(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】音再生システム、音再生方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20230310BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20230310BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20230310BHJP
H05B 47/00 20200101ALI20230310BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04R3/12 Z
H04R1/02 103F
H05B47/00
(21)【出願番号】P 2018247476
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】前田 光
(72)【発明者】
【氏名】栗原 伸一郎
【審査官】倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-143561(JP,A)
【文献】特開2012-054887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04R 1/00- 1/14
H04R 3/00- 3/14
H04B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を出力するための音情報を送信する親機と、
前記親機から受信した前記音情報に基づいて音を再生し、かつ、前記音情報を
外部に送信する第1子機と、
前記第1子機から受信した前記音情報に基づいて音を再
生する第2子機とを備え、
前記親機は、同期をとるための同期時間を含む第1情報を、前記第1子機に送信し、
前記第1子機は、
前記第1情報を受信してから第2情報を
外部に送信するまでの第1遅延時間を測定し、
測定した当該第1遅延時間を前記第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、前記第1同期時間を更新した第2同期時間を含む前記第2情報
として外部に送信し、
前記第2子機は、
前記第2情報を受信してから第3情報を
外部に送信するまでの第2遅延時間を測定し、
測定した当該第2遅延時間を前記第2情報に含まれる前記第2同期時間に加算することで、前記第2同期時間を更新した第3同期時間を含む前記第3情報
として外部に送信し、
前記親機は、前記第1子機から受信する前記第2同期時間に基づく応答に含まれる第1応答遅延時間、及び、前記第2子機から受信する前記第3同期時間に基づく応答に含まれる第2応答遅延時間のうち、最大となる各々の応答遅延時間を特定し、特定された各々の当該応答遅延時間を含む同期情報を前記第1子機及び前記第2子機に送信し、
前記第1子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第1応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生し、
前記第2子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第2応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生する
音再生システム。
【請求項2】
前記第1子機は、さらに、
音を再生する際に生じる第1再生遅延時間を測定し、
測定した前記第1再生遅延時間を前記第2情報に含まれる前記第2同期時間に加算することで、前記第2同期時間を更新した
前記第1応答遅延時間を含む応答を前記親機に送信し、
前記第2子機は、さらに、
音を再生する際に生じる第2再生遅延時間を測定し、
測定した前記第2再生遅延時間を前記第3情報に含まれる前記第3同期時間に加算することで、前記第3同期時間を更新した
前記第2応答遅延時間を含む応答を前記親機に送信し、
前記第1子機及び前記第2子機は、測定された前記第1再生遅延時間及び前記第2再生遅延時間をさらに加味して、前記音情報に基づく音を再生する
請求項1に記載の音再生システム。
【請求項3】
前記第1子機及び前記第2子機は、前記音情報を受信する通信部と、前記通信部が受信した前記音情報に基づいて音を出力する音出力部とを有し、
前記第1再生遅延時間及び前記第2再生遅延時間は、前記通信部を介して前記音出力部が前記音情報を取得してから前記音情報に基づく音を再生するまでの内部処理時間である
請求項
2に記載の音再生システム。
【請求項4】
前記親機と前記第1子機とは、相互に無線通信接続され、
前記第1子機と前記第2子機とは、相互に無線通信接続される
請求項1~
3のいずれか1項に記載の音再生システム。
【請求項5】
前記第1子機及び前記第2子機は、照明器具である
請求項1~
4のいずれか1項に記載の音再生システム。
【請求項6】
親機が音を出力するための音情報を送信し、
第1子機が、前記親機から受信した音情報に基づいて音を再生し、かつ、前記音情報を
外部に送信し、
第2子機が前記第1子機から受信した前記音情報
に基づいて音を再生し、
前記親機は、同期をとるための同期時間を含む第1情報を、前記第1子機に送信することと、
前記第1子機は、
前記第1情報を受信してから第2情報を
外部に送信するまでの第1遅延時間を測定することと、
測定した当該第1遅延時間を前記第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、前記第1同期時間を更新した第2同期時間を含む前記第2情報
として外部に送信することと、
前記第2子機は、
前記第2情報を受信してから第3情報を
外部に送信するまでの第2遅延時間を測定することと、
測定した当該第2遅延時間を前記第2情報に含まれる前記第2同期時間に加算することで、前記第2同期時間を更新した第3同期時間を含む前記第3情報
として外部に送信することと、
前記親機は、前記第1子機から受信する前記第2同期時間に基づく応答に含まれる第1応答遅延時間、及び、前記第2子機から受信する前記第3同期時間に基づく応答に含まれる第2応答遅延時間のうち、最大となる各々の応答遅延時間を特定し、特定された各々の当該応答遅延時間を含む同期情報を前記第1子機及び前記第2子機に送信することと、
前記第1子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第1応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生することと、
前記第2子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第2応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生することとを含む
音再生方法。
【請求項7】
前記請求項
6に記載の音再生方法をコンピュータによって実行する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音再生システム、音再生方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコントローラとして特許文献1には、3つのゾーンプレーヤーと無線通信可能に接続されるコントローラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のコントローラと複数のゾーンプレーヤー等の子機とがネットワークを構成する場合、子機によっては、コントローラが送信した情報を取得するタイミングが異なる。このため、各々の子機が情報に基づいて何らかの動作をする場合、各々の子機の動作のタイミングが一致し難い。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、各々の子機の動作を同期させることができる音再生システム、音再生方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る音再生システムの一態様は、音を出力するための音情報を送信する親機と、前記親機から受信した前記音情報に基づいて音を再生し、かつ、前記音情報を外部に送信する第1子機と、前記第1子機から受信した前記音情報に基づいて音を再生する第2子機とを備え、前記親機は、同期をとるための同期時間を含む第1情報を、前記第1子機に送信し、前記第1子機は、前記第1情報を受信してから第2情報を外部に送信するまでの第1遅延時間を測定し、測定した当該第1遅延時間を前記第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、前記第1同期時間を更新した第2同期時間を含む前記第2情報として外部に送信し、前記第2子機は、前記第2情報を受信してから第3情報を外部に送信するまでの第2遅延時間を測定し、測定した当該第2遅延時間を前記第2情報に含まれる前記第2同期時間に加算することで、前記第2同期時間を更新した第3同期時間を含む前記第3情報として外部に送信し、前記親機は、前記第1子機から受信する前記第2同期時間に基づく応答に含まれる第1応答遅延時間、及び、前記第2子機から受信する前記第3同期時間に基づく応答に含まれる第2応答遅延時間のうち、最大となる各々の応答遅延時間を特定し、特定された各々の当該応答遅延時間を含む同期情報を前記第1子機及び前記第2子機に送信し、前記第1子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第1応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生し、前記第2子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第2応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生する。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本開示に係る音再生方法の一態様は、親機が音を出力するための音情報を送信し、第1子機が、前記親機から受信した音情報に基づいて音を再生し、かつ、前記音情報を外部に送信し、第2子機が前記第1子機から受信した前記音情報に基づいて音を再生し、前記親機は、同期をとるための同期時間を含む第1情報を、前記第1子機に送信することと、前記第1子機は、前記第1情報を受信してから第2情報を外部に送信するまでの第1遅延時間を測定することと、測定した当該第1遅延時間を前記第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、前記第1同期時間を更新した第2同期時間を含む前記第2情報として外部に送信することと、前記第2子機は、前記第2情報を受信してから第3情報を外部に送信するまでの第2遅延時間を測定することと、測定した当該第2遅延時間を前記第2情報に含まれる前記第2同期時間に加算することで、前記第2同期時間を更新した第3同期時間を含む前記第3情報として外部に送信することと、前記親機は、前記第1子機から受信する前記第2同期時間に基づく応答に含まれる第1応答遅延時間、及び、前記第2子機から受信する前記第3同期時間に基づく応答に含まれる第2応答遅延時間のうち、最大となる各々の応答遅延時間を特定し、特定された各々の当該応答遅延時間を含む同期情報を前記第1子機及び前記第2子機に送信することと、前記第1子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第1応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生することと、前記第2子機は、特定された前記最大となる応答遅延時間と、前記第2応答遅延時間との差分に応じて前記音情報に基づく音を再生することとを含む。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本開示に係るプログラムの一態様は、音再生方法をコンピュータによって実行する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る音再生システム等によれば、各々の子機の動作を同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明システムを例示する模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明システムを例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る照明システムの動作を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る照明システムの動作を例示するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ、ステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(実施の形態)
[照明システム1]
図1は、実施の形態に係る照明システム1を例示する模式図である。
【0014】
図1に示すように、照明システム1は、住宅等の施設の室内に設置され、照明シーンを再現させるように複数の照明器具30a~30fを制御することができるシステムである。照明システム1では、例えば、ユーザが「〇〇の明るさで点灯」と発話すると、発話による言葉を音声認識処理して、複数の照明器具30a~30fを点灯する。以下、複数の照明器具30a~30fを総称して照明器具30という場合がある。照明システム1は、音再生システムの一例である。音声は、音の一例である。音声の他に、音声によらない音楽、電子音等も音の一例である。
【0015】
図2は、実施の形態に係る照明システム1を例示するブロック図である。
図1及び
図2に示すように、照明システム1は、親機となる照明器具30aと、第1子機となる照明器具30bと、第2子機となる照明器具30cとを備える。
【0016】
[照明器具30]
各々の照明器具30は、施設の室内を照明することができるように、室内に設置される。各々の照明器具30には、商用電源からの電力が供給される。本実施の形態において、照明器具30aは、音声を出力するための音声情報を送信する親機として設定され、コントローラ10と無線通信可能である。また、
図1及び
図2の照明器具30bは、照明器具30aから受信した音声情報に基づいて音声を再生し、かつ、音声情報を送信する第1子機として設定される。照明器具30cは、照明器具30bから受信した音声情報に基づいて音声を再生し、かつ、第1子機から音声情報を受信する第2子機として設定される。照明器具30aと照明器具30bとは相互に無線通信接続され、照明器具30bと照明器具30cとは相互に無線通信接続される。このように、コントローラ10及び各々の照明器具30は、デイジーチェーン又はシリアルチェーンと呼ばれるネットワークを構成する。音声情報は、音情報の一例である。
【0017】
照明器具30d~30fは、第3子機から第5子機として設定されるが、便宜上、本実施の形態ではこれらの説明を省略し、主に照明器具30a~30cについて説明する。以下、複数の照明器具30a~30fを総称して照明器具30というときがある。
【0018】
照明器具30aは、照明器具30bが音声を再生する前つまり通常の動作を行う前に、同期をとるための第1同期時間を含む第1情報を、照明器具30bに送信する。照明システム1において、まずは各々の照明器具30を同期させるために、親機である照明器具30aは、第1情報を照明器具30bに送信する。
【0019】
照明器具30bでは、後述する計時部32は、第1情報を受信した時点から第2情報を照明器具30cに送信する時点までの第1遅延時間を測定する。また、照明器具30bでは、後述する第1処理部33が測定した当該第1遅延時間を第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、第2通信部36が第1同期時間を更新した第2同期時間を含む第2情報を送信する。
【0020】
照明器具30cでは、計時部32は、第2情報を受信した時点から第3情報を送信する時点までの第2遅延時間を測定する。また、照明器具30cでは、第1処理部33が測定した当該第2遅延時間を第2情報に含まれる第2同期時間に加算することで、第2通信部36が第2同期時間を更新した第3同期時間を含む第3情報を送信する。
【0021】
ここで、第1遅延時間及び第2遅延時間は、第1情報を受信してから更新された第2情報を送信するまでの内部処理時間である。
【0022】
本実施の形態では、照明器具30cの送信先には、照明器具30dが存在するため、照明器具30cは、第3情報を照明器具30dに送信する。なお、例えば、照明器具30cの送信先が存在しない場合、照明器具30cは、第3情報を親機である照明器具30aに送信してもよい。つまり、第3情報が後述する応答となり得る。
【0023】
照明器具30bでは、計時部32は、さらに、音声を再生する際に生じる第1再生遅延時間を測定する。また、照明器具30bでは、第1処理部33が測定した第1再生遅延時間を第2情報に含まれる第2同期時間に加算することで、第2通信部36が第2同期時間を更新した第1応答遅延時間を含む応答を照明器具30aに送信する。
【0024】
照明器具30cでは、計時部32は、さらに、音声を再生する際に生じる第2再生遅延時間を測定する。また、照明器具30cでは、第1処理部33が測定した第2再生遅延時間を第3情報に含まれる第2同期時間に加算することで、第2通信部36が第3同期時間を更新した第2応答遅延時間を含む応答を照明器具30aに送信する。
【0025】
ここで、第1再生遅延時間及び第2再生遅延時間は、第2通信部36を介して音声出力部37が音声情報を取得してから、音声情報に基づく音声を再生するまでの内部処理時間である。また、第1応答遅延時間及び第2応答遅延時間は、上流側における2つの照明器具30間で第1情報がホップする際に掛かる内部処理の時間である遅延時間(本実施の形態では、第1遅延時間及び第2遅延時間)の累積時間と、照明器具30が音声を再生する際に掛かる内部処理時間との和で示される。
【0026】
照明器具30aでは、第1処理部33は、照明器具30b、照明器具30c等から取得した各々の応答に含まれる第1応答遅延時間、第2応答遅延時間等のうち、最大となる応答遅延時間を特定する。本実施の形態では、照明器具30aの第1処理部33は、第1応答遅延時間に紐付けられた照明器具30bを識別するID、及び、第2応答遅延時間に紐付けられた照明器具30cを識別するIDによって、最大となる応答遅延時間の照明器具30を特定する。照明器具30aでは、第2通信部36は、第1処理部33によって特定された当該応答遅延時間を含む同期情報を照明器具30b、照明器具30c等に送信する。
【0027】
照明器具30b及び照明器具30cは、測定された第1遅延時間及び第2遅延時間を加味して、音声情報に基づく音声を再生する。具体的には、照明器具30aでは、特定された最大となる応答遅延時間と、自身の遅延時間との差分に応じて音声情報に基づく音声を再生する。照明器具30bでは、特定された最大となる応答遅延時間と、第1応答遅延時間との差分に応じて音声情報に基づく音声を再生する。また、照明器具30cでは、特定された最大となる応答遅延時間と、第2応答遅延時間との差分に応じて音声情報に基づく音声を再生する。
【0028】
例えば、照明器具30aが音声を再生する遅延時間がX1、照明器具30bの第1応答遅延時間がX2、及び、照明器具30cの第2応答遅延時間がX3である場合において、最大となる応答遅延時間をX3とする。この場合の同期情報とは、同期情報を受信してから照明器具30aに(X3-X1)後に音声を再生させる情報、同期情報を受信してから照明器具30bに(X3-X2)後に音声を再生させる情報、同期情報を受信してから照明器具30cに(X3-X3)後に音声を再生させる情報である。
【0029】
図3は、実施の形態に係る照明システム1の動作を例示する模式図である。
図3を例に挙げると、照明器具30aの遅延時間が70(ms)であり、照明器具30bの第1応答遅延時間が120(ms)であり、照明器具30cの第2応答遅延時間が138(ms)である。この中で、最も遅延時間が遅いのは、照明器具30cである。そこで、照明器具30aの第1処理部33は、自身に対して、68(ms)後に動作を開始する同期情報を生成し、照明器具30bに対して18(ms)後に動作を開始する同期情報を生成し、照明器具30cに対して0(ms)後(同期情報を受信直後)に動作を開始する同期情報を生成する。
【0030】
各々の照明器具30ごとに同期情報が異なるため、照明器具30aの第1処理部33は、同期情報に照明器具30のIDを紐付けて、照明器具30b等に送信する。例えば、照明器具30aは、照明器具30bのIDには(X3-X2)後に音声を再生させる同期情報、照明器具30cのIDには(X3-X3)後に音声を再生させる同期情報を一括して送信する。
【0031】
照明器具30aにおいても、同期情報に応じて、音声を出力するタイミングを調節する。また、照明器具30b及び照明器具30cが同期情報を受信すると、各々の第1処理部33は、自機のIDと一致する同期情報に応じて、音声を出力するタイミングを調節する。これにより、照明器具30aは(X3-X1)後に音声を再生させ、照明器具30bは(X3-X2)後に音声を再生させ、照明器具30cは(X3-X3)後に音声を再生させる。照明器具30b及び照明器具30cの各々の音声出力部37は、測定された第1再生遅延時間及び第2再生遅延時間をさらに加味して、音声情報に基づく音声を再生する。
【0032】
図1及び
図2に示すように、各々の照明器具30は、発光モジュール31と、計時部32と、第1処理部33と、照明制御部34と、電源部35と、音声出力部37と、第2通信部36とを有する。以下では、各々の照明器具30は、それぞれ異なる照明器具30a~30fであるが、それぞれが同等の構成を有するため、特に言及しない限り、任意の照明器具30について説明する。
【0033】
発光モジュール31は、照明器具30が周囲を照明するための光を出射する。発光モジュール31は、光を放射状に発するLED(Light Emitting Diode)を有するモジュールである。発光モジュール31は、例えば白色光を出射するように構成される光源と、光源を実装するための実装基板とを有する。
【0034】
計時部32は、第1遅延時間、第2遅延時間、第1再生遅延時間、及び、第2再生遅延時間を測定するタイマである。
【0035】
照明器具30bの第1処理部33は、第1遅延時間を第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、第2情報を生成する。照明器具30cの第1処理部33は、第2遅延時間を第2情報に含まれる第2同期時間に加算することで、第3情報を生成する。
【0036】
また、照明器具30bの第1処理部33は、第1遅延時間、及び、第1再生遅延時間を第1同期時間に加算し、加算した第1応答遅延時間を含む応答を生成する。照明器具30cの第1処理部33は、第2遅延時間、及び、第2再生遅延時間を第2同期時間に加算し、加算した第2応答遅延時間を含む応答を生成する。
【0037】
また、照明器具30aの第1処理部33は、各々の照明器具30から取得した応答に含まれる応答遅延時間から、最大となる応答遅延時間の照明器具30を特定する。照明器具30aの第1処理部33は、特定した最大となる応答遅延時間の照明器具30に同期させるように、つまり、特定された最大となる応答遅延時間と、第1応答遅延時間との差分に応じて、音声情報に基づく音声を再生させるための同期情報を生成する。
【0038】
照明制御部34は、発光モジュール31の発する光を制御する。具体的には、照明制御部34は、制御コマンドに示される明るさに基づいて発光モジュール31の点灯を制御する。
【0039】
電源部35は、交流電源である商用電源と電気的に接続される。電源部35は、発光モジュール31に電力を供給する電源回路が内蔵されたモジュールである。電源部35に内蔵された電源回路は、電源部35に接続された配線から供給された交流電流を直流電流に変換し、変換した直流電流を、リード線を介して発光モジュール31の光源に供給する。
【0040】
音声出力部37は、第2通信部36が受信した音声情報に基づいて音声を出力するスピーカである。例えば、音声出力部37は、同期信号を受信して、同期を行う設定が完了した場合、音を発してもよい。音声出力部37は、音出力部の一例である。
【0041】
第2通信部36は、コントローラ10又は他の照明器具30と無線通信可能な通信モジュールである。第2通信部36は、音声情報を受信すると、ホップ先の照明器具30が存在する場合に、受信した音声情報をホップ先の照明器具30に送信する。また、第2通信部36は、受信した制御コマンドを他の照明器具30にブロードキャスト又はユニキャストにより送信してもよい。第2通信部36は、通信部の一例である。
【0042】
[コントローラ10]
コントローラ10は、施設内のユーザの発話による言葉を取得する音声入力インターフェースである。コントローラ10は、ネットワークを構成する複数の照明器具30のうち、親機となる照明器具30aと無線通信可能であり、かつ、複数の照明器具30を制御可能である。コントローラ10は、ユーザの発話による言葉を認識し、認識した言葉に基づいた照明シーンを再現させるように、複数の照明器具30を制御する。ユーザの発話による言葉は、ユーザが発する音声による言葉である。
【0043】
コントローラ10は、音声入力部11と、音声認識部12と、第2処理部13と、記憶部14と、音声出力部15と、第1通信部16とを有する。
【0044】
音声入力部11は、ユーザの発話による言葉を取得するマイクロフォン等である。音声入力部11は、ユーザの発話による言葉を音声信号に変換し、変換した音声信号を音声認識部12に出力する。
【0045】
音声認識部12は、音声入力部11から取得した音声信号に対して音声認識処理を行う。例えば、音声認識部12は、音声入力部11から取得した音声信号を第1テキスト情報に変換し、第1テキスト情報を第2処理部13に出力する。
【0046】
第2処理部13は、認識されたユーザの発話による言葉が複数の照明器具30に照明シーンを再現させるための予め定められた制御条件を満たすかどうかを判定する。ここで、認識されたユーザの発話による言葉は、ユーザの発話による言葉を示す第1テキスト情報を意味する。また、予め定められた制御条件は、制御コマンドに紐付けられた言葉(予め登録された言葉)を示す第2テキスト情報で表現さる。例えば、制御条件は、後述するキーワードを含む。
【0047】
第2処理部13は、言葉が制御条件を満たすと判定した場合、照明シーンを再現するための複数の制御コマンドから、言葉に応じた第1の制御コマンドを選択する。具体的には、言葉が制御条件を満たす場合とは、認識されたユーザの発話による言葉が予め登録された言葉である、つまり、認識されたユーザの発話による言葉に照明シーンに関連するキーワードが含まれている場合である。
【0048】
ここで、照明シーンに関連するキーワードは、例えば、「明るい」、「暗い」、「寒い」、「暖かい」、「眠る」、「○○色」、「ON」、「OFF」、「点灯」、「消灯」等であり、言葉から照明シーンの実行、点灯、消灯等を連想させる言葉である。このため、「○×は楽しかった」等、照明シーンに関連しない日常会話は、照明シーンに関連するキーワードに含まれない。認識されたユーザの発話による言葉にキーワードが含まれていない場合、第2処理部13は、上述の判定を行わない。
【0049】
なお、言葉が制御条件を満たす場合は、少なくとも第1テキスト情報と第2テキスト情報とが数十パーセント以上一致していれば、言葉が制御条件を満たすとしてもよい。また、第1テキスト情報の一部の「明るさ」と第2テキスト情報の「明るい」とは同義であるため、第2処理部13は、第1テキスト情報の一部の「明るさ」をキーワードと判定してもよい。
【0050】
また、第2処理部13は、言葉が制御条件を満たさないと判定した場合、複数の制御コマンドから第2の制御コマンドを選択する。具体的には、言葉が制御条件を満たさない場合とは、認識されたユーザの発話による言葉の少なくとも一部が予め登録された言葉に含まれていない場合であり、第2テキスト情報と一致する第1テキスト情報が存在しない場合である。
【0051】
ここで第2の制御コマンドは、(1)照明器具30aに前回送信した制御コマンド、(2)照明器具30aに送られた制御コマンドのうちの利用頻度の高い制御コマンド、(3)時刻に応じて予め決められている制御コマンド、(4)デフォルトで決められている制御コマンドのうちのいずれかに設定される。第2処理部13は、最も優先されている上記(1)~(4)に基づいて、第2の制御コマンドの選択を行う。
【0052】
記憶部14は、第2処理部13が実行する複数の制御コマンド等が記憶される記憶装置である。記憶部14は、上記(1)~(4)の制御コマンドを示すテーブル等を格納する。また、記憶部14は、音声出力部15が音声を出力するため情報を格納する。
【0053】
音声出力部15は、選択された第2の制御コマンドに応じた音声による返答を出力するスピーカである。例えば、第2の制御コマンドが選択された場合、音声出力部15は「このような明かりでいかがですか?」等の音声を出力する。なお、音声出力部15は、例えば、第1の制御コマンドが選択された場合、音声出力部15は「○○の照明シーンで点灯します。」等の音声を出力してもよい。
【0054】
第1通信部16は、照明器具30aと無線通信可能な通信モジュールである。第1通信部16は、第2処理部13が選択した第1の制御コマンド又は第2の制御コマンドを照明器具30aに送信する。
【0055】
[動作]
次に、照明システム1、音声再生方法及びプログラムの動作について説明する。
【0056】
図4は、実施の形態に係る照明システム1の動作を例示するシーケンス図である。
【0057】
まず、
図4では、ネットワークを構成する。各々の照明器具30において同期を取るための設定を行う。
【0058】
照明器具30aは、同期をとるための第1同期時間T1を含む第1情報を、照明器具30bに送信する。本実施の形態における同期時間T1は、0秒である。
【0059】
照明器具30bは、第1情報を受信すると、次のホップ先である照明器具30cに送信するための内部処理を行う。具体的には、照明器具30bでは、計時部32は、第1情報を受信した時点から第2情報を照明器具30cに送信する時点までの第1遅延時間A1、及び、音声を再生する際に生じる第1再生遅延時間B1を測定する(S21)。
【0060】
次に、照明器具30bでは、第1処理部33は、計時部32が測定した当該第1遅延時間A1を第1情報に含まれる第1同期時間T1に加算し、第1同期時間T1を更新した第2同期時間(S1=(A1+T1))を含む第2情報を生成する(S22)。また、照明器具30bでは、第1処理部33は、計時部32が測定した第1再生遅延時間B1を第2情報に含まれる第2同期時間S1に加算し、第2同期時間S1を更新した第1応答遅延時間(T2=(A1+B1+T1))を含む応答を生成する(S22)。
【0061】
照明器具30bの第2通信部36は、次の送信先である照明器具30cに第2情報(第2同期時間S1)を送信(S23a)し、応答の送信先である照明器具30aに第1応答遅延時間T2を含む応答を送信する(S23b)。
【0062】
照明器具30cは、第2情報を受信すると、次のホップ先である照明器具30d(
図4では不図示)に送信するための内部処理を行う。具体的には、照明器具30cでは、計時部32は、第2情報を受信した時点から第3情報を照明器具30dに送信する時点までの第2遅延時間A2、及び、音声を再生する際に生じる第2再生遅延時間B2を測定する(S31)。
【0063】
次に、照明器具30cでは、第1処理部33は、計時部32が測定した当該第2遅延時間A2を第2情報に含まれる第2同期時間S1に加算し、第2同期時間S1を更新した第3同期時間(S2=(A2+S1))を含む第2情報を生成する(S32)。また、照明器具30cでは、第1処理部33は、計時部32が測定した第2再生遅延時間B2を、第2情報に含まれる第3同期時間S2に加算し、第2同期時間S1を更新した第2応答遅延時間(T3=(A2+B2+S1))を含む応答を生成する(S32)。このように、第2同期時間S1は照明器具30bよりも上流の2つの照明器具30間での内部処理の累積時間であり、第3同期時間S2は照明器具30cよりも上流の照明器具30a~30cまでの照明器具30間での内部処理の累積時間である。
【0064】
照明器具30cの第2通信部36は、次の送信先である照明器具30dに第3情報(第2同期時間S2)を送信し、照明器具30bを介して、応答の送信先である照明器具30aに第2応答遅延時間T3を含む応答を送信する(S33a、S33b、S33c)。
【0065】
同様に、本実施の形態の照明器具30d~30fについても応答遅延時間を受信する。なお、当然のことながら、照明器具30aは、照明器具30aが音声を再生する遅延時間についても取得する。
【0066】
照明器具30aでは、第1処理部33は、照明器具30b及び照明器具30cから取得した各々の応答に含まれる第1応答遅延時間及び第2応答遅延時間、照明器具30d等から取得した各々の応答に含まれる応答遅延時間等の音声を再生する遅延時間のうち、最大となる応答遅延時間を照明器具30aの第1処理部33が特定する(S12)。本実施の形態では、照明器具30aの第1処理部33は、第1応答遅延時間に紐付けられた照明器具30bを識別するID、及び、第2応答遅延時間に紐付けられた照明器具30cを識別するIDによって、最大となる応答遅延時間の照明器具30を特定する。
【0067】
照明器具30aでは、第1処理部33は、照明器具30bに対して同期情報(最大となる応答遅延時間Xm-第1応答遅延時間)、照明器具30cに対して同期情報(最大となる応答遅延時間Xm-第2応答遅延時間)等を生成する。つまり、照明器具30aの第1処理部33は、各々の照明器具30に応じた同期情報を生成する(S13)。
【0068】
照明器具30aでは、第2通信部36は、照明器具30bに対して同期情報(最大となる応答遅延時間Xm-第1応答遅延時間)、照明器具30cに対して同期情報(最大となる応答遅延時間Xm-第2応答遅延時間)等を一括して送信する(S14a、S14b、S14c)。各々の同期情報には、各々の照明器具30が自身の同期情報に基づいて制御できるように、IDが紐付けられる。
【0069】
これにより、照明器具30aでは、特定された最大となる応答遅延時間と、自身の遅延時間との差分に応じて、音声情報に基づく音声を再生する。また、照明器具30bでは、特定された最大となる応答遅延時間と、第1応答遅延時間との差分に応じて、音声情報に基づく音声を再生する。また、照明器具30cでは、特定された最大となる応答遅延時間と、第1応答遅延時間との差分に応じて、音声情報に基づく音声を再生する。こうして、この照明システム1では、各々の照明器具30の動作を同期させることができる。つまり、各々の照明器具30では、上述の同期情報によってタイミングが調節されるため、同じタイミングで音声を再生することができる。
【0070】
また、コントローラ10から送信された第1の制御コマンド又は第2の制御コマンドを照明器具30aが受信すると、第1の制御コマンド又は第2の制御コマンドが照明器具30b~30fに送信される。各々の照明器具30では、第1の制御コマンド、又は、第2の制御コマンドを実行するタイミングが調節されるため、同時に点灯することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、便宜上、主に照明器具30a~30cについて説明したが、第3子機である照明器具30d以降においても同様であるため、これらの説明を省略する。また、本実施の形態では、6つの照明器具30a~30fについて例示しているが、2つ以上5つ以下の照明器具でも上述と同様の動作が行われ、7つ以上の照明器具についても上述と同様の動作が行われる。
【0072】
[作用効果]
次に、本実施の形態における照明システム1、照明システム1の制御方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0073】
上述したように、本実施の形態に係る照明システム1は、音声を出力するための音声情報を送信する照明器具30aと、照明器具30aから受信した音声情報に基づいて音声を再生し、かつ、音声情報を送信する照明器具30bと、照明器具30bから音声情報を受信する照明器具30cとを備える。また、照明器具30aは、同期をとるための同期時間を含む第1情報を、照明器具30bに送信する。また、照明器具30bは、第1情報を受信してから第2情報を照明器具30cに送信するまでの第1遅延時間を測定し、測定した当該第1遅延時間を第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、第1同期時間を更新した第2同期時間を含む第2情報を送信する。また、照明器具30cは、第2情報を受信してから第3情報を送信するまでの第2遅延時間を測定し、測定した当該第2遅延時間を第2情報に含まれる第2同期時間に加算することで、第2同期時間を更新した第3同期時間を含む第3情報を照明器具30a又は照明器具30b及び照明器具30cと異なる照明器具30dに送信する。そして、照明器具30b及び照明器具30cは、測定された第1遅延時間及び第2遅延時間を加味して、音声情報に基づく音声を再生する。
【0074】
これによれば、照明器具30bは上流側の照明器具30aとの間で生じる第1遅延時間を加味して音声を再生し、照明器具30cも上流側の照明器具30との間で生じる第2遅延時間を加味して音声を再生する。
【0075】
したがって、この照明システム1では、各々の子機の動作を同期させることができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、第1子機及び第2子機は、照明器具30である。
【0077】
また、本実施の形態に係る音声再生方法は、照明器具30aが音声を出力するための音声情報を送信し、照明器具30bが、照明器具30aから受信した音声情報に基づいて音声を再生し、かつ、音声情報を送信し、照明器具30cが照明器具30bから音声情報を受信し、照明器具30aは、同期をとるための同期時間を含む第1情報を、照明器具30bに送信することと、照明器具30bは、第1情報を受信してから第2情報を照明器具30cに送信するまでの第1遅延時間を測定することと、測定した当該第1遅延時間を第1情報に含まれる第1同期時間に加算することで、第1同期時間を更新した第2同期時間を含む第2情報を送信することと、照明器具30cは、第2情報を受信してから第3情報を送信するまでの第2遅延時間を測定することと、測定した当該第2遅延時間を第2情報に含まれる第2同期時間に加算することで、第2同期時間を更新した第3同期時間を含む第3情報を照明器具30a又は照明器具30b及び照明器具30cと異なる照明器具30dに送信することと、照明器具30b及び照明器具30cは、測定された第1遅延時間及び第2遅延時間を加味して、音声情報に基づく音声を再生することとを含む。
【0078】
また、本実施の形態に係るプログラムは、音声再生方法をコンピュータによって実行する。
【0079】
これらにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0080】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、照明器具30bは、さらに、音声を再生する際に生じる第1再生遅延時間を測定し、測定した第1再生遅延時間を第2情報に含まれる第2同期時間に加算することで、第2同期時間を更新した第1応答遅延時間を含む応答を照明器具30aに送信する。また、照明器具30cは、さらに、音声を再生する際に生じる第2再生遅延時間を測定し、測定した第2再生遅延時間を第3情報に含まれる第3同期時間に加算することで、第3同期時間を更新した第2応答遅延時間を含む応答を照明器具30aに送信する。そして、照明器具30b及び照明器具30cは、測定された第1再生遅延時間及び第2再生遅延時間をさらに加味して、音声情報に基づく音声を再生する。
【0081】
これによれば、照明器具30bは上流側の照明器具30aとの間で生じる第1遅延時間及び第1再生遅延時間を加味して音声を再生し、照明器具30cも上流側の照明器具30との間で生じる第2遅延時間及び第2再生遅延時間を加味して音声を再生する。このため、この照明システム1では、各々の子機の動作をより精度よく同期させることができる。
【0082】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、照明器具30aは、照明器具30b及び照明器具30cから受信した各々の応答に含まれる第1応答遅延時間及び第2応答遅延時間のうち、最大となる応答遅延時間を特定し、特定された当該応答遅延時間を含む同期情報を照明器具30b及び照明器具30cに送信する。また、照明器具30bは、特定された最大となる応答遅延時間と、第1応答遅延時間との差分に応じて音声情報に基づく音声を再生する。そして、照明器具30cは、特定された最大となる応答遅延時間と、第2応答遅延時間との差分に応じて音声情報に基づく音声を再生する。
【0083】
これによれば、最大となる応答遅延時間を特定することで、最も遅くなる時間に合わせて各々の照明器具30の動作を同期させるように制御する。このため、この照明システム1では、確実に各々の照明器具30の動作を同期させることができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、照明器具30b及び照明器具30cは、音声情報を受信する第2通信部36と、第2通信部36が受信した音声情報に基づいて音声を出力する音声出力部37とを有する。そして、第1再生遅延時間及び第2再生遅延時間は、第2通信部36を介して音声出力部37が音声情報を取得してから音声情報に基づく音声を出力するまでの内部処理時間である。
【0085】
これによれば、第1応答遅延時間及び第2応答遅延時間をより正確に算出することができるため、この照明システム1では、各々の子機の動作をより精度よく同期させることができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、照明器具30aと照明器具30bとは相互に無線通信接続され、照明器具30bと照明器具30cとは相互に無線通信接続される。
【0087】
これによれば、音声情報を各々の照明器具30間でホップさせることによって遅延が生じたとしても、各々の照明器具の動作を同期させることで、各々の照明器具30の動作のバラツキを抑制することができる。
【0088】
特に、各々の照明器具30を例えば同軸ケーブル等で接続した場合、施設によっては同軸ケーブルの長さによる設置場所を確保し難い場合がある。また、同軸ケーブルを用いれば、その分だけコストもかかる。しかし、この照明システム1では、各々の照明器具30が無線通信接続されているため、コストの増大化を抑制することができる。
【0089】
(その他変形例)
以上、本開示に係る音再生システム、音再生方法及びプログラムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0090】
また、上記実施の形態に係る音再生システム、音再生方法及びプログラムにおいて、コントローラは、親機である照明器具と別体であるが、親機である照明器具に搭載されていてもよい。この場合、第1通信部又は第2通信部を省略してもよく、親機の音声出力部又はコントローラの音声出力部を省略してもよい。また、本実施の形態では、照明器具が親機であるが、コントローラが親機であってもよい。
【0091】
また、上記実施の形態に係る音再生システム、音再生方法及びプログラムにおいて、ホテル、商業施設等の大規模施設における大きな部屋、廊下等に用いた場合、大規模施設では、物理的な距離が長くなるが、親機、第1子機及び第2子機が同期をとることができる。例えば、親機、第1子機及び第2子機がスピーカ付の照明器具である場合、音再生システム、音再生方法及びプログラムによれば、大規模施設でも音声の出力及び照明器具の点灯の同期をとることができる。このため、大規模施設における人の避難誘導に適用した場合、音声の出力及び照明器具の点灯が同期すれば、人は避難指示を聞き取り易くなり、安全性が向上する。
【0092】
また、上記実施の形態に係る音再生システム、音再生方法及びプログラムにおいて、複数の照明器具30a~30fは、少なくとも一部が異なる明るさ(輝度、光束等)で点灯してもよく、少なくとも一部が異なる発光方式で点灯してもよく、少なくとも一部が異なるデザインであってもよい。また、複数の照明器具30a~30fのうちの少なくとも一部は、常夜灯のような暗所用の照明器具、意匠性のある光を発する照明器具であってもよい。複数の照明器具30a~30fのそれぞれの点灯態様は限定されない。
【0093】
また、上記実施の形態に係る音再生システム、音再生方法及びプログラムにおいて、音声認識部は、サーバに搭載されていてもよく、コントローラの必須の構成要件ではない。
【0094】
また、上記実施の形態に係る音再生システム、音再生方法及びプログラムにおいて、コントローラは、スマートフォン、タブレット端末等の操作端末によって操作されてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態に係る音再生システム、音再生方法及びプログラムにおいて、
図2のコントローラ10の音声認識部12は、クラウドサーバ20に搭載されていてもよい。この場合、コントローラ10の音声入力部11が取得した音声信号を、第1通信部16を介してクラウドサーバ20に送信する。クラウドサーバ20は、受信した音声信号を第1テキスト情報に変換し、変換した第1テキスト情報を送信元のコントローラ10に送信してもよい。
【0096】
また、上記実施の形態に係る音再生システムに含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0097】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0098】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0099】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0100】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0101】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0102】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1 照明システム(音再生システム)
10 コントローラ
30、30d、30e、30f 照明器具
30b 照明器具(第1子機)
30c 照明器具(第2子機)
36 第2通信部(通信部)
37 音声出力部