(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】撮影方法および撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/52 20060101AFI20230310BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20230310BHJP
H04N 9/64 20230101ALI20230310BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230310BHJP
G06T 7/90 20170101ALI20230310BHJP
【FI】
G01J3/52
G01J3/02 C
H04N9/64 J
G06T7/00 660A
G06T7/90 A
(21)【出願番号】P 2021562484
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2020038546
(87)【国際公開番号】W WO2021111736
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2019221255
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 博志
(72)【発明者】
【氏名】田岡 宏毅
(72)【発明者】
【氏名】西 千枝
(72)【発明者】
【氏名】竹下 さち子
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/124302(WO,A1)
【文献】特開2013-137406(JP,A)
【文献】特開2014-041115(JP,A)
【文献】特開2010-097126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00-G01J 3/52
G01N 21/00-G01N 21/958
G03B 15/00-G03B 15/16
G06T 7/00-G06T 7/90
H04N 5/00-H04N 5/956
H04N 9/00-H04N 9/898
A61B 5/00-A61B 5/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、を一緒に撮影し、
前記顔の画像において測色する部位を特定し、
前記部位の測色値を取得し、
前記補正器具の画像を用いて、前記測色値を補正
し、
前記補正器具が備える立体形状の画像を用いて、前記部位の測色値を補正する、
撮影方法。
【請求項2】
前記立体形状は、円柱形状、球形状、楕円球形状、方形状、部分円柱形状、部分球形状、部分楕円球形状、およびこれらの2以上の組み合わせである、
請求項
1に記載の撮影方法。
【請求項3】
前記補正器具に描かれた2次元の模様の画像を用いて、前記部位の測色値を補正する、
請求項1
または2に記載の撮影方法。
【請求項4】
前記2次元の模様は、線、イラスト、写真、文字、記号、図形、幾何学模様、およびこれらの2以上の組み合わせである、
請求項
3に記載の撮影方法。
【請求項5】
前記顔を測色する部位は、頬である、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項6】
前記補正器具は、前記顔の測色する部位と、前記顔を撮影する撮影装置との距離が、前記補正器具と前記撮影装置との距離と略同等となるように、前記顔の近傍に配置される、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項7】
前記補正器具は、前記顔の輪郭形状に沿う形状を有する、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項8】
前記顔と、前記顔の顎の先端部分に接触して配置された前記補正器具と、を一緒に撮影する、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項9】
前記部位において、シワ、しみ、傷、および疾患の少なくとも1つを検出した場合、検出した検出部位を前記部位から除外し、前記部位の測色値を補正する、
請求項1から
8のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項10】
前記補正器具は、前記人が把持する位置を示した図、または、前記人が把持するための立体形状を有する、
請求項1から
9のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項11】
前記補正器具は、板状の部材に前記立体形状を有し、
前記板状の部材には、前記立体形状に沿った模様が描かれる、
請求項
1または
2に記載の撮影方法。
【請求項12】
前記2次元の模様の画像に基づいて、前記補正器具の姿勢状態を判定し、
前記姿勢状態を前記人に通知する、
請求項
3または
4に記載の撮影方法。
【請求項13】
前記板状の部材に描かれた前記立体形状に沿った模様の画像に基づいて、前記補正器具の姿勢状態を判定し、
前記姿勢状態を前記人に通知する、
請求項1
1に記載の撮影方法。
【請求項14】
前記顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、の撮影の際、撮影装置のディスプレイを消灯する、または、特定の画面を表示する、
請求項1から1
3のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項15】
撮影した画像に前記補正器具が含まれていない場合、所定の条件に基づいて、前記部位の測色値を補正する、
請求項1から1
4のいずれか一項に記載の撮影方法。
【請求項16】
人の顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、を一緒に撮影するカメラと、
前記顔の画像において測色する部位を特定して、前記部位の測色値を取得し、前記補正器具の画像を用いて、前記測色値を補正する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記補正器具が備える立体形状の画像を用いて、前記部位の測色値を補正する、
撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮影方法および撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人肌や物体の表面色を正確に測色するには、分光測色計などの分光分析を行う接触式の色彩測定計器を使用することが一般的である。しかし、色彩測定計器は、一般的に高価であり、接触箇所が測定対象となるため、一度に広い面積を測定できず、測定者のスキルにより測定値がばらつく。
【0003】
なお、従来、撮影時の明るさ等の条件が変動した場合にも、ディスプレイに表示する画像を常に一定の明るさに補正する顔画像の表示方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
上記したように、人肌や物体の測色において、色彩測定計器を使用する場合、測定者のスキルにより測定値がばらつく。そのため、カメラ撮影で簡便かつ適切に測色できる撮影方法が求められている。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、カメラ撮影により簡便かつ適切に測色できる撮影方法および撮影装置の提供に資する。
【0007】
本開示の一実施例に係る撮影方法は、人の顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、を一緒に撮影し、前記顔の画像において測色する部位を特定し、前記部位の測色値を取得し、前記補正器具の画像を用いて、前記測色値を補正する。
【0008】
本開示の一実施例に係る撮影装置は、人の顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、を一緒に撮影するカメラと、前記顔の画像において測色する部位を特定して、前記部位の測色値を取得し、前記補正器具の画像を用いて、前記測色値を補正する制御部と、を有する。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0010】
本開示の一実施例によれば、カメラ撮影により簡便かつ適切に測色できる。
【0011】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る撮影装置の一例を示した斜視図
【
図3A】斜め正面から見た補正器具の使用例を示した図
【
図5B】補正器具の不適切な姿勢状態の例を示した図
【
図5C】補正器具の不適切な姿勢状態の例を示した図
【
図5D】補正器具の不適切な姿勢状態の例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
図1は、実施の形態に係る撮影装置1の一例を示した斜視図である。撮影装置1は、例えば、机A1の上に載置される。机A1の前方には、椅子A2が配置される。椅子A2には、撮影装置1によって撮影される被験者Xが座る。被験者Xは、例えば、人である。
【0016】
撮影装置1は、例えば、化粧品店舗や個人宅等に設置される。撮影装置1は、例えば、被験者Xの顔を撮影し、シミやシワを分析する。撮影装置1は、分析結果に基づいて、例えば、被験者Xに合った化粧品を提案する。
【0017】
撮影装置1は、直方体形状の本体2を有する。本体2は、制御装置3と、カメラ4と、ディスプレイ5と、を内蔵する。また、撮影装置1は、入力装置6と、補正器具7と、を有する。
【0018】
制御装置3には、カメラ4、ディスプレイ5、および入力装置6が接続される。制御装置3は、カメラ4を用いて、椅子A2に座った被験者Xの顔を撮影する。制御装置3は、被験者Xの顔を撮影すると、例えば、画像認識処理を用いて、被験者Xの頬を検出し、検出した頬を測色する。
【0019】
カメラ4は、制御装置3の制御に応じて、本体2の前方に座った被験者Xの顔を撮影する。本体2の前面には、例えば、ハーフミラーが設けられており、カメラ4は、本体2の前面から見えないようになっている。
【0020】
ディスプレイ5には、カメラ4が撮影した被験者Xの顔が表示される。また、ディスプレイ5には、撮影装置1の操作方法を案内するメッセージや、被験者Xに合った化粧品の情報等が表示される。
【0021】
入力装置6は、例えば、キーボードおよびマウスである。入力装置6は、ハーフミラーの上面に設けられたタッチパネルであってもよい。入力装置6は、例えば、被験者Xによる操作を受付け、受け付けた操作に応じた信号を制御装置3に出力する。
【0022】
補正器具7は、被験者Xの頬の測色値を補正する器具である(例えば、
図3Aおよび
図3Bを参照)。補正器具7は、本体2とは別体である。補正器具7は、被験者Xの顔と一緒に撮影される。制御装置3は、被験者Xの顔と一緒に撮影された補正器具7の画像データを用いて、被験者Xの頬の測色値を補正する。
【0023】
以下、
図1の撮影装置1の概略動作について説明する。撮影装置1の動作は、例えば、基準データを記憶する準備動作と、被験者Xの顔を撮影する通常動作とに分けられる。
【0024】
まず、準備動作について説明する。準備動作では、基準データが撮影装置1に記憶される。例えば、撮影装置1が室内に設置されたとき、室内の照明が変更されたとき、または、撮影装置1が設置された室内のレイアウトが変更されたときに、基準データが撮影装置1に記憶される。
【0025】
基準データは、後述する撮影装置1の通常動作において取得される測色値の補正に用いられる。例えば、撮影装置1が設置された室内の環境変化または撮影装置1と被験者Xとの距離によって、照明による被験者Xの明るさが変わることがある。そのため、被験者Xの頬の測色値が変わることがある。撮影装置1は、準備動作で記憶した基準データを用いて、通常動作にて撮影する被験者Xの頬の測色値を補正する。
【0026】
基準データは、補正器具7の静止画像データから生成される。例えば、補正器具7を、通常動作時に配置される位置と同様の位置に配置し、撮影装置1で撮影する。制御装置3は、撮影した補正器具7の静止画像データから基準データを生成し、記憶部に記憶する。以上が撮影装置1の準備動作である。
【0027】
なお、準備動作は、設置した環境によっては省略されてもよい。この場合、撮影装置1は、設計的に導き出される固定値、あるいは、計算式が適用されてもよい。
【0028】
次に、通常動作について説明する。被験者Xは、撮影装置1の前面に座る。被験者Xの顔と、撮影装置1の正面との距離は、例えば、50cmから55cmである。被験者Xは、入力装置6を用いて、被験者Xの顔を撮影する操作を行う。
【0029】
制御装置3は、入力装置6における顔を撮影する操作に応じて、カメラ4が撮影している動画像をディスプレイ5に表示する。すなわち、制御装置3は、撮影装置1の前面に座っている被験者Xを、リアルタイムにディスプレイ5に表示する。
【0030】
制御装置3は、ディスプレイ5に表示しているカメラ4の動画像に重畳して、例えば、補正器具7を被験者Xの顎の下部分に配置するよう、ディスプレイ5にメッセージを表示する。また、制御装置3は、ディスプレイ5に表示しているカメラ4の動画像に重畳して、例えば、ディスプレイ5に楕円形状の枠を表示し、表示した枠内に顔を収めるよう、ディスプレイ5にメッセージを表示する。
【0031】
制御装置3は、被験者Xの顎の下部分に、補正器具7が適切に配置され、かつ、ディスプレイ5に表示した楕円形状の枠内に被験者Xの顔が収まると、カメラ4を制御し、被験者Xの顔と、補正器具7との静止画像を撮影する。すなわち、制御装置3は、被験者Xの顔と、補正器具7とを一緒(同時に)撮影する。制御装置3は、撮影した静止画像をディスプレイ5に表示する。
【0032】
制御装置3は、静止画像の表示処理とは別に、画像認識処理を用いて、カメラ4が撮影した静止画像に含まれる被験者Xの頬を検出し、検出した頬の測色値を取得する。また、制御装置3は、画像認識処理を用いて、カメラ4が撮影した静止画像に含まれる補正器具7の画像データを取得する。
【0033】
制御装置3は、取得した補正器具7の画像データと、準備動作において記憶した基準データとを比較し、被験者Xの頬の測色値を補正する補正値を算出する。制御装置3は、算出した補正値を用いて、静止画像の画像データから取得した被験者Xの頬の測色値を補正する。
【0034】
制御装置3は、補正した測色値を用いて、例えば、被験者Xに合う化粧品を提案する。例えば、制御装置3は、被験者Xの頬の色に適したファンデーションを提案する。また、制御装置3は、静止画で撮影した被験者Xの顔に、疑似メイクを施してもよい。以上が撮影装置1の通常動作である。
【0035】
上記では、被験者Xは、椅子A2に座ったがこれに限られない。撮影装置1は、立った状態の被験者Xを撮影してもよい。
【0036】
また、被験者Xが入力装置6を操作し、被験者Xを撮影したが、これに限られない。例えば、撮影装置1が化粧品店舗に設置される場合、化粧品店舗の店員が入力装置6を操作して、被験者Xを撮影してもよい。
【0037】
また、撮影装置1は、被験者Xの頬を測色したが、これに限られない。撮影装置1は、被験者Xの頬以外の部分、例えば、額や鼻、顎等を測色してもよいし、2以上の部位を測色してもよい。また、撮影装置1は、被験者Xの顔全体を測色してもよい。
【0038】
また、撮影装置1は、例えば、皮膚科などの病院に設置されてもよい。撮影装置1は、被験者Xの顔を測色値から、被験者Xの顔の皮膚の状態を診断してもよい。
【0039】
図2は、撮影装置1のブロック構成例を示した図である。
図2において、
図1と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
図2には、
図1に示した撮影装置1の他に、外部デバイス13が示してある。
【0040】
図2に示すように、本体2は、制御装置3と、カメラ4と、ディスプレイ5と、入力装置6と、照明装置8と、を有する。
【0041】
照明装置8は、制御部11の制御に応じて発光する。例えば、照明装置8は、カメラ4が静止画像を取り込む際に発光する。照明装置8は、例えば、LED(Light Emitting Diode)によって構成されてもよい。
【0042】
制御装置3は、制御部11と、記憶部12と、を有する。制御部11は、カメラ4を用いて静止画像を撮影する際、ディスプレイ5を消灯してもよい。または、制御部11は、カメラ4を用いて静止画像を撮影する際、ディスプレイ5に特定の画面を表示してもよい。ディスプレイ5が発する光によって、被験者Xの顔の明るさが変わらないようにするためである。
【0043】
制御部11は、撮影装置1全体を制御する。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって構成されてもよい。
【0044】
制御部11は、例えば、記憶部12に記憶されたプログラムを実行し、所定の機能を発揮する。例えば、制御部11は、ROI(Region Of Interest)特定部21と、補正器具認識部22と、基準データ生成部23と、補正量算出部24と、色補正部25と、色空間変換部26と、測色値出力部27と、を有する。
【0045】
ROI特定部21は、通常動作において、カメラ4が撮影した静止画像から、被験者Xの顔の測色する部位を特定する。例えば、ROI特定部21は、被験者Xの頬を特定する。なお、測色する部位は、上記したように頬に限られない。ROI特定部21は、入力装置6から出力される信号に応じて、測色する部位を変更してもよい。
【0046】
補正器具認識部22は、カメラ4が撮影した静止画像の中から、補正器具7を認識(特定)する。
【0047】
基準データ生成部23は、補正器具認識部22が準備動作において認識した補正器具7の静止画像データから、基準データを生成する。基準データ生成部23は、生成した基準データを、記憶部12に記憶する。なお、後述するが、基準データは、2種類ある。
【0048】
補正量算出部24は、補正器具認識部22が通常動作において認識した補正器具7の静止画像データと、記憶部12に記憶した基準データとから、被験者Xの頬の測色値を補正する補正値を算出する。
【0049】
色補正部25は、ROI特定部21が特定した被験者Xの頬の静止画像データから、被験者Xの頬の測色値を測定(取得)する。色補正部25は、取得した測色値を、補正量算出部24が算出した補正値を用いて補正する。
【0050】
色空間変換部26は、色補正部25が補正した被験者Xの頬の測色値を形式変換する。例えば、色空間変換部26は、RGB値の測色値を、XYZ形式またはL*a*b*形式に変換する。
【0051】
測色値出力部27は、色空間変換部26によって形式変換された測色値を外部デバイス13に出力する。外部デバイス13は、例えば、USBメモリやインターネット等のネットワークに接続されたルータである。
【0052】
記憶部12には、制御部11が動作するためのプログラムが記憶される。また、記憶部12には、制御部11が計算処理を行うためのデータ、または、制御部11が各部を制御するためのデータ等が記憶される。記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、およびHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置によって構成されてもよい。
【0053】
図3Aは、斜め正面から見た補正器具7の使用例を示した図である。
図3Bは、横から見た補正器具7の使用例を示した図である。
【0054】
図3Aおよび
図3Bに示すように、補正器具7は、板部材31と、色見本部32と、を有する。板部材31は、
図3Aに示すように、突起部41を有する。また、
図3Bに示すように、補正器具7は、支持部材33を有する。板部材31、色見本部32、支持部材33、および突起部41については、
図4A~
図4Cにおいて詳述する。
【0055】
図3Aおよび
図3Bに示すように、補正器具7は、被験者Xによって把持される。補正器具7は、被験者Xの顎の下において、顎に接触して配置される。また、補正器具7は、
図3Bに示すように、顎の正面と、補正器具7の平面とが面一となるように配置される。
【0056】
すなわち、補正器具7は、補正器具7の平面が、測色対象の頬の面と面一となるように配置される。つまり、補正器具7は、被験者Xの顔の測色する部位と、本体2との距離が、補正器具7と本体2との距離と略同等となるように、被験者Xの顔の近傍に配置される。
【0057】
補正器具7は、
図3Aおよび
図3Bに示す状態で、被験者Xとともに、撮影装置1によって撮影される。
【0058】
図4Aは、補正器具7を正面側から見た斜視図である。
図4Bは、補正器具7を背面側から見た斜視図である。
図4Cは、補正器具7の側面図である。補正器具7の撮影装置1によって撮影される側を正面側とする。
【0059】
図4A、
図4B、および
図4Cに示すように、補正器具7は、板部材31と、色見本部32と、支持部材33と、を有する。
【0060】
<板部材31>
板部材31は、板状の部材である。板部材31は、略長方形状を有し、上辺が窪んだ形状を有する。窪んだ形状は、例えば、一般的な人の顎の輪郭に沿うように形成される。すなわち、板部材31の上辺は、板部材31によって、被験者Xの顔が隠れないように形状が形成される。板部材31は、例えば、プラスチック等の合成樹脂または厚紙等、変形しない材料によって形成される。
【0061】
<色見本部32>
色見本部32は、
図4Aおよび
図4Cに示すように、板部材31の正面側であって、板部材31の略中央部に固定される。色見本部32は、立体形状を有し、例えば、半円柱形状を有する。色見本部32は、例えば、プラスチック等の合成樹脂等、金属、または木材など、手で触っても変形しない材料によって形成される。
【0062】
撮影装置1が設置された室内の照明の劣化、照明の変更、または、室内のレイアウト変更等によって、室内の明るさが変わり、撮影装置1の測色値が変わることがある。また、室内の人の移動等によって、被験者Xに当たる照明の明るさが変わり、撮影装置1の測色値が変わることがある。
【0063】
そこで、撮影装置1は、準備動作において撮影した補正器具7の色見本部32の静止画像データから、基準データを生成し、記憶部12に記憶する。そして、撮影装置1は、通常動作にて撮影した補正器具7の色見本部32の静止画像データと、記憶部12に記憶した基準データとを比較し、比較に結果に基づいて、被験者Xの頬の測色値を補正する。
【0064】
例えば、制御部11は、準備動作において、補正器具7の静止画像を撮影する。制御部11は、撮影した補正器具7の色見本部32における画素情報(例えば、RGB信号)のうち、最も明るい画素情報から順に、所定数の画素情報を取得し、基準データとして記憶部12に記憶する。例えば、制御部11は、撮影した補正器具7の色見本部32における画素情報のうち、最も明るい画素情報から上位20%の画素情報を取得し、基準データとして記憶部12に記憶する。
【0065】
制御部11は、通常動作において、被験者Xの顔と、補正器具7との静止画像を撮影する。制御部11は、撮影した補正器具7の色見本部32における画素情報のうち、最も明るい画素情報から順に所定数の画素情報を取得する。例えば、制御部11は、撮影した補正器具7の色見本部32における画素情報のうち、最も明るい画素情報から上位20%の画素情報を取得する。
【0066】
制御部11は、取得した画素情報と、記憶部12に記憶した基準データと比較する。制御部11は、補正器具7とともに撮影した被験者Xの頬の測色値を、比較結果に基づいて補正する。
【0067】
すなわち、制御部11は、通常動作において撮影した補正器具7の色見本部32における画像データと、準備動作において記憶した基準データとを比較して、撮影装置1が設置された環境の明るさの変化を検出する。そして、制御部11は、補正器具7とともに撮影された被験者Xの頬の測色値を、撮影装置1が設置された環境の明るさの変化に応じて補正する。
【0068】
なお、色見本部32は、立体形状を有する。これにより、例えば、多方向から色見本部32に照射し、色見本部32において反射する光のうち、最も明るい光の強度は、一定となる。
【0069】
例えば、天井から照明が照射される場合、半円柱形状の色見本部32であれば、補正器具7の手持ち角度が上下方向においてぶれたとしても、カメラ4から見た色見本部32の明るさは変化しない。仮に、色見本部32が平面的であれば、下を向けると暗くなり、上を向けると明るくなる、といったように持ち方で色見本の明るさが変化するが、立体的に形成することで、このような問題点を解決できる。
【0070】
また、上記では、制御部11は、撮影した補正器具7の色見本部32における画素情報のうち、最も明るい画素情報から順に所定数の画素情報を取得するとしたが、これに限られない。テカリを除去するために、制御部11は、撮影した補正器具7の色見本部32における画素情報のうち、最も明るい画素情報を除いた所定数の画素情報を取得してもよい。例えば、制御部11は、撮影した補正器具7の色見本部32における画素情報のうち、最も明るい画素情報から上位5%から25%の画素情報を取得してもよい。
【0071】
<支持部材33>
支持部材33は、
図4Bおよび
図4Cに示すように、板部材31の背面側であって、板部材31の略中央部に固定される。支持部材33は、半円柱形状を有する。
【0072】
支持部材33は、補正器具7が被験者Xの顎の下に配置されたとき、被験者Xの顎の下部に接触する(例えば、
図3Bを参照)。従って、支持部材33は、例えば、スポンジ等の柔らかい材料によって形成されるのが好ましい。
【0073】
補正器具7は、支持部材33が、被験者Xの顎の下に接触するように配置されるので、被験者Xの顎の下において、上下方向の位置が規制(決定)される。
【0074】
<板部材31の突起部41>
板部材31は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、上辺の窪んだ形状部分の最下部に、上方に向かって伸びた突起部41が形成される。補正器具7は、突起部41が、被験者Xの顎の先端部分と接触して配置される(例えば、
図3Aを参照)。これにより、補正器具7は、被験者Xの顎の下において、被験者Xの正面方向の位置が規制(決定)される。また、補正器具7の位置が規制されることにより、色見本部32が、顎の下に隠れることを防止できる。
【0075】
<板部材31の模様42,43>
板部材31の表面側には、
図4Aに示すように、2次元の模様42,43が描かれる。模様42,43は、左右方向において一定距離離れて描かれる。
【0076】
本体2と補正器具7との距離によって、被験者Xに当たる照明の明るさが変わり、撮影装置1の測色値が変わることがある。また、本体2に対する補正器具7の上下左右方向によって、被験者Xに当たる照明の明るさが変わり、撮影装置1の測色値が変わることがある。
【0077】
そこで、撮影装置1は、準備動作において撮影した補正器具7の模様42,43の静止画像データから、基準データ(色見本部32の画像データから生成される基準データと異なる)を生成し、記憶部12に記憶する。そして、撮影装置1は、通常動作にて撮影した補正器具7の模様42,43の静止画像データと、基準データとを比較し、比較に結果に基づいて、被験者Xの頬の測色値を補正する。
【0078】
例えば、制御部11は、準備動作において、補正器具7の静止画像を撮影する。制御部11は、撮影した補正器具7の板部材31における模様42,43を、例えば、パターンマッチングによって認識する。
【0079】
制御部11は、認識した模様42,43の位置を用いて、補正器具7の2次元方向の位置を算出する。例えば、制御部11は、カメラ4で撮影した静止画像中における補正器具7の左右上下方向の位置(2次元位置)を算出する。
【0080】
また、制御部11は、認識した模様42,43の間隔に基づいて、補正器具7と本体2との間の距離を算出する。制御部11は、認識した模様42,43の大きさに基づいて、補正器具7と本体2との間の距離を算出してもよい。
【0081】
制御部11は、準備動作において算出した補正器具7の2次元位置および距離を基準データとして記憶部12に記憶する。
【0082】
制御部11は、通常動作において、被験者Xの顔と、補正器具7との静止画像を撮影する。制御部11は、撮影した補正器具7の板部材31における模様42,43を、例えば、パターンマッチングによって認識する。
【0083】
制御部11は、認識した模様42,43の位置を用いて、補正器具7の2次元方向の位置を算出する。例えば、制御部11は、カメラ4で撮影した静止画像中における補正器具7の2次元位置を算出する。
【0084】
また、制御部11は、認識した模様42,43の間隔に基づいて、補正器具7と本体2との間の距離を算出する。制御部11は、認識した模様42,43の大きさに基づいて、補正器具7と本体2との間の距離を算出してもよい。
【0085】
制御部11は、算出した2次元位置および距離と、記憶部12に記憶した基準データと比較する。制御部11は、補正器具7とともに撮影した被験者Xの頬の測色値を、比較結果に基づいて補正する。
【0086】
なお、模様42,43は、異なる模様にするのが好ましい。これにより、制御部11は、パターンマッチング等による模様42,43の認識処理において、模様42,43を混同せず、それぞれ別々のものであると認識できる。また、制御部11は、模様42,43を混同せず、それぞれ別々のものであると認識できるので、模様42,43の座標情報等を個別に適切に取得できる。
【0087】
模様42,43は、
図4Aの例に限られない。模様42,43は、線、イラスト、写真、文字、記号、図形、幾何学模様、およびこれらの2以上の組み合わせであってもよい。
【0088】
模様42,43を同じ模様にした場合は、制御部11におけるマッチングのサーチ(スキャン)開始位置や方向を調整する。
【0089】
<板部材31の枠模様44>
板部材31の表面側には、
図4Aに示すように、色見本部32の外縁に沿った(外縁を囲った)枠模様44が描かれている。
図4Aの例では、色見本部32は、半円柱形状を有し、板部材31に描かれた枠模様44は、四角形状を有する。枠模様44の底辺の幅W1は、上辺の幅W2より広く描かれている。
【0090】
カメラ4は、例えば、
図1に示したように、本体2の上方に設置され、椅子に座った被験者Xを、上方から見下ろすように撮影する。枠模様44の底辺の幅は、上辺の幅より広く描かれているので、被験者Xが、補正器具7を顎の下に配置し、補正器具7を適切な方向に向けて持った場合、カメラ4には、四角形状の枠模様44の4辺が略同じ太さで写る。
【0091】
例えば、被験者Xは、補正器具7を顎の下に配置し、板部材31の法線が水平となるように持つ。この場合、カメラ4には、四角形状の枠模様44の4辺が略同じ太さで写る(例えば、
図5Aを参照)。一方、被験者Xが、補正器具7を顎の下に配置し、板部材31の正面側の法線が下を向くように持つ。この場合、四角形状の枠模様44の底辺は、色見本部32によって隠れ、カメラ4には、四角形状の枠模様44の底辺が写らない(例えば、
図5Dを参照)。
【0092】
また、被験者Xが、補正器具7を顎の下に配置し、板部材31の正面側の法線が、本体2の正面から逸れ、左右方向を向くように持つ。この場合、枠模様44の左右の辺の一方は、色見本部32によって隠れ、カメラ4には、四角形状の枠模様44の左右の辺の一方が写らない(例えば、
図5Bを参照)。
【0093】
また、被験者Xが、補正器具7を顎の下に配置し、板部材31を傾けて(回転して)持つ。この場合、枠模様44の上辺および底辺は、水平でなくなり、また、左右の辺は垂直でなくなる(例えば、
図5Cを参照)。
【0094】
従って、制御部11は、カメラ4によって撮影される枠模様44の画像から、被験者Xが補正器具7を適切に把持しているか否かを判定できる。つまり、制御部11は、補正器具7の姿勢の適否を、枠模様44の画像から判定できる。
【0095】
例えば、制御部11は、枠模様44の底辺が写っていない場合、ディスプレイ5に、補正器具7を上方に向けて持つように指示できる。制御部11は、枠模様44の上辺が写っていない場合、ディスプレイ5に、補正器具7を下方に向けて持つように指示できる。制御部11は、枠模様44の左右の辺の一辺が写っていない場合、ディスプレイ5に、補正器具7を左右のどちらかに向けて持つように指示できる。制御部11は、枠模様44の上辺および底辺が水平でなく、また、左右の辺が垂直でない場合、ディスプレイ5に、補正器具7を、例えば、時計回りまたは反時計回りに回転して持つように指示できる。
【0096】
<板部材31のデザイン45~48>
板部材31の表面側には、
図4Aに示すように、左右の手を模ったデザイン45,46が描かれている。板部材31の背面側には、
図4Bに示すように、左右の手を模ったデザイン47,48が描かれている。被験者Xは、板部材31の手を模ったデザイン45~48の部分を把持する。これにより、補正器具7は、被験者Xによって両手で把持され、容易に位置調整がされる。
【0097】
デザイン45~48は、被験者Xが把持するための立体形状であってもよい。例えば、デザイン45~48は、被験者Xの指が収まるような立体形状を有してもよい。
【0098】
なお、補正器具7の大きさは、被験者Xの顔や頭部の横幅、ディスプレイ5の画面サイズ(カメラ4の画角)を基準に決定されてもよい。被験者Xが日本人の場合、頭部の幅はおおよそ13cm以上、18cm以下のため、補正器具7の横幅は、被験者Xが把持する部分のスペースを含めて、20cm程度にしてもよい。
【0099】
人種や性別、年齢層などによっても、平均的な顔の大きさは異なる。従って、被験者Xの人種や性別、年齢層などによって、使用する補正器具7の大きさを変えてもよい。
【0100】
色見本部32の面積は、カメラ4のノイズの影響を無視できる大きさにする。例えば、色見本部32の画素数は、カメラ4で撮影された全画素のうち、ノイズの影響を無視できる数に設定する。具体的には、色見本部32の画素数は、100画素以上が好ましい。より具体的には、色見本部32は、1辺が1cm以上、5cm以下の範囲で形成されるのが好ましい。また、色見本部32が立体形状の場合、画像処理に用いる画素が平面の色見本部よりも少なくなる。従って、色見本部32が立体形状の場合、色見本部32は、少し大きめに形成されてもよい。
【0101】
色見本部32は、被験者Xの鼻や頬の膨らみによって、影にならない高さに設定されるのが好ましい。例えば、一般的な人の鼻の高さを、2.5cm以上、3cm以下とした場合、色見本部32の高さは、3cm以上にするのが好ましい。
【0102】
色見本部32の数は、2以上であってもよい。この場合、制御部11は、複数の色見本部32の画像データの平均値を用いて処理を実行してもよい。
【0103】
模様42,43は、被験者Xの顔を撮影する画角において、パターンマッチングのアルゴリズムの性能を十分に発揮できる大きさにするのが好ましい。模様42,43は、大きすぎてカメラ4の画角に収まらないということを回避するため、おおよそ2cm以上、5cm以下に描かれるのが好ましい。
【0104】
模様42と模様43との間の距離は、被験者Xと本体2との間の距離算出に用いられる。被験者Xと本体2との間の距離を、適切に算出するには、模様42と模様43との距離は、おおよそ人の顔幅程度に設定されるのが好ましい。
【0105】
測色値の明るさを(いわゆる、輝度、明度)を補正の対象とする場合、RGBのうち、いずれか1つをモニタすればよい。従って、色見本部32には、例えば、少なくともRGBのうちの1色が白飛びしない中間階調となる色が選定されてもよい。一方、測色値のRGBのそれぞれを補正する場合、すなわち、色成分(色相、彩度など)を補正する場合、色見本部32には、RGBの3色において白飛びしない中間階調となる色が選定されてもよい。例えば、色見本部32の色には、おおよそ20%以上、80%以下のグレー色が選定されてもよい。
【0106】
色見本部32の表面は、照明等の鏡面反射を防止するため、または、テカリを防止するため、つや消し加工されるのが好ましい。
【0107】
色見本部32の形状は、半円柱形状に限られない。色見本部32の形状は、円柱形、球形、楕円球形、方形、部分円柱形、部分球形、部分楕円球形、およびこれらの2以上の組み合わせであってもよい。
【0108】
色見本部32が半円柱形状や円柱形状等の場合、補正器具7は、照明の光を上下方向において均一に反射できる。また、色見本部32が半円柱形状や円柱形状の場合、補正器具7は、上下方向の手持ちブレに対応できる。色見本部32が半球形状や球形状等の場合、補正器具7は、照明の光を上下方向において均一に反射できる。また、色見本部32が半球形状や球形状等の場合、補正器具7は、上下方向の手持ちブレに対応できる。
【0109】
上記では、制御部11は、補正器具7の姿勢の適否を、枠模様44の画像を用いて判定したが、模様42,43の画像を用いて判定してもよい。
【0110】
図5Aは、補正器具7の適切な姿勢状態の例を示した図である。
図5B、
図5C、および
図5Dは、補正器具7の不適切な姿勢状態の例を示した図である。
【0111】
図5Aに示すように、被験者Xが補正器具7を適切に把持した場合、色見本部32の点線で示す軸32a(半円柱の中心軸)は、水平となる。また、軸32aは、撮影装置1の本体2に対し、平行となる。また、補正器具7の板部材31の法線は、水平となる。
【0112】
被験者Xが補正器具7を左右のどちらかに向けて把持した場合、模様42,43のサイズが異なる。例えば、
図5Bに示すように、被験者Xが補正器具7を、模様42が本体2に対して近く、模様43が本体2に対し遠くなるように把持した場合、模様42のサイズは、模様43のサイズより大きくなる。従って、制御部11は、模様42,43の大きさから、被験者Xが補正器具7を左右のどちらに向けて把持しているかを判定できる。
【0113】
被験者Xが補正器具7を傾けて(回転して)把持した場合、模様42,43の高さが異なる。例えば、
図5Cに示すように、被験者Xが補正器具7を、模様42が模様43より低くなるように傾けて(回転して)把持した場合、
図5Cの点線A11に示すように、模様42の頂部は、模様43の頂部より低くなる。従って、制御部11は、模様42,43の高さから、被験者Xが補正器具7を左右のどちらに傾けて把持しているかを判定できる。
【0114】
被験者Xが補正器具7を上下方向に向けて把持した場合、模様42,43の形状が正面を向いたときの形状に対し歪む。例えば、
図5Dに示すように、被験者Xが補正器具7を、下に向けて把持した場合、
図5Dの点線枠A12,A13に示すように、模様42,43は、台形状に歪む。従って、制御部11は、模様42,43の歪みから、被験者Xが補正器具7を上下方向のどちらに向けて把持しているかを判定できる。
【0115】
ROI特定部21は、通常動作において、カメラ4が撮影した静止画像から、例えば、被験者Xの頬を特定するが、シミを検出した場合、特定した頬から、検出したシミの部分を除外してもよい。
【0116】
図6Aおよび
図6Bは、ROI特定部21の動作例を説明する図である。
図6Aおよび
図6Bには、シミA21~A23が示してある。
【0117】
ROI特定部21は、画像認識処理によって、被験者Xの顔の頬を特定する。例えば、ROI特定部21は、
図6Aの点線枠A31,A32に示すように、被験者Xの顔の頬を特定する。
【0118】
ROI特定部21は、被験者Xの頬を特定すると、画像認識処理によって、特定した頬の部分(領域内)の被験者XのシミA21~A23を検出する。RIO特定部21は、特定した頬の領域から、検出したシミA21~A23の部分を除外した頬の領域を特定する。例えば、ROI特定部21は、
図6Bの点線枠A41,A42に示すように、シミA21~A23の部分を除外した頬を特定する。言い換えれば、ROI特定部21は、特定した頬の領域のうち、シミA21~A23と重ならない領域を頬の部分として特定する。
【0119】
制御部11は、シミA21~A23の部分を除外した頬において測色し、補正値で補正する。これにより、例えば、制御部11は、シミA21~A23の部分を除いた頬の測色値を用いて、被験者Xに合った化粧品等を提案できる。
【0120】
上記では、ROI特定部21は、特定した頬からシミの部分を除外したが、これに限られない。ROI特定部21は、特定した頬から、シミ、しわ、傷、および疾患の少なくとも1つの部分を除外してもよい。
【0121】
また、ROI特定部21は、特定した頬の領域と、検出したシミA21~A23の領域との重なる部分を頬の部分として特定してもよい。制御部11は、特定した頬の部分(頬のシミの部分)の皮膚の状態を、画像認識処理によって判定してもよい。
【0122】
図7は、撮影装置1の動作例を示したフローチャートである。撮影装置1は、準備動作により、色見本部32による基準データD1を取得し、記憶部12に記憶しているとする。撮影装置1は、準備動作により、模様42,43による基準データD2を取得し、記憶部12に記憶しているとする。入力装置6は、被験者Xから、撮影の操作を受付けたとする。
【0123】
制御部11は、カメラ4を用いて被験者Xの顔を撮影する(S1)。例えば、制御部11は、被験者Xが顎の下に補正器具7を適切に配置し、被験者Xの顔がカメラ4の画角内に入ると、カメラ4を用いて被験者Xの顔を撮影する。
【0124】
制御部11は、S1の撮影により、画像データを生成する(S2)。画像データは、静止画像データである。
【0125】
制御部11は、S2にて生成した画像データから、補正器具7を検出したか否かを判定する(S3)。制御部11は、S2にて生成した画像データから、補正器具7を検出した場合であって、補正器具7の色見本部32を検出した場合、S4に処理を移行する(S3の「色見本部検出」)。制御部11は、S2にて生成した画像データから、補正器具7を検出した場合であって、補正器具7の模様42,43を検出した場合、S6に処理を移行する(S3の「模様検出」)。制御部11は、S2にて生成した画像データから、補正器具7を検出した場合であって、補正器具7の色見本部32および模様42,43を検出した場合、S4,S6に処理を移行する(S3の「色見本部検出」および「模様検出」)。制御部11は、補正器具7を検出しない場合、S11に処理を移行する(S3の「検出せず」)。
【0126】
制御部11は、S3にて色見本部32を検出した場合、S2にて生成した画像データから、色見本部32のRGB値を取得する(S4)。
【0127】
制御部11は、S4にて取得した色見本部32のRGB値と、記憶部12に記憶されている基準データD1とを比較し、測色値を補正する補正値を算出する(S5)。
【0128】
制御部11は、S3にて模様42,43を検出した場合、S2にて生成した画像データから、補正器具7の2次元位置および本体2との距離を算出する(S6)。
【0129】
制御部11は、S6にて算出した補正器具7の2次元位置および本体2と、記憶部12に記憶されている基準データD2とを比較し、測色値を補正する補正値を算出する(S7)。
【0130】
制御部11は、S2にて生成した画像データから、被験者Xの頬を特定する(S8)。
【0131】
制御部11は、S8にて特定した頬の画像データから、RGB値を取得する(S9)。
【0132】
制御部11は、S5にて算出された補正値を用いて、S9にて取得したRGB値を補正する(S10)。また、制御部11は、S7にて算出された補正値を用いて、S9にて取得したRGB値を補正する(S10)。
【0133】
制御部11は、S10にて取得したRGB値をXYZ値に変換する(S11)。なお、制御部11は、S3にて、補正器具7の色見本部32および模様42,43を検出しなかった場合(S3の「検出せず」)、S9にて取得したRGB値をXYZ値に変換する。
【0134】
制御部11は、S10にて取得したRGB値をL*a*b*値に変換する(S12)。なお、制御部11は、S3にて、補正器具7の色見本部32および模様42,43を検出しなかった場合(S3の「検出せず」)、S9にて取得したRGB値をL*a*b*値に変換する。
【0135】
制御部11は、例えば、データを外部デバイス13に出力する(S13)。例えば、制御部11は、S11にて変換したXYZ値を外部デバイス13に出力する。また、制御部11は、S12にて変換したL*a*b*値を外部デバイス13に出力する。
【0136】
なお、制御部11は、S3にて補正器具7を検出した場合であって、補正器具7の色見本部32および模様42,43を検出しない場合、S11に処理を移行してもよい(S3の「検出せず」)。
【0137】
また、制御部11は、S8,S9の処理と、S3~S7の処理とを並行して実行してもよい。また、制御部11は、S8,S9の処理を実行した後、S3~S7の処理を実行してもよい。また、制御部11は、S3~S7の処理を実行した後、S8,S9の処理を実行してもよい。
【0138】
また、制御部11は、S3にて補正器具を検出した場合であって、補正器具7の色見本部32および模様42,43を検出した場合、S4,S5の処理と、S6,S7の処理とを並行して実行してもよい。また、制御部11は、S4,S5の処理を実行した後、S6,S7の処理を実行してもよい。また、制御部11は、S6,S7の処理を実行した後、S4,S5の処理を実行してもよい。
【0139】
以上説明したように、撮影装置1は、被験者Xの顔と、被験者Xの顎の下に配置された補正器具7と、を一緒に撮影し、撮影した顔の画像において、測色する部位の頬を特定する。そして、撮影装置1は、特定した頬の測色値を取得し、補正器具7の画像を用いて、頬の測色値を補正する。
【0140】
これにより、撮影装置1は、カメラ4の撮影により、簡便かつ適切に被験者Xの頬を測色できる。
【0141】
また、撮影装置1は、照明等の変化により変動する測色値を補正するので、撮影装置1の設置場所の自由度が高まる。例えば、撮影装置1は、一般的な居室、工場、化粧品売場、皮膚科などの病院、イベント会場などにおいて、完全に遮光された閉空間等に設置されなくても、適切に測色できる。
【0142】
また、撮影装置1は、高価な測定計器を使用せずに、高精度に測色できる。また、撮影装置1は、広い面積を一度に測色でき、計測時間を短縮できる。
【0143】
また、撮影装置1は、操作者や測定者のスキルによる測定ばらつきを低減できる。
【0144】
また、撮影装置1は、例えば、肌分析機と機能を連携し、肌の状態と肌の色を一体的な情報として管理および運用してもよい。これにより、例えば、撮影装置1は、化粧品のおすすめ情報の提供や、美容皮膚科での診断支援が可能になる。
【0145】
なお、上記では、撮影装置1は、補正器具7を用いて、人の顔における測色値を補正したが、これに限られない。撮影装置1は、補正器具7を用いて、手や足、腹部等、顔以外の部位の測色値を補正してもよい。
【0146】
また、上記では、補正器具7は、色見本部32と、模様42,43とを有しているが、これに限られない。補正器具7は、色見本部32と、模様42,43とのいずれか一方を有してもよい。
【0147】
また、撮影装置1は、補正器具を用いて、物の測色値を補正してもよい。例えば、撮影装置1は、補正器具を用いて、容器や自動車のボディー等の測色値を補正してもよい。
【0148】
図8Aおよび
図8Bは、容器の測色値補正の例を説明する図である。
図8Aおよび
図8Bには、測色対象となる容器51が示してある。
図8Bには、容器51の測色を補正する補正器具52が示してある。補正器具52は、補正器具7と同様に、板部材61と、色見本部62と、有する。
【0149】
板部材61は、容器51の輪郭(外周面)に沿った窪みを有する。補正器具52は、板部材61の窪んだ部分が容器51の輪郭に当て嵌まるよう配置される。板部材61は、補正器具7の板部材31と同様に、模様71,72と、枠模様73と、を有する。
【0150】
撮影装置1は、準備動作において、色見本部62を撮影し、基準データを記憶する。また、撮影装置1は、準備動作において、模様71,72を撮影し、基準データを記憶する。
【0151】
撮影装置1は、通常動作において、容器51と、補正器具52と、を撮影する。撮影装置1は、準備動作にて記憶した基準データを用いて、容器51の測色値を補正する。このように、撮影装置1は、人以外の物においても、測色値を補正できる。
【0152】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0153】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例または修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0154】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0155】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0156】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0157】
(本開示のまとめ)
本開示に係る撮影方法は、人の顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、を一緒に撮影し、前記顔の画像において測色する部位を特定し、前記部位の測色値を取得し、前記補正器具の画像を用いて、前記測色値を補正する。
【0158】
本開示に係る撮影方法において、前記補正器具が備える立体形状の画像を用いて、前記部位の測色値を補正する。
【0159】
本開示に係る撮影方法において、前記立体形状は、円柱形状、球形状、楕円球形状、方形状、部分円柱形状、部分球形状、部分楕円球形状、およびこれらの2以上の組み合わせである。
【0160】
本開示に係る撮影方法において、前記補正器具に描かれた2次元の模様の画像を用いて、前記部位の測色値を補正する。
【0161】
本開示に係る撮影方法において、前記2次元の模様は、線、イラスト、写真、文字、記号、図形、幾何学模様、およびこれらの2以上の組み合わせである。
【0162】
本開示に係る撮影方法において、前記顔を測色する部位は、頬である。
【0163】
本開示に係る撮影方法において、前記補正器具は、前記顔の測色する部位と、前記顔を撮影する撮影装置との距離が、前記補正器具と前記撮影装置との距離と略同等となるように、前記顔の近傍に配置される。
【0164】
本開示に係る撮影方法において、前記補正器具は、前記顔の輪郭形状に沿う形状を有する。
【0165】
本開示に係る撮影方法において、前記顔と、前記顔の顎の先端部分に接触して配置された前記補正器具と、を一緒に撮影する。
【0166】
本開示に係る撮影方法において、前記部位において、シワ、しみ、傷、および疾患の少なくとも1つを検出した場合、検出した検出部位を前記部位から除外し、前記部位の測色値を補正する。
【0167】
本開示に係る撮影方法において、前記補正器具は、前記人が把持する位置を示した図、または、前記人が把持するための立体形状を有する。
【0168】
本開示に係る撮影方法において、前記補正器具は、板状の部材に前記立体形状を有し、前記板状の部材には、前記立体形状に沿った模様が描かれる。
【0169】
本開示に係る撮影方法において、前記2次元の模様の画像に基づいて、前記補正器具の姿勢状態を判定し、前記姿勢状態を前記人に通知する。
【0170】
本開示に係る撮影方法において、前記板状の部材に描かれた前記立体形状に沿った模様の画像に基づいて、前記補正器具の姿勢状態を判定し、前記姿勢状態を前記人に通知する。
【0171】
本開示に係る撮影方法において、前記顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、の撮影の際、撮影装置のディスプレイを消灯する、または、特定の画面を表示する。
【0172】
本開示に係る撮影方法において、撮影した画像に前記補正器具が含まれていない場合、所定の条件に基づいて、前記部位の測色値を補正する。
【0173】
本開示に係る撮影装置は、人の顔と、前記顔の近傍に配置された補正器具と、を一緒に撮影するカメラと、前記顔の画像において測色する部位を特定して、前記部位の測色値を取得し、前記補正器具の画像を用いて、前記測色値を補正する制御部と、を有する。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本開示は、人の顔を測色する撮影装置に有用である。
【符号の説明】
【0175】
1 撮影装置
2 本体
3 制御装置
4 カメラ
5 ディスプレイ
6 入力装置
7,52 補正器具
31,61 板部材
32,62 色見本部
33 支持部材
41 突起部
42,43,71,72 模様
44,73 枠模様
45~48 デザイン
51 容器
X 被験者