(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】車載電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230310BHJP
B60R 16/033 20060101ALI20230310BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60R16/033 C
H05K1/18 Z
H05K1/18 P
(21)【出願番号】P 2018138079
(22)【出願日】2018-07-24
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】影山 洋一
(72)【発明者】
【氏名】西中 大貴
(72)【発明者】
【氏名】竹中 一雄
(72)【発明者】
【氏名】平城 久雄
(72)【発明者】
【氏名】薛 侑吾
(72)【発明者】
【氏名】愛宕 克則
(72)【発明者】
【氏名】東出 貴司
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-202377(JP,A)
【文献】特開2017-070057(JP,A)
【文献】特開2007-042918(JP,A)
【文献】特開2007-088413(JP,A)
【文献】特開平06-029149(JP,A)
【文献】特開2018-020613(JP,A)
【文献】特開2000-040637(JP,A)
【文献】特開2017-208531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60R 16/033
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板に埋設された、高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部と、
前記実装基板の一方面に、前記高電位導体部と前記中間電位導体部とに接続された高電位側電気二重層コンデンサと、前記中間電位導体部と前記接地電位導体部とに接続された接地電位側電気二重層コンデンサと、
前記実装基板の前記一方面もしくは他方面に配置された入力部と出力部と、
前記入力部と前記出力部とに接続され、前記実装基板の前記一方面に配置されて前記高電位側電気二重層コンデンサと前記接地電位側電気二重層コンデンサとへの充電および前記高電位側電気二重層コンデンサと前記接地電位側電気二重層コンデンサとからの放電を行う電力変換回路部と、
前記実装基板の前記一方面に配置されて前記電力変換回路部の動作を制御する制御回路部と、
を備え、
前記高電位側電気二重層コンデンサおよび前記接地電位側電気二重層コンデンサの前記実装基板に対向する底面部はそれぞれ、前記底面部から引き出されたリード部が、前記高電位導体部と前記中間電位導体部と前記接地電位導体部とに接合されることによって設けられる前記実装基板と前記底面部との間の空間部によって、前記実装基板に対して離間配置され、
前記制御回路部は、前記空間部に実装配置され、前記高電位導体部、前記中間電位導体部または前記接地電位導体部の直上に、前記実装基板と接するように配置され、
前記電力変換回路部は前記空間部の外側に実装配置され、
前記高電位導体部と前記高電位側電気二重層コンデンサと前記中間電位導体部と前記接地電位側電気二重層コンデンサと前記接地電位導体部とは、高電位側から順に直列に接続され
、
前記高電位導体部は、前記電力変換回路部と電気的に接続されており、
前記制御回路部は、前記中間電位導体部と向かい合っている、
車載電源装置。
【請求項2】
前記高電位側電気二重層コンデンサは、前記高電位導体部と前記中間電位導体部とに並列接続された複数の二重層コンデンサからなり、
前記接地電位側電気二重層コンデンサは、前記中間電位導体部と前記接地電位導体部とに並列接続された複数電気二重層コンデンサからなる、
請求項1に記載の車載電源装置。
【請求項3】
前記中間電位導体部は複数の分割導体部によって構成され、
前記複数の分割導体部における個々の分割導体部の間には前記実装基板に対向する底面部を有した中間電気二重層コンデンサが接続されることで前記複数の分割導体部は直列に接続され、
前記電力変換回路部は、さらに前記中間電気二重層コンデンサへの充電および前記中間電気二重層コンデンサからの放電を行う、
請求項1に記載の車載電源装置。
【請求項4】
前記中間電気二重層コンデンサは、前記個々の分割導体部の間に並列接続された複数の電気二重層コンデンサからなる、
請求項3に記載の車載電源装置。
【請求項5】
前記高電位導体部と前記中間電位導体部と前記接地電位導体部とが有する面積の総和は、前記高電位側電気二重層コンデンサから前記実装基板へ向かう方向から見て、前記高電位側電気二重層コンデンサと前記接地電位側電気二重層コンデンサと前記制御回路部とが配置されている前記実装基板の面積よりも広い、
請求項1~4のいずれか一項に記載の車載電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種車両に使用される車載電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の車載電源装置について図面を用いて説明する。
図6は従来の車載電源装置の構成を示した外観側面図であり、車載電源装置1は実装基板2に実装された蓄電部3と電力変換部4と制御部5とを有していた。電力変換部4は、車載電源装置1の外部から供給される電力を蓄電部3へ充電するときの充電動作と、車載電源装置1の外部へ電力を出力するときの放電動作との双方の動作が可能となっていた。そして電力変換部4は、スイッチング動作を行うコンバータ機能によって、上記の充電動作や放電動作に対応していた。また、制御部5は状況に応じて電力変換部4の動作を制御していた。
【0003】
ここで、電力変換部4はコンバータ機能のスイッチング動作に伴い多くのノイズや熱を発する。このため、電力変換部4は蓄電部3への熱的影響や制御部5へのノイズの影響を抑制するために、電力変換部4はそれぞれに対して近接配置を回避するように実装基板2上に配置されていた。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の車載電源装置1では、電力変換部4は蓄電部3や制御部5に対して近接配置を回避するように実装基板2上に配置していたため、特に蓄電部3の容量が大きい場合は、電力変換部4による熱やノイズの発生量が大きくなることに伴い、近接配置はさらなる回避が必要となることで、電源装置1の床面積や容積が大きくなることが避けられないという課題を有するものであった。
【0007】
そこで本発明は、電力変換部と蓄電部や制御部との近接配置を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、実装基板と、前記実装基板に埋設された、高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部と、前記実装基板の一方面に、前記高電位導体部と前記中間電位導体部とに接続された高電位側電気二重層コンデンサと、前記中間電位導体部と前記接地電位導体部とに接続された接地電位側電気二重層コンデンサと、前記実装基板の前記一方面もしくは他方面に配置された入力部と出力部と、前記入力部と前記出力部とに接続され、前記実装基板の前記一方面に配置されて前記高電位側電気二重層コンデンサと前記接地電位側電気二重層コンデンサとへの充電および前記高電位側電気二重層コンデンサと前記接地電位側電気二重層コンデンサとからの放電を行う電力変換回路部と、前記実装基板の前記一方面に配置されて前記電力変換回路部の動作を制御する制御回路部と、を備え、前記高電位側電気二重層コンデンサおよび前記接地電位側電気二重層コンデンサの前記実装基板に対向する底面部はそれぞれ、前記底面部から引き出されたリード部が、前記高電位導体部と前記中間電位導体部と前記接地電位導体部とに接合されることによって設けられる前記実装基板と前記底面部との間の空間部によって、前記実装基板に対して離間配置され、前記制御回路部は、前記空間部に実装配置され、前記高電位導体部、前記中間電位導体部または前記接地電位導体部の直上に、前記実装基板と接するように配置され、前記電力変換回路部は前記空間部の外側に実装配置され、前記高電位導体部と前記高電位側電気二重層コンデンサと前記中間電位導体部と前記接地電位側電気二重層コンデンサと前記接地電位導体部とは、高電位側から順に直列に接続され、前記高電位導体部は、前記電力変換回路部と電気的に接続されており、前記制御回路部は、前記中間電位導体部と向かい合っている、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力変換回路部から発せられたノイズは、高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部へと伝搬されたうえで、高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部とに接続された高電位側電気二重層コンデンサおよび接地電位側電気二重層コンデンサへ吸収される。ここで制御回路部は、高電位側電気二重層コンデンサおよび接地電位側電気二重層コンデンサの下側の空間部に配置されるので高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部とに近接した位置に配置される。このため、制御回路部の周囲に存在するノイズは高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部とによって吸収されやすく、この結果として、電力変換回路部から発せられたノイズによる制御回路部への影響は抑制され、電力変換回路部と制御回路部とは近接配置が可能となる。
【0010】
また、電力変換回路部から発せられた熱もまた、高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部とに伝えられたうえで、高電位側電気二重層コンデンサおよび接地電位側電気二重層コンデンサへ伝わることになる。しかしながら、電力変換回路部から発せられた熱は高電位導体部と中間電位導体部と接地電位導体部とに伝えられることにより、高電位側電気二重層コンデンサおよび接地電位側電気二重層コンデンサへ分散される。このため、特定の電気二重層コンデンサへ熱が集中して伝わることを抑制できる。この結果として、電力変換回路部と高電位側電気二重層コンデンサおよび接地電位側電気二重層コンデンサとの近接配置も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態における車載電源装置の構成を示す断面図
【
図2】本発明の実施の形態における車載電源装置の構成を示す第1上面外観図
【
図3】本発明の実施の形態における車載電源装置の回路構成を示す第1回路ブロック図
【
図4】本発明の実施の形態における車載電源装置の構成を示す第2上面外観図
【
図5】本発明の実施の形態における車載電源装置の回路構成を示す第2回路ブロック図
【
図6】従来の車載電源装置の構成を示した外観側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における車載電源装置の構成を示す断面図、
図2は本発明の実施の形態における車載電源装置の構成を示す第1上面外観図である。車載電源装置6は、実装基板7と高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10と高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12と入力部13と出力部14と電力変換回路部15と制御回路部16と、を含む。高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12と電力変換回路部15と制御回路部16とは、実装基板7の一方面7Aに配置されている。入力部13と出力部14とは、実装基板7の一方面7Aあるいは他方面7Bのいずれかに配置されている。に配置されている。また、高
電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とは、実装基板7に埋設して配置されている。
【0014】
高電位側電気二重層コンデンサ11は、高電位導体部8と中間電位導体部9とに接続されている。接地電位側電気二重層コンデンサ12は、中間電位導体部9と接地電位導体部10とに接続されている。
【0015】
電力変換回路部15は入力部13と出力部14に接続されている。そして、電力変換回路部15は、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12への充電を行い、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12からの放電を行う。電力変換回路部15の動作は制御回路部16によって制御される。
【0016】
高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12はそれぞれ、実装基板7に対向する底面部17と、底面部17から引き出されるリード部18A、18Bを有する。リード部18A、18Bは高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とへ接合されることで、底面部17と実装基板7との間には空間部19が設けられる。そして、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12は実装基板7に対して離間配置される。
【0017】
制御回路部16は空間部19に実装配置され、電力変換回路部15は空間部19の外側に実装配置されている。
【0018】
高電位導体部8と高電位側電気二重層コンデンサ11と中間電位導体部9と接地電位側電気二重層コンデンサ12と接地電位導体部10とは、高電位側から順に直列に接続されている。
【0019】
以上の構成により、電力変換回路部15から発せられたノイズは、高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10へと伝搬されたうえで、高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とに接続された高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12へ吸収される。ここで制御回路部16は、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12の下側の空間部19に配置される。このため制御回路部16は、高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とに近接した位置に配置される。制御回路部16の周囲に存在するノイズは高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とによって吸収されやすく、結果として、電力変換回路部15から発せられたノイズによる制御回路部16への影響は抑制され、電力変換回路部15と制御回路部16とは近接配置が可能となる。
【0020】
また、電力変換回路部15から発せられた熱は、実装基板7に比較して伝熱性が高い高電位導体部8へ伝えられたうえで、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12へ伝わることになる。しかしながら、電力変換回路部15から発せられた熱は高電位導体部8によって広い面積に分散されたうえで、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12へ伝えられる。このため、大きな熱が高電位側電気二重層コンデンサ11へ集中して伝わることを抑制できる。この結果として、電力変換回路部15と高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12との近接配置も可能となる。
【0021】
以下で、車載電源装置6の詳細について説明する。
図3は本発明の実施の形態における車載電源装置の回路構成を示す第1回路ブロック図であり、車載電源装置6は、予備用の電源あるいは非常用の電源として車両20の車体21に搭載されている。車両20や、入
力部13に接続された車両用バッテリー22が健全な条件下で車両20が起動しているときは、電力変換回路部15は蓄電部23への蓄電を連続的あるいは間欠的に行い、車両20が起動停止したときには蓄電部23に蓄えられていた電力の全てあるいは一部はグランドへ放電される。また、車両20が起動しているときに車両20や車両用バッテリー22が異常な条件下に陥った場合、所定の負荷24の駆動が可能となるように、電力変換回路部15は出力部14から蓄電部23に蓄えられた電力を負荷24へ出力する、あるいは蓄電部23に蓄えられた電力を出力部14から負荷24へ出力可能な状態とする。
【0022】
ここで、車両20や車両用バッテリー22が健全で正常な条件下であるか、あるいは異常な条件下に陥ったかを判断する基準は、制御回路部16に接続された信号受信部28に緊急信号が伝えられたか否かによる判断や、あるいは、入力部13の電圧値と車両20の起動状態とに基づいた判断などであってよい。
【0023】
車載電源装置6の入力部13と出力部14との間には電力変換回路部15が接続されていて、電力変換回路部15の入力側には充電回路25が設けられ、出力側には放電回路26が設けられている。また、充電回路25と放電回路26との接続点27とグランド間には蓄電部23が接続されて設けられている。蓄電部23には高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12や、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12に蓄えられた電力を直接にグランドへ放電可能な電気回路(図示せず)などが設けられている。したがって、接続点27は先に述べた高電位導体部8の一部であっても、あるいは電力変換回路部15と高電位導体部8とを接続する接続導体8Aであってもよい。
【0024】
蓄電部23では、高電位側から順に電力変換回路部15に接続された高電位導体部8と高電位側電気二重層コンデンサ11と中間電位導体部9と接地電位側電気二重層コンデンサ12と接地電位導体部10とが、直列に接続されている。より詳細には、高電位側電気二重層コンデンサ11の高電位側のリード部18Aが高電位導体部8に、高電位側電気二重層コンデンサ11の低電位側のリード部18Bが中間電位導体部9に接続されている。同様に、接地電位側電気二重層コンデンサ12の高電位側のリード部18Aが中間電位導体部9に、接地電位側電気二重層コンデンサ12の低電位側のリード部18Bが接地電位導体部10に接続されている。また、接地電位導体部10はグランドに、あるいはグランドに相当する端子や電位に接続されている。
【0025】
ここで、高電位側電気二重層コンデンサ11や接地電位側電気二重層コンデンサ12の蓄電容量は、高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10が電力変換回路部15から発せられたノイズなどを吸収した際に生じる電力に比較して非常に大きな値となっている。また、高電位側電気二重層コンデンサ11や接地電位側電気二重層コンデンサ12は制御回路部16の制御による充電回路25の動作と制御回路部16による蓄電部23に対する電圧検出によって概ね満充電状態に近い状態に充電されているときでも、満充電に伴う電気二重層コンデンサの特性劣化などを考慮し、定格満充電値に比較して低い値に充電されている。このため、高電位側電気二重層コンデンサ11や接地電位側電気二重層コンデンサ12は電力変換回路部15から発せられたノイズなどに伴って高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10で生じた電力を容易に吸収することができる。
【0026】
また、高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12とは、実装基板7の一方面7Aの所定領域29の範囲内に集中して配置されている。言い換えると、高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12とが集中配置されている面積を所定領域29としている。このため、高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10は少なくともその一部が所定領域29に相当する位置の実
装基板7の内部に埋設されている。このため、高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12と実装基板7との間に形成される空間部19に配置される制御回路部16は、高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10の直上もしくは近傍に位置する。そして、空間部19の外側であり、かつ、所定領域29の外側に配置された電力変換回路部15はノイズなどを発するものの、電力変換回路部15が発したノイズは空間部19や所定領域29においては高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10によって吸収され易くなる。このため、制御回路部16がノイズから受ける悪影響は抑制される。ここで、上記の効果をさらに向上させるために、高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10は、実装基板7に埋設して設けられ、また高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とが有する面積の総和は、所定領域29が有する面積よりも広いとよい。
【0027】
また、電力変換回路部15の充電回路25や放電回路26が動作することで発生する熱に関しても高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10は、制御回路部16や高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12を保護することになる。電力変換回路部15から発せられた熱は、実装基板7に比較して伝熱性が高い高電位導体部8へ伝わったうえで、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12へ順に伝わることになる。しかしながら、電力変換回路部15から発せられた熱は高電位導体部8によって広い面積に分散されたあとで、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12へ伝えられる。このため、大きな熱が高電位側電気二重層コンデンサ11へ集中して伝わることを抑制できる。この結果として、電力変換回路部15と、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12との近接配置も可能となる。
【0028】
また、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12は実装時に接合部30からの熱の影響を抑制するために、長い寸法のリード部18A、18Bが用いられる。このため、空間部19がデッドスペースとして車載電源装置6の容積を大きくする要因となるものの、近接配置された電力変換回路部15が発するノイズからの影響が、直上もしくは近傍に位置して高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10によって抑制される空間部19へ、制御回路部16が配置される。これによって、車載電源装置6の床面積の大型化を抑制することができ、容積の大型化も抑制される。
【0029】
ここで、高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とは、実装基板7に埋設して配置され、高電位導体部8や中間電位導体部9あるいは接地電位導体部10の一部が、実装基板7の一方面7Aから露出する形で埋設されていてもよい。言い換えると、高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とは、実装基板7に完全に埋没して配置される必要はない。
【0030】
また、高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12のリード部18A、18Bは実装基板7の他方面7Bで接合部30によって接合されているが、高電位導体部8や中間電位導体部9や接地電位導体部10と接合部30とはスルーホールなどによって接続されていればよい。
【0031】
ここでは
図2に示すように、高電位導体部8と高電位側電気二重層コンデンサ11と中間電位導体部9と接地電位側電気二重層コンデンサ12と接地電位導体部10とは、図中の左右方向に概ね列状に配置されている。しかしながら、必ず列状に配置される必要は無く、高電位導体部8と高電位側電気二重層コンデンサ11と中間電位導体部9と接地電位側電気二重層コンデンサ12と接地電位導体部10との配置、接続は上面視で蛇行した形態であってもよく、直列に接続されていればよい。
【0032】
以上で説明した実施の形態では、高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12とは、それぞれが単一の電気二重層コンデンサによって構成されている。この一方で、
図4の本発明の実施の形態における車載電源装置の構成を示す第2上面外観図に示すように、高電位側電気二重層コンデンサ11は、高電位導体部8と中間電位導体部9との間に接続されて、かつ、並列に接続された複数の電気二重層コンデンサによって構成されるとよい。ここでは第1高電位側電気二重層コンデンサ11A、第2高電位側電気二重層コンデンサ11B、第3高電位側電気二重層コンデンサ11Cの3つの電気二重層コンデンサが並列に接続された一例が示されているが、並列された電気二重層コンデンサの数量に特に限りはない。
【0033】
同様に、接地電位側電気二重層コンデンサ12は、中間電位導体部9と接地電位導体部10との間に接続されて、かつ、並列に接続された複数の電気二重層コンデンサによって構成されるとよい。ここでは第1接地電位側電気二重層コンデンサ12A、第2接地電位側電気二重層コンデンサ12B、第3接地電位側電気二重層コンデンサ12Cの3つの電気二重層コンデンサが並列に接続された一例が示されているが、並列された電気二重層コンデンサの数量に特に限りはない。
【0034】
高電位側電気二重層コンデンサ11および接地電位側電気二重層コンデンサ12が、並列に接続配置された複数の電気二重層コンデンサによって構成されることによって、特に電力変換回路部15が発する熱は、複数の第1高電位側電気二重層コンデンサ11A、第2高電位側電気二重層コンデンサ11B、第3高電位側電気二重層コンデンサ11Cへ分散して伝えられ、さらに第1接地電位側電気二重層コンデンサ12A、第2接地電位側電気二重層コンデンサ12B、第3接地電位側電気二重層コンデンサ12Cへと伝えられる。
【0035】
これにより、個々の電気二重層コンデンサの温度上昇が抑制される。結果として、高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12と発熱源の電力変換回路部15とのさらなる近接配置が可能となる。これに加え、電力変換回路部15から発せられて高電位導体部8を通じて伝えられた熱が容易に分散することによって個々の電気二重層コンデンサの温度上昇が抑制される。したがって、高温に起因する電気二重層コンデンサの特性劣化も抑制される。また、個々の電気二重層コンデンサにおける特性の劣化に偏りも生じ難いので、蓄電部23の信頼性、および車載電源装置6の動作信頼性が向上する。
【0036】
また、以上で説明した実施の形態では、蓄電部23は高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12と、高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とを有し、高電位側である電力変換回路部15に接続されている順に、高電位導体部8と高電位側電気二重層コンデンサ11と中間電位導体部9と接地電位側電気二重層コンデンサ12と接地電位導体部10とが直列に接続されていた。
【0037】
この一方で、
図5の本発明の実施の形態における車載電源装置の回路構成を示す第2回路ブロック図に示すように、中間電位導体部9は高電位側から順に高電位側電気二重層コンデンサ11に接続された第1中間電位導体部9A、第2中間電位導体部9B、接地電位側電気二重層コンデンサ12に接続された第3中間電位導体部9C、の複数の分割導体部32によって構成されてもよい。そして、第1中間電位導体部9Aと第2中間電位導体部9Bとの間には第1中間電気二重層コンデンサ31Aが接続され、第2中間電位導体部9Bと第3中間電位導体部9Cとの間には第2中間電気二重層コンデンサ31Bが接続されている。
【0038】
言い換えると、第1中間電位導体部9Aと第1中間電気二重層コンデンサ31Aと第2
中間電位導体部9Bと第2中間電気二重層コンデンサ31Bと第3中間電位導体部9Cとが直列に接続されている。すなわち、第1中間電位導体部9A、第2中間電位導体部9B、第3中間電位導体部9Cに相当する複数の分割導体部32における個々の分割導体部32の間には中間電気二重層コンデンサ31が接続されている。
【0039】
これにより、高電位導体部8と中間電位導体部9と接地電位導体部10とに電力変換回路部15からのノイズに起因して発生する電力が大きくなっても、直列に接続された多段の電気二重層コンデンサが電力を実質的に均等に吸収する。この結果、高電位側電気二重層コンデンサ11と中間電気二重層コンデンサ31と接地電位側電気二重層コンデンサ12とが電力変換回路部15から発せられるノイズを効率よく大量に吸収することができ、高電位側電気二重層コンデンサ11と接地電位側電気二重層コンデンサ12と発熱源の電力変換回路部15とのさらなる近接配置が可能となる。また、高電位側電気二重層コンデンサ11と中間電気二重層コンデンサ31と接地電位側電気二重層コンデンサ12とによって、電力変換回路部15から発せられて高電位導体部8を通じて伝えられた熱が容易に分散することにより温度上昇が抑制されるので、高温に起因する電気二重層コンデンサの特性劣化も抑制される。
【0040】
また、中間電気二重層コンデンサ31もまた高電位側電気二重層コンデンサ11や接地電位側電気二重層コンデンサ12と同様に、実装基板7に対向する底面部17と、底面部17から引き出されるリード部18A、18Bを有する。そして、電力変換回路部15は、中間電気二重層コンデンサ31への充電および中間電気二重層コンデンサ31からの放電も行うことになる。
【0041】
さらに、ここでは図示していないが、中間電気二重層コンデンサ31もまた先に述べたように、並列に接続された複数の電気二重層コンデンサによって構成されるとよい。このとき、高電位側電気二重層コンデンサ11や接地電位側電気二重層コンデンサ12、および中間電気二重層コンデンサ31は、同一特性でかつ、同一の数量で並列配置された複数の電気二重層コンデンサによって構成されるとよい。これにより、高電位側電気二重層コンデンサ11や接地電位側電気二重層コンデンサ12、および中間電気二重層コンデンサ31が有する電気的特性が均一化され、蓄電部23の信頼性、および車載電源装置6の動作信頼性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の車載電源装置は、デバイスの近接配置を可能とする効果を有し、各種電子機器において有用である。
【符号の説明】
【0043】
6 車載電源装置
7 実装基板
8 高電位導体部
9 中間電位導体部
9A 第1中間電位導体部
9B 第2中間電位導体部
9C 第3中間電位導体部
10 接地電位導体部
11 高電位側電気二重層コンデンサ
11A 第1高電位側電気二重層コンデンサ
11B 第2高電位側電気二重層コンデンサ
11C 第3高電位側電気二重層コンデンサ
12 接地電位側電気二重層コンデンサ
12A 第1接地電位側電気二重層コンデンサ
12B 第2接地電位側電気二重層コンデンサ
12C 第3接地電位側電気二重層コンデンサ
13 入力部
14 出力部
15 電力変換回路部
16 制御回路部
17 底面部
18A リード部
18B リード部
19 空間部
20 車両
21 車体
22 車両用バッテリー
23 蓄電部
24 負荷
25 充電回路
26 放電回路
27 接続点
28 信号受信部
29 所定領域
30 接合部
31 中間電気二重層コンデンサ
31A 第1中間電気二重層コンデンサ
31B 第2中間電気二重層コンデンサ
32 分割導体部