(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】毛髪に対する熱損傷度を決定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/33 20060101AFI20230309BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230309BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20230309BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20230309BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G01N21/33
G01N21/64 Z
G01N30/88 F
G01N33/50 H
G01N33/483 C
(21)【出願番号】P 2020513786
(86)(22)【出願日】2018-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2018071928
(87)【国際公開番号】W WO2019048189
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】102017215873.5
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・レヒナー
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-173301(JP,A)
【文献】特開2012-242151(JP,A)
【文献】特開2003-240773(JP,A)
【文献】特開2013-200299(JP,A)
【文献】特開2005-283336(JP,A)
【文献】実開平01-070161(JP,U)
【文献】特表2014-522500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/83
G01N 33/48-G01N 33/98
G01N 30/00-G01N 30/96
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
Science Direct
ACS PUBLICATIONS
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱による毛髪損傷度を決定する方法であって、
毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に曝露している間に、該毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のスペクトルを
取得すること;
スペクトルの少なくとも一部を、UVまたはUV/VISスペクトルと、複数のキャリブレーション毛髪サンプルの熱損傷度とを用いて得られる分光学的キャリブレーションモデルと比較すること;および、
前記比較を
含み、熱による毛髪損傷度を決定すること
を含
み、さらに、以下:
複数のキャリブレーション毛髪サンプルに対して、
キャリブレーション毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に曝露している間に、該キャリブレーション毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のスペクトルを記録すること;
各検出波長に対するスペクトルにおいて検出されたUVまたはUV/VIS光の強度に対する、キャリブレーション毛髪サンプルに曝露されたUVまたはUV/VIS光の強度の強度比を決定すること、
独立した方法によりキャリブレーション毛髪サンプルの熱による毛髪損傷度を決定すること;および
キャリブレーションスペクトルに熱損傷度を割り当てること、
を含む、キャリブレーションモデルの作成;並びに、
複数のキャリブレーション比と複数の熱損傷度との間の相関関係を決定すること、
を含む
、方法。
【請求項2】
独立した方法はトリプトファン含量を測定することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
トリプトファン含量の測定は、クロマトグラフィー法または比色法を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
UVまたはUV/VIS光の少なくとも一部が約280nm付近の、好ましくは270~290nmの間の波長範囲を有する、請求項1~
3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
毛髪サンプルおよび/またはキャリブレーション毛髪サンプルの曝露は、約280nm付近の、好ましくは270~290nmの間の波長範囲を有するUVまたはUV/VIS光により行われる、請求項1~
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
独立した方法が理論上の毛髪損傷期間の決定を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
UVまたはUV/VIS光の少なくとも一部が300~350nmの波長範囲を有する、請求項
1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
毛髪サンプルおよび/またはキャリブレーション毛髪サンプルの曝露は250~300nmの波長範囲を有するUVまたはUV/VIS光により行われる、請求項
1~
7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
熱による毛髪損傷度を測定するための装置であって、
毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に曝露するためのUV光源またはUV/VIS光源;
毛髪サンプルと相互作用するUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のスペクトルを
取得するため
の、および、複数のキャリブレーション毛髪サンプルに対して、キャリブレーション毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に曝露している間に、該キャリブレーション毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のキャリブレーションスペクトルを取得するための分光計;および
UVまたはUV/VISスペクトルと、複数のキャリブレーション毛髪サンプルの
熱損傷度とを用いて得られる分光学的キャリブレーションモデルを保存するデータメモリ、および、少なくとも一部のスペクトルを分光学的キャリブレーションモデルと比較し、該比較
に基づく熱毛髪損傷度を決定するためのプロセッサを有するデータ処理装置
を含み、
該データ処理装置がさらに、各検出波長に対するスペクトルにおいて検出されたUVまたはUV/VIS光の強度に対する、キャリブレーション毛髪サンプルに曝露されたUVまたはUV/VIS光の強度の強度比を決定するため、および、キャリブレーションスペクトルに熱損傷度を割り当てるために、適合されており、
複数のキャリブレーション比と複数の熱損傷度との間の相関関係を決定する、装置。
【請求項10】
UVまたはUV/VIS光源および分光計は統合ユニットを形成する、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
統合ユニットおよび/またはデータ処理装置はモバイルデバイスである、請求項
9または
10に記載の装置。
【請求項12】
個別のトリートメント指令を決定する方法であって、
請求項1~
8のいずれかに記載の方法に従い、個別の
熱毛髪損傷度を決定すること;および
決定された熱による毛髪損傷度に応じて、コンピュータを利用して個別のトリートメント指令を決定すること
を含む方法。
【請求項13】
個別のトリートメント指令が、ブリーチ製品および/または染色剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品の提案を含む、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に対する熱損傷度を決定するための方法および装置、並びに、毛髪トリートメントのためのユーザー固有の製品を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を化粧品で処理する場合、例えば、着色の強さなどの製品の効果は、毛髪に対する損傷程度に強く依存し得る。
【0003】
したがって、毛髪に対する損傷の測定は非常に重要である。
【0004】
毛髪は、自然にまたは人工的な処理によって損傷を受け得る。重要な種類の損傷は熱損傷である。
【0005】
ヘアドライヤーで湿った毛髪を乾燥させる場合、特に矯正アイロンまたはカーリングトングにより半永久的にヘアスタイリングする場合、高温(最大240℃)が毛髪に作用する。特に、以前に損傷した毛髪はそのような高温によって激しく(さらに)損傷し得る。
【0006】
損傷のプロセスは、アミノ酸の分解、例えば、毛髪においてしばしば見られるアミノ酸トリプトファンとその酸化生成物(キヌレニン)の分解により生じ得る。
【0007】
毛髪に対する化学的損傷に加えて、例えば毛髪のクチクラにおける亀裂の形態で物理的損傷も起こり得る。
【0008】
毛髪のこれらの構造的および化学的損傷は、毛髪をもろくし、コーミング中の毛髪破損を増加させ、コーミング作業の増加を引き起こし得る。
【0009】
学術および産業部門において研究者または開発者は、熱損傷度を決定するために、例えば熱損傷度の定量的測定など様々な物理的および化学的分析方法を自由に利用できる。
【0010】
アミノ酸の含量を決定するために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー法を使用し得る。しかしながら、これらは最初に、毛髪サンプルの複雑な酸性、塩基性または酵素的加水分解消化を必要とする。あるいは、比色法を使用してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらの方法はすべて複雑で高価なため、エンドユーザーは利用できない。
【0012】
ヘアカラーリング、熱処理、パーマ、またはブリーチなどの酸化処理などの損傷を与える美容処理は、通常、民間部門または最終消費者への商業サービスの分野で行われる。(熱的に)以前に損傷した毛髪に他の損傷方法を実行すると、壊滅的な結果や完全な毛髪の破損につながる可能性があるが、例えば定量的に、毛髪への先の熱損傷度を決定することはできなかった。
【0013】
また、製品ユーザーは個々のニーズに合わせた製品をますます求めている。このことは、皮膚および/または毛髪のトリートメント製品などの化粧品に特に当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
様々な例示的な実施形態において、使用が容易であり、UV分光法またはUV/VIS分光法の使用により毛髪に対する熱損傷度を正確に決定できる方法および対応する装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、種々の例示的な実施形態に係る熱による毛髪損傷度を決定する方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な例示的な実施形態において、モバイルデータ処理装置、例えば、スマートフォン、タブレットまたはラップトップは、新規の小型化されたUVセンサーまたはUV/VISセンサーを使用することにより簡単な実験手順で装置および方法として使用し得る。
【0017】
さらに、個々の毛髪トリートメント指令を決定するための方法が、様々な例示的な実施形態で提供され、それによりエンドユーザーは、例えば、毛髪のアミノ酸の含量を介して熱損傷の程度を容易に決定し、この目的に合わせた毛髪トリートメント指令を得ることができる。
【0018】
UVスペクトルまたはUV/VISスペクトルは、様々な例示的な実施形態において得られ得る。UVスペクトルまたはUV/VISスペクトルは、例えば吸収スペクトルまたは蛍光スペクトルであり得る。
【0019】
例えば、熱による毛髪損傷は、トリプトファンおよびキヌレニンに特徴的な吸収スペクトルの280nmでの吸収帯における減少によるトリプトファンおよび/またはキヌレニン含量の減少の形態で決定され得る。
【0020】
数学的モデルを適用することにより、数学的モデルは別の方法により決定された熱損傷度を有するキャリブレーション毛髪サンプルを測定することにより作成することができ、それにより、例えば、記録されたUVまたはUV/VISスペクトルに基づいて、消費者の毛髪サンプル(ブレイドとも呼ばれる)におけるトリプトファンおよび/またはキヌレニンの含量およびその結果としての毛髪損傷など、熱損傷度の計算が可能となる。スペクトルの分析およびモデルの適用は、(適切なアプリを使用した)スマートフォン、タブレットまたはスマートミラーなどで実行できる。
【0021】
様々な例示的な実施形態において、熱による毛髪損傷度を決定する方法が提供される。この方法は、毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に曝露する間に、該毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のスペクトルを記録し、スペクトルの少なくとも一部を、UVまたはUV/VISスペクトルと、複数のキャリブレーション毛髪サンプルの熱損傷度とを用いて得られる分光学的キャリブレーションモデルと比較して、該比較を用いて熱による毛髪損傷度を決定することを含み得る。
【0022】
この方法は、時間のかかるサンプル調製なしで、例えば毛髪サンプル中のトリプトファンおよび/または他の成分の含量を測定することにより、熱による毛髪損傷度の直接的で非破壊な測定を可能にする。
【0023】
この方法により、結果により早く到達し得る。さらに、測定後に毛髪にさらなるトリートメントを施すことが可能であり、その結果、1つの毛髪の房に複数の適用を行い得る。
【0024】
さらに、毛髪サンプルを採取する必要がなく、例えば頭部に直接、様々な毛髪位置(例えば頭皮に近い毛髪および頭皮から遠い毛髪)で比較的容易な測定を実行することが可能であり得る。
【0025】
口語でしばしば紫外光(UV光)と呼ばれる紫外線(UV放射線)は、10~380nmの波長範囲の電磁放射線である。この波長範囲内では、315~380nmの波長範囲を有する「近紫外線」(UV-A)と、280~315nmの波長範囲を有する「中紫外線」(UV-B)、200~280nmの波長範囲を有する「遠紫外線」(UV-C-FUV)、100~200nmの波長範囲を有する「真空紫外線」(UV-C-VUV)、および10~121nmの波長範囲を有する「極端紫外線(EUV)」に区別される。
【0026】
電磁スペクトルにおいて、可視光(VIS)の範囲は380nm~780nmの波長を含む。
【0027】
様々な例示的な実施形態において、毛髪サンプルが曝露されるUV光またはUV/VIS光は、200~500nmの波長範囲、特に好ましくは250~400nm、非常に好ましくは250~350nmの波長範囲を有し得る。特に、毛髪サンプルが曝露されるUV光またはUV/VIS光は、約280nm付近、好ましくは270~290nmの間の波長範囲を有することが好適であり得る。
【0028】
様々な例示的な実施形態において、前記方法は、キャリブレーションモデルの作成(キャリブレーションモデルの作成は、複数のキャリブレーション毛髪サンプルに対して、キャリブレーション毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に曝露している間に、該キャリブレーション毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のキャリブレーションスペクトルを記録すること、独立した方法によりキャリブレーション毛髪サンプルの熱による毛髪損傷度を決定すること、および、キャリブレーションスペクトルに毛髪損傷度を割り当てることを含み得る)および複数のキャリブレーションスペクトルと複数の熱損傷度との間の相関関係を決定することをさらに含んでいてよい。
【0029】
様々な例示的な実施形態において、熱による毛髪損傷度を決定するための独立した方法は、トリプトファンおよび/またはキヌレニン含量を決定することを含み得る。独立した方法は、クロマトグラフィー法または比色法であり得る。独立した方法は、好ましくは、トリプトファン含量を決定するためのクロマトグラフィー法であり得る。
【0030】
これらの例示的な実施形態において、相互作用がUVまたはUV/VIS光の吸収を含むことが有利であり得る。毛髪サンプルおよび/またはキャリブレーション毛髪サンプルが曝露されるUV光またはUV/VIS光が約280nm付近の波長範囲を有し、UVまたはUV/VIS光の少なくとも一部が約280nm付近の波長範囲を有することが特に好ましい。
【0031】
また、相互作用は、反射、散乱、透過および/または蛍光を含み得る。
【0032】
様々な例示的な実施形態において、前記方法は、キャリブレーションモデルの作成(キャリブレーションモデルの作成は、複数のキャリブレーション毛髪サンプルに対して、キャリブレーション毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に暴露している間に、該キャリブレーション毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のスペクトルを取得すること、各検出波長に対するスペクトルにおいて検出されたUVまたはUV/VIS光の強度に対する、キャリブレーション毛髪サンプルに曝露されたUVまたはUV/VIS光の強度の強度比を決定すること、独立した方法によりキャリブレーション毛髪サンプルの熱による毛髪損傷度を決定すること、および、キャリブレーションスペクトルに毛髪損傷度を割り当てることを含み得る)および複数のキャリブレーション比と複数の熱損傷度との間の相関関係を決定することをさらに含んでいてよい。
【0033】
様々な例示的な実施形態において、熱による毛髪損傷度を決定するための独立した方法は、理論上の毛髪損傷期間を決定することを含み得る。
【0034】
これらの例示的な実施形態において、キャリブレーション毛髪サンプルは、特定の期間(例えば0~240分)の時系列試験において、180℃を超える、好ましくは200℃の温度に曝される。規定された時間間隔において、キャリブレーション毛髪サンプルにUV光またはUV/VIS光が照射される。キャリブレーション毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部が検出される。次いで、検出されたUVまたはUV/VIS光の強度に対する照射されたUVまたはUV/VIS光の強度の比が、各検出波長に対して決定される。これは、それぞれの熱損傷度に特徴的な、反射および/または放出および/または透過および/または散乱されたUVまたはVIS光に対する照射されたUVまたはUV/VIS光の強度比をもたらす。
【0035】
様々な例示的な実施形態において、毛髪サンプルおよび/またはキャリブレーション毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部は、200~600nm、より好ましくは300~400nm、非常に特に好ましくは300~350nmの波長範囲を有し得る。
【0036】
様々な例示的な実施形態において、熱による毛髪の損傷度を決定するための装置が提供される。前記装置は、毛髪サンプルをUVまたはUV/VIS光に曝露するためのUV光源またはUV/VIS光源、毛髪サンプルと相互作用したUVまたはUV/VIS光の少なくとも一部のスペクトルを記録するための分光計、および、複数のキャリブレーション毛髪サンプルを用いて得られる分光学的キャリブレーションモデルを保存するデータメモリ、および、少なくとも一部のスペクトルを分光学的キャリブレーションモデルと比較し、該比較を参照して熱による毛髪損傷度を決定するためのプロセッサを有するデータ処理装置を含み得る。
【0037】
UV光源は、例えば、Eigen Imaging Inc製のUV LED光モジュール「FluoroVu」であってよい。
【0038】
様々な例示的な実施形態において、UVまたはUV/VIS光源および分光計は、統合ユニットを形成し得る。
【0039】
200~850nmの波長範囲で作動する適当な小型化されたUV/VIS分光計は、Ocean Optics、Inc.からUSB2000+UV-VISの名称で入手し得る。
【0040】
様々な例示的な実施形態において、統合ユニットおよび/またはデータ処理装置は、モバイルデバイスであり得る。
【0041】
様々な例示的な実施形態において、UVまたはUV/VIS光源および分光計は、好ましくはモバイル、データ処理装置、特にスマートフォンまたはタブレットに統合されてもよい。あるいは、UVまたはUV/VIS光源および分光計は、例えば適当なコネクタによって、好ましくはモバイル、データ処理装置に物理的に接続され得る統合ユニットを形成し得る。
【0042】
様々な例示的な実施形態において、決定された熱損傷度に応じて、個別の、すなわちユーザー固有のトリートメント指令を決定するための方法が提供される。
【0043】
様々な実施形態によれば、個別のトリートメント指令は、ブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品の提案を含み得る。個別のトリートメント指令がヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品の提案を含むことが特に好ましい。
【0044】
前記提案は、ブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品の特定の製品名および/または製品画像の表示またはアナウンスを含み得る。また、提案は、製品ラインまたはシリーズ(名称、テキストおよび/または画像)、特にブリーチ製品ライン/シリーズおよび/または染毛剤ライン/シリーズおよび/またはヘアケア製品ライン/シリーズおよび/またはヘアスタイリング製品ライン/シリーズ、製造者の表示および/またはアナウンスを含み得る。
【0045】
提案されるブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品は、決定された毛髪に対する熱損傷度に合致する成分を含むことが好ましい。提案されるブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品は、ヒートプロテクションをもたらすことが特に好ましい。ヒートプロテクションは、例えば、ヘアトリートメント製品において被膜形成ポリマーおよび/またはポリシロキサンを使用することにより達成され得る。特に、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)を被膜形成ポリマーとして使用することができる。適当なポリシロキサンには、特に、PEG-14ジメチコン(INCI)が含まれる。
【0046】
したがって、提案されるブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品は、被膜形成ポリマー、ポリシロキサンおよびそれらの混合物からなる群から選択される成分を含むことが好ましい。
【0047】
この方法の別の実施形態において、個別のトリートメント指令は、ブリーチおよび/または酸化染色および/または永久変形および/または熱処理を特定の期間控えるようにとの提案を含む。そのような個別のトリートメント指令は、特に、熱による毛髪損傷度が「非常に重度」および/または「重度」として相対的に分類される場合に与えられてもよい。
【0048】
方法のさらなる有利な実施形態において、個別のトリートメント指令は、方法のユーザーおよび/または個人が、QRコード、NFCチップ、バーコードまたはRFIDチップにより識別するヘアトリートメント製品についての助言またはその使用についての助言からなる。
【0049】
この方法の実施形態において、方法のユーザー、例えば美容師またはヘアトリートメント製品の販売場所にいる他の人は、熱損傷度を決定した後、ヘアトリートメント製品自体またはそれらが保管される場所、例えば美容院の棚またはヘアトリートメント製品の販売場所に取り付けられたQRコード、NFCチップ、バーコードまたはRFIDチップを介して適切なまたは不適切なヘアトリートメント製品を決定することができる。
【0050】
QRコード、NFCチップ、バーコード、またはRFIDチップにより、ワイヤレスで情報を送信できる。
【0051】
バーコードは、異なる幅の平行線とスペースで構成される、光電子的に読み取り可能なフォントである。バーコードのデータは、バーコードリーダー(スキャナー)またはカメラなどの光学読み取りデバイスを用いる機械によって読み取られ、電子的に処理される。多くのスマート端末には、スマート端末のデジタルカメラがデータを捕らえ、コード情報をデコードされた形式ですぐにユーザーに表示できるようにするソフトウェアが備わっている。
【0052】
QRコード(「Quick Response」)は、エンコードされたデータをバイナリ形式で表す、黒と白の正方形の正方行列で構成される2次元コードである。スマート端末には通常、カメラが内蔵されている。QRコードを撮影した後、ソフトウェアを使用してQRコードを読み取り/解読する。
【0053】
NFCチップとRFIDチップは、送受信システムである。この場合、少なくとも1つの通信パートナーがアクティブである、つまり通信を刺激する必要がある。他のパートナーは、例えば、電源のないチップであってもよい。この受動部分はトランスポンダ(=トランスミッタ+レスポンダ)とも呼ばれる。例えば、アクティブな通信パートナーとしてのスマート端末とトランスポンダ/チップとの間のアクティブ-パッシブ通信に加えて、アクティブ-アクティブ通信も可能である。
【0054】
カップリング/励起は、アクティブな通信パートナーまたは高周波電波によって生成される短距離の交番磁場の影響を受ける。これはデータを転送するだけでなく、トランスポンダにエネルギーを供給する。例えば、スマート端末などのアクティブな通信パートナーには、実際の読み取りプロセスを制御するソフトウェアと、他の(モバイル)データ処理装置やデータベースへのインターフェースを備えた、いわゆるミドルウェアが含まれる。
【0055】
RFID(「無線周波数識別」)は電波を介して機能する。RFID技術は、主にストレージ容量、製造プロセス、コスト、周波数域および範囲が異なる広範なチップおよびリーダーを含む。
【0056】
NFC(「近距離無線通信」)は、RFID技術の標準化された専門分野であり、特に短距離(最大10cm)でのデータ伝送用に開発された。
【0057】
例えば、QRコード、NFCチップ、バーコードまたはRFIDチップには、熱損傷度に対応する毛髪トリートメント製品が適切であるか適切でないかの情報が含まれ得る。
【0058】
個別のトリートメント指令を決定する方法は、決定された毛髪トリートメント製品(ブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品)のオンライン注文プロセスを開始すること、および/または、決定された毛髪トリートメント製品(ブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品)を入手し得る場所の表示を提供することを含み得る。
【0059】
この方法の別の実施形態において、個別のトリートメント指令は、ユーザーのために個別に製造されるブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品の使用についてのユーザーへの助言、および、好ましくは、個別のブリーチ製品および/または個別の染毛剤および/または個別のヘアケア製品および/または個別のヘアスタイリング製品の製造業者のインターネットサイトを呼び出すことによる注文プロセスの開始からなる。
【0060】
ますます多くの顧客が、ニーズに合わせて個別に調整された製品を求めている。これは、顧客向けに特別に製造された製品、またはいわゆる「マスカスタマイズ」製品であり得る。マスカスタマイズ製品の場合、個別化は、顧客の視点から決定的な製品のいくつかの特徴を変更することにより達成し得る。これらのマスカスタマイズ製品は、モジュール化の概念に基づいていることが好ましく、これは、製品を様々なモジュール/コンポーネントから個別に組み立て得ることを意味する。
【0061】
多くの異なる製品特性/製品成分間には、「命令」または「禁止」として表現され得る多数の相互依存関係があることが多い。明確な製品定義を得るには、注文プロセスに製品コンフィギュレータを使用することが有利であり得る。このコンフィギュレータは、顧客が特性/成分を選択するために、および、特性の許容される/許容されない組み合わせを指摘するために役立ち、これにより後者は選択されないであろう。
【0062】
ブリーチ製品、染毛剤、ヘアケア製品およびヘアスタイリング製品の場合、関連する製品特性には、特に製品の化学成分、製品の物理的特性、および製品のパッケージタイプが含まれる。製品コンフィギュレータの助けにより、例えば、化学的および/または物理的に適合しない成分の選択、または決定された熱による毛髪損傷の程度に適さない成分の選択を回避することができる。逆に、決定された熱による毛髪損傷の程度に適した成分の選択が、製品コンフィギュレータにより特定または提案され得る。
【0063】
様々な例示的な実施形態において、熱によるある程度の毛髪損傷に対して美容院への訪問が推奨されてもよい。様々な例示的な実施形態において、熱損傷度を決定するソフトウェア/アプリを介して予約プロセスが直接開始されてもよい。この目的のために、美容院の連絡先データをソフトウェア/アプリに保存し、ユーザーに表示してもよい。さらに、選択は、例えば郵便番号などのフィルターを介して制限されてもよい。また、美容院の予約は、Treatwellなどの別のソフトウェア/アプリを介して行ってもよい。
【0064】
したがって、個別のトリートメント指令は、美容師の予約の推奨および指名予約プロセスの開始を含み得る。
【0065】
個別のトリートメント指令を保存し、長期推奨のためのその後の方法において使用することも好ましい。
【0066】
さらなる実施形態において、個別のトリートメント指令がユーザーに出される前に、(モバイル)データ処理装置、特にスマートフォンまたはタブレットとクラウド内に保存されたデータとの間でデータ調整が行われる。このデータには、例えば、同じまたは類似の熱による毛髪損傷度を有するユーザーからのデータ、および、該当する場合、他の同じまたは類似の毛髪パラメータ、および成功的トリートメントに関してそこから導き出される推奨事項/測定値および経験値が含まれ得る。他のユーザーの経験を取り入れ、個別のトリートメント指令を決定する方法にデータを含めることによってクラウド内のデータを更新することにより、ユーザーに対して最適なトリートメント指令を常に決定することができる。
【0067】
様々な例示的な実施形態において、一般的な健康状態、栄養習慣、およびユーザーの他の行動(例えば、毎日の屋外/日光/水時間、喫煙習慣、スポーツ習慣など)に関する情報を、個別のトリートメント指令を決定するために用いてもよい。
【0068】
熱による毛髪損傷度の決定および/または個別のトリートメント指令の決定は、タブレット、ラップトップ、スマートミラーまたはスマートフォンのアプリ/ソフトウェアを用いて実行し得る。したがって、アプリは「モバイルアプリ」(モバイルデバイス用のアプリケーションソフトウェア)、ウェブアプリ(クライアントサーバーモデルによるアプリケーションソフトウェア)またはデスクトップアプリ(デスクトップコンピュータ用のアプリケーションソフトウェア)であり得る。
【0069】
様々な例示的な実施形態において、熱による毛髪損傷度を決定するソフトウェア/アプリは、個別のトリートメント指令を決定するものと同じであってよい。様々な例示的な実施形態において、異なるソフトウェア/アプリを異なる手順の一部またはすべてに使用してもよい。
【0070】
本発明の例示的な実施形態を、図により表し、以下においてより詳細に説明する。
【0071】
本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の実施形態が使用することができ、構造的または論理的変更を行い得ることが理解される。本明細書に記載される様々な例示的な実施形態の特徴は、特段の記載がない限り、互いに組み合わせることができることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で理解されるべきではなく、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0072】
図1は、
図100において、種々の例示的な実施形態に係る熱による毛髪損傷度を決定する方法の概略図を示す。
【0073】
種々の例示的な実施形態によれば、毛髪サンプル102Pは、ユーザーの毛髪102の熱損傷度を決定するために検査され得る。毛髪サンプル102Pは、頭部にそのまま残ってもよいし、除去されてもよい。毛髪サンプル102Pは、ユーザーの頭皮からの距離102PLに配置され得るか、またはユーザーの頭皮から除去され得る。毛髪サンプル102Pは、(例えば、平らに広げられた)毛髪サンプル102Pによって覆われ得る最小面積(例えば、少なくとも1cm2)として、または最小重量(例えば、少なくとも0.5g)として表現され得る、最小量の毛髪を有し得る。
【0074】
様々な例示的な実施形態において、
図1において例示概略的に
図100に示すように、装置を使用して毛髪102の熱毛髪損傷度を決定することができる。
【0075】
様々な例示的な実施形態において、毛髪サンプル102Pは、UVまたはUV/VIS光110を有する光源106によって照射され、分析される光112として指定された毛髪サンプル102と相互作用した後、光110が分光計108に入る少なくとも1つの相互作用領域で覆われるように広げられ得る。
【0076】
様々な例示的な実施形態において、毛髪サンプル102Pは、UV光110またはUV/VIS光110で照射されてもよい。UV光110は、200~380nmの波長範囲、または少なくともその適切な部分範囲(例えば、250~300nm)をカバーし得る。UV/VIS光110は、200~500nmの波長範囲、または少なくともその適切な部分範囲(例えば250~400nm)をカバーし得る。
【0077】
様々な例示的な実施形態において、UVまたはUV/VIS光110の光源106は、例えば、UVランプまたはUV/VISランプ、または適切な光スペクトルを提供する任意の他の従来の光源であってよい。
【0078】
UVまたはUV/VIS分光装置の飛躍的な進歩により、それらは小型化された形態、例えばモバイル、統合要素として光源106と分光計108とを含み得るユニットとしての形態で提供され得る。
【0079】
様々な例示的な実施形態において、スペクトルはデータ処理装置116に送信され得る。データ送信は、参照符号114で記載される。送信は、例えばデータケーブル(例えばUSB)、ワイヤレスデータ送信(Bluetooth、WLAN(Wi-Fi)、スレッド、ZigBee若しくは近距離無線通信(NFC)など)を用いた既知の方法で行ってもよく、または、分光計(場合により光源)がデータ処理装置(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップまたはスマートミラー)の一部である場合、または(例えば、適切なコネクタにより)データ処理装置に取り外し可能に取り付けられる場合、あるいは、逆に、分光計108が、統合データ処理装置116を考慮して設計される場合、送信は装置内で行われてもよい。
【0080】
データを受信して処理し、モデリングするために、様々な例示的な実施形態においてデータ処理装置は、適切なソフトウェア、例えばアプリを備えていてもよい。
【0081】
様々な例示的な実施形態において、記録されたUVまたはUV/VISスペクトルは、上述のように毛髪サンプルのトリプトファン含量を測定するためにキャリブレーションモデルと併せて使用され得る。
【0082】
様々な例示的な実施形態において、毛髪サンプルの理論上の損傷期間はキャリブレーションモデルとともに記録されたUVまたはUV/VISスペクトルを使用して、上記のように決定され得る。
【0083】
様々な例示的な実施形態において、熱による毛髪損傷度はカテゴリスケール(例えば、低い、中程度、高い、非常に高い)において決定し得る。
【0084】
様々な例示的な実施形態において、熱による毛髪損傷度は測量的スケール(例えば、任意の単位の数値、トリプトファン含量の割合または損傷の割合)において決定し得る。
【0085】
様々な例示的な実施形態において説明した熱による毛髪損傷度を決定するための方法は、データ処理装置116を用いて実行してもよい。
【0086】
データ処理装置には、
図1に関連して上述したように、例えばスマートフォン、タブレット若しくはラップトップなどのモバイルデータ処理装置だけでなく、スマートミラーなどのその他のコンピュータ、またはデータを保存および提供し、比較を行いモデルを適用し、必要に応じてモデルを作成する、十分に大きなデータメモリと十分に強力なプロセッサを備えたデータ処理装置などの任意の他のデータ処理装置が含まれる。
【0087】
様々な例示的な実施形態において、データ処理装置は、データ処理装置に情報を入力するための、例えば、キャリブレーションのために測定したトリプトファン含量を入力するための、および必要に応じて、方法を実行するための指示、パラメータ、ユーザーデータなどを入力するための少なくとも1つの入力装置を有し得る。
【0088】
様々な例示的な実施形態において、少なくとも1つの入力装置は、タッチセンシティブスクリーン、マイクロフォンおよび/またはキーボードを含み得る。
【0089】
様々な例示的な実施形態において、データ処理装置は、例えば方法の結果を出力するために、情報を出力するための少なくとも1つの出力装置を含み得る。
【0090】
様々な例示的な実施形態において、少なくとも1つの出力デバイスは、(タッチセンシティブ)スクリーン、スピーカーおよび/またはプリンタを含み得る。
【0091】
特に、熱による毛髪損傷度が複数の毛髪領域(例えば、根元、中間および/または先端)に対して決定される場合、ユーザーへの熱による毛髪損傷度の提供は、例えばディスプレイ、例えば(スマートフォン、タブレット、スマートミラーの(タッチセンシティブ)スクリーンなど)ディスプレイデバイスを出力装置として使用するグラフィック表示を含み得る。グラフィック表示においては、熱による毛髪損傷度に基づいたコーディングで複数の領域の決定された熱毛髪損傷度が、ユーザーの肖像(例えば、ユーザーの概略図または写真)に表示されてもよい。例えば、ユーザーのヘアスタイルの概略図においては、熱による毛髪損傷度が異なる領域は、種々の色および/またはパターン(例えば、熱による毛髪損傷度の低い領域は緑色に、熱による毛髪損傷度が高い領域は赤色など)により表示され得る。別の例においては、ユーザーの写真、例えばユーザーの毛髪やヘアスタイルを示すデジタル写真は、種々のパターンで覆われ得る(例えば、熱による毛髪の損傷が高い領域に対してドットパターン、熱による毛髪の損傷が低い領域に対してラインパターンなど)。また、スマートミラー上/内の髪のリアルタイム表示を使用して、決定された熱による毛髪損傷レベルを表示してもよい。
【0092】
少なくとも1つの毛髪領域での熱による毛髪損傷度をグラフィック表示する場合、例えば大部分の毛髪領域では、熱による毛髪損傷度は、熱による毛髪損傷度が決定された領域についてのみ種々の例示的な実施形態で表示されてもよい。種々の例示的な実施形態においては、熱による毛髪損傷度が表示される領域は、例えば典型的な損傷分布パターンを考慮することによって、熱による毛髪損傷度が決定された毛髪領域を超えて推定されてもよい。
【0093】
それに加えて、またはその代わりに、表示装置を出力装置として使用して、具体的なトリートメント指令を画像および/またはテキストメッセージとしてユーザーに提示することができる。例えば、ユーザーの熱損傷度に合わせた特定の製品の画像が表示されてもよい。
【0094】
様々な例示的な実施形態において、少なくとも1つの出力装置はスピーカーであってもよく、および/または少なくとも1つの入力装置はスピーカーであってもよい。情報および/または音声コマンドの入力は、ユーザーの声によって影響を受ける。この場合、装置は音声認識用モジュール、好ましくは、例えばアマゾンのAlexa、グーグルのGoogleアシスタント、マイクロソフトのCortana、アップルのSiriなどのインテリジェントパーソナルアシスタント(音声アシスタント)を有する。
【0095】
様々な例示的な実施形態では、デバイスは・・・。
【0096】
様々な例示的な実施形態において、そのような機能を提供する任意のプログラム(例えば、アプリ)をモデリングに使用してもよい。
【実施例】
【0097】
実施例1
1.分光学的キャリブレーションモデル(理論上の毛髪損傷期間)
分光学的キャリブレーションモデルを決定するために、特定の幅(例えば5mm)の毛髪の房を時系列実験において最初に200℃の熱に0~120分間曝露する。10分間隔で、各毛髪の房に250~300nmの波長を有するUV光を照射する。毛髪の房と相互作用した光は300~350nmの波長範囲で検出される。次いで、検出されたUV光に対する照射されたUV光の比率が300~350nmの範囲で決定される。これは、各熱損傷度の特徴である、反射および/または放出および/または透過および/または散乱されたUV光に対する照射されたUV光の比率となる。各損傷期間について10個の毛髪の房を測定し、得られた値をWilcoxon Signed-Rank Testを用いて平均化する。
【0098】
2.熱による毛髪損傷度の決定
個別の毛髪損傷を決定するには、個別の約100本の毛髪を含む少なくとも1つの毛髪の房に250~300nmの波長のUV光を照射し、毛髪の房と相互作用した光を300~350nmの波長範囲で検出し、反射および/または放出および/または透過および/または散乱されたUV光に対する照射されたUV光の比率が決定される。分光学的キャリブレーションモデルを使用して、200℃の温度での理論上の損傷期間を取得した比率に割り当てる。これは、例えばタブレット、ラップトップまたはスマートフォンのアプリ/ソフトウェアで実行し得る。
【0099】
理論上の毛髪損傷期間は、アプリ/ソフトウェアによって以下の熱毛髪損傷度に分類される。
【0100】
【0101】
熱による毛髪損傷度に応じて、アプリ/ソフトウェアはブリーチ製品の推奨および/または染毛剤の推奨および/またはヘアケア製品の推奨および/またはヘアスタイリング製品の推奨を決定する。
【0102】
熱による毛髪損傷度に応じて、推奨されるブリーチ製品および/または染毛剤および/またはヘアケア製品および/またはヘアスタイリング製品は、以下の成分を含むべきである。
【0103】
【0104】
実施例2
1.分光学的キャリブレーションモデル(「トリプトファン含量」)
分光学的キャリブレーションモデルを決定するために、種々の熱毛髪損傷度(低い、中程度、高い、非常に高い)の毛髪の房に、最初に波長270~290nmの波長を有するUV光を照射する。毛髪の束と相互作用した光は、270~290nmの波長範囲で検出される。次いでこの範囲に対して、検出されたUV光に対する照射の比率を決定する。このようにして、各熱毛髪損傷度に対する特徴的なUV吸収スペクトルが得られる。各熱毛髪損傷度に対して得られたスペクトルを平均化する。
【0105】
次いで、基本的な化学的消化後、各熱損傷度の毛髪の束を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により試験し、トリプトファン含量を測定する。各熱毛髪損傷度に対して得られた値を平均化する。
【0106】
各熱毛髪損傷度に対して平均化されたトリプトファン含量は、対応する平均化された吸収スペクトルに割り当てられる。
【0107】
2.熱による毛髪損傷度の決定
個別の熱による毛髪損傷を決定するため、個別の約100本の毛髪を含む少なくとも1つの毛髪の房に270~290nmの波長のUV光を照射し、毛髪の房と相互作用した光を270~290nmの波長範囲で検出する。分光学的キャリブレーションモデルを使用して、トリプトファン含量を得られた吸収スペクトルに割り当てる。これは、例えばタブレット、ラップトップまたはスマートフォンのアプリ/ソフトウェアで実行し得る。
【0108】
トリプトファン含量に応じて、アプリ/ソフトウェアは、ブリーチ製品の推奨および/または染毛剤の推奨および/またはヘアケア製品の推奨および/またはヘアスタイリング製品の推奨を決定する。