(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】放射性廃棄物管理装置および放射性廃棄物管理方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/36 20060101AFI20230313BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20230313BHJP
【FI】
G21F9/36 Z
G06Q10/00
(21)【出願番号】P 2019126397
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝 広樹
(72)【発明者】
【氏名】大倉 暢仁
【審査官】松平 佳巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-061271(JP,A)
【文献】特開2004-077162(JP,A)
【文献】特開2007-248066(JP,A)
【文献】特開2014-032030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/36
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物の発生時梱包、作業前梱包、および作業後梱包の組み合わせを識別する管理識別情報を含む管理データを記憶する管理データベースと、
前記管理識別情報に対応する放射性廃棄物の登録情報を記憶する廃棄物データベースと、
前記管理識別情報に基づいて前記廃棄物データベースを検索する検索部と、
前記管理識別情報と、自装置を識別するシステム管理情報と、に基づいて統合管理識別情報を作成し、この統合管理識別情報を含む統合管理データを出力する統合管理識別情報出力部と、
を具備する放射性廃棄物管理装置。
【請求項2】
前記管理データが、前記放射性廃棄物への作業前に対応する作業前管理識別情報をさらに含む
請求項1に記載の放射性廃棄物管理装置。
【請求項3】
前記管理データベースから放射性廃棄物の発生以降または作業以前の履歴を抽出する抽出部、
をさらに具備する請求項2に記載の廃棄物管理装置。
【請求項4】
放射性廃棄物の作業前梱包、および作業後梱包を対応して表す複数のデータを入力するデータ入力部と、
前記複数のデータに基づいて、前記放射性廃棄物の発生時梱包を特定する関連付け特定部と、
前記作業前梱包、前記作業後梱包、および前記特定された発生時梱包の組み合わせに対応する管理識別情報を決定し、前記決定された管理識別情報を含む管理データを前記管理データベースに登録する管理識別情報決定部と、
をさらに具備する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射性廃棄物管理装置。
【請求項5】
統合管理識別情報を含む統合管理データを入力し。前記管理データベースに登録する情報登録部と、
をさらに具備する請求項
1に記載の放射性廃棄物管理装置。
【請求項6】
放射性廃棄物の発生時梱包、作業前梱包、および作業後梱包の組み合わせを識別する管理識別情報を作成するステップと、
前記管理識別情報を含む管理データを
管理データベースに記憶させるステップと、
前記管理識別情報に対応する放射性廃棄物の登録情報を廃棄物データベースに記憶させるステップと、
前記管理識別情報に基づいて前記廃棄物データベースを検索するステップと、
前記管理識別情報と、自装置を識別するシステム管理情報と、に基づいて統合管理識別情報を作成し、この統合管理識別情報を含む統合管理データを出力するステップと、
を具備する放射性廃棄物管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射性廃棄物を管理する放射性廃棄物管理装置および放射性廃棄物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設では、その運転に伴い放射性廃棄物が発生し、その処分には費用が掛かり、また社会に対する責任も発生する。このような中で、費用の適正化としてクリアランスに応じた処分が規定されており、この実現の為にも放射性廃棄物の説明責任は重要である。
放射性廃棄物の適正な管理の為に、発生した廃棄物の梱包後でも内容物の種類による詰め替えや放射能量による詰め替え、減容化のための処分等の作業が行われ、その後に最終処分まで貯蔵される。貯蔵後でも前述の作業が行われる。
この放射性廃棄物の発生から最終処分までに、詰め替えや処分が行われないのであれば、発生時の梱包情報だけでトレーサビリティを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発生時の梱包後に詰め替えや処分などの作業が繰り返されると、発生元から最終処分地までの放射性廃棄物のトレーサビリティの実現が困難になる。
このように、放射性廃棄物の発生から最終処分まで、トレーサビリティを有する管理を行うことは容易ではない。例えば、次のようなことがトレーサビリティを維持する上での障害となり得る。
放射性廃棄物を管理する単位である梱包において、発生時の梱包と詰め替えや処分で発生する新たな梱包の管理方法が規定されていない。
複数の作業(発生、詰め替え、処分、中間貯蔵)を介して、最終処分まで梱包が変化する為、各作業での梱包の変化も含めた紐づけが容易にできない。
作業間での取り合い(払出/受入)点では、梱包の管理情報で取り合うが、受入れ後の作業内での梱包の詰め替えや処分後の梱包については、払出側の梱包からでは紐づけができない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、トレーサビリティの向上を図った放射性廃棄物管理装置および放射性廃棄物管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る放射性廃棄物管理装置は、放射性廃棄物の発生時梱包、作業前梱包、および作業後梱包の組み合わせを識別する管理識別情報を含む管理データを記憶する管理データベースと、前記管理識別情報に対応する放射性廃棄物の登録情報を記憶する廃棄物データベースと、前記管理識別情報に基づいて前記廃棄物データベースを検索する検索部と、を具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、トレーサビリティの向上を図った放射性廃棄物管理装置および放射性廃棄物管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態に係る放射性廃棄物管理装置の模式図
【
図5】発生時、作業前、および作業後の包袋識別番号の組み合わせの一例を表す模式図
【
図6】放射性廃棄物の発生以降の履歴を検索した結果を表す模式図
【
図7】放射性廃棄物の最終処分以前の履歴を検索した結果を表す模式図
【
図8】放射性廃棄物管理装置を複数の事業所に配置した例を表す模式図
【
図9】放射性廃棄物管理装置を複数の会社及び事業所に配置した例を表す模式図
【
図10】変形例に係る放射性廃棄物管理装置の模式図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、放射性廃棄物の処理手順の一例を表す模式図である。
サイト(事業所の拠点)S100、S101、S200,S300,S400それぞれに放射性廃棄物を処理する事業所が配置されている。事業所には、一または複数の場所(作業場所)P01,P02、P10,P010,P001,P002がある。場所P01,P02等それぞれにおいて、一又は複数の作業A01、A02等が行われる。
なお、場所識別番号P01,P02等は、サイトが異なれば、重複しても差し支えない。後述のように、作業場所の最終的な特定は、サイト識別番号と場所識別番号の組み合わせによって行われる。
【0009】
ここでは、サイトS100、S101で、発生した放射性廃棄物(1)~(14)が梱包され(発生時梱包:作業A01,A02,B01~B03、C01)、サイトS200,S300で,中間梱包され(作業D01~D08、E01~E07)、サイトS400で最終梱包される(作業F01~F04)。
なお、放射性廃棄物の梱包をサイト間で運搬する場合、梱包は輸送容器(容器11,21,31)に入れて、運搬される。
【0010】
作業D01~D08は、内容物に応じた詰め替え梱包である。作業E01~E03は、分析・減容化および梱包である。作業E04~E07は、放射線量に応じた詰め替え梱包である。作業F01~F04は、内容物による詰め替え梱包である。
【0011】
これらの作業の前後で、梱包(収納容器)AA001,AA002、BB001~BB003、CC001、DD001~DD004、EE001~EE005,FF001~FF004が変更される。ここで、AA001等は梱包(収納容器)を一意に特定するための梱包識別番号(梱包を識別する梱包識別情報の一種)の例である。
なお、実質的な作業(詰め替え、減容等)を行わず、単に貯蔵するだけのこともあり(ここでは、サイトS400での一部の作業)、この場合、梱包(収納容器)は変更されない。
【0012】
各サイトにおいて、作業前梱包(作業前の梱包)に入っていた放射性廃棄物の全部または一部が作業後梱包(作業後の梱包)に移し替えられる。このとき、必要に応じて、複数の作業前梱包中の放射性廃棄物の全部または一部が単一の作業後梱包に入れられる。
【0013】
図2は、放射性廃棄物管理装置の一例を表す模式図である。
放射性廃棄物管理装置は、管理データベース11,廃棄物データベース12、データ入力部13,関連付け特定部14,管理識別情報決定部15,検索・抽出部16を有し、操作端末(表示装置およびキーボード等の入力装置)が接続される。
【0014】
管理データベース11は、放射性廃棄物の履歴の管理に用いられる管理データを記憶する記憶装置である。
図3は、管理データの一例を表す模式図である。
この管理データは、
図1の処理手順と対応するものであり、作業後管理識別番号,作業後梱包識別番号、作業前管理識別番号、発生場所、発生時梱包識別番号、梱包物内容、作業内容を対応して表す。
【0015】
ここでは、廃棄物の分類に、梱包識別番号と管理識別番号(内部管理ID)が用いられている。既述のように、梱包識別番号は、梱包を識別する情報の一種である。
管理識別番号(管理識別情報の一種)は、発生時梱包、作業前梱包、および作業後梱包の組み合わせを識別する。すなわち、管理識別番号(管理識別情報)は、そのサイトでの梱包に用いられた作業後梱包に加え、作業前梱包および発生時梱包を用いて、廃棄物を分類、区分する。放射性廃棄物は、その発生、中間処理等で異なる梱包に移し替えられることがあるため、作業後あるいはその直前(作業前)の梱包番号のみで放射性廃棄物の履歴を評価することは困難だからである。
管理識別番号は、001~033と連続的に付与されている。連番とすることで、廃棄物管理の容易化が図られる。なお、梱包前の放射性廃棄物には、管理識別番号000が割り当てられている。
【0016】
作業後梱包識別番号(作業後梱包の識別情報の一種)は、そのサイトでの作業後に用いられた梱包を識別する情報である。
【0017】
作業前管理識別番号(作業前梱包の識別情報の一種)は、そのサイトの直前のサイトで付与された管理識別番号であり、作業前の放射性廃棄物を識別する情報である。なお、作業前管理識別番号に換えて、作業前梱包識別番号を用いることも可能である。既述のように、梱包前には、作業前管理識別番号000が割り当てられる。
但し、作業前管理識別番号を用いることで、放射性廃棄物の分類を細分化し、よりきめ細かな管理が容易となる。例えば、管理データを用いて廃棄物の履歴を辿るのがより容易となる。
【0018】
発生場所は、放射性廃棄物が発生した(初めて梱包された)サイトおよびそのサイト内の場所を識別するための情報である。サイト(S100、S101)、場所(P01,P02、P10)をそれぞれ識別する情報の組み合わせることで、発生場所を特定している。
【0019】
発生時梱包識別番号は、放射性廃棄物の発生時梱包に用いられた梱包を識別する情報である。
【0020】
梱包物内容は、その管理識別番号に対応する廃棄物の内容である。発生時梱包、作業前梱包、および作業後梱包の組み合わせが同一の廃棄物が複数ある場合、梱包物内容に複数種の廃棄物が含まれる。
作業内容は、そのサイトでの作業識別番号A01,A02等およびその作業の具体的な内容を表す。
【0021】
廃棄物データベース12は、放射性廃棄物の登録情報を記憶する記憶装置である。
図4A~
図4Eはそれぞれ、登録情報の一例を表す模式図であり、
図1のサイトS100,S101,S200,S300,S400に対応する。登録情報は、各放射性廃棄物の詳細な内容、検査データ等を含む。
これらの登録情報は、管理識別番号で紐付けられ、管理識別番号を特定すれば、その番号に対応する登録情報を抽出できるようになっている。このために、登録情報が管理識別番号の情報を含んでもよい。
【0022】
データ入力部13は、放射性廃棄物の作業前梱包、および作業後梱包を対応して表す複数のデータを入力する。
このとき、データ入力部13は、管理識別番号(発生時梱包、作業前梱包、および作業後梱包の組み合わせに対応)で管理されていない管理データ、登録情報を入力する。例えば、個別の管理システムや紙、個別の電子データ等で廃棄物を管理している場合が該当する。また、作業員が作業を実行した際に端末等から作業情報(少なくとも当該作業の対象となった作業前梱包と、当該作業によって作成された作業後梱包の情報を含む)をデータ入力部13に直接入力するような場合も含まれる。このような場合、廃棄物の受入側サイトが、払出側サイトから放射性廃棄物の管理データを受け取り、放射性廃棄物の管理に用いることができる。しかし、各サイト(あるいは各作業)で用いる管理データは、受入れ時の梱包(作業前梱包)と新たに作成した梱包(作業後梱包)とその作業内容が主たるデータであることが多く、トレーサビリティの保持には、十分とは言い難い。
【0023】
関連付け特定部14は、入力された複数の管理データ等に含まれる作業前梱包、作業後梱包の情報を突き合わせることで、発生時梱包を特定し、発生時梱包、作業前梱包、作業後梱包の組み合わせを決定する。このために、既存の梱包識別番号を発生時梱包と対応して表す対応テーブルを用いてもよい。この対応テーブルは、管理データベース11に保持することができる。
【0024】
関連付け特定部14は、入力した管理データや登録情報から、
図5に示すようなデータを作成してもよい。このデータは、発生時梱包識別番号、作業前梱包識別番号および作業後梱包識別番号の情報を含む。
また、このデータは、副番を備え、作業後梱包が同一であっても、発生時梱包、作業前梱包の少なくともいずれかが異なる放射性廃棄物を識別している。すなわち、作業後梱包識別番号と副番の組み合わせが管理識別番号と対応する。
なお、この
図5は、
図1,
図3、
図4A~4Eの一部と対応する。
【0025】
管理識別情報決定部15は、発生時梱包、作業前梱包、作業後梱包の組み合わせに対応する管理識別番号を決定する。
このとき、管理識別情報決定部15は、連番となり、かつ重複しないように管理識別番号を決定する。このために、管理識別情報決定部15は、管理データベース11中の管理データを参照できる。
【0026】
管理識別情報決定部15は、管理データに換えて、例えば、作業後管理識別番号、発生時梱包識別番号(あるいは発生時管理識別番号)を対応して表す対応テーブルを用いて、新たな管理識別番号を作成してもよい。管理データよりもデータ量が小さいので、高速な処理が可能となる。この対応テーブルは、管理データベース11に保持することができる。
管理識別情報決定部15は、新たな管理識別番号を決定する度に、対応テーブルを書き替えることができる。このようにすることで、重複しない連番の管理識別番号を効率的に決定できる。
【0027】
検索・抽出部16は、管理識別情報に基づいて廃棄物データベース12を検索する検索部として機能する。すなわち、検索・抽出部16は、管理識別番号に対応する登録データ(例えば、
図4A~4Eに含まれる登録データ)を検索する。
【0028】
また、検索・抽出部16は、管理データベース11から放射性廃棄物の発生以降または作業(最終・中間処分)以前の履歴を検索結果として抽出する抽出部としても機能する。
【0029】
図6は、放射性廃棄物の発生以降の履歴を抽出した結果を模式的に表す。
ここでは、梱包識別番号CC0001の発生以降の履歴を表す。
図3の管理データ上で、発生時梱包識別番号CC0001に対応して、管理識別番号006,011,014,018,020,023,025,029,031,033が検索される。
【0030】
発生時の管理識別番号(作業後梱包識別番号CC001に対応)は0006である。この管理識別番号0006は、作業前管理識別番号として、管理識別番号011,014(作業後梱包DD002,DD004)で用いられている。
以下、同様に、管理識別番号011は、作業前管理識別番号として、管理識別番号018,020(作業後梱包EE002,EE003)で用いられている。管理識別番号014は、作業前管理識別番号として、管理識別番号023,025(作業後梱包EE004,EE005)で用いられている。管理識別番号018は、作業前管理識別番号として、管理識別番号029(作業後梱包FF001)で用いられている。管理識別番号023は、作業前管理識別番号として、管理識別番号031,033(作業後梱包FF002,FF003)で用いられている。
【0031】
このようにして、発生時梱包CC0001が、梱包DD002,DD004,梱包EE002~EE005,梱包FF001~FF003へと順に詰め替えられる。この様子を
図6のように示すことができる。
【0032】
図7は、放射性廃棄物の最終処理以前の履歴を抽出した結果を模式的に表す。
ここでは、廃棄物(13)の最終処分以前の履歴を表す。
図3の管理データ上で、廃棄物(13)(梱包識別番号FF003)を検索すると、作業後管理識別番号033(作業前の管理識別番号023)が対応する。そして、作業後の管理識別番号023は作業前の管理識別番号014(梱包識別番号EE004)が対応する。以下、順に、作業後の管理識別番号014は作業前の管理識別番号006(梱包識別番号DD004)が、作業後の管理識別番号006は作業前の管理識別番号000(作業後梱包番号CC001)であることが判る。
【0033】
このようにして、放射性廃棄物(13)を、最終梱包FF003から梱包EE004,DD004,発生時梱包C0001へと遡ることができる。この様子は、
図7のように示すことができる。
【0034】
図8は、本装置を使用した放射性廃棄物の管理機能の構成例として、放射性廃棄物の発生から中間貯蔵までを一つの会社で行う場合の構成例を示す。
管理装置S1,S2として、
図2に示す放射性廃棄物管理装置を配置することで、放射性廃棄物を効果的に管理できる。
ここで、作業管理システムA、Bは、例えば事業所Aで元々運用されている、互いに独立した管理システムである。これらの作業管理システムA、Bのデータの双方をデータ入力部13から登録する管理装置S1を配置することで、事業所Aにおいては発生から中間貯蔵までのトレーサビリティを保持することができる。
ここでは、管理装置S1,S2はそれぞれ、会社A内の事業所A,B別個に廃棄物を管理している。
【0035】
図9は、放射性廃棄物管理装置を複数の事業所に配置した例を表す。ここでは、放射性廃棄物の発生から中間貯蔵または最終処分までを複数の会社A,Bで実施している。
この場合、会社間での運用が必要になり、会社間の管理を実施するサービスの提供することが好ましい。ここでは、説明を簡単にするため、会社Aに配置された管理装置S12~S14、および会社nに配置された管理装置15の上位装置として管理装置S11が配置され、これらを統合的に管理するものとする。
また、管理装置S12は、管理装置S13,S14の上位装置として、これらを統合的に管理している。
【0036】
図10は、変形例に係る放射性廃棄物管理装置であり、
図9で示す管理装置S11~S15に適用できる。
変形例に係る放射性廃棄物管理装置は、実施形態に係る放射性廃棄物管理装置に、統合管理情報出力部31,情報登録部32が付加される。
【0037】
統合管理情報出力部31は、管理識別情報と、自装置を識別するシステム管理情報と、に基づいて統合管理識別情報を作成し、統合管理識別情報を含む統合管理データを上位装置に渡す。
例えば、自装置のシステム管理情報:01と管理識別情報001~031とを組み合わせ、統合管理識別情報01-001~01-033を作成できる。
【0038】
情報登録部32は、下位装置から統合管理データ(および廃棄物データ)を受け取り、受け取った統合管理データ(および廃棄物データ)を管理データベース11(および廃棄物データベース)に記憶させる。
ここでは、上位装置、下位装置の双方に接続可能な放射性廃棄物管理装置としているが、上位装置、または下位装置が存在しない場合、統合管理情報出力部31または情報登録部32を除外できる。
【0039】
以上のように、廃棄物発生時の梱包(発生時梱包)、元の梱包(作業前梱包)、作業で新たに発生する梱包(作業後梱包)の組み合わせに対応する、管理識別番号を作成する。この結果、作業前後での梱包物の関連付けが明確化され、放射性廃棄物の発生、中間貯蔵、最終処分を通した履歴を容易に管理可能となる。この履歴は、双方向(発生から中間貯蔵・最終処分に到る方向、この逆の中間貯蔵・最終処分から発生に遡る方向)で容易に確認できる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
11 管理データベース
12 廃棄物データベース
13 データ入力部
14 関連付け特定部
15 管理識別情報決定部
16 検索・抽出部
31 統合管理情報出力部
32 情報登録部