていないことから、利用申請の受け付けができない処理を実行し、サービス利用者にその旨を連絡する。
図6に示す例でいえば、乗車地又は降車地として乗降地P3,P15,P18,P22を選択した場合には、これらの乗降地に対する第2の乗降地が設定されていないので、ステップS3にて、利用申請の受け付けができない処理を実行することになる。
【0040】
ステップS2にて、乗車地が「乗降地P16」、降車地が「乗降地P7」のそれぞれ対し、第2の乗降地が設定されていると判定された場合は、利用申請受付部13は、利用申請を受け付けてステップS4へ進む。ステップS4では、管理部14は、利用申請受付部13にて受け付けられた利用申請に基づいて、車両3の配車を管理する。すなわち、管理部14は、配車が可能な車両3に対し、現在地から乗車地P16へ走行し、当該乗車地P16において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。これにより、一の車両3が、待機位置から、自律走行制御により乗車地P16へ走行することになる。
【0041】
ステップS5では、自律走行制御により乗車地P16に到着した車両3は、カメラなどの周囲を検出するセンサを用いて乗車地P16に自分の車両3が停車可能か否かを判定する。たとえば、乗車地P16に他の車両が駐停車していたり、乗車地P16を含む領域が工事中であったりする場合、車両3を乗車地P16に停車することができないので、車両3から配車管理装置1へ停車できない旨の信号情報を送信し、これを受信した管理部14は、ステップS7へ進み、
図4に示す処理を実行する。まずステップS71では、管理部14は、代替乗降地設定部12により設定された第2の乗降地を抽出する。乗車地P16に対する第2の乗降地は、
図6に示す例でいえば、乗降地P2,P21(グループG5)である。
【0042】
続くステップS72では、代替乗降地設定部12は、乗車地P16から第2の乗降地P2,P21に至る左回りの経路LRと、右回りの経路RRとを、
図8及び
図9にて説明したように演算し、これら2つの左回りの経路LRと右回りの経路RRのうち、走行距離又は走行時間が最短の経路を、乗車地P16から第2の乗降地P2,P21に至る経路に設定する。このとき、代替乗降地設定部12は、
図6のグループG5のように複数の第2の乗降地P2,P21が設定されている場合には、演算する際の左回りの経路LR及び右回りの経路RRは、設定された全ての第2の乗降地P2,P21を経由する最短距離又は最短時間の経路として演算する。
図8に示すような左回りの経路LRと、
図9に示すような右回りの経路RRが演算されたら、代替乗降地設定部12は、2つの経路LR,RRの走行距離又は走行時間を演算し、いずれか短い経路を第2の乗降地に向かう経路に設定する。
図6に示す乗降地P16に対する第2の乗降地P2,P21については、左回りの経路LRの方が短い経路であるとし、1番目の第2の乗降地がP2、2番目の第2の乗降地がP21であるとする。
【0043】
続くステップS73では、カウンタをn=1としたのち、ステップS74では、管理部14は、1番目の第2の乗降地P2へ左回りの経路LRで車両3を走行させるべく、車両3に対し、現在の乗降地P16から第2の乗降地P2へ走行し、当該第2の乗降地P2において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。続くステップS75では、自律走行制御により乗車地P2に到着した車両3は、カメラなどの周囲を検出するセンサを用いて乗車地P2に自分の車両3が停車可能か否かを判定する。ステップS75にて乗降地P2に車両3が停車可能であると判定した場合には、
図3のステップS6へ進む。
【0044】
ステップS75にて乗降地P2に車両3が停車できないと判定した場合には、ステップS76へ進み、カウンタをn=n+1としたのち、ステップS74へ戻り、2番目の第2の乗降地P21へ左回りの経路LRで車両3を走行させるべく、車両3に対し、現在の乗降地P2から第2の乗降地P21へ走行し、当該第2の乗降地P21において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。
【0045】
図3のステップS6へ戻り、乗車地P16(又はこれの第2の乗降地P2,P21)で車両3を停車し、乗員を載せるか又は荷物を積み込むと、管理部14は、車両3を次の目的地である降車地P7へ走行させるべく、車両3に対し、現在の乗降地P16から降車地P7へ走行し、当該降車地P7において停車し、乗客又は荷物を降ろす旨の指令信号を出力する。
【0046】
ステップS9では、自律走行制御により降車地P7に到着した車両3は、カメラなどの周囲を検出するセンサを用いて乗車地P7に自分の車両3が停車可能か否かを判定する。たとえば、乗車地P7に他の車両が駐停車していたり、乗車地P7を含む領域が工事中であったりする場合、車両3を乗車地P7に停車することができないので、車両3から配車管理装置1へ停車できない旨の信号情報を送信し、これを受信した管理部14は、ステップS10へ進み、
図5に示す処理を実行する。まずステップS101では、管理部14は、代替乗降地設定部12により設定された第2の乗降地を抽出する。乗車地P7に対する第2の乗降地は、
図6に示す例でいえば、乗降地P4,P10,P13(グループG6)である。
【0047】
続くステップS102では、代替乗降地設定部12は、乗車地P7から第2の乗降地P4,P10,P13に至る左回りの経路LRと、右回りの経路RRとを、
図8及び
図9にて説明したように演算し、これら2つの左回りの経路LRと右回りの経路RRのうち、走行距離又は走行時間が最短の経路を、乗車地P7から第2の乗降地P4,P10,P13に至る経路に設定する。このとき、代替乗降地設定部12は、
図6のグループG6のように複数の第2の乗降地P4,P10,P13が設定されている場合には、演算する際の左回りの経路LR及び右回りの経路RRは、設定された全ての第2の乗降地P4,P10,P13を経由する最短距離又は最短時間の経路として演算する。
図8に示す左回りの経路LRと、
図9に示す右回りの経路RRが演算されたら、代替乗降地設定部12は、2つの経路LR,RRの走行距離又は走行時間を演算し、いずれか短い経路を第2の乗降地に向かう経路に設定する。
図6に示す乗降地P7に対する第2の乗降地P4,P10,P13については、左回りの経路LRの方が短い経路であるとし、1番目の第2の乗降地がP4、2番目の第2の乗降地がP10、3番目の第2の乗降地がP13であるとする。
【0048】
続くステップS103では、カウンタをn=1としたのち、ステップS104では、管理部14は、1番目の第2の乗降地P4へ左回りの経路LRで車両3を走行させるべく、車両3に対し、現在の乗降地P7から第2の乗降地P4へ走行し、当該第2の乗降地P4において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。続くステップS105では、自律走行制御により乗車地P4に到着した車両3は、カメラなどの周囲を検出するセンサを用いて乗車地P4に自分の車両3が停車可能か否かを判定する。ステップS105にて乗降地P4に車両3が停車可能であると判定した場合には、
図3のステップS11へ進む。
【0049】
ステップS105にて乗降地P4に車両3が停車できないと判定した場合には、ステップS106へ進み、カウンタをn=n+1としたのち、ステップS104へ戻り、2番目の第2の乗降地P10へ左回りの経路LRで車両3を走行させるべく、車両3に対し、現在の乗降地P4から第2の乗降地P10へ走行し、当該第2の乗降地P10において停車し、乗客又は荷物を乗車又は降車する旨の指令信号を出力する。これを3番目の第2の乗降地P13まで繰り返す。
【0050】
なお、上述した第2の乗降地であるグループG6は、走行距離又は走行時間という指標に基づいて分類されたものであるが、第1の乗降地P7の利用目的に対し、この目的を達成できる乗降地を抽出して分類したグループがあれば、その利用目的が共通する第2の乗降地へ車両3を走行してもよい。たとえば、サービス利用者が利用申請に含めた車両の利用目的が「食事」である場合には、「食事」という目的を達成することができる他の乗降地、たとえば飲食街に設定された乗降地がグループ化されていれば、その乗降地へ車両を走行する。サービス利用者の利用目的が、「観光」、「病院への通院」、「映画鑑賞」といった場合も同様である。
【0051】
図3のステップS11へ戻り、降車地P7(又はこれの第2の乗降地P4,P10,P13)で車両3を停車し、乗員又は荷物を降ろすと、ステップS12にて、管理部14は、配車サービスを終了する。
【0052】
以上のとおり、本例の配車システムによれば、利用申請に含まれる第1の乗降地に対して、第2の乗降地が設定されている場合には利用申請を受け付け、第2の乗降地が設定されていない場合には利用申請を受け付けないので、目的とする乗降地に到着して初めて停車できないことが判っても、第2の乗降地に停車することができる。逆に、第2の乗降地が設定されていない場合は利用申請を受け付けないので、目的とする乗降地に到着して初めて停車できないことが判り、かつ代替地も存在しないことを理由に目的地を失って自律走行制御が終了してしまうといった不便さを抑制することができる。その結果、サービス利用者に対する利便性の低下を抑制することができる。
【0053】
また本例の配車システムによれば、複数の乗降地のうちの一の乗降地に対し、道路を走行した場合の走行距離が所定距離以内にある乗降地、及び/又は、道路を走行した場合の走行時間が所定時間以内にある乗降地を複数の乗降地から抽出し、当該乗降地を第2の乗降地に設定するので、第1の乗降地からの距離又は時間が短く、サービス利用者に対する利便性の低下をより一層抑制することができる。
【0054】
また本例の配車システムによれば、複数の乗降地のうちの一の乗降地に対し、利用目的を達成できる乗降地を複数の乗降地から抽出し、当該乗降地を第2の乗降地に設定することもできる。たとえば、
図6に示すグループG3は、第2の乗降地としてP1,P5,P6,P9,P14を含み、これらの地域が飲食街であるため、利用目的が共通して「食事」となる乗降地を指標として分類されている。したがって、走行距離又は走行時間に拘らずサービス利用者が所望する利用目的が同じ第2の乗降地へ案内することができ、サービス利用者に対する利便性の低下をより一層抑制することができる。
【0055】
また本例の配車システムによれば、第1の乗降地から第2の乗降地に至る右回りの経路と左回りの経路とを演算し、右回りの経路と左回りの経路のうち、走行距離又は走行時間が最短の経路を第1の乗降地から第2の乗降地に至る経路に設定するので、第1の乗降地から第2の乗降地に至る経路の選択肢が多くなる。その結果、第1の乗降地からの距離又は時間がより一層短くなる可能性が高くなり、サービス利用者に対する利便性の低下をより一層抑制することができる。
【0056】
また本例の配車システムによれば、第2の乗降地が複数設定されている場合には、右回りの経路及び左回りの経路は、設定された全ての第2の乗降地を経由する最短距離又は最短時間の経路として演算するので、代替地である第2の乗降地に停車できないおそれがある場合でも、第2の乗降地に停車することができる可能性を高めることができ、サービス利用者に対する利便性の低下をより一層抑制することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…配車管理装置
11…利用申請入力部
12…代替乗降地設定部
13…利用申請受付部
14…管理部
15…車両・利用者データベース
16…地図データベース
17…通信部
2…端末装置
21…入力部
22…制御部
23…表示部
3…車両(車載装置)
31…通信部
32…自律走行制御部