(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】脱毛症及び脂漏症に有効なCopaifera属植物の抽出物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20230313BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20230313BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20230313BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230313BHJP
A61P 17/08 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q7/00
A61K36/48
A61P17/14
A61P17/08
(21)【出願番号】P 2019551613
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2018057075
(87)【国際公開番号】W WO2018172379
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500166231
【氏名又は名称】ピエール、ファブレ、デルモ‐コスメティーク
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO-COSMETIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】クリステル、フィオリニ-ピュイバレ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0863616(KR,B1)
【文献】国際公開第2013/084163(WO,A1)
【文献】特開2000-169348(JP,A)
【文献】特開平08-012560(JP,A)
【文献】Valdir F. Veiga Jr, et al,Phytochemical and Antioedematogenic Studies of Commercial Copaiba Oils Available in Brazil,PHYTOTHERAPY RESEARCH,2001年,vol15, No6,pp.476-480
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/33-33/44
A61K 36/00-36/9068
A61P 1/00-43/00
A61K 31/00-31/327
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱毛症の予防及び/又は治療のための皮膚科又は化粧組成物であって、
前記皮膚科又は化粧組成物は、
Copaifera属植物の抽出物と、皮膚科学的に又は化粧品として許容可能な1種以上の賦形剤とを含み、
前記
Copaifera属植物の抽出物は、5α-還元酵素の阻害有効成分として
、Copaifera属オレオレジンの不揮発性画分を含
み、
前記不揮発性画分は、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを含むことを特徴とする、前記皮膚科又は化粧組成物。
【請求項2】
前記Copaifera属が、以下の植物種:Copaifera officinalis、Copaifera multijuga及びCopaifera reticulataから選択され、単独又は混合して使用されることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項3】
前記
Copaifera属植物の抽出物が、前記
Copaifera属植物の抽出物の総重量に基づく重量基準で、7.5~95重量%のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項4】
前記
Copaifera属植物の抽出物が、Copaifera属オレオレジンの不揮発性画分からなることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項5】
前記不揮発性画分が、コパール酸、コパイフェロール酸、アガテンジオール酸ジメチルエステル、アガト酸、3β-ヒドロキシアンチコパール酸メチルエステル、ハードウィッキ酸、7α-アセトキシハードウィッキ酸からなる群から選択された2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上又は7種以上のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを含むことを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項6】
前記不揮発性画分が、以下のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステル:コパール酸、コパイフェロール酸、アガテンジオール酸ジメチルエステル、アガト酸、3β-ヒドロキシアンチコパール酸メチルエステル、ハードウィッキ酸、7α-アセトキシハードウィッキ酸を含むことを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項7】
前記
Copaifera属植物の抽出物が、前記組成物における唯一の抗脱毛症有効成分であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項8】
前記
Copaifera属植物の抽出物の量が、前記組成物の総重量を基準として、0.05~10重量%であることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項9】
脱毛の遅延化に使用するための、請求項1~
8のいずれか一項に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項10】
局所投与に適する形態である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の皮膚科又は化粧組成物。
【請求項11】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の皮膚科又は化粧組成物を含む抗脱毛症組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱毛症の治療及び/又は予防並びに脂漏症の治療における、化粧品としての及び皮膚科学におけるCopaifera(コパイフェラ)属植物の抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Copaifera属には35種が挙げられ、その全ては熱帯アメリカ、すなわち、メキシコ、北アルゼンチン及び大部分はブラジル原産の樹木である。この地域には、20を超える種が存在し、最も豊富であるのがC.officinalis、C.reticulata、C.multijugaである。Copaifera officinalisは、ブラジル、コロンビア及びベネズエラで主に見られる樹木である。それは、赤褐色の樹木であり、25mまで成長する。葉は、複葉であり、2~10枚の小葉を伴う偶数羽状であり、互生又は亜対生であり、微突頭であり、基部では不規則な円形である。それらは、長さ3~8cm及び幅2~4cmである。概して無柄である白い花は、7~14cmの花序に一群となっている。果実は、成熟時には直径20~25mmの膨らんだ小さな鞘で、無毛で、卵形の種を含む微突頭である。
【0003】
オレオレジンは、種々のCopaifera属種(Copaifera species)の樹皮に切り込みを入れることで採取される物質である。二次材と髄との合流する分泌管(anastomosed secretory channels of the secondary wood and the marrow)に見られるため、その抽出には、樹木から自然に流れ出ていけるように、幹への非常に深い切り込みを必要とする。
【0004】
蒸気蒸留又は水蒸気蒸留の後、オレオレジンからは、香水業において有名な、Copaiba(コパイバ)の精油を取得できる。
【0005】
Copaibaのオレオレジンは、ブラジルの先住民によって16世紀以来、医学分野において使用されている。それは、創傷の治療及び傷痕の除去のため、解熱剤、尿路の殺菌剤として、白帯下及び淋病に対しての、伝統的なブラジルの医薬における使用に長い歴史を有している。一般的な強壮剤と考えられており、その適応症は、以下のとおり:性感染症、呼吸器疾患、喘息、リウマチ、二次的な皮膚病変、潰瘍であった。低用量において、それは、胃に直接作用する賦活薬である。Copaibaのオレオレジンは、炎症によって引き起こされる過剰な粘液の分泌を抑制する。現在、Copaibaのオレオレジンは、ブラジルの薬局でカプセルとして販売されており、そこでは、体内の炎症及び胃潰瘍の全ての型に適応とされている。局所に適用した際、それは、強力な殺菌剤及び抗炎症治癒剤であり、非常に困難な創傷の治癒に役立つ。Copaibaのオレオレジンは、関節痛、軽い捻挫、血腫、腱炎に非常に効果的であると言われている。オレオレジンは、皮膚に直接適用される。オレオレジンはまた、痛みのある又は炎症した筋肉及び関節のマッサージオイルとして使用される。
【0006】
必要に応じて蒸留されたCopaibaのオレオレジンはまた、化粧品、並びに石鹸、風呂の気泡剤、洗剤及びクリームの製造、並びに香水の固定剤として使用される。オレオレジンは、食品産業において香味剤として使用されることもある。コパイバのオレオレジンはまた、芸術家にとっての材料として、とりわけ油絵の具の配合及び装飾陶磁器に使用される。
【0007】
オレオレジンは、無色で粘りの少ない液体であり、時間とともに、油性の粘度を帯びて、緑がかった黄色になる。その粘度及び色は、由来となる樹木及びそこに見られる精油に応じて、僅かに変化する。そのにおいは強く不快であり、その風味は苦く刺激性がある。オレオレジンは、水に不溶性であり、アルコール及びエーテルに完全に可溶性である。
【0008】
Copaifera officinalisのオレオレジンは、それらの揮発性によって区別される二つの画分からなる。つまり、各画分は、異なる化合物によって特徴付けられる:
-大部分がセスキテルペンからなる、オレオレジンの50~90%に相当する「揮発性の」精油。これらのセスキテルペンの中で、大部分のゲルマクレンD、(E)-β-カリオフィレン、β-及びδ-エレメン、α-イランゲン、α-グルジュネン、α-フムレンは区別できる。少数部分のセスキテルペンは、α-クベベン、α-コパエン、7-エピ-セスキツジェン、シス-及びトランス-α-ベルガモテン、セスキサビネン-A及び-B、4αH,10αH-グアイア-1(5),6-ジエン、アロ-アロマデンドレン、γ-ウウロレン(uurolene)、α-アモルフェン、β-セリネン、ビシクロセスキフェランドレン(bicycliosesquiphyllandrene)、α-ムウロレン、β-ビサボレン、γ-カジネン、δ-カジネン、シス-カラメン、ゾナレン、カキナ-1’4-ジエン(cakina-1’4-diene)、α-カジネン、α-カラコレン、セリナ-3,7(11)-ジエン、ゲルマクレンBである。この揮発性オイルは、非常に透明で無色であり、非常に顕著なにおい及び味である。
-大部分は以下のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステル:コパール酸、コパイフェロール酸、アガテンジオール酸ジメチルエステル、アガト酸、3β-ヒドロキシアンチコパール酸メチルエステル、ハードウィッキ酸、7α-アセトキシハードウィッキ酸からなる、オレオレジンの10~50%に相当する「不揮発性の」画分。この蒸留残渣は、芳香のある暗褐色の粘稠液である。
【0009】
韓国特許10-0863616(KR10-0863616)には、Copaifera属オレオレジンの揮発性画分(すなわち、精油)の、様々な化粧品及び治療への使用について開示されている。この文書には、この精油が、抗しわ、抗炎症、発毛促進、抗肥満、抗酸化、免疫抑制及び美白といった多くの特性を有することが開示されている。この文書で請求されている、この精油の抗脱毛症の特性に関して、禿の患者の頭皮に局所的に適用し、毛包再生の効果が、ミノキシジルで観察された効果と同等であると見出されている。しかしながら、脱毛を予防する効果は、立証されていない。
【0010】
Gomes da Silva et al.(Alternative Medicine Review;17;1;p69-75)には、Copaifera属精油の抗にきび作用が記載されている。その導入部において、この文書では、抗炎症、抗菌及び治癒といった、その多くの特性で知られるオレオレジンが、2つの画分、セスキテルペン画分(揮発性の精油に含まれる)及びジテルペン画分(不揮発性画分に含まれる)からなることを確認している。Gomes da Silva et al.,によって実施された試験では、精油(すなわち、セスキテルペンに富む揮発性画分)を、1型座瘡(type 1 acne)(非炎症性面皰)の志願者に適用している。これらの試験の結論は、Copaibaのオレオレジンの揮発性セスキテルペン画分を含む精油は、軽度の座瘡の治療に有効であろうことであり、著者らは、この精油の抗にきび作用において、Propionibacterium acnesの増殖を阻害する潜在的な役割を提案している。
【0011】
そのために多くの研究は、その治癒的特性に関してCopaifera属オレオレジンの揮発性画分に着目してきた。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、非常に驚くべきことに、Copaifera属オレオレジンは、その不揮発性画分によって、5α-還元酵素に対する阻害作用を通じて、とりわけ有利かつ有益である皮膚科学的な及び化粧品としての特性を有していることを示した。
【0013】
この特性は、脱毛症の治療又は予防並びに脂漏症の治療における、化粧品としての及び皮膚科学における使用に関連している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
脱毛症は、部分的又は全体的な脱毛として定義されている。毛の一生は、三つの段階が連続して続く、毛周期と呼ばれる周期に従っている。成長期は、毛球における強烈な代謝活動と関連した、活発で持続的な成長の期間である。退行期は、有糸分裂活性の減少によって特徴付けられる。毛は退縮を受け、毛包の萎縮及びその皮膚への移行は増大するようである。最後の段階は休止期であり、その間、毛包は休止して、最終的に毛は新しい毛によって押し出される。毛周期が完了すると、次の毛周期が開始される。ヒトでは、それぞれの毛球の一生は、約20~25周期を経験する。加齢とともに、我々の毛髪はより細くなり、その周期はより短くなる。
【0015】
男性型脱毛症(androgenetic alopecia)は、毛周期の加速(毛周期期間の短縮)が原因であり、初めに「産毛」と呼ばれる小型化した毛髪が出現し、次に毛髪再生の早期枯渇となる現象である。実際、成長期(成長段階)の期間は、数年(2~5年)から数ヶ月に、さらには数週間にさえも短縮される(Whiting et al.,J Investig Dermatol Symp Proc,1999)。結果として、早期の脱毛となる。
【0016】
遺伝性の男性型脱毛症(以前は脂漏性脱毛症として知られた)の原因となるメカニズムは、数ある中で、ホルモン成分と、アンドロゲン受容体(テストステロン及びDHT受容体)の過剰発現及びより強力な5α-還元酵素活性とが関与することが、今日まで知られている。このホルモンに関する脱制御によって、テストステロンの活性型代謝物であるジヒドロテストステロンの過剰な産生という結果となる。毛乳頭において、この代謝物は毛周期阻害物の産生を刺激して、それによって、成長期を短縮させて、毛髪をあまりに早く退行期に変換して、毛包が質の良いケラチンを産生するのに十分な時間を残さず、そして必然的に数周期後には、毛幹を産生する毛包の能力の枯渇となる。
【0017】
この過剰なアンドロゲンによる脱毛症はまた、更年期の女性に影響を与えたり(閉経後の脱毛症)、アンドロゲン処置の後の女性に影響を与える。それは、こめかみ及び頭頂部において始まる。この脱毛は、男性においてよりも、より分散して広範にわたる。脱毛は、頭皮全体に均一に作用する。
【0018】
そのため、5α-還元酵素を阻害する有効成分は、男性及び/又は女性の脱毛の治療及び/又は予防に役立つであろう。
【0019】
脂漏症に関しては、それは、皮脂腺による皮脂の過剰な産生に相当する。概して、男性は、頭部及び身体の6,000,000の毛に付随している2,000,000の皮脂腺を有する。皮脂腺の分布は、均一ではない。皮脂腺の密度は、顔及び頭皮では300~900個/cm2に、胸郭上部及び上背部では約100個/cm2に達する。
【0020】
皮脂腺の活動は、アンドロゲンの影響を受ける。アンドロゲンは、皮脂の産生を誘導する皮脂腺においてアンドロゲンの代謝を確実にする5α-還元酵素の影響下でのみ活性を有する。5α-還元酵素の過剰な活性化は、脂漏症の原因となる。
【0021】
脂漏症の発症部位は、皮脂腺が最も多量で最も豊富である顔の中心部(額、鼻、頬)である。脂漏症はまた、頭皮においても起こり、前頭部及び前頭側頭部並びに頭頂部に主に現れる。
【0022】
脂漏症は、美的及び皮膚科学的な問題(例えば、脂漏性皮膚炎等)の原因となる。皮膚に関しては、それは艶のある外見を有し(shiny appearance)、顔色はくすみ(the complexion is dull)、毛包脂腺開口部は拡張している。さらに、化粧は、このタイプの脂性肌(oily skin)にうまくのらない。
【0023】
頭皮の脂漏症としては、毛髪は、脂っぽく、くすんで見えて、整髪するのが困難である。脂漏症がひどくなると、それは脂性、流動性(fluent)と呼ばれ、悪臭を伴うことがある。
【0024】
脂漏症は、頻繁に男性型脱毛症を伴う。
【0025】
したがって、5α-還元酵素活性の活性阻害剤は、皮脂の分泌を減少させ、脂漏症を治療して、脂漏症に伴う美的な問題を解決することが可能である。
【0026】
そのため、第1実施形態において、本発明は、脂漏症及び脱毛症から選択された皮膚症状の予防及び/又は治療に使用するためのCopaifera属植物の抽出物であって、5α-還元酵素の阻害有効成分として、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物を含むか、あるいは、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物からなる抽出物に関する。好ましくは、脱毛症の治療である。
【0027】
本発明の第2実施形態において、前記Copaifera属植物は、以下の植物種:Copaifera officinalis、Copaifera multijuga及びCopaifera reticulataから選択され、単独又は混合して使用される。
【0028】
本発明のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物を含むCopaifera属植物の抽出物は、精製されたCopaifera属植物の抽出物であってもよく、前記抽出物の総重量に基づく重量基準で、7.5~95重量%のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを含んでいてもよい。
【0029】
有利には、本発明のCopaifera属植物の抽出物は、Copaifera属オレオレジンを含むか、あるいは、Copaifera属オレオレジンからなり、前記Copaifera属オレオレジンは、前記Copaifera属オレオレジンの総重量を基準として、7.5重量%以上、とりわけ15重量%以上、さらにとりわけ20重量%以上、さらに一層とりわけ25重量%以上のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物を含む。
【0030】
本発明のCopaifera属植物の抽出物は、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物が富化されたCopaifera属オレオレジンを含んでいてもよいか、あるいは、富化されたCopaifera属オレオレジンからなっていてもよく、前記富化されたCopaifera属オレオレジンは、前記富化されたCopaifera属オレオレジンの総重量に基づく重量基準で、48~90重量%、とりわけ50~90重量%、さらにとりわけ60~90重量%、さらに一層とりわけ70~90重量%、さらに一層とりわけ80~90重量%のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを含む。
【0031】
本発明はまた、脂漏症の治療及び/又は予防のための皮膚科組成物における抗脂漏症有効成分としての使用のための、本発明のCopaifera属オレオレジンであって、前記抽出物が前記組成物における唯一の抗脂漏症有効成分であることを特徴とする、本発明のCopaifera属オレオレジンに関する。
【0032】
本発明はまた、脱毛症の治療及び/又は予防のための皮膚科組成物における抗脱毛症有効成分としての使用のための、本発明のCopaifera属オレオレジンであって、前記抽出物が前記組成物における唯一の抗脱毛症有効成分であることを特徴とする、本発明のCopaifera属オレオレジンに関する。
【0033】
本発明の目的において、「富化された(enriched)」という語は、抽出物中のオレオレジンが、上記ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの濃度を上昇させるための種々の方法によって、天然のオレオレジン(すなわち、樹木から直接取得されたオレオレジン)と比較して、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの上昇した濃度を有するということを意味する。この濃度上昇は、好ましくは、他のオレオレジンの化合物と比較して上記酸及びエステルにおけるものであり、他のオレオレジンの化合物は、仮に濃縮されたとしても、僅かしか濃縮されない。富化は、他の化合物及び分子に対して、これら7種のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの含有量を濃縮する方法を介した処理によって達成することができる。そのような富化は、主に、揮発性画分(すなわち、精油)の少なくとも部分的な除去を含んでいる。
【0034】
ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物は、コパイン酸、コパイフェロール酸、アガテンジオール酸ジメチルエステル、アガト酸、3β-ヒドロキシアンチコパール酸メチルエステル、ハードウィッキ酸、7α-アセトキシハードウィッキ酸からなる群から選択された2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、又は7種以上のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを含む。ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物は、上記の7種のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルであることが好ましい。
【0035】
【0036】
ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物は、以下のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステル:コパイン酸、コパイフェロール酸、アガテンジオール酸ジメチルエステル、アガト酸、3β-ヒドロキシアンチコパール酸メチルエステル、ハードウィッキ酸、7α-アセトキシハードウィッキ酸の全てを含むことが好ましい。
【0037】
オレオレジンからなる、本発明のCopaifera属植物の抽出物は、抽出物の総重量を基準とした重量%で、上記の7種のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを7.5~40重量%、好ましくは10~30重量%含む。
【0038】
富化されたオレオレジンからなる、本発明のCopaifera属植物の抽出物は、抽出物の総重量を基準とした重量%で、上記の7種のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを48~90重量%、好ましくは60~85重量%含む。
【0039】
【0040】
特定の実施形態において、本発明のCopaifera属植物の抽出物は、Copaifera属オレオレジンの不揮発性画分を含むか、あるいは、Copaifera属オレオレジンの不揮発性画分からなる。
【0041】
他の実施形態において、本発明のCopaifera属植物の抽出物は、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物を含むか、あるいは、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物からなる。
【0042】
Copaifera属オレオレジンの、この「不揮発性」画分は、ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物を含み、とりわけ水蒸気蒸留による精油の完全又は部分的な除去、好ましくは完全な除去の後に取得できる。この不揮発性画分は、上記画分の総重量を基準として、80重量%以上、好ましくは80~90重量%以上のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルを含む。これは、最大限の富化によって富化されたオレオレジンからなる抽出物を表す。
【0043】
ジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物はまた、Copaifera属オレオレジン、又はCopaifera属オレオレジンの「不揮発性」画分から、とりわけ液液抽出によって取得可能であり、液液抽出は、抽出及び抽出溶媒の除去後に取得される液体画分の総重量を基準として、50~100重量%、とりわけ60~100重量%、さらにとりわけ80~100重量%のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステル濃度を有する混合物が取得されるまで行われる。抽出及び溶媒の除去後に取得される、この液体画分は、上記混合物を表す。
【0044】
本発明はまた、上記された本発明のCopaifera属植物の抽出物と、皮膚科学的に又は化粧品として許容可能な1種以上の賦形剤とを含む、脱毛症及び/又は脂漏症の治療に使用するための、皮膚科又は化粧組成物に関する。
【0045】
一実施形態によれば、本発明は、上記された本発明のCopaifera属植物の抽出物と、皮膚科学的に又は化粧品として許容可能な1種以上の賦形剤とを含む、脱毛症の治療に使用するための皮膚科又は化粧組成物であって、Copaifera属植物の抽出物が上記組成物における唯一の抗脱毛症有効成分であることを特徴とする、皮膚科又は化粧組成物に関する。
【0046】
好ましくは、脱毛症の治療は、脱毛の遅延化を目的とする。
【0047】
一実施形態によれば、本発明は、上記された本発明のCopaifera属植物の抽出物と、皮膚科学的に又は化粧品として許容可能な1種以上の賦形剤とを含む、脂漏症の治療に使用するための皮膚科又は化粧組成物であって、Copaifera属植物の抽出物が上記組成物における唯一の抗脂漏症有効成分であることを特徴とする、皮膚科又は化粧組成物に関する。とりわけ、脂漏症は、頭皮及び/又は皮膚の脂漏症、好ましくは頭皮の脂漏症に関する。
【0048】
好ましくは、Copaifera属植物の抽出物の量は、組成物の総重量を基準として、0.05~10重量%である。
【0049】
本発明はまた、脱毛症及び/又は脂漏症の治療に使用するための、本発明の組成物であって、局所投与に適する形態である組成物に関する。有利な方法において、Copaifera属植物の抽出物は、脱毛症の治療に使用するための組成物における唯一の抗脱毛症有効成分である。他の有利な実施形態によれば、Copaifera属植物の抽出物は、脂漏症の治療に使用するための組成物における唯一の抗脂漏症有効成分である。
【0050】
脱毛症の治療又は予防は、脱毛の遅延化であってもよい。
【0051】
脂漏症は、皮膚の脂漏症及び頭皮の脂漏症から選択されてもよい。
【0052】
局所投与は、毛髪及び/又は頭皮及び/又は皮膚への投与であってもよい。
【0053】
本発明はまた、脱毛症及び/又は脂漏症の治療に使用するための、本発明の組成物であって、経口投与に適切な形態である組成物に関する。本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、0.05~10重量%の本発明の抽出物を含むことを特徴とする。特定の実施形態において、本発明のCopaifera属植物の抽出物は、上記組成物における脱毛症の治療のための唯一の有効成分である。他の特定の実施形態によれば、本発明のCopaifera属植物の抽出物は、上記組成物における脂漏症の治療のための唯一の有効成分である。
【0054】
本発明はまた、脂漏症及び/又は脱毛症の治療及び/又は予防のための、本発明のCopaifera属植物の抽出物の使用に関する。
【0055】
本発明はまた、上記された本発明のCopaifera属植物の抽出物と、皮膚科学的に又は化粧品として許容可能な1種以上の賦形剤とを含む抗脂漏症組成物に関する。好ましい抗脂漏症組成物は、局所投与に適する組成物である。有利には、本発明の抗脂漏症組成物は、抗脂漏症有効成分として本発明のCopaifera属植物の抽出物のみを含む。
【0056】
本発明はまた、上記された本発明のCopaifera属植物の抽出物と、皮膚科学的に又は化粧品として許容可能な1種以上の賦形剤とを含む抗脱毛症組成物に関する。好ましい抗脱毛症組成物は、局所投与に適する組成物である。有利には、本発明の抗脱毛症組成物は、抗脱毛症有効成分として本発明のCopaifera属植物の抽出物のみを含む。
【0057】
上記された本発明の組成物は、Copaifera属植物の抽出物の量が、組成物の総重量を基準として、0.05~10重量%であることを特徴とする。抽出物の量は、抽出物の性質によって、すなわち、それが、処理されていない(crude)オレオレジンか、富化されたオレオレジンか、又はジテルペン酸及び/若しくはジテルペン酸エステルの混合物かによって適合させることができる。この量は、例えば、組成物の総重量を基準として、0.05~10重量%、さらにとりわけ1~10重量%、2~7.5重量%又は3~6重量%であってもよい。
【0058】
特定の実施形態において、本発明の組成物におけるCopaifera属植物の抽出物は、Copaifera属オレオレジンの不揮発性画分を含むか、あるいは、Copaifera属オレオレジンの不揮発性画分からなる。
【0059】
他の実施形態において、本発明はまた、本発明の抽出物又は本発明の組成物の局所適用を含む、脂性肌、艶肌(shiny skin)、脂性の髪、脂性の頭皮、好ましくは脂性の髪、脂性の頭皮から選択された障害の治療又は予防のための、化粧方法、とりわけ、非治療的な方法に関する。特定の実施形態によれば、化粧方法、とりわけ非治療的な方法は、本発明のCopaifera属植物の抽出物が、脂性肌、艶肌、脂性の髪、脂性の頭皮、好ましくは脂性の髪、脂性の頭皮から選択された障害の治療又は予防のための唯一の有効成分であることを特徴とする。
【0060】
他の実施形態において、本発明はまた、艶のない(mattifying)脂漏性肌のための化粧方法、とりわけ、非治療的な方法に関する。
【0061】
本発明の抽出物は、本発明の組成物のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの含有量を標準化するために、脂質の担体又はビヒクルと結合又は混合させることができる。
【0062】
脂質の担体又はビヒクルは、オイル、とりわけ皮膚科学的に又は化粧品として許容可能なオイルであってもよい。
【0063】
本発明において、「皮膚科学的に又は化粧品として許容可能な(dermatologically or cosmetically acceptable)」は、皮膚科又は化粧組成物の調製に有用であり、一般に安全であり、無毒であり、生物学的にもその他の点でも不適切でなく、そして、皮膚科学的に又は化粧品としての使用に、とりわけ、局所適用に許容可能であることを意味する。
【0064】
本発明の組成物は、有利には、局所適用、特に皮膚への適用を目的とする。
【0065】
そのため、本発明の組成物は、有効成分の特性及び到達性の改善のために、とりわけ、皮膚への浸透を可能とする賦形剤を含む、一般的に知られている局所投与のための形態(すなわち、ローション、泡、ゲル、分散液(dispersion)、乳液、スプレー、美容液(serum)、マスク又はクリーム)であってもよい。
【0066】
有利には、それはクリームである。
【0067】
一般的にこれらの組成物は、本発明の抽出物に加えて、通常、水又は溶媒(例えば、アルコール、エーテル又はグリコール)をベースとした生理的に許容可能な媒体を含む。それらはまた、界面活性剤、錯化剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、保水剤、皮膚軟化剤、微量元素、精油、香水、着色料、艶消し剤、ケミカル又はミネラルフィルター、保湿剤、地熱水等を含んでいてもよい。
【0068】
さらにこれらの組成物は、相補的又は場合により相乗的な効果をもたらす他の有効成分を含んでいてもよい。
【実施例】
【0069】
薬学的な評価
以下の例によって、本発明を、その範囲を限定することなく説明する。
【0070】
例1:ヒト毛乳頭由来の線維芽細胞の5α-還元酵素活性に対する、異なる化合物の効果
【0071】
この試験の目的は、5α-還元酵素に対する、種々の化合物の潜在的な阻害活性を評価することであった。
【0072】
材料及び方法
試験は、ドナーの毛乳頭由来のヒト細胞で行われる。毛乳頭は前立腺組織と同様に5αR2アイソフォームを有するため、このモデルは魅力的である。細胞を24穴プレートに播種して、標準培養条件下で(37℃及び5% CO2)、L-グルタミン(2mM)、ペニシリン(50U/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)及びウシ胎児血清(10%)を添加したDMEM培養培地で24時間培養する。その後、培地を、L-グルタミン(2mM)、ペニシリン(50U/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)及びウシ胎児血清(1%)を添加したDMEM解析用培地と交換する。この解析用培地は、24時間の前培養のために、試験される産物及び参照として使用する化合物、フィナステリド(10μM)を含み得るが、対照条件では含み得ない。その後、細胞を、試験又は参照用産物を含むが、対照条件では含まず、かつ、[C14]-テストステロンを含む解析用培地で処理して、これらの条件で24時間培養した。培養後、上清をテストステロン代謝解析用に回収した。全ての試験を、3回行った。ステロイド分子を、クロロホルム/メタノール混合物を使用して上清から抽出した。有機層を回収して、異なる分子種(テストステロン代謝物)を、ジクロロメタン、酢酸エチル及びメタノールを含む溶媒系を使用した薄層クロマトグラフィーによって分離した。オートラジオグラフィーをクロマトグラフィーの際に行い、変換されたテストステロンを、濃度測定解析によって評価した。
【0073】
このようにして、テストステロンのジヒドロテストステロンへの代謝物は、5α-還元酵素活性を反映して、ジヒドロテストステロン/テストステロン比率によって評価される。
【0074】
結果
第一群の試験は、Copaifera officinalisのオレオレジンの効果を強調するものである(下記表3)。驚くべきことに、本発明者らは、Copaifera officinalisのオレオレジンによる5α-還元酵素の阻害は、有意で再現可能な活性であることを明らかにし、この阻害はさらに、濃度依存的であるようである。フィナステリドによるこの酵素の強力な阻害は、これら全ての試験を実際に有効なものにする。
【0075】
【0076】
試験したオレオレジンを、例Aに記載の方法によって調製した。
【0077】
比較として、ラウリル酸グリセリルという化合物に加えてSerenoa repens植物の抽出物、Curcubita pepo植物の抽出物もまた、これらの試験の一つにおいて試験した。
【0078】
10μg/mLにおいて、Serenoa repens植物の抽出物は、5α-還元酵素の有意な阻害を誘導しない。しかしながら、20μg/mLにおいて、この抽出物は、統計的有意性に達する23%の阻害を誘導する(対照に対してp<0.05)。
【0079】
17%の有意な阻害を、100μg/mLにおいて試験するCurcubita pepo植物の抽出物で取得した。
【0080】
19%の有意な阻害を、40μg/mLにおいて試験するラウリル酸グリセリルで取得した。
【0081】
第二群の試験を、5α-還元酵素に対する阻害活性が、不揮発性画分によって担われているか、あるいは、精油に相当する揮発性画分によって担われているかを評価するために行った。結果を、下記表4にまとめる。揮発性及び不揮発性画分の調製を、非極性溶媒としてジエチルエステルを使用する例Cに記載の方法によって行った。
【0082】
【0083】
Copaifera officinalisのオレオレジンの活性は、不揮発性画分によって担われていることが明らかとなり、揮発性画分の活性は全く検出されなかった。5α-還元酵素の阻害は、3μg/mL(オレオレジンよりも10倍希釈されている)において14%のみであるが、この減少は、統計的有意性に達する(p<0.05)。
【0084】
第三群の試験を行って、他のCopaifera属種、とりわけC.multijugaもまた、5α-還元酵素の阻害に関する有利な活性を有することを示した。本発明者らは、阻害活性を担う不揮発性画分に着目した。結果を、下記表3にまとめる。
【0085】
【0086】
揮発性及び不揮発性画分の調製を、非極性溶媒としてジエチルエステルを使用する例Cに記載の方法によって行った。
【0087】
これらの結果は、いくつかのCopaifera属種は有益であるということを明確に示している。実際、C.multijuga種の不揮発性画分は、10μg/mLにおいて5α-還元酵素の31%の阻害に達する。
【0088】
これら全ての結果によって、Copaifera属オレオレジンが5α-還元酵素に対して非常に有利な阻害活性を有するという結論に至る。この活性は、レジンの不揮発性画分によって担われている。最後に、本発明者らはまた、この活性はいくつかのCopaifera属種に見られることを明らかにしている。
【0089】
製造例
-オレオレジンの調製
例A:
Copaifera officinalis及び/又はCopaifera multijuga及び/又はCopaifera reticulataの樹木の幹の樹皮に、切り込みを入れてオレオレジンを回収する。それから、窒素下で、これを破砕して安定化する。
【0090】
有効成分は、Copaifera officinalis及び/又はCopaifera multijuga及び/又はCopaifera reticulataの幹由来の100%原オレオレジンである。
【0091】
Copaifera officinalisのオレオレジンのLCMS分析
それぞれの試料を、標準的な直線的勾配を使用するUHPLC-QTOFMSによって分析した。
【0092】
Waters社製Acquity UHPLCシステムによる分離
-カラム 100×2.1mm、1.7μm、プレカラムを有するAcquity BEH C18
-移動相:
移動相A:LCMSグレードの水+0.1%ギ酸
移動相B:LCMSグレードのアセトニトリル+0.1%ギ酸
-勾配:
【0093】
【表6】
取得(Acquisitions):UV 220nm
【0094】
【0095】
-不揮発性画分の調製
-例B
上記例Aに従って取得したオレオレジンを、10倍容量の水に懸濁して、100℃で4時間加熱して、水蒸気蒸留する。揮発性の精油を、濃縮によって回収する。水蒸気蒸留の後、蒸留残渣を回収する。凍結乾燥又は他の乾燥方法による乾燥の後、残渣は不揮発性画分を構成する。
【0096】
-例C
上記例Aに従って取得した1倍容量のCopaifera属オレオレジンは、8~10倍容量の水不混和性脂溶性溶媒(例えば、ジエチルエーテル、酢酸エチル等)に希釈する。この溶液を、5%水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を使用した液液抽出によって抽出する。操作を、4~5倍容量の5%NaOHを使用して3回繰り返す。下相(塩基性水相)を、1Nの塩酸(HCl)の添加によって酸性化した後、水不混和性非極性溶媒(例えば、ジエチルエーテル、酢酸エチル等)を使用して液液抽出によって抽出する。酢酸エチル相を、水で洗浄した後、Na2SO4で乾燥する。ロータリーエバポレーター又は他の乾燥方法による溶媒の除去の後、取得される乾燥残渣は、本発明のジテルペン酸及び/又はジテルペン酸エステルの混合物に相当する。
【0097】
【0098】
-例:抗脱毛症組成物
例AのCopaifera officinalisのオレオレジン 0.05~10%
デクスパンテノール 0.3~1%
イソプロピルアルコール 1~5%
PPG-26-BUT.-26/PEG-40 2~10%
エチルアルコール 10~40%
香料 0.2~1%
水 適量
【0099】
-例:抗脂漏症組成物
例Bの不揮発性画分:0.05~10%
グリセリン:2~5%
フェノキシエタノール:0.3~0.5%
Na2EDTA:0.1~0.2%
ポリアクリレート-13及びポリイソブテン及びポリソルベート20 & 水:1~2%
ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100:2~5%
シクロペンタシロキサン:3~5%
セチルアルコール:1~2%
グリセロールトリ2-エチルヘキサン酸:2~3%
炭酸ジカプリリル:2~3%
ポリアクリル酸メチル:2~3%
香料:0.1~1%
水 適量