(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】プロペラファンの羽根車、送風機、および空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/32 20060101AFI20230315BHJP
F24F 1/38 20110101ALI20230315BHJP
【FI】
F04D29/32 C
F24F1/38
(21)【出願番号】P 2021536533
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2019029948
(87)【国際公開番号】W WO2021019710
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 壮軌
(72)【発明者】
【氏名】田畑 佳輝
(72)【発明者】
【氏名】深澤 佑介
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-053301(JP,A)
【文献】特開昭61-001897(JP,A)
【文献】実開昭58-070497(JP,U)
【文献】特開平06-074196(JP,A)
【文献】特開2005-188325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボス部と、
前記ボス部の外周面から放射状に突出する複数の羽根部と、を備え
るプロペラファンにおいて、
前記ボス部は、
前記外周面を有して吸込側端から吹出側端へ延びる筒部と、
前記筒部の中心線に沿う方向を臨む面を有し、かつ前記吸込側端に連続する接続部を有して前記筒部の内側へ延びる複数の吸込側架設壁部と、
前記筒部の中心線に沿う方向を臨む面を有し、かつ前記吸込側架設壁部よりも前記吹出側端に近く、前記筒部の内側へ延びる複数の吹出側架設壁部と、
前記筒部の内周面から離れた場所に配置されて環状に連続して前記複数の吸込側架設壁部を一体化する環状部と、を備え、
前記吸込側架設壁部は、前記接続部の前記プロペラファンの回転方向において前方に位置する前端と、前記前端より後ろに位置する後端と、を有し、
隣り合う前記吸込側架設壁部の前記前端と前記後端とは、一続きに繋がり、
それぞれの前記羽根部の前縁の付根部は、前記吸込側端に連続するプロペラファンの羽根車。
【請求項2】
前記筒部の中心に設けられる回転軸取付部と、
前記環状部よりも前記筒部の吹出側端に近く、前記回転軸取付部と前記環状部とを繋ぐフランジ部と、を備える請求項1に記載のプロペラファンの羽根車。
【請求項3】
前記吸込側架設壁部の前記後端は、前記プロペラファンの回転方向において、最も近い前記羽根部の前記前縁の前記付根部より後ろに位置する請求項1
または2に記載のプロペラファンの羽根車。
【請求項4】
前記羽根部の前記前縁の前記付根部は、前記吸込側架設壁部の前記前端と前記後端との間に挟まれる請求項
3に記載のプロペラファンの羽根車。
【請求項5】
前記吸込側架設壁部と前記吹出側架設壁部とは、前記プロペラファンの回転中心線に沿う方向において重ならない請求項1から
4のいずれか1項に記載のプロペラファンの羽根車。
【請求項6】
隣り合う前記吸込側架設壁部の前記前端と前記後端とが、前記ボス部の内側へ凹形状に窪んだ曲線形状を有する請求項
1から5のいずれか1項に記載のプロペラファンの羽根車。
【請求項7】
前記吸込側架設壁部は、前記吸込側端から吹出側へ向かって凹形状に湾曲し、かつ前記ボス部の中心側から外周側へ向かって開口幅が減少する水抜き孔を有する請求項
1から6のいずれか1項に記載のプロペラファンの羽根車。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のプロペラファンと、
前記プロペラファンを駆動する電動機と、を備える送風機。
【請求項9】
請求項8に記載の送風機と、
前記送風機によって流動する空気と熱交換する熱交換器と、を備える空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プロペラファンの羽根車、送風機、および空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機の送風機として、プロペラファンが用いられている。プロペラファンは、羽根車と、羽根車の回転駆動力を発生させる電動機と、を備えている。羽根車は、筒状のボス部と、ボス部の外周面から放射状に突出する複数の羽根部と、を備えている。
【0003】
ボス部は、電動機とプロペラファンとを繋ぐ回転軸が設けられる軸取付部と、軸取付部の外周面からボス部の内壁へ放射状に延びる複数のリブと、複数のリブの間を繋ぐ下流側架設壁部と、下流側架設壁部よりも上流側で複数のリブの間を繋ぐ上流側架設壁部と、を備えている。下流側架設壁部と上流側架設壁部とは、プロペラファンの回転中心線に沿う方向へ重ならない。上流側架設壁部は、羽根部の前縁の基端部の軸心側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロペラファンの回転中、羽根部の前縁の付根部とボス部との接続部分には、最も大きい負荷が生じる。従来のプロペラファンであっても、羽根部の前縁の付根部とボス部との接続部分における応力集中を改善する余地が残されていた。
【0006】
そこで、本発明は、羽根部の前縁の付根部とボス部との接続部分における応力集中をより効果的に緩和可能なプロペラファンの羽根車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車は、ボス部と、前記ボス部の外周面から放射状に突出する複数の羽根部と、を備え、前記ボス部は、前記外周面を有して吸込側端から吹出側端へ延びる筒部と、前記筒部の中心線に沿う方向を臨む面を有し、かつ前記吸込側端に連続する接続部を有して前記筒部の内側へ延びる複数の吸込側架設壁部と、前記筒部の中心線に沿う方向を臨む面を有し、かつ前記吸込側架設壁部よりも前記吹出側端に近く、前記筒部の内側へ延びる複数の吹出側架設壁部と、前記筒部の内周面から離れた場所に配置されて環状に連続して前記複数の吸込側架設壁部を一体化する環状部と、を備え、前記吸込側架設壁部は、前記接続部の前記プロペラファンの回転方向において前方に位置する前端と、前記前端より後ろに位置する後端と、を有し、隣り合う前記吸込側架設壁部の前記前端と前記後端とは、一続きに繋がり、それぞれの前記羽根部の前縁の付根部は、前記吸込側端に連続している。
【0008】
また、本発明の実施形態に係る送風機は、前記プロペラファンと、前記プロペラファンを駆動する電動機と、を備えている。
【0009】
さらに、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機は、前記送風機と、前記送風機によって流動する空気と熱交換する熱交換器と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の断面図。
【
図2】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車を吸込側から見た斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車を吹出側から見た斜視図。
【
図4】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の縦断面図。
【
図5】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例を吸込側から見た斜視図。
【
図6】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例を吹出側から見た斜視図。
【
図7】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例の縦断面図。
【
図8】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例のボス部を吸込側から見た図。
【
図9】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第三例を吸込側から見た図。
【
図10】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第三例を吹出側から見た斜視図。
【
図11】本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第三例の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るプロペラファンの羽根車、送風機、および空気調和機の室外機の実施形態について
図1から
図11を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号を付している。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の断面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和機は室外機100と室内機(図示省略)とを含んでいる。室外機100は、筐体101と、筐体101の内部に電動機102を含む送風機103と、熱交換器105と、圧縮機106と、四方弁(図示省略)と、制御器(図示省略)と、を備えている。
【0014】
筐体101は、側面を覆う側板111と、天井を覆う天板112と、底面を覆う底板113と、を備えている。筐体101の内部には仕切板115が設けられている。仕切板115は、筐体101の内部を機械室117と熱交換室118とに区画している。
【0015】
側板111は室外機100内に外気を吸い込む複数の吸込孔111aを有している。
【0016】
天板112の中央部には、側板111の吸込孔111aから室外機100内に吸い込まれた外気を室外機100の外に排気する吹出孔112aとベルマウス(図示省略)とが設けられている。
【0017】
圧縮機106は、機械室117の底板113上に設置されている。また、圧縮機106は、熱交換器105よりも下方に配置されている。
【0018】
熱交換器105は、熱交換室118の中央部に設置されている。
【0019】
送風機103は、熱交換器105の上方に位置し、天板112の排気孔111aの近傍に設置されている。
【0020】
室外機100は、冷媒配管(図示省略)を介して室内機に接続されている。冷凍サイクルの運転が開始されると圧縮機106が駆動される。圧縮機106は、冷媒配管に冷媒を流通させて熱交換器105へ導く。同時に送風機103の運転が開始される。電動機102はプロペラファン1を回転駆動させる。
【0021】
外気は、筐体101の側面の吸込孔111aから熱交換室118に導かれ、熱交換器105を通過して、熱交換器105内の冷媒と熱交換する。熱交換器105で熱交換された空気は、送風機103を介してベルマウスに案内され、筐体100の上方の吹出孔112aから室外機100の外部へ排出される。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車を吸込側から見た斜視図である。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車を吹出側から見た斜視図である。
【0024】
図2および
図3に示すように、本実施形態に係るプロペラファン1は、
図2および
図3中に実線矢印で示す回転方向Rへ回転して
図2および
図3中に実線矢印で示す流れ方向Fへ流体、もっぱら空気を流動させる。なお、プロペラファン1を回転方向Rの反対方向へ回転させると、流体は流れ方向Fの反対方向へ流動する。プロペラファン1は、例えば空気調和機の室外機に適用されて、室外熱交換器へ空気を吹き付ける用途に用いられる。
【0025】
プロペラファン1は、いわゆる軸流ファンである。プロペラファン1は、羽根車2と、羽根車2を回転駆動させる電動機(図示省略)と、を備えている。
【0026】
電動機は、羽根車2へ回転駆動力を伝達する出力軸(図示省略)を備えている。出力軸は、羽根車2の回転中心である。
【0027】
図4は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の縦断面図である。
【0028】
図2および
図3に加えて
図4に示すように、本実施形態に係るプロペラファン1の羽根車2は、いわゆる軸流式(Axial flow impeller)である。羽根車2は、単にプロペラとも呼ばれる。羽根車2は、ボス部5と、ボス部5の外周面5aから放射状に突出する複数の羽根部6と、を備えている。羽根車2は、例えば樹脂で一体成形されている。
【0029】
複数の羽根部6は、ボス部5の外周面5aに沿って羽根車2の周方向、つまりプロペラファン1の回転方向Rへ等間隔に並んでいる。羽根車2は、例えば3つの羽根部6を備えている。この場合、3つの羽根部6は、中心角120度毎に並んでいる。それぞれの羽根部6はプロペラファン1の回転方向において吸込み側に傾斜してボス部5の外周面5aに配置されている。羽根部6の前縁部31の付根部31aは、ボス部5の吸込側端11sに一致している。
【0030】
ボス部5は、ボス部5の外周面5aを有して吸込側端11sから吹出側端11bへ延びる筒部11と、筒部11の中心線に沿う方向を臨む吸込側端面12aを有し、かつボス部5の吸込側端11sに連続する接続部12bを有して筒部11の中心へ向かって延びる複数の吸込側架設壁部12と、筒部11の中心線に沿う方向を臨む吹出側端面13aを有し、かつ吸込側架設壁部12よりも吹出側端11bに近く、筒部11の中心へ向かって延びる複数の吹出側架設壁部13と、複数の吸込側架設壁部12および複数の吹出側架設壁部13を介して筒部11の中心に設けられる回転軸取付部15と、を備えている。
【0031】
回転軸取付部15は、ボス部5の回転中心線上、かつ羽根車2の回転中心線上に配置されている。回転軸取付部15には、回転軸が固定される。羽根車2は、回転軸に固定される回転軸取付部15を介して電動機に接続されている。回転軸取付部15は、挿入された回転軸を固定するものであっても良いし、インサート成形によって回転軸に一体化されるものであっても良い。
【0032】
複数の吸込側架設壁部12は、筒部11の吸込側端11sから筒部11の中心へ向かって延びる実質的に一様な厚さの平板部分である。それぞれの吸込側架設壁部12は、プロペラファン1の回転方向Rにおいて前方に位置する前端16と、前端16より後ろに位置する後端17と、を有している。それぞれの吸込側架設壁部12の外縁は、筒部11の吸込側端11sに連続して接続されている。
【0033】
複数の吹出側架設壁部13は、筒部11の吹出側端11bから筒部11の中心へ向かって延びる実質的に一様な厚さの平板部分である。それぞれの吹出側架設壁部13は、プロペラファン1の回転方向Rにおいて前方に位置する前端18と、前端18より後ろに位置する後端19と、を有している。それぞれの吹出側架設壁部13の外縁は、筒部11の吹出側端11bに連続している。なお、吹出側架設壁部13の外縁は、筒部11の内部に位置されても良く、吹出側端11bに連続されていなくても良い。
【0034】
複数の吸込側架設壁部12と複数の吹出側架設壁部13とは、プロペラファン1の回転方向Rにおいて交互に配置されている。複数の吸込側架設壁部12と複数の吹出側架設壁部13とは、プロペラファン1の回転中心線に沿う方向において重ならない。吸込側架設壁部12、吹出側架設壁部13、および羽根部6は同数設けられている。吸込側架設壁部12、吹出側架設壁部13、および羽根部6は、プロペラファン1の回転中心の回りに規則的に並んでいる。例えば、本実施形態のように、吸込側架設壁部12、吹出側架設壁部13、および羽根部6が3ずつ設けられている場合には、複数の吸込側架設壁部12、複数の吹出側架設壁部13、および複数の羽根部6の相互の位置関係および寸法関係は、プロペラファン1の回転中心の回りに120度毎に同じである。
【0035】
プロペラファン1の回転中心線方向視において隣り合う吸込側架設壁部12と吹出側架設壁部13との間には、プロペラファン1の回転中心線方向に延びる縦通壁部21が設けられている。縦通壁部21は、実質的に一様な厚さを有している。縦通壁部21は複数ある。半数の縦通壁部21は、それぞれの吸込側架設壁部12の後端17とそれぞれの吹出側架設壁部13の前縁18とから構成され、他の縦通壁部21は、それぞれの吸込側架設壁部12の前端16とそれぞれの吹出側架設壁部13の後縁19とから構成されている。
【0036】
縦通壁部21は、筒部11の内周面11aと回転軸取付部15との間に架け渡されている。複数の縦通壁部21は、回転軸取付部15から筒部11へ放射状に延びている。
【0037】
換言すると、吸込側架設壁部12は、隣り合う縦通壁部21の吸込側端21s、筒部11の吸込側端11s、および回転軸取付部15の吸込側端15sに渡り、回転軸取付部15から筒部11の吸込側端11sに向かって扇形状に拡がっている。回転軸取付部15は、扇形状の吸込側架設壁部12の要にあたる。吹出側架設壁部13は、隣り合う縦通壁部21の吹出側端21b、筒部11の吹出側端11b、および回転軸取付部15の吹出側端15bに渡り、回転軸取付部15の吹出側端15bから筒部11の吹出側架設壁部に向かって扇形状に拡がっている。回転軸取付部15は、扇形状の吹出側架設壁部13の要にあたる。つまり、複数の吸込側架設壁部12と複数の吹出側架設壁部13とは、回転軸取付部15を中心に、交互に放射状に配置されている。
【0038】
吸込側架設壁部12の接続部12bの後端17は、プロペラファン1の回転方向において、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより後ろに位置している。
図2においては、吸込側架設壁部12の後端17は、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより後ろに位置している。
【0039】
吸込側架設壁部12の接続部12bの前端16は、プロペラファン1の回転方向において、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aに一致しても良いし、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより後ろに位置しても良いし、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより前に位置しても良い。
図2においては、吸込側架設壁部12の前端16は、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより前に位置している。
【0040】
なお、羽根部6の前縁31の付根部31aは、吸込側架設壁部12の接続部12bの前端16と後端17との間に挟まれていることが好ましい。換言すると、プロペラファン1の回転方向において、吸込側架設壁部12の前端16および後端17は、羽根部6の前縁31の付根部31aを挟んでいることが好ましい。
【0041】
そして、それぞれの羽根部6の前縁31の付根部31aは、筒部11の吸込側端11sに連続している。つまり、羽根部6の前縁31の付根部31aと吸込側架設壁部12の最外縁とは、プロペラファン1の回転方向へオフセットすることなく、筒部11の吸込側端11sを間に挟んで向き合っている。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る羽根車2は、筒部11の吸込側端11sに連続する羽根部6の前縁31の付根部31aと、筒部11の吸込側端11sに連続する吸込側架設壁部12と、を備えている。そのため、羽根車2は、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11、吸込側架設壁部12、および縦通壁部21に分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させる。
【0043】
なお、筒部11の吸込側端11sが、羽根部6の前縁31の付根部31aと吸込側架設壁部12の最外縁との間になく、プロペラファン1の吸込側へ突出して、羽根部6の前縁31の付根部31aと吸込側架設壁部12の最外縁との間に挟まれる箇所から離れている場合には、吸込側架設壁部12が分散する負荷の割合が低下する。つまり、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中の改善は不十分に留まる。
【0044】
また、吸込側架設壁部12が羽根部6の前縁31の付根部31aよりもプロペラファン1の回転方向Rへオフセットしている場合にも、吸込側架設壁部12が分散する負荷の割合が低下する。換言すると、プロペラファン1の回転方向において、吸込側架設壁部12の後端17が最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより前側に位置して、羽根部6の前縁31の付根部31aが吸込側架設壁部12の前端16と後端17との間に挟まれていない場合には、吸込側架設壁部12が分散する負荷の割合が低下する。つまり、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中の改善は不十分に留まる。
【0045】
ただし、プロペラファン1の回転方向において、羽根部6の前縁31の付根部31aが吸込側架設壁部12の前端16と後端17との間に挟まれていなくても、吸込側架設壁部12の前端16が最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより後ろ側に位置する場合には、吸込側架設壁部12は、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷を意図通りに負担して、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させる。このような改善は、プロペラファン1の回転方向Rにおいて、前方に位置する付根部31aに発生する負荷が、筒部11を介して後ろ側に配置される吸込側架設壁部12で負担されることによるものと考えられる。
【0046】
また、本実施形態に係る羽根車2では、吸込側架設壁部12の後端17が、プロペラファン1の回転方向Rにおいて、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより後ろに位置している。そのため、羽根車2は、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12に分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る羽根車2は、吸込側架設壁部12の前端16と後端17との間に挟まれる、羽根部6の前縁31の付根部31aを備えている。そのため、羽根車2は、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12に分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中をより効果的に緩和させる。
【0048】
また、本実施形態に係る羽根車2は、プロペラファン1の回転中心線に沿う方向において重ならない、吸込側架設壁部12と吹出側架設壁部13とを備えている。そのため、羽根車2は、その回転中心線方向へ分割可能な金型によって、容易に一体成型することができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る羽根車2の他の例を説明する。なお、各例で説明する羽根車2A、および2Bにおいて、共通する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
図5は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例を吸込側から見た斜視図である。
【0051】
図6は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例を吹出側から見た斜視図である。
【0052】
図7は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例の縦断面図である。
【0053】
図5から
図7に示すように、本実施形態に係るプロペラファン1の第二例の羽根車2A(以下、単に「羽根車2A」と呼ぶ。)は、筒部11の内周面11aから離れた場所に配置されて環状に連続する接続部12bを有して環状部41で一体化される複数の吸込側架設壁部12Aを備えている。
【0054】
吸込側架設壁部12Aは、筒部11の吸込側端11sから吹出側へ向かって凹形状に湾曲した実質的に一様な厚さの板部分である。凹形状の底、つまり吸込側架設壁部12Aの最も筒部11の吸込側端11sから遠い部位は、プロペラファン1の中心に最も近い。
【0055】
環状部41は、複数の吸込側架設壁部12Aを一体化させている。環状部41は、吸込側架設壁部12Aの一部であって、筒部11の吸込側端11sから吹出側へ向かって凹形状に湾曲している。複数の吸込側架設壁部12Aの筒部11に近い部分は、羽根部6毎に筒部11に繋がっている一方で、複数の吸込側架設壁部12Aの筒部11から遠い部分、換言すると、複数の吸込側架設壁部12Aの回転軸取付部15Aに近い部分は、環状部41によって一続きに繋がっている。つまり、複数の吸込側架設壁部12Aは、筒部11の内側に配置される環状部41から筒部11の内周面11aへ向かって放射状に配置されている。
【0056】
ある吸込側架設壁部12Aの接続部12bの前端16は、プロペラファン1の回転方向において前方に位置する吸込側架設壁部12Aの接続部12bの後端17に連続している。換言すると、隣り合う吸込側架設壁部12Aの前端16と後端17とは、一続きに繋がっている。この連続する吸込側架設壁部12Aの前端16と後端17とは、プロペラファン1の回転中心線方向に見て、直線形状を有し、かつ筒部11の吸込側端11sから吹出側へ向かって凹形状に窪んだ円弧形状を有している。これら連続する前端16と後端17とは、縦通壁部21Aを介して吹出側架設壁部13Aに繋がっている。縦通壁部21Aは、これら連続する前端16と後端17とに続いてプロペラファン1の回転中心線方向へ平板状に延びている。なお、筒部11のうち縦通壁部21Aを臨む部分、換言すると、筒部11のうち縦通壁部21Aに対面している部分は、羽根部6の支持に支障のない範囲で切り欠かれていても良い。この切欠きによりプロペラファン1の軽量化を図ることができる。
【0057】
吹出側架設壁部13Aは、プロペラファン1の回転中心線方向に見て、吸込側架設壁部12Aと筒部11とに囲まれた部位に設けられている。
【0058】
環状部41の内縁には、環状縦通壁部42が設けられている。環状縦通壁部42は、環状部41の内縁から筒部11の吹出側端11bへ向かって延びている。環状縦通壁部42は、筒部11の吹出側端11bに達していても良いし、達していなくても良い。環状縦通壁部42の吹出側端42bは、回転軸取付部15Aに繋がっている。
【0059】
環状部41の内縁形状は、プロペラファン1の回転中心線方向に見て、単なる円形であっても良いし、
図5のような多角形状であっても良い。多角形状の内縁形状は、例えば、吸込側架設壁部12Aと筒部11との接続部分をプロペラファン1の回転方向へ二等分する線分上に配置される頂点と、吸込側架設壁部12Aと筒部11との非接続に隔てる円弧形状部をプロペラファン1の回転方向へ二等分する線分上に配置される頂点と、を有している。本実施形態のように、吸込側架設壁部12が3つ設けられている場合には、環状部41の内縁形状は、六角形を描く。
【0060】
回転軸取付部15Aは、複数の吸込側架設壁部12Aが共有する環状部41よりも筒部11の吹出側端11bに近いフランジ部45を備えている。フランジ部45は、プロペラファン1の回転中心に直行する方向へ広がる壁であり、環状縦通壁部42の吹出側端42bに繋がっている。フランジ部45は、環状部41の内側の境域を塞ぐ壁である。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る羽根車2Aは、筒部11の吸込側端11sに連続する羽根部6の前縁31の付根部31aと、筒部11の吸込側端11sに連続する吸込側架設壁部12Aと、を備えている。そのため、羽根車2Aは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Aに分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させる。
【0062】
また、本実施形態に係る羽根車2Aは、吸込側架設壁部12Aの後端17が、プロペラファン1の回転方向Rにおいて、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより後ろに位置している。そのため、羽根車2Aは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Aに分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させる。
【0063】
さらに、本実施形態に係る羽根車2Aは、吸込側架設壁部12Aの前端16と後端17との間に挟まれる、羽根部6の前縁31の付根部31aを備えている。そのため、羽根車2Aは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Aに分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中をより効果的に緩和させる。
【0064】
また、本実施形態に係る羽根車2Aは、プロペラファン1の回転中心線に沿う方向において重ならない、吸込側架設壁部12Aと吹出側架設壁部13Aとを備えている。そのため、羽根車2Aは、その回転中心線方向へ分割可能な金型によって、容易に一体成型することができる。
【0065】
さらに、本実施形態に係る羽根車2Aは、筒部11の内周面11aから離れた場所に配置されて環状に連続する環状部41で一体化される複数の吸込側架設壁部12Aを備えている。そのため、羽根車2Aは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する応力をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Aに分散させるとともに、吸込側架設壁部12Aが分散する応力を環状部41にも負担させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中をより大きく緩和させる。
【0066】
図8は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第二例のボス部を吸込側から見た図である。
【0067】
図8に示すように、本実施形態に係るプロペラファン1の羽根車2Aは、羽根車2Aは、吸込側架設壁部12Aにボス部5の中心側から外周側へ向かって開口幅が減少する水抜き孔47を有していても良い。
【0068】
水抜き孔47は、それぞれの吸込側架設壁部12Aの外周部分に設けられている。水抜き孔47は、ボス部5の中心側、もしくは吸込側架設壁部12Aの内周側へ広がる卵形の形状を有している。水抜き孔47は、内周側に設けられてボス部5の中心側、もしくは吸込側架設壁部12Aの内周側へ凸の第一半円弧形状部47aと、第一半円弧形状部47aの弦の部分に連続し、かつボス部5の中心側から外周側へ向かって開口幅が実質的に一定の割合で減少する楔形状部47bと、を有している。水抜き孔47は、プロペラファン1の径方向へ延びる仮想線に対して線対称な形状を有している。
【0069】
楔形状部47bの最小開口幅部分、つまりボス部5の外縁に最も近い部分は、ボス部5の外縁に沿って台形状に閉じられている。
【0070】
上記のような水抜き孔47の構成とすることで、羽根車2Aは、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させつつ、水抜き孔47の面積を大きくしてボス部5に溜る雨水などの水分を好適に排水できる。水抜き孔47は、付根部31a近傍に大きく広がる吸込側架設壁部12Aに設けられているため、開口面積を大きく確保する自由度を有し、ひいては氷や雹の要因固体の状態の水分であっても、容易に排水することができる。さらに、水抜き孔47は、ボス部5の中心へ向かって広がっている卵形状を有している。そのため、プロペラファン1の吹き出し側に溜る水分は、吸込側架設壁部12Aの傾斜に沿ってプロペラファン1の、容易に排水される。また、水分は、回転するプロペラファン1の外側へ向かう際に、容易に排水される。
【0071】
図9は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第三例を吸込側から見た図である。
【0072】
図10は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第三例を吹出側から見た斜視図である。
【0073】
図11は、本発明の実施形態に係るプロペラファンの羽根車の第三例の縦断面図である。
【0074】
図9に示すように、本実施形態に係るプロペラファン1の第三例の羽根車2B(以下、単に「羽根車2B」と呼ぶ。)は、筒部11の内周面11aから離れた場所に配置されて環状に連続する接続部12bを有して環状部41Bで一体化される複数の吸込側架設壁部12Bを備えている。
【0075】
なお、羽根車2Bの縦断面形状は、
図7に示される羽根車2Aの断面形状に準ずるので図示を省略する。
【0076】
吸込側架設壁部12Bは、筒部11の吸込側端11sから吹出側へ向かって凹形状に湾曲した実質的に一様な厚さの板部分である。凹形状の底、つまり吸込側架設壁部12Bの最も筒部11の吸込側端11sから遠い部位は、プロペラファン1の中心に最も近い。
【0077】
環状部41Bは、複数の吸込側架設壁部12Bを一体化させている。環状部41Bは、吸込側架設壁部12Bの一部であって、筒部11の吸込側端11sから筒部11の中心へ向かって延びている。複数の吸込側架設壁部12Bの筒部11に近い部分は、羽根部6毎に筒部11に繋がっている一方で、複数の吸込側架設壁部12Bの筒部11から遠い部分、換言すると、複数の吸込側架設壁部12Bの回転軸取付部15Bに近い部分は、環状部41Bによって一続きに繋がっている。つまり、複数の吸込側架設壁部12Bは、筒部11の内側に配置される環状部41Bから筒部11の内周面11aへ向かって放射状に配置されている。
【0078】
ある吸込側架設壁部12Bの接続部12bの前端16は、プロペラファン1の回転方向において前方に位置する吸込側架設壁部12Bの接続部12bの後端17に連続している。換言すると、隣り合う吸込側架設壁部12Bの前端16と後端17とは、一続きに繋がっている。この連続する吸込側架設壁部12Bの前端16と後端縁17とは、プロペラファン1の回転中心線方向に見て、曲線形状、例えば筒部11の外側、つまり羽根部6側に曲率中心を有する円弧形状を有している。換言すると、これら連続する吸込側架設壁部12Bの前端16と後端縁17とは、ボス部5の内側へ向かって凹形状に窪んだ円弧形状を有している。また、この連続する吸込側架設壁部12Bの前端16と後端17とは、筒部11の吸込側端11sから吹出側へ向かって凹形状に窪んだ円弧形状を有している。これら連続する前端16と後端17とは、縦通壁部21Bを介して吹出側架設壁部13Bに繋がっている。縦通壁部21Bは、これら連続する前端16と後端17とに続いてボス部5の内側へ向かって凹形状に窪んだ円弧形状に湾曲して実質的に一様な厚さで延びている。
図10に示すように、筒部11のうち縦通壁部21Bを臨む部分、換言すると、筒部11のうち縦通壁部21Bに対面している部分は、羽根部6の支持に支障のない範囲で切欠きを有している。
【0079】
吹出側架設壁部13Bは、プロペラファン1の回転中心線方向に見て、吸込側架設壁部12Bと筒部11とに囲まれた部位に設けられている。
【0080】
環状部41Bの内縁には、環状縦通壁部42が設けられている。環状縦通壁部42は、環状部41の内縁から筒部11の吹出側端11bへ向かって延びている。環状縦通壁部42は、筒部11の吹出側端11bに達していても良いし、達していなくても良い。環状縦通壁部42の吹出側端42bは、回転軸取付部15Bに繋がっている。
【0081】
環状部41Bの内縁形状は、プロペラファン1の回転中心線方向に見て、
図9のような単なる円形であっても良いし、多角形状であっても良い。多角形状の内縁形状は、例えば、吸込側架設壁部12Bと筒部11との接続部分をプロペラファン1の回転方向へ二等分する線分上に配置される頂点と、吸込側架設壁部12Bと筒部11との非接続に隔てる円弧形状部をプロペラファン1の回転方向へ二等分する線分上に配置される頂点と、を有している。
【0082】
回転軸取付部15Bは、複数の吸込側架設壁部12Bが共有する環状部41Bよりも筒部11の吹出側端11bに近いフランジ部45を備えている。フランジ部45は、プロペラファン1の回転中心に直行する方向へ広がる壁であり、環状縦通壁部42の吹出側端42bに繋がっている。フランジ部45は、環状部41Bの内側の境域を塞ぐ壁である。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る羽根車2Bは、筒部11の吸込側端11sに連続する羽根部6の前縁31の付根部31aと、筒部11の吸込側端11sに連続する吸込側架設壁部12Bと、を備えている。そのため、羽根車2Bは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Bに分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させる。
【0084】
また、本実施形態に係る羽根車2Bは、吸込側架設壁部12Bの後端17が、プロペラファン1の回転方向Rにおいて、最も近い羽根部6の前縁31の付根部31aより後ろに位置している。そのため、羽根車2Bは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Bに分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中を緩和させる。
【0085】
さらに、本実施形態に係る羽根車2Bは、吸込側架設壁部12Bの前端16と後端17との間に挟まれる、羽根部6の前縁31の付根部31aを備えている。そのため、羽根車2Bは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する負荷をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Bに分散させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中をより効果的に緩和させる。
【0086】
また、本実施形態に係る羽根車2Bは、プロペラファン1の回転中心線に沿う方向において重ならない、吸込側架設壁部12Bと吹出側架設壁部13Bとを備えている。そのため、羽根車2Bは、その回転中心線方向へ分割可能な金型によって、容易に一体成型することができる。
【0087】
さらに、本実施形態に係る羽根車2Bは、筒部11の内周面11aから離れた場所に配置されて環状に連続する環状部41Bで一体化される複数の吸込側架設壁部12Bを備えている。そのため、羽根車2Bは、羽根部6の前縁31の付根部31aに発生する応力をボス部5の筒部11および吸込側架設壁部12Bに分散させるとともに、吸込側架設壁部12Bが分散する応力を環状部41Bにも負担させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中をより大きく緩和させる。
【0088】
また、本実施形態に係る羽根車2Bは、隣り合う吸込側架設壁部12Bの前端16と後端17とが、ボス部5の内側へ凹形状に窪んだ円弧形状を有している。そのため、羽根車2Bは、吸込側架設壁部12Bおよび環状部41Bが負担する応力を増大させて、羽根部6の前縁31の付根部31aにおける応力集中をさらに大きく緩和させる。
【0089】
したがって、本実施形態に係るプロペラファン1の羽根車2、2A、2Bによれば、羽根部6の前縁31の付根部31aとボス部5との接続部分における応力集中をより効果的に緩和できる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1…プロペラファン、2、2A…羽根車、5…ボス部、5a…ボス部の外周面、6…羽根部、11…筒部、11a…筒部の内周面、11s…筒部の吸込側端、11b…筒部の吹出側端、12、12A、12B…吸込側架設壁部、12a…吸込側端面、12b…吸込側架設壁部の接続部、13、13A、13B…吹出側架設壁部、13a…吹出側端面、15、15A…回転軸取付部、15s…回転軸取付部の吸込側端、15b…回転軸取付部の吹出側端、16…吸込側架設壁部の前端、17…吸込側架設壁部の後端、18…吹出側架設壁部の前縁、19…吹出側架設壁部の後縁、21、21A、21B…縦通壁部、21s…縦通壁部の吸込側端、21b…縦通壁部の吹出側端、31…羽根部の前縁、31a…羽根部の前縁の付根部、41…環状部、42…環状縦通壁部、42b…環状縦通壁部の吹出側端、45…フランジ部、47…水抜き孔、48…切欠き。