(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230310BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 304B
H04N5/64 541J
(21)【出願番号】P 2019082818
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】風間 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】北角 翼
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-047598(JP,A)
【文献】特開2006-317906(JP,A)
【文献】特開2004-309551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0102027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの背面側に配置された熱拡散板と、
磁力によって前記表示パネルを前記熱拡散板の側に引き付けることで、前記表示パネルの前記背面を前記熱拡散板に当接させる磁気部材と、
を備え、
前記熱拡散板は、凹状に形成された収容部であって、前後方向に向けられた底面を有する収容部を有し、
前記磁気部材は、少なくとも一部が前記収容部に収容されている、
画像表示装置。
【請求項2】
前記磁気部材は、前記熱拡散板の背面側に配置されている、
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記熱拡散板は、前記背面に
前記収容部を有し、
前記底面は、前記表示パネルと反対側に向けられており、
前記磁気部材は、少なくとも一部が前記収容部に収容された状態で、前記熱拡散板に固定されている、
請求項
1または2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記熱拡散板には、複数の前記磁気部材が、2次元的に分散して配置されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
さらに、前記熱拡散板の周縁部と、前記表示パネルとを接着する接着部材を有し、
前記熱拡散板の周縁部には、前記接着部材を収容する段差部が形成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像を表示する表示パネルを備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光源と、表示面を表側に含む表示パネルと、光源を支持し、熱伝導性を有する光源支持部材と、表示パネルに駆動信号を供給する駆動部品とを備える表示装置を開示する。この表示装置において。駆動部品は、絶縁性を有する接着材を利用して光源支持部材に対して固定される。接着材としては、例えば、両面接着性のテープ状の絶縁接着材が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、効率よく製造することができる画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における画像表示装置は、前面に画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの背面側に配置された熱拡散板と、磁力によって前記表示パネルを前記熱拡散板の側に引き付けることで、前記表示パネルの前記背面を前記熱拡散板に当接させる磁気部材と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る画像表示装置によれば、表示パネルの放熱を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る画像表示装置の外観斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る画像表示装置の分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る熱拡散板が有するマグネット収容部を示す部分斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る熱拡散板が有するマグネット収容部を示す部分断面図である。
【
図5】実施の形態に係る熱拡散板の周縁部と表示パネルとの接続部分を示す部分断面図である。
【
図6A】実施の形態の変形例に係る磁気部材のレイアウトの第1の例を示す図である。
【
図6B】実施の形態の変形例に係る磁気部材のレイアウトの第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願発明者は、従来の画像表示装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。従来、例えば、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode:OLED)素子を用いた表示パネル(有機ELパネル)を備えるテレビジョン受像機が存在する。
【0009】
有機ELパネルは、自発光型のディスプレイパネルであり、液晶パネルのようなバックライトユニットは不要である。そのため、有機ELパネルを備える表示パネルモジュールは、液晶パネルを備える表示パネルモジュールよりも薄型化が可能である。しかし、有機ELパネルは発光することにより熱を発し、この熱がOLED素子の劣化(温度劣化)の要因となる。そのため、有機ELパネルの熱を効率よく外部に放出する構造が求められる。
【0010】
そこで、有機ELパネルの背面に、金属等の熱伝導性の高い素材で形成された熱拡散板を沿わせることが考えられる。これにより、有機ELパネルは熱拡散板を介して効率よく放熱することができる。この構造において、放熱効率を高めるためには、有機ELパネルと熱拡散板とをできるだけ広い範囲で熱的に接続することが重要である。そのため、例えば、有機ELパネルの背面の全域または一部と熱拡散板とが接着される。この接着には接着テープが用いられるため、例えば、接着剤の乾燥を待つ時間は不要であり、接着剤のはみ出し等の問題も生じない。しかしながら、有機ELパネルと熱拡散板との間に、樹脂製の基材の両面に粘着剤が配置された接着テープが介在するため、有機ELパネルと熱拡散板とを直接的に当接させる場合と比較すると、有機ELパネルから熱拡散板への熱伝導性は低下する。
【0011】
もちろん、有機ELパネルと熱拡散板との接着に接着テープを用いた場合であっても、有機ELパネルの背面の全域と熱拡散板とを接着テープで接着することで、有機ELパネルと熱拡散板との間の空気層をできるだけ少なくすることは可能である。しかしながら、この場合、一旦、有機ELパネルと熱拡散板とを接着してしまうと、有機ELパネルと熱拡散板とを互いに破損させずに分離することが極めて困難となる。従って、有機ELパネルと熱拡散板との接着のやり直し(接着テープの貼り直し)、及び、接着後の有機ELパネル及び熱拡散板の一方を分離して他の製品の部品として使用すること等は現実的には不可能である。このことは、画像表示装置の製造効率の向上または製造コストの抑制の観点から問題となる。
【0012】
本開示は、このような知見に基づいてなされたものであり、本願発明者が鋭意検討した結果、表示パネルの放熱を効率よく行うことができる画像表示装置についての着想を得た。
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら実施の形態を説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、本願発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0015】
また、以下の実施の形態及び変形例において、説明の便宜上、上下方向をZ軸方向と一致させ、前後方向をY軸方向と一致させ、左右方向をX軸方向と一致させているが、これら対応付けは、本開示に係る画像表示装置の製造時または使用時における姿勢を限定するものではない。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸マイナス側とは、X軸プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。従って、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。
【0016】
(実施の形態)
[1.画像表示装置の構成概要]
まず、
図1及び
図2を用いて、実施の形態に係る画像表示装置10の構成概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る画像表示装置10の外観斜視図である。
図2は、実施の形態に係る画像表示装置10の分解斜視図である。具体的には、
図2は、画像表示装置10を斜め後方から見た場合の分解斜視図である。
【0017】
本実施の形態に係る画像表示装置10は、表示パネル20を備える表示パネルモジュールであり、例えば、テレビジョン受像機、モニタディスプレイ、及びその他の機器に、画像を表示する装置として組み込まれる装置である。
【0018】
具体的には、画像表示装置10は、
図1及び
図2に示すように、画像を表示する表示パネル20と、表示パネル20の背面に沿って配置された熱拡散板50と、表示パネル20及び熱拡散板50を背面側から覆うバックカバー40とを備える。
【0019】
本実施の形態では、表示パネル20は自発光型の表示パネルであり、具体的には、有機ELパネルである。つまり、画像表示装置10は、有機ELパネルを備える表示パネルモジュール(OLEDモジュール)である。なお、有機ELパネルである表示パネル20は、EL基板、カラーフィルタが形成されたガラス基板(CF基板)、EL基板とCF基板との間の樹脂層、及び、放熱シート等を有しているが、これら要素の詳細な図示及び説明は省略する。
【0020】
また、画像表示装置10は、表示パネル20における画像表示を駆動するソース基板及びソース基板を制御するタイミングコントローラ等の、表示パネル20の画像表示に必要な電子部品及び電子回路も備えているが、これら電子部品等の図示及び説明は省略する。なお、タイミングコントローラ及びソース基板は、例えば、バックカバー40の背面に固定される。
【0021】
バックカバー40は、表示パネルモジュールとしての画像表示装置10の背面側のカバーであり、例えばアルミニウムまたは鉄等からなる金属部材(金属板)にプレス加工等を施すことで作製される部材である。本実施の形態では、バックカバー40は、下部が表示パネル20の下方に露出するサイズに形成されている。バックカバー40の表示パネル20の下方に露出する部分の前方には、下部キャビネット90(
図1参照)が配置されている。つまり、下部キャビネット90は、表示パネル20の直下に配置されており、熱拡散板50に、例えば複数のネジで固定されている。
【0022】
なお、バックカバー40は意匠性を備えてもよい。例えば、バックカバー40に塗装を施してもよく、または、樹脂もしくは金属の薄膜接着シート、あるいは板をバックカバー40に貼付してもよい。なお、バックカバー40に塗装を施す場合は、黒色にすると輻射により熱をより効率よく外部に放出することができる。
【0023】
熱拡散板50は、表示パネル20の背面側に配置される板状の部材である。つまり、本実施の形態において、熱拡散板50は、表示パネル20とバックカバー40との間に配置されている。熱拡散板50は、金属材料にプレス加工等を施すことで作製される部材である。熱拡散板50は、例えば複数のネジでバックカバー40に固定される。
【0024】
本実施の形態では、熱拡散板50は、表示パネル20の背面のほぼ全域を覆う大きさであり、かつ、直接的に面接触する状態で配置されている。具体的には、熱拡散板50は背面側に複数のマグネット60が固定されており、複数のマグネット60の磁力によって表示パネル20を熱拡散板50の前面側に引き付けている。また、画像表示装置10はさらに、熱拡散板50の周縁部と表示パネル20とを接着する接着部材70を有しており、表示パネル20と熱拡散板50との位置ずれ(XZ平面に平行な方向のずれ)が抑制されている。熱拡散板50については、
図3~
図5を用いて後述する。
【0025】
また、Y軸方向に重ねられた表示パネル20、熱拡散板50、及びバックカバー40には、これらの上端面及び左右の端面を囲むようにフレーム30が配置されている。フレーム30により、表示パネル20、熱拡散板50、及びバックカバー40の、少なくとも上端面及び左右の端面は保護される。
【0026】
[2.熱拡散板の構造]
次に、画像表示装置10における熱拡散板50の構造について、
図3~
図5を参照しながら説明する。
図3は、実施の形態に係る熱拡散板50が有するマグネット収容部53を示す部分斜視図である。
図3では、
図2における点線で囲まれた領域IIIに対応する部分の拡大図が示されており、マグネット60は、マグネット収容部53から分離して図示されている。
図4は、実施の形態に係る熱拡散板50が有するマグネット収容部53を示す部分断面図である。
図4では、
図3のIV-IV線を通るYZ平面における画像表示装置10の部分断面が図示されている。
図5は、実施の形態に係る熱拡散板50の周縁部50aと表示パネル20との接続部分を示す部分断面図である。
図5では、
図3のV-V線を通るXY平面における熱拡散板50及び表示パネル20の部分断面が図示されている。
【0027】
図3に示すように、熱拡散板50の背面側にはマグネット60が配置される。具体的には、熱拡散板50は、背面に凹状に形成されたマグネット収容部53を有しており、マグネット収容部53に、マグネット60の少なくとも一部が収容される。本実施の形態では、
図4に示すように、マグネット60の全体が、マグネット収容部53に収容されている。本実施の形態では、マグネット60とマグネット収容部53の底面(Y軸マイナス側の面)とは両面接着性を有する接着シート61で接着されている。
【0028】
本実施の形態では、上記態様で熱拡散板50に固定されたマグネット60は、熱拡散板50の背面側に複数分散して配置されている。例えば
図1に示すように、マグネット収容部53は、熱拡散板50の背面の15か所に設けられており、すなわち、15個のマグネット60が熱拡散板50に取り付けられている。なお、マグネット60の種類に特に限定はないが、例えば、フェライト磁石またはネオジム磁石などの永久磁石が用いられる。
【0029】
また、表示パネル20の背面側(熱拡散板50の側)には、放熱効率を高めるための金属製の放熱シートが配置されている。この放熱シートが、複数のマグネット60のそれぞれに引き付けられることで、表示パネル20が熱拡散板50の側に引き付けられる。熱拡散板50は、例えば、鉄等の強磁性体または強磁性体を含む合金で形成されている場合、背面側に配置されたマグネット60によって磁化されることで、前面側の表示パネル20を熱拡散板50の側に引き付ける。また、熱拡散板50が、例えば、アルミニウムまたは銅等の、強磁性体ではない材料によって形成されている場合、背面側に配置されたマグネット60の磁力が熱拡散板50を透過して、前面側の表示パネル20を熱拡散板50の側に引き付ける。熱拡散板50の前面はフラットに形成されているため、分散して配置された複数のマグネット60の磁力によって引き付けられた表示パネル20の背面の広い範囲は、熱拡散板50の前面と面接触する。
【0030】
また、このように磁力を利用して表示パネル20を引き付ける熱拡散板50の周縁部50aは、上述のように、接着部材70を介して表示パネル20と接着されている。具体的には、
図5に示すように、熱拡散板50の周縁部50aには、接着部材70を収容する段差部51が形成されている。なお、接着部材70としては、例えば、樹脂製の基材の両面に粘着剤が配置された接着テープが採用される。
【0031】
[3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る画像表示装置10は、前面に画像を表示する表示パネル20と、表示パネル20の背面側に配置された熱拡散板50と、マグネット60とを備える。マグネット60は、磁力によって表示パネル20を熱拡散板50の側に引き付けることで、表示パネル20の背面を熱拡散板50に当接させる。
【0032】
つまり、本実施の形態では、表示パネル20と熱拡散板50との接続に磁力を用いているため、接着テープ等を介さずに、熱拡散板50及び表示パネル20の一方と他方とを直接的に、かつ、比較的に広い範囲で当接させること(面接触させること)が可能である。これにより、表示パネル20から熱拡散板50に効率よく熱が伝導し、その結果、表示パネル20の放熱が効率よく行われ、輝度効率の向上または温度劣化の抑制等の効果が奏される。このように、本実施の形態に係る画像表示装置10は、表示パネルの放熱を効率よく行うことができる。
【0033】
また、上記効果を奏する熱拡散板50は、磁力で表示パネル20と接合(磁着)されているため、接着テープ等の接着部材を用いる場合と異なり、表示パネル20との接合後の分離及び位置調整が可能である。従って、表示パネル20と熱拡散板50との重ね合わせをやり直すことが可能である。また、例えば、画像表示装置10の完成品または半完成品から表示パネル20を分離して、他の製品の部品として使用することなども可能である。これらの効果は、表示パネル20の放熱を効率よく行うことで画質の維持または向上が可能な画像表示装置10についての、製造効率の向上または製造コストの抑制に有利である。
【0034】
また、本実施の形態において、マグネット60は、熱拡散板50の背面側に配置されている。
【0035】
この構成によれば、熱拡散板50の前面をフラットな形状に形成することができる。これにより、熱拡散板50の前面に凹凸がある場合と比較すると、熱拡散板50と表示パネル20との面接触の面積が大きくなる。また、表示パネル20の画像表示面(前面)に熱拡散板50の凹凸が現れないため、表示パネル20の表示画像に影響を与えることなく、熱拡散板50と表示パネル20とを面接触させることができる。
【0036】
また、本実施の形態において、熱拡散板50は、背面に凹状の形成されたマグネット収容部53を有する。マグネット60は、少なくとも一部がマグネット収容部53に収容された状態で、熱拡散板50に固定されている。
【0037】
この構成によれば、表示パネル20及び熱拡散板50の重ね合わせ方向(前後方向、Y軸方向)において熱拡散板50と重ねられるマグネット60は、少なくとも一部が熱拡散板50の厚み内に収容される。これにより、マグネット60を備えることによる、画像表示装置10の厚みの増加が抑制される。
【0038】
本実施の形態では、マグネット収容部53は、
図4に示すように、熱拡散板50において、マグネット60と、マグネット60をマグネット収容部53に固定する接着シート61との厚みの合計よりも深く形成されている。従って、マグネット60の全体が、マグネット収容部53に収容される。つまり、マグネット60を、画像表示装置10の厚みを増加させない状態で画像表示装置10に備えさせることができる。これにより、画像表示装置10の薄型化を図ることができる。
【0039】
また、本実施の形態において、熱拡散板50には、複数のマグネット60が2次元的に分散して配置されている。
【0040】
本実施の形態では、
図1に示すように、15個のマグネット60が、熱拡散板50の背面に沿って行列状に分散配置されている。このように、マグネット60が2次元的に点在することで、表示パネル20における、マグネット60の磁力で引っ張られることによる微小なゆがみが分散する。そのため、例えば、表示パネル20に線状のゆがみ生じることによるゆがみの目立ちが発生しない。
【0041】
また、本実施の形態に係る画像表示装置10はさらに、熱拡散板50の周縁部50aと、表示パネル20とを接着する接着部材70を有する。熱拡散板50の周縁部50aには、接着部材70を収容する段差部51が形成されている。
【0042】
このように、熱拡散板50及び表示パネル20は、互いの外周部が接着部材70で接着される。これにより、マグネット60の磁力により、互いの重ね合わせ方向で拘束された熱拡散板50及び表示パネル20は、接着部材70の接着力により、重ね合わせ方向と直交する方向で互いに拘束される。つまり、熱拡散板50及び表示パネル20の一方の他方に対する位置ずれが抑制される。従って、例えば、画像表示装置10の製造過程において、熱拡散板50と表示パネル20との組み合わせからなる半完成品の扱いが容易になる。また、画像表示装置10の完成後では、例えば、熱拡散板50及び表示パネル20の外周部に隙間ができづらいため、表示パネル20の外周部における放熱効率の低下が抑制される。その結果、表示パネル20の外周部におけるOLED素子の温度劣化が抑制される。また、接着部材70による接着を熱拡散板50及び表示パネル20の外周部のみとすることで、接着後の熱拡散板50と表示パネル20との分離が容易になる。従って、熱拡散板50と表示パネル20との接着のやり直し等も可能である。
【0043】
なお、熱拡散板50の周縁部50aは、その全域が接着部材70によって表示パネル20と接着されている必要はない。例えば、周縁部50aの、熱拡散板50における上辺、左辺、及び右辺に対応する部分のみが接着部材70によって表示パネル20と接着されていてもよい。この場合であっても、表示パネル20の熱拡散板50に対する位置ずれの抑制効果等は奏される。また、接着部材70は、表示パネル20または熱拡散板50への貼り付けのしやすさ等に応じて、複数の部分に分離されてもよい。
【0044】
また、接着部材70は段差部51に収容されるため、段差部51の厚みによって、熱拡散板50と表示パネル20との間に隙間を形成させることがない。従って、接着部材70は、熱拡散板50と表示パネル20とが直接的に面接触する面積を減少させずに、熱拡散板50と表示パネル20とを接着することができる。
【0045】
以上、実施の形態に係る画像表示装置10について説明したが、画像表示装置10は、
図2~
図4に示す位置とは異なる位置に、1以上の磁気部材を有してもよい。そこで、以下に、磁気部材での配置位置についての各種の変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0046】
[4.変形例]
図6Aは、実施の形態の変形例に係る磁気部材のレイアウトの第1の例を示す図である。
図6Bは、実施の形態の変形例に係る磁気部材のレイアウトの第2の例を示す図である。
【0047】
図6Aに示すように、熱拡散板50の背面に、左右方向(X軸方向)に長尺状の磁気部材(マグネット60a)を、上下(Z軸方向)に複数並べて配置してもよい。また、
図Aに示すように、熱拡散板50の背面に、上下方向に長尺状の磁気部材(マグネット60b)を、左右に複数並べて配置してもよい。いずれの場合であっても、マグネット60を点在させる場合(
図1参照)よりも、比較的に少ない数のマグネット60aまたは60bによって、比較的に広い面積で表示パネル20を熱拡散板50の側に引き付けることができる。なお、マグネット60a及びb60bはいずれも直線状に形成されているが、表示パネル20を熱拡散板50の側に引き付けるための磁気部材の形状に特に限定はなく、円形、円弧、矩形以外の多角形状、L字型、またはU字型等であってもよい。
【0048】
磁気部材の配置位置については、さらに各種の変形例が存在する。例えば、マグネット60は、熱拡散板50の背面ではなく、熱拡散板50の前面に配置されてもよい。つまり、熱拡散板50の前面に設けられたマグネット収容部53(
図4参照)に、マグネット60が収容されてもよい。この場合、マグネット60の磁力が直接的に表示パネル20に作用することで、表示パネル20を熱拡散板50の側に引き付けることができる。
【0049】
また、マグネット60は、熱拡散板50ではなく、表示パネル20に固定されてもよい。例えば、表示パネル20の背面に、接着シート61(
図4参照)を用いてマグネット60を固定し、マグネット60が熱拡散板50に磁着することで、表示パネル20に熱拡散板50が取り付けられてもよい。この場合、熱拡散板50の前面の、マグネット60に対応する位置に、マグネット60を収容する凹部を設けることで、表示パネル20の広い範囲を、熱拡散板50に直接的に面接触させることができる。なお、上記実施の形態のように、マグネット60を熱拡散板50の背面側に配置する場合、表示パネル20に当接する熱拡散板50の前面をフラットにできるため、表示パネル20に凹凸を生じさせないという点で有利である。これらマグネット60の配置位置に関する事項は、
図6A及び
図6Bに示すマグネット60a及び60bにも適用される。つまり、マグネット60aまたは60bは、熱拡散板50の前面側に配置されてもよく、表示パネル20に固定されてもよい。
【0050】
また、互いに異なる形状の複数のマグネットの磁力によって熱拡散板50と表示パネル20とを直接的に当接させてもよい。
【0051】
また、熱拡散板50の素材として、鉄またはアルミニウム等の金属を例示したが、熱拡散板50が非金属材料によって形成されてもよい。例えば、熱伝導性の高い樹脂によって熱拡散板50を形成することで、画像表示装置10の軽量化が図られる。
【0052】
また、磁気部材として、永久磁石ではなく電磁石が用いられてもよい。例えば、少なくとも、表示パネル20に画像が表示されている期間に、電磁石に電力を供給することで、表示パネル20を熱拡散板50の側に引き付けることができる。その結果、表示パネル20が熱を発する期間において、表示パネル20と熱拡散板50との接触面積が増加すること(密着性を高まること)による、放熱効率の向上が図られる。
【0053】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態及びその変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態または変形例にも適用可能である。また、上記実施の形態または変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0054】
例えば、熱拡散板50の周縁部50aと表示パネル20とを接着する接着部材70は、接着テープ等の粘着剤を用いた部材である必要はなく、例えば熱伝導性の高いシリコーン接着剤によって、熱拡散板50の周縁部50aと表示パネル20とが接着されてもよい。
【0055】
また、熱拡散板50の周縁部50aと表示パネル20との間に接着部材70は配置されなくてもよい。重ね合わされた状態の熱拡散板50及び表示パネル20の周囲には、フレーム30が配置されるため、フレーム30に、表示パネル20の上方向及び左右方向の移動を規制させることができる。また、表示パネル20の直下には、下部キャビネット90(
図1参照)が配置され、下部キャビネット90は熱拡散板50に固定される。そのため、下部キャビネット90に、表示パネル20の下方向の移動を規制させることも可能である。
【0056】
また、フレーム30は、熱拡散板50、及びバックカバー40の上下の端面及び左右の端面を囲むように矩形状に形成されてもよい。また、フレーム30は、組み立てやすさ等を考慮して複数の部材に分割されてもよい。
【0057】
また、画像表示装置10が組み込まれるテレビジョン受像機またはモニタディスプレイ等が、重ね合わされた表示パネル20及び熱拡散板50の外周部を支持または保護する部材を有する場合、画像表示装置10はフレーム30を備えなくてもよい。
【0058】
また、表示パネル20は、有機ELパネルとは異なる種類の表示パネルであってもよい。例えば、マトリクス状に配置された、赤、青、緑のそれぞれで発光する3種類のLEDを有するLEDディスプレイパネルが、表示パネル20として画像表示装置10に配置されてもよい。
【0059】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態及びその変形例を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0060】
従って、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0061】
また、上述の実施の形態及びその変形例は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、テレビジョン受像機、モニタディスプレイ、または、デジタルサイネージ等に備えられる画像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 画像表示装置
20 表示パネル
30 フレーム
40 バックカバー
50 熱拡散板
50a 周縁部
51 段差部
53 マグネット収容部
60、60a、60b マグネット
61 接着シート
70 接着部材
90 下部キャビネット