(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】赤外線でターゲットを選択的に加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
H05B3/10 B
(21)【出願番号】P 2020516554
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2018076312
(87)【国際公開番号】W WO2019063713
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-04-22
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593129320
【氏名又は名称】ヘレーウス ノーブルライト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Noblelight GmbH
【住所又は居所原語表記】Heraeusstrasse 12-14, Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】クリネッキー マルティン
(72)【発明者】
【氏名】クスナー マイク
(72)【発明者】
【氏名】バルーク フレッディ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイス オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ピエラ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュテルンキカー クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー ユルゲン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-520864(JP,A)
【文献】特表2003-509111(JP,A)
【文献】特開2013-001610(JP,A)
【文献】特開2013-020714(JP,A)
【文献】特開2015-088481(JP,A)
【文献】特表2002-510566(JP,A)
【文献】特開2000-126886(JP,A)
【文献】特開2005-001383(JP,A)
【文献】特開2005-014401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0194226(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0235800(US,A1)
【文献】特表2017-522730(JP,A)
【文献】特開2013-003540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットを処理するための装置であって、
a.第一の表面積を有するエミッタ表面から赤外線を放出するように構成され、配置された赤外線ソースと、
b.1つ以上の細長い本体からなる一組の細長い本体であって、各細長い本体は、集合的に入口と呼ばれる入口を有し、各細長い本体は、集合的に出口と呼ばれる出口を有する、一組の細長い本体と、を備え、
前記赤外線ソースから放出された赤外線は、前記入口を介して前記一組の細長い本体に結合され、第二の表面積を有する出口表面上の前記出口を介して前記細長い本体から分離され、
前記第一の表面積は、前記第二の表面積よりも大きく、
前記細長い本体は、1つのガラスロッドから作製され、かつ剛性で
あり、
前記一組の細長い本体は、前記赤外線ソースと直接接触するか、または前記赤外線ソースを覆うガラスコーティングを介して接触している、装置。
【請求項2】
前記赤外線ソースが熱エミッタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記赤外線ソースが半導体を備える、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記赤外線ソースが赤外線LEDを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記赤外線ソースが、以下の特性、すなわち、
a.1~250W/cm
2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~1600nmの範囲のピーク発光波長と、
c.1~50nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.10W~100kWの全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記赤外線ソースが、以下の特性、すなわち、
a.1~60W/cm
2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~3000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.100~4800nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.10W~100kWの範囲の全電力出力と、
e.通常動作時に200℃~1100℃の範囲の温度である電気絶縁体を備えることと、
のうちの特性の1つ以上を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記赤外線ソースは、前記一組の細長い本体に一対一で対応する赤外線ソース素子を備え、各赤外線ソース素子からの光は、対応する細長い本体に結合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、10W~10kWの範囲の最大全電力出力を前記出口から供給するように配置され、構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
処理された基板を製造するプロセスであって、以下のステップ、すなわち、
a.キャビティと、前記キャビティの内側に配置されたターゲットとを有する基板を提供するステップと、
b.前記キャビティの外側に赤外線ソースを提供するステップと、
c.1つ以上の細長い本体からなる一組の細長い本体を提供するステップであって、各細長い本体は、前記キャビティの外側に入口を有し、前記キャビティの内側に出口を有し、前記細長い本体は、1つのガラスロッドから作製され、かつ剛性で
あり、
前記一組の細長い本体は、前記赤外線ソースと直接接触するか、または前記赤外線ソースを覆うガラスコーティングを介して接触している、ステップと、
d.前記熱処理された基板を得るために、前記赤外線ソースによって放出された赤外線を、前記細長い本体を介して前記ターゲットに伝達するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項10】
複合材料を製造するプロセスであって、
a.請求項1~8のいずれか一項に記載の装置からターゲットに赤外線を照射することにより得られる熱処理されたターゲットまたは請求項9に記載のプロセスによって得ることができる熱処理されたターゲットを提供するステップと、
b.前記熱処理されたターゲットを更なるパーツと接触させて、前記複合材料を得るステップと、を含むプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、赤外線でターゲットを加熱するための装置に関する。より具体的には、本発明は、ターゲットを熱処理するための装置、プロセス、複合材料を作成するためのプロセス、赤外線ソースの使用、赤外線ソースのアレイの使用、および装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ターゲットを加熱するための装置およびプロセスには、多数の工業的に重要な用途があり、その用途には、熱可塑性樹脂の成形および形成、基板および基板表面の硬化、特にプラスチック基板の硬化、コーティングの硬化、化学的活性化、溶接、バリ除去、滅菌、洗浄および酸化を含む。最新技術で提示されたターゲットを加熱するための多数のアプローチは、黒体で近似できる単純な熱エミッタを採用している。このようなアプローチには、放射線の波長を容易に制御することができず、選択的に制御された加熱が可能でないという欠点がある。当技術分野で提示されている多くのアプローチでは、エミッタからの直接加熱を使用しているので、ターゲット表面の加熱が不均一になるという欠点を被る可能性がある。ターゲットを加熱するための、特に平坦でないターゲット表面を加熱するための、または複合材料のターゲットを選択的に加熱するために、改善されたアプローチが、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、一般に、ターゲットの加熱に関する従来技術で遭遇する問題の少なくとも1つを克服するという目的に基づく。
【0004】
本発明の目的は、低減波長帯域幅を有する赤外線をターゲットに照射するための装置を提供することである。
【0005】
本発明の目的は、明確に定義された波長を有する赤外線をターゲットに照射するための装置を提供することである。
【0006】
本発明の目的は、制御可能な波長を有する赤外線をターゲットに照射するための装置を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、ターゲットを加熱するための装置を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、ターゲットを溶融するための装置を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、複合材料の成分を選択的に加熱するための装置を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、複合材料の成分を選択的に溶融するための装置を提供することである。
【0011】
本発明の目的は、複合材料を製造するための装置を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、ターゲット表面の一部に選択的に赤外線を照射するための装置を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、伝導によってターゲットの加熱を低減しながら、ターゲットに赤外線を照射するための装置を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、対流によってターゲットの加熱を低減しながら、ターゲットに赤外線を照射するための装置を提供することである。
【0015】
本発明の目的は、明確な波長を有する赤外線をターゲットに照射し、その一方で、他の波長を有する放射線のターゲットへの照射を低減するための装置を提供することである。
【0016】
本発明の目的は、ターゲットから凹凸を除去するための装置を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、ターゲットから成形バリを除去するための装置を提供することである。
【0018】
本発明の目的は、成形品を処理するための装置を提供することである。
【0019】
本発明の目的は、プラスチックを加熱するための装置を提供することである。
【0020】
本発明の目的は、プラスチックを溶融するための装置を提供することである。
【0021】
本発明の目的は、低減波長帯域幅を有する赤外線をターゲットに照射するためのプロセスを提供することである。
【0022】
本発明の目的は、明確な波長を有する赤外線をターゲットに照射するためのプロセスを提供することである。
【0023】
本発明の目的は、制御可能な波長を有する赤外線をターゲットに照射するためのプロセスを提供することである。
【0024】
本発明の目的は、ターゲットを加熱するためのプロセスを提供することである。
【0025】
本発明の目的は、ターゲットを溶融するためのプロセスを提供することである。
【0026】
本発明の目的は、複合材料の成分を選択的に加熱するためのプロセスを提供することである。
【0027】
本発明の目的は、複合材料の成分を選択的に溶融するためのプロセスを提供することである。
【0028】
本発明の目的は、複合材料を製造するためのプロセスを提供することである。
【0029】
本発明の目的は、ターゲット表面の一部に選択的に赤外線を照射するためのプロセスを提供することである。
【0030】
本発明の目的は、伝導によってターゲットの加熱を低減しながら、ターゲットに赤外線を照射するためのプロセスを提供することである。
【0031】
本発明の目的は、対流によってターゲットの加熱を低減しながら、ターゲットに赤外線を照射するためのプロセスを提供することである。
【0032】
本発明の目的は、明確な波長を有する赤外線をターゲットに照射し、その一方で、他の波長を有する放射線のターゲットへの照射を低減するためのプロセスを提供することである。
【0033】
本発明の目的は、ターゲットから凹凸を除去するためのプロセスを提供するためのプロセスを提供することである。
【0034】
本発明の目的は、ターゲットから成形バリを除去するためのプロセスを提供することである。
【0035】
本発明の目的は、成形品を処理するためのプロセスを提供することである。
【0036】
本発明の目的は、プラスチックを加熱するためのプロセスを提供することである。
【0037】
本発明の目的は、プラスチックを溶融するためのプロセスを提供することである。
【0038】
本発明の特定の目的は、位置の選択性を増大させて、ターゲットを処理するための装置を提供することである。
【0039】
本発明の特定の目的は、位置の選択性を増大させて、ターゲットを加熱するための装置を提供することである。
【0040】
本発明の特定の目的は、位置の選択性が増大させて、ターゲットを溶融するための装置を提供することである。
【0041】
本発明の特定の目的は、位置の選択性を増大させて、ターゲットからバリを除去するための装置を提供することである。
【0042】
本発明の特定の目的は、ターゲット内、特にキャビティ内のアクセス不能な位置を処理するための装置を提供することである。
【0043】
本発明の特定の目的は、ターゲット内、特にキャビティ内のアクセス不能な位置を加熱するための装置を提供することである。
【0044】
本発明の特定の目的は、ターゲット内、特にキャビティ内のアクセス不能な位置を溶融するための装置を提供することである。
【0045】
本発明の特定の目的は、ターゲット内のアクセス不能な位置からバリを除去するための装置を提供することである。
【0046】
本発明の特定の目的は、位置の選択性を増大させて、ターゲットを処理するためのプロセスを提供することである。
【0047】
本発明の特定の目的は、位置の選択性を増大させて、ターゲットを加熱するためのプロセスを提供することである。
【0048】
本発明の特定の目的は、位置の選択性を増大させて、ターゲットを溶融するためのプロセスを提供することである。
【0049】
本発明の特定の目的は、位置の選択性を増大させて、ターゲットからバリを除去するためのプロセスを提供することである。
【0050】
本発明の特定の目的は、ターゲット内、特にキャビティ内のアクセス不能な位置を処理するためのプロセスを提供することである。
【0051】
本発明の特定の目的は、ターゲット内、特にキャビティ内のアクセス不能な位置を加熱するためのプロセスを提供することである。
【0052】
本発明の特定の目的は、ターゲット内、特にキャビティ内のアクセス不能な位置を溶融するためのプロセスを提供することである。
【0053】
本発明の特定の目的は、ターゲット内、特にキャビティ内のアクセス不能な位置からバリを除去するためのプロセスを提供することである。
【0054】
上記目的の少なくとも1つを達成するための寄与は、本発明の請求項を形成するカテゴリの主題によってなされる。更なる寄与は、本発明の特定の実施形態を表す本発明の従属請求項の主題によって提供される。
【0055】
上記目的の少なくとも1つを達成するための寄与は、以下の実施形態によってなされる。
【0056】
実施形態(1)ターゲットを処理するための装置であって、
a.第一の表面積を有するエミッタ表面から赤外線を放出するように構成され、配置された赤外線ソースと、
b.1つ以上の細長い本体、好ましくは2つ以上、より好ましくは5つ以上、より好ましくは10以上、より好ましくは20以上の細長い本体からなる一組の細長い本体であって、各細長い本体は、集合的に入口と呼ばれる入口を有し、各細長い本体は、集合的に出口と呼ばれる出口を有する、一組の細長い本体と、を備え、
前記赤外線ソースから放出された赤外線は、前記入口を介して前記一組の細長い本体に結合され、第二の表面積を有する出口表面上の前記出口を介して前記細長い本体から減結合され、
前記第一の表面積は、前記第二の表面積よりも大きい、装置。好ましくは、第一の表面積は、第二の表面積の少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも100倍である。
【0057】
この実施形態の一態様では、赤外線ソースは熱赤外線ソースであり、第一の表面積は第二の表面積の少なくとも15倍、好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍である。
【0058】
この実施形態の一態様では、赤外線ソースは半導体ベースの赤外線ソースであり、第一の表面積は第二の表面積の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。
【0059】
この実施形態の一態様では、細長い本体は剛性であり、第一の表面積は、第二の表面積の少なくとも15倍、好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍である。
【0060】
この実施形態の一態様では、細長い本体は可撓性であり、第一の表面積は、第二の表面積の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。
【0061】
一実施形態では、入口は第三の表面積を有し、第一の表面積は第三の表面積よりも大きい。好ましくは、第一の表面積は、第三の表面積の少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも100倍である。
【0062】
この実施形態の一態様では、赤外線ソースは熱赤外線ソースであり、第一の表面積は、第三の表面積の少なくとも15倍、好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍である。
【0063】
この実施形態の一態様では、赤外線ソースは半導体ベースの赤外線ソースであり、第一の表面積は第三の表面積の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。
【0064】
この実施形態の一態様では、細長い本体は剛性であり、第一の表面積は、第三の表面積の少なくとも15倍、好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍である。
【0065】
この実施形態の一態様では、細長い本体は可撓性であり、第一の表面積は、第三の表面積の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。
【0066】
一実施形態では、赤外線ソースは、熱エミッタを備え、好ましくは熱エミッタである。
【0067】
実施形態(2)前記赤外線ソースが半導体を備える、実施形態(1)に記載の装置。
【0068】
実施形態(3)前記赤外線ソースがレーザを備える、実施形態(1)または実施形態(2)に記載の装置。
【0069】
実施形態(4)赤外線ソースが赤外線LEDを備える、実施形態(1)~(3)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0070】
実施形態(5)前記赤外線ソースが、赤外線半導体レーザ、好ましくは垂直方向キャビティ面発光レーザ(VCSEL)を備える、実施形態(1)~(4)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0071】
実施形態(6)前記赤外線ソースが、以下の特性、すなわち、
a.1~250W/cm2の範囲、好ましくは5~200W/cm2の範囲、より好ましくは10~150W/cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~1600nmの範囲、好ましくは800~1300nmの範囲、より好ましくは800~1000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.1~50nmの範囲、好ましくは2~40nmの範囲、より好ましくは3~35nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.10W~100kWの範囲、好ましくは100W~10kWの範囲、より好ましくは300W~5kWの範囲の全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(5)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0072】
実施形態(7)前記赤外線ソースが、以下の特性、すなわち、
a.1~50W/cm2の範囲、好ましくは2~45cm2の範囲、より好ましくは5~40cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~1600nmの範囲、好ましくは800~1300nmの範囲、より好ましくは800~1000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.5~50nmの範囲、好ましくは10~45nmの範囲、より好ましくは15~40nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.10W~100kWの範囲、好ましくは100W~10kWの範囲、より好ましくは300W~5kWの範囲の全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(6)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0073】
実施形態(8)前記赤外線ソースが、以下の特性、すなわち、
a.20~250W/cm2、好ましくは30~200W/cm2の範囲、より好ましくは50~150W/cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~1600nmの範囲、好ましくは800~1300nmの範囲、より好ましくは800~1000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.1~50nmの範囲、好ましくは2~30nmの範囲、より好ましくは3~20nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.10W~100kWの範囲、好ましくは100W~10kWの範囲、より好ましくは300W~5kWの範囲の全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(8)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0074】
実施形態(9)前記赤外線ソースが、以下の特性、すなわち、
a.1~60W/cm2の範囲、好ましくは5~50W/cm2の範囲、より好ましくは10~50W/cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~3000nmの範囲、好ましくは800~2500nmの範囲、より好ましくは800~2000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.100~4800nmの範囲、好ましくは500~4000nmの範囲、より好ましくは1000~3500nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.10W~100kWの範囲、好ましくは25W~50kWの範囲、より好ましくは50W~10kWの範囲の全電力出力と、
e.通常動作時に、200℃~1100℃の範囲、好ましくは150℃~850℃の範囲、より好ましくは100℃~650℃の範囲の温度である電気絶縁体を備えること、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(7)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0075】
実施形態(10)前記赤外線ソースが、以下の特性、すなわち、
a.1~250W/cm2の範囲、好ましくは5~200W/cm2の範囲、より好ましくは10~150W/cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.200~5000nmの範囲、好ましくは600~3000nmの範囲、より好ましくは800~2500nmの範囲のピーク発光波長と、
c.1~4800nmの範囲、好ましくは2~4000nmの範囲、より好ましくは3~3500nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.10W~100kWの範囲、好ましくは100W~10kWの範囲、より好ましくは300W~5kWの範囲の全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(9)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0076】
実施形態(11)前記赤外線ソースが赤外線ソース素子を備え、前記赤外線ソース素子が、以下の特性、すなわち、
a.0.1~1000W/cm2の範囲、好ましくは1~800W/cm2の範囲、より好ましくは2~700W/cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~1600nmの範囲、好ましくは800~1300nmの範囲、より好ましくは800~1000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.1~50nmの範囲、好ましくは2~40nmの範囲、より好ましくは3~35nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.0.001~15W、好ましくは0.005~8W、より好ましくは0.01~5Wの範囲の全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(10)のいずれか一つに記載の装置。
【0077】
実施形態(12)前記赤外線ソースが赤外線ソース素子を備え、前記赤外線ソース素子が、以下の特性、すなわち、
a.20~1000W/cm2の範囲、好ましくは30~800W/cm2の範囲、より好ましくは50~700W/cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~1600nmの範囲、好ましくは800~1300nmの範囲、より好ましくは800~1000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.5~100nmの範囲、好ましくは10~50nmの範囲、より好ましくは15~40nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.0.05~15Wの範囲、好ましくは0.5~8Wの範囲、より好ましくは1~5Wの範囲の全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(11)のいずれか一つに記載の装置。
【0078】
実施形態(13)前記赤外線ソースが赤外線ソース素子を備え、前記赤外線ソース素子が、以下の特性、すなわち、
a.0.1~20W/cm2の範囲、好ましくは1~18W/cm2の範囲、より好ましくは2~15W/cm2の範囲の光束を有するエミッタ表面と、
b.800~1600nmの範囲、好ましくは800~1300nmの範囲、より好ましくは800~1000nmの範囲のピーク発光波長と、
c.1~50nmの範囲、好ましくは2~30nmの範囲、より好ましくは3~20nmの範囲の発光波長の帯域幅と、
d.1~100mWの範囲、好ましくは5~70mWの範囲、より好ましくは10~50mWの範囲の全電力出力と、
のうちの特性の1つ以上を有する、実施形態(1)~(12)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0079】
実施形態(14)前記細長い本体がガラス製である、実施形態(1)~(13)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0080】
実施形態(15)前記赤外線ソースは、前記一組の細長い本体に一対一対応する赤外線ソース素子を備え、各赤外線ソース素子からの光は、対応する細長い本体に結合する、実施形態(1)~(14)のいずれか一実施形態に記載の装置。この実施形態の一態様では、光学素子は、各赤外線ソース素子と対応する細長い本体との間に配置される。
【0081】
実施形態(16)前記装置は、10W~10kWの範囲、好ましくは100W~5kWの範囲、より好ましくは500W~3kWの範囲の最大全電力出力を前記出口から提供するように配置され、構成される、実施形態(1)~(15)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0082】
実施形態(17)前記装置は、0.01~5Wの範囲、好ましくは0.1~4Wの範囲、より好ましくは1~3.5Wの範囲の最大電力出力を単一の出口で提供するように配置され、構成される、実施形態(1)~(16)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0083】
実施形態(18)前記装置は、20~1000W/cm2の範囲、好ましくは40~800W/cm2の範囲、より好ましくは60~700W/cm2の範囲の平均電力密度でターゲット表面に熱を提供するように装置が配置され、構成される、実施形態(1)~(17)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0084】
実施形態(19)光学素子を備える、実施形態(1)~(18)のいずれか一実施形態に記載の装置。光学素子は、好ましくは、赤外線ソースと入口との間に配置される。光学素子は、好ましくは、屈折器、コリメータおよびレンズからなる群から選択される1つ以上のものである。
【0085】
実施形態(20)屈折器入口および屈折器出口を有する屈折素子を備え、前記出口から減結合された赤外線は、前記屈折器入口を介して前記屈折素子に結合され、前記屈折器出口を介して前記屈折素子から減結合される、実施形態(1)~(19)のいずれか一実施形態に記載の装置。
【0086】
実施形態(21)更なる入口および更なる出口を有する更なる細長い本体を備え、前記屈折素子から減結合された赤外線が前記更なる入口を介して前記更なる細長い本体に結合され、前記更なる出口において前記更なる細長い本体から減結合される、実施形態(20)に記載の装置。
【0087】
実施形態(22)実施形態(1)~(21)のいずれか一実施形態に記載の装置からターゲットに赤外線を照射することによって得られる熱処理されたターゲット。
【0088】
実施形態(23)処理された基板を製造するプロセスであって、以下のステップ、すなわち、
a.キャビティと、前記キャビティの内側に配置されたターゲットとを有する基板を提供するステップと、
b.前記キャビティの外側に赤外線ソースを提供するステップと、
c.1つ以上の細長い本体からなる一組の細長い本体を提供するステップであって、各細長い本体は、前記キャビティの外側に入口を有し、前記キャビティの内側に出口を有する、ステップと、
d.前記熱処理された基板を得るために、前記赤外線ソースによって放出された赤外線を、前記細長い本体を介して前記ターゲットに伝達するステップと、を含む、プロセス。
【0089】
実施形態(24)前記処理された基板は、以下の点で、すなわち、
a.前記処理された基板の重量は、前記基板の重量とは異なることと、
好ましくは、前記処理された基板の重量は、前記基板の重量未満であることと、
b.前記処理された基板の形状は、前記基板の形状とは異なることと、
c.前記処理された基板の全表面積は、前記基板の全表面積とは異なることと、
から構成される群から選択される1つ以上の点で前記基板と異なる、実施形態(23)に記載のプロセス。
【0090】
この実施形態では、好ましくは溶融または燃焼またはその両方によって、バリの除去など、処理された基板の形成時に基板の一部が除去されることが好ましい。
【0091】
実施形態(25)前記一組の細長い本体がガラス製である、実施形態(23)または実施形態(24)に記載のプロセス。
【0092】
実施形態(26)前記装置が、前記赤外線ソースと前記細長い本体のうちの1つとの間に配置された光学素子を備える、実施形態(23)~(25)のいずれか一実施形態に記載のプロセス。好ましくは、装置は、前記赤外線ソース素子と対応する入口との間に配置された赤外線ソース素子毎に1つのレンズを備える。
【0093】
実施形態(27)前記赤外線ソースは、第一の表面積を有するエミッタ表面から放出し、前記赤外線をターゲット表面に照射し、前記第一の表面積は、前記ターゲット表面よりも大きい、実施形態(23)~(26)のいずれか一実施形態に記載のプロセス。
【0094】
実施形態(28)前記赤外線は、0.0025mm2~100cm2の範囲、好ましくは0.005mm2~20cm2の範囲、より好ましくは0.01mm2~1cm2の範囲の赤外線ソース素子当たりの表面積を有するターゲット表面に照射される、実施形態(23)~(27)のいずれか一実施携帯に記載のプロセス。
【0095】
この実施形態の一態様では、赤外線は、0.0025mm2~1cm2の範囲、好ましくは0.005mm2~0.5cm2の範囲、より好ましくは0.01mm2~0.1cm2の範囲の赤外線ソース素子当たりの表面積を有するターゲット表面に照射される。この文脈では、一組以上の細長い本体が可撓性であることが好ましい。
【0096】
この実施形態の一態様では、赤外線は、0.1cm2~100cm2の範囲、好ましくは1cm2~50cm2の範囲、より好ましくは2mm2~20cm2の範囲の赤外線ソース素子当たりの表面積を有するターゲット表面に照射される。この文脈では、一組以上の細長い本体が剛性であることが好ましい。
【0097】
実施形態(29)前記細長い本体と前記ターゲットとの間に配置された屈折素子を備える、実施形態(23)~(28)のいずれか一実施形態に記載のプロセス。
【0098】
実施形態(30)前記装置が、前記屈折素子と前記ターゲットとの間に配置された更なる細長い本体を備える、実施形態(29)に記載のプロセス。
【0099】
実施形態(31)実施形態(23)~(30)のいずれか一実施形態に記載のプロセスによって得られる熱処理されたターゲット。
【0100】
実施形態(32)複合材料を製造するプロセスであって、
a.実施形態(22)または実施形態(31)に記載の熱処理されたターゲットを提供するステップと、
b.前記熱処理されたターゲットを更なるパーツと接触させて、前記複合材料を得るステップと、を含むプロセス。
【0101】
実施形態(33)前記更なるパーツが、金属、金属酸化物、およびポリマーからなる群から選択される、実施形態(32)に記載のプロセス。
【0102】
実施形態(34)実施形態(32)または実施形態(33)に記載のプロセスによって得られる複合材料。
【0103】
実施形態(35)基板のキャビティの内側を熱処理するための装置における赤外線LEDアレイの使用であって、前記赤外線LEDは前記キャビティの外側に配置される、赤外線LEDアレイの使用。
【0104】
実施形態(36)加熱の位置選択性を改善するために、実施形態(1)~(21)のいずれか一実施形態に記載の装置の使用。
【0105】
装置
上記目的の少なくとも1つを達成するための寄与は、ターゲットを加熱するための装置によってなされる。装置は、赤外線を照射するための赤外線ソースを備える。赤外線ソースによって提供される赤外線は、ターゲットを加熱するために使用される。この装置は、各々が入口および出口を有する一組の細長い本体を備える。赤外線ソースからの赤外線は、細長い本体の入口に結合され、細長い本体の出口で減結合される。このようにして、細長い本体は、赤外線ソースからの赤外線が出口で、好ましくはターゲットの表面に送達されるための経路を提供する。装置は、出口を相対的空間構成に保持するための支持体を備える。
【0106】
細長い本体
装置は、一組の細長い本体を備える。好ましい細長い本体は、放射源からターゲットに赤外線を伝達する役割を果たす。一組の細長い本体に備えられた各細長い本体は、入口および出口を有する。入口によって、赤外線ソースから放出される赤外線を細長い本体に結合することが可能になる。また、赤外線は、その側面を通して細長い本体に結合することもできる。出口によって、細長い本体から赤外線を減結合することが可能になる。入口は、好ましくは面であり、より好ましくは実質的に平坦な面であり、最も好ましくは平坦な面である。出口は、好ましくは面であり、より好ましくは実質的に平坦な面であり、最も好ましくは平坦な面である。細長い本体は、2つの端部を有する。好ましくは、細長い本体の入口は、細長い本体の一端にあり、細長い本体の出口は、細長い本体の他端にある。好ましい細長い本体は、光ガイドである。
【0107】
一実施形態では、一組の細長い本体は、2つ以上、または3つ以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、より好ましくは50以上、より好ましくは100以上、より好ましくは200以上の細長い本体からなる。一組の細長い本体は、10,000個までの細長い本体からなることができる。一実施形態では、細長い本体の数は、3~500の範囲、好ましくは10~400の範囲、より好ましくは20~300の範囲である。
【0108】
細長い本体は、好ましくは、赤外線ソースの赤外線ピーク発光波長で測定される低い減衰を有する。減衰は、好ましくは1000dB/km未満、より好ましくは100dB/km未満、最も好ましくは20dB/km未満である。減衰は約1dB/kmと低い可能性がある。
【0109】
好ましい細長い本体は、ガラスロッド、ガラス繊維、プラスチック光学繊維、中空シリカチューブ、液体光ガイド、好ましくはガラス繊維またはガラスロッドからなる群から選択される1つ以上のものである。
【0110】
一実施形態では、好ましい細長い本体は剛性である。この文脈において剛性であることは、好ましくは少なくとも3m、より好ましくは少なくとも5m、最も好ましくは少なくとも10mの曲げ半径を有することを意味する。好ましい剛性の細長い本体は、ガラスロッドであり、より好ましくは石英ガラスロッドである。好ましい剛性の細長い本体は、1.5mm~10cmの範囲、好ましくは2mm~5cmの範囲、より好ましくは3mm~2.5cmの範囲の直径を有する。
【0111】
一実施形態では、細長い本体は剛性であり、好ましくはガラスロッドであり、赤外線ソースは熱エミッタである。
【0112】
一実施形態では、好ましい細長い本体は可撓性である。この文脈において可撓性とは、好ましくは、3m未満、より好ましくは1m未満、最も好ましくは50cm未満の曲げ半径を有することを意味する。好ましい可撓性の細長い本体は、ガラス繊維、より好ましくは石英ガラス繊維である。
【0113】
一実施形態では、細長い本体は、可撓性であり、赤外線ソースは、半導体ベースの赤外線ソースである。
【0114】
一実施形態では、1つ以上の細長い本体は、ガラス繊維、好ましくは石英ガラス繊維である。好ましいガラス繊維は、5~1500μmの範囲、好ましくは6~1000μmの範囲、より好ましくは8~500μmの範囲のコア直径を有する。ガラス繊維は、好ましくは20~200μmの範囲、より好ましくは20~180μmの範囲、最も好ましくは20~150μmの範囲で直径に寄与するクラッドを有してもよい。コアおよびクラッドを備える好ましいガラス繊維は、0.05~0.9、好ましくは0.1~0.9、より好ましくは0.2~0.9の範囲の開口数を有する。開口数は、以下の式で与えられる。
【0115】
【0116】
ここで、ncoreはコア材料の反射率であり、ncladはクラッド材料の反射率である。
【0117】
クラッドのための好ましい材料は、ガラスまたは硬質ポリマー、好ましくはガラスからなる群から選択される1つ以上の材料である。好ましいガラスは、石英ガラスである。
【0118】
一実施形態において、1つ以上の細長い本体は、プラスチック光学繊維である。プラスチック光学繊維のための好ましい材料は、ポリメタクリレートまたはポリメチルメタクリレートからなる群から選択される1つ以上の材料である。好ましいプラスチック光学繊維は、200~3000μmの範囲、好ましくは250~2900μmの範囲、より好ましくは300~2500μmの範囲のコア直径を有する。プラスチック光学繊維は、好ましくは250~3050μmの範囲、好ましくは300~2900μmの範囲、より好ましくは350~2500μmの範囲で直径に寄与するクラッドを有してもよい。
【0119】
コアおよびクラッドを備える好ましいガラス繊維は、0.05~0.9、好ましくは0.1~0.9、より好ましくは0.2~0.9の範囲の開口数を有する。
【0120】
一実施形態では、1つ以上の細長い本体は、中空ケイ酸塩管である。好ましい中空ケイ酸塩管は、300~1000μmの範囲、好ましくは350~950μmの範囲、より好ましくは400~900μmの範囲のコア直径を有する。好ましい中空ケイ酸塩管はクラッドを有する。クラッドは、400~1300μmの範囲、好ましくは450~1200μmの範囲、より好ましくは500~1000μmの範囲で直径に寄与することができる。クラッドは、好ましくは、ハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化銀である。
【0121】
コアおよびクラッドを備える好ましいガラス繊維は、0.05~0.9、好ましくは0.1~0.9、より好ましくは0.2~0.9の範囲の開口数を有する。
【0122】
一実施形態では、1つ以上の細長い本体は、液体光ガイドである。好ましい液体光ガイドは、3000~5000μmの範囲、好ましくは3300~4700μmの範囲、より好ましくは3500~4500μmの範囲のコア直径を有する。ガラス繊維は、好ましくは6000~1000μmの範囲、より好ましくは6500~9500μmの範囲、最も好ましくは7000~9000μmの範囲で直径に寄与するクラッドを有してもよい。好ましいガラス繊維は、0.05~0.9、好ましくは0.1~0.9、より好ましくは0.2~0.9の範囲の開口数を有する。
【0123】
一組の細長い本体は、細長い本体の長さの少なくとも一部にわたって束にまとめることができる。
【0124】
支持体
装置は、固定された相対位置に出口を保持するための支持体を含んでもよい。
【0125】
出口表面およびエミッタ表面
出口の相対的な構成は、出口表面を画定し、出口は、出口表面内に存在する。
【0126】
赤外線ソースのエミッタ表面は、赤外線ソースが赤外線を放出する表面である。赤外線ソースが単一の赤外線ソース素子からなる場合、赤外線ソースのエミッタ表面は、単に赤外線ソース素子が赤外線を放出する領域である。赤外線ソースが複数の赤外線ソース素子からなる場合、赤外線ソースのエミッタ表面は、赤外線ソース素子によって画定される表面であり、赤外線ソース素子は、赤外線ソースのエミッタ表面内に存在する。赤外線ソースのエミッタ表面は、周囲に存在する最も外側の赤外線ソース素子によって画定される周囲を有する単一の接続領域である。
【0127】
出口は、出口表面内に存在し、出口によって占有される領域の間に、排出面に隙間が存在してもよい。提供される赤外線は、出口によって占有される出口表面の割合から提供される。一実施形態では、出口は密に充填される。この実施形態では、赤外線は、出口表面の0.1~0.9の範囲、好ましくは0.2~0.9の範囲、より好ましくは0.3~0.9の範囲の割合から提供されることが好ましい。
【0128】
赤外線源と細長い本体の配置
本発明の範囲内で、赤外線ソースおよび一組の細長い本体は、多くの配置が可能である。このような配置は、一組の細長い本体を構成する個々の細長い本体と、赤外線ソースを構成する個々の赤外線ソース素子との間の関係によって決定される。
【0129】
個々の赤外線ソース素子と個々の細長い本体との間の関係は、一対一、多対一、一対多、多対多、または混合とすることができる。一対一の関係では、単一の赤外線ソース素子は、単一の細長い本体に対応して配置される。赤外線ソース素子から放出される赤外線は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に細長い本体に結合する。細長い本体に結合される光は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に赤外線ソース素子から結合される。多対一の関係では、2つ以上の赤外線ソース素子のグルーピングが、単一の細長い本体に対応して配置される。赤外線ソース素子のグルーピングから放出される赤外線は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に細長い本体に結合する。細長い本体に結合される光は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に赤外線ソース素子のグループから結合される。一対多の関係では、単一の赤外線ソース素子が、2つ以上の細長い本体のグルーピングに対応して配置される。赤外線ソース素子から放出される赤外線は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に細長い本体のグルーピングに結合する。細長い本体のグルーピングに結合される光は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に赤外線ソース素子から結合される。多対多の関係では、2つ以上の赤外線ソース素子のグルーピングが、2つ以上の細長い本体のグルーピングに対応して配置される。赤外線ソース素子のグルーピングから放出される赤外線は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に、細長い本体のグルーピングに結合する。細長い本体のグルーピングに結合される光は、主に、好ましくは実質的に排他的に、より好ましくは排他的に、赤外線ソース素子のグルーピングから結合される。赤外線ソース素子と、一対一、一対多、多対一、または多対多の関係によって完全には説明されていない細長い本体との間の混合関係も可能である。
【0130】
本発明の一実施形態では、赤外線ソースの赤外線ソース素子と、一組の細長い本体の細長い本体とは、一対一の関係で配置される。各赤外線ソース素子は、対応する細長い本体に一対一で対応する。
【0131】
本発明の一実施形態では、赤外線ソースの赤外線ソース素子と、一組の細長い本体のうちの細長い本体とは、一対多の関係で配置される。各赤外線ソース素子は、細長い本体の対応するグルーピングに一対多で対応する。
【0132】
本発明の一実施形態では、赤外線ソースの赤外線ソース素子と、一組の細長い本体のうちの細長い本体とは、一対多の関係で配置される。各赤外線ソース素子は、対応する細長い本体と多対一で対応する2つ以上の赤外線ソース素子のグルーピングに属する。
【0133】
本発明の一実施形態では、赤外線ソースの赤外線ソース素子と、一組の細長い本体のうちの細長い本体とは、多対多の関係で配置される。各赤外線ソース素子は、細長い本体の対応するグルーピングに多対多で対応する2つ以上の赤外線ソース素子のグルーピングに属する。
【0134】
本発明の一実施形態では、赤外線ソースの赤外線ソース素子と、一組の細長い本体の細長い本体とは、一対一、一対多、多対一、多対多、および混合からなる群から選択される2つの異なるタイプの関係を含むように配置される。
【0135】
赤外線ソース
装置は、赤外線ソースを備える。好ましい赤外線ソースは、ターゲット表面を加熱するための赤外線を提供するのに役立つ。赤外線ソースからの赤外線は、一組の細長い本体によってターゲットに伝達される。
【0136】
赤外線ソースは、単一の赤外線ソース素子であってもよいし、複数の赤外線ソース素子の集まりからなっていてもよい。赤外線ソース素子は、単一の接続領域から赤外線を放出する。2つ以上の接続された領域から赤外線を放出する赤外線ソースは、2つ以上の赤外線ソース素子からなる。
【0137】
赤外線ソース素子は、本発明の文脈におけるその適合性に応じて、当業者によって選択され得る。
【0138】
一実施形態では、赤外線ソースは、半導体赤外線エミッタを備える。半導体赤外線エミッタは、赤外線ダイオードエミッタとも呼ばれる。半導体赤外線エミッタは、半導体部分から赤外線を放出するように配置され、構成される。好ましい半導体赤外線エミッタは、半導体バンドギャップを利用して、半導体バンドギャップの幅に依存する波長の赤外線を放出する。好ましいタイプの半導体赤外線エミッタは、赤外線LEDおよび赤外線半導体レーザである。
【0139】
一実施形態では、装置は、790~830nmの範囲、好ましくは800~820nmの範囲、より好ましくは805~815nmの範囲のピーク発光波長を有する赤外線ソース素子を備え、赤外線ソース素子は、好ましくは赤外線LEDである。
【0140】
一実施形態では、装置は、830~870nmの範囲、好ましくは840~860nmの範囲、より好ましくは845~855nmの範囲のピーク発光波長を有する赤外線ソース素子を備え、赤外線ソース素子は、好ましくは赤外線LEDである。
【0141】
一実施形態では、装置は、920~960nmの範囲、好ましくは930~950nmの範囲、より好ましくは935~945nmの範囲のピーク発光波長を有する赤外線ソース素子を備え、赤外線ソース素子は、好ましくは赤外線LEDである。
【0142】
一実施形態では、装置は、950~990nmの範囲、好ましくは960~980nmの範囲、より好ましくは965~975nmの範囲のピーク発光波長を有する赤外線ソース素子を備え、赤外線ソース素子は、好ましくは赤外線VCSELである。
【0143】
一実施形態では、装置は、960~1000nmの範囲、好ましくは970~990nmの範囲、より好ましくは975~985nmの範囲のピーク発光波長を有する赤外線ソース素子を備え、赤外線ソース素子は、好ましくは赤外線VCSELである。
【0144】
一実施形態では、赤外線ソースは熱赤外線エミッタを備え、好ましくは熱赤外線エミッタである。
【0145】
一実施形態では、装置は、0.8~3μmの範囲、好ましくは1~2.5μmの範囲、より好ましくは1.25~2μmの範囲のピーク発光波長を有する赤外線ソース素子を備え、赤外線ソース素子は、好ましくは熱赤外線エミッタである。
【0146】
光学素子
装置は、1つ以上の光学素子を備えてもよい。好ましい光学素子は、赤外線ソースから放射される赤外線の経路を変更する役割を果たす。特に、光学素子は、結合の調節、好ましくは細長い本体への結合の調節、減結合の調節、好ましくは細長い本体からの減結合の調節、焦点合わせ、発散およびコリメーションのうちの1つ以上のために使用され得る。当業者は、本発明の文脈において適切であると考える光学素子を使用することができる。好ましい光学素子は、レンズ、コリメータ、回折器、好ましくは回折格子からなる群から選択される。
【0147】
一実施形態では、本発明の装置は、細長い本体に結合される赤外線ソース素子から放出される赤外線の割合を増加させるための光学素子を備える。
【0148】
結合
赤外線は、入口で細長い本体に結合し、出口で細長い本体から減結合する。入口は、赤外線ソース素子または光学素子のいずれかに接触してもよく、あるいはいずれにも接触しなくてもよい。
【0149】
赤外線ソースからの赤外線の一組の細長い本体の入口への結合は、赤外線ソースと接触する入口、または赤外線ソースから離れたところにある入口のいずれかで達成され得る。細長い本体の入口と赤外線ソースとの間の好ましい距離は、1mm~1cm、好ましくは1mm~5mm、より好ましくは1mm~3mmの範囲である。
【0150】
一実施形態では、1つ以上の細長い本体は、赤外線ソースと直接接触している。細長い本体と赤外線ソースとの間の直接的な接触は、単に接触して静止しているだけでも、あるいは取り付けられていてもよい。好ましい取り付けは、溶接、挿入、またはその両方である。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の赤外線ソース素子、好ましくは全ての赤外線ソース素子とが、一対一の関係で接触している。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の赤外線ソース素子、好ましくは全ての赤外線ソース素子とが、一対多の関係で接触している。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の赤外線ソース素子、好ましくは全ての赤外線ソース素子とが、多対一の関係で接触している。
【0151】
一実施形態では、1つ以上の細長い本体は、1つ以上の光学素子と直接接触している。細長い本体と光学素子との間の直接的な接触は、単に接触して静止しているだけでも、あるいは取り付けられていてもよい。好ましい取り付けは、溶接、挿入、またはその両方である。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の光学素子、好ましくは全ての光学素子とが、一対一の関係で接触している。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の光学素子、好ましくは全ての光学素子とが、一対多の関係で接触している。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の光学素子、好ましくは全ての光学素子とが、多対一の関係で接触している。
【0152】
一実施形態では、1つ以上の細長い本体が、赤外線ソースから距離を置いて配置される。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の赤外線ソース素子、好ましくは全ての赤外線ソース素子とが、一対一の関係で対応する距離に置かれている。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の赤外線ソース素子、好ましくは全ての赤外線ソース素子とが、一対多の関係で対応する距離に置かれている。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の赤外線ソース素子、好ましくは全ての赤外線ソース素子とが、多対一の関係で対応する距離に置かれている。
【0153】
一実施形態では、1つ以上の細長い本体は、1つ以上の光学素子から距離を置いて配置される。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の光学素子、好ましくは全ての光学素子とが、一対一の関係で対応する距離に置かれている。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の光学素子、好ましくは全ての光学素子とが、一対多の関係で対応する距離に置かれている。この実施形態の一態様では、一組の細長い本体、好ましくは全ての細長い本体と、一組の光学素子、好ましくは全ての光学素子とが、多対一の関係で対応する距離に置かれている。
【0154】
技術用途
本発明の装置およびプロセスは、ターゲット、特にアクセスが困難なターゲット表面を加熱するのに有用である。本発明の1つの用途は、成形部品、好ましくは成形プラスチック部品を処理することである。成形部品の好ましい処理は、成形バリの除去である。本発明は、プラスチック、ケイ素、金属、無機化合物および複合材料からなる群から選択される1つ以上を加熱するために使用され得る。好ましい熱可塑性樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリアクリレート、ポリラクチド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエーテルケトンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される1種以上である。好ましい無機化合物は、ZnOまたはSiCである。
【0155】
本発明の別の用途は、2つ以上の部品から複合材料物品を製造することである。本発明の装置またはプロセス、あるいはその両方は、ターゲット表面を加熱して、それを軟化または溶融させるために使用することができる。次いで、更なる部品が、軟化または溶融したターゲット表面に溶接される。
【0156】
ここで、本発明を図面を用いてさらに説明する。これらの図面は、例示の目的のためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。図面に予め記載された特定の実施形態は、以下の方法によって、すなわち、赤外線LEDが赤外線ソース素子として使用されるが、赤外線VCSELなどの他の赤外線ソース素子も可能であることと、ガラス繊維が細長い本体として使用されるが、プラスチック繊維などの他の細長い本体も可能であることと、レンズが光学素子として使用されるが、回折格子などの他の光学素子も可能であることによって一般化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【
図1a】赤外線LEDとガラス繊維との間の一対一の関係を示す模式図である。
【
図1b】赤外線LEDのグルーピングとガラス繊維との間の多対一の関係を示す模式図である。
【
図1c】赤外線LEDとガラス繊維のグルーピングとの間の一対多の関係を示す模式図である。
【
図1d】赤外線LEDのグルーピングとガラス繊維のグルーピングとの間の多対多の関係を示す模式図である。
【
図1e】赤外線LEDとガラス繊維との混合関係を示す模式図である。
【
図2】一組のガラス繊維に一対一で対応する赤外線LEDのアレイを示す模式図である。
【
図3】熱エミッタを、それに溶接されたガラスロッドとともに示す模式図である。
【
図4】熱エミッタを、それに溶接された3つのガラスロッドとともに示す模式図である。
【
図6】ガラス繊維に一対一で結合された赤外線LEDのアレイを示す模式図である。
【
図9】試験基板に赤外線を照射するために使用される熱赤外線エミッタを模式的に示す。
【
図10】試験基板に赤外線を照射するために使用される
図4の装置を示す。
【
図11】試験基板に赤外線を照射するために使用される赤外線LEDのアレイを示す。
【
図12】試験基板に赤外線を照射するために使用されるガラス繊維の束に結合された赤外線LEDのアレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0158】
図1aは、単一の赤外線LED103が単一のガラス繊維101に対応する一対一の関係を示す模式図である。赤外線LED101から放出された赤外線104は、レンズ102を介してガラス繊維101の入口に結合される。赤外線LED103から放出された赤外線104は、ガラス繊維101にのみ結合し、他のガラス繊維101には結合しない。赤外線LED103からの赤外線のみが、ガラス繊維101に結合され、他の赤外線LEDからの赤外線は結合されない。
【0159】
図1bは、単一の赤外線LED103が2つのガラス繊維101のグルーピングに対応する一対多の関係を示す模式図である。赤外線LED101から放出された赤外線104は、レンズ102を介してガラス繊維101のグルーピングの入口に結合される。赤外線LED103から放出された赤外線104は、ガラス繊維101のグルーピングにのみ結合し、他のガラス繊維101には結合しない。赤外線LED103からの赤外線のみが、ガラス繊維101のグルーピングに結合され、他の赤外線LEDからの赤外線は結合されない。
【0160】
図1cは、4つの赤外線LED103のグルーピングが単一のガラス繊維101に対応する多対一の関係を示す模式図である。赤外線LED101のグルーピングから放出された赤外線104は、レンズ102を介してガラス繊維101の入口に結合される。赤外線LED103のグルーピングから放出された赤外線104は、ガラス繊維101にのみ結合し、他のガラス繊維101には結合しない。赤外線LED103のグルーピングからの赤外線のみが、ガラス繊維101に結合され、他の赤外線LEDからの赤外線は結合されない。
【0161】
図1dは、4つの赤外線LED103のグルーピングが2つのガラス繊維101のグルーピングに対応する多対多の関係を示す模式図である。赤外線LED101のグルーピングから放出された赤外線104は、レンズ102を介してガラス繊維101のグルーピングの入口に結合される。赤外線LED103のグルーピングから放出された赤外線104は、ガラス繊維101のグルーピングにのみ結合し、他のガラス繊維101には結合しない。赤外線LED103のグルーピングからの赤外線のみがガラス繊維101のグルーピングに結合され、他の赤外線LEDからの赤外線は結合されない。
【0162】
図1eは、6つの赤外線LED103と2つのガラス繊維101との間の混合関係を示す模式図である。左にある4つの赤外線LED103cから放出された赤外線104は、レンズ102bを介して左ガラス繊維101bに結合される。右にある4つの赤外線LED103aから放出された赤外線104は、レンズ102aを介して右ガラス繊維101aに結合される。中央にある2つの赤外線LED103bから放出された赤外線104は、レンズ102aを介して右ガラス繊維101aに結合され、レンズ102bを介して左ガラス繊維101bに結合される。左ガラス繊維101bは、左にある4つの赤外線LED103cと中央にある2つの赤外線LED103bの両方から赤外線を受ける。右ガラス繊維101aは、右にある4つの赤外線LED103aと中央にある2つの赤外線LED103bの両方から赤外線を受ける。赤外線LED103とガラス繊維101との間の関係は、ここでは、一対一、一対多、多対一、または多対多のいずれかとして説明することができない。
【0163】
図2は、一組のガラス繊維101に一対一で対応する赤外線LED103のアレイ201を示す模式図である。赤外線LED103は、一緒になって一つの赤外線ソース201であると考えられる。各赤外線LED103は、対応するガラス繊維101と一対一で対応している。赤外線LED103からの赤外線ソースは、レンズ102を介して対応するガラス繊維101に結合される。
【0164】
図3は、ガラスコーティング401を有する熱エミッタ402を示す模式図であり、熱エミッタ402は、それに404で溶接されたガラスロッド403を有する。赤外線405は、熱エミッタ402から入口406を介してガラスロッド403に入り、出口407から出る。
【0165】
図4は、ガラスコーティング401を有する熱エミッタ402を示す模式図であり、熱エミッタ402は、それに溶接された3つのガラスロッド403を有する。赤外線405は、熱エミッタ402からガラスロッド403に入り、ターゲット501で交差する。
【0166】
図6は、ガラス繊維101に一対一で結合された赤外線LED103のアレイ201を示す模式図である。ガラス繊維101は、束301にグルーピングされる。赤外線LED103からの赤外線104は、ガラス繊維101を介して伝導され、繊維束301の端部から出る。
【0167】
図7は、試験基板の表面を模式的に示す。表面は、側面が10mm701の立方体キャビティを有する。試験点Aは内側背面の中間点にあり、Bはキャビティの側面の中間点にあり、Cはキャビティから5mm離れた基板の外面にある。細長い本体の場合、出口表面(例えば、ガラスロッドの先端)は、キャビティの背面から5mmの点702に配置される。細長くないエミッタの場合、エミッタは、外部基板表面から5mm 710に位置する。A、BおよびCの各々において、基板の表面は、
図8に示すように隆起部を有する。
【0168】
図8は、試験位置A、BおよびCの各々における
図7の試験基板の表面を模式的に示す。これらの位置における試験表面は、一連の高さ0.5mmの隆起部および高さ0.2mmの隆起部を有する。
【0169】
図9は、
図7および
図8の試験基板901に赤外線903を照射するために使用される熱赤外線エミッタ904を模式的に示す。熱エミッタ401は、大きすぎて、キャビティ902に入らない。
【0170】
図10は、
図4の装置を示し、この装置は、ガラスロッド403が熱赤外線エミッタ904に溶接されており、
図7の試験基板901のキャビティ902に赤外線903を照射するために使用される。ガラスロッド403の端部は、キャビティ902に到達して、赤外線903を照射することができる。
【0171】
図11は、
図7の試験基板901のキャビティ902に赤外線903を照射するために使用される赤外線LEDのアレイ905を示す。アレイ905は、試験基板901のキャビティ902内に嵌合することができない。
【0172】
図12は、ガラス繊維101の束301に結合された赤外線LEDのアレイ201を示し、このアレイ201を、
図7の試験基板901のキャビティ902に放射線903を照射するために使用する。繊維束301の端部は、十分小さいので、キャビティ902の中に入り、その内側に赤外線903を照射する。
【0173】
図13は、平坦なターゲット表面を示す。例のために、エミッタの出口は、ターゲット表面上の点1004より5mm上の点1005に配置された。より大きな出口表面では、出口表面の中間点は、点1005に位置した。照射に続いて、点1004と、点1004からそれぞれ5mm、10mmおよび15mm離れたリング1003、1002および1001上で、温度測定を行った。
【0174】
試験方法
【0175】
光束
光束はCIE84-1989に従って測定される。
【0176】
ピーク発光波長および帯域幅
ピーク発光波長および帯域幅は、CIE63-1984に従って測定される。ピーク発光波長は、スペクトル発光密度において最大である。帯域幅とは、スペクトル放射密度がピーク値の半分以上であるピーク放射波長付近の分布の幅である。
【0177】
ターゲット表面の温度
温度は、DIN IEC60584に従って測定される。
【0178】
付着性
付着性は、ASTM D3359-17のテープ試験を用いて、1~5のランク付けを用いて測定される。なお、1が最悪の性能であり、5が最良の性能である。
【実施例】
【0179】
以下の実施例では、本発明がどのように実施され得るかを記載する。実施例は、網羅的ではなく、特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。
【0180】
[実施例1a]
装置は、
図2および
図6に従って提供された。赤外線ソースとして、Osram社から市販されている赤外線LEDの5×5正方形アレイを使用した。このアレイは、エミッタピーク波長=940nm、発光波長帯域幅=100nm、光束=10W/cm
2、発光面積1mm
2という特性を有する。正方形アレイは、隣接する赤外線LED間の間隔が2.5mmであった。したがって、アレイは、全体サイズが15mm×15mmであった。各赤外線LEDの上に、Heraeus Noblelight GmbH社(ドイツ)から市販されている断面直径1.25mmの円形コリメーティングレンズを配置した。各レンズは、平坦な側を赤外線LEDの方に向けて、対応する赤外線LEDから1mmの距離に置いた。Laser Components GmbH社(ドイツ)から市販されている開口数0.37の石英ガラス繊維を、各レンズの曲面から一端が1mmの位置に配置した。この石英ガラス繊維の特性は、長さ=5m、コア直径=0.8mm、クラッド材=硬質ポリマー、コーティング直径の寄与=0.1mmである。ガラス繊維の他端は、密に束ねられ、テープによって一緒に保持され、出口の表面積は、18mm
2となった。出口表面を、
図7および
図8に示すように、アクリロニトリルブタジエンスチレンから作製されたターゲット基板に近接させた。
図12に示すように背面から5mmの距離のキャビティに導入した。赤外線LEDアレイを活性化することにより、5秒間にわたって、ターゲット表面に赤外線を照射した。このように出口表面の表面積に対するエミッタ表面積の比は13:1であった。
【0181】
[実施例1b]
装置は、
図3に従って提供された。赤外線ソースとして、Heraeus Noblelight GmbH社(ドイツ)から市販されている熱エミッタを使用した。この熱エミッタの特性は、エミッタピーク波長=1250nm、発光波長帯域幅=3000nm、光束=10W/cm
2、発光面積30×25mm
2である。Heraeus Quarzglas GmbH社(ドイツ)から市販されている開口数0.9の石英ガラススタッフを、熱エミッタの絶縁材料の表面に一端で溶接した。この石英ガラススタッフの特性は、長さ=10cm、コア直径=5mmである。出口表面を、アクリロニトリルブタジエンスチレン製で、
図7および
図8に従うターゲット基板に近接させた。
図10に示すように背面から5mmの距離でキャビティに導入した。熱エミッタを活性化することにより、5秒間にわたって、ターゲット表面に赤外線を照射した。こうして、入口表面積に対するエミッタ表面積の比は38:1であり、出口表面積に対するエミッタ表面積の比も38:1であった。
【0182】
[実施例2a]
実施例1aを繰り返した。但し、ガラス繊維に結合せずにアレイを使用した点で異なる。アレイは、
図11に示すように、ターゲット基板外面から5mmの位置に配置した。赤外線LEDアレイを活性化することにより、同様に5秒間にわたって、ターゲット表面に赤外線を照射した。
【0183】
[実施例2b]
実施例1bを繰り返した。但し、ガラスロッドを取り付けずに熱エミッタを使用した点で異なる。熱エミッタは、
図9に示すように、ターゲット基板外面から5mmの位置に配置した。熱エミッタを活性化することにより、同様に5秒間にわたって、ターゲット表面に赤外線を照射した。
【0184】
測定
各場合において、次に、位置A、BおよびCでターゲット基板を検査して、隆起部が依然として識別可能であるかどうか、または隆起部が溶融除去されたかどうかを調べた。また、構造の大規模完全性を検査した。
【0185】
【表1】
0=加熱後に、小さな隆起部と大きな隆起部の両方を識別できる。
1=加熱後に、小さな隆起部は識別できない。大きな隆起部は識別できる。
2=加熱後に、小さな隆起部も大きな隆起部も識別できない。
【0186】
表1から明らかなように、本発明の実施例1aと1bの双方によって、Cにおける隆起部を損傷させることなく、キャビティの遠位端でAにおける隆起部の選択的な加熱および除去が可能になった。1aでは、キャビティBの側面の隆起部も損傷がなかった。1bでは、Bで隆起部の溶融があったが、比較例2a、2bでは、Cにおける外面を損傷させずに、キャビティ内の位置Aでの加熱ができなかった。また、比較実施例では、基板の大規模構造に損傷があった。
【0187】
[実施例3a~4b]
実施例1a、1b、2a、2bを繰り返したが、
図13によるターゲットを用いた。それぞれの場合において、エミッタ出口はターゲットの中心点から5mm離れた位置に配置された。中心点の温度が150℃に達したら、同心リングの温度を測定した。
【0188】
【0189】
表2から明らかなように、本発明の実施例3aおよび3bは、それぞれ対応する比較例4aおよび4bよりもターゲットの中心でより良好な選択的な加熱を提供した。
【0190】
[実施例5]
実施例1aおよび1bの装置を以下のように使用した。実施例1aのガラス繊維を曲げて、曲げ半径rを有する角度αの円弧を得た。実施例2aのガラスロッドを加熱し、曲げ半径rの角度の円弧に加工した。結果を表3に示す。出口電力は、角度偏差なしで対応する実施例に正規化される。
【0191】
【0192】
ガラス繊維は、可撓性があるために、クランプで所定の位置に保持されねばならなかった。クランプは嵩張り、繊維は屈曲するので、狭い凹部へのアクセス、特に下からのアクセスが複雑になった。いったんガラスロッドが成形されると、ガラスロッドは、所定の位置に容易に移動することができ、支持体がなくても、その位置を保持する。
【符号の説明】
【0193】
101 細長い本体
102 光学素子
103 赤外線ソース素子
104 赤外線
201 赤外線ソース(アレイ)
301 繊維束
302 ターゲット
303 支持体/可撓性出口表面
401 ガラスコーティング
402 熱赤外線ソース
403 ガラスロッド
404 溶接
405 赤外線
406 入口
407 出口
501 ターゲット
701 キャビティ開口部=10mm
702 出口位置
703 離間=5mm
801 大きな隆起部=0.5mm
802 小さな隆起部=0.2mm
901 試験基板
902 キャビティ
903 赤外線
904 熱エミッタ
905 赤外線LEDのアレイ
1001 15mm離間した外側リング
1002 10mm離間した中間リング
1003 5mm離間した内側リング
1004 ターゲット表面の中間点
1005 5mm離間したエミッタの位置