(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2019007374
(22)【出願日】2019-01-18
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 充慶
(72)【発明者】
【氏名】亀田 宗克
(72)【発明者】
【氏名】岡本 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】坂 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 哲志
(72)【発明者】
【氏名】福原 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暢紘
【審査官】平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-198111(JP,A)
【文献】特開2015-131093(JP,A)
【文献】特開2017-164133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する演出を制御する演出制御部を備える遊技機において、
前記演出制御部は、
複数の演出データが予め保持されたデータ保持手段と、
前記データ保持手段に保持されている前記演出データを一時的に格納する複数の領域を有し、前記演出データを前記領域に読み書き可能なデータ格納手段と、
前記領域への前記演出データの格納と前記領域に格納された前記演出データの読み出しとを行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記演出データに対応した優先度を参照して前記領域に前記演出データを格納
し、
前記演出データには、第1優先度の第1演出データと、前記第1優先度とは異なる第2優先度の第2演出データと、が含まれ、
前記制御手段は、前記第1演出データと、前記第2演出データと、を同じレイヤに描画可能である、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技に関する演出を制御する演出制御部を備える遊技機において、
前記演出制御部は、
複数の演出データが予め保持されたデータ保持手段と、
前記データ保持手段に保持されている前記演出データを一時的に格納する複数の領域を有し、前記演出データを前記領域に読み書き可能なデータ格納手段と、
前記領域への前記演出データの格納と前記領域に格納された前記演出データの読み出しとを行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記演出データに対応した優先度を参照して前記領域に前記演出データを格納し、
前記データ保持手段は、前記演出データのそれぞれの優先度を規定する優先度データを保持し、
前記制御手段は、前記優先度データを参照して前記演出データに前記優先度を対応させて格納
し、
第1の領域に前記演出データを格納した場合に、格納した前記演出データに基づく演出が終了するまで前記第1の領域に前記演出データを維持し、
前記第1の領域に前記演出データを格納する場合に、前記第1の領域の次に読み出す第2の領域のアドレスデータを前記優先度データを参照して設定し、
前記第1の領域から前記演出データを読み出した後に、前記アドレスデータで規定された前記第2の領域に格納された前記演出データを読み出すことで、前記演出データに対応した前記優先度の順に前記演出データを読み出す、
ことを特徴とす
る遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機(パチンコ機)では、遊技者のハンドル操作により遊技盤内の遊技領域に向かって遊技球が発射され、遊技領域を流下した遊技球が始動口に入球したことを条件に特別図柄に係る抽選が実行される。そして、遊技機では、特別図柄表示器において、特別図柄が変動表示され、さらに、抽選によって決定された特別図柄が停止表示されることで遊技者に抽選結果が報知される。このとき、遊技機では、特別図柄表示器に大当たりであることを示す特定の特別図柄が停止表示されると、通常の遊技に比べて遊技者に有利な大役遊技が開始される。大役遊技が開始された場合、遊技機では、アタッカー装置が所定回数開閉し、大入賞口への遊技球の入球が可能になるため、遊技者が多くの賞球の払い出しを受けることが可能となる。
【0003】
上述した遊技機においては、遊技に関する演出として画像を用いた多彩な演出を実現するために、画像データの読み出し及び書き込みが自在なRAMにそれぞれ画像を描画可能な複数のレイヤを有し、表示画面に表示する画像として、各レイヤに描画された画像を重ねた画像を表示する構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、遊技機においては、画像を用いたより多彩な演出が求められており、演出の内容が変更される都度、描画する画像データを読み出し及び書き込みを実行し、画像データに基づく描画を実行する、画像を用いた演出に係る一連の処理を実行する。このため、遊技機においては、多様な演出を実現するために、各演出に対応する演出に係る一連の処理を実行するため、それぞれの処理における処理負荷が増大してしまうと、処理速度が低下してしまう虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、演出に係る処理の負荷を軽減させることができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技に関する演出を制御する演出制御部を備える遊技機において、
前記演出制御部は、
複数の演出データが予め保持されたデータ保持手段と、
前記データ保持手段に保持されている前記演出データを一時的に格納する複数の領域を有し、前記演出データを前記領域に読み書き可能なデータ格納手段と、
前記領域への前記演出データの格納と前記領域に格納された前記演出データの読み出しとを行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記演出データに対応した優先度を参照して前記領域に前記演出データを格納し、
前記演出データには、第1優先度の第1演出データと、前記第1優先度とは異なる第2優先度の第2演出データと、が含まれ、
前記制御手段は、前記第1演出データと、前記第2演出データと、を同じレイヤに描画可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、演出に係る処理の負荷を軽減させることができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態の遊技機の扉が解放された状態における外観構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の遊技機の正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の遊技機における副制御部の機能ブロックを説明する図である。
【
図5】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機におけるプライオリティリストを示す図、(B)は、モーションデータを示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の遊技機におけるモーションリストを示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の遊技機におけるモーションリストにおいてすべての領域にモーションデータのインデックスが格納された状態を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態の遊技機における副制御部の機能ブロックを説明する図である。
【
図9】(A)は、本発明の第2の実施形態の遊技機におけるモーションリストを示す図、(B)は、モーションリスト先頭アドレス格納領域を示す図である。
【
図10】(A)は、本発明の第2の実施形態の遊技機におけるモーションリストにおいて、新たなモーションデータのインデックスを追加した状態を示す図、(B)は、新たなモーションデータのインデックスの追加に伴いアドレスデータの更新を実行した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第1の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、第1の実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係る遊技機であるパチンコ機1の斜視図である。
図1に示すように、パチンコ機1は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠2と、外枠2にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠4と、中枠4にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠6と、を備えている。
【0012】
中枠4は、外枠2と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されている。パチンコ機1では、中枠4の囲繞空間に遊技盤30(
図2参照)を保持している。また、前枠6には、ガラス製又は樹脂製の透過板10が保持されている。そして、パチンコ機1では、中枠4及び前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技盤30においてベースとなり、パチンコ機1を正面視した場合における中枠4の前面に設置される遊技板31(
図2参照)と透過板10とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、パチンコ機1の正面側から、透過板10を介して遊技盤30が視認可能となる。
【0013】
前枠6の下部には、パチンコ機1の正面側に突出する操作ハンドル12が設けられている。操作ハンドル12には、遊技者によって回転操作可能な発射操作レバー12aが設けられており、遊技者が発射操作レバー12aを回転させて発射操作を行うと、発射操作レバー12aの回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技価値としての遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤30の遊技板31の表面である遊技盤面31a(
図2参照)に設けられたレール32,33(
図2参照)間を上昇して遊技領域40(
図2参照)に導かれることになる。
【0014】
図2は、第1の実施形態に係る遊技盤30の正面図である。
図2に示すように、遊技領域40は、遊技盤面31aと透過板10(
図1参照)との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下又は転動可能な領域である。遊技盤30には、遊技盤面31aに多数の釘や風車が設けられており、遊技領域40に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
【0015】
遊技領域40は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域40L及び第2遊技領域40Rを備えている。第1遊技領域40Lは、パチンコ機1に正対した遊技者から見て遊技領域40の左側に位置し、第2遊技領域40Rは、パチンコ機1に正対した遊技者から見て遊技領域40の右側に位置している。パチンコ機1では、レール33が遊技領域40の左側の上部で途切れていることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球が第1遊技領域40Lに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球が第2遊技領域40Rに進入することになる。
【0016】
また、遊技領域40には、遊技球が入球可能な第1始動口51、第2始動口52、複数の第1一般入賞口58、第2一般入賞口59、が設けられており、詳細には、第1遊技領域40Lに進入した遊技球は、第1始動口51、複数の第1一般入賞口58に入球可能であり、第2遊技領域40Rに進入した遊技球は、第2始動口52、第2一般入賞口59に入球可能とあるように構成されている。第1始動口51、第2始動口52、第1一般入賞口58、第2一般入賞口59のそれぞれに遊技球が入球すると、それぞれに設定された所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、パチンコ機1において、賞球数は、1個以上であれば何個でもよく、また、第1始動口51、第2始動口52、第1一般入賞口58、第2一般入賞口59のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。パチンコ機1では、第1始動口51に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口52に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
【0017】
第1の実施形態のパチンコ機1では、第1始動口51内に第1始動領域が設けられ、第2始動口52内に第2始動領域が設けられている。そして、パチンコ機1では、第1始動口51又は第2始動口52に遊技球が入球して第1始動領域又は第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1つの特別図柄を決定するための内部抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な特別遊技状態としての大当たり遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の特典(遊技利益)が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口51又は第2始動口52に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の特典を受ける権利獲得の抽選の機会を獲得することとなる。
【0018】
また、第2始動口51には、可動片52aが開閉可能に設けられており、可動片52aの状態に応じて、第2始動口52への遊技球の進入容易性が変化するように構成されている。具体的には、可動片52aが閉状態にあるときには、第2始動口52への遊技球の入球が不可能となり、可動片52aが開き、遊技球の直径よりも開いた状態にあるときには、第2始動口52への遊技球の入球が可能となっている。
【0019】
パチンコ機1では、第2遊技領域40Rに設けられたゲート53内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、抽選によって当たりに当選すると、可動片52aが所定時間、開状態に制御される。可動片52aが開状態に制御されることで、第1の実施形態のパチンコ機1では、可動片52aが遊技球を第2始動口52に導く受け皿として機能し、第2始動口52への遊技球の入球が容易となる。なお、パチンコ機1は、可動片52aが閉状態にあるときに、第2始動口52への遊技球の入球が不可能となるように構成されているが、第2始動口52が閉状態にある場合にも一定の頻度で遊技球が入球可能となるように構成されていてもよい。
【0020】
なお、第2遊技領域40Rの上部には、ワープ導入口56及びワープ排出口57が設けられており、第2遊技領域40Rに進入した遊技球のうち、右側を流下する遊技球はワープ導入口56から遊技盤30の背面側を通過してワープ排出口57に導かれ、再度、ゲート53の上部で第2遊技領域40Rに戻される。
【0021】
第2遊技領域40Rの下方側には、遊技球が入球可能な大入賞口65を有する大入賞口装置60が設けられている。大入賞口装置60には、開閉扉61が大入賞口65を開閉可能となるように設けられており、通常、開閉扉61が大入賞口65を閉鎖して、大入賞口65への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、パチンコ機1では、大当たり遊技が実行されると、開閉扉61が開放されて、大入賞口65への遊技球の入球が可能となる。なお、大入賞口装置60には、開閉扉61の開閉と連動して上下に回動する回動部材62が設けられており、開閉扉61が開放された際に回動部材62が上方に回動して、上方から流下してくる遊技球を受け止めて大入賞口65に導き易くなる入賞補助を行うように構成されている。
【0022】
そして、大入賞口65に遊技球が入球すると、大入賞口検出センサ67により遊技球の通過が検出され、所定の賞球が遊技者に払い出される。そして、大入賞口65から入球した遊技球は、下方側に配置された排出口69を通過して大入賞口装置60の背面側から外部に排出される。なお、大入賞口検出センサ67を通過した遊技球は、遊技球検出センサである大入賞口排出検出センサ68により通過が検出され、所定時間以内に大入賞口装置60の排出口69から遊技盤30の背面に適切に排出されたか否かが検出される。
【0023】
また、第2始動口52及び大入賞口65に入球しなかった遊技球は、大入賞口装置60をそのまま通過して、第2一般入賞口59の上方に導かれ、第2一般入賞口59に入賞するか、或いはそのまま下方に流下する。なお、第2一般入賞口59は、例えば賞球を1個に設定し、第1遊技領域40Lを狙って遊技球を発射すべき状態で入賞を検出した際に、第1遊技領域40Lを狙うべき旨(つまり左打ちの推奨)を報知するように構成しておくことが可能である。
【0024】
そして、遊技領域40の最下部には、第1一般入賞口58、第1始動口51、第2始動口52、大入賞口65、第2一般入賞口59、のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域40から遊技盤30の背面側に排出する排出口55が設けられている。
【0025】
また、
図1及び
図2に示すように、パチンコ機1には、遊技状態の変化や各入賞口への入球の有無、各種抽選結果等の遊技の進行に応じた演出を実行する演出装置として、液晶表示装置からなる表示部としての演出表示装置400、演出役物装置410、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置420、スピーカからなる楽曲出力装置430、遊技者の演出に関する操作を受け付ける演出操作装置450が設けられている。
【0026】
演出表示装置400は、遊技盤30の略中央部分において、パチンコ機1の正面側から視認可能な位置に画像を表示する画像表示装置としての画像表示部400aを備えており、パチンコ機1を正面視した場合において中枠4の背面側に設置されることで遊技板31よりも奥側に設けられている。つまり、第1の実施形態のパチンコ機1では、画像表示部400aよりも手前に遊技板31が位置している。
【0027】
演出表示装置400は、
図2に示すように、画像表示部400aに左側、中央、右側にそれぞれ配置された演出図柄401L、401C,401Rが変動表示され、演出図柄401L、401C,401Rの停止表示態様によって大当たり抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。
【0028】
演出役物装置410は、演出表示装置400の画像表示部400aよりも前方に配置され、通常、画像表示部400aの表示を邪魔しないように縮退しているが、演出図柄401L、401C,401Rの変動表示中等に、画像表示部400aの前方に進出するように移動する等して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。
【0029】
図1及び
図2に示すように、演出照明装置420は、例えば光源としてのLEDやLEDから照射される光を拡散するレンズ等を有して構成され、演出役物装置410や遊技盤30等に設けられており、演出表示装置400に表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
【0030】
図1に示すように、楽曲出力装置430は、前枠6の上部位置や外枠2の最下部位置に設けられた、いわゆるスピーカであって、演出表示装置400に表示される画像等に合わせて、パチンコ機1の正面側に向けてさまざまな楽曲を出力する。なお、楽曲とは、楽音、噪音、音声、擬音等、音に関するすべての概念を含む。
【0031】
演出操作装置450は、遊技者の押下操作を受け付ける演出押下ボタン451と、遊技者の演出操作装置450全体を回動させる回動操作を受け付ける演出回動レバー452を有しており、パチンコ機1の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板10よりも下方位置に設けられている。演出操作装置450は、演出表示装置400に表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、演出表示装置400や演出役物装置410を用いたさまざまな演出が実行される。
【0032】
また、演出操作装置450の後方には、パチンコ機1から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿22が設けられ、上皿22の下方に下皿24が設けられている。パチンコ機1では、上皿22が遊技球で一杯になると、上皿22に進入できない遊技球が下皿24に導かれることとなる。また、下皿24の底面には、下皿24から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きボタン24aを押下操作することにより、上記開閉板がスライド移動する等して球抜き孔が開放され、球抜き孔から下皿24の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0033】
そして、
図2に示すように、遊技盤30には、遊技領域40の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、遊技に係る種々の状況を表示するための装置として、第1特別図柄表示器71、第2特別図柄表示器72、第1特別図柄保留表示器73、第2特別図柄保留表示器74、普通図柄表示器75、普通図柄保留表示器76、及び右打ち報知表示器77(
図3参照)を有する情報表示装置70が設けられている。
【0034】
図3は、第1の実施形態に係るパチンコ機1の各部を示すブロック図である。主制御基板で構成される主制御部100は、遊技の進行を制御し、メインCPU100aと、メインROM100bと、メインRAM100cと、を備えている。メインCPU100aは、各検出スイッチや払出・発射制御部300からの入力信号に基づいて、メインROM100bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の制御部に主制御部100で生成したコマンドを送信したりすることで、遊技の進行に係る制御処理を実行する。メインRAM100cは、メインCPU100aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0035】
主制御部100には、第1一般入賞口58に遊技球が入球したことを検出する第1一般入賞口検出スイッチ58sと、第2一般入賞口59に遊技球が入球したことを検出する第2一般入賞口検出スイッチ59sと、第1始動口51に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ51sと、第2始動口52に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ52sと、ゲート53を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ53sと、大入賞口65に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出センサ67(
図2参照)に設けられた大入賞口検出スイッチ65sと、大入賞口65から遊技球が排出されたことを検出する大入賞口排出検出センサ68(
図2参照)に設けられた大入賞口排出検出スイッチ68sとが接続されており、各検出スイッチから出力される検出信号が主制御部100に入力されるよう構成されている。
【0036】
また、主制御部100には、第2始動口52の可動片52aを作動する普通電動役物ソレノイド52soと、大入賞口65を開閉する開閉扉61を作動する大入賞口ソレノイド61soと、回動部材62を作動する大入賞口補助ソレノイド62soとが接続されており、主制御部100によって、第2始動口52及び大入賞口65の開閉制御、大入賞口65への入賞補助制御が実行されるよう構成されている。
【0037】
また、主制御部100には、第1特別図柄表示器71と、第2特別図柄表示器72と、第1特別図柄保留表示器73と、第2特別図柄保留表示器74と、普通図柄表示器75と、普通図柄保留表示器76と、右打ち報知表示器77と、が接続されており、主制御部100によって、これら各表示器の表示制御が実行される。
【0038】
第1の実施形態のパチンコ機1では、主に第1始動口51又は第2始動口52への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート53を遊技球が通過することによって開始される普通遊技と、に遊技の種別が大別される。そして、主制御部100のメインROM100bには、特別遊技及び普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0039】
メインCPU100aでは、例えば、発生させた乱数を用いて実行する特別図柄の当否に係る内部抽選、普通電動役物ソレノイド52soに信号を出力し可動片52aを作動させる制御、大入賞口ソレノイド61soに信号を出力し開閉扉61を作動させる制御、大入賞口補助ソレノイド62soに信号を出力し回動部材を作動させる制御、内部抽選における特別図柄の当選確率を変更する制御等、遊技の進行に係る制御を実行する。メインCPU100aは、各制御の結果や、各検出スイッチから入力された検出信号をコマンド(主制御コマンド)に変換し、払出・発射制御部300や副制御部200に送信する。なお、特別図柄の当選確率を変更する制御とは、大当たり遊技の終了後の遊技状態を、内部抽選における特別図柄の当選確率を、通常の確率とする通常状態と、通常の確率よりも上昇する確変状態と、のいずれかに決定する遊技状態決定制御のことを指している。
【0040】
払出・発射制御部300は、遊技球を発射させるための制御及び賞球を払い出すための制御を行う。払出・発射制御部300も、主制御部100と略同様に、図示を省略したCPU、ROM、RAMを備えており、主制御部100に対して双方向に通信可能に接続されている。払出・発射制御部300には、遊技情報出力端子板311が接続されており、主制御部100から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出・発射制御部300及び遊技情報出力端子板311を介して、外部カウンタや遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
【0041】
また、払出・発射制御部300には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ312が接続されている。払出・発射制御部300は、主制御部100から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ312を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、パチンコ機1では、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ313sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるように構成されている。
【0042】
また、払出・発射制御部300には、下皿24の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ314sが接続されている。皿満タン検出スイッチ314sは、遊技球を上皿22から下皿24に導く通路に設けられており、皿満タン検出スイッチ314sにおける遊技球の有無を遊技球検出信号として払出・発射制御部300に出力するように構成されている。即ち、払出・発射制御部300は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿24が満タン状態であると判断し、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断する。なお、下皿24が満タン状態であると判断される場合、例えば副制御部200が演出表示装置400や楽曲出力装置430等を用いて遊技者に下皿24が満タン状態であることを報知する。
【0043】
また、払出・発射制御部300には、遊技球の発射制御を行う払出・発射制御回路301が設けられている。払出・発射制御部300には、操作ハンドル12に設けられ、当該操作ハンドル12に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ12sと、発射操作レバー12aの操作角度を検出する操作ボリューム12vと、が接続されている。そして、タッチセンサ12s及び操作ボリューム12vから信号が入力されると、払出・発射制御回路301において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド12soを通電して遊技球を発射させる制御が実行される。
【0044】
副制御基板で構成され、遊技に関する演出を制御する演出制御部としての副制御部200は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御し、サブCPU200aと、サブROM200bと、サブRAM200cと、を備えている。なお、パチンコ機1においては、主制御部100に対して、不正防止の観点により、当該主制御部100から副制御部200への一方向にのみ通信可能に接続されている。
【0045】
サブCPU200aは、主制御部100から送信されたコマンド等に基づいて、サブROM200bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出表示装置400に画像を表示させる制御である画像表示制御や、演出役物装置410を駆動させたり発光させたりする演出役物制御、演出照明装置420を点灯させる点灯制御、楽曲出力装置430から楽曲を出力させる楽曲出力制御等の演出に係る制御を実行する。サブRAM200cは、サブCPU200aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0046】
また、副制御部200には、演出操作装置450の演出押下ボタン451への遊技者の押下操作を検出する押下操作検出スイッチ451sと演出回動レバー452への遊技者の回動操作を検出する回動操作検出スイッチ452sとが接続されている。押下操作検出スイッチ451sは、遊技者による演出押下ボタン451の押下操作を検出すると、演出押下操作検出信号を副制御部200に出力し、また、回動操作検出スイッチ452sは、遊技者による演出回動レバー452の回動操作を検出すると、演出回動操作検出信号を副制御部200に出力する。そして、副制御部200は、これら演出押下操作検出信号や演出回動操作検出信号等の副制御部200に入力される信号や、遊技の進行等に基づき、演出表示装置400、演出役物装置410、演出照明装置420、楽曲出力装置430等を用いた演出を実行する。
【0047】
なお、パチンコ機1には、例えば100Vの電圧からなる商用電源の電力を入力し、電源として機能する不図示の電源ユニットが備えられており、電源ユニットは、商用電源の100Vの電圧を、例えば24V(或いは12Vでもよい)の電圧に降圧して各部に供給する第1降圧回路と、例えば5Vの電圧に降圧して各部に供給する第2降圧回路とを有している。なお、島設備に供給されている例えば24Vの電圧からなる電力をそのまま入力するものでもよく、その場合、第1降圧回路は不要である。
【0048】
第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力は、主制御部100、副制御部200、普通電動役物ソレノイド52so、大入賞口ソレノイド61so、大入賞口補助ソレノイド62so、第1特別図柄表示器71、第2特別図柄表示器72、第1特別図柄保留表示器73、第2特別図柄保留表示器74、普通図柄表示器75、普通図柄保留表示器76、右打ち報知表示器77、払出モータ312、発射用ソレノイド12so、演出表示装置400、演出役物装置410、演出照明装置420、楽曲出力装置430等に送電され、それらの駆動電力や発光電力として用いられる。
【0049】
また、第2降圧回路からの例えば5Vの電圧の電力は、第1一般入賞口検出スイッチ58s、第2一般入賞口検出スイッチ59s、第1始動口検出スイッチ51s、第2始動口検出スイッチ52s、ゲート検出スイッチ53s、大入賞口検出スイッチ65s、大入賞口排出検出スイッチ68s、払出球計数スイッチ313s、皿満タン検出スイッチ314s、タッチセンサ12s、操作ボリューム12v、押下操作検出スイッチ451s、回動操作検出スイッチ452s等に送電され、それらのセンサやスイッチの駆動電力として用いられる。
【0050】
また、主制御部100においては、第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力をさらに例えば5Vの電圧の電力に降圧し、この例えば5Vの電圧の電力は、メインCPU100a、メインROM100b、メインRAM100c、払出・発射制御回路301の駆動電力として用いられる。
【0051】
そして、副制御部200においても、第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力をさらに例えば3.3V(或いは1.2Vでもよい)の電圧の電力に降圧し、この例えば3.3Vの電圧の電力は、サブCPU200a、サブROM200b、サブRAM200cの駆動電力として用いられる。
【0052】
次に、副制御部200の詳細について、
図3、
図4を用いて説明する。
図4は、副制御部200を構成する各機能部の詳細を説明するためのブロック図である。
【0053】
副制御部200は、サブCPU200aと、サブROM200bと、サブRAM200cと、の他に、演出表示装置400に表示する画像に係る制御を実行する画像IC200d、画像ROM200e及び画像RAM200fと、演出役物装置410を動作させる役物ドライバ200gと、演出照明装置420を点灯及び消灯させる照明ドライバ200hと、楽曲出力装置430から出力する楽曲に係る制御を実行する楽曲IC200i及び楽曲ROM200jと、を備えている。
【0054】
副制御部200においては、サブCPU200a、サブRAM200c、画像IC200d、画像ROM200e、画像RAM200f、楽曲IC200i、楽曲ROM200j等の一連の機能部が、SoC(System-on-a-Chip)として1個の集積回路に集積されている。ただし、SoCにいずれの機能部を集積するかは任意に設定することができる。また、サブCPU200a、サブRAM200c、画像IC200d、画像ROM200e、画像RAM200f、楽曲IC200i、楽曲ROM200j等の各機能部がそれぞれ異なる集積回路として集積され、電気的に接続されているとしてもよい。
【0055】
サブCPU200aは、副制御部200が実行する遊技に関する演出を実行するための各種制御処理を実行する。サブCPU200aは、例えば、主制御部100から送信されたコマンドを受信し、受信したコマンドにエラーが生じていないか等の判別を実行した後にサブRAM200cに設けられたコマンドバッファにコマンドを格納する制御処理や、コマンドバッファに格納したコマンドを読み出して解読し、解読したコマンドに基づく演出パターン(演出内容)を決定する制御処理等の、各種制御処理を所定の周期(例えば4ms)で実行する割込み処理を実行するように構成されている。
【0056】
また、サブCPU200aは、解読したコマンドから決定した演出パターンに基づき演算を実行し、演出コマンドを構築する。サブCPU200aは、例えば、画像、つまり演出表示装置400を用いた演出パターンを決定した場合、決定した演出パターンに基づいた画像データの決定や、画像データを配置する位置等の演算を実行して画像に関する演出コマンドである画像コマンドを構築する。そして、サブCPU200aは、構築した画像コマンドを画像IC200dに転送する。画像IC200dの詳細については、後述する。
【0057】
また、サブCPU200aは、演出パターンとして演出役物装置410を用いた演出パターンを決定した場合、決定した演出パターンに基づいた役物パターンを演算し、演算した役物パターンに従って、役物ドライバ200gに所定時間間隔で1(ON)又は0(OFF)のデータから構成される演出コマンドである役物コマンドを構築し、役物ドライバ200gに転送する。役物ドライバ200gは、サブCPU200aから転送される役物コマンドに従い、演出役物装置410を駆動するFET(Field Effect Transistor)をON又はOFFにする。
【0058】
また、サブCPU200aは、演出パターンとして演出照明装置420を用いた演出パターンに決定した場合、決定した演出パターンに基づいた照明パターンを演算し、演算した照明パターンに従って、照明ドライバ(LEDドライバ)200hに所定時間間隔で1(ON)又は0(OFF)のデータから構成される演出コマンドである照明コマンドを構築し、照明ドライバ200hに転送する。照明ドライバ200hは、サブCPU200aから送信される照明コマンドに従い、演出照明装置420を駆動するFETをON又はOFFにする。
【0059】
また、サブCPU200aは、演出パターンとして楽曲出力装置430を用いた演出パターンに決定した場合、決定した演出パターンに基づいた楽曲データを演算し、演出コマンドとして楽曲データを特定可能な楽曲コマンドを構築し、楽曲IC200iに対して転送する。楽曲IC200iは、楽曲コマンドによって特定される楽曲データを楽曲ROM200jから楽曲IC200iに読み出し、楽曲データを、順次、楽曲出力装置430に出力する。
【0060】
なお、楽曲IC200iは、複数の楽曲バッファ(バッファ)を有し、各楽曲バッファに異なる楽曲データを保持させることができる。そして、楽曲IC200iは、複数の楽曲バッファに保持された楽曲データを重畳し、重畳された楽曲データが楽曲出力装置430に出力される。
【0061】
画像IC200dは、VDP(Video Display Processor)とも呼ばれ、画像ROM200eに格納されたプログラムに基づき、画像RAM200fと協働して、画像制御手段210として機能する。画像制御手段210は、サブCPU200aから転送された画像コマンドによって特定される画像データを、演出に係る画像データを記憶する記憶手段としての画像ROM200eから読み出し、画像RAM(VRAM)200fの有する複数のレイヤのうち対象となるレイヤに画像データを描画する。
【0062】
画像RAM200fは、複数のレイヤのそれぞれに異なる画像データを描画させることができる。画像制御手段210は、複数のレイヤのうち下位のレイヤに描画された画像から順に演出表示装置400に表示される画像が描画される描画領域としてのフレームバッファに描画することで、各レイヤに描画された画像について、上位のレイヤに描画された画像が優先して表示されるようにフレームバッファに重畳する。
【0063】
画像ROM200eには、予め生成された複数の演出データであり、それぞれ画像の最小データである複数の演出データとしての複数のモーションデータが保持されたデータ保持手段(データベース)として構成されている。第1の実施形態において、画像制御手段210は、サブCPU200aから転送された画像コマンドに対応するモーションデータを画像ROM200eから取得し、画像RAM200f内においてそれぞれアドレスが設定された複数の領域に区分けされたモーションリスト230に、取得したモーションデータを特定する情報であるモーションデータのインデックス(以下、モーションデータのインデックスを単に「インデックス」とも記載)を一時的に格納する。画像RAM200fは、モーションリスト230の複数の領域のそれぞれにおいてモーションデータのインデックスを読み書き可能(自在)なデータ格納手段として構成されている。この、画像ROM200e及び画像RAM200fが、第1の実施形態におけるデータ記憶手段を構成する。
【0064】
モーションリスト230の領域にインデックスを格納する場合において、画像制御手段210は、複数のモーションデータのそれぞれの優先度を規定する優先度データとしてのプライオリティリスト220を参照してモーションリスト230に格納する。第1の実施形態の画像制御手段210は、モーションリスト230の領域にインデックスを格納する場合に、プライオリティリスト220で規定された優先度が低いモーションデータから順に、アドレスの値が小さい領域に格納していく。
【0065】
そして、画像制御手段210は、モーションリスト230の各領域に格納されているインデックスについて、アドレスの値が小さい領域から順に読み出すことで、各モーションデータに対応する優先度の順にインデックスに対応するモーションデータを読み出し、各モーションデータに対応するレイヤに描画することで、演出表示装置400に表示する画像を作成する。この、各モーションデータに対応する優先度の順に読み出し、各モーションデータに対応するレイヤに描画する画像制御手段210が、第1の実施形態における制御手段を構成する。
【0066】
2.プライオリティリスト、モーションデータ及びモーションリストの詳細
次に、
図5、
図6を参照して、第1の実施形態に係るパチンコ機1において、副制御部200の画像ROM200eが有するプライオリティリスト220と、画像ROM200eに保持されているモーションデータと、画像RAM200fに設けられたモーションリスト230と、の詳細について説明する。
【0067】
図5(A)は、プライオリティリスト220を示す図である。
図5(A)に示すように、プライオリティリスト220は、優先度の順に各モーションデータのモーション内容が規定されたリストとなっている。なお、
図5(A)に示すプライオリティリスト220は、画像ROM200eに保持されている複数のプライオリティリストの中の1つであり、画像ROM200eには、画像制御手段210が描画するさまざまな描画実行対象のそれぞれにおいて使用される複数のモーションデータに対応するプライオリティリストが保持されている。また、
図5(A)には、プライオリティリスト220にそれぞれモーションデータの内容に対応する表記の文字が記載されているが、これに限らず、1~Nの範囲の数値が保持されたリストであってもよい。具体的には、数値1が最も優先度が低く、数値の値が大きくなればなるほど優先度が高いものとして扱われる。
【0068】
図5(B)は、複数のモーションデータを示す図である。
図5(B)に示すように、モーションデータには、データアドレスとモーション内容とが規定されている。また、
図5(A)、(B)に示すように、モーションデータにおいては、モーション内容がプライオリティリスト220に規定された優先度に対応付けられている。例えば、データアドレス「T_M_BG」のモーションデータは、モーション内容が「背景データ」と規定されており、プライオリティリスト220において最も優先度の低い「背景」と対応付けられている。
【0069】
図6は、第1の実施形態における画像RAM200fに設けられたモーションリスト230に、画像を描画するためのインデックスであるデータアドレス及びプライオリティの情報を格納した状態を示す図である。第1の実施形態において、画像制御手段210は、プライオリティリスト220に規定された優先度に従い、モーションリスト230のアドレスの値が小さい領域から順にデータアドレス及びプライオリティの情報を格納していく。
【0070】
第1の実施形態の画像制御手段210は、演出表示装置400に表示する画像を描画する際に、モーションリスト230のアドレスの値が小さい領域から順にモーションデータのデータアドレスに対応するモーションデータを読み出していくことで、プライオリティリスト220に規定されているモーションデータの順、つまり優先度の低い順にモーションデータを読み出す。優先度の低いモーションデータから順次読み出され描画されることで、パチンコ機1では、既に描画された優先度の低いモーションデータに対応する画像の上に優先度の高いモーションデータに対応する画像の描画を実行することができ、優先度の高いモーションデータに対応する画像を優先して演出表示装置400に表示することができる。
【0071】
画像制御手段210は、モーションリスト230について、1フレーム(約33.3ms)ごとに更新可能に構成されている。画像制御手段210は、モーションリスト230を更新する場合において、サブCPU200aから転送された画像コマンドに基づき、モーションリスト230にインデックスを追加したり、モーションリスト230からインデックスを削除したりすることができる。
【0072】
上述したように、プライオリティリスト220は、画像制御手段210による描画実行対象が変更された際に更新されるデータとなっている。つまり、第1の実施形態のパチンコ機1では、プライオリティリスト220がモーションリスト230よりも低い更新頻度に構成されており、インデックスの格納の都度プライオリティリスト220が更新されることが防止されていることから、モーションリスト230の更新時において処理される情報量にプライオリティリスト220に係る情報量が含まれることを防ぐことができ、モーションリスト230の更新に係る処理を実行する負荷を低減することができる。
【0073】
次に、モーションリスト230の作成後にサブCPU200aから新たなインデックスの追加に係る画像コマンドが転送された場合について説明する。なお、第1の実施形態の画像制御手段210は、
図7に示すように、モーションリスト230にインデックスが格納されていない領域が無い状態、換言すると、モーションリスト230を構成するいずれの領域にも空きがない状態で、新たなインデックスの追加に係るコマンドが転送された場合、モーションリスト230への登録数がオーバーした旨のエラーを示すコマンドをサブCPU200aに転送する。
【0074】
第1の実施形態の画像制御手段210は、まず、新たに追加するモーションデータの優先度をプライオリティリスト220を参照して規定する。次に、画像制御手段210は、新たに追加するモーションデータの優先度と、モーションリスト230の各アドレスの領域に格納されているモーションデータの優先度(プライオリティ)と、について、アドレスの値が小さい領域に格納されているモーションデータから順次比較していく。比較する際において、画像制御手段210は、新たに追加するモーションデータの方が優先度が高い場合には、比較した領域の次のアドレスの領域に格納されているモーションデータとの比較を実行する。そして、画像制御手段210は、比較した結果、領域に格納されているモーションデータよりも新たに追加するモーションデータの方が優先度が低いと判定した場合、該領域及び該領域以降の領域に格納されているインデックスをそれぞれ1つ次のアドレスの領域に移し、該領域に新たなモーションデータを格納する。
【0075】
図6に示すモーションリスト230に新たにモーションデータとしてデータアドレスが「T_M_G」でありモーション内容が「群予告データ」であるモーションデータ(以下、当該モーションデータを「群予告データ」とも記載)を追加する場合を例に具体的に説明する。
図5(A)に示すように、群予告データは、「セリフ予告(テキスト部分)」の次に優先度が高いモーションデータであり、「図柄」よりも優先度が低いモーションデータである。
【0076】
画像制御手段210は、まず、アドレス10000000Hの領域に格納されているモーションデータのプライオリティと、群予告データの優先度と、を比較する。
図5(A)、
図6に示すように、アドレス10000000Hの領域には、優先度が最も低い「背景」のプライオリティが格納されていることから、アドレス10000000Hの領域に格納されているインデックスを維持すると決定するとともに、群予告データの優先度と比較するインデックスを、アドレス10000000Hの領域の次の領域であるアドレス10000010Hの領域に格納されているインデックスに変更する。
【0077】
アドレス10000010Hの領域には、優先度が「群予告」よりも低い「ステップアップ予告」のインデックスが格納されていることから、画像制御手段210は、アドレス10000010Hの領域に格納されているインデックスを維持すると決定するとともに、群予告データの優先度と比較するインデックスを、アドレス10000010Hの領域の次の領域であるアドレス10000020Hの領域に格納されているインデックスに変更する。画像制御手段210は、以下、アドレス10000040Hの領域に格納されている優先度が「図柄」に規定されたインデックスが群予告データの優先度と比較されるまで、同様の処理を実行する。
【0078】
アドレス10000040Hの領域には、優先度が「群予告」よりも高い「図柄」のプライオリティが格納されていることから、画像制御手段210は、アドレス10000040Hの領域に群予告データのインデックスを格納すると決定するとともに、ソート処理を行う。
【0079】
ソート処理において、画像制御手段210は、最も優先度が高いインデックスが格納された領域の情報(
図6の場合であればアドレス10000040Hの領域のデータアドレス「T_M_ZG」、プライオリティ「図柄」)と、該領域の次のアドレスの領域のインデックス(
図6の場合であればアドレス10000050Hの領域のデータアドレス「NULL」、プライオリティ「0」)と、を交換し、以降既存の領域から新たな領域に格納し直すデータについて、データアドレス「NULL」、プライオリティ「0」の情報と交換を順次繰り返し、新たなインデックスを格納する領域がデータアドレス「NULL」、プライオリティ「0」となるまで領域間のインデックスの移動を実行する。そして、画像制御手段210は、新たなインデックスを格納する領域がデータアドレス「NULL」、プライオリティ「0」となった場合に、該領域に新たなインデックスを格納し、新たなモーションリストの更新を完了する。
【0080】
図6に示すモーションリスト230のアドレス10000040Hの領域に群予告データのインデックスを格納する場合、画像制御手段210は、現在モーションリスト230に格納されているインデックスの中で最も優先度が高いインデックスが格納された領域であるアドレス10000040Hの領域に格納されたデータアドレス「T_M_ZG」及びプライオリティ「図柄」を、アドレス10000050Hの領域のデータアドレス「NULL」、プライオリティ「0」と、を交換することで、アドレス10000040Hの領域をデータアドレス「NULL」、プライオリティ「0」として、アドレス10000040Hの領域に群予告データのインデックスを格納するソート処理を実行する。
【0081】
なお、ソート処理の具体的内容は、第1の実施形態の内容に限定されるものではない。画像制御手段210は、例えば、
図6に示すモーションリスト230のアドレス10000040Hの領域に群予告データのインデックスを格納する場合、アドレス10000040Hの次のアドレス10000050Hの領域が空いている(データアドレス「NULL」、プライオリティ「0」の状態)か否かを判定し、空いていると判定した場合には、アドレス10000040Hの領域に格納されていた優先度が「図柄」のインデックスを、アドレス10000040Hの領域の次のアドレス10000050Hの領域に格納した後に、アドレス10000040Hの領域に群予告データのインデックスを格納する。ここで、画像制御手段210は、アドレス10000050Hの領域が空いていないと判定した場合、アドレス10000050Hの次のアドレス10000060Hの領域が空いているか否かを判定し、空いていると判定される領域になるまで順次判定を実行し、空いていると判定された場合に、該空いている領域の1つ前のアドレスの領域に格納されたインデックスを該空いている領域に格納することでソートし、順次ソートを行うことでアドレス10000040Hの領域に群予告データのインデックスを格納する。
【0082】
このようにすることで、パチンコ機1では、新たなインデックスを既存のモーションリスト230に追加する際においても、モーションリスト230に格納されているインデックスが優先度順に格納されることで、画像制御手段210が優先度の順にモーションデータを読み出すことができる。
【0083】
なお、画像制御手段210は、モーションリスト230からインデックスを削除する場合において、削除するインデックスよりも下位のアドレスに優先度が高いインデックスが保存されている場合には、インデックスが削除され空いた領域に削除したインデックスの次に優先度が高かったインデックスを格納し、次の領域がNULLになるまでインデックスを順次ソートする。これにより、パチンコ機1では、任意のインデックスを削除する場合にも、画像制御手段210が優先度の順にモーションデータを読み出すことができる。
【0084】
また、
図6においては、モーションデータの優先度として、
図5(A)に図示したプライオリティリスト220に保持された表記の文字に対応する文字が記載されているが、これに限らず、プライオリティリスト220に数値が保持されている場合には、プライオリティリスト220に保持された数値と対応する値が設定されていてもよい。具体的には、データアドレス「T_M_BG」のモーションデータには、優先度として値1が付与される。
【0085】
3.第1の実施形態のまとめ
以上のように、第1の実施形態の遊技機(1)は、
遊技に関する演出を制御する演出制御部(200)を備える遊技機(1)において、
前記演出制御部は、
複数の演出データが予め保持されたデータ保持手段と(200e)、
前記データ保持手段に保持されている前記演出データを一時的に格納する複数の領域を有し、前記演出データを前記領域に読み書き可能なデータ格納手段(200f)と、
前記領域への前記演出データの格納と前記領域に格納された前記演出データの読み出しとを行う制御手段(210)と、を有し、
前記制御手段は、前記演出データに対応した優先度を参照して前記領域に前記演出データを格納する。
【0086】
この構成により、第1の実施形態のパチンコ機1は、画像RAM200fのモーションリスト230の各アドレスの領域に、モーションデータに対応した優先度を参照してそれぞれ格納することで、画像制御手段210がモーションリスト230に格納されたインデックスに対応するモーションデータを読み出す際に都度モーションデータの優先度を確認する必要がなくなるため、演出に係る処理としてモーションデータの読み出しに係る処理の実行時における処理の負荷を軽減させることができる。
【0087】
また、第1の実施形態の遊技機(1)において、
前記データ保持手段は、前記複数の演出データのそれぞれの優先度を規定する優先度データ(220)を保持し、
前記制御手段は、前記優先度データを参照して前記演出データに前記優先度を対応させて格納する。
【0088】
この構成により、第1の実施形態のパチンコ機1は、画像ROM200eに保持されたプライオリティリスト220を用いてモーションデータの優先度を対応させてインデックスをモーションリスト230に格納するため、モーションリスト230へのインデックスの格納時に優先度を規定することができ、画像制御手段210がモーションリスト230に格納されたインデックスに対応するモーションデータを読み出す際に都度モーションデータの優先度を確認する必要がなくなるため、演出に係る処理としてモーションデータの読み出しに係る処理の実行時における処理の負荷を軽減させることができる。
【0089】
[第2の実施形態]
次に、第1の実施形態を一部変更した第2の実施形態について、
図5、
図8、
図9に沿って説明する。なお、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態と同様な部分について、同符号を用いて説明し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
1.構成
第2の実施形態のパチンコ機1は、
図8に示すように、画像RAM200fに、モーションリスト235aと、モーションリスト235a内の領域のアドレスを示すデータを格納するモーションリスト先頭アドレス格納領域235bが設けられており、モーションリスト235a及びモーションリスト先頭アドレス格納領域235bの構成及び画像制御手段210が実行するモーションリスト235aの用いた処理の構成が、第1の実施形態のパチンコ機1とは異なった構成となっている。
【0091】
2.モーションリストを用いた処理の詳細
図9(A)は、第2の実施形態のモーションリスト235aを示す図である。
図9(A)に示すように、第2の実施形態のモーションリスト235aは、インデックスとして、モーションデータのデータアドレスと、プライオリティリスト220から規定したモーションデータに対応した優先度(プライオリティ)と、当該領域に格納されたインデックスに対応するモーションデータを読み出した場合に次に読み出す領域のアドレスに係るデータ(アドレスデータ)と、が格納されている。
【0092】
図9(B)は、モーションリスト先頭アドレス格納領域235bを示す図である。
図9(B)に示すように、モーションリスト先頭アドレス格納領域235bには、画像制御手段210がモーションリスト235aからのモーションデータの読み出しを開始する場合に、最初に読み出す領域のアドレスが格納されている。
図9(A)、(B)に示す例においては、画像制御手段210にモーションリスト235aのアドレス10000040Hの領域に格納されているインデックスに対応するモーションデータを最初に読み出させるように構成されている。
【0093】
次に、
図5、
図9を参照して、第2の実施形態の画像制御手段210が実行するモーションリスト235aの更新に係る処理と、モーションリスト235aに格納されたモーションデータの描画に係る処理と、の詳細について説明する。
【0094】
第2の実施形態の画像制御手段210は、演出表示装置400に表示する画像を描画する際に、まず、モーションリスト先頭アドレス格納領域235bに格納されているアドレスの値を参照する。画像制御手段210は、例えば、
図9(B)に示すように、モーションリスト先頭アドレス格納領域235bにアドレス10000040Hが格納されている場合、モーションリスト235aのアドレス10000040Hの領域を最初に読み出すと決定する。
【0095】
画像制御手段210は、モーションリスト先頭アドレス格納領域235bに格納されているアドレスの値に対応する領域に格納されたインデックスに対応するモーションデータを読み出した場合、該領域に格納されているアドレスデータを参照し、該アドレスデータで指定されたアドレスの領域に格納されているインデックスに対応するモーションデータを次に読み出す。画像制御手段210は、例えば、アドレス10000040Hの領域からデータアドレス「T_M_BG」に対応するモーションデータを読み出した場合、アドレス10000040Hに格納されたアドレスデータとしてアドレス10000080Hが格納されていることから、次に、アドレス10000080Hの領域に格納されているインデックスに対応するモーションデータの読み出しを開始する。
【0096】
以降、画像制御手段210は、モーションデータを読み出す際に、該インデックスが格納されている領域に格納されているアドレスデータ(次のアドレス)がNULLとなるまで、モーションデータの読み出し後に次にモーションデータを読み出す領域を決定し、領域に格納されているアドレスデータ(次のアドレス)がNULLとなった場合に、最後のモーションデータを読み出したと判定しモーションリスト235aからのモーションデータの読み出しを終了する。
【0097】
画像制御手段210は、モーションリスト235aについて、1フレーム(約33.3ms)ごとに更新可能に構成されている。画像制御手段210は、モーションリスト235aを更新する場合において、サブCPU200aから転送された画像コマンドに基づき、モーションリスト235aにインデックスを追加したり、モーションリスト235aからインデックスを削除したりすることができる。また、画像制御手段210は、1枚の画像の描画が終了する1フレームの時間が経過するまでの間、モーションリスト235aの各領域に格納されているインデックスを維持する。
【0098】
次に、モーションリスト235aの作成後に新たにインデックスを追加する場合に画像制御手段210が実行する制御について、
図9、
図10を用いて説明する。モーションリスト235aの作成後にサブCPU200aから新たなモーションデータの追加に係る画像コマンドが転送された場合、第2の実施形態の画像制御手段210は、新たに追加するモーションデータの優先度をプライオリティリスト220を参照して規定する。次に、画像制御手段210は、モーションリスト235aにおいてインデックスが格納されていない領域に新たなインデックスのうちデータアドレスとプライオリティとを格納する。このとき、画像制御手段210は、新たに領域に格納するアドレスデータについても設定(更新)する処理を実行する。
【0099】
新たに領域に格納するアドレスデータを設定する処理において、画像制御手段210は、まず、モーションリスト先頭アドレス格納領域235bに格納されているアドレスデータで指定された領域に格納されているモーションデータのプライオリティと、新たに領域に格納するモーションデータのプライオリティと、を比較する。そして、新たに領域に格納するモーションデータのプライオリティの方が優先度が高い場合、画像制御手段210は、比較したインデックスが格納されている領域におけるアドレスデータで指定された領域に格納されているモーションデータのプライオリティと、新たに領域に格納するモーションデータのプライオリティと、を比較する。画像制御手段210は、新たに領域に格納するモーションデータのプライオリティの方が比較対象となったモーションデータのプライオリティよりも優先度が低くなるまで、比較対象となるインデックスについてアドレスデータを参照して順次変更していく。そして、画像制御手段210は、比較した結果、領域に格納されているモーションデータのプライオリティよりも新たに追加するモーションデータのプライオリティの方が優先度が低いと判定した場合、該領域の1つ前に比較したインデックスが格納されている領域において格納されていたアドレスデータ(次のアドレス)を、新たにインデックスを格納した領域のアドレスデータに変更するとともに、新たにモーションデータを格納する領域のアドレスデータ(次のアドレス)として、該領域のアドレスデータを格納する。
【0100】
図9(A)に示すモーションリスト235a及び
図9(B)に示すモーションリスト先頭アドレス格納領域235bが設定されている状態で、新たにモーションデータとしてデータアドレスが「T_M_HR」でありモーション内容が「保留データ」であるモーションデータ(以下、当該モーションデータを「保留データ」とも記載)を追加する場合を例に具体的に説明する。
図5(A)に示すように、保留データは、「インターフェース」の次に優先度が高いモーションデータであり、「図柄」よりも優先度が低いモーションデータである。
【0101】
画像制御手段210は、まず、モーションリスト235aにおいてモーションデータが格納されていない領域をアドレスの値が小さい領域から順次検索し、アドレス10000010Hの領域が初期値であるデータアドレス「NULL」、プライオリティ「0」が格納された状態であることから、アドレス10000010Hの領域にモーションデータが格納されていないと判定し、保留データをアドレス10000010Hの領域に格納することを決定する。
図10(A)は、アドレス10000010Hの領域に保留データのデータアドレス及びプライオリティを格納した状態を示す図である。
図10(A)に示すように、アドレス10000010Hの領域では、保留データのデータアドレス及びプライオリティを格納した時点において、アドレスデータ(次のアドレス)について、初期値である「NULL」が格納された状態となっている。
【0102】
次に、画像制御手段210は、モーションリスト先頭アドレス格納領域235bに格納されているアドレスで規定された10000040Hの領域に格納されているモーションデータのプライオリティと、保留データのプライオリティと、を比較する。10000040Hの領域には、優先度が最も低い「背景」のプライオリティが格納されていることから、アドレス10000040Hの領域に格納されているアドレスデータ(次のアドレス)で指定されているアドレス10000080Hの領域に格納されているモーションデータのプライオリティを次の比較対象に設定する。画像制御手段210は、以下、アドレス10000000Hの領域に格納されている優先度が「図柄」に規定されたモーションデータのプライオリティが保留データのプライオリティと比較されるまで、比較対象を各領域に格納されたアドレスデータ(次のアドレス)で規定された順に変更し同様の処理を実行する。
【0103】
アドレス10000070Hの領域に格納されているアドレスデータ(次のアドレス)で指定されたアドレス10000000Hの領域には、優先度が「保留」よりも高い「図柄」のインデックスが格納されていることから、画像制御手段210は、まず、アドレス10000070Hの領域に格納されているアドレスデータ(次のアドレス)を、アドレス10000000Hからアドレス10000010Hに変更する。そして、画像制御手段210は、アドレス10000010Hの領域に格納されているアドレスデータ(次のアドレス)にアドレス10000000Hを格納することで、
図10(B)に示すモーションリスト235aとなり、新たに領域に格納するアドレスデータ(次のアドレス)を設定(更新)する処理を終了する。
【0104】
このようにすることで、パチンコ機1では、新たなインデックスを既存のモーションリスト235aに追加する際においても、プライオリティリスト220に保持された優先度と、優先度を参照して設定されるアドレスデータと、によって、インデックスが格納された各領域において次にインデックスを読み出す領域が設定されるため、モーションリスト235aに既に格納されているインデックスのソートを実行することなく画像制御手段210が優先度の順にインデックスに対応するモーションデータを読み出すことができる。
【0105】
ここで、画像制御手段210がモーションリスト235aからインデックスを削除する場合において、削除するモーションデータのプライオリティよりも優先度が高いインデックスが他の領域に保存されている場合について、インデックスを削除する領域のアドレスをアドレスデータ(次のアドレス)として格納している領域A、インデックスを削除する領域B、領域Bに格納されているモーションデータよりもプライオリティが高いモーションデータが格納されており、領域Bにおけるアドレスデータ(次のアドレス)で指定されている領域C、を例に説明する。
【0106】
上述の場合において、画像制御手段210は、領域Bのデータアドレスとプライオリティを削除する際に、領域Bのアドレスデータ(次のアドレス)で指定された領域Cのアドレスを、領域Aのアドレスデータ(次のアドレス)として設定(更新)する。これにより、画像制御手段210は、モーションリスト235aからモーションデータを読み出す場合に、領域Aに格納されたインデックスに対応するモーションデータを読み出した後に、領域Aのアドレスデータ(次のアドレス)で領域Cのアドレスが格納されていることから、領域Aの次に領域Cを参照し、領域Cに格納されたインデックスに対応するモーションデータを読み出せるようになる。
【0107】
これにより、パチンコ機1では、任意のインデックスを削除する場合にも、モーションリスト235aに格納されているインデックスのソートを実行することなく画像制御手段210が優先度の順にモーションデータを読み出すことができる。
【0108】
このように、第2の実施形態の画像制御手段210は、第1の領域(
図9(A)に示す例ではアドレス10000010Hの領域)にインデックスとして保留データを格納する場合に、アドレス10000010Hの領域の次に読み出す第2の領域(
図9(A)に示す例ではアドレス10000000Hの領域)のアドレスデータ(次のアドレス)を、プライオリティリスト220を参照して設定する。
【0109】
3.第2の実施形態のまとめ
以上のように、第2の実施形態の遊技機において、
前記制御手段は、
第1の領域に前記演出データを格納した場合に、格納した前記演出データに基づく演出が終了するまで前記第1の領域に前記演出データを維持し、
前記第1の領域に前記演出データを格納する場合に、前記第1の領域の次に読み出す第2の領域のアドレスデータを前記優先度データを参照して設定し、
前記第1の領域から前記演出データを読み出した後に、前記アドレスデータで規定された前記第2の領域に格納された前記演出データを読み出すことで、前記演出データに対応した前記優先度の順に前記演出データを読み出す。
【0110】
この構成により、第2の実施形態のパチンコ機1は、モーションデータを優先度順にモーションリスト235aから読み出すために、各領域に格納されているモーションデータを読み出す順にそれぞれ規定されたアドレスデータを画像ROM200eに保持されたプライオリティリスト220を用いて各領域に格納することで、画像制御手段210がモーションリスト230に格納されたモーションデータを読み出す際に都度モーションデータの優先度を確認する必要がなくなるため、演出に係る処理としてモーションデータの読み出しに係る処理の実行時における処理の負荷を軽減させることができる。
【0111】
また、パチンコ機1は、新たにモーションデータをモーションリスト235aに追加又は削除する際に、アドレスデータを更新するだけで画像制御手段210が優先度の順にモーションデータを読み出すことができるため、モーションリスト235aに格納されたモーションデータのソートを実行する必要がなく、モーションリスト235aの更新に係る処理の負荷を軽減させることができる。
【0112】
[他の実施形態]
なお、第1、第2の実施形態において、パチンコ機1は、演出データとして画像に係るデータであるモーションデータについて、プライオリティリストとモーションリストとを用いて優先度順にモーションデータを読み出し可能にする処理を実行しているが、これに限定されない。パチンコ機1は、例えば、演出データとして演出照明装置420を照明させる照明パターンに係るデータを有していてもよい。このように構成された場合、パチンコ機1は、データベースとしてサブROM200bを有し、照明パターンに係るデータを各領域に読み書き自在な格納手段としてサブRAM200cを有し、演算手段としてサブCPU200aを有するように構成される。また、パチンコ機1は、プライオリティリストをサブROM200bに有し、照明パターンに係るデータリストをサブRAM200cに有するように構成される。
【0113】
また、第1の実施形態において、画像制御手段210は、既にインデックスが格納されているモーションリスト230に新たなインデックスを追加する場合に、アドレスの値が小さい領域、つまりモーションリスト230の先頭から順次格納されているプライオリティと新たに追加するモーションデータのプライオリティとを比較していくように構成されているが、これに限らず、アドレスの値が大きい領域、つまりモーションリストの最後から順次格納されているプライオリティと新たに追加するモーションデータのプライオリティとを比較し、格納されているプライオリティが新たに追加するモーションデータのプライオリティよりも低い場合に、該比較したプライオリティが格納されている領域よりも1つアドレスの値が大きい領域に新たに追加するインデックスを格納すると決定するように構成されていてもよい。
【0114】
また、第2の実施形態において、パチンコ機1は、モーションリスト235aの各領域にアドレスデータを格納するように構成されているが、これに限定されない。パチンコ機1は、例えば、画像RAM200fのモーションリスト235aとは別の領域に、画像制御手段210がモーションリスト235aの領域を読み出す順序を規定したアドレスデータリストを有するように構成されていてもよく、画像制御手段210が、モーションリスト235aからモーションデータを読み出す際にアドレスデータリストを都度参照してモーションリスト235aの複数の領域からモーションデータを読み出す領域を決定するように構成されていてもよい。
【0115】
また、第1、第2の実施形態において、画像制御手段210は、モーションリストのうちモーションデータが格納されていない空き領域にモーションデータを追加するように構成されているが、これに限らず、例えば、モーションデータが既に格納されている領域に新たなモーションデータを上書きして格納可能に構成されていてもよい。
【0116】
また、第1、第2の実施形態において、パチンコ機1は、各モーションデータの優先度を規定したプライオリティリスト220を有しているが、これに限らず、例えば、モーションデータのそれぞれが予め優先度を有するデータとして設定されていてもよい。
【0117】
また、第1、第2の実施形態において、副制御部200は、データ記憶手段として画像ROM200e及び画像RAM200fを有しているが、これに限定されない。副制御部200は、例えば、画像制御手段210がモーションリストを作成する処理を実行する以前に、画像RAM200fにモーションデータ及びプライオリティリストを書き込むことで予め保持し、モーションリストの作成時において、予め書き込んだモーションデータ及びプライオリティリストを参照してモーションリストを作成するように構成されていてもよい。このように構成された場合、画像RAM200fは、データ記憶手段を構成する。
【0118】
また、本実施形態においては、遊技機として、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えるいわゆる第一種遊技を可能なパチンコ機1を例示したが、これに限らず、例えば、小当たり遊技中に所定の領域に遊技球が侵入することで大役遊技を開始可能な第二種遊技を可能なパチンコ機であっても本発明は適用し得る。また、例えば、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、遊技者による開始操作を検出するスタートスイッチと、複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出するストップスイッチと、遊技の進行を制御する主制御部と、コマンドに基づき演出を制御する演出制御手段を有する副制御部を備え、主制御部が、複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、スタートスイッチによる開始操作の検出に基づいて、複数のリールを回転させ、ストップスイッチによる停止操作の検出及び内部抽選手段により決定された内部抽選の結果に基づいて、回転中のリールを停止させるリール停止制御を行うリール制御手段と、複数のリールが停止した状態で、役ごとに予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、有するスロットマシンにも、本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0119】
1 パチンコ機(遊技機)
200 副制御部(演出制御部)
200e 画像ROM(データ保持手段)
200f 画像RAM(データ格納手段)
210 画像制御手段(制御手段)
220 プライオリティリスト(優先度データ)