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特許7245897内部機械加工が施された挿入体のコード復元方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】内部機械加工が施された挿入体のコード復元方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20230316BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G06T11/80 B
E05B19/00 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021505378
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 FR2019051873
(87)【国際公開番号】W WO2020025896
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】1857205
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】タバード,フランク
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02894526(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0278438(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0064597(US,A1)
【文献】特開2001-262877(JP,A)
【文献】特開2003-155853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
G06T 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン(4、5、25、45)を備える挿入体(1、20、40)のコード復元方法において、挿入体(1、20、40)のコード復元に特化されたソフトウェアを有する、画面(101)を備えた電子システム(100)を用いて、実行される方法であって、
前記挿入体(1、20、40)の画像を取得するステップと、
前記画像を含んだファイルを作成するステップと、
前記画面(101)の特定領域(102)に、事前定義されたライン網(103、104)を表示させる、前記ソフトウェアの起動ステップと、
前記画面(101)の前記特定領域(102)に前記挿入体(1、20、40)の前記画像を表示するために、前記ソフトウェアで前記ファイルを入力データとして使用するステップであって、したがって、前記ライン網が前記画像に重ね合わされるステップと、
前記網の前記ライン(103、104)と前記挿入体(1、20、40)の前記パターン(4、5、25、45)の輪郭との特定の交点(110、111、112、113、114、115)を選択するステップと、
個別の交点(110、111、112、113、114、115)の位置にそれぞれ対応する構成要素(116)を複数個含んだ1つのコードを、前記電子システム(100)によってレンダリングするステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記挿入体(1、20、40)の前記パターンが、内部パターン(4、5、25、45)である、請求項1に記載のコード復元方法。
【請求項3】
前記挿入体(1、20、40)の前記画像が一定の標準的な形で前記画面(101)の前記特定領域(102)を占めるように、その画像を拡大縮小するステップを含む、請求項2に記載のコード復元方法。
【請求項4】
前記挿入体(1、20、40)の前記画像が、平らに置かれた前記挿入体(1、20、40)に対して垂直に面して撮影された写真である、請求項2または3に記載のコード復元方法。
【請求項5】
前記挿入体(1、20、40)が細長く、前記パターン(4)が前記挿入体(1、20、40)に沿って少なくとも部分的に延びる溝(5、25、45)である、請求項2から4のいずれか一項に記載のコード復元方法。
【請求項6】
前記ライン網が、水平ライン(104)と、前記水平ライン(104)と交差する垂直ライン(103)とを含み、前記ライン網が、前記挿入体(1、20、40)の前記画像が表示される前記画面(101)の前記特定領域(102)のメッシュを生成する、請求項5に記載のコード復元方法。
【請求項7】
前記溝(5、25、45)が、2つの側縁(9、10、29、30、49、50)によって画定され、前記選択した交点が、前記垂直ライン(103)のそれぞれと、前記2つの縁(9、10、29、30、49、50)のうちの少なくとも一方との交点で構成されている、請求項6に記載のコード復元方法。
【請求項8】
前記網が少なくとも4本の垂直ライン(103)を含む、請求項6または7に記載のコード復元方法。
【請求項9】
前記コードが一続きの数字(116)であり、前記数字(116)の数は、前記垂直ライン(103)と前記溝(5、25、45)の前記少なくとも一方の縁(9、10、29、30、49、50)との間で検出される交点(110、111、112、113、114、115)の数に対応し、前記数字(116)の値は、各垂直ライン(103)に沿った前記交点(110、111、112、113、114、115)の位置が反映されたものになる、請求項6から8のいずれか一項に記載のコード復元方法。
【請求項10】
前記ソフトウェアが、個別の挿入体(1、20、40)の型にそれぞれが対応する複数のライン網を含み、コード復元対象の挿入体(1、20、40)の前記型に応じて適切な前記ライン網を選択するステップを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコード復元方法。
【請求項11】
適切な前記ライン網を選択する前記ステップが、車両モデル及び/又は挿入体(1、20、40)のタイプを表すアイコンをクリックすることによって、手動で実行される、請求項10に記載のコード復元方法。
【請求項12】
前記交点(110、111、112、113、114、115)を選択する前記ステップが、ヒューマン/マシンインターフェースを介して実行され、それによって、前記交点(110、111、112、113、114、115)のそれぞれの位置を前記コードの構成要素(116)に直接変換することが可能になる、請求項1から11のいずれか一項に記載のコード復元方法。
【請求項13】
前記交点(150)の少なくともいくつかが、特定的に予備表示される、請求項1から12のいずれか一項に記載のコード復元方法。
【請求項14】
前記予備表示された交点(110、111、112、113、114、115)が、それらが選択されると、新しい特有の表示を提示する、請求項13に記載のコード復元方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工で生成された内部パターンを備える挿入体のコード復元方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、かかる挿入体は、例えば車両の扉の錠などに、その扉をロック又はロック解除するために差し込むよう意図された鍵の一体的な部品を形成する。
【0003】
概略的には、上記挿入体は中実のボディを有し、機械加工が以下のように行われ得る。
挿入体のボディを画定する少なくとも一方の側縁への、外側からの機械加工。この場合、挿入体は、この機械加工による一続きの凹凸を含んだ平坦でない輪郭を有する。
あるいは、挿入体のボディにくり抜かれたパターンの形をした、内部への機械加工。この場合、挿入体は、最初の輪郭を保っている。
【0004】
したがって、ある特定の車両に対して、外部又は内部機械加工された挿入体は、特にその機械加工固有の特徴と、関連付けられた車両タイプとによって決まる、個別のコードによって識別可能である。
【0005】
特許文献1に、鍵を複製する方法が記載されている。この方法は、元の鍵の画像を取得してから、その画像を処理することによって、鍵に関する幾何学的情報を抽出することに基づいている。次にこの情報が、データベースに列挙された様々な鍵の情報と突き合わされる。こういった鍵はそれぞれ、コードによって識別可能になっている。したがって、上記の元の鍵と関連付けられているコードは、それに対応する鍵の型のコードと突き合わせられ得る。ここで、かかる方法は、外部に機械加工された鍵のみに適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第20140064597号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明による挿入体のコード復元方法は、内部機械加工が施されたものを含む、任意の挿入体タイプのコード復元を可能にする。
【0008】
本発明の主題は、一定のパターンを備える挿入体のコード復元方法であり、上記方法は、挿入体のコード復元に特化されたソフトウェアを有する、画面を備えた電子システムを用いて、実行される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、方法は、
挿入体の画像を取得するステップと、
上記画像を含んだファイルを作成するステップと、
上記画面の特定領域に、事前定義されたライン網を表示させる、上記ソフトウェアの起動ステップと、
上記画面の上記特定領域に上記挿入体の上記画像を表示するために、上記ソフトウェアで上記ファイルを入力データとして使用するステップであって、したがって、上記ライン網が上記画像に重ね合わされるステップと、
上記網の上記ラインと上記挿入体の上記パターンの輪郭との特定の交点を選択するステップと、
個別の交点の位置にそれぞれ対応する構成要素を複数個含んだ1つのコードを、上記電子システムによってレンダリングするステップと、を含む。
【0010】
かかる方法の原理は、ソフトウェアによって実装されるライン網と、画面に表示される挿入体のコンピュータ画像を重ね合わせてから、そのライン網のラインと、挿入体に機械加工されたパターンの輪郭との間で前もって定まる特定の交点を選択することを利用している。この選択は、各交点の位置を反映するよう意図されたヒューマン/マシンインターフェースを用いて行われ、次いで、この位置が、個別の交点の位置に対応する、コードの一構成要素に変換される。上記ソフトウェアによって実装されるライン網は汎用的なものではなく、コード復元対象の挿入体タイプによって変わる。コードは、例えば一続きの数字又は文字を含むことができ、その場合そのコードの各構成要素は、1つの数字又は1つの文字によって表される。上記コードは、数字と文字を混ぜて表すこともできる。コードの構成要素の数は、ライン網とパターンの輪郭との間における選択対象の交点の数に対応し、その構成要素の値は、ライン網のラインに沿って注目した交点の位置が反映されたものになる。上記画像を含んだファイルは、上記ソフトウェアの入力データとして機能し、そのソフトウェアが起動されると、電子システムの画面に、挿入体の画像とライン網が同時に表示され、重ね合わされる。したがって、そのライン網の少なくとも特定のラインに対して、パターンの輪郭との交点を選択することが可能になる。この選択は、形状及びサイズの点でその挿入体のパターンに特定的に対応する最終的なコードを形成するためのものである。挿入体が長さ、幅、及び厚みによって規定されるとすると、内部パターンはこの厚みの中だけに生成され、その挿入体の幅も長さも変更しない。かかる内部パターンは、例えば、連続的な溝や、複数の単位パターンが連なったものなどが代表的であり得る。本発明による方法の実行を可能にする電子システムは、例えば、コンピュータやタッチタブレット、スマートフォンなどが代表的であり得る。尚、挿入体は鍵の一体的な部品を形成するか、又はその鍵自体を構成し得る。優先的には、ライン網は体系づけられ、水平ラインのみ、又は垂直ラインのみ、又は水平ラインと垂直ラインの混合を含み得る。優先的には、挿入体の画像は写真である。
【0011】
有利には、上記方法は、上記挿入体の上記画像が一定の標準的な形で上記画面の上記特定領域を占めるように、その画像を拡大縮小するステップを含む。実際、考慮されていない倍率による挿入体のコード生成のひずみを避けるために重要なのは、ソフトウェアを常に同じ写真形式で機能させるということである。
【0012】
本発明の可能な一特徴によると、上記挿入体の上記画像は、平らに置かれた上記挿入体に対して垂直に面して撮影された写真である。写真がこれらの条件で撮影されなかった場合は、既知の画像処理手段によって、実物に対して画像を歪ませることなく、したがって実際の比率を保って画像を修正することが可能になる。
【0013】
優先的には、上記挿入体は細長く、上記パターンはその挿入体に沿って少なくとも部分的に延びる溝である。この溝は、上記挿入体の厚みに生成された溝のようなものにすることができ、その挿入体の幅と長さのどちらも超えて延びないように設計される。上記溝は、優先的には特定の外形を有し、直線状及び/又は湾曲した区画を有し得る。
【0014】
優先的には、上記ライン網は、水平ラインと、上記水平ラインと交差する垂直ラインを含み、上記ライン網は、上記挿入体の上記画像が表示される上記画面の上記特定領域のメッシュを生成する。この構成では、挿入体の画像にライン網を重ね合わせることにより、その挿入体が矩形又は方形の区画に仮想的に細分される。
【0015】
有利には、上記溝は、2つの側縁によって画定され、上記選択される交点は、上記垂直ラインのそれぞれと、上記2つの縁のうちの少なくとも一方との交点で構成される。このように、上記選択ステップの対象になる交点は、コード復元対象の挿入体タイプに応じて決まり、上記縁の一方と各垂直ラインとの交点、又はもう一方の縁と各垂直ラインとの交点、又は垂直ラインの位置に応じて上記縁のどちらか一方と各垂直ラインとの交点で構成され得る。
【0016】
有利には、上記網は少なくとも4本の垂直ラインを含む。本発明による方法の第1の好ましい実施形態によると、上記網は6本の垂直ラインを含む。本発明による方法の第2の好ましい実施形態によると、上記網は8本の垂直ラインを含む。
【0017】
優先的には、上記コードは一続きの数字であり、上記数字の数は、上記垂直ラインと上記溝の少なくとも一方の縁との間で検出される交点の数に対応し、上記数字の値は、各垂直ラインに沿った上記交点の位置が反映されたものになる。同様に、上記コードは一続きの文字で構成され得、上記文字の数は、上記垂直ラインと上記溝の一方の縁との間で検出される交点の数に対応し、上記文字の値は、注目の垂直ラインに沿った上記交点の位置が反映されたものになる。
【0018】
優先的には、上記ソフトウェアは、個別の上記挿入体の型にそれぞれが対応する複数のライン網を含み、上記方法は、上記コード復元対象の上記挿入体の型に応じて適切な上記ライン網を選択するステップを含む。実際、上記ソフトウェアは、複数のライン網で構成されるデータベースを含み、各ライン網は、個別の挿入体の型に対応する。上記挿入体が車両の扉のロック又はロック解除に使用される鍵である場合、上記ソフトウェアは、特定の車両タイプ又はモデルにそれぞれが対応する複数のライン網を含む。
【0019】
本発明の可能な一特徴によると、適切なライン網を選択する上記ステップが、車両モデル及び/又は上記挿入体タイプを表すアイコンをクリックすることによって、手動で実行される。
【0020】
有利には、上記交点を選択する上記ステップが、ヒューマン/マシンインターフェースを介して実行され、それによって、上記交点のそれぞれの位置を上記コードの一構成要素に直接変換することが可能になる。この選択ステップは、例えば、画面、キーボード及び場合によりマウスを備えるコンピュータを用いて実行され得る。上記選択ステップはまた、タッチスクリーンを備えるタブレット用いて実行され得る。その場合、画面上の交点の位置を指又はスタイラスで押すだけで、この交点に対応するコードの構成要素を即座に取得できる。
【0021】
有利には、上記電子システムはマウスを備えるコンピュータであり、各交点を選択する上記ステップでは、交点に対応するコードの構成要素を即座に取得するために、画面上に表示された、上記マウスで動かすカーソルを、その交点上に配置してから、そのマウスをクリックする。
【0022】
本発明の可能な一特徴によると、上記選択対象の交点が、特定的に予備表示される。このように、本発明による方法は、特定の点の測定を特に省きつつ、自動機能性を有する。特定の点を測定するということは常に、誤り、したがって誤差の発生源と成り得る。この異なる表示は、例えば、選択対象の点を違う色及び/又は形にしたり、あるいは、点滅させたりすることに反映され得る。
【0023】
本発明の可能な一特徴によると、予備表示された上記交点は、それらが選択されると、新しい特有の表示を示す。このように、本発明による方法の個々のステップは明確に特徴付けられ、それによってこの方法は適切に構造化され、明確に進行することが可能になる。上記の新しい表示は、違う色及び/又は形にすることに反映され得る。
【0024】
本発明によるコード復元方法は、単純で、実装が容易である。というのは、この方法では、コードを取得するまでに実行すべき操作数が少なくて済むからである。すなわち、その操作とは、挿入体画像の取得と、電子システムの画面上での、ライン網と挿入体の内部パターンの輪郭との交点の選択である。上記方法には、正確な結果が得られるという利点もある。というのは、画面上に表示される挿入体の画像が、その挿入体の実際の寸法に比べて大幅に拡大されるからである。
【0025】
本発明によるコード復元方法の好ましい実施形態の詳細な説明は、以下の図を参照して下記に示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】内部パターンを備える挿入体の画像を示す図である。
図2】本発明によるコード復元方法で使用されるコード復元ソフトウェアの起動時に得られる、図1の挿入体の画像とライン網との重ね合わせを示す画面キャプチャの図である。
図3】本発明によるコード復元方法で使用されるコード復元ソフトウェアの起動時に得られる、挿入体の第2の例の画像とライン網との重ね合わせを示す画面キャプチャの図である。
図4】本発明によるコード復元方法で使用されるコード復元ソフトウェアの起動時に得られる、挿入体の第3の例の画像とライン網との重ね合わせを示す画面キャプチャの図である。
図5】本発明による方法の各種ステップを列挙した、時系列的な流れ図である。
図6】本発明によるコード復元方法で使用されるコード復元ソフトウェアの起動時に得られる、挿入体の第4の例の画像とライン網との重ね合わせを示す画面キャプチャの図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、挿入体1が、本発明によるコード復元方法の文脈において、錠をロック又はロック解除するために、その錠に差し込むよう意図されている。この挿入体1は、鍵の一体的な部品を形成していても、あるいは、鍵自体を構成していてもよい。一般に、上記挿入体1は細長く、厚さが薄い。上記挿入体1は、その挿入体1の長手方向の軸に沿って延びる2つの側縁2、3によって画定され、上記2つの側縁2、3を隔てる距離は上記挿入体1の幅を表し、上記側縁2、3の長さは上記挿入体1の長さを表す。大まかには、以下の2つのタイプの挿入体が存在する。
外部に機械加工され、したがって上記2つの側縁2、3のうちの少なくとも一方に起伏(凹部、凸部、歯、切欠きなど)を有する、挿入体。この外部機械加工により、挿入体1の最初の輪郭に変更が加えられる。
内部に機械加工され、くり抜かれたパターン4を備える、挿入体。このパターンは挿入体1の厚みの中に生成され、その挿入体1の最初の輪郭に変更が加えられない。つまり、この挿入体タイプでは、その挿入体1の大きさの範囲内に機械加工パターンが限定されるため、最初の輪郭が保たれる。
【0028】
本発明による方法は、特に、内部機械加工が施された挿入体1のコード復元に適している。ただしこれに限らない。
【0029】
図1は、内部機械加工が施された挿入体1の第1の例を示している。この機械加工によって得られたくり抜きパターン4は、一定の幅の溝5であり、溝5は、挿入体1の中心領域11に、その挿入体1の長手方向の軸に沿って延びている。上記溝5は、屈曲部を形成するセグメント8によって隔てられた、ほぼ直線状の2つのセグメント6、7を有する。上記溝5は、上縁9と下縁10によって画定され、これらの2つの縁は、上記溝5に沿って平行になっている。
【0030】
図2を参照すると、例えば図1に示されているものであり得る内部機械加工が施された挿入体1のコード復元方法が、電子システムを用いて実行される。この電子システムは例えば、画面101、キーボード及びマウスを備えるコンピュータ100であり得る。上記コンピュータ100は、ソフトウェアを含んでおり、このソフトウェアは、機械加工、より詳細には内部機械加工が施された挿入体1のコード復元用に、特に開発されたものである。
【0031】
図5を参照すると、かかる方法は、以下のステップを含んでいる。
例えばカメラ、スマートフォン又は電子タブレットを用いて、挿入体1の画像を取得するステップ200。この画像は、例えば図1に示されているものであり得る。優先的には、この写真は、平坦且つ水平な表面上に予め平らに置かれた挿入体1に対して垂直に面して撮影される。
上記写真を含んだファイルを作成するステップ201。
上記ソフトウェアで利用できる、標準化された一定の形式の上記写真を得るために、その写真を、上記ファイルを介して拡大縮小するステップ202。
上記ソフトウェアで、コード復元対象の挿入体1の型を選択するステップ203。実際、上記ソフトウェアは様々な既存の挿入体の型に対応するデータベースを含んでおり、上記ソフトウェアでこれらの挿入体の型の1つを選択すると、上記コード復元方法の残りが条件付けられる。例えば、上記ソフトウェアに格納されているある1つの挿入体1の型は、特定の車両ブランド及び/又は特定の車両モデルに対応し得る。したがって例えば、コード復元対象の挿入体1が関連付けられている車両モデルを示すアイコンをクリックするだけで、上記コード復元方法の後続の各種ステップを方向付けることができる。上記データベースは、新たな挿入体1の型を追加することにより、いつでも更新できる。
画面101の特定領域102に、垂直ライン103と水平ライン104を含んだライン網を表示させる、上記ソフトウェアの起動ステップ204。このライン網は、前のステップで選択した挿入体1のタイプに対応している。図2に示されている例では、上記ライン網は6本の垂直ライン103を含み、2本の連続するライン103の間の間隔は一定である。したがって、この起動ステップは、コード復元対象の挿入体1の特徴に応じて、画面101上に表示されるライン網を選択するステップを含む。実際、上記ソフトウェアによって実装されるライン網、具体的には、水平ライン104と垂直ライン103の数と、画面101上のそれらの配置は、選択した挿入体1のタイプに応じて決まる。尚、水平ライン104と垂直ライン103は、画面101の特定領域102のメッシュを形成するために、交差している。
ライン網103、104が表示される画面101の特定領域102に挿入体1の画像を表示するために、上記ソフトウェアで上記ファイルを入力データとして使用するステップ205。したがって、上記ライン網103、104が上記画像に重ね合わされる。これで、挿入体1はこれらのライン103、104による格子で覆われ、その交点の全て又はいくつかは、例えばクリック対象の点の形で表示されたり、例えばさらに目立つ「クリック可能な」色付きの円の形で表示されたりする。挿入体1の画像を含んだ上記ファイルは、上記ソフトウェアの主要な入力データを構成する。尚、ライン網103、104を含んだ格子は透けており、画面101上に表示される挿入体1の画像に重ね合わせることができる。この格子の透明度は、挿入体1の画像の特徴に応じて調整可能である。
画面101上に表示される挿入体1の側縁2、3がライン網103、104の水平ライン104と平行でない場合に、その挿入体1の画像を回転させるステップ206。実際、この回転ステップは、上記2つの縁2、3を上記ライン網の水平ライン104と平行にする目的で、挿入体の画像を旋回させるために使用される。重要なのは、旋回しなければコード復元がひずむ場合に、挿入体1の画像を、ライン網103、104に対して正確に配置することである。
6本の垂直ライン103のそれぞれに対して、その垂直ライン103と溝5の上縁9との交点110、111、112、113、114、115を、選択するステップ207。この選択ステップは、画面上に表示されている、マウス(又はキーボード)で動かすカーソルを、注目の交点110、111、112、113、114、115上に配置してから、マウスをクリックすることにより、手動で実行される。この選択ステップが関与している交点は、例えば、異なる色やハイライトで表示されるため、又は点滅するため、上記選択された交点110、111、112、113、114、115の周囲に位置するそれ以外の交点150と視覚的に区別される。
垂直ライン103に沿った個別の交点110、111、112、113、114、115の位置にそれぞれ対応する構成要素を複数個含んだコードを、上記電子システムによってレンダリングするステップ208。前の選択ステップで交点110、111、112、113、114、115上にカーソルが位置するときにマウスをクリックしたことによって、注目の垂直ライン103に沿った交点の位置を反映した数字116又は文字が、画面101上に表示される。この数字又は文字が、最終的なコードを構成し、このコードによって、挿入体1の機械加工特性の特徴を表すことが可能になる。注目している例では、ライン網が6本の垂直ライン103を示していることから、挿入体1のコードは、6個の、それぞれ数字又は文字の形をした構成要素を含む。この場合、図2で注目した例のコードは324111である。
上記コードが決定されると、そのコードを、上記挿入体1の型に対応する参照コードと突き合わせることが可能になり、したがって、挿入体1の機械加工特性を評価することが可能になる。
【0032】
図3を参照すると、挿入体20の第2の例が、その挿入体20の上側領域31に、挿入体20に沿って延びる内部溝25の形で、パターン4を含み得る。この溝25もやはり、上縁29と下縁30によって画定され、上記2つの縁29、30は平行である。この事例では、溝25が挿入体20の上側領域31を占めることから、選択ステップでは、垂直ライン103のそれぞれに対して、その直線の垂直ライン103と溝25の下縁30との交点を選択する。前の例のように上縁29との交点を選択することはない。
【0033】
図4を参照すると、挿入体40の第3の例が、その挿入体40の、より中心寄りの領域51に、挿入体40に沿って延びる内部溝45を含み得る。この溝45もやはり、上縁49と下縁50によって画定され、上記2つの縁49、50は平行である。この事例では、溝45が挿入体40の中心位置を占めることから、選択ステップでは、直線の垂直ライン103のそれぞれに対して、その直線の垂直ライン103と、溝45の下縁50又は溝45の上縁49との交点を選択する。
【0034】
図6を参照すると、本発明による方法によってコード復元され得る挿入体60の第4の例が、凸部61及び凹部62の形をした外部起伏を示す外部機械加工を施されており、これらの外部起伏がその挿入体60の輪郭に変更を加えている。上記挿入体60は、機械加工が施されると、その挿入体60の長手方向の中心軸によって表される対称軸63を有することになる。つまり、上記挿入体60は、機械加工が施されると、上部側縁64と下部側縁65によって画定され、これらの縁は、上記挿入体60の長手方向の軸に沿って同じ位置に凸部61と凹部62を有する。選択ステップでは、直線の垂直ライン103のそれぞれに対して、その直線の垂直ライン103と上記挿入体60の上部側縁64との交点を選択する。注目している例では、ライン網は6本の垂直ライン103を有していることから、本発明による方法によって決定されるこの挿入体60に対応したコードは、6個の数字又は6個の文字116で構成される。したがって上記ステップは、両側の側縁に対して片側ずつ順に実行することもできる。
【0035】
本発明による方法は、ユーザの時間を節約する。というのは、この方法により、内部及び/又は外部パターンを備えるあらゆる挿入体の型について、単純な挿入体の画像と、コード復元対象の挿入体の型に応じて適切なライン網を選択する、場合によってはあり得るステップとにより、クリック数を減らした、しかも自分で測定を行う必要がない挿入体のコードの取得が可能になるからである。上記の適切なライン網を選択するステップは、特に、上記車両モデルを表す、且つ/又は挿入体タイプ(例:内部パターン、外部両側パターン、溝と関連付けられた内部パターン、など)を表すアイコンをクリックすることによって、優先的には手動で実行される。
【0036】
実際、交点を選択する上記ステップは、ヒューマン/マシンインターフェースを介して実行され、それによって、各点の位置を、測定する必要なく、コードの一構成要素に直接変換することが可能になる。というのは、その点は、抜粋された点であって、したがってコードの一構成要素に直接対応するライン網の点だからである。
【0037】
交点110、111、112、113、114、115を選択する上記ステップは、手動で、又は画像認識方法によって実行され得る。
【0038】
点を選択する上記ステップは、上記網のラインの交点の中から実行され、上記交点は、それらの点の全て又は少なくとも一部について、優先的には、例えば「クリック可能な」色付きの円を用いて特定的に予備表示される。これにより、エラーを減らすことが可能になる。次に、優先的には、選択済みの予備表示された各点110、111、112、113、114、115が、選択前の外観と比較して異なって表示される。この新しい表示は、例えば別の色又は別の形の点によって実現され得る。色付きの円は、コード復元の誤りの余地を減らすために、例えばクリックされると赤く点灯するオフ状態のLEDのエミュレーションになっている。実際、一例として、垂直ライン103と水平ライン104との各交点は、オフ状態のLEDをエミュレートする白い円150の形で表示され、これらの交点110、111、112、113、114、115は一旦選択されると、それぞれ、オン状態のLEDをエミュレートする赤い円の形で表示される。このように、すでに選択済みの交点であることに曖昧さはない。
【0039】
予備表示される交点150は、選択したコード復元対象の挿入体の型に対応する全部の挿入体テンプレートに含まれている全ての既知の勾配変化位置(凹部又は凸部のことで、パターンが内部か外部かは問わない)に対応している。したがってこれらの交点によって、選択したコード復元対象の上記挿入体の型に対して、データベース内の各テンプレートに対応した様々な可能な組合せを構成することが可能になる。各点は、対応する所定のコードの構成要素116を有しており、点をクリックするとその構成要素が表示される。例えば垂直ラインごとに1つの点をクリックして点を選択するステップが実行されると、クリックした各点に対応するコードの構成要素116の組合せによって、その構成要素の組合せに対応する挿入体のコードが判明する。したがって、特定のアイコンをクリックしてこのコードを要求するステップがあればその後、そのコードが別個の差し込み画像に表示される。このとき表示されるコードは、表示された構成要素列が対応して一意に決まるデータベースのテンプレートを参照するコードに該当する。
【0040】
上記データベースは、特定の挿入体の型に新しいテンプレートを割り当てることによって定期的に強化できる。場合によってはそういったテンプレートによって、関連するライン網が変更されたり、その挿入体のコードの新しい構成要素が生じたりし得る。ある特定の挿入体1の型を具体的に表している図2の例では、列挙された異なるライン151、152が表示されている。別の挿入体1の型では、この新しい挿入体1を表すために、他の1本又は2本のライン(垂直及び/又は水平)が現れたり消えたりし得る可能性は排除されない。ある特定の挿入体1の型に対して、ライン153、154が表示されている図4の例も同様である。別の挿入体1の型では、やはり他のラインが追加又は削除され得る。
【符号の説明】
【0041】
1、20、40、60 挿入体
2、3、64、65 挿入体の側縁
4 パターン
5、25、45 溝
6、7、8 溝のセグメント
9、29、49 溝の上縁
10、30、50 溝の下縁
31 挿入体の上側領域
51 挿入体の中心寄りの領域
61 凸部
62 凹部
63 対称軸
100 コンピュータ
101 画面
102 画面の特定の領域
103 垂直ライン
104 水平ライン
110、111、112、113、114、115 選択された交点
116 コードの構成要素
150 交点
151~154 ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6