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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】水冷エンジンを備えた鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 31/00 20060101AFI20230316BHJP
   B62J 41/00 20200101ALI20230316BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B62J31/00 C
B62J41/00
B62M7/02 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019151367
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021030816
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】阪口 保彦
(72)【発明者】
【氏名】野網 拓也
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-035987(JP,U)
【文献】特開2002-104270(JP,A)
【文献】特開昭63-031889(JP,A)
【文献】特開2003-035117(JP,A)
【文献】特開昭60-067712(JP,A)
【文献】実開昭64-018993(JP,U)
【文献】米国特許第05566746(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 31/00
B62J 41/00
B62M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源である水冷エンジンと、
前記エンジンの前方に配置されて前記エンジンの冷却水を放熱するラジエータと、
前記エンジンの前方で前記ラジエータの下方に配置されて、走行風により前記エンジンのオイルを冷却する空冷のオイルクーラと、を備え、
前記オイルクーラにオイルを導入する入口パイプが、前記オイルクーラの左端部の下端部に接続され、
前記オイルクーラからオイルを導出する出口パイプが、前記オイルクーラの右端部の上端部に接続され、
前記入口パイプおよび前記出口パイプは、パイプ取付部で前記エンジンのクランクケースに取り付けられ、
前記オイルクーラが、第1支持ブラケットを介して前記パイプ取付部に支持されている鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両において、前記オイルクーラは、上部の左右2か所で第2支持ブラケットを介してエンジン本体に支持され、下部の中央部1か所で前記第1支持ブラケットを介して前記パイプ取付部に支持され、
前記ラジエータが、下部の中央部で前記オイルクーラの上部の中央部に支持されている鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の鞍乗型車両において、前記入口パイプおよび前記出口パイプは、前記オイルクーラの下方で、前記クランクケースに取り付けられている鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の鞍乗型車両において、さらに、前記エンジンの前面の排気ポートに接続された排気管を備え、
前記入口パイプおよび前記出口パイプは、正面視で、前記排気管の外側方に配置されている鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水を放熱するラジエータと、走行風によりオイルを冷却する空冷のオイルクーラとを有する水冷エンジンを備えた鞍乗型車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車のような鞍乗型車両の駆動源として用いられる水冷エンジンにおいて、エンジンの冷却水を放熱するラジエータと、エンジンのオイルを走行風により冷却する空冷のオイルクーラとを有するものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1では、エンジンの前方にラジエータが配置され、エンジンの前方でラジエータの下方にオイルクーラが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3704995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、オイルクーラにオイルを導入する入口パイプが、オイルクーラの上端部に接続されている。このため、車両の駐車時に、オイルクーラ内のオイルがエンジンに戻り難い。
【0005】
本発明は、車両の駐車時に、オイルクーラ内のオイルがエンジンに戻り易い水冷エンジンを備えた鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の水冷エンジンを備えた鞍乗型車両は、駆動源である水冷エンジンと、前記エンジンの前方に配置されて前記エンジンの冷却水を放熱するラジエータと、前記エンジンの前方で前記ラジエータの下方に配置されて走行風により前記エンジンのオイルを冷却する空冷のオイルクーラとを備え、前記オイルクーラにオイルを導入する入口パイプが、前記オイルクーラの左端部の下端部に接続されている。ここで、「左右」は、鞍乗型車両に乗車したライダーから見た左右をいう。
【0007】
鞍乗型車両がサイドスタンドで停車する際、一般に、車体は左側に向かって下方に傾斜している。上記構成によれば、入口パイプがオイルクーラの左端部の下端部に接続されているので、オイルクーラ内のオイルが、オイルクーラの左下側に溜まる。このため、車両の駐車時に、オイルクーラ内のオイルがエンジンに戻り易い。また、オイルクーラ内のオイルがオイルクーラの左下側に溜まるので、入口パイプにエアが溜まりにくい。
【0008】
本発明において、前記オイルクーラからオイルを導出する出口パイプが、前記オイルクーラの右端部の上端部に接続されていてもよい。サイドスタンドで起立時に、オイルクーラの右上側は最も高い位置になる。このため、オイル交換時に、出口パイプからエアが抜けやすく、オイル交換が容易である。
【0009】
この場合、前記入口パイプおよび前記出口パイプはパイプ取付部で前記エンジンのクランクケースに取り付けられ、前記オイルクーラが第1支持ブラケットを介して前記パイプ取付部に支持されていてもよい。この構成によれば、パイプ取付部をオイルクーラの支持に利用できる。これにより、構造が簡単になる。
【0010】
この場合、前記オイルクーラは上部の左右2か所で第2支持ブラケットを介してエンジン本体に支持され、下部の中央部1か所で前記第1支持ブラケットを介して前記パイプ取付部に支持され、前記ラジエータが下部の中央部で前記オイルクーラの上部の中央部に支持されていてもよい。ここで、「エンジン本体」とは、クランクケース、シリンダおよびシリンダヘッドを含む。この構成によれば、簡単な構造で、ラジエータ、オイルクーラ、入口パイプおよび出口パイプを支持することができる。
【0011】
本発明において、前記入口パイプおよび前記出口パイプは、前記オイルクーラの下方で、前記クランクケースに取り付けられていてもよい。この構成によれば、正面視で、オイルクーラとパイプ取付部が重なっていない。したがって、入口パイプおよび出口パイプのパイプ取付部への接続作業が容易になる。
【0012】
本発明において、さらに、前記エンジンの前面の排気ポートに接続された排気管を備え、前記入口パイプおよび前記出口パイプは、正面視で、前記排気管の外側方に配置されていてもよい。ここで、「入口パイプおよび出口パイプが、正面視で、排気管の外側方に配置される」とは、入口パイプおよび出口パイプが、正面視で、排気管の外側方でオイルクーラに接続されることをいう。この構成によれば、入口パイプおよび出口パイプを排気管から離して配置できる。これにより、入口パイプおよび出口パイプを排気管の熱から保護できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水冷エンジンを備えた鞍乗型車両によれば、車両の駐車時に、オイルクーラ内のオイルがエンジンに戻り易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る水冷エンジンを備えた鞍乗型車両の一種である自動二輪車を示す側面図である。
図2】同エンジンの正面図である。
図3】同エンジンの側面図である。
図4】同エンジンのパイプ取付部を示す正面図である。
図5】同自動二輪車のラジエータおよびオイルクーラを上方から見た平面図である。
図6】同自動二輪車のエンジンおよびオイルクーラを下方から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る鞍乗型車両の一種である自動二輪車の前部を示す側面図である。本明細書において、「右」、「左」は、車両に乗車した運転者から見た「右」、「左」をいう。また、「上流」、「下流」はオイルの流れ方向の「上流」、「下流」をいう。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る鞍乗型車両の一種である自動二輪車の側面図である。本実施形態の自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を構成するメインフレーム1と、後半部を構成するリヤフレーム2とを有している。リヤフレーム2は、メインフレーム1の後部に連結されている。
【0017】
メインフレーム1の前端のヘッドパイプ4に、図示しないステアリングシャフトを介してフロントフォーク6が回動自在に支持されている。フロントフォーク6の下端に前輪8が取り付けられている。フロントフォーク6の上端部に、ハンドル10が取り付けられている。
【0018】
メインフレーム1の後端部に、スイングアームブラケット12が設けられている。スイングアームブラケット12に、スイングアーム13の前端が、ピボット軸14回りに上下揺動自在に支持されている。スイングアーム13の後端に、後輪15が取り付けられている。
【0019】
メインフレーム1の下方でスイングアームブラケット12の前方に、駆動源であるエンジンEが取り付けられている。エンジンEにより、チェーンのような動力伝達部材(図示せず)を介して後輪15が駆動される。
【0020】
本実施形態のエンジンEは、水冷の並列4気筒エンジンである。ただし、エンジンEは、4気筒エンジンに限定されない。エンジンEは、クランクシャフト15を回転自在に支持するクランクケース16と、クランクケース16から上方に突出するシリンダ18と、シリンダ18の上部に取り付けられたシリンダヘッド20とを有している。また、クランクケース16の下部にオイルパン22が設けられている。
【0021】
メインフレーム1の上部に燃料タンク24が配置され、リヤフレーム2に操縦者が着座するシート26が装着されている。エンジンEの前方に、ラジエータ25が配置されている。ラジエータ25は、走行風AによりエンジンEの冷却水Wを放熱する。エンジンの前方Eでラジエータ25の下方に、空冷のオイルクーラ30が配置されている。オイルクーラ30は、走行風AによりエンジンEのオイルOLを冷却する。図5の平面図から分かるとおり、ラジエータ25は左右方向の中央部が後方へ凹んだ湾曲板形状であり、オイルクーラ30は湾曲のない平板状である。ラジエータ25の左側部分の背面に、冷却ファン25aが取り付けられている。図1に示すオイルクーラ30の下端30dは、オイルパン22よりも上方に位置している。
【0022】
シリンダヘッド20の前面に排気ポート20aが形成され、後面に吸気ポート20bが形成されている。排気ポート20aおよび吸気ポート20bは、気筒ごとに1つ、それぞれ合計4つ設けられている。各吸気ポート20bに吸気系機器が接続されている。吸気系機器は、外部の空気を吸気としてエンジンEに供給する。
【0023】
各排気ポート20aに、排気管28が1本ずつ接続されている。つまり、本実施形態では、排気管28は4本である。各排気管28は、エンジンEの前方を下方に延びた後、エンジンEの下方の合流部31で集合され、後輪15の外側方に配置されたマフラ32から外部に排出される。車体の左側のスイングアームブラケット12の下部に、車体を傾斜状態で停車させるサイドスタンド34が設けられている。
【0024】
図2に示すように、オイルクーラ30にオイルOLを導入する入口パイプ36が、オイルクーラ30の左端部(図2の右端部)の下端部に接続されている。また、オイルクーラ30からオイルOLを導出する出口パイプ38が、オイルクーラ30の右端部(図2の左端部)の上端部に接続されている。
【0025】
入口パイプ36および出口パイプ38は、オイルクーラ30の下方で、クランクケース16に取り付けられている。詳細には、入口パイプ36および出口パイプ38は、パイプ取付部40を介してクランクケース16の前面に取り付けられている。つまり、入口パイプ36の上流端36aがパイプ取付部40に接続され、下流端36bがオイルクーラ30の入口部30aに接続されている。また、出口パイプ38の上流端38aがオイルクーラ30の出口部30bに接続され、下流端38bがパイプ取付部40に接続されている。
【0026】
図4に示すように、パイプ取付部40は、プレート形状の本体部42と、オイル導出部44と、オイル導入部46とを有している。本体部42は、その4隅でボルト45によりクランクケース16の前面に着脱自在に取り付けられている。
【0027】
オイル導出部44は、本体部42から前方に膨出するボス部48を有している。ボス部48は、軸心がほぼ車幅方向(左右方向)を向いた連通路を内部に有する。ボス部48の右端面48aに、本体部42を貫通してクランクケース16のオイル出口(図示せず)に連通するオイル通路50が接続されている。オイル通路50には、エンジンEのオイルポンプOPによりオイルパン22から吸い上げられたオイルOLが供給される。ボス部48の左端面48bに、入口パイプ36の上流端36aが接続されている。つまり、オイル通路50に導入されたオイルOLが、入口パイプ36からオイルクーラ30に供給され、走行風Aにより冷却される。
【0028】
オイル導入部46も、本体部42から前方に膨出するボス部52を有している。ボス部52は、軸心がほぼ車幅方向(左右方向)を向いた連通路を内部に有する。ボス部50の右端面52aに、出口パイプ38の下流端38bが接続されている。ボス部52の左端面52bに、本体部42を貫通してクランクケース16のオイル入り口(図示せず)に連通するオイル通路54が接続されている。オイル通路54は、クランクケース16内のオイル戻り通路(図示せず)に連通している。つまり、オイルクーラ30で冷却されたオイルOLが、出口パイプ38およびオイル通路54を介してオイルパン22に戻される。
【0029】
図2に示すように、入口パイプ36および出口パイプ38は、正面視で、排気管28の外側方に配置されている。詳細には、入口パイプ36および出口パイプ38が、正面視で、排気管28の外側方でオイルクーラ30に接続されている。出口パイプ38は、排気管28をかわすために、オイルクーラ30の上部の出口部30bから右側方に湾曲しながら後方に延びている。
【0030】
図5に示すように、オイルクーラ30は、その下部の1か所と、上部の2か所の計3か所でエンジンEに支持されている。詳細には、図3に示すように、オイルクーラ30の下部が第1支持ブラケット56を介してクランクケース16に支持され、オイルクーラ30の上部が2つの第2支持ブラケット58,58を介してシリンダ18に支持されている。ただし、オイルクーラ30の上部は、クランクケース16に支持されてもよい。
【0031】
より詳細には、図6の底面図に示すように、オイルクーラ30の下部が、その中央部1か所で第1支持ブラケット56を介してクランクケース16前面のパイプ取付部40に支持されている。オイルクーラ30の下面の中央部に、第1取付片60が設けられている。第1取付片60は、板金製であり、例えば、溶接によりオイルクーラ30に接合されている。この第1取付片60には、曲折されて下方に突出する突出壁60aが形成されている。この突出壁60aに、車幅方向(左右方向)を向く第1挿通孔60bが形成されている。
【0032】
図4に示すように、パイプ取付部40に、第1クーラ支持部62が設けられている。この第1クーラ支持部62は、パイプ取付部40におけるオイル導出部44の上方に設けられている。第1クーラ支持部62は、パイプ取付部40の本体部42から前方斜め上方に突出し、先端に軸心が車幅方向を向くボス62aが形成されている。
【0033】
図6に示す第1支持ブラケット56は、板金製の細長い部材であり、一端部56a(後端部)がクランクケース16前面のパイプ取付部40に取り付けられ、他端部56b(前端部)がオイルクーラ30下部の第1取付片60に取り付けられる。第1支持ブラケット56の一端部56aおよび他端部56bに、車幅方向を向く第1および第2ねじ孔56c,56dがそれぞれ形成されている。本実施形態では、第1および第2ねじ孔56c,56dは、溶接ナットで構成されている。
【0034】
図4に示す第1支持ブラケット56の一端部56aをパイプ取付部40の第1クーラ支持部62に当接させる。この状態で、ボルトのような締結部材65が、第1クーラ支持部62のボス62aの中空孔62bに車幅方向から挿通され、第1支持ブラケット56の第1ねじ孔56cに締め付けられている。
【0035】
図6に示すオイルクーラ30下部の第1取付片60の第1挿通孔60bに、その両側に配した一対の円盤状のゴムダンパ66を介してボルトのような締結部材68が車幅方向から挿通され、第1支持ブラケット56の第2ねじ孔56dに締め付けられている。これにより、オイルクーラ30の下部が、第1支持ブラケット56を介してクランクケース16前面のパイプ取付部40に防振状態で支持される。
【0036】
図5のオイルクーラ30の上部は、左右2か所で第2支持ブラケット58を介してシリンダ18に支持されている。この支持構造は、第1支持ブラケット56を用いた前述の支持構造と同様である。すなわち、オイルクーラ30の上面の左右両側部に、上方に突出する第2取付片70が設けられ、この各第2取付片70の突出壁70aに、車幅方向(左右方向)を向く第2挿通孔70bが形成されている。
【0037】
シリンダ18の前面に、第2クーラ支持部72(図3も参照)が設けられている。第2クーラ支持部72は、シリンダ18の前面における左右の2か所に設けられている。各第2クーラ支持部72は、シリンダ18の前面から前方に突出し、先端に軸心が車幅方向を向くボス72aが形成されている。
【0038】
第2支持ブラケット58(図3も参照)は、板金製の細長い部材であり、一端部58a(後端部)がシリンダ18前面の第2クーラ支持部72に取り付けられ、他端部58b(前端部)がオイルクーラ30上部の第2取付片70に取り付けられる。図6に示す各第2支持ブラケット58の一端部58aおよび図5に示す他端部58bに、車幅方向を向く第3および第4ねじ孔58c,58dが形成されている。本実施形態では、第3および第4ねじ孔58c,58dは、溶接ナットで構成されている。
【0039】
図6に示す第2支持ブラケット58の一端部58aをシリンダ18の第2クーラ支持部72に当接させる。この状態で、ボルトのような締結部材75が、第2クーラ支持部72のボス72aの中空孔72bに車幅方向から挿通され、第2支持ブラケット58の第3ねじ孔58cに締め付けられている。
【0040】
図5に示すオイルクーラ30上部の第2取付片70の第2挿通孔70bに、その両側に配した一対の円盤状のゴムダンパ76を介してボルトのような締結部材78が車幅方向外側から挿通され、第2支持ブラケット58の第4ねじ孔58dに締め付けられている。これにより、オイルクーラ30の上部が、第2支持ブラケット58を介してシリンダ18に防振状態で支持される。以上により、オイルクーラ30が、エンジンEに支持されている。
【0041】
ラジエータ25の下部が、オイルクーラ30の上部の中央部に支持されている。オイルクーラ30の上面の車幅方向中央部に、上方に突出する第3取付片80が設けられている。第3取付片80は、板金製であり、例えば、溶接によりオイルクーラ30に接合されている。第3取付片80の曲折された突出壁80aに、車幅方向(左右方向)を向く第5ねじ孔80bが形成されている。本実施形態では、第5ねじ孔80bは溶接ナットで構成されている。
【0042】
ラジエータ25の下面の車幅方向中央部に、下方に突出する第4取付片82が設けられている。第4取付片82も、板金製であり、例えば、溶接によりラジエータ25の下面に接合されている。第4取付片82の曲折された立壁82aに、車幅方向(左右方向)を向く第3挿通孔82bが形成されている。
【0043】
ラジエータ25の下部の第4取付片82の第3挿通孔82bに、その両側に配した一対の円盤状のゴムダンパ84を介してボルトのような締結部材85が車幅方向から挿通され、第3取付片80の第5ねじ孔80bに締め付けられている。これにより、ラジエータ25の下部が、オイルクーラ30の上部に防振状態で支持される。なお、ラジエータ25の上部は、公知の方法で、車体フレームFR(図1)に支持されている。
【0044】
つぎに、本実施形態の自動二輪車のオイルの流れを説明する。図3のエンジンEが始動すると、クランクシャフト15に連動してオイルポンプOPが駆動され、オイルパン22内のオイルOLの一部がオイル出口(図示せず)からクランクケース16の外部に導出される。オイル出口(図示せず)から導出されたオイルOLは、オイル通路50および入口パイプ36を介してオイルクーラ30に供給される。オイルクーラ30に供給されたオイルOLは、走行風Aにより冷却される。
【0045】
オイルクーラ30で冷却されたオイルOLは、出口パイプ38およびオイル通路54を介してクランクケース16内のオイル戻り通路(図示せず)に導出される。オイルOLは、オイル戻り通路(図示せず)を通ってオイルパン22に戻される。
【0046】
図2に示すサイドスタンド34で自動二輪車が停車する際、車体は左側に向かって下方に傾斜している。つまり、サイドスタンド34で起立時に、オイルクーラ30の左下側が最も低い位置になり、右上側が最も高い位置になる。上記構成によれば、入口パイプ36がオイルクーラ30の左端部の下端部に接続されているので、オイルクーラ30内のオイルOLが、オイルクーラ30の左下側に溜まる。このため、自動二輪車の駐車時に、オイルクーラ30内のオイルOLがエンジンEに戻り易い。また、オイルクーラ30内のオイルOLがオイルクーラ30の左下側に溜まるので、入口パイプ36にエアが溜まりにくい。
【0047】
また、出口パイプ38がオイルクーラ30の右端部の上端部に接続されているので、オイル交換時に、出口パイプ38からエアが抜けやすく、オイル交換が容易である。
【0048】
入口パイプ36および出口パイプ38は、オイルクーラ30の下方で、クランクケース16前面のパイプ取付部40に取り付けられている。この構成によれば、正面視で、オイルクーラ30とパイプ取付部40が重ならない。したがって、入口パイプ36および出口パイプ38のパイプ取付部40への接続作業が容易になる。
【0049】
さらに、入口パイプ36および出口パイプ38が、正面視で、排気管28の外側方に配置されている。詳細には、入口パイプ36および出口パイプ38が、正面視で、排気管28の外側方でオイルクーラ30に接続されている。これにより、入口パイプ36および出口パイプ38を排気管28から離して配置できる。したがって、入口パイプ36および出口パイプ38を排気管28の熱から保護できる。
【0050】
また、オイルクーラ30が、図3に示す第1支持ブラケット56を介してパイプ取付部40に支持されている。これにより、パイプ取付部40をオイルクーラ30の支持にも利用できるので、構造が簡単になる。
【0051】
さらに、オイルクーラ30の上部は、左右2か所で第2支持ブラケット58を介してシリンダ18に支持され、ラジエータ25の下部が第4取付片82によってオイルクーラ30の上部の中央部に支持されている。これにより、簡単な構造で、ラジエータ25、オイルクーラ30、入口パイプ36および出口パイプ38を支持することができる。
【0052】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、出口パイプ38がオイルクーラ30の右端部の上端部に接続されているが、出口パイプ38はオイルクーラ30の右端部の下端部に接続されていてもよい。この場合、入口パイプ36と出口パイプ38の両方をオイルクーラ30の下方に配置できる。また、オイルクーラ30の前方に、走行時に小石等からオイルクーラ30を保護する金網を設けてもよい。さらに、オイルクーラ30の下部に、オイルクーラ30に走行風を案内するガイド部材を設けてもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
16 クランクケース
20a 排気ポート
25 ラジエータ
28 排気管
30 オイルクーラ
36 入口パイプ
38 出口パイプ
40 パイプ取付部
56 第1支持ブラケット
58 第2支持ブラケット
A 走行風
E エンジン
OL オイル
W 冷却水
図1
図2
図3
図4
図5
図6