(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
A61M 21/02 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
A61M21/02 G
A61M21/02 B
A61M21/02 C
A61M21/02 E
(21)【出願番号】P 2019011972
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】水野 江都子
(72)【発明者】
【氏名】原田 昌明
(72)【発明者】
【氏名】孝橋 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】道盛 章弘
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079736(JP,A)
【文献】特開2017-143478(JP,A)
【文献】特開2008-181874(JP,A)
【文献】特開2010-147001(JP,A)
【文献】特表2010-517009(JP,A)
【文献】特開2001-284065(JP,A)
【文献】特開2009-229370(JP,A)
【文献】特開2007-248052(JP,A)
【文献】特開2007-130182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
第1ユーザの起床の促進のために、
前記第1ユーザに個別に刺激を与える装置が前記第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得し、
前記第1ユーザと同じ空間に存在し、前記第1ユーザより後から起床する第2ユーザの睡眠状態を取得し、
前記第2ユーザの前記睡眠状態に基づいて前記取得した刺激制御パターンを調整し、
前記調整した刺激制御パターンで前
記装置の動作を制御し、
前記刺激制御パターンは、前記第1ユーザの起床予定時刻の所定時間前から刺激レベルを上げ、前記起床予定時刻に所定の到達刺激レベルとなるように刺激を制御し、
前記刺激制御パターンの調整は、前記睡眠状態が基準よりも浅い場合に前記第1ユーザに与えられる前記到達刺激レベルが、前記睡眠状態が前記基準よりも深い場合に前記第1ユーザに与えられる前記到達刺激レベルよりも小さくなるように前記取得した刺激制御パターンを調整する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した刺激制御パターンの基準の前記到達刺激レベルより前記到達刺激レベルが小さくなるように前記取得した刺激制御パターンを調整する、
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記刺激制御パターンは、前記第1ユーザの起床予定時刻の所定時間前の第1タイミングから徐々に刺激レベルを上げ、前記起床予定時刻の直前の所定時間前の第2タイミングで急激に刺激レベルを上げ、前記起床予定時刻に所定の到達刺激レベルとなるように刺激を制御し、
前記刺激制御パターンの調整は、前記睡眠状態が基準よりも深い場合、前記取得した刺激制御パターンにおける前記第2タイミングが早くなるように前記取得した刺激制御パターンを調整する、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した刺激制御パターンにおける出力設定範囲を調整する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
さらに、前記第1ユーザの第1起床予定時刻と、前記第2ユーザの第2起床予定時刻とを取得し、
前記刺激制御パターンの調整は、前記第1起床予定時刻と前記第2起床予定時刻との差が短いほど、前記出力設定範囲内の上限値に近い到達刺激レベルに調整し、前記差が長いほど、前記出力設定範囲内の下限値に近い到達刺激レベルに調整する、
請求項4記載の情報処理方法。
【請求項6】
さらに、前記第2ユーザの姿勢を取得し、
前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した姿勢が、前
記装置による刺激が与えられやすい姿勢である場合、到達刺激レベルを前記出力設定範囲内の下限値に近づけ、前記取得した姿勢が、前
記装置による刺激が与えられにくい姿勢である場合、到達刺激レベルを前記出力設定範囲内の上限値に近づける、
請求項5記載の情報処理方法。
【請求項7】
前
記装置は、前記空間を照明する照明装置、前記空間に音を出力する音出力装置、前記空間に芳香剤を散布する芳香散布装置及び前記空間に風を出力する風出力装置の少なくとも1つを含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
第1ユーザの起床の促進のために、
前記第1ユーザに個別に刺激を与える装置が前記第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得し、
前記第1ユーザと同じ空間に存在し、前記第1ユーザより後から起床する第2ユーザの睡眠状態を取得し、
前記第2ユーザの前記睡眠状態に基づいて前記取得した刺激制御パターンを調整し、
前記調整した刺激制御パターンで前
記装置の動作を制御し、
前記刺激制御パターンは、前記第1ユーザの起床予定時刻の所定時間前から刺激レベルを上げ、前記起床予定時刻に所定の到達刺激レベルとなるように刺激を制御し、
前記刺激制御パターンの調整は、前記睡眠状態が基準よりも浅い場合に前記第1ユーザに与えられる前記到達刺激レベルが、前記睡眠状態が前記基準よりも深い場合に前記第1ユーザに与えられる前記到達刺激レベルよりも小さくなるように前記取得した刺激制御パターンを調整するようにコンピュータを機能させる情報処理プログラム。
【請求項9】
第1ユーザの起床の促進のために、
前記第1ユーザに個別に刺激を与える装置が前記第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得する刺激制御パターン取得部と、
前記第1ユーザと同じ空間に存在し、前記第1ユーザより後から起床する第2ユーザの睡眠状態を取得する睡眠状態取得部と、
前記第2ユーザの前記睡眠状態に基づいて前記取得した刺激制御パターンを調整する調整部と、
前記調整した刺激制御パターンで前
記装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記刺激制御パターンは、前記第1ユーザの起床予定時刻の所定時間前から刺激レベルを上げ、前記起床予定時刻に所定の到達刺激レベルとなるように刺激を制御し、
前記調整部は、前記睡眠状態が基準よりも浅い場合に前記第1ユーザに与えられる前記到達刺激レベルが、前記睡眠状態が前記基準よりも深い場合に前記第1ユーザに与えられる前記到達刺激レベルよりも小さくなるように前記取得した刺激制御パターンを調整する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの入眠又は起床のために刺激を制御する1つ以上の装置の動作を制御する情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、夫婦が就寝する主寝室において、夫婦が共用する1つの照明装置ではなく、夫婦それぞれが個別に利用する2つの照明装置が配置される住宅が増えつつあり、今後普及の兆しがある。そのような状況において、睡眠時の快眠を促す機器制御システムでは、2つの照明装置に対して夫婦それぞれで異なる照明制御が行われた場合、互いの睡眠を妨害してしまうおそれがある。
【0003】
そこで、このような課題に対して、他の寝床のヘッドボードに設けられた目覚め準備用照明群からの光を遮蔽するナイトテーブルを、隣設される寝床の間に設けた寝室照明システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、夫婦それぞれのプライベート空間が確保され、夫婦それぞれに応じた照明制御が行われた場合であっても、互いの睡眠が妨害されることはない。
【0004】
また、寝室へ向かう一の人物が検知され、かつ、他の人物が寝室で就寝している場合に、寝室に設けられたフットライト及び寝室の手前のホールに設けられたフットライトを点灯する照明装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これにより、一の人物が寝室へ向かう経路が明示されると共に、寝室に入るときに、他の人物の睡眠を妨げてしまうのを防止することができる。また、特許文献2の照明装置は、一の人物が起床した際に他の人物が就寝している場合に、フットライトのみを点灯する。これにより、睡眠中の他の人物は睡眠が妨げられることがなく、快適な睡眠を継続することができる。さらに、特許文献2の照明装置は、一の人物が起床した後、他の人物が起床した場合に、刺激を与える明るさとなるように照明器具を点灯する。これにより、他の人物に快適な目覚め感を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5260997号明細書
【文献】特開2018-6087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、物理的な設備が必要となったり、同じ空間で就寝する複数のユーザのうちの特定のユーザ向けの照明などの刺激の制御による入眠又は起床の促進効果が低下したりするおそれがあった。
【0007】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、物理的な設備なしで、同じ空間で複数のユーザが就寝していても当該複数のユーザのうちの特定のユーザ向けの照明などの刺激の制御による入眠又は起床の促進効果の低下を抑制することができる情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1ユーザの入眠又は起床の促進のために、1つ以上の装置が前記第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得し、前記第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態を取得し、前記第2ユーザの前記睡眠状態に基づいて前記取得した刺激制御パターンを調整し、前記調整した刺激制御パターンで前記1つ以上の装置の動作を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、物理的な設備なしで、同じ空間で複数のユーザが就寝していても当該複数のユーザのうちの特定のユーザ向けの照明などの刺激の制御による入眠又は起床の促進効果の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1における機器制御システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態1におけるサーバ装置の構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態1において、先に起床する第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンの一例を示す図である。
【
図4】本開示の実施の形態1における到達照度範囲記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施の形態1において、第1ユーザ及び第2ユーザに個別に照明する際に到達照度範囲記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図ある。
【
図6】本開示の実施の形態1において、第1ユーザの目元及び第2ユーザの目元に個別に照明する際に到達照度範囲記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図ある。
【
図7】本開示の実施の形態1におけるサーバ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本開示の実施の形態1において、先に起床する第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンの他の例を示す図である。
【
図9】本開示の実施の形態2におけるサーバ装置の構成を示す図である。
【
図10】本開示の実施の形態2の第1携帯端末において、第1ユーザを優先する際に表示される優先度入力画面の一例を示す図である。
【
図11】本開示の実施の形態2の第1携帯端末において、第2ユーザを優先する際に表示される優先度入力画面の一例を示す図である。
【
図12】本開示の実施の形態2におけるサーバ装置の動作を説明するための第1のフローチャートである。
【
図13】本開示の実施の形態2におけるサーバ装置の動作を説明するための第2のフローチャートである。
【
図14】本開示の実施の形態1及び実施の形態2の第1携帯端末において、第1ユーザの起床時の照度の好みの入力を受け付けるための照度入力画面の一例を示す図である。
【
図15】本開示の実施の形態1及び実施の形態2の変形例において、後から入眠する第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
上記の特許文献1の寝室照明システムは、他の寝床のヘッドボードに設けられた目覚め準備用照明群からの光を遮蔽するナイトテーブルを、隣設される寝床の間に設けている。
【0012】
そのため、上記特許文献1の寝室照明システムでは、隣設される寝床間に光を遮蔽するためのナイトテーブルを設置する必要があり、コストアップにつながるおそれがある。
【0013】
また、上記の特許文献2の照明装置は、一の人物が起床した際に他の人物が就寝している場合に、フットライトのみを点灯する。さらに、特許文献2の照明装置は、一の人物が起床した後、他の人物が起床した場合に、刺激を与える明るさとなるように照明器具を点灯する。
【0014】
そのため、上記特許文献2の照明装置では、一の人物よりも後に起床する他の人物は快適な目覚めを得ることができるが、他の人物よりも先に起床する一の人物は、快適な目覚めを得ることができない。
【0015】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1ユーザの入眠又は起床の促進のために、1つ以上の装置が前記第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得し、前記第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態を取得し、前記第2ユーザの前記睡眠状態に基づいて前記取得した刺激制御パターンを調整し、前記調整した刺激制御パターンで前記1つ以上の装置の動作を制御する。
【0016】
この構成によれば、第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態に基づいて刺激制御パターンが調整され、調整された刺激制御パターンで1つ以上の装置の動作が制御されるので、物理的な設備なしで、同じ空間で複数のユーザが就寝していても当該複数のユーザのうちの特定のユーザ(すなわち第1ユーザ)向けの照明などの刺激の制御による入眠又は起床の促進効果の低下を抑制することができる。照明などの刺激が睡眠に影響を与える度合いは、睡眠状態に応じて異なる。そのため、第2ユーザの睡眠状態が第1ユーザ向けの照明など刺激の制御において考慮されることにより、第2ユーザの睡眠を妨げない範囲で第1ユーザ向けの当該刺激の効果を高めることができる。よって、第1ユーザと第2ユーザとが同じ空間で就寝する場合に、第2ユーザの睡眠を妨害することなく、第1ユーザに快適な入眠又は起床を促すことができる。
【0017】
また、上記の情報処理方法において、前記刺激制御パターンの調整は、前記睡眠状態が基準よりも浅い場合に前記第1ユーザに与えられる刺激が、前記睡眠状態が前記基準よりも深い場合に前記第1ユーザに与えられる刺激よりも弱くなるように前記取得した刺激制御パターンを調整してもよい。
【0018】
この構成によれば、第2ユーザの睡眠状態が基準よりも浅い場合は、第2ユーザの睡眠を妨げないような刺激が第1ユーザに与えられるので、第1ユーザに入眠又は起床を促す際に、第2ユーザの睡眠が妨害されるのを防止することができる。
【0019】
また、上記の情報処理方法において、前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した刺激制御パターンより前記刺激が弱くなるように前記取得した刺激制御パターンを調整してもよい。
【0020】
この構成によれば、取得された刺激制御パターンより刺激が弱くなるように取得された刺激制御パターンが調整されるので、第2ユーザに与えられる刺激が弱くなり、第2ユーザの睡眠が妨害されるのを防止することができる。
【0021】
また、上記の情報処理方法において、前記刺激制御パターンの調整は、前記睡眠状態が基準よりも深い場合、前記取得した刺激制御パターンにおける前記刺激を強くするタイミングが早くなるように前記取得した刺激制御パターンを調整してもよい。
【0022】
この構成によれば、第2ユーザの睡眠状態が基準よりも深い場合に、刺激制御パターンにおける刺激を強くするタイミングを早めることにより、早めに第1ユーザの睡眠状態を基準よりも浅くすることができ、第1ユーザを起床予定時刻に確実に覚醒させることができる。
【0023】
また、上記の情報処理方法において、前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した刺激制御パターンにおける出力設定範囲を調整してもよい。
【0024】
この構成によれば、取得された刺激制御パターンにおける出力設定範囲が調整されるので、出力設定範囲内において第1ユーザに快適な入眠又は起床を促すための最適な出力を設定することができる。
【0025】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記第1ユーザの第1起床予定時刻と、前記第2ユーザの第2起床予定時刻とを取得し、前記刺激制御パターンの調整は、前記第1起床予定時刻と前記第2起床予定時刻との差に基づいて、前記出力設定範囲内で前記取得した刺激制御パターンの出力を調整してもよい。
【0026】
この構成によれば、第1ユーザの第1起床予定時刻と第2ユーザの第2起床予定時刻との差が小さくなるほど、刺激制御パターンの出力を大きくすることにより、第1ユーザの快適性を優先して第1ユーザを入眠又は起床させることができる。また、第1ユーザの第1起床予定時刻と第2ユーザの第2起床予定時刻との差が大きくなるほど、刺激制御パターンの出力を小さくすることにより、第2ユーザの快適性を優先して第1ユーザを入眠又は起床させることができる。
【0027】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの少なくとも一方の属性又は好みを取得し、前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した属性又は好みに基づいて、前記出力設定範囲内で前記取得した刺激制御パターンの出力を調整してもよい。
【0028】
この構成によれば、例えば、第2ユーザの性別又は年齢などの属性に基づいて、第1ユーザに与える刺激制御パターンの出力を大きくしたり小さくしたりすることができる。また、例えば、入眠時又は起床時に与えられる刺激に対する第1ユーザの好みに基づいて、第1ユーザに与える刺激制御パターンの出力を大きくしたり小さくしたりすることができる。
【0029】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザのいずれを優先するかを示す優先度情報を取得し、前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した優先度情報に基づいて、前記出力設定範囲内で前記取得した刺激制御パターンの出力を調整してもよい。
【0030】
この構成によれば、第1ユーザ及び第2ユーザのいずれを優先するかを示す優先度情報に基づいて、出力設定範囲内で刺激制御パターンの出力が調整されるので、第1ユーザを第2ユーザよりも優先する場合は、刺激制御パターンの出力をより大きくすることで、第1ユーザの快適性を優先して第1ユーザを入眠又は起床させることができ、第2ユーザを第1ユーザよりも優先する場合は、刺激制御パターンの出力をより小さくすることで、第2ユーザの快適性を優先して第1ユーザを入眠又は起床させることができる。
【0031】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記第2ユーザの姿勢を取得し、前記刺激制御パターンの調整は、前記取得した姿勢に基づいて、前記出力設定範囲内で前記取得した刺激制御パターンの出力を調整してもよい。
【0032】
この構成によれば、第2ユーザの姿勢に基づいて、出力設定範囲内で刺激制御パターンの出力が調整されるので、例えば、第2ユーザが1つ以上の装置による刺激が与えられやすい姿勢である場合に、刺激制御パターンの出力を小さくすることで、第2ユーザの睡眠が妨害されるのを防止することができる。
【0033】
また、上記の情報処理方法において、前記1つ以上の装置は、前記第1ユーザに対応付けられた第1装置と、前記第2ユーザに対応付けられた第2装置とを含み、前記動作の制御は、前記調整した刺激制御パターンで前記第1装置の動作を制御してもよい。
【0034】
この構成によれば、1つ以上の装置は、第1ユーザに対応付けられた第1装置と、第2ユーザに対応付けられた第2装置とを含み、調整した刺激制御パターンで第1装置の動作が制御されるので、第1ユーザを入眠又は起床させる際に第1ユーザに対応付けられた第1装置の動作のみが制御されることにより、第2ユーザの睡眠が妨害されるのをより確実に防止することができる。
【0035】
また、上記の情報処理方法において、前記1つ以上の装置は、前記空間を照明する照明装置、前記空間に音を出力する音出力装置、前記空間に芳香剤を散布する芳香散布装置及び前記空間に風を出力する風出力装置の少なくとも1つを含んでもよい。
【0036】
この構成によれば、空間を照明する照明装置、空間に音を出力する音出力装置、空間に芳香剤を散布する芳香散布装置及び空間に風を出力する風出力装置の少なくとも1つの動作が制御されるので、照明、音、芳香剤の香り及び風の少なくとも1つにより、第1ユーザに快適な入眠又は起床を促すことができる。
【0037】
本開示の他の態様に係る情報処理プログラムは、第1ユーザの入眠又は起床の促進のために、1つ以上の装置が前記第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得し、前記第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態を取得し、前記第2ユーザの前記睡眠状態に基づいて前記取得した刺激制御パターンを調整し、前記調整した刺激制御パターンで前記1つ以上の装置の動作を制御するようにコンピュータを機能させる。
【0038】
この構成によれば、第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態に基づいて刺激制御パターンが調整され、調整された刺激制御パターンで1つ以上の装置の動作が制御されるので、物理的な設備なしで、同じ空間で複数のユーザが就寝していても当該複数のユーザのうちの特定のユーザ(すなわち第1ユーザ)向けの照明などの刺激の制御による入眠又は起床の促進効果の低下を抑制することができる。照明などの刺激が睡眠に影響を与える度合いは、睡眠状態に応じて異なる。そのため、第2ユーザの睡眠状態が第1ユーザ向けの照明など刺激の制御において考慮されることにより、第2ユーザの睡眠を妨げない範囲で第1ユーザ向けの当該刺激の効果を高めることができる。よって、第1ユーザと第2ユーザとが同じ空間で就寝する場合に、第2ユーザの睡眠を妨害することなく、第1ユーザに快適な入眠又は起床を促すことができる。
【0039】
本開示の他の態様に係る情報処理システムは、第1ユーザの入眠又は起床の促進のために、1つ以上の装置が前記第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得する刺激制御パターン取得部と、前記第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態を取得する睡眠状態取得と、前記第2ユーザの前記睡眠状態に基づいて前記取得した刺激制御パターンを調整する調整部と、前記調整した刺激制御パターンで前記1つ以上の装置の動作を制御する制御部と、を備える。
【0040】
この構成によれば、第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態に基づいて刺激制御パターンが調整され、調整された刺激制御パターンで1つ以上の装置の動作が制御されるので、物理的な設備なしで、同じ空間で複数のユーザが就寝していても当該複数のユーザのうちの特定のユーザ(すなわち第1ユーザ)向けの照明などの刺激の制御による入眠又は起床の促進効果の低下を抑制することができる。照明などの刺激が睡眠に影響を与える度合いは、睡眠状態に応じて異なる。そのため、第2ユーザの睡眠状態が第1ユーザ向けの照明など刺激の制御において考慮されることにより、第2ユーザの睡眠を妨げない範囲で第1ユーザ向けの当該刺激の効果を高めることができる。よって、第1ユーザと第2ユーザとが同じ空間で就寝する場合に、第2ユーザの睡眠を妨害することなく、第1ユーザに快適な入眠又は起床を促すことができる。
【0041】
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0042】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における機器制御システムの全体構成を示す図である。
【0043】
図1に示す機器制御システムは、第1センサ1、第2センサ2、第1携帯端末3、第2携帯端末4、サーバ装置5及び照明装置6を備える。サーバ装置5は、第1センサ1、第2センサ2、第1携帯端末3、第2携帯端末4及び照明装置6のそれぞれとネットワーク7を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク7は、例えば、インターネットである。
【0044】
第1センサ1は、例えば、第1ユーザが就寝するベッドマットの下に設置されているシート型の圧電センサであり、第1ユーザの心拍数、呼吸数及び体動量などの生体データを取得する。第1センサ1は、第1ユーザの生体データを定期的(例えば、10分毎)に取得する。第1センサ1は、取得した第1ユーザの生体データをサーバ装置5へ送信する。
【0045】
第2センサ2は、例えば、第2ユーザが就寝するベッドマットの下に設置されているシート型の圧電センサであり、第2ユーザの心拍数、呼吸数及び体動量などの生体データを取得する。第2センサ2は、第2ユーザの生体データを定期的(例えば、10分毎)に取得する。第2センサ2は、取得した第2ユーザの生体データをサーバ装置5へ送信する。
【0046】
なお、第1センサ1及び第2センサ2は、圧電センサに限らず、電波センサなどの他の方式で生体データを取得するセンサであってもよい。また、本実施の形態1では、機器制御システムは、第1センサ1と第2センサ2とを備えているが、本開示は特にこれに限定されず、第1ユーザの生体データと第2ユーザの生体データとを取得する1つのセンサを備えてもよい。
【0047】
また、第1ユーザがベッドマットに横たわっている場合、第1センサ1は、第1ユーザの生体データを取得する。そのため、第1ユーザがベッドマットに横たわっていない場合、第1センサ1は、第1ユーザの生体データを取得せず、第1ユーザの生体データをサーバ装置5に送信しない。これは、第2センサ2も同様である。
【0048】
第1携帯端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータであり、第1ユーザにより利用される。第1携帯端末3は、第1ユーザの起床予定時刻の入力を受け付ける。第1携帯端末3は、第1ユーザの起床予定時刻をサーバ装置5へ送信する。
【0049】
第2携帯端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータであり、第2ユーザにより利用される。第2携帯端末4は、第2ユーザの起床予定時刻の入力を受け付ける。第2携帯端末4は、第2ユーザの起床予定時刻をサーバ装置5へ送信する。
【0050】
本実施の形態1では、機器制御システムは、第1携帯端末3と第2携帯端末4とを備えているが、本開示は特にこれに限定されず、第1ユーザ及び第2ユーザに共用され、第1ユーザ及び第2ユーザの起床予定時刻の入力を受け付ける1つの携帯端末を備えてもよい。
【0051】
サーバ装置5は、第1ユーザ又は第2ユーザの起床のために照度を制御する照明装置6の動作を制御する。サーバ装置5は、照明装置6の動作を制御するための制御コマンドを照明装置6へ送信する。
【0052】
照明装置6は、第1ユーザ及び第2ユーザが就寝する空間、すなわち寝室内に配置される。照明装置6は、寝室内を照らし、照度を調節することができる。照明装置6は、第1ユーザ又は第2ユーザの起床のために照度を制御する。照明装置6は、サーバ装置5からの制御コマンドに従って、照度を制御する。照明装置6は、第1ユーザの入眠又は起床のために刺激を制御する1つ以上の装置の一例である。
【0053】
本実施の形態1では、1台の照明装置6が寝室に設置されている。照明装置6は、第1ユーザ及び第2ユーザにより共用される。
【0054】
図2は、本開示の実施の形態1におけるサーバ装置の構成を示す図である。
【0055】
サーバ装置5は、通信部51、プロセッサ52及びメモリ53を備える。プロセッサ52は、制御パターン取得部101、睡眠状態判定部102、制御パターン調整部103及び機器制御部104を備える。メモリ53は、制御パターン記憶部111、起床予定時刻記憶部112及び到達照度範囲記憶部113を備える。
【0056】
通信部51は、第1センサ1によって送信された第1ユーザの生体データを受信する。通信部51は、受信した第1ユーザの生体データを睡眠状態判定部102へ出力する。通信部51は、第2センサ2によって送信された第2ユーザの生体データを受信する。通信部51は、受信した第2ユーザの生体データを睡眠状態判定部102へ出力する。通信部51は、第1携帯端末3によって送信された第1ユーザの起床予定時刻を受信する。通信部51は、受信した第1ユーザの起床予定時刻を起床予定時刻記憶部112に記憶する。通信部51は、第2携帯端末4によって送信された第2ユーザの起床予定時刻を受信する。通信部51は、受信した第2ユーザの起床予定時刻を起床予定時刻記憶部112に記憶する。通信部51は、機器制御部104によって生成された制御コマンドを照明装置6へ送信する。
【0057】
制御パターン記憶部111は、ユーザが起床する際の照明装置6の動作を制御するための刺激制御パターンを記憶している。刺激制御パターンは、起床予定時刻の所定時間(例えば、30分)前の第1タイミングから徐々に照度を上げ、起床予定時刻の直前の所定時間(例えば、3分)前の第2タイミングで急激に照度を上げ、起床予定時刻に最大照度となるように照明装置6を動作させる。なお、上記の刺激制御パターンは一例であり、本開示はこれに限定されず、他の刺激制御パターンにより第1ユーザを快適に起床させてもよい。
【0058】
起床予定時刻記憶部112は、第1ユーザの起床予定時刻及び第2ユーザの起床予定時刻を記憶する。
【0059】
到達照度範囲記憶部113は、後から起床する第2ユーザの睡眠状態と、先に起床する第1ユーザの起床予定時刻に到達すべき到達照度の上限値及び下限値を示す到達照度設定範囲とを対応付けたテーブルを照明装置の機種毎に記憶する。
【0060】
制御パターン取得部101は、第1ユーザの起床の促進のために、照明装置6が第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを取得する。
【0061】
睡眠状態判定部102は、起床予定時刻記憶部112を参照し、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの後から起床するユーザを特定し、特定した後から起床するユーザの睡眠状態を判定する。
【0062】
睡眠状態判定部102は、第2ユーザが後から起床する場合、第2センサ2から取得した第2ユーザの生体データに基づいて、第2ユーザの睡眠状態を判定する。
【0063】
人の睡眠は、眠りの深さ又は眠りの特徴によって、時系列で変化する複数の睡眠状態に分類できる。一般的に、睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠とに分類される。レム睡眠は、高速眼球運動を伴う睡眠である。レム睡眠では、体は休息状態であるが、脳は活動している状態である。人が夢を見るのはレム睡眠中であることが多いとされている。ノンレム睡眠は、高速眼球運動を伴わない睡眠であり、眠りの深さによってステージ1からステージ4の4つの段階にさらに分けられる。ステージ4が最も深い睡眠レベルである。通常、入眠から45~60分以内にノンレム睡眠のステージ3又はステージ4まで到達し、その後、1~2時間ほどで徐々に眠りが浅くなってレム睡眠になる。以後は、ノンレム睡眠とレム睡眠とが、90~110分の睡眠周期で交互に繰り返されるとされているが、これは個人差や個人内変動も大きい。
【0064】
体動量、呼吸数及び心拍数の生体データは、睡眠状態に相関がある。例えば、ノンレム睡眠のステージ3又はステージ4といった深い睡眠状態においては、体動量が少なく、心拍変動(RRI)が低くなることが知られている。睡眠状態判定部102は、このような相関関係を用いて、生体データからユーザの睡眠状態をリアルタイムに推定する。睡眠状態判定部102は、生体データに基づいて、ユーザが、覚醒、レム睡眠、ステージ1のノンレム睡眠、ステージ2のノンレム睡眠、ステージ3のノンレム睡眠、及びステージ4のノンレム睡眠のいずれであるかを推定する。
【0065】
睡眠状態は、覚醒状態、浅い睡眠状態及び深い睡眠状態を含む。覚醒状態は、ユーザが起きている状態である。浅い睡眠状態は、ユーザがステージ1のノンレム睡眠又はステージ2のノンレム睡眠である状態である。深い睡眠状態は、ユーザがステージ3のノンレム睡眠又はステージ4のノンレム睡眠である状態である。レム睡眠は脳波の傾向としてステージ1に類似しているとされており、一見浅い睡眠と捉えられることも少なくはないが、筋抑制が働き前頭葉部の活動の低下がみられることから、浅い睡眠とは言えない程に覚醒しにくい状態であることがわかっており、ここでは深い睡眠状態として位置付ける。睡眠状態判定部102は、第2ユーザの睡眠状態が、覚醒状態、浅い睡眠状態及び深い睡眠状態のいずれであるかを判定する。
【0066】
また、睡眠状態判定部102は、第1ユーザが後から起床する場合、第1センサ1から取得した第1ユーザの生体データに基づいて、第1ユーザの睡眠状態を判定する。この場合、睡眠状態判定部102は、第1ユーザの睡眠状態が、覚醒状態、浅い睡眠状態及び深い睡眠状態のいずれであるかを判定する。
【0067】
なお、本実施の形態1では、ステージ1のノンレム睡眠又はステージ2のノンレム睡眠が浅い睡眠状態に該当し、ステージ3のノンレム睡眠又はステージ4のノンレム睡眠が深い睡眠状態に該当しているが、本開示は特にこれに限定されない。ステージ1のノンレム睡眠が浅い睡眠状態に該当し、ステージ2のノンレム睡眠、ステージ3のノンレム睡眠又はステージ4のノンレム睡眠が深い睡眠状態に該当してもよい。また、ステージ1のノンレム睡眠、ステージ2のノンレム睡眠、ステージ3のノンレム睡眠が浅い睡眠状態に該当し、ステージ4のノンレム睡眠が深い睡眠状態に該当してもよい。
【0068】
制御パターン調整部103は、第1ユーザと同じ空間に存在する第2ユーザの睡眠状態を取得する。ここで、第1ユーザは、第2ユーザよりも先に起床する。そのため、制御パターン調整部103は、後から起床する第2ユーザの睡眠状態を睡眠状態判定部102から取得する。
【0069】
なお、本実施の形態1では、睡眠状態判定部102は、起床予定時刻記憶部112を参照し、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの後から起床するユーザを特定し、特定したユーザの睡眠状態を判定しているが、本開示は特にこれに限定されない。睡眠状態判定部102は、第1ユーザの睡眠状態と第2ユーザの睡眠状態とを判定してもよく、制御パターン調整部103は、起床予定時刻記憶部112を参照し、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの後から起床するユーザを特定し、特定したユーザの睡眠状態を睡眠状態判定部102から取得してもよい。
【0070】
制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態に基づいて、制御パターン取得部101によって取得された刺激制御パターンを調整する。制御パターン調整部103は、睡眠状態が基準よりも浅い場合に第1ユーザに与えられる刺激が、睡眠状態が基準よりも深い場合に第1ユーザに与えられる刺激よりも弱くなるように取得された刺激制御パターンを調整する。なお、本実施の形態1において、第1ユーザに与えられる刺激は照明の光である。また、制御パターン調整部103は、取得された刺激制御パターンより刺激が弱くなるように取得された刺激制御パターンを調整する。
【0071】
制御パターン調整部103は、制御パターン取得部101によって取得された刺激制御パターンにおける到達照度設定範囲(出力設定範囲)を調整する。制御パターン調整部103は、到達照度範囲記憶部113を参照し、睡眠状態判定部102によって判定された第2ユーザの睡眠状態に応じて到達照度設定範囲を決定する。
【0072】
制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻(第1起床予定時刻)と第2ユーザの起床予定時刻(第2起床予定時刻)とを起床予定時刻記憶部112から取得する。制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻(第1起床予定時刻)と第2ユーザの起床予定時刻(第2起床予定時刻)との差に基づいて、到達照度設定範囲(出力設定範囲)内で刺激制御パターンの到達照度(出力)を調整する。例えば、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が短いほど、到達照度設定範囲内の上限値に近い到達照度に調整し、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が長いほど、到達照度設定範囲内の下限値に近い到達照度に調整する。
【0073】
ここで、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が短い場合とは、第1ユーザが起床してから第2ユーザが起床するまでの時間が短い場合を意味している。この場合、第1ユーザを起床させるために高い到達照度で照明されることにより、第2ユーザが目覚めたとしても、第2ユーザの起床予定時刻は、第1ユーザの起床予定時刻に近いため、特に問題ないと考えられる。一方、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が長い場合とは、第1ユーザが起床してから第2ユーザが起床するまでの時間が長い場合を意味している。この場合、第1ユーザを起床させるための到達照度を低く抑えることにより、睡眠中の第2ユーザが目覚めるのを防止することができる。
【0074】
機器制御部104は、制御パターン調整部103によって調整された刺激制御パターンで照明装置6の動作を制御する。機器制御部104は、制御パターン調整部103によって調整された刺激制御パターンに従って照明装置6を動作させるための制御コマンドを生成する。
【0075】
照明装置6は、不図示の光源部を備え、サーバ装置5から受信した制御コマンドに応じて動作する。照明装置6は、第1ユーザを起床させるための刺激制御パターンに従って動作する。
【0076】
ここで、本実施の形態1では、第1携帯端末3又は第2携帯端末4は、サーバ装置5の通信部51、プロセッサ52及びメモリ53のそれぞれの構成を備えてもよい。この場合、サーバ装置5が不要となる。
【0077】
以下、本実施の形態1においては、照明装置6は、主寝室に1灯だけあるシーリングライトであり、第1ユーザが第2ユーザよりも早く起床し、照明装置6により起床する第1ユーザへの調光制御が行われる例について説明する。
【0078】
図3は、本開示の実施の形態1において、先に起床する第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンの一例を示す図である。
図3において、縦軸は照度を示し、横軸は時間を示す。
図3において、破線は、就寝者が一人の場合における一般的な基準の刺激制御パターンを示す。基準の刺激制御パターンでは、起床予定時刻から所定時間前(例えば、30分前)のタイミングから徐々に照度を上げ始め、起床予定時刻の直前の所定時間前(例えば、3分前)から起床予定時刻までに急激に照度を最大値まで上げるような制御が行われる。これにより、第1ユーザに対して光刺激によるすっきりとした目覚めを促す。
【0079】
なお、本実施の形態1では、起床予定時刻から所定時間前の予め決められたタイミングになると、照度の上昇が開始されるが、本開示は特にこれに限定されず、起床予定時刻から所定時間前(例えば、1時間前)の予め決められたタイミングになると、第1ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態であるか否かが判断されてもよい。そして、第1ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態であると判断された場合、照度の上昇が開始されてもよく、第1ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態ではないと判断された場合、照度の上昇が開始されなくてもよい。その後、第1ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態であると判断された時点で、照度の上昇が開始されてもよい。
【0080】
また、本実施の形態1では、起床予定時刻から直前の所定時間前の予め決められたタイミングになると、照度が最大値まで急激に上昇されるが、本開示は特にこれに限定されず、第1ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態であるか否かが判断されてもよい。そして、第1ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態であると判断された場合、照度が最大値まで急激に上昇されてもよく、第1ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態ではないと判断された場合、照度が急激に上昇されずに、徐々に上昇されてもよい。
【0081】
また、制御パターン調整部103は、睡眠状態判定部102によって判定された第2ユーザの睡眠状態により、破線で示される基準刺激制御パターンを調整する。具体的には、制御パターン調整部103は、起床予定時刻における到達照度を通常レベル(最大値)よりも低く設定する。
【0082】
図4は、本開示の実施の形態1における到達照度範囲記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図ある。
【0083】
制御パターン調整部103は、到達照度範囲記憶部113が記憶する
図4に示すテーブルを参照し、第2ユーザの睡眠状態に応じて刺激制御パターンの到達照度の到達照度設定範囲を決定し、決定した到達照度設定範囲内で到達照度を決定する。
【0084】
図4に示すように、到達照度範囲記憶部113は、後から起床する第2ユーザの睡眠状態と、先に起床する第1ユーザの起床予定時刻に到達すべき到達照度の上限値U1及び下限値L1を示す到達照度設定範囲とを対応付けたテーブルを照明装置の機種毎に記憶する。本実施の形態1における照明装置6は主寝室に1台のみ配置されている。
【0085】
深い睡眠状態には、通常レベルより暗い値(例えば500ルクス)である上限値U1と、常夜灯レベルより明るい値(例えば30ルクス)である下限値L1とが対応付けられている。なお、通常レベルは、照明装置6の最大照度であり、例えば1000ルクスである。常夜灯レベルは、例えば10ルクスである。上限値U1は、例えば、通常レベルの半分の値である。
【0086】
また、浅い睡眠状態には、常夜灯レベルの値(例えば10ルクス)である上限値U2と、0ルクスである下限値L2とが対応付けられている。
【0087】
図3において、実線は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の刺激制御パターンを示し、一点鎖線は、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の刺激制御パターンを示している。到達照度の上限値U1と下限値L1との間の範囲が、到達照度設定範囲R1であり、到達照度の上限値U2と下限値L2との間の範囲が、到達照度設定範囲R2である。
【0088】
図3に示すように、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の刺激制御パターンの到達照度は、基準の刺激制御パターンの到達照度より小さくなっている。また、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の刺激制御パターンの到達照度は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の刺激制御パターンの到達照度より小さくなっている。
【0089】
なお、本実施の形態1では、機器制御システムは、寝室の天井に設けられた1台の照明装置6を備えているが、本開示は特にこれに限定されず、第1ユーザを個別に照明する第1照明装置と、第2ユーザを個別に照明する第2照明装置とを備えてもよい。
【0090】
図5は、本開示の実施の形態1において、第1ユーザ及び第2ユーザに個別に照明する際に到達照度範囲記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図ある。
【0091】
図5に示すように、到達照度範囲記憶部113は、後から起床する第2ユーザの睡眠状態と、先に起床する第1ユーザの起床予定時刻に到達すべき到達照度の上限値U1及び下限値L1を示す到達照度設定範囲とを対応付けたテーブルを照明装置の機種毎に記憶する。照明装置は、第1ユーザに対応付けられた第1照明装置と、第2ユーザに対応付けられた第2照明装置とを含む。
【0092】
機器制御部104は、制御パターン調整部103によって調整された刺激制御パターンで第1照明装置の動作を制御する。機器制御部104は、制御パターン調整部103によって調整された刺激制御パターンに従って第1照明装置を動作させるための制御コマンドを生成する。第1照明装置は、サーバ装置5から受信した制御コマンドに応じて動作する。第1照明装置は、第1ユーザを起床させるための刺激制御パターンに従って動作する。
【0093】
深い睡眠状態には、通常レベルより暗い値(例えば800ルクス)である上限値U1と、常夜灯レベルより明るい値(例えば100ルクス)である下限値L1とが対応付けられている。なお、通常レベルは、第1照明装置の最大照度であり、例えば1000ルクスである。常夜灯レベルは、例えば10ルクスである。上限値U1は、例えば、通常レベルの80%の値である。
【0094】
また、浅い睡眠状態には、深い睡眠状態の上限値U1より暗い値(例えば500ルクス)である上限値U2と、深い睡眠状態の下限値L1より暗い値(例えば30ルクス)である下限値L2とが対応付けられている。
【0095】
第1照明装置は第1ユーザのみを照明する。そのため、第1ユーザ及び第2ユーザのそれぞれに個別に利用される第1照明装置及び第2照明装置の到達照度の上限値及び下限値は、第1ユーザ及び第2ユーザに共用される1つの照明装置の到達照度の上限値及び下限値よりも高くなっている。
【0096】
また、本実施の形態1において、機器制御システムは、第1ユーザの目元を個別に照明する第1照明装置と、第2ユーザの目元を個別に照明する第2照明装置とを備えてもよい。
【0097】
図6は、本開示の実施の形態1において、第1ユーザの目元及び第2ユーザの目元に個別に照明する際に到達照度範囲記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図ある。
【0098】
図6に示すように、到達照度範囲記憶部113は、後から起床する第2ユーザの睡眠状態と、先に起床する第1ユーザの起床予定時刻に到達すべき到達照度の上限値U1及び下限値L1を示す到達照度設定範囲とを対応付けたテーブルを照明装置の機種毎に記憶する。照明装置は、第1ユーザの目元に照明する第1照明装置と、第2ユーザの目元に照明する第2照明装置とを含む。
【0099】
機器制御部104は、制御パターン調整部103によって調整された刺激制御パターンで第1照明装置の動作を制御する。機器制御部104は、制御パターン調整部103によって調整された刺激制御パターンに従って第1照明装置を動作させるための制御コマンドを生成する。第1照明装置は、サーバ装置5から受信した制御コマンドに応じて動作する。第1照明装置は、第1ユーザを起床させるための刺激制御パターンに従って動作する。
【0100】
深い睡眠状態には、通常レベルより暗い値(例えば900ルクス)である上限値U1と、常夜灯レベルより明るい値(例えば300ルクス)である下限値L1とが対応付けられている。なお、通常レベルは、第1照明装置の最大照度であり、例えば1000ルクスである。常夜灯レベルは、例えば10ルクスである。上限値U1は、例えば、通常レベルの90%の値である。
【0101】
また、浅い睡眠状態には、通常レベルより暗く、かつ深い睡眠状態の上限値U1より暗い値(例えば800ルクス)である上限値U2と、常夜灯レベルより明るく、かつ深い睡眠状態の下限値L1より暗い値(例えば100ルクス)である下限値L2とが対応付けられている。
【0102】
第1照明装置は第1ユーザの目元のみを照明する。そのため、第1ユーザ及び第2ユーザのそれぞれの目元のみを照明する第1照明装置及び第2照明装置の到達照度の上限値及び下限値は、第1ユーザ及び第2ユーザに共用される1つの照明装置の到達照度の上限値及び下限値よりも高くなっており、さらに、第1ユーザ及び第2ユーザのそれぞれに個別に利用される第1照明装置及び第2照明装置の到達照度の上限値及び下限値よりも高くなっている。
【0103】
このように、到達照度の上限値及び下限値は、各家庭の照明装置の設備状況に応じて設定されてもよい。
【0104】
図7は、本開示の実施の形態1におけるサーバ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0105】
まず、制御パターン取得部101は、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの先に起床する第1ユーザの起床予定時刻の所定時間前(例えば、30分前)になると、第1ユーザの起床の促進のために、照明装置6が第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンを制御パターン記憶部111から取得する(ステップS1)。なお、制御パターン取得部101は、起床予定時刻記憶部112を参照することにより、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの先に起床する第1ユーザの起床予定時刻を取得する。
【0106】
次に、睡眠状態判定部102は、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの後に起床する第2ユーザの生体データが存在するか否かを判断する(ステップS2)。第2ユーザが就寝していない場合、第2ユーザの生体データは検出されない。そのため、第2ユーザの生体データが存在するか否かが判断されることにより、第2ユーザが就寝しているか否かを判断することができる。
【0107】
ここで、第2ユーザの生体データが存在しないと判断された場合(ステップS2でNO)、ステップS11に処理が移行する。
【0108】
一方、第2ユーザの生体データが存在すると判断された場合(ステップS2でYES)、睡眠状態判定部102は、第2センサ2によって検出された第2ユーザの生体データを取得する(ステップS3)。
【0109】
次に、睡眠状態判定部102は、取得した第2ユーザの生体データに基づいて、第2ユーザの睡眠状態を判定する(ステップS4)。
【0110】
次に、制御パターン調整部103は、睡眠状態判定部102によって判定された第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態であるか否かを判断する(ステップS5)。
【0111】
ここで、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態であると判断された場合(ステップS5でYES)、制御パターン調整部103は、到達照度範囲記憶部113に記憶されているテーブルを参照し、深い睡眠状態に対応付けられている、第1ユーザに対する刺激制御パターンの到達照度の上限値及び下限値を決定する(ステップS6)。
図4に示すテーブルが用いられる場合、制御パターン調整部103は、到達照度の上限値を500ルクスに決定するとともに、到達照度の下限値を30ルクスに決定する。
【0112】
一方、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態ではないと判断された場合、すなわち、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態であると判断された場合(ステップS5でNO)、制御パターン調整部103は、到達照度範囲記憶部113に記憶されているテーブルを参照し、浅い睡眠状態に対応付けられている、第1ユーザに対する刺激制御パターンの到達照度の上限値及び下限値を決定する(ステップS7)。
図4に示すテーブルが用いられる場合、制御パターン調整部103は、到達照度の上限値を10ルクスに決定するとともに、到達照度の下限値を0ルクスに決定する。
【0113】
次に、制御パターン調整部103は、所定の条件に基づいて、決定した上限値と下限値との間の到達照度設定範囲内における到達照度を決定する(ステップS8)。本実施の形態1における所定の条件は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が何時間であるかである。制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が短いほど、到達照度設定範囲内の上限値に近い到達照度に設定し、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が長いほど、到達照度設定範囲内の下限値に近い到達照度に設定する。
【0114】
例えば、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が5分以下であれば、到達照度を上限値に決定し、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が1時間以上であれば、到達照度を下限値に決定してもよい。そして、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が5分より長く1時間より短い場合、時間差に応じて到達照度設定範囲内で到達照度を決定してもよい。
【0115】
なお、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が所定時間(例えば30分)未満であるか否かを判断してもよい。そして、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が所定時間未満であると判断された場合、制御パターン調整部103は、到達照度を上限値に決定してもよい。また、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差が所定時間以上であると判断された場合、制御パターン調整部103は、到達照度を下限値に決定してもよい。
【0116】
次に、制御パターン調整部103は、決定した到達照度に基づいて刺激制御パターンを調整する。すなわち、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻における照明装置6の照度が、決定した到達照度になるように、刺激制御パターンを調整する。
【0117】
次に、機器制御部104は、刺激制御パターンに従って照明装置6を動作させるための制御コマンドを生成する(ステップS10)。ここで、第2ユーザの生体データが存在すると判断され、制御パターン調整部103によって刺激制御パターンが調整された場合、機器制御部104は、制御パターン調整部103によって調整された刺激制御パターンに従って照明装置6を動作させるための制御コマンドを生成する。一方、第2ユーザの生体データが存在しないと判断された場合(ステップS2でNO)、機器制御部104は、制御パターン記憶部111から取得した刺激制御パターンに従って照明装置6を動作させるための制御コマンドを生成する。
【0118】
次に、通信部51は、機器制御部104によって生成された制御コマンドを照明装置6へ送信する(ステップS11)。照明装置6は、制御コマンドを受信し、受信した制御コマンドで示される刺激制御パターンに従って動作する。
【0119】
このように、第1ユーザと第2ユーザとが同じ空間で就寝する場合に、後から起床する第2ユーザの睡眠を妨害することなく、先に起床する第1ユーザに快適な起床を促すことができる。
【0120】
なお、本実施の形態1では、制御コマンドが照明装置6へ送信された後、照明装置6は、第1ユーザの起床予定時刻まで制御コマンドで示される刺激制御パターンに従って動作するが、本開示は特にこれに限定されず、制御コマンドが照明装置6へ送信された後、所定時間毎に、
図7に示すステップS1~ステップS11の処理が行われてもよい。これにより、第1ユーザの起床予定時刻までの間に、第2ユーザの睡眠状態が変化したとしても、変化後の第2ユーザの睡眠状態に応じて刺激制御パターンを調整することができる。
【0121】
また、制御コマンドが照明装置6へ送信された後、睡眠状態判定部102は、第2ユーザの睡眠状態が変化したか否かを判断してもよい。そして、第2ユーザの睡眠状態が変化したと判断された場合、
図7に示すステップS5~ステップS11の処理が行われてもよい。これにより、第1ユーザの起床予定時刻までの間に、第2ユーザの睡眠状態が変化したとしても、変化後の第2ユーザの睡眠状態に応じて刺激制御パターンを調整することができる。
【0122】
なお、本実施の形態1では、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態に応じて刺激制御パターンの到達照度の上限値及び下限値を決定し、所定の条件に基づいて、決定した上限値と下限値との間の到達照度設定範囲内における到達照度を決定しているが、本開示は特にこれに限定されず、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態に応じて刺激制御パターンの到達照度を決定してもよい。例えば、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合、通常レベルよりも暗い第1到達照度に決定し、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合、第1到達照度よりも暗い第2到達照度に決定してもよい。
【0123】
また、本実施の形態1では、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差に基づいて、決定した上限値と下限値との間の到達照度設定範囲内における到達照度を決定しているが、本開示は特にこれに限定されない。制御パターン調整部103は、第1ユーザ及び第2ユーザの少なくとも一方の属性を取得してもよい。そして、制御パターン調整部103は、第1ユーザ及び第2ユーザの少なくとも一方の属性に基づいて、決定した上限値と下限値との間の到達照度設定範囲内における到達照度を決定してもよい。
【0124】
属性は、例えば、年齢又は性別である。子供及び老人は、光刺激に対する感度が低いため、到達照度が比較的高くても覚醒しにくい傾向がある。そこで、制御パターン調整部103は、後から起床する第2ユーザの年齢が所定の第1年齢(例えば、15歳)以下である場合、すなわち、第2ユーザが子供である場合、到達照度を上限値に決定してもよい。また、制御パターン調整部103は、第2ユーザの年齢が所定の第2年齢(例えば、60歳)以上である場合、すなわち、第2ユーザが老人である場合、到達照度を上限値に決定してもよい。そして、制御パターン調整部103は、第2ユーザの年齢が第1年齢より大きく第2年齢より小さい場合、年齢に応じて到達照度設定範囲内で到達照度を決定してもよい。さらに、制御パターン調整部103は、第2ユーザが乳児又は幼児である場合、第2ユーザを覚醒させないようにするため、到達照度を下限値に決定してもよい。
【0125】
また、制御パターン調整部103は、後から起床する第2ユーザが男性である場合、到達照度を上限値に決定してもよく、後から起床する第2ユーザが女性である場合、到達照度を下限値に決定してもよい。なお、第1ユーザ及び第2ユーザの属性又は年齢は、メモリ53に予め記憶されている。
【0126】
また、制御パターン調整部103は、第2ユーザの姿勢を取得してもよい。そして、制御パターン調整部103は、取得した姿勢に基づいて、決定した上限値と下限値との間の到達照度設定範囲内における到達照度を決定してもよい。寝室内に設置されたカメラが、就寝している第2ユーザを撮影する。サーバ装置5は、カメラによって撮影された画像から第2ユーザの姿勢を認識する。制御パターン調整部103は、第2ユーザの姿勢が照明装置6の方向を向いている姿勢である場合、到達照度を下限値に近づけてもよい。また、制御パターン調整部103は、第2ユーザの姿勢が照明装置6の方向を向いていない姿勢である場合、到達照度を上限値に近づけてもよい。
【0127】
また、サーバ装置5は、カメラによって撮影された画像から第2ユーザの姿勢が仰向けであるか否かを認識してもよい。制御パターン調整部103は、第2ユーザが仰向けの姿勢である場合、到達照度を下限値に近づけてもよい。また、制御パターン調整部103は、第2ユーザが仰向けの姿勢ではない場合、到達照度を上限値に近づけてもよい。
【0128】
また、本実施の形態1では、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻における到達照度を変更しているが、本開示は特にこれに限定されない。制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態が基準よりも深い場合、取得された刺激制御パターンにおける刺激を強くするタイミングが早くなるように取得された刺激制御パターンを調整してもよい。
【0129】
図8は、本開示の実施の形態1において、先に起床する第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンの他の例を示す図である。
図8において、縦軸は照度を示し、横軸は時間を示す。
図8において、破線は、就寝者が一人の場合における一般的な基準の刺激制御パターンを示す。基準の刺激制御パターンでは、起床予定時刻から所定時間前(例えば、30分前)のタイミングから徐々に照度を上げ始め、起床予定時刻の直前の所定時間前(例えば、3分前)から起床予定時刻までに急激に照度を最大値まで上げるような制御が行われる。これにより、第1ユーザに対して光刺激によるすっきりとした目覚めを促す。
【0130】
図8において、実線は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の刺激制御パターンを示し、一点鎖線は、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の刺激制御パターンを示している。到達照度の上限値U1と下限値L1との間の範囲が、到達照度設定範囲R1であり、到達照度の上限値U2と下限値L2との間の範囲が、到達照度設定範囲R2である。
【0131】
図8に示すように、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合、刺激制御パターンにおける照度を急激に上げるタイミングが早くなるように刺激制御パターンを調整してもよい。また、制御パターン調整部103は、起床予定時刻の所定時間前の第1タイミングで照度を到達照度よりも暗い所定の照度まで上げ、当該所定の照度を所定の期間維持し、起床予定時刻の直前の所定時間前の第2タイミングで照度を急激に到達照度まで上げるように刺激制御パターンを調整してもよい。
【0132】
このように、刺激制御パターンにおける照度を急激に上げるタイミングが早くなるように刺激制御パターンが調整されることにより、第1ユーザの睡眠状態を早めに浅い睡眠状態に変化させることができる。そのため、到達照度が通常レベルよりも暗い場合であっても、起床予定時刻に第1ユーザを覚醒させることができる。
【0133】
なお、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合にも、刺激制御パターンにおける照度を上げるタイミングが早くなるように刺激制御パターンを調整してもよい。
【0134】
さらに、実施の形態1における到達照度の上限値及び下限値は、起床時における照明制御の知見から得られる所定の値でもよい。また、到達照度は、機器制御システムが利用され続けることにより、第1ユーザの起床時における覚醒度合い、又は第1ユーザの起床時における第2ユーザの体動反応の度合いに応じて更新されてもよい。例えば、睡眠状態判定部102は、起床予定時刻に第1ユーザが覚醒したか否かを判断してもよい。起床予定時刻に第1ユーザが覚醒した場合、制御パターン調整部103は、現在の到達照度を維持する。一方、起床予定時刻に第1ユーザが覚醒しなかった場合、制御パターン調整部103は、現在の到達照度をさらに上限値に近づけるように変更してもよい。
【0135】
また、例えば、第1ユーザの起床予定時刻における第2ユーザの体動量が所定値以上である場合、制御パターン調整部103は、現在の到達照度をさらに下限値に近づけるように変更してもよい。また、第1ユーザの起床予定時刻における第2ユーザの体動量が所定値より小さい場合、制御パターン調整部103は、現在の到達照度をさらに上限値に近づけるように変更してもよい。
【0136】
また、本実施の形態1では、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態に応じて第1ユーザの起床予定時刻における到達照度を変更しているが、本開示は特にこれに限定されず、第2ユーザの睡眠状態に応じて現在の照度を変更してもよい。
【0137】
また、本実施の形態1において、制御パターン取得部101は、後に起床する第2ユーザの起床予定時刻に基づいて刺激制御パターンを取得してもよい。そして、機器制御部104は、制御パターン取得部101によって取得された第2ユーザに対する刺激制御パターンに従って照明装置6の動作を制御するための制御コマンドを生成してもよい。照明装置6は、先に起床する第1ユーザの起床予定時刻が経過した後、後に起床する第2ユーザの起床予定時刻になるまで、第2ユーザに対する刺激制御パターンに従って動作する。
【0138】
なお、1台の照明装置が存在する場合は、先に起床する第1ユーザの起床予定時刻が経過した後、後に起床する第2ユーザの起床予定時刻に基づいて照明装置の動作を制御する必要がある。しかしながら、第1ユーザ及び第2ユーザを個別に照明する第1照明装置及び第2照明装置が存在する場合は、先に起床する第1ユーザの起床予定時刻が経過したか否かに関係なく、後に起床する第2ユーザの起床予定時刻に基づいて第2照明装置の動作を制御することが可能である。
【0139】
(実施の形態2)
実施の形態1では、制御パターン調整部103は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差に基づいて、決定した上限値と下限値との間の到達照度設定範囲内における到達照度を決定しているが、実施の形態2では、制御パターン調整部は、第1ユーザ及び第2ユーザのいずれを優先するかを示す優先度情報に基づいて、決定した上限値と下限値との間の到達照度設定範囲内における到達照度を決定する。
【0140】
図9は、本開示の実施の形態2におけるサーバ装置の構成を示す図である。
【0141】
サーバ装置5Aは、通信部51A、プロセッサ52A及びメモリ53Aを備える。プロセッサ52Aは、制御パターン取得部101、睡眠状態判定部102、制御パターン調整部103A及び機器制御部104を備える。メモリ53Aは、制御パターン記憶部111、起床予定時刻記憶部112、到達照度範囲記憶部113及び優先度記憶部114を備える。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0142】
第1携帯端末3は、第1ユーザの起床予定時刻の入力を受け付けるとともに、第1ユーザ及び第2ユーザのいずれを優先するかを示す優先度情報の入力を受け付ける。第1携帯端末3は、第1ユーザの起床予定時刻及び優先度情報をサーバ装置5へ送信する。
【0143】
なお、第2携帯端末4が、第1ユーザ及び第2ユーザのいずれを優先するかを示す優先度情報の入力を受け付けてもよい。第1携帯端末3及び第2携帯端末4の両者から優先度情報が送信された場合、サーバ装置5は、最新の優先度情報を採用してもよい。
【0144】
図10は、本開示の実施の形態2の第1携帯端末において、第1ユーザを優先する際に表示される優先度入力画面の一例を示す図であり、
図11は、本開示の実施の形態2の第1携帯端末において、第2ユーザを優先する際に表示される優先度入力画面の一例を示す図である。
【0145】
実施の形態2では、第1ユーザが第1携帯端末3に搭載されたアプリケーションにより、先に起床する人に対する照明の制御において優先度を設定する場合の動作について説明する。なお、
図10及び
図11において、パパは第1ユーザの呼称であり、ママは第2ユーザの呼称である。
【0146】
図10に示す優先度入力画面では、先に起床する第1ユーザが次の日の起床時において自分の快適な起床を優先させるため、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの第1ユーザが優先されている。一方、
図11に示す優先度入力画面では、先に起床する第1ユーザが次の日の起床時において第2ユーザの快適な睡眠を優先させるため、第1ユーザ及び第2ユーザのうちの第2ユーザが優先されている。優先度入力画面は、第1ユーザ及び第2ユーザのうちのいずれを優先させるかを示す優先度情報の入力を受け付ける。第1ユーザは、優先度入力画面に表示される第1ユーザを示す画像及び第2ユーザを示す画像のうち、優先させるユーザに対応する画像をタップする。これにより、第1ユーザ及び第2ユーザのうちのいずれを優先させるかが選択される。
【0147】
第1携帯端末3は、第1ユーザにより入力された第1ユーザ及び第2ユーザのうちのいずれを優先させるかを示す優先度情報をサーバ装置5へ送信する。
【0148】
サーバ装置5Aの通信部51Aは、第1携帯端末3によって送信された第1ユーザの起床予定時刻及び優先度情報を受信する。
【0149】
優先度記憶部114は、第1携帯端末3により入力された第1ユーザ及び第2ユーザのうちのいずれを優先させるかを示す優先度情報を記憶する。なお、優先度記憶部114は、照明装置6を識別するための識別情報に対応付けて優先度情報を記憶している。通信部51Aは、受信した優先度情報を優先度記憶部114に記憶する。
【0150】
本実施の形態2では、後から起床するユーザが第2ユーザであるため、制御パターン調整部103Aは、後から起床する第2ユーザの睡眠状態を睡眠状態判定部102から取得する。制御パターン調整部103Aは、第2ユーザの睡眠状態に基づいて、制御パターン取得部101によって取得された刺激制御パターンを調整する。制御パターン調整部103Aは、到達照度範囲記憶部113を参照し、睡眠状態判定部102によって判定された第2ユーザの睡眠状態に応じて到達照度設定範囲を決定する。
【0151】
制御パターン調整部103Aは、第1ユーザ及び第2ユーザのいずれを優先するかを示す優先度情報を優先度記憶部114から取得する。制御パターン調整部103Aは、取得した優先度情報に基づいて、到達照度設定範囲(出力設定範囲)内で刺激制御パターンの到達照度(出力)を調整する。例えば、制御パターン調整部103は、優先度情報が第1ユーザを優先することを示している場合、到達照度を到達照度設定範囲内の上限値に設定する。また、例えば、制御パターン調整部103は、優先度情報が第2ユーザを優先することを示している場合、到達照度を到達照度設定範囲内の下限値に設定する。なお、設定される到達照度は、到達照度設定範囲内であれば上限値又は下限値以外の値であってもよい。また、優先度情報が用いられない場合は、到達照度は、例えば到達照度設定範囲の中央値に設定されてもよい。
【0152】
図12は、本開示の実施の形態2におけるサーバ装置の動作を説明するための第1のフローチャートであり、
図13は、本開示の実施の形態2におけるサーバ装置の動作を説明するための第2のフローチャートである。
【0153】
なお、ステップS21~ステップS27の処理は、
図7に示すステップS1~ステップS7の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0154】
ステップS26で深い睡眠状態に対応付けられている到達照度の上限値及び下限値が決定された後、制御パターン調整部103Aは、優先度記憶部114に記憶されている優先度情報を参照し、第1ユーザが優先されるか否かを判断する(ステップS28)。ここで、第1ユーザが優先されると判断された場合(ステップS28でYES)、制御パターン調整部103Aは、第1ユーザに対する刺激制御パターンの到達照度を到達照度設定範囲内における上限値に決定する(ステップS29)。
図4に示すテーブルが用いられる場合、制御パターン調整部103Aは、到達照度を上限値の500ルクスに決定する。
【0155】
一方、第1ユーザが優先されないと判断された場合、すなわち、第2ユーザが優先されると判断された場合(ステップS28でNO)、制御パターン調整部103Aは、第1ユーザに対する刺激制御パターンの到達照度を到達照度設定範囲内における下限値に決定する(ステップS30)。
図4に示すテーブルが用いられる場合、制御パターン調整部103Aは、到達照度を下限値の30ルクスに決定する。
【0156】
また、ステップS27で浅い睡眠状態に対応付けられている到達照度の上限値及び下限値が決定された後、制御パターン調整部103Aは、優先度記憶部114に記憶されている優先度情報を参照し、第1ユーザが優先されるか否かを判断する(ステップS31)。ここで、第1ユーザが優先されると判断された場合(ステップS31でYES)、制御パターン調整部103Aは、第1ユーザに対する刺激制御パターンの到達照度を到達照度設定範囲内における上限値に決定する(ステップS32)。
図4に示すテーブルが用いられる場合、制御パターン調整部103Aは、到達照度を上限値の10ルクスに決定する。
【0157】
一方、第1ユーザが優先されないと判断された場合、すなわち、第2ユーザが優先されると判断された場合(ステップS31でNO)、制御パターン調整部103Aは、第1ユーザに対する刺激制御パターンの到達照度を到達照度設定範囲内における下限値に決定する(ステップS33)。
図4に示すテーブルが用いられる場合、制御パターン調整部103Aは、到達照度を下限値の0ルクスに決定する。
【0158】
なお、ステップS34~ステップS36の処理は、
図7に示すステップS9~ステップS11の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0159】
なお、本実施の形態1及び本実施の形態2において、現在時刻が第1ユーザの起床予定時刻になった場合、第1携帯端末3は、第1ユーザの起床時の照度の好みの入力を受け付けてもよい。
【0160】
図14は、本開示の実施の形態1及び実施の形態2の第1携帯端末において、第1ユーザの起床時の照度の好みの入力を受け付けるための照度入力画面の一例を示す図である。なお、
図14において、パパは第1ユーザの呼称であり、ママは第2ユーザの呼称である。
【0161】
現在時刻が第1ユーザの起床予定時刻になった場合、第1携帯端末3は、照度入力画面を表示する。
図14に示す照度入力画面では、第2ユーザの睡眠状態に対応する到達照度設定範囲のうちの第1ユーザの起床予定時刻における到達照度を示すつまみ画像301が表示される。第1ユーザは、起床時の照明装置6の照度の好みに応じてつまみ画像301を移動させることにより、到達照度設定範囲の下限値と上限値との間で到達照度を好みの照度に調節することができる。
【0162】
この場合、通信部51は、制御パターン調整部103によって調整された制御パターンの到達照度の下限値及び上限値と、到達照度とを第1携帯端末3へ送信する。現在時刻が第1ユーザの起床予定時刻になった場合、第1携帯端末3は、受信した到達照度の下限値及び上限値と、到達照度とを用いて生成した照度入力画面を表示する。そして、第1ユーザにより到達照度が変更された場合、第1携帯端末3は、変更後の到達照度をサーバ装置5へ送信する。通信部51は、受信した変更後の到達照度を、第2ユーザの睡眠状態及び変更前の到達照度が決定された際の所定の条件とともに到達照度範囲記憶部113に記憶する。変更後の到達照度が第1ユーザの好みに相当する。
【0163】
制御パターン調整部103は、第1ユーザ及び第2ユーザの少なくとも一方の好みを取得してもよい。制御パターン調整部103は、取得した好みに基づいて、到達照度設定範囲(出力設定範囲)内で刺激制御パターンの到達照度(出力)を調整してもよい。
【0164】
このように、ユーザは起床時の照度の好みを入力することができ、到達照度の上限値と下限値との範囲内において、ユーザの好みに応じて到達照度を微調整することができる。
【0165】
なお、本開示の実施の形態1及び実施の形態2においては、照明装置6は、第1ユーザの起床のために刺激を制御しているが、本開示は特にこれに限定されず、第1ユーザの入眠のために刺激を制御してもよい。
【0166】
図15は、本開示の実施の形態1及び実施の形態2の変形例において、後から入眠する第1ユーザに与える刺激を制御するための刺激制御パターンの一例を示す図である。
図15において、縦軸は照度を示し、横軸は時間を示す。
図15において、破線は、就寝者が一人の場合における一般的な基準の刺激制御パターンを示す。基準の刺激制御パターンでは、入室時刻から就寝予定時刻まで最大照度から徐々に照度を下げ、就寝予定時刻から所定時間後(例えば、10分後)の第1時刻まで急激に照度を下げ、第1時刻から所定時間後(例えば、20分後)の第2時刻まで徐々に照度を下げ、第2時刻になると消灯させるような制御が行われる。これにより、ユーザに対して光刺激による快適な入眠を促す。
【0167】
なお、就寝予定時刻は、第1ユーザによって第1携帯端末3により入力される。また、寝室の外のドア近傍には、寝室に入るユーザを特定するためのカメラが配置されている。サーバ装置は、カメラによって撮影された画像を解析することにより、第1ユーザ及び第2ユーザの就寝する順番を特定するとともに、後から就寝する第1ユーザの入室時刻を特定することができる。
【0168】
制御パターン調整部103は、開始照度範囲記憶部が記憶するテーブルを参照し、先に就寝した第2ユーザの睡眠状態に応じて刺激制御パターンの開始照度の開始照度設定範囲を決定し、決定した開始照度設定範囲内で開始照度を決定する。
【0169】
開始照度範囲記憶部は、先に就寝した第2ユーザの睡眠状態と、後から就寝する第1ユーザの入室時刻に開始すべき開始照度の上限値U1及び下限値L1を示す到達照度設定範囲とを対応付けたテーブルを照明装置の機種毎に記憶する。本変形例における照明装置6は主寝室に1台のみ配置されている。
【0170】
深い睡眠状態には、通常レベルより暗い値(例えば800ルクス)である上限値U1と、常夜灯レベルより明るい値(例えば30ルクス)である下限値L1とが対応付けられている。なお、通常レベルは、照明装置6の最大照度であり、例えば1000ルクスである。常夜灯レベルは、例えば10ルクスである。上限値U1は、例えば、通常レベルの80%の値である。
【0171】
また、浅い睡眠状態には、常夜灯レベルの値(例えば10ルクス)が対応付けられている。
【0172】
なお、開始照度の上限値及び下限値は、入眠時における照明制御の知見から得られる所定の値でもよい。また、開始照度は、第1ユーザの好みに応じて更新されてもよい。
【0173】
図15において、実線は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の刺激制御パターンを示し、一点鎖線は、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の刺激制御パターンを示している。開始照度の上限値U1と下限値L1との間の範囲が、開始照度設定範囲R3である。
【0174】
図15に示すように、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の刺激制御パターンの開始照度は、基準の刺激制御パターンの開始照度より小さくなっている。また、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の刺激制御パターンの開始照度は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の刺激制御パターンの開始照度より小さくなっている。
【0175】
このように、第1ユーザと第2ユーザとが同じ空間で就寝する場合に、先に就寝している第2ユーザの睡眠を妨害することなく、後から就寝する第1ユーザに快適な入眠を促すことができる。
【0176】
また、制御パターン調整部103は、第1ユーザ及び第2ユーザが就寝する寝室の環境に基づき、刺激制御パターンを調整してもよい。例えば、朝日が寝室内に差し込むことにより、寝室内の照度は変化する。そこで、制御パターン調整部103は、第1ユーザ及び第2ユーザが就寝する寝室内の照度に基づいて、刺激制御パターンを調整してもよい。機器制御システムは、寝室内に配置され、照度を測定する照度センサをさらに備えてもよい。そして、制御パターン調整部103は、起床予定時刻が日の出時刻より遅い場合、照度を急激に立ち上げるタイミングを遅らせ、短時間で照度を上げるように刺激制御パターンを調整してもよい。また、照明装置6は、照度センサにより測定された現在の照度を継続して取得してもよい。照明装置6は、照度センサにより測定された現在の照度が刺激制御パターンで示される現在時刻の照度よりも高い場合、照明装置6による照明を行わず、照度センサにより測定された現在の照度が刺激制御パターンで示される現在時刻の照度以下である場合、照明装置6による照明を行ってもよい。
【0177】
さらに、本開示の実施の形態1及び実施の形態2では、空間を照明する照明装置6の制御について説明したが、本開示はこれに限定されず、空間に音を出力する音出力装置、空間に芳香剤を散布する芳香散布装置又は空間に風を出力する風出力装置の制御にも適用可能である。
【0178】
例えば、音出力装置の制御では、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の起床予定時刻の到達音量レベルを、通常レベルより小さくするとともに、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の起床予定時刻の到達音量レベルよりも大きくなるように設定する。また、芳香散布装置の制御では、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の起床予定時刻の到達香りレベルを、通常レベルより弱くするとともに、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の起床予定時刻の到達香りレベルよりも強くなるように設定する。また、風出力装置の制御では、制御パターン調整部103は、第2ユーザの睡眠状態が深い睡眠状態である場合の起床予定時刻の到達風量レベルを、通常レベルより小さくするとともに、第2ユーザの睡眠状態が浅い睡眠状態である場合の起床予定時刻の到達風量レベルよりも大きくなるように設定する。また、照明装置以外のこれらの装置の場合も、刺激制御パターンの起床予定時刻における出力は、第1ユーザの起床予定時刻と第2ユーザの起床予定時刻との差、第2ユーザの体動量、又は第1ユーザ又は第2ユーザによって入力された好みにより調整されてもよい。
【0179】
これにより、第1ユーザと第2ユーザとが同じ空間で就寝する場合に、第2ユーザの睡眠を妨害することなく、第1ユーザに快適な入眠又は起床を促すことができる。また、第2ユーザにとっても、後から入眠する第1ユーザ又は先に起床する第1ユーザに睡眠が妨害されることなく、起床予定時刻まで安定して睡眠することができ、第2ユーザにも快適な入眠又は起床を促すことができる。
【0180】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0181】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0182】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0183】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0184】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本開示にかかる情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システムは、第1ユーザと第2ユーザとが同じ空間で就寝する場合に、第2ユーザの睡眠を妨害することなく、第1ユーザに快適な入眠又は起床を促すことができるので、第1ユーザ及び第2ユーザの入眠又は起床のために刺激を制御する1つ以上の装置の動作を制御する情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0186】
1 第1センサ
2 第2センサ
3 第1携帯端末
4 第2携帯端末
5,5A サーバ装置
6 照明装置
7 ネットワーク
51,51A 通信部
52,52A プロセッサ
53,53A メモリ
101 制御パターン取得部
102 睡眠状態判定部
103 制御パターン調整部
104 機器制御部
111 制御パターン記憶部
112 起床予定時刻記憶部
113 到達照度範囲記憶部
114 優先度記憶部