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特許7241314避難支援システム、分電盤、避難支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】避難支援システム、分電盤、避難支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20230310BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20230310BHJP
   H02B 1/42 20060101ALN20230310BHJP
【FI】
G08B27/00 B
G08B21/10
H02B1/42
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018226067
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020087368
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中南 良浩
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(72)【発明者】
【氏名】岩見 英司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 晋治
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-301547(JP,A)
【文献】特開2018-101163(JP,A)
【文献】特開2010-239476(JP,A)
【文献】特開2013-164695(JP,A)
【文献】特開2017-103985(JP,A)
【文献】特開2013-134529(JP,A)
【文献】特開2007-188327(JP,A)
【文献】特開2010-277418(JP,A)
【文献】特開2018-045519(JP,A)
【文献】特開2013-239828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-31/00
H04M 11/00-11/10
H04L 12/28
H04L 12/44-12/46
H02B 1/40- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置された提示装置を制御する制御部と、
更新部と、
履歴記憶部と、を備え、
前記制御部は、少なくとも前記施設の情報を含む入力情報に基づいて、前記施設からの人の避難に関する避難情報を前記提示装置に提示させ、
前記入力情報は、前記施設の利用者に関する情報であって前記利用者の身体能力を含む利用者情報を更に含み、
前記履歴記憶部は、前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶し、
前記更新部は、前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する、
避難支援システム。
【請求項2】
施設に設置された提示装置を制御する制御部と、
更新部と、
履歴記憶部と、を備え、
前記制御部は、少なくとも前記施設の情報を含む入力情報に基づいて、前記施設からの人の避難に関する避難情報を前記提示装置に提示させ、
前記入力情報は、前記施設の利用者に関する利用者情報を更に含み、
前記制御部は、前記利用者情報に基づく避難レベルに応じて、前記提示装置による提示の態様を変化させ
前記履歴記憶部は、前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶し、
前記更新部は、前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する、
避難支援システム。
【請求項3】
前記入力情報は、前記施設の外部から取得される外部情報を更に含む、
請求項1又は2に記載の避難支援システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記入力情報に基づく避難レベルに応じて、前記提示装置による提示の態様を変化させる、
請求項1に記載の避難支援システム。
【請求項5】
前記提示装置は、前記施設に設置された設備機器を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の避難支援システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記施設以外の参照施設についての避難の状況に関する参照情報を、前記提示装置に更に提示させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の避難支援システム。
【請求項7】
前記入力情報は、前記施設以外の参照施設についての避難の状況に関する参照情報を更に含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の避難支援システム。
【請求項8】
前記提示装置にて提示させた前記避難情報に対する前記施設の利用者のリアクションを検知するリアクション検知部を更に備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の避難支援システム。
【請求項9】
前記入力情報は、前記リアクションに関する情報を更に含む、
請求項8に記載の避難支援システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の避難支援システムと、
分電盤用キャビネットと、を備える、
分電盤。
【請求項11】
少なくとも施設の情報を含む入力情報に基づいて、前記施設からの人の避難に関する避難情報を生成する生成処理と、
前記避難情報を、前記施設に設置された提示装置にて提示する提示処理と、
前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶する履歴記憶処理と、
前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する更新処理と、を有し、
前記入力情報は、前記施設の利用者に関する情報であって前記利用者の身体能力を含む利用者情報を更に含む、
避難支援方法。
【請求項12】
少なくとも施設の情報を含む入力情報に基づいて、前記施設からの人の避難に関する避難情報を生成する生成処理と、
前記避難情報を、前記施設に設置された提示装置にて提示する提示処理と、
前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶する履歴記憶処理と、
前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する更新処理と、を有し、
前記入力情報は、前記施設の利用者に関する利用者情報を更に含み、
前記提示処理において、前記利用者情報に基づく避難レベルに応じて、前記提示装置による提示の態様を変化させる、
避難支援方法。
【請求項13】
1以上のプロセッサに、請求項11又は12に記載の避難支援方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に避難支援システム、分電盤、避難支援方法及びプログラムに関し、より詳細には、施設からの人の避難を支援する避難支援システム、分電盤、避難支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤に、地震発生を感知する感震リレーを備えた感震遮断システムが記載されている。この感震遮断システムでは、所定の震度以上の地震が発生すると、感震リレーがその一定時間後に、分電盤の主幹ブレーカを遮断動作させる。
【0003】
これにより、地震発生を受けて主幹ブレーカは遅延遮断動作をするため、照明等は即時に消えないよう制御でき、避難する時間を確保できる。また、特許文献1には、地震が発生すると、分電盤の特定の分岐ブレーカを即時遮断することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-68098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記感震遮断システムでは、地震等の災害の発生時に、主幹ブレーカ又は特定の分岐ブレーカを遮断するだけであって、人の避難について個人の判断に委ねられているため、避難が遅れる可能性がある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、施設からの適切な避難の指示を与えることができる避難支援システム、分電盤、避難支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る避難支援システムは、制御部と、更新部と、履歴記憶部と、を備える。前記制御部は、施設に設置された提示装置を制御する。前記制御部は、入力情報に基づいて、避難情報を前記提示装置に提示させる。前記入力情報は、少なくとも前記施設の情報を含む。前記避難情報は、前記施設からの人の避難に関する情報である。前記入力情報は、前記施設の利用者に関する情報であって前記利用者の身体能力を含む利用者情報を更に含む。前記履歴記憶部は、前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶する。前記更新部は、前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する。
本開示の一態様に係る避難支援システムは、制御部と、更新部と、履歴記憶部と、を備える。前記制御部は、施設に設置された提示装置を制御する。前記制御部は、入力情報に基づいて、避難情報を前記提示装置に提示させる。前記入力情報は、少なくとも前記施設の情報を含む。前記避難情報は、前記施設からの人の避難に関する情報である。前記入力情報は、前記施設の利用者に関する利用者情報を更に含む。前記制御部は、前記利用者情報に基づく避難レベルに応じて、前記提示装置による提示の態様を変化させる。前記履歴記憶部は、前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶する。前記更新部は、前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する。
【0008】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記避難支援システムと、分電盤用キャビネットと、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る避難支援方法は、生成処理と、提示処理と、履歴記憶処理と、更新処理と、を有する。前記生成処理は、入力情報に基づいて、避難情報を生成する処理である。前記入力情報は、少なくとも施設の情報を含む。前記避難情報は、前記施設からの人の避難に関する情報である。前記提示処理は、前記避難情報を、前記施設に設置された提示装置にて提示する処理である。前記履歴記憶処理は、前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶する処理である。前記更新処理は、前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する処理である。前記入力情報は、前記施設の利用者に関する情報であって前記利用者の身体能力を含む利用者情報を更に含む。
本開示の一態様に係る避難支援方法は、生成処理と、提示処理と、履歴記憶処理と、更新処理と、を有する。前記生成処理は、入力情報に基づいて、避難情報を生成する処理である。前記入力情報は、少なくとも施設の情報を含む。前記避難情報は、前記施設からの人の避難に関する情報である。前記提示処理は、前記避難情報を、前記施設に設置された提示装置にて提示する処理である。前記履歴記憶処理は、前記提示装置にて提示された前記避難情報の履歴を記憶する処理である。前記更新処理は、前記履歴に基づいて前記入力情報を更新する処理である。前記入力情報は、前記施設の利用者に関する利用者情報を更に含む。前記避難支援方法では、前記提示処理において、前記利用者情報に基づく避難レベルに応じて、前記提示装置による提示の態様を変化させる。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記避難支援方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、施設からの適切な避難の指示を与えることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る避難支援システム及び分電盤の導入例を示す概略図である。
図2図2は、同上の避難支援システム及び分電盤の概略構成を示す概念図である。
図3図3は、同上の避難支援システムの概略構成を示す概念図である。
図4図4は、同上の避難支援システムの動作例を示すフローチャートである。
図5図5A及び図5Bは、同上の避難支援システムによる提示の具体例を示す説明図である。
図6図6A及び図6Bは、同上の避難支援システムによる提示の具体例を示す説明図である。
図7図7は、実施形態2に係る避難支援システムの概略構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る避難支援システム1は、図1及び図2に示すように、施設F1からの人H1の避難を支援するシステムである。
【0014】
本開示でいう「施設」は、戸建住宅、集合住宅、又は集合住宅の各住戸等の住宅施設、及び店舗、オフィス、学校、福祉施設、病院又は工場等の非住宅施設を含む。さらには、本開示でいう「施設」には、球場、庭、駐車場、グランド及び公園等の屋外施設を含む。
【0015】
本実施形態に係る避難支援システム1は、分電盤用キャビネット20と共に分電盤2を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る分電盤2は、避難支援システム1と、分電盤用キャビネット20と、を備えている。分電盤用キャビネット20は、施設F1に設置されている。避難支援システム1の主構成は、分電盤用キャビネット20に収容されている。
【0016】
ここにおいて、本実施形態に係る避難支援システム1は、施設F1に設置された提示装置3を制御する制御部12(図3参照)を備えている。制御部12は、少なくとも施設F1の情報を含む入力情報に基づいて、施設F1からの人H1の避難に関する避難情報を提示装置3に提示させる。
【0017】
本開示でいう「施設F1の情報」は、施設F1の状態等を表す情報であって、施設F1の住所(位置情報)、構造、階数、大きさ(床面積)、築年数、開口部の数及び位置、耐震性、耐火性又は地盤等の情報を含む。このような「施設F1の情報」からは、施設F1に固有の災害時における避難の要否、及び緊急度等が推定可能である。
【0018】
また、本開示でいう「避難情報」は、施設F1からの人H1の避難に関する情報であればよく、例えば、「今すぐ避難してください」のように、避難を直接的に促す情報を含む。さらに、「台風が接近しています」のように、災害の発生状況から避難を間接的に促す情報等も、「避難情報」に含む。
【0019】
また、本開示でいう「提示」は、種々の態様により相手に情報を示すことを意味し、例えば、表示、音(音声及びアラーム音等を含む)、光出力(点滅等を含む)及び振動等の手段により情報を示すことを含む。本実施形態では、「提示」の態様の一例として、提示装置3に情報(避難情報)を表示させる場合について説明する。
【0020】
上述したように、本実施形態に係る避難支援システム1によれば、施設F1に設置された提示装置3に避難情報を提示させることで、施設F1に居る人H1に対して、施設F1からの避難を促すことができる。しかも、避難支援システム1は、少なくとも施設F1の情報を含む入力情報に基づいて、避難情報を提示させるので、施設F1に固有の、災害時における避難の要否、及び緊急度等に基づいた、避難情報の提示が行われる。その結果、避難支援システム1によれば、施設F1からの適切な避難の指示を与えることができる。
【0021】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る避難支援システム1及び分電盤2の詳細な構成について、図1図3を参照して説明する。
【0022】
(2.1)前提
以下では、施設F1には父、母、兄、及び妹の4人家族が住んでおり、施設F1が、図1に示すように、リビングR1、納戸R2、寝室R3、兄の部屋(子供部屋)R4、及び妹の部屋(子供部屋)R5の5つの部屋を有する戸建住宅である場合を想定する。
【0023】
このような施設F1において、避難支援システム1による避難の対象となる人H1は、例えば、この施設F1(戸建住宅)の住人である。すなわち、本実施形態では、施設F1で暮らす父、母、兄、及び妹のそれぞれが、避難支援システム1による避難対象の人H1となる。
【0024】
施設F1には、複数台(ここでは10台)の設備機器3A~3Jが設置されている。設備機器3Aはインターホン装置(親機)であって、リビングR1に設置されている。設備機器3Bはテレビジョン受像機であって、リビングR1に設置されている。設備機器3C,3E,3G,3Iはいずれも照明器具であって、それぞれリビングR1、寝室R3、兄の部屋R4、妹の部屋R5に設置されている。設備機器3D,3F,3H,3Jはいずれも空調機器であって、それぞれリビングR1、寝室R3、兄の部屋R4、妹の部屋R5に設置されている。
【0025】
さらに、施設F1のリビングR1には、分電盤2が設置されている。分電盤2は、系統電源5(商用電源)に電気的に接続されている。分電盤2は、系統電源5から供給される電力を、複数の分岐回路に分配し、設備機器3A~3J等への電力の供給を行う。
【0026】
分電盤2の管理ユニット10(図2参照)は、分電盤用キャビネット20の外部に設置されたコントローラ6と通信可能に構成されている。コントローラ6は、納戸R2に設置されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。すなわち、管理ユニット10とコントローラ6とは、互いに信号を授受することができる。
【0027】
コントローラ6は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行う。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、空調装置、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、電動カーテン、電動シャッタ又はテレビジョン受像機等を含む。HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。本実施形態では、設備機器3A~3Jは、いずれもHEMS対応機器として、コントローラ6と通信可能に構成されている。
【0028】
また、コントローラ6は、施設F1内にある情報端末41と通信可能に構成されている。情報端末41は、例えば、施設F1の住人(人H1)が所有するスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末である。さらに、コントローラ6は、施設F1の外部にあるサーバ42と通信可能に構成されている。コントローラ6は、直接的又はルータ等を介して間接的にインターネット等のネットワーク43に接続され、ネットワーク43を介してサーバ42と通信可能になる。これにより、コントローラ6は、サーバ42だけでなく、ネットワーク43に接続される情報端末44(図2参照)との間でも通信可能となる。情報端末44は、施設F1の外部にあるスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末である。
【0029】
(2.2)全体構成
次に、本実施形態に係る避難支援システム1、及びそれを備える分電盤2の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0030】
上述した通り、本実施形態に係る分電盤2は、避難支援システム1と、分電盤用キャビネット20と、を備えている。本実施形態では、避難支援システム1は、分電盤用キャビネット20に収容されている管理ユニット10を主構成とする。
【0031】
本実施形態では、制御部12(図3参照)により避難情報の提示が行われる提示装置3は、施設F1に設置された設備機器3A~3Jを含んでいる。本実施形態では、避難支援システム1は、これら設備機器3A~3Jからなる提示装置3を構成要素に含まないこととするが、避難支援システム1は1つ以上の提示装置3を構成要素に含んでいてもよい。
【0032】
分電盤2は、分電盤用キャビネット20と、上述した管理ユニット10と、を有している。また、分電盤2は、図2に示すように、分電盤用キャビネット20及び管理ユニット10に加えて、主幹ブレーカ21、複数の分岐ブレーカ22、主幹電流センサ23及び電流計測装置24を更に有している。
【0033】
管理ユニット10、主幹ブレーカ21、複数の分岐ブレーカ22、主幹電流センサ23及び電流計測装置24は、分電盤2の構成要素の一部であって、分電盤2の内器として分電盤用キャビネット20に収容されている。
【0034】
分電盤用キャビネット20は、造営材に取り付けられる。本実施形態では、分電盤用キャビネット20は、施設F1のリビングR1の壁に取り付けられる。造営材は、分電盤用キャビネット20が設置される施設F1内の壁に限らず、例えば、天井又は床であってもよい。分電盤用キャビネット20は、例えば平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられている。
【0035】
分電盤用キャビネット20の内部には、管理ユニット10、主幹ブレーカ21、複数の分岐ブレーカ22、主幹電流センサ23及び電流計測装置24が収容されている。管理ユニット10、主幹ブレーカ21、複数の分岐ブレーカ22、主幹電流センサ23及び電流計測装置24は、分電盤用キャビネット20に、直接的に又は取付用の金具等を介して間接的に取り付けられている。
【0036】
主幹ブレーカ21は、一次側端子と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。主幹ブレーカ21は、接点をオン又はオフにするための操作レバーを前面に備えている。また、主幹ブレーカ21は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する主幹遮断部を備えている。
【0037】
本実施形態の分電盤2では、配電方式として単相三線式を想定しており、主幹ブレーカ21の一次側端子には、系統電源5につながる単相三線式の引込線が電気的に接続される。これにより、分電盤2には、系統電源5から交流電力が供給される。また、分電盤2には、系統電源5に代えて又は加えて、例えば、太陽光発電装置、風力発電装置、蓄電装置又は燃料電池装置等の分散電源が接続されていてもよい。
【0038】
また、主幹ブレーカ21の二次側端子には、幹線が電気的に接続される。本実施形態では、配電方式として単相三線式を想定しているため、幹線は、第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーを含んでいる。各導電バーは、導電部材により長尺板状に形成されており、分電盤用キャビネット20の内部において、主幹ブレーカ21の二次側端子に接続されている。
【0039】
複数の分岐ブレーカ22は、幹線の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。ここで、各分岐ブレーカ22には、図2に示すように、設備機器3A~3J等に接続される。これにより、分電盤2においては、系統電源5からの電力が複数の分岐回路に分配される。本開示でいう「分岐回路」は、幹線と電気的に接続され、分電盤2にて幹線から複数に分岐される個々の回路を意味する。本実施形態では、分岐回路は、分岐ブレーカ22に加えて、配線及び負荷を含んでいる。配線は、分岐ブレーカ22の二次側端子に電気的に接続される。負荷は、例えば、設備機器3A~3J等に加えて、コンセント(アウトレット)又は壁スイッチ等の配線器具を含む。
【0040】
複数の分岐ブレーカ22の各々は、一次側端子と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。各分岐ブレーカ22は、接点をオン又はオフにするための操作レバーを前面に備えている。また、各分岐ブレーカ22は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する遮断部を備えている。
【0041】
管理ユニット10は、複数の分岐回路の電流と電力との少なくとも一方を計測する計測機能、及び分電盤用キャビネット20の外部に配置された機器(コントローラ6)と通信する通信機能を有している。
【0042】
より詳しくは、管理ユニット10は、主幹ブレーカ21に流れる電流を計測する主幹電流センサ23、及び電流計測装置24と電気的に接続されている。ここに、主幹電流センサ23は、例えば、カレントトランス(CT)からなる。そして、管理ユニット10は、電流計測装置24及び主幹電流センサ23が計測した電流の値に基づいて電力値を演算する機能(計測機能)を有している。電流計測装置24は、複数の分岐回路の各々に流れる電流を計測するので、管理ユニット10では、電流計測装置24が計測した電流値に基づいて、各分岐回路の電流と電力との少なくとも一方を計測する。
【0043】
また、管理ユニット10は、上述したように、HEMS対応機器の制御又は監視を行うように構成されたコントローラ6との間で通信する機能(通信機能)を有している。本実施形態では、上述したように、設備機器3A~3Jは、いずれもHEMS対応機器として、コントローラ6と通信可能に構成されている。つまり、設備機器3A~3Jは、いずれもコントローラ6による制御又は監視の対象である。
【0044】
管理ユニット10とコントローラ6との間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。管理ユニット10とコントローラ6との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、管理ユニット10とコントローラ6との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。コントローラ6とHEMS対応機器(設備機器3A~3Jを含む)との間の通信方式についても、管理ユニット10とコントローラ6との間の通信方式と同様に、適宜の通信方式を採用可能である。
【0045】
上記より、管理ユニット10は、コントローラ6を経由することで、HEMS対応機器(設備機器3A~3Jを含む)とも間接的に通信可能である。また、詳しくは後述するが、コントローラ6はネットワーク43を介してサーバ42(及び情報端末44)とも通信可能である。そのため、管理ユニット10は、コントローラ6を経由することで、サーバ42(及び情報端末44)とも間接的に通信可能である。さらに、管理ユニット10は、コントローラ6を経由することで、施設F1内にある情報端末41とも通信可能である。
【0046】
ここで、本実施形態では、管理ユニット10とコントローラ6との間、及びコントローラ6とHEMS対応機器との間のいずれにおいても、双方向の通信が可能である。したがって、例えば、管理ユニット10からコントローラ6を介してHEMS対応機器に信号を送信することもでき、反対に、HEMS対応機器からコントローラ6を介して管理ユニット10に信号を送信することもできる。さらに、コントローラ6と、情報端末41、サーバ42及び情報端末44との間においても、双方向の通信が可能である。
【0047】
管理ユニット10は、避難支援システム1の主構成となるので、管理ユニット10において避難支援システム1に関連する構成の詳細については「(2.3)避難支援システムの構成」の欄で説明する。
【0048】
本実施形態の分電盤2では、管理ユニット10は、電流計測装置24が計測した複数の回路4の各々に流れる電流値を、電流計測装置24から受け取る。さらに、管理ユニット10は、主幹電流センサ23が計測した電流値を主幹電流センサ23から受け取る。管理ユニット10は、電流計測装置24、及び主幹電流センサ23が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。管理ユニット10は、収集した瞬時電力のデータを所定時間にわたって積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、コントローラ6は、複数の分岐回路の各々での瞬時電力や電力量に基づいてHEMS対応機器を制御又は監視することができる。
【0049】
また、管理ユニット10は、太陽光発電装置、蓄電装置、及び電気自動車に電気的に接続される電力変換装置のうちの少なくとも1つとの間で通信する機能(通信機能)を有している。電力変換装置は、分電盤2から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。
【0050】
また、管理ユニット10は、ガスメータと水道メータとの少なくとも一方との通信機能を有している。管理ユニット10と太陽光発電装置、蓄電装置、及び電力変換装置との間の通信方式は、例えば、RS-485等の通信規格に準拠した有線通信である。管理ユニット10とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。管理ユニット10は、例えば、貯湯型の給湯装置等と通信可能であってもよい。
【0051】
電流計測装置24は、複数の分岐回路に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置24は、複数の電流センサを有している。複数の電流センサは、例えば一枚の基板に形成されている。電流計測装置24の基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、幹線(導電バー)から延びて分岐ブレーカ22に接続される端子がそれぞれ挿入される。電流計測装置24の基板は、複数の電流センサと管理ユニット10との間の電気的な接続経路の少なくとも一部に用いられる。
【0052】
電流計測装置24の電流センサは、例えば、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、内側を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。電流センサは、電流計測装置24の基板の孔の周りに形成されている。ここでは、複数の電流センサは、複数の分岐回路の電流をそれぞれ検出する。これにより、本実施形態では、電流計測装置24は、複数の分岐回路の各々に流れる電流を計測する。
【0053】
電流計測装置24は、複数の電流センサの出力に関して信号処理を実行する。そのため、管理ユニット10は、電流計測装置24が計測した複数の分岐回路の各々に流れる電流値を、電流計測装置24から受け取ることが可能になる。
【0054】
(2.3)避難支援システムの構成
次に、本実施形態に係る避難支援システム1、特にその主構成である管理ユニット10の構成について、図3を参照して説明する。
【0055】
管理ユニット10は、処理部11、制御部12、通信部13、取得部14、記憶部15、更新部16及び履歴記憶部17を有している。本実施形態では一例として、管理ユニット10は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、処理部11、制御部12、取得部14及び更新部16等の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、管理ユニット10として機能させるためのプログラムである。
【0056】
処理部11は、管理ユニット10としての基本的な処理を実行する。例えば、処理部11は、複数の分岐回路の電流と電力との少なくとも一方を計測する処理を実行する。
【0057】
制御部12は、施設F1に設置された提示装置3を制御する。本実施形態では、上述したように、提示装置3は、施設F1に設置された設備機器3A~3Jを含んでいる。そのため、制御部12は、HEMS対応機器である設備機器3A~3Jの制御を行う。具体的には、制御部12は、コントローラ6を介して、間接的に、HEMS対応機器である設備機器3A~3Jの制御を行う。詳しくは「(3)動作」の欄で後述するが、制御部12は、入力情報に基づいて、施設F1からの人H1の避難に関する避難情報を提示装置3に提示させる。ここで、入力情報は、少なくとも施設F1の情報(施設情報)を含んでいる。
【0058】
また、本実施形態では、制御部12は、入力情報に基づく避難レベルに応じて、提示装置3による提示の態様を変化させる。本開示でいう「避難レベル」は、入力情報に基づいて求められる指標であって、避難の必要度及び緊急度等を表す指標を意味する。一例として、今すぐに避難が必要な場合のように、避難の緊急度が高い場合には、避難レベルは高くなる。また、本開示でいう「提示の態様を変化」とは、提示の内容又は提示の仕方により、提示される情報(避難情報)に、例えば、強弱を付与することを意味する。一例として、表示による提示にあっては、標準的なテキストに比べて、吹き出しの有無、明滅、テキスト、色、文字の大きさ、文字の太さ、又はアニメーション(動き)等により表示が強調されることにより、表示の態様が変化する。
【0059】
通信部13は、管理ユニット10の外部の装置(コントローラ6等)との通信機能を有する。上述したように、管理ユニット10は、コントローラ6と通信可能であるので、通信部13は、少なくともコントローラ6との通信機能を有する。さらに、管理ユニット10は、コントローラ6を経由することで、HEMS対応機器(設備機器3A~3Jを含む)、情報端末41、サーバ42及び情報端末44とも通信可能であるので、通信部13は、これらの装置との通信機能も有している。
【0060】
取得部14は、入力情報を取得する。詳しくは「(3)動作」の欄で後述するが、入力情報には、施設F1の情報(施設情報)の他、利用者情報、外部情報及び参照情報が含まれている。取得部14は、これらの情報を、通信部13を通して適宜取得する。
【0061】
記憶部15は、取得部14で取得される入力情報を記憶する。記憶部15は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含む。
【0062】
更新部16は、入力情報を更新する。具体的には、更新部16は、記憶部15に記憶されている入力情報を書き換えることにより、入力情報の更新を行う。例えば、取得部14にて施設情報が新たに取得された場合、更新部16は、記憶部15に記憶されている入力情報のうちの施設情報を、新たに取得された施設情報に自動的に書き換える。
【0063】
履歴記憶部17は、提示装置3にて提示された避難情報の履歴を記憶する。言い換えれば、制御部12が提示装置3に提示させた避難情報の履歴を、履歴記憶部17が記憶する。本実施形態では、履歴記憶部17は、少なくとも、提示された避難情報の内容、及び提示した日時を含む履歴データを記憶する。
【0064】
(3)動作
次に、本実施形態に係る避難支援システム1及び分電盤2の動作、つまり避難支援方法について、図4図6Bを参照して説明する。
【0065】
(3.1)定義
まず、以下の説明で使用する用語について定義する。
【0066】
「入力情報」は、上述したように取得部14にて取得される情報であって、制御部12は、この入力情報に基づいて、避難情報を提示装置3に提示させる。つまり、「入力情報」は、制御部12が、避難情報を提示装置3に提示させるための判断に用いられる情報である。ここで、「入力情報」は、少なくとも、施設F1の情報である「施設情報」を含んでいる。また、本実施形態では「入力情報」は、「施設情報」に加えて、「利用者情報」、「外部情報」及び「参照情報」を含んでいる。
【0067】
「施設情報」は、上述したように施設F1の状態等を表す情報であって、一例として、施設F1の住所(位置情報)、構造、階数、大きさ(床面積)、築年数、開口部の数及び位置、耐震性、耐火性又は地盤等の情報を含む。より具体的には、「施設情報」に含まれ得る施設F1の住所(位置情報)は、施設F1の位置を特定する情報であって、これにより災害の発生地域と施設F1との位置関係を特定可能である。「施設情報」に含まれ得る施設F1の構造は、木造、鉄骨又は鉄筋コンクリート等の躯体構造に加えて、免震又は耐震構造の有無等を特定する情報である。ここで、「施設情報」に含まれ得る施設F1の築年数等の情報は、時間の経過に伴って変化する動的な情報である。このような「施設情報」からは、災害に対する施設F1の耐久性、及び危険度等が推定可能であるので、施設F1に固有の災害時における避難の要否、及び緊急度等が推定可能である。
【0068】
ところで、例えば、地震及び台風等の災害が施設F1に与えるダメージは蓄積される場合がある。そのため、施設情報は、災害によって施設F1が受けたダメージを反映していることが好ましい。災害によって施設F1が受けたダメージは、例えば、履歴記憶部17に記憶されている、提示装置3にて提示された避難情報の履歴から推定可能である。一例として、所定の震度以上の地震が複数回直撃した施設F1にあっては、このような災害の履歴が施設情報に反映される。
【0069】
入力情報に含まれる「利用者情報」は、施設F1の利用者に関する情報である。ここでいう施設F1の利用者は、避難支援システム1による避難の対象となる人H1であって、本実施形態では、施設F1(戸建住宅)の住人である。すなわち、「利用者情報」は、施設F1の住人等に関する情報である。「利用者情報」は、一例として、利用者(人H1)の年齢、身体能力、持病の有無、障害の有無、妊娠の有無、病歴、活動量、健康診断(尿検査等を含む)の結果、嗜好又は家族構成等の、利用者に固有の種々の情報を含む。より具体的には、「利用者情報」に含まれ得る利用者の身体能力は、例えば、筋力、歩行能力、俊敏性、バランス又は柔軟性等を特定する情報であって、これにより利用者が避難に要する大まかな時間等を特定可能である。一例として、避難に要する時間を、短、中、長の3段階で判定する場合、いわゆる「フレイル」と呼ばれる程度に身体能力が低下した高齢者においては、避難に要する時間が「長」と推定される。
【0070】
入力情報に含まれる「外部情報」は、施設F1の外部から取得される情報である。すなわち、「外部情報」は、施設F1の外部にあるサーバ42等から取得される情報であって、一例として、気象情報、防災意匠情報、台風情報、気象警報、気象注意報、竜巻注意報、土砂災害警戒情報又は指定河川洪水予報等の情報を含む。さらに、これらのリアルタイムで発令される情報、つまり時間の経過に伴って変化する動的な情報に限らず、ハザードマップのように時間の経過に伴って変化しない静的な情報も「外部情報」に含まれる。また、「外部情報」は、施設F1の外部にある情報端末44にて、SNS(Social Networking Service)等に投稿された情報も含む。一例として、台風情報に含まれる台風の進路等からは、施設F1が暴風域に入る予想時刻のような、将来の災害の状況も推定可能である。
【0071】
入力情報に含まれる「参照情報」は、施設F1以外の参照施設についての避難の状況に関する情報である。本開示でいう「参照施設」は、避難支援システム1による避難の対象となる施設F1以外の施設である。「参照情報」は、一例として、指定避難所、施設F1の近隣の施設(住宅施設及び非住宅施設)、及び施設F1の利用者の親族が暮らす住宅施設等、施設F1の利用者にとって避難状況の参照となり得る施設である。より具体的には、「参照施設」が指定避難所であれば、「参照情報」は、指定避難所に既に避難している人数、指定避難所の混雑状況等の情報を含む。この種の「参照情報」は、例えば、指定避難所を撮影したカメラの映像、又は施設F1の外部にある情報端末44にてSNS(Social Networking Service)等に投稿された情報から、自動的に生成可能である。「参照情報」は、例えば、施設F1の外部にあるサーバ42等から取得される。また、「参照施設」が施設F1の近隣の施設であれば、「参照情報」は、近隣の施設のうち既に避難している施設の数等の情報を含む。
【0072】
また、「避難情報」は、上述したように施設F1からの人H1の避難に関する情報である。一例として、「避難情報」は、「今すぐ避難してください」のように避難を直接的に促す情報、及び「台風が接近しています」のように災害の発生状況から避難を間接的に促す情報を含む。より具体的には、「施設情報」に含まれ得る施設F1の住所から特定可能な、指定避難所の情報、及び指定避難所までの経路の情報等も、「避難情報」が含んでいてもよい。さらに、避難を完了すべき時刻からなる「避難時刻」を表す情報も「避難情報」に含まれていてもよい。さらには、「避難まで残り08:52」のように現在時刻から避難時刻までの残り時間を時々刻々と表す情報等、時間の経過に伴って変化する動的な情報も、「避難情報」に含まれていてもよい。
【0073】
(3.2)基本動作
図4は、本実施形態に係る避難支援システム1の基本動作の一例を示すフローチャートである。すなわち、図4に示すフローチャートは、避難支援システム1にて実現される避難支援方法を表している。
【0074】
図4に示すように、避難支援システム1は、起動後において、まず初期設定の処理を実行する(S1)。初期設定の処理は、入力情報を記憶部15に書き込むことで、入力情報を登録する処理である。このとき、少なくとも施設情報を含む入力情報が登録される。本実施形態では、初期設定にて登録される入力情報は、施設情報に加えて利用者情報を含んでいる。初期設定にて登録される入力情報は、例えば、情報端末41,44等を用いて、施設F1の利用者(人H1)が入力する。つまり、情報端末41,44等に対して施設F1の利用者(人H1)が入力した入力情報が、初期設定において記憶部15に書き込まれる。初期設定にて登録される入力情報は、情報端末41,44に限らず、例えば、設備機器3A,3B等を用いて、施設F1の利用者(人H1)が入力してもよい。
【0075】
初期設定の終了後においては、避難支援システム1は、更新部16にて入力情報の更新の有無を判断する(S2)。つまり、取得部14にて入力情報が新たに取得された場合、更新部16は、更新有り(S2:Yes)と判断し、入力情報の更新の処理を実行する(S3)。このとき、例えば、取得部14にて施設情報が新たに取得された場合、更新部16は、記憶部15に記憶されている入力情報のうちの施設情報を、新たに取得された施設情報に書き換える。取得部14にて入力情報が新たに取得されない場合、更新部16は、更新無し(S2:No)と判断し、更新の処理をスキップして、処理S4に移行する。一例として、施設F1の増改築又は改修工事が行われたとき等に、新たな施設情報が入力され、施設F1の住人の家族構成が変わったとき等に、新たな利用者情報が入力される。
【0076】
処理S3後の処理S4では、避難支援システム1は、制御部12にて、災害が発生したか否かを判断する。災害が発生したか否かは、一例として、施設F1が属する自治体等が発令する避難準備、避難勧告、避難指示又は避難命令等の情報が発令されたか否かで判断される(S4)。すなわち、災害の発生を示すこれらの情報が、施設F1が属する地域を対象にして発令されなければ、制御部12は、災害が発生していないと判断し(S4:No)、処理S2に戻る。一方、施設F1が属する地域を対象にして、災害の発生を示すこれらの情報が発令されると、制御部12は、災害が発生したと判断する(S4:Yes)。
【0077】
災害が発生したと判断されると(S4:Yes)、避難支援システム1は、取得部14にて外部情報及び参照情報を取得する(S5)。すなわち、処理S5においては、入力情報に含まれる情報のうち、初期設定で登録された施設情報及び利用者情報以外の情報、つまり外部情報及び参照情報が取得される。このとき、取得された外部情報及び参照情報は、更新部16にて記憶部15に書き込まれる。
【0078】
その後、避難支援システム1は、制御部12にて、入力情報に基づいて、施設F1からの人H1の避難に関する避難情報を生成する処理を実行する(S7)。本実施形態では、入力情報は、施設F1の情報である施設情報に加えて、利用者情報、外部情報及び参照情報を含むので、制御部12は、これらの施設情報、利用者情報、外部情報及び参照情報に基づいて、避難情報を生成する。つまり、避難情報の内容は、施設情報、利用者情報、外部情報及び参照情報を含む入力情報に基づいて決定される。
【0079】
そして、避難支援システム1は、制御部12にて、生成した避難情報を提示装置3に提示させる処理を実行する(S8)。このとき、制御部12は、コントローラ6を介して、間接的に、HEMS対応機器である設備機器3A~3Jの制御を行うことで、避難情報の提示を行う。提示装置3が、設備機器3A(インターホン装置)又は設備機器3B(テレビジョン受像機)のように、表示部31(図5A参照)を有する場合には、制御部12は、避難情報を表示部31に表示させることで避難情報の提示を行う。また、提示装置3が、設備機器3C,3E,3G,3Iのような照明器具である場合には、制御部12は、例えば、提示装置3を点滅させることで避難情報の提示を行う。また、提示装置3が、設備機器3D,3F,3H,3J(空調装置)、電動カーテン又は電動シャッタのように、可動部分を有する設備機器である場合には、制御部12は、例えば、可動部分を動かす(振動を含む)ことで避難情報の提示を行う。制御部12は、提示装置3に音(音声及びアラーム音等を含む)を出力させることにより避難情報の提示を行ってもよい。
【0080】
以降、避難支援システム1は一連の処理S2~S8を繰り返し実行する。図4のフローチャートは、避難支援システム1の動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
【0081】
(3.3)提示の具体的態様
以下に、本実施形態に係る避難支援システム1による避難情報等の提示の具体的な態様を例示する。図5A図6Bは、提示装置3としての設備機器3A(インターホン装置)の表示部31に表示される避難情報等の一例を示している。
【0082】
図5Aの例では、表示部31には、避難情報として、「今すぐ避難してください」というメッセージD2が表示されている。この例では、メッセージD2の下方に詳細ボタンD1が表示されている。このようなメッセージD2は、施設F1の利用者(人H1)に対して、避難が必要であることをシンプルに伝えることができ、即時の避難を促すことができる。図5Aの例において、詳細ボタンD1が操作される(タップされる)と、表示部31には、例えば、より詳細な避難情報(指定避難所の情報等)がポップアップ表示される。詳細ボタンD1が操作された場合に、表示部31には、例えば、避難補助情報がポップアップ表示される。ここでいう「避難補助情報」は、人H1の避難を補助するための情報であって、例えば、予め設定した防災用品の収容場所を示す情報等である。また、避難に際して常備薬等の必要な物品の携行を促す情報、及びヒータの電源オフ又はガスの元栓を閉める等の行動を促す情報等も、避難補助情報に含まれる。
【0083】
図5Bの例では、表示部31には、避難情報として、「避難まで残り08:52」というメッセージD3が表示されている。この例において、メッセージD3は、現在時刻から避難時刻までの残り時間を時々刻々と表す情報であって、時間の経過に伴って変化する動的な情報である。すなわち、メッセージD3のうちの「08:52」というテキスト部分は、「08:51」、「08:50」、「08:49」…というように、時間の経過に伴って変化する。言い換えれば、図5Bの例においては、避難を完了すべき避難時刻までのカウントダウンを行う情報が、避難情報として表示部31に表示される。このようなメッセージD3は、施設F1の利用者(人H1)に対して、避難を完了すべき避難時刻までの時間的な猶予を伝えることができ、避難時刻までの避難を促すことができる。
【0084】
図6Aの例では、表示部31には、参照情報として、「XYZ避難所に20人避難しています」というメッセージD4が表示されている。この例では、メッセージD4の下方に詳細ボタンD1が表示されている。ここでいう「参照情報」は、上述した入力情報に含まれる「参照情報」と同様に、避難支援システム1による避難の対象となる施設F1以外の参照施設についての避難の状況に関する情報である。つまり、本実施形態では、制御部12は、施設F1以外の参照施設についての避難の状況に関する参照情報を、提示装置3に更に提示させる。言い換えれば、提示装置3には、避難情報に加えて又は代えて、参照情報を提示させることが可能である。このようなメッセージD4は、施設F1の利用者(人H1)に対して、参照施設の避難の状況を伝えることができ、間接的に避難を促すことができる。図6Aの例において、詳細ボタンD1が操作される(タップされる)と、表示部31には、例えば、より詳細な参照施設の避難の状況(指定避難所の映像等)がポップアップ表示される。
【0085】
図6Bの例では、表示部31には、避難情報として、「すぐ避難」というメッセージD5が強調表示されている。この例では、メッセージD5の下方に詳細ボタンD1が表示されている。すなわち、本実施形態では、上述したように、制御部12は、入力情報に基づく避難レベルに応じて、提示装置3による提示の態様を変化させる。その一例として、避難レベルが閾値を超えた場合に、制御部12は、図5Aに示すようなメッセージD2による避難情報の提示の態様を、図6Bに示すようなメッセージD5による避難情報の提示の態様に変化させる。このような強調されたメッセージD5は、施設F1の利用者(人H1)に対して、避難が必要であることを強く訴えかけることができ、即時の避難を強く促すことができる。図6Bの例において、詳細ボタンD1が操作される(タップされる)と、表示部31には、例えば、より詳細な避難情報(指定避難所の情報等)がポップアップ表示される。
【0086】
ここで、図5A図6Bに示すような種々の提示の態様は、入力情報に基づく避難レベルに応じて、自動的に切り替わってもよい。また、図5A図6Bに示すような種々の提示の態様は、例えば、一定時間が経過するか、又は詳細ボタンD1等の操作により、切り替えられてもよい。さらに、図5Bに示すような、カウントダウンを伴う避難情報の提示は、避難時刻までの残り時間が閾値(一例として10分)を切った場合に、自動的に行われてもよい。
【0087】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態1に係る避難支援システム1と同様の機能は、避難支援方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る避難支援方法は、生成処理(図4の「S7」に相当)と、提示処理(図4の「S8」に相当)と、を有する。生成処理は、少なくとも施設F1の情報を含む入力情報に基づいて、施設F1からの人の避難に関する避難情報を生成する処理である。提示処理は、避難情報を、施設F1に設置された提示装置3にて提示する処理である。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の避難支援方法を実行させるためのプログラムである。
【0088】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0089】
本開示における避難支援システム1は、例えば、管理ユニット10等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における避難支援システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0090】
また、避難支援システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは避難支援システム1に必須の構成ではなく、避難支援システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、避難支援システム1のうちの制御部12のみが、管理ユニット10とは別の筐体に設けられていてもよい。さらに、避難支援システム1の少なくとも一部の機能は、分電盤2に設けられていなくてもよく、例えば、管理ユニット10は、分電盤2に外付けされていてもよい。さらに、避難支援システム1の少なくとも一部の機能、例えば、制御部12の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0091】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている避難支援システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、管理ユニット10とコントローラ6とに分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0092】
また、提示装置3による情報(避難情報及び参照情報等)の提示の態様は、設備機器3A(インターホン装置)又は設備機器3B(テレビジョン受像機)のように、表示部31を有する提示装置3による表示に限らず、他の態様であってもよい。一例として、情報端末41,44、又は分電盤2に情報(避難情報及び参照情報等)を表示させることで、提示装置3による情報の提示が実現されてもよい。あるいは、提示装置3は、表示以外の態様、例えば、音(音声及びアラーム音等を含む)、光出力(点滅等を含む)及び振動等の手段により情報の提示を行ってもよい。
【0093】
また、避難支援システム1による避難の対象となる人H1は、施設F1に居る人であればよく、施設F1(戸建住宅)の住人に限らない。すなわち、避難支援システム1による避難の対象となる人H1は、例えば、施設F1の来客であってもよい。また、施設F1が非住宅施設であれば、避難支援システム1による避難の対象となる人H1は、施設F1の利用者、テナント入居者又は従業員等であってもよい。
【0094】
また、施形態1では、入力情報は、施設情報に加えて、利用者情報、外部情報及び参照情報を含むが、入力情報は、少なくとも施設F1の情報である施設情報を含んでいればよい。すなわち、入力情報は、施設情報だけであってもよいし、利用者情報、外部情報及び参照情報のうちの少なくとも1つを、施設情報に加えて含んでいてもよい。入力情報は、施設情報に加えて、利用者情報、外部情報及び参照情報以外の情報を、更に含んでいてもよい。
【0095】
また、管理ユニット10とコントローラ6との通信方式は、例えば、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)、電磁結合を利用した通信、又は光を通信媒体として用いる光通信等であってもよい。コントローラ6とHEMS対応機器(設備機器3A~3Jを含む)との間の通信方式についても、同様である。
【0096】
また、分電盤2は少なくとも分岐ブレーカ22を分電盤用キャビネット20に収容していればよく、主幹ブレーカ21、主幹電流センサ23及び電流計測装置24の少なくとも1つは適宜省略可能である。
【0097】
また、電流計測装置24の電流センサはロゴスキコイルに限らず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサであってもよい。
【0098】
(実施形態2)
本実施形態に係る避難支援システム1Aは、図7に示すように、リアクション検知部18を更に備える点で、実施形態1に係る避難支援システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0099】
リアクション検知部18は、提示装置3にて提示させた避難情報に対する施設F1の利用者のリアクションを検知する。本開示でいう「利用者のリアクション」は、避難情報の提示を受けた施設F1の利用者(人H1)が、実際に避難したか否か、又は避難の準備をしたか否か等である。さらに、「利用者のリアクション」は、施設F1の利用者(人H1)が、避難情報の提示を受けてから避難を開始又は完了するまでに要した時間等を含んでもよい。本実施形態では、リアクション検知部18は、管理ユニット10に設けられている。
【0100】
リアクション検知部18は、例えば、提示装置3に避難情報を提示させた後の一定期間における、人H1の行動に起因した事象を監視することによって、施設F1の利用者のリアクションを検知する。人H1の行動に起因した事象は、例えば、提示装置3に対する人H1の操作、情報端末41の位置情報、カメラによって撮像される人H1の映像、マイクロフォンに入力される人H1の音声等によって監視可能である。さらに、人H1の行動(避難)に起因した事象は、例えば、管理ユニット10で計測される各分岐回路の電流と電力との少なくとも一方に基づいて検知される、施設F1における人H1の在否により監視することも可能である。
【0101】
リアクション検知部18で検知されたリアクションの履歴は、一例として、履歴記憶部17に記憶される。ここで、履歴記憶部17には、提示装置3にて提示された避難情報の履歴と、リアクションの履歴と、が互いに対応付けられて記憶されることが好ましい。これにより、提示装置3にて提示された避難情報に対して、施設F1の利用者がどのようなリアクションをとったかを表す履歴情報を、履歴記憶部17に残すことが可能である。このような履歴情報は、例えば、損害保険等の査定に利用することも可能である。
【0102】
ところで、本実施形態では、入力情報は、リアクションに関する情報を更に含む。すなわち、本実施形態では入力情報は、施設情報に加えて、利用者情報、外部情報、参照情報及びリアクション情報(リアクションに関する情報)を含んでいる。これにより、提示装置3に提示される避難情報に、施設F1の利用者(人H1)のリアクションがフィードバックされることになる。
【0103】
一例として、避難情報の提示を受けた施設F1の利用者(人H1)が、避難の準備を開始しなかった場合には、その旨を表すリアクション情報を含む入力情報に基づいて、避難情報が推定される。このような場合、制御部12は、例えば、より緊急度の高い避難情報を提示装置3に提示させることで、施設F1の利用者(人H1)に対し、避難が必要であることを強く訴えかけることで、即時の避難を強く促すことができる。
【0104】
ただし、入力情報がリアクションに関する情報(リアクション情報)を含むことは、避難支援システム1Aに必須の構成ではない。
【0105】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0106】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る避難支援システム(1,1A)は、制御部(12)を備える。制御部(12)は、施設(F1)に設置された提示装置(3)を制御する。制御部(12)は、入力情報に基づいて、避難情報を提示装置(3)に提示させる。入力情報は、少なくとも施設(F1)の情報を含む。避難情報は、施設(F1)からの人(H1)の避難に関する情報である。
【0107】
この態様によれば、施設(F1)に設置された提示装置(3)に避難情報を提示させることで、施設(F1)に居る人(H1)に対して、施設(F1)からの避難を促すことができる。しかも、少なくとも施設(F1)の情報を含む入力情報に基づいて、避難情報を提示させるので、施設(F1)に固有の、災害時における避難の要否、及び緊急度等に基づいた、避難情報の提示が行われる。その結果、避難支援システム(1,1A)によれば、施設(F1)からの適切な避難の指示を与えることができる。
【0108】
第2の態様に係る避難支援システム(1,1A)では、第1の態様において、入力情報は、施設(F1)の利用者に関する利用者情報を更に含む。
【0109】
この態様によれば、例えば、施設(F1)の利用者の年齢等、施設(F1)の利用者に固有の情報を加味した避難情報を提示させることができる。
【0110】
第3の態様に係る避難支援システム(1,1A)は、第1又は2の態様において、入力情報を更新する更新部(16)を更に備える。
【0111】
この態様によれば、入力情報が変更された場合には、新しい入力情報を適用することができる。
【0112】
第4の態様に係る避難支援システム(1,1A)では、第1~3のいずれかの態様において、入力情報は、施設(F1)の外部から取得される外部情報を更に含む。
【0113】
この態様によれば、例えば、気象情報等、施設(F1)の外部から取得される情報を加味した避難情報を提示させることができる。
【0114】
第5の態様に係る避難支援システム(1,1A)では、第1~4のいずれかの態様において、制御部(12)は、入力情報に基づく避難レベルに応じて、提示装置(3)による提示の態様を変化させる。
【0115】
この態様によれば、提示装置(3)による提示の態様により、例えば、避難の必要度又は緊急度等を施設(F1)に居る人(H1)に提示できる。
【0116】
第6の態様に係る避難支援システム(1,1A)では、第1~5のいずれかの態様において、提示装置(3)は、施設(F1)に設置された設備機器(3A~3J)を含む。
【0117】
この態様によれば、施設(F1)に設置された設備機器(3A~3J)とは別に提示装置(3)を準備する必要が無い。
【0118】
第7の態様に係る避難支援システム(1,1A)では、第1~6のいずれかの態様において、制御部(12)は、施設(F1)以外の参照施設についての避難の状況に関する参照情報を、提示装置(3)に更に提示させる。
【0119】
この態様によれば、例えば、指定避難所における避難の状況等、参照施設の避難の状況を、施設(F1)に居る人(H1)に提示することができる。
【0120】
第8の態様に係る避難支援システム(1,1A)では、第1~6のいずれかの態様において、入力情報は、施設(F1)以外の参照施設についての避難の状況に関する参照情報を更に含む。
【0121】
この態様によれば、例えば、指定避難所における避難の状況等、参照施設の避難の状況を加味した避難情報を提示させることができる。
【0122】
第9の態様に係る避難支援システム(1,1A)は、第1~8のいずれかの態様において、提示装置(3)にて提示された避難情報の履歴を記憶する履歴記憶部(17)を更に備える。
【0123】
この態様によれば、避難情報の履歴を残しておくことが可能である。
【0124】
第10の態様に係る避難支援システム(1,1A)は、第1~9のいずれかの態様において、提示装置(3)にて提示させた避難情報に対する施設(F1)の利用者のリアクションを検知するリアクション検知部(18)を更に備える。
【0125】
この態様によれば、避難情報に対する利用者のリアクションを検知できる。
【0126】
第11の態様に係る避難支援システム(1,1A)では、第10の態様において、入力情報は、リアクションに関する情報を更に含む。
【0127】
この態様によれば、避難情報に対する利用者のリアクションを、避難情報にフィードバックすることができる。
【0128】
第12の態様に係る分電盤は、第1~11のいずれかの態様に係る避難支援システム(1,1A)と、分電盤用キャビネット(20)と、を備える。
【0129】
この態様によれば、施設(F1)に設置された提示装置(3)に避難情報を提示させることで、施設(F1)に居る人(H1)に対して、施設(F1)からの避難を促すことができる。しかも、少なくとも施設(F1)の情報を含む入力情報に基づいて、避難情報を提示させるので、施設(F1)に固有の、災害時における避難の要否、及び緊急度等に基づいた、避難情報の提示が行われる。その結果、分電盤(2)によれば、施設(F1)からの適切な避難の指示を与えることができる。
【0130】
第13の態様に係る避難支援方法は、生成処理と、提示処理と、を有する。生成処理は、入力情報に基づいて、避難情報を生成する処理である。入力情報は、少なくとも施設(F1)の情報を含む。避難情報は、施設(F1)からの人(H1)の避難に関する情報である。提示処理は、避難情報を、施設(F1)に設置された提示装置(3)にて提示する処理である。
【0131】
この態様によれば、施設(F1)に設置された提示装置(3)に避難情報を提示させることで、施設(F1)に居る人(H1)に対して、施設(F1)からの避難を促すことができる。しかも、少なくとも施設(F1)の情報を含む入力情報に基づいて、避難情報を提示させるので、施設(F1)に固有の、災害時における避難の要否、及び緊急度等に基づいた、避難情報の提示が行われる。その結果、避難支援方法によれば、施設(F1)からの適切な避難の指示を与えることができる。
【0132】
第14の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第13の態様に係る避難支援方法を実行させるためのプログラムである。
【0133】
この態様によれば、施設(F1)に設置された提示装置(3)に避難情報を提示させることで、施設(F1)に居る人(H1)に対して、施設(F1)からの避難を促すことができる。しかも、少なくとも施設(F1)の情報を含む入力情報に基づいて、避難情報を提示させるので、施設(F1)に固有の、災害時における避難の要否、及び緊急度等に基づいた、避難情報の提示が行われる。その結果、上記プログラムによれば、施設(F1)からの適切な避難の指示を与えることができる。
【0134】
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係る避難支援システム(1,1A)の種々の構成(変形例を含む)は、避難支援方法又はプログラムにて具現化可能である。
【0135】
第2~11の態様に係る構成については、避難支援システム(1,1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0136】
1,1A 避難支援システム
2 分電盤
3 提示装置
3A~3J 設備機器
12 制御部
16 更新部
17 履歴記憶部
18 リアクション検知部
20 分電盤用キャビネット
F1 施設
H1 人(利用者)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7