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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】直動機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20230313BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B25J15/08 L
F16H1/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019202631
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021074818
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】大野 彰
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-104967(JP,A)
【文献】実開昭59-146641(JP,U)
【文献】特開平04-063691(JP,A)
【文献】特開平07-001374(JP,A)
【文献】米国特許第04598942(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/04-15/10
F16H 1/06ー 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転不能に固定された第1歯車と、
前記第1歯車と噛み合っており、自転しながら前記第1歯車の周囲を公転する第2歯車と、
前記第2歯車と噛み合っており、自転しながら前記第1歯車の周囲を公転する第3歯車と、
前記第3歯車の中心軸に基端部が固定され、前記第3歯車の径方向に延びている第1アーム部と、
前記第1歯車と同軸で回転する略リング状の回転体と、
前記回転体と締結された中空構造の出力テーブルと、
前記出力テーブルの外周に設けられた歯車部と噛み合うピニオンが取り付けられた回転軸を有するモーターと
を備え、
前記第1歯車が前記回転体の中空部に配置され、
前記第2歯車及び前記第3歯車が前記回転体により支持され、
前記モーターが駆動することにより前記出力テーブル及び前記回転体が回転し、前記回転体の回転により、前記第3歯車が自転しながら前記第1歯車の周囲を公転すると、前記第1アーム部の先端部が前記第1歯車の径方向に沿って略直線状に移動する、直動機構。
【請求項2】
前記第2歯車と前記第3歯車と前記第1アーム部との組を複数備えている請求項1に記載の直動機構。
【請求項3】
前記第1アーム部の先端部に、把持対象物を把持する把持部が設けられている、請求項1又は2に記載の直動機構。
【請求項4】
前記第1アーム部に段部が形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の直動機構。
【請求項5】
前記第1歯車の周方向に隣接する、前記第2歯車及び前記第3歯車の2つの組において、一方の組と他方の組との軸方向位置が異なる、請求項2~4のいずれか一項に記載の直動機構。
【請求項6】
前記第3歯車と同軸に設けられた第1プーリーと、
前記第1プーリーとともにベルトが巻かれており、自転しながら前記第1歯車の周囲を公転する第2プーリーと、
前記第2プーリーの中心軸に基端部が固定され、前記第2プーリーの径方向に延びている第2アーム部と
を備え、
前記第2プーリーが自転しながら前記第1歯車の周囲を公転すると、前記第2アーム部の先端部が前記第1歯車の径方向に沿って略直線状に移動する、請求項1に記載の直動機構。
【請求項7】
記第1プーリー及び前記第2プーリーが前記回転体により支持されている、請求項6に記載の直動機構。
【請求項8】
前記第1アーム部及び前記第2アーム部の先端部に、対象物を把持する把持部が設けられている、請求項6又は7に記載の直動機構。
【請求項9】
前記第1アーム部及び前記第2アーム部に段部が形成されている、請求項6~8のいずれか一項に記載の直動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ベース部と、待機位置から前記ベース部の中心に近づく方向にそれぞれ移動可能となっている複数の把持部と、各前記把持部を駆動する駆動部とを備えるロボットハンドが記載されている。このロボットハンドにおいては、前記駆動部によって各前記把持部が前記待機位置から前記ベース部の中心に近づく方向に移動させられることにより対象物が各前記把持部により把持されるようになっている。また、各前記把持部は前記待機位置から前記ベース部の中心に近づく方向に直線移動を行うようになっていることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-104967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロボットハンドにおいては、把持部を駆動する駆動部とは別に、ベース部を回転させるための駆動部が必要と考えられる。
【0005】
本発明は、単一の駆動部を用いた直動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る直動機構は、回転不能に固定された第1歯車と、前記第1歯車と噛み合っており、自転しながら前記第1歯車の周囲を公転する第2歯車と、前記第2歯車と噛み合っており、自転しながら前記第1歯車の周囲を公転する第3歯車と、前記第3歯車の中心軸に基端部が固定され、前記第3歯車の径方向に延びている第1アーム部と、前記第1歯車と同軸で回転する略リング状の回転体と、前記回転体と締結された中空構造の出力テーブルと、前記出力テーブルの外周に設けられた歯車部と噛み合うピニオンが取り付けられた回転軸を有するモーターとを備える。前記第1歯車が前記回転体の中空部に配置され、前記第2歯車及び前記第3歯車が前記回転体により支持され、前記モーターが駆動することにより前記出力テーブル及び前記回転体が回転し、前記回転体の回転により、前記第3歯車が自転しながら前記第1歯車の周囲を公転すると、前記第1アーム部の先端部が前記第1歯車の径方向に沿って略直線状に移動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単一の駆動部を用いた直動機構が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】直動機構及び中空ロータリーアクチュエータの斜視図である。
図2】直動機構及び中空ロータリーアクチュエータの一部切り欠き斜視断面図である。
図3】直動機構を中空ロータリーアクチュエータ側から見た一部切り欠き斜視断面図である。
図4A】把持部が直線移動する様子を示す説明図である。
図4B】把持部が直線移動する様子を示す説明図である。
図4C】把持部が直線移動する様子を示す説明図である。
図5】第3歯車の公転角及び自転角を示す説明図である。
図6】直動機構の他の実施例を示す斜視図である。
図7】直動機構の他の実施例を示す斜視図である。
図8A】4個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図8B】4個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図9A】5個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図9B】5個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図10A】6個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図10B】6個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図11A】6個の把持部を有する別の直動機構を示す説明図である。
図11B】6個の把持部を有する別の直動機構を示す説明図である。
図11C】6個の把持部を有する別の直動機構を示す説明図である。
図12A】12個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図12B】12個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図12C】12個の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図13A】単一の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
図13B】単一の把持部を有する直動機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を以下に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではない。
【0010】
[第1実施形態]
図1図3に示すように、本実施形態に係る把持機構100は、中空構造を有する中空ロータリーアクチュエータ(以下、単に「アクチュエータ」とも呼ぶ。)110に対し、アクチュエータの軸方向に取り付けられている。アクチュエータ110には、同アクチュエータを駆動するモーター111が取り付けられている。符号112はアクチュエータ110のケースであり、符号113A及び113Bはアクチュエータ110の軸受である。符号114は出力テーブルであり、符号115はベアリング固定キャップである。
【0011】
中空ロータリーアクチュエータ110の軸方向のうち、同アクチュエータから把持機構100へと向かう方向を軸方向一方向と呼び、その反対方向を軸方向他方向と呼ぶ。軸方向一方向を符号A1により示し、軸方向他方向を符号A2により示す。
【0012】
把持機構100は、アクチュエータ110の径方向外側に延びるアーム部120と、このアーム部の先端部に設けられ、アクチュエータ110の軸方向一方向に延びる把持部122とを備えている。本例では、アーム部120と把持部122との組み合わせが3組設けられている。
【0013】
符号130は回転ベース部であり、符号131は第1歯車固定部であり、符号132は第1歯車である。符号133は第2歯車であり、符号134は第2歯車133の軸受である。符号135は第3歯車であり、符号136A及び136Bは第3歯車135の軸受であり、符号137は第3歯車135の回転軸である。符号138は回転ベース部カバーである。
【0014】
本実施形態においては、アクチュエータ110により略リング状の回転ベース部130を回転させることで、3個の把持部122が、同期しながら、回転ベース部130の径方向外側から中心に向かう方向又はその逆方向に略直線状に移動する。これにより、対象物(不図示)が3個の把持部122により把持されるようになっている。
【0015】
アクチュエータ110は、中空構造の出力テーブル114を備えている。出力テーブル114は、ねじ等の締結部材(不図示)により回転ベース部130と締結されている。モーター111が駆動することにより、出力テーブル114及び回転ベース部130が回転する。
【0016】
アクチュエータ110についてさらに説明する。
アクチュエータ110のケース112には、軸受113A及び113Bが固定されている。歯車部114Aが外周に設けられた中空構造の出力テーブル114は、軸受113A及び113Bによりケース112内において回転可能に支持されている。
【0017】
モーター111の回転軸に取り付けられたピニオン111Aは、出力テーブル114の歯車部114Aと噛み合っている。これにより、モーター111が駆動すると、出力テーブル114及び回転ベース部130が回転する。
【0018】
なお、本実施形態においては、上記のような機構の中空ロータリーアクチュエータ110を用いたが、これに限られない。モーターの中空ローターが回転するようなダイレクトドライブモーターなどの、中空構造の回転駆動機構を用いることもできる。さらには、中空構造の回転ベース部130の中空部内に回転不能の第1歯車132が配置され、回転ベース部130が回転できるような構成であればよい。
【0019】
続いて、把持機構についてさらに説明する。
図3に示すように、中空ロータリーアクチュエータ110の出力テーブル114の中空部内に略円筒状の第1歯車固定部131が配置されている。第1歯車固定部131の底面部(軸方向他端面部)に形成されたねじ穴131Aには、アクチュエータ110のケース112の底面部(軸方向他端面部)に形成された穴112Aを通してねじ(不図示)が締め付けられる。これにより、第1歯車固定部131はケース112に固定される。
【0020】
第1歯車固定部材131の軸方向一端側には、第1歯車132が回転不能に固定されている。この第1歯車132は、出力テーブル114に締結されている回転ベース部130の中空部内に、アクチュエータと同軸に配置されている。
【0021】
図2に戻ると、回転ベース部130には、第2歯車133の軸受134と第3歯車135の軸受136Aとが固定されており、第2歯車133と第3歯車135は回転可能となっている。第1歯車132と第2歯車133とが噛み合っており、第2歯車133と第3歯車135とが噛み合っている。第3歯車の回転軸(中心軸)137にはアーム部120の基端部が固定されており、第3歯車135の駆動に合わせてアーム部120が稼動するようになっている。前述のとおり、アーム部120の先端部には把持部122が設けられている。
【0022】
続いて、把持部122の動きについて説明する。
中空ロータリーアクチュエータ110の出力テーブル114が回転することにより、回転ベース部130が当該回転ベース部の中心軸を基準として回転する。前述のとおり、回転ベース部130には、3個の第2歯車の軸受134と3個の第3歯車の軸受136Aとが固定されている。このことから、回転ベース部130が回転すると、第2歯車133及び第3歯車135が第1歯車132の周囲を公転する。
【0023】
第2歯車133は、回転ベース部130の中空部内に回転不能に固定されている第1歯車132と噛み合っているとともに、自転可能に軸支されている。そのため、第2歯車133は、第1歯車132の外周に沿って公転すると同時に自転する。この自転は公転と同方向である。
【0024】
第3歯車135は、第2歯車133と噛み合っているとともに、自転可能に軸支されている。そのため、第2歯車133が自転することにより、第3歯車135は第2歯車133の自転方向とは逆方向に自転する。
【0025】
このように、回転ベース部130が回転することで、第2歯車133及び第3歯車135は、回転ベース部130と同方向に公転する。同時に、第2歯車133は公転と同方向に自転し、第3歯車135は公転と逆方向に自転する。
【0026】
第3歯車135の回転軸137は、軸受136A及び136Bにより軸支されており、第3歯車135とともに回転する。3個の軸受136Aは回転ベース部130に固定され、3個の軸受136Bは回転ベース部カバー138に固定されている。回転ベース部カバー138は、回転ベース部130と結合されており、回転ベース部130とともに回転する。第3歯車135の回転軸137の、軸方向一端側の端部は、回転ベース部カバー138の軸方向一端面から突出している。この突出部分に、第3歯車135の径方向に延びる略直方体形状のアーム部120の基端部が固定されている。
【0027】
回転ベース部130が回転すると、第3歯車135の回転軸137が第1歯車132の周囲を公転し、かつその公転とは逆方向に自転する。これにより、アーム部120は、回転ベース部130の回転と共に公転しながら、その公転とは逆方向に自転する。
【0028】
次に、アーム部120が動くことにより、アーム部120の先端部に固定された把持部122が動くときに描かれる軌跡について説明する。図4A図4Cに、回転ベース部カバー138を外した状態で、軸方向他方向A2に沿って把持機構100を見た様子を示す。
【0029】
まず、図4Aに示すように、3個のアーム部120の各々が、回転ベース部130の径方向と略平行に位置している。この位置を待機位置と呼ぶ。待機位置において、把持部122は、第1歯車132の中心軸から一番離れている。
【0030】
回転ベース部130が図4Aの右方向に回転した場合、図4Bに示すように、アーム部120の基端部、すなわち第3歯車135の回転軸137に固定された部分を中心に、右方向に公転しながら、左方向に自転する。このとき、把持部122は、第1歯車132の径方向に沿って略直線状に移動するように構成されている。
【0031】
回転ベース部130がさらに右方向に回転すると、図4Cに示すように、把持部122は、第1歯車132の中心軸に向かって略直線状にさらに移動する。3個の把持部122は、同期しながら、第1歯車132の中心軸に向かって略直線状に移動するため、3個の把持部122の内側にある対象物(不図示)を3個の把持部122により把持することができる。
【0032】
図4Cの状態から回転ベース部130を左回転させると、図4Bの状態を経て図4Aの状態となる。つまり、3個の把持部122は、第1歯車132の中心軸から離れるように略直線状に移動する。これにより、筒状の対象物(不図示)を内側から把持することができる。
【0033】
把持部122が略直線状に移動するようにすべく、以下の3点について述べる。
(1)回転ベース部130の回転量に対する、第3歯車135の自転の回転量の関係
(2)第1歯車132と第3歯車135の軸間隔
(3)アーム部120の、第3歯車135の回転軸137の固定部と把持部122との間隔
【0034】
まず、回転ベース部130の回転量に対する、第3歯車135の自転の回転量の関係は、第1歯車132の歯数と第2歯車133の歯数による変速比と、第2歯車133の歯数と第3歯車135の歯数による変速比とにより決まる。
【0035】
一例では、第1歯車132の歯数が48であり、第2歯車133の歯数が24であり、第3歯車135の歯数が24である。したがって、図5に示すように、回転ベース部130の回転角(第3歯車135の公転角)をθとし、第3歯車135の自転角をθとすると、θとθの関係は、1:2となる。
【0036】
この場合、第1歯車132の中心Pを通る軸方向の直線と第3歯車135の回転軸137の中心Pを通る軸方向の直線との間隔lと、中心Pを通る軸方向の直線と把持部122の中心Pを通る軸方向の直線の間隔lとを等しくすると、把持部122を略直線状に移動させることができる。
【0037】
角度θと角度θの関係は、一般的には以下のとおりである。
【数1】
【0038】
間隔lと間隔lが等しい場合の角度θと角度θの関係は以下のとおりである。
【数2】
【0039】
以上から、間隔lと間隔lを等しくすれば、設計が容易になる。
【0040】
動作に影響するのは、第3歯車135の公転及び自転であるため、条件を満たすのであれば、形状に合わせて歯数比は自由に設定することができる。
【0041】
把持部122は、略直線状の軌跡上の位置に応じて対象物との接触面が異なる。そのため、把持部122を、回転ベース部130の回転軸に平行な軸を有する円柱状などとすることにより、把持部122と対象物との接触条件を一定とすることができる。
【0042】
なお、3つのアーム部120の各々を第1アーム部120と呼ぶこともできる。
【0043】
[第2実施形態]
先の実施形態においては、中空ロータリーアクチュエータ110等の中空の回転駆動機構により回転ベース部130を回転させることとした。しかし、直接の駆動対象を回転ベース部130ではなく、第2歯車133又は第3歯車135としてもよい。第2歯車133及び第3歯車135の一方を自転させることにより、回転ベース部130が回転するため、第1実施形態と同様に動作する把持機構が実現できる。
【0044】
図6に、本実施形態に係る把持機構200を示す。この把持機構200においては、第3歯車235がモーター211により直接駆動される。図1~3と同じ要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
把持機構200は、前述の実施形態と同様、3個の把持部(2個の把持部122と把持部222)を備えている。モーター211により第3歯車235が回転することで、第3歯車235の回転軸に固定されたアーム部220が回転するとともに、第3歯車235と噛み合っている第2歯車233も回転する。第2歯車233は回転不能に固定されている第1歯車232と噛み合っているため、第2歯車233は自転しながら、第1歯車232の周りを公転する。これにより、第2歯車233を支持している回転ベース部130が回転する。
【0046】
第3歯車235は自転だけではなく公転もすることから、アーム部220も自転及び公転する。その結果、アーム部220の先端部に設けられている把持部222は、略直線状に動く。
【0047】
回転ベース部130が回転することで、前述の実施形態と同様、他の2個の第2歯車133が自転及び公転する。第2歯車133と噛み合っている第3歯車135も自転及び公転する。その結果、他の2つのアーム部120も自転及び公転することで、アーム部120の先端に設けられている把持部122は、モーター211により直接駆動される把持部222と同期して略直線状に動く。
【0048】
以上により、上記と同様の把持機構200が構成できる。なお、モーター211は第3歯車235の公転に伴って移動する。また、第1歯車232は、第1歯車固定部231の取付部231aにより、図示しない装置等に固定されている。
【0049】
なお、2つのアーム部120及びアーム部220の各々を第1アーム部と呼ぶこともできる。
【0050】
[第3実施形態]
図7に、第3実施形態に係る把持機構300を示す。本実施形態において、第2歯車(符号333)及び第3歯車(符号335)はいずれも一つのみである。第3歯車335の回転軸337にアーム部320及び把持部322が固定されている。また、第3歯車335の回転軸337に第1プーリー340が設けられている。アーム部320は、第3歯車335の回転軸337の回転とともに動く。
【0051】
先の実施形態における2つの第3歯車135に代えて、回転ベース部130及び回転ベース部カバーに軸支され回転可能な第2プーリー341が設けられている。第1プーリー340及び2個の第2プーリー341にはベルト350が巻かれ、第1プーリー340の回転に伴って第2プーリー341も同期回転するように構成されている。第2プーリー341の回転軸342にはアーム部120の基端部が固定されている。
【0052】
このような把持機構300において、回転ベース部130と第2歯車333と第3歯車335とのいずれかが回転駆動することにより、前述の実施形態と同様、2つの把持部122と把持部322とが同期して略直線状に動く。
【0053】
なお、アーム部320を第1アーム部320と呼び、2つのアーム部120の各々を第2アーム部120と呼ぶこともできる。
【0054】
[第4実施形態]
把持部は3個に限定されるわけではなく、4個以上設けることもできる。図8A及び図8Bに、それぞれ待機位置及び把持位置にある把持機構400を示す。第1歯車132と噛み合う第2歯車433と、第3歯車435と、アーム部420と、把持部422との組が4組設けられている。図においては、一つの組にのみ符号を付し、その他の組については符号を省略している。
【0055】
図9A及び図9Bに、それぞれ待機位置及び把持位置にある把持機構500を示す。第1歯車132と噛み合う第2歯車533と、第3歯車535と、アーム部520と、把持部522との組が5組設けられている。図においては、一つの組にのみ符号を付し、その他の組については符号を省略している。
【0056】
以上のように4個以上の把持部を設けることもできる。しかし、把持部の個数が一定数以上になると、ある一つの把持部の回転軸が隣にある別の把持部と干渉しやすくなる。この干渉を回避するために、逃げ形状などの対策をとることができる。
【0057】
図10A及び図10Bに、特段の対策をとらずに6個の把持部を備えた把持機構を示す。図10Aは待機位置を示し、図10Bは、把持部を待機位置から動いた後の様子を示す。第1歯車132と噛み合う第2歯車933と、第3歯車935と、アーム部920と、把持部922との組が6組設けられている。
【0058】
図10Bに示すように、第3歯車935の回転軸に取り付けられたアーム部920の先端部に設けられた把持部922が、別の第3歯車の回転軸と干渉してしまう結果、把持部が直動できる範囲が狭くなってしまう。
【0059】
このような干渉を防ぐための対策が施された把持機構1000を図11A図11Cに示す。同図に示すように、第1歯車132と噛み合う第2歯車1033と、第3歯車1035と、アーム部1020と、把持部1022との組が6組設けられている。アーム部1020には段部が形成され、アーム部1020の基端部1020Aと先端部1020Bとが軸方向に垂直な別々の平面に位置している。言い換えると、アーム部1020の基端部と先端部とは、軸方向に垂直な同一平面上に位置しないようになっている。このような構成により、多くの把持部を設けた場合でも把持部の直動範囲を確保することができる。
【0060】
図12A図12Cに、12個の把持部を備えた把持機構1200を示す。
第1歯車132と噛み合う第2歯車1233aと、第3歯車1235aと、段部が形成されたアーム部1220aと、把持部1222aとの組(以下、「第1の組」とも呼ぶ。)が6組設けられている。さらに、
第1歯車132と噛み合う第2歯車1233bと、第3歯車1235bと、段部が形成されたアーム部1220bと、把持部1222bとの組(以下、「第2の組」とも呼ぶ。)が6組設けられている。
【0061】
第1の組における第2歯車1233a及び第3歯車1235aと、第2の組における第2歯車1233b及び第3歯車1235bの組とは、第1歯車132の周方向に沿って交互に設けられている。
そして、第1の組における第2歯車1233a及び第3歯車1235aから見て、第2の組における第2歯車1233b及び第3歯車1235bは、軸方向一方向(符号A1)側に位置している。
【0062】
このように、第1の組と、第1の組から見て軸方向一方向側に位置している第2の組とは、第1歯車132の周方向に沿って交互に配置されている。すなわち、歯車の配置が多層化されている。かかる多層化により、把持部の個数が増えるにつれて歯車密度が高くなり、歯車の配置が難しくなるという問題に対処することができる。
【0063】
これまで把持部が3個以上の場合を説明してきたが、把持部を1個又は2個とすることも可能である。特に、把持部が1個の場合、その把持部を単に直動部と呼ぶことができる。
【0064】
図13A及び図13Bに、単一の直動部を備えた直動機構1300を示す。回転ベース部1330と、第1歯車1332と、第2歯車1333と、第3歯車1335と、アーム部1320と、直動部1322とが設けられている。回転ベース部1330と第2歯車1332と第3歯車1335とのいずれかを、モーターなどの機構により回転駆動させることで、直動部1322は、図13Aに示す待機位置から図13Bに示す把持位置まで略直線状に移動する。
【0065】
以上のように、一つの回転駆動機構(モーターなど)と歯車機構により、アーム部を自転及び公転させ、アーム部先端の直動部を略直線状に移動させることができる。回転駆動機構を除けば歯車のみで直動機構を構成することができる。そのため、ラック及びピニオンを用いた直動機構やボールねじを用いた直動機構に比べて、安価な直動機構が実現できる。
【0066】
なお、把持機構を直動機構と呼ぶこともできる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 把持機構
110 中空ロータリーアクチュエータ
111 モーター
111A ピニオン
112 ロータリーアクチュエータのケース
112A 穴
113A,113B ロータリーアクチュエータの軸受
114 出力テーブル
114A 出力テーブルの歯車部
115 ベアリング固定キャップ

120 アーム部
122 把持部

130 回転ベース部
131 第1歯車固定部
131A ねじ穴
132 第1歯車
133 第2歯車
134 第2歯車の軸受
135 第3歯車
136A,136B 第3歯車の軸受
137 第3歯車の回転軸
138 回転ベース部カバー
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B