(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】部品供給管理システム及び部品供給管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2021211797
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2017183698の分割
【原出願日】2017-09-25
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
(72)【発明者】
【氏名】溝上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】江口 亮司
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-210647(JP,A)
【文献】特開2016-122753(JP,A)
【文献】特開2000-244184(JP,A)
【文献】特開2016-115739(JP,A)
【文献】特開2005-005289(JP,A)
【文献】特開2011-077096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ挿入口から挿入されたキャリアテープを走行させて前記キャリアテープに収納された部品を部品供給位置に供給するテープフィーダの部品供給状態を管理する部品供給管理システムであって、
前記キャリアテープの供給可能残量に対する閾値を、前記キャリアテープの補充作業が異なる前記テープフィーダごとに設定する閾値設定部と、
前記キャリアテープの部品供給可能残量を前記テープフィーダごとに取得する残量取得部と、
前記残量取得部により取得される前記部品供給可能残量が前記閾値設定部で設定された前記閾値を下回ったか否かを前記テープフィーダごとに判断する判断部と、
前記判断部により前記部品供給可能残量が前記閾値を下回ったと判断された前記テープフィーダについて前記キャリアテープの補充を勧告する警報を発する報知部とを備えた部品供給管理システム。
【請求項2】
前記テープフィーダには、先行する前記キャリアテープに継続して後続の前記キャリアテープを走行させる場合に先行する前記キャリアテープに対する後続の前記キャリアテープのスプライシングが必要なスプライシングフィーダと、先行する前記キャリアテープに継続して後続の前記キャリアテープを走行させる場合に先行する前記キャリアテープに対する後続する前記キャリアテープのスプライシングが不要なスプライシングレスフィーダが含まれる請求項1に記載の部品供給管理システム。
【請求項3】
前記キャリアテープの部品供給可能残量及び前記閾値は、前記キャリアテープに収納された前記部品の残数又は前記キャリアテープの残り長さにより規定される請求項1又は2に記載の部品供給管理システム。
【請求項4】
前記テープ挿入口の位置における前記キャリアテープの有無を検出するテープ有無検出器を備え、前記報知部は、前記テープ有無検出器により前記テープ挿入口の位置に前記キャリアテープがないことが検出された場合に前記キャリアテープの補充を勧告する警報を報知する請求項1~3のいずれかに記載の部品供給管理システム。
【請求項5】
テープ挿入口から挿入されたキャリアテープを走行させて前記キャリアテープに収納された部品を部品供給位置に供給するテープフィーダの部品供給状態を管理する部品供給管理方法であって、
前記キャリアテープの供給可能残量に対する閾値を、前記キャリアテープの補充作業が異なる前記テープフィーダごとに設定する閾値設定工程と、
前記キャリアテープの部品供給可能残量を前記テープフィーダごとに取得する残量取得工程と、
前記残量取得工程で取得した前記部品供給可能残量が前記閾値設定工程で設定した前記閾値を下回ったか否かを前記テープフィーダごとに判断する判断工程と、
前記判断工程で前記部品供給可能残量が前記閾値を下回ったと判断した前記テープフィーダについて前記キャリアテープの補充を勧告する警報を発するテープ補充報知工程とを含む部品供給管理方法。
【請求項6】
前記テープフィーダには、先行する前記キャリアテープに継続して後続の前記キャリアテープを走行させる場合に先行する前記キャリアテープに対する後続の前記キャリアテープのスプライシングが必要なスプライシングフィーダと、先行する前記キャリアテープに継続して後続の前記キャリアテープを走行させる場合に先行する前記キャリアテープに対する後続する前記キャリアテープのスプライシングが不要なスプライシングレスフィーダが含まれる請求項5に記載の部品供給管理方法。
【請求項7】
前記キャリアテープの部品供給可能残量及び前記閾値は、前記キャリアテープに収納された前記部品の残数又は前記キャリアテープの残り長さにより規定される請求項5又は6に記載の部品供給管理方法。
【請求項8】
前記テープ挿入口の位置における前記テープフィーダの有無を検出するテープ有無検出工程と、前記テープ有無検出工程で前記テープ挿入口の位置に前記キャリアテープがないことを検出した場合に部品切れを報知する部品切れ報知工程とを含む請求項5~7のいずれかに記載の部品供給管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープを走行させて部品供給位置に部品を供給するテープフィーダの部品供給状態を管理する部品供給管理システム及び部品供給管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品を基板に実装する部品実装装置では、部品を供給する部品供給装置としてテープフィーダが多用されている。テープフィーダはテープ挿入口から挿入されたキャリアテープをスプロケットの回転動作でピッチ送りすることにより、キャリアテープに収納された部品を所定の部品供給位置に供給する構成を有している。テープフィーダでは従来、先行のキャリアテープ(先行テープ)に継続して後続のキャリアテープ(後続テープ)を走行させるためには、先行テープの終端部がテープフィーダのテープ挿入口を通過してテープフィーダの内部に引き込まれて部品切れとなってしまう前に先行テープに後続テープを接続(スプライシング)させる必要があった。
【0003】
近年では、作業者によるキャリアテープの補給作業の負担を軽減するため、キャリアテープを自動でローディングしてピッチ送りする自動ローディング方式のテープフィーダが開発されている。この自動ローディング方式のテープフィーダでは、先行テープがピッチ送りされている状態で後続テープをテープ挿入口にしておけば、後続テープは先行テープの終端部を追うようにしてピッチ送りされていくので、従来のようなスプライシングは不要である(例えば、下記の特許文献1)。このため自動ローディング方式のテープフィーダは、スプライシングレスフィーダとも称される。
【0004】
部品実装装置では、先行テープによる部品の供給が終了してしまう前に、後続テープを補充するように作業者に勧告する警報が出されるが、この警報が出されるタイミングは、従来のスプライシング方式のテープフィーダ(スプライシングフィーダ)と上記スプライシングレスフィーダとでは大きく異なっている。すなわち、スプライシングフィーダでは、先行テープの終端部がテープ挿入口に近くなってきた所定の時期に後続テープをスプライシングしなければならないために、後続テープの補充をできる時間帯は極めて限られたものであるのに対し、スプライシングレスフィーダでは、比較的自由な時間帯に後続テープを補充することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、部品実装装置にスプライシングフィーダとスプライシングレスフィーダとが混在して設置されている場合、後続テープの補充を勧告する警報が一方のタイプのテープフィーダに合わせられていると、他方のタイプのテープフィーダについては後続テープの補充が遅れたり、或いは逆に早すぎたりして作業効率が良くないという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、テープフィーダの種類に応じた適切な時期に後続のキャリアテープの補充を行うことができる部品供給管理システム及び部品供給管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の部品供給管理システムは、テープ挿入口から挿入されたキャリアテープを走行させて前記キャリアテープに収納された部品を部品供給位置に供給するテープフィーダの部品供給状態を管理する部品供給管理システムであって、前記キャリアテープの供給可能残量に対する閾値を、前記キャリアテープの補充作業が異なる前記テープフィーダごとに設定する閾値設定部と、前記キャリアテープの部品供給可能残量を前記テープフィーダごとに取得する残量取得部と、前記残量取得部により取得される前記部品供給可能残量が前記閾値設定部で設定された前記閾値を下回ったか否かを前記テープフィーダごとに判断する判断部と、前記判断部により前記部品供給可能残量が前記閾値を下回ったと判断された前記テープフィーダについて前記キャリアテープの補充を勧告する警報を発する報知部とを備えた。
【0009】
本発明の部品供給管理方法は、テープ挿入口から挿入されたキャリアテープを走行させて前記キャリアテープに収納された部品を部品供給位置に供給するテープフィーダの部品供給状態を管理する部品供給管理方法であって、前記キャリアテープの供給可能残量に対する閾値を、前記キャリアテープの補充作業が異なる前記テープフィーダごとに設定する閾値設定工程と、前記キャリアテープの部品供給可能残量を前記テープフィーダごとに取得する残量取得工程と、前記残量取得工程で取得した前記部品供給可能残量が前記閾値設定工程で設定した前記閾値を下回ったか否かを前記テープフィーダごとに判断する判断工程と、前記判断工程で前記部品供給可能残量が前記閾値を下回ったと判断した前記テープフィーダについて前記キャリアテープの補充を勧告する警報を発するテープ補充報知工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、テープフィーダの種類に応じた適切な時期に後続のキャリアテープの補充を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品供給管理システムとしての部品実装装置の概略構成図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるテープフィーダの一種であるスプライシングテープの斜視図
【
図3】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるテープフィーダの一種であるスプライシングレステープの斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える閾値を設定するタッチパネルの画面の一例を示す図
【
図5】本発明の一実施の形態における部品実装装置が実行する部品供給管理制御の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における部品管理システムとしての部品実装装置1であり、上流側から搬入した基板KBに部品PTを実装して下流側に搬出するように動作する。本実施の形態では、作業者OPから見た左右方向(
図1の紙面に直交する方向であり、基板KBの搬送方向)をX軸方向とし、作業者OPから見た前後方向(
図1の紙面の左右方向)をY軸方向とする。また、上下方向(
図1の紙面の上下方向)をZ軸方向とする。
【0013】
図1において、部品実装装置1は基台11、基板搬送部12、複数のテープフィーダ13、装着ヘッド14及びヘッド移動機構15を備えている。基板搬送部12は一対のコンベア機構12aから構成され、基板KBをX軸方向に搬送して所定の作業位置に位置決めする。複数のテープフィーダ13は基台11に連結される台車16の一部であるフィーダベース17にX軸方向に並んで取り付けられている。台車16には部品PTが収納されたキャリアテープ18が巻き付けられたリール19が保持されている。各テープフィーダ13はリール19から引き出されたキャリアテープ18をピッチ送りにより走行させて、部品供給位置である部品供給口13Kに部品PTを供給する。
【0014】
図1において、装着ヘッド14は下方に延びた複数のノズル14Nを備えている。各ノズル14Nは昇降及びZ軸回りの回転動作が可能である。また、各ノズル14Nの下端には、部品PTを吸着する真空吸引力を発生させることができる。ヘッド移動機構15は装着ヘッド14をテープフィーダ13と基板KBとの間で移動させ、装着ヘッド14はノズル14Nによってテープフィーダ13が供給する部品PTを吸着し、基板KBに装着するように動作する。
【0015】
本実施の形態の部品実装装置1において使用される複数のテープフィーダ13には、
図2に示すスプライシングフィーダ13Aと、
図3に示すスプライシングレスフィーダ13Bの2種が混在している。スプライシングフィーダ13Aは、先行するキャリアテープ18(以下、先行テープ18Aと称する)に継続して後続のキャリアテープ18(以下、後続テープ18Bと称する)を走行させる場合に、先行テープ18Aの終端部18Eに後続テープ18Bの先頭部18Tをテープ部材TPによって接続(スプライシング)することが必要なテープフィーダである。一方、スプライシングレスフィーダ13Bは、先行テープ18Aに継続して後続テープ18Bを走行させる場合に、上記スプライシングが不要なテープフィーダである。
【0016】
図2及び
図3において、テープフィーダ13は、スプライシングフィーダ13Aであるかスプライシングレスフィーダ13Bであるかによらず、フィーダベース17に着脱自在に取り付けられる本体部31内に、キャリアテープ18の通路であるテープ通路32と、キャリアテープ18をテープ通路32内で走行させるためのスプロケット33とを備えている。テープ通路32は本体部31の後方から前方に延びており、本体部31の後端側の開口は、テープ通路32内にキャリアテープ18を挿入する際に使用されるテープ挿入口34となっている。
【0017】
図2及び
図3において、スプロケット33は、本体部31内のテープ通路32に臨む位置に一又は複数(スプライシングフィーダ13Aはひとつ、スプライシングレスフィーダ13Bは複数)設けられている。これら一又は複数のスプロケット33はそれぞれ、本体部31内に設けられたフィーダ制御部35によって回転が制御される。テープ挿入口34から挿入されたキャリアテープ18がスプロケット33と係合した状態でスプロケット33が回転すると、キャリアテープ18はテープ通路32内を前方に走行し、部品PTを部品供給口13Kに供給する。
【0018】
スプライシングフィーダ13Aでは、最初のキャリアテープ18は手動でスプロケット33と係合される。そして、これに続く後続テープ18Bは先行してテープ通路32内を走行するキャリアテープ18の終端部18Eがテープ挿入口34に達する前にテープ部材TPによって接続される(
図2)。
【0019】
一方、スプライシングレスフィーダ13Bでは、テープ挿入口34から挿入されたキャリアテープ18は自動でローディングされるため、作業者OPは後続テープ18Bを先行テープ18Aの終端部18Eに接続する必要はない。スプライシングレスフィーダ13Bでは、テープ挿入口34は上下方向に並んだ2つの挿入口(下側挿入口34Aと上側挿入口34B)を有している(
図3)。スプライシングレスフィーダ13Bに先行テープ18Aが挿入されている場合、後続テープ18Bは上側挿入口34Bに挿入される。先行テープ18Aの終端部18Eが本体部31内に引き込まれた後、後続テープ18Bが送られ始めたら、作業者OPによって後続テープ18Bは下方に引き下げられて、下側挿入口34Aに移される。なお、スプライシングレスフィーダ13Bにキャリアテープ18が挿入されていない場合は、下側挿入口34Aにキャリアテープ18を挿入してもよい。
【0020】
このように本実施の形態において、テープフィーダ13は、テープ挿入口34から挿入されたキャリアテープ18を走行させてキャリアテープ18に収納された部品PTを部品供給位置である部品供給口13Kに供給するテープフィーダとなっている。
【0021】
図2及び
図3において、各テープフィーダ13の本体部31内には、図示しない複数のセンサとテープ位置検出部41が設けられている。複数のセンサはテープ通路32を走行するキャリアテープ18の先頭部18T及び終端部18Eの通過を検出する。複数のセンサが検出したキャリアテープ18の通過情報は、フィーダ制御部35に送信される。そして、テープ位置検出部41は送信された通過情報からキャリアテープ18の有無(位置)を検出する。
【0022】
図2及び
図3において、各テープフィーダ13の本体部31内には、残量検出部42が設けられている。残量検出部42は、テープ通路32内を走行して現に部品PTを供給しているキャリアテープ18(以下、部品供給テープと称する。後続テープ18Bとの関係では先行テープ18Aがこれに該当する)の部品PTの供給可能残量(以下、「部品供給可能残量」と称する)を検出する。各テープフィーダ13の残量検出部42が検出した情報は、フィーダ制御部35に送信される。
【0023】
上記「部品供給可能残量」とは、部品供給テープがあとどれぐらい部品PTを供給できるかを示すパラメータであり、部品供給テープの部品PTの残数(部品残数)や部品供給テープの残り長さ(テープ残り長さ)によって規定できる。従って残量検出部42は、部品供給可能残量が部品残数によって規定される場合には部品供給テープの部品PTの残数を検出するタイプものとなる。また、部品供給可能残量がテープ残り長さによって規定される場合には、部品供給テープの残り長さを検出するタイプのものとなる。なお、残量検出部42は、上述した複数のセンサを用いて部品供給可能残量を検出してもよいし、テープフィーダ13から供給される部品PTの数量からソフト的に検出してもよく、従来から用いられる検出手段で部品供給可能残量を検出してよい。
【0024】
残量検出部42が部品残数を検出するタイプである場合には、残量検出部42は部品供給テープの先頭の部品PTが部品供給口13Kに到達した時点で読み込んだ部品数と、部品供給テープの先頭の部品PTが部品供給口13Kに到達した後のピッチ送り回数とに基づいて、部品供給テープの部品PTの残数を算出し、その算出した部品PTの残数に基づいて、部品供給テープによる部品PTの供給可能残量を求める。一方、残量検出部42がテープ残り長さを検出するタイプのものである場合には、残量検出部42は、テープ位置検出部41によって検出されるテープ通路32内のキャリアテープ18(すなわち部品供給テープ)の位置と、予め記憶されているキャリアテープ18の長さとに基づいて、部品供給テープによる部品PTの供給可能残量を求める。
【0025】
部品供給テープによる部品PTの供給可能残量は、部品残数とテープ残り長さのいずれか一方によって規定すればよいが、本実施の形態では、部品残数とテープ残り長さの双方のうちから状況に応じて任意に選択できるようにしている。このため本実施の形態では、残量検出部42として、部品残数を検出するタイプのものとテープ残り長さを検出するタイプのもののうち双方を備えているものとする。
【0026】
図2及び
図3において、テープフィーダ13の本体部31の後端部のテープ挿入口34の近傍領域にはテープ有無検出器43が設けられている。テープ有無検出器43は、テープ挿入口34の位置におけるキャリアテープ18の有無を検出する。テープ有無検出器43がテープ挿入口34にキャリアテープ18があることを検出した場合には、これにより部品供給テープはまだ部品切れになっていないことが分かる。一方、テープ有無検出器43がテープ挿入口34にキャリアテープ18がないことを検出した場合には、これにより部品供給テープが部品切れになったことがわかる。テープ有無検出器43が検出する情報はフィーダ制御部35に送信される(
図2及び
図3)。
【0027】
図1において、部品実装装置1が備える制御装置50は、基板搬送部12による基板KBの搬送を制御する。また制御装置50は、ヘッド移動機構15による装着ヘッド14の移動を制御する。また制御装置50は、装着ヘッド14によるノズル14Nの作動とノズル14Nによる吸着を制御する。制御装置50には、フィーダベース17に取り付けられた各テープフィーダ13のフィーダ制御部35が接続される。このため、各テープフィーダ13のフィーダ制御部35が入手する情報、すなわち、そのテープフィーダ13が備えるテープ位置検出部41が検出する部品供給テープの位置の情報、残量検出部42が検出するキャリアテープ18の部品供給可能残数の情報及びテープ有無検出器43が検出するテープ挿入口34におけるキャリアテープ18の有無の情報等は、制御装置50に転送される。
【0028】
制御装置50にはタッチパネル51が接続されており、作業者OPはタッチパネル51を通じて制御装置50に所要の入力を行うことができる。また、制御装置50はタッチパネル51を通じて作業者OPに種々の指示を与え、また情報を報知する。なお、タッチパネル51は部品実装装置1に備えられたものでなくてもよく、例えば、作業者OPが所持する携帯端末等であってもよい。或いは、テープフィーダ13に備えられる入出力画面(図示せず)であってもよい。テープフィーダ13の入出力画面の場合、発光部によって、指示や情報の内容に応じて発光色や発光パターンを変えて報知してもよい。
【0029】
タッチパネル51は、作業者OPが所定の操作をすると、
図4に示す閾値入力画面GMを表示する。作業者OPは、このタッチパネル51の閾値入力画面GMから、キャリアテープ18(部品供給テープ)の供給可能残量に対する閾値をテープフィーダ13の種類に応じてテープフィーダ13ごとに入力することができる。
【0030】
ここで、上記閾値は、作業者OPが後続テープ18Bの補充作業(スプライシングフィーダ13Aでは後続テープ18Bを先行テープ18Aに接続する作業、スプライシングレスフィーダ13Bでは後続テープ18Bをテープ挿入口34に挿入する作業)を行うのに必要な時間を確保できる最低限の部品供給可能残量に基づいて定められる。「最低限の部品供給可能残量」は、上記作業に必要時間と、テープフィーダ13による部品PTの供給速度(ここではキャリアテープ18のピッチ送りの速度)とから求めることができる。
【0031】
タッチパネル51は
図4に示す閾値入力画面GMから作業者OPによって入力された閾値を設定する。具体的には、入力された閾値を制御装置50の記憶領域50a(
図1)に記憶させる。このように本実施の形態において、タッチパネル51は、キャリアテープ18の供給可能残量に対する閾値をテープフィーダ13の種類に応じてテープフィーダ13ごとに設定する閾値設定部となっている。
【0032】
図4に示すタッチパネル51に表示される閾値入力画面GMには、スプライシングフィーダ13Aに関する上段入力欄61と、スプライシングレスフィーダ13Bに関する下段入力欄62と、設定ボタン63が含まれている。上段入力欄61と下段入力欄62のそれぞれには、部品残数入力欄64と、テープ残り長さ入力欄65と、選択欄66が設けられている。
【0033】
図4において、部品残数入力欄64は、スプライシングフィーダ13Aに設定しようとする部品供給可能残量としての部品残数を入力するための入力欄である。また、テープ残り長さ入力欄65は、スプライシングフィーダ13Aに設定しようとする部品供給可能残量としてのテープ残り長さを入力するための入力欄である。選択欄66は、スプライシングフィーダ13Aに設定しようとする部品供給可能残量として、部品残数とテープ残り長さのどちらを選択するかを指定するための入力欄であり、選択欄66で指定(例えば、
図4に示すようにチェックマークを付して指定)した方が部品供給可能残量として指定される。
【0034】
作業者OPは、上段入力欄61と下段入力欄62のそれぞれの部品残数入力欄64とテープ残り長さ入力欄65に、作業者OPが設定しようとする部品供給可能残量の値を入力したうえで(部品残数入力欄64には部品PTの個数を入力し、テープ残り長さ入力欄65にはキャリアテープ18の残り長さを入力する)、閾値入力画面GM内の設定ボタン63を操作すると、タッチパネル51の閾値入力画面GMで入力した閾値が制御装置50に設定(記憶領域50aに記憶)される。
【0035】
制御装置50は、残量検出部42により検出される部品供給可能残量が上記閾値設定部で設定された閾値を下回ったか否かをテープフィーダ13ごとに判断する。タッチパネル51は制御装置50に制御されて、部品供給可能残量が閾値を下回ったと判断されたテープフィーダ13について、タッチパネル51の画面を通じて、キャリアテープ18の補充を勧告する警報を発する。このため作業者OPは、タッチパネル51に表示された警報に基づいて、どのテープフィーダ13がキャリアテープ18の補充を必要としているかを把握できる。
【0036】
このように本実施の形態において、タッチパネル51は、判断部としての制御装置50により部品供給可能残量が閾値を下回ったと判断されたテープフィーダ13についてキャリアテープ18の補充を勧告する警報を発する報知部となっている。
【0037】
次に、
図5に示すフローチャートを用いて、本実施の形態における部品供給管理システムとしての部品実装装置1が実行する部品供給管理制御の実行手順(部品供給管理方法)の流れを説明する。部品供給管理制御では、はじめに、作業者OPは、上述の要領でタッチパネル51から入力操作を行い、キャリアテープ18の供給可能残量に対する閾値をテープフィーダ13の種類に応じてテープフィーダ13ごとに設定する(
図5に示すステップST1の閾値設定工程)。
【0038】
閾値が設定されたら、制御装置50は、部品実装装置1に部品実装作業を実行させる。制御装置50は部品実装装置1に部品実装作業を実行させている間、以下のステップST2~ステップST8のテープ補充アシスト制御を各テープフィーダ13について行う。
【0039】
テープ補充アシスト制御では先ず、残量検出部42が各テープフィーダ13における部品供給テープ(現に部品PTの供給を行っているキャリアテープ18)の部品供給可能残量を検出し(ステップST2の残量検出工程)、その検出された部品供給可能残量をステップST1で設定された閾値(そのテープフィーダ13に設定された閾値)と比較する。そして、部品供給可能残量が閾値を下回っているか否かを判断する(ステップST3の判断工程)。
【0040】
ここで、残量検出部42によって検出される部品供給可能残量は、部品供給テープがピッチ送りされて部品PTを部品供給口13Kに供給するごとに減少していく値である一方、設定された閾値は固定値である。このため部品PTの供給の進行(時間の経過)とともに、部品供給可能残量は閾値に近付いていくことになる。なお、ステップST2で検出する部品供給可能残量と、ステップST3の比較で用いる閾値は、いずれも、閾値設定工程で設定した部品残数とテープ残り長さのうち、閾値入力画面GMの選択欄66で選択した方の値である。
【0041】
制御装置50は、ステップST3の判断で、部品供給可能残量が閾値を下回っていなかった場合には、まだ後続テープ18Bの補充は不要である(必ずしも必要ない)として、ステップST2に戻る。一方、ステップST3の判断で、部品供給可能残量が閾値を下回っていた場合には、後続テープ18Bの補充が必要になったとして、タッチパネル51の画面を通じて作業者OPに、キャリアテープ18の補充を勧告する警報を発する(ステップST4のテープ補充報知工程)。
【0042】
タッチパネル51を通じたキャリアテープ18の補充の勧告がなされたら、作業者OPはその警報が発せられた対象のテープフィーダ13について、キャリアテープ18の補充を行う。具体的には、前述したように、スプライシングフィーダ13Aについては後続テープ18Bの先頭部18Tを先行テープ18Aの終端部18Eにテープ部材TPによって接続する。スプライシングレスフィーダ13Bについては、後続テープ18Bをテープ挿入口34の上側挿入口34Bに挿入する。作業者OPは、キャリアテープ18の補充を終えたら、タッチパネル51若しくはテープフィーダ13に備えられた入出力画面から所定の補充完了操作を行う。
【0043】
制御装置50は、タッチパネル51を通じてキャリアテープ18の補充を勧告する警報を発した後は、作業者OPが補充完了操作を行うかどうかの監視状態に入る(ステップST5の補充完了監視工程)。そして、作業者OPにより補充完了操作が行われたことを検知した場合には、補充勧告を行ったテープフィーダ13についてキャリアテープ18の補充がなされたと判断してステップST2に戻る。一方、ステップST5で作業者OPが補充完了操作を行われたことを検知しなかった場合には、制御装置50は、まだキャリアテープ18の補充が行われていないと判断するとともに、キャリアテープ18が部品切れになっていないかどうかを判断する。この判断は、テープ有無検出器43がテープ挿入口34の位置にキャリアテープ18がある状態を検出しているかどうかによって判断する(ステップST6のテープ有無判断工程)。
【0044】
制御装置50は、ステップST6でテープ有無検出器43がテープ挿入口34の位置にキャリアテープ18がある状態を検出していると判断した場合には、部品供給テープは部品切れになっていないとしてステップST4に戻り、タッチパネル51によるキャリアテープ18の補充勧告を継続する。これに対し、制御装置50は、ステップST6でテープ有無検出器43がテープ挿入口34の位置にキャリアテープ18がない状態を検出していると判断した場合には、部品供給テープは部品切れになっているとして、タッチパネル51の画面を通じて作業者OPに部品切れを報知する(ステップST7の部品切れ報知工程)。このように、本実施の形態において、報知部であるタッチパネル51は、テープ有無検出器43によりテープ挿入口34の位置にキャリアテープ18がないことが検出された場合に部品切れを報知するようになっている。
【0045】
部品切れの警報はキャリアテープ18の補充勧告の意味を含みつつ、補充勧告よりもより重大な事態を知らせる警報である。このため作業者OPは至急、後続テープ18Bを補充する作業を行う必要がある。部品切れの状態では、キャリアテープ18の終端部18Eは既に本体部31内に引き込まれているので、テープフィーダ13がスプライシングフィーダ13Aである場合には、先行テープ18Aの部品PTが全て消費された後、作業者OPは部品実装装置1からスプライシングフィーダ13Aを取り外す。更に、手作業で後続テープ18Bを送り、スプロケット33に取り付ける。そして、スプライシングフィーダ13Aを再び部品実装装置1に取り付けるなど、ステップST4における警報時よりも作業内容が面倒になる場合がある。このためスプライシングフィーダ13Aについては、できるだけ部品切れとなる前に後続テープ18Bを補充することが作業者OPに望まれる。作業者OPは、部品切れの警報を受けて後続テープ18Bの補充作業を行い、これが完了したら、タッチパネル51から所定の補充完了操作を行う。
【0046】
制御装置50は、タッチパネル51を通じて上記部品切れの警報を発した後は、作業者OPが補充完了操作を行うかどうかの監視状態に入る(ステップST8の補充完了監視工程)。そして、作業者OPにより補充完了操作が行われたことを検知しない場合には部品切れの警報を継続して発し、作業者OPにより補充完了操作が行われたことを検知した場合には、部品切れは解消されたとしてステップST2に戻る。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1(部品供給管理システム)及び部品供給管理方法では、キャリアテープ18の供給可能残量に対する閾値をテープフィーダ13の種類に応じてテープフィーダ13ごとに設定することができ、キャリアテープ18の走行により部品供給可能残量が閾値を下回ったテープフィーダ13については後続テープ18Bの補充を勧告する警報が発せられる。このため、テープフィーダ13として、種類の異なるスプライシングフィーダ13Aとスプライシングレスフィーダ13Bとが混在している場合であっても、テープフィーダ13の種類に応じた適切な時期に後続のキャリアテープ18の補充を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0048】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、部品実装装置1だけで部品供給管理システムを構成していたが、部品実装装置1が例えば他の部品実装用装置と部品実装ラインを構成しており、その部品実装ラインを構成する各部品実装用装置がホストコンピュータ等を通じて相互に情報のやり取りができるようになっている場合には、ホストコンピュータの制御装置に上述の実施の形態における閾値設定部や判断部等の機能を持たせるようにしてもよい。この場合には、部品供給システムは、部品実装装置1を含む部品実装ライン全体となる。
【0049】
また、上述の実施の形態では、ステップST6でテープ有無検出器43がテープ挿入口34の位置にキャリアテープ18が無い状態を検出していると判断した場合にステップST7で部品切れ報知をしたが、キャリアテープ18の有無の判断はこれに限定されない。例えば、部品供給可能残量に対する閾値よりも小さい第2の閾値を更に設けて、部品残数又はテープ残り長さのどちらかが第2の閾値を下回った場合に部品切れ報知をするようにしてもよい。
【0050】
また、スプライシングレスフィーダ13Bの後続テープ18Bの供給方法は、テープ挿入口34の上側挿入口34Bに挿入するだけでよいため、先行テープ18Aがテープ挿入口34に残っている必要がない。そのため、テープ通路32内に全長が収まったキャリアテープ18の部品残数又はテープ残り長さを閾値として設定すれば、テープ補充勧告警報を部品切れ警報として用いることができる。その場合、テープ補充アシスト制御のうち、ステップST6を省略することができる。
【0051】
また、上述の実施の形態では、キャリアテープ18の部品供給可能残量に対する閾値として、部品残数とテープ残り長さのどちらかを数値で入力する形態としたが、所定の数値で設定されたモードを選択する形態でもよい。ここで、スプライシングレスフィーダ13Bでは、先行テープ18Aと後続テープ18Bを下側挿入口34Aと上側挿入口34Bに挿入させた状態にできる。この状態では、複数個のリール19がひとつのスプライシングレスフィーダ13Bに取り付けられているため、次のテープ補充までに余裕ができるが、リール19からスプライシングレスフィーダ13Bのテープ挿入口34に入るまでのキャリアテープ18の垂れ具合によっては、隣接するキャリアテープ18同士が絡んでしまう可能性がある。そのような可能性を抑制するために上述したテープ通路32内に全長が収まったキャリアテープ18の部品残数又はテープ残り長さを閾値として設定したテープ補充勧告警報をテープ絡み抑制モードとして設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
テープフィーダの種類に応じた適切な時期に後続のキャリアテープの補充を行うことができる部品供給管理システム及び部品供給管理方法を提供する。
【符号の説明】
【0053】
1 部品実装装置(部品供給管理システム)
13 テープフィーダ
13A スプライシングフィーダ
13B スプライシングレスフィーダ
13K 部品供給口(部品供給位置)
18 キャリアテープ
34 テープ挿入口
42 残量検出部
43 テープ有無検出器
50 制御装置(判断部)
51 タッチパネル(閾値設定部)(報知部)
PT 部品