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特許7246361圧力マッピング装置及びそれを用いてガラス基板を清掃する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】圧力マッピング装置及びそれを用いてガラス基板を清掃する方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20230317BHJP
   G01L 1/20 20060101ALI20230317BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
G01L1/20 G
B08B1/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020502971
(86)(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018042915
(87)【国際公開番号】W WO2019018663
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0092736
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】キム,サンモ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソン-ハ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨン-チュン
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-329630(JP,A)
【文献】特開2012-213746(JP,A)
【文献】実開平6-45676(JP,U)
【文献】特許第3903206(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板;
前記支持基板上に配設された複数の圧力センサであって、前記複数の圧力センサはそれぞれ、印加された圧力に応答して信号を出力するよう構成される、圧力センサ
前記複数の圧力センサそれぞれからの前記信号を受信し、受信した前記信号に基づいて、前記支持基板上に圧力マップを出力するよう構成された、アナライザ;及び
前記圧力センサの上に位置決めされた、ガラス基板を清掃する複数の摩擦清掃部品
を備え、
前記圧力マップは、前記複数の摩擦清掃部品の下方加圧特性を調整するために、前記圧力マッピング装置によって、前記複数の摩擦清掃部品それぞれにより印加される圧力が印加される面積及び位置に対する圧力のレベルを示す圧力輪郭マップとして表示される、圧力マッピング装置。
【請求項2】
前記複数の圧力センサはそれぞれ、上側導体層及び下側導体層を備え、前記下側導体層は、前記上側導体層から離間し、かつ前記上側導体層の下方に配置され、
前記上側導体層は、第1の電極を含む第1の導体部品、及び第2の電極を含む第2の導体部品を備え、
前記上側導体層は、前記圧力センサのうちの対応する1つに対して印加された前記圧力によって変形され、前記下側導体層に接触する、請求項1に記載の圧力マッピング装置。
【請求項3】
前記複数の圧力センサそれぞれの前記第1の電極及び前記第2の電極に接続された、複数のリード線を更に備え、前記複数のリード線は、前記支持基板の一方の側部上に設けられたコネクタまで延在し、
前記アナライザは、前記コネクタ及び信号ケーブルを通して前記信号を受信するよう構成される、請求項2に記載の圧力マッピング装置。
【請求項4】
前記第1の導体部品及び前記第2の導体部品は、前記圧力センサのうちの対応する1つに対して印加された前記圧力に比例して変形され、前記第1の導体部品及び前記第2の導体部品それぞれが前記下側導体層に接触する接触面積は、前記変形に伴って増大する、請求項2に記載の圧力マッピング装置。
【請求項5】
前記第1の導体部品及び前記第2の導体部品は、複数のくし状の指状部を備える、請求項4に記載の圧力マッピング装置。
【請求項6】
前記複数の圧力センサはそれぞれ、前記第1の電極及び前記第2の電極の下にスペーサを更に備え、
前記スペーサは、前記上側導体層を前記下側導体層から隔てる、請求項2に記載の圧力マッピング装置。
【請求項7】
前記支持基板は、可撓性基板である、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧力マッピング装置。
【請求項8】
前記複数の圧力センサは、前記支持基板上に格子状に配設される、請求項1~7のいずれか1項に記載の圧力マッピング装置。
【請求項9】
ガラス基板を清掃する方法であって、
前記方法は:
圧力マッピング装置を複数の摩擦清掃部品の下に位置決めするステップ;
前記複数の摩擦清掃部品をそれぞれ、清掃位置まで下げるステップ;
前記複数の摩擦清掃部品それぞれが前記ガラス基板に印加した圧力を、前記圧力マッピング装置を用いてマッピングするステップ;
マッピングされた前記圧力に基づいて、前記複数の摩擦清掃部品の下方加圧特性を調整するステップ;
ガラス基板を前記複数の摩擦清掃部品の下に位置決めするステップ;及び
前記複数の摩擦清掃部品を用いて前記ガラス基板を清掃するステップ
を含み、
前記圧力マッピング装置は:
支持基板;
前記支持基板上に配設された複数の圧力センサであって、前記複数の圧力センサはそれぞれ、印加された圧力に応答して信号を出力するよう構成される、圧力センサ;及び
前記複数の圧力センサそれぞれからの前記信号を受信し、受信した前記信号に基づいて、前記支持基板上に圧力マップを出力するよう構成され、
前記圧力マップは、前記圧力マッピング装置によって圧力が印加される面積及び位置に対する圧力のレベルを示す圧力輪郭マップとして表示される、分析装置
を備える、方法。
【請求項10】
前記圧力をマッピングする前記ステップは、前記複数の摩擦清掃部品から印加された各前記圧力が、基準圧力値範囲内であるかどうかを決定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記下方加圧特性を調整する前記ステップは、前記摩擦清掃部品の設置高さを調整するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記下げるステップは、前記複数の摩擦清掃部品それぞれを、空気圧又は油圧によって下げるステップを更に含み、
前記調整するステップは、清掃のために前記複数の摩擦清掃部品それぞれに印加される前記空気圧又は油圧の設定値を調整するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ガラス基板は、前記ガラス基板を清掃する前記ステップの実施中に、水平方向に移動する、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の摩擦清掃部品は:
前記ガラス基板の移動方向に対して垂直な横方向に対応する第1の行において、互いから一定の間隔に配設された、複数の第1の摩擦清掃部品;及び
前記第1の行の前記複数の第1の摩擦清掃部品の配設方向に対して平行な横方向に対応する第2の行において、互いから一定の間隔に配設された、複数の第2の摩擦清掃部品
を備え、
前記第2の行の1つの前記第2の摩擦清掃部品は、前記第1の行の2つの隣接する前記第1の摩擦清掃部品の間の位置から、前記ガラス基板の前記移動方向に離間して配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラス基板を清掃する前記ステップは、清掃液を前記ガラス基板上に供給するステップを含む、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2017年7月21日出願の韓国特許出願第10‐2017‐0092736号の優先権を主張するものであり、上記特許出願の内容は依拠され、参照によりその全体が本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
1つ以上の実施形態は、圧力マッピング装置、及び上記圧力マッピング装置を用いてガラス基板を清掃する方法に関し、より詳細には、圧力マッピング装置、及び上記圧力マッピング装置を用いてガラス基板を清掃する方法であって、これにより、清掃プロセス中の作業員間での偏差を生じずに客観的かつ定量的な試験を実施できる、圧力マッピング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高い表面品質を有するガラス基板に対する消費者の需要は高まっており、より大きな面積を有するガラス基板の使用がますます増加しているため、ガラス基板の製造プロセス中に粒子状欠陥が発生する可能性が高まっている。
【0004】
ガラス基板製造プロセスに関して、清掃プロセスの客観的かつ定量的な試験又は評価のための設備はいくつかしか存在しないため、粒子状欠陥の発生の低減は困難である。また、清掃プロセス中の作業員間の偏差によって引き起こされる基板の不均一性を低減する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
1つ以上の実施形態は、圧力マッピング装置であって、これにより、清掃プロセス中の作業員間での偏差を生じずに客観的かつ定量的な試験を実施できる、圧力マッピング装置を含む。
【0006】
1つ以上の実施形態は、ガラス基板を清掃する方法であって、これにより、粒子状欠陥等の製品の欠陥を大幅に削減できる、方法を含む。
【0007】
更なる態様は、その一部が以下の説明に記載され、また一部はこの記載から明らかであるか、又は提示される実施形態の実践によって学習できる。
【0008】
1つ以上の実施形態によると、圧力マッピング装置は:支持基板;上記支持基板上に配設された複数の圧力センサであって、上記複数の圧力センサはそれぞれ、印加された圧力に応答して信号を出力するよう構成される、圧力センサ;上記支持基板を取り囲む防水ポーチ;及び上記複数の圧力センサそれぞれからの上記信号を受信し、受信した上記信号に基づいて、上記支持基板上に圧力マップをリアルタイムで出力するよう構成された、アナライザを含む。
【0009】
上記複数の圧力センサはそれぞれ、上側導体層及び下側導体層を含んでよく、上記下側導体層は、上記上側導体層から離間し、かつ上記上側導体層の下方に配置され、また上記上側導体層は、第1の電極を含む第1の導体部品、及び第2の電極を含む第2の導体部品を含んでよく、上記上側導体層は、上記圧力センサのうちの対応する1つに対して印加された上記圧力によって変形させることができ、上記下側導体層に接触できる。
【0010】
上記圧力マッピング装置は更に、上記複数の圧力センサそれぞれの上記第1の電極及び上記第2の電極に接続された、複数のリード線を含んでよく、上記複数のリード線は、上記支持基板の一方の側部上に設けられたコネクタまで延在し、上記アナライザは、上記コネクタ及び信号ケーブルを通して上記信号を受信するよう構成されていてよい。
【0011】
上記第1の導体部品及び上記第2の導体部品は、上記圧力センサのうちの対応する1つに対して印加された上記圧力に比例して変形させることができ、上記第1の導体部品及び上記第2の導体部品それぞれが上記下側導体層に接触する接触面積は、これに伴って増大し得る。
【0012】
上記第1の導体部品は、平行に配設された複数の第1の指状部を含んでよく、上記第2の導体部品は、平行に配設された複数の第2の指状部を含んでよく、上記複数の第1の指状部と、上記複数の第2の指状部とは、互いに対して交互に配設されていてよい。
【0013】
上記複数の圧力センサはそれぞれ、上記第1の電極及び上記第2の電極の下にスペーサを更に含んでよく、上記スペーサは、上記上側導体層を上記下側導体層から隔てることができる。
【0014】
上記支持基板は、可撓性基板であってよい。
【0015】
上記複数の圧力センサは、上記支持基板上に格子状に配設されていてよい。
【0016】
1つ以上の実施形態によると、ガラス基板を清掃する方法は:圧力マッピング装置を複数の摩擦清掃部品の下に位置決めするステップ;上記複数の摩擦清掃部品をそれぞれ、清掃位置まで下げるステップ;上記複数の摩擦清掃部品それぞれが上記ガラス基板に印加した圧力を、上記圧力マッピング装置を用いてマッピングするステップ;マッピングされた上記圧力に基づいて、上記複数の摩擦清掃部品の下方加圧特性を調整するステップ;ガラス基板を上記複数の摩擦清掃部品の下に位置決めするステップ;及び上記複数の摩擦清掃部品を用いて上記ガラス基板を清掃するステップを含み、上記圧力マッピング装置は:支持基板;上記支持基板上に配設された複数の圧力センサであって、上記複数の圧力センサはそれぞれ、印加された圧力に応答して信号を出力するよう構成される、圧力センサ;及び上記複数の圧力センサそれぞれからの上記信号を受信し、受信した上記信号に基づいて、上記支持基板上に圧力マップをリアルタイムで出力するよう構成された、分析装置を含む。
【0017】
上記圧力をマッピングする上記ステップは、上記複数の摩擦清掃部品から印加された各上記圧力が、基準圧力値範囲内であるかどうかを決定するステップを含んでよい。
【0018】
上記下方加圧特性を調整する上記ステップは、上記基準圧力値範囲外の圧力を印加するある上記摩擦清掃部品に関して、上記摩擦清掃部品の設置高さを調整するステップを含んでよい。
【0019】
上記複数の摩擦清掃部品はそれぞれ、空気圧又は油圧によって、上記清掃位置まで下げることができ、上記下方加圧特性を調整する上記ステップは、清掃のために上記複数の摩擦清掃部品それぞれに印加される上記空気圧又は油圧の設定値を調整するステップを含んでよい。
【0020】
上記ガラス基板は、上記ガラス基板を清掃する上記ステップの実施中に、水平方向に移動してよい。
【0021】
上記複数の摩擦清掃部品は:上記ガラス基板の移動方向に対して垂直な横方向に対応する第1の行において、互いから一定の間隔に配設された、複数の第1の摩擦清掃部品;及び上記第1の行の上記複数の第1の摩擦清掃部品の配設方向に対して平行な横方向に対応する第2の行において、互いから一定の間隔に配設された、複数の第2の摩擦清掃部品を含んでよく、上記第2の行の1つの上記第2の摩擦清掃部品は、上記第1の行の2つの隣接する上記第1の摩擦清掃部品の間の位置から、上記ガラス基板の上記移動方向に離間して配置されていてよい。
【0022】
上記ガラス基板を清掃する上記ステップは、清掃液を上記ガラス基板上に供給するステップを含んでよい。
【0023】
これらの及び/又はその他の態様は、添付の図面と併せて解釈される以下の実施形態の説明から明らかになり、また比較的容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ある実施形態による圧力マッピング装置を概略的に示す概念図
図2A】ある実施形態による圧力センサを示す概念図
図2B】ある実施形態による、図2Aの線B‐B’に沿って得られた側面断面図
図3A】ある実施形態による、印加された圧力によって引き起こされた第1及び第2の指状部の変形状態を概略的に示す側面断面図
図3B】ある実施形態による、印加された圧力によって引き起こされた第1及び第2の指状部の変形状態を概略的に示す側面断面図
図4】ある実施形態による、圧力センサとコネクタとの間の接続構成を示す概略図
図5】ある実施形態による分析装置の例示的なブロック図
図6】ある実施形態に従って製造された圧力マッピング装置によって圧力が印加される面積及び位置に対する圧力のレベルを示す、圧力輪郭マップ
図7】別の実施形態による圧力センサを示す概念図
図8】別の実施形態による圧力センサを示す側面断面図
図9A】ある実施形態による圧力センサの製造方法を示すための断面図
図9B】ある実施形態による圧力センサの製造方法を示すための断面図
図9C】ある実施形態による圧力センサの製造方法を示すための断面図
図10】ある実施形態による、ガラス基板を清掃する方法のフローチャート
図11】複数の摩擦清掃部品によって印加された圧力をマッピングする操作の詳細を示すフローチャート
図12】圧力マッピング方法を示す概略図であり、ここでは複数の圧力センサユニットが1つの摩擦清掃部品の下に配置されている
図13】ある実施形態によるガラス基板清掃プロセスを2次元的に示す概略図
図14】ある実施形態による圧力マッピング装置を用いて、ある清掃位置において5行に配設された摩擦清掃部品に対する圧力マッピングを実施することによって得られた結果を示す画像
図15】ある実施形態による圧力マッピング装置を用いて、ある清掃位置において5行に配設された摩擦清掃部品に対する圧力マッピングを実施することによって得られた結果を示す画像
図16A】ある実施形態による圧力マッピングシステムを用いた各摩擦清掃部品の下方加圧特性の調整の前後の圧力輪郭マップを示す画像
図16B】ある実施形態による圧力マッピングシステムを用いた各摩擦清掃部品の下方加圧特性の調整の前後の圧力輪郭マップを示す画像
図17図16A及び16Bの変化に関する、粒子状欠陥の位置の個数を示すグラフ
図18A】別のガラス製品製造プロセスにおける、ある実施形態による圧力マッピングシステムを用いた各摩擦清掃部品の下方加圧特性の調整の前後の粒子状欠陥の位置の個数の変化を示すグラフ
図18B】別のガラス製品製造プロセスにおける、ある実施形態による圧力マッピングシステムを用いた各摩擦清掃部品の下方加圧特性の調整の前後の粒子状欠陥の位置の個数の変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0025】
これより、実施形態に対する言及を詳細に行うが、上記実施形態の例は添付の図面に図示されており、全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指す。この点において、これらの実施形態は異なる複数の形態を取ることができ、本明細書に記載の説明に限定されるものと解釈してはならない。従ってこれらの実施形態は、以下において、図面を参照して、単に本発明の態様を説明するために記載される。本明細書中で使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は、関連して列挙された項目のうちの1つ以上のいずれのあらゆる組み合わせを含む。複数の要素のリストに先行する「…のうちの少なくとも1つ(at least one of)」等の表現は、これらの要素のリスト全体を修飾し、上記リストの個々の要素を修飾するものではない。
【0026】
これより、本発明の例示的実施形態が図示されている添付の図面を参照して、本発明の概念をより詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は多数の異なる形態で実現してよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈してはならず、むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、また本発明の概念を当業者に完全に伝達するものとなるように、提供される。全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指す。図面では、いくつかの要素を誇張する、省略する、又は概略的に図示する。更に、各要素のサイズは実際のサイズを完全に反映したものではない。本発明の概念の実施形態は、図面に図示された相対的なサイズ又は間隔によって制限されない。
【0027】
様々な要素を説明するために「第1の(first)」及び「第2の(second)」のような用語を使用する場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されないものとする。上記用語は、ある要素を別の要素から区別することのみを目的として使用され得る。例えば、本発明の概念の精神及び範囲から逸脱することなく、第1の要素が第2の要素を指す場合もあり、また同様に第2の要素が第1の要素を指す場合もある。
【0028】
本出願において特定の実施形態のみを説明するために使用される用語は、該実施形態を限定することを意図したものではない。以下の説明では、技術用語は、ある具体的な例示的実施形態を説明するために使用され、該実施形態を限定しない。単数形の用語は、特段の記載がない限り、複数形を含むことができる。「含む(include)」、「備える(comprise)」、「含む(including)」、又は「備える(comprising)」の意味は、ある特性、領域、固定された数、ステップ、プロセス、要素及び/又は構成部品を指定するものの、他の特性、領域、固定された数、ステップ、プロセス、要素及び/又は構成部品を排除しない。
【0029】
本明細書中で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、その他の定義がなされていない限り、本発明の概念が属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。更に、一般に使用される辞書中で定義されているような用語は、関連技術の文脈におけるこれらの用語の意味に一致する意味を有するものとして解釈されるものとし、本明細書中で明らかにそのように定義されていない限り、理想化された、又は過度に形式的な意味に解釈してはならないことが理解される。
【0030】
ある特定の実施形態を様々に実装できる場合、ある特定のプロセスシーケンスは、本記載のシーケンスとは異なるように実施してよい。例えば、連続して記載された2つのプロセスは、略同時に実施してよく、又は記載されているシーケンスとは逆のシーケンスで実施してよい。
【0031】
添付の図面では、例えば、製造技術及び/又は許容誤差に応じて、図示されている形状の修正が予想される場合がある。従って、本発明の概念の実施形態は、図面に図示されているある領域の特定の形状に限定されるものとして解釈してはならず、また例えば、製造プロセスにおいて引き起こされる形状の変化を含むものとする。本明細書中で使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は、記載されている要素のうちの1つ以上の組み合わせ、及び記載されている要素それぞれを含む。また、本明細書中で使用される場合、用語「基板(substrate)」は、基板自体を含む、又は基板と、基板の表面上に形成された特定の層若しくはフィルムとを含む、積層構造を指すことができる。また、本明細書中で使用される場合、基板の表面は、基板自体の露出した表面、又は基板上に形成された特定の層又はフィルムの外面を指すことができる。
【0032】
図1は、ある実施形態による圧力マッピング装置100を概略的に図示する概念図である。
【0033】
図1を参照すると、圧力マッピング装置100は:支持基板110;支持基板110上に配設された複数の圧力センサ120;支持基板110を取り囲む防水ポーチ130;及び複数の圧力センサ120から信号を受信して、支持基板110上に圧力マップをリアルタイムで出力できる、アナライザ140を含んでよい。
【0034】
ある実施形態によると、支持基板110は、可撓性を有する任意の基板であってよい。ある実施形態によると、支持基板110はフィルムタイプのものであってよい。例えば支持基板110は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、ノルボルネン樹脂、ポリエステル、及び/又はポリスチレン(PS)等を含んでよいが、これらに限定されない。支持基板110の厚さは、約50μm~約3mmであってよい。
【0035】
複数の圧力センサ120は、互いに対して規則的な間隔又は不規則な間隔で、支持基板110上に配設してよい。圧力センサ120は、その上部に印加された圧力に応答して電気信号を出力するよう構成されていてよい。図2Aは、ある実施形態による圧力センサ120を示す概念図である。図2Bは、図2Aの線B‐B’に沿って得られた側面断面図である。
【0036】
図2A及び2Bを参照すると、圧力センサ120は、上側導体層122及び下側導体層124を含んでよい。
【0037】
上側導体層122は、第1の導体部品122a及び第2の導体部品122bを含んでよい。第1の導体部品122aは第1の電極122aeを含んでよく、第2の導体部品122bは第2の電極122beを含んでよい。
【0038】
上側導体層122は金属材料を含んでよく、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、コバルト(Co)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、又はこれらの合金を含んでよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、上側導体層122は、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、及びフラーレンを含んでよい。
【0039】
第1の導体部品122a及び第2の導体部品122bは、一定の間隔だけ互いから離間していてよい。いくつかの実施形態では、第1の導体部品122aは、平行に配設された複数の第1の指状部122afと、複数の第1の指状部122afを接続する第1の接続部品122acとを含んでよい。いくつかの実施形態では、第2の導体部品122bは、平行に配設された複数の第2の指状部122bfと、複数の第2の指状部122bfを接続する第2の接続部品122bcとを含んでよい。
【0040】
複数の第1の指状部122af及び複数の第2の指状部122bfは、図2Aに示すように、互いに対して平行に交互に配設されていてよい。
【0041】
第1の指状部122af及び第1の接続部品122acは、その上部に印加された圧力によって変形させることができ、下側導体層124に接触できる。また、第2の指状部122bf及び第2の接続部品122bcは、その上部に印加された圧力によって変形させることができ、下側導体層124に接触できる。第1の指状部122af及び第2の指状部122bfの変形、並びに第1の接続部品122ac及び第2の接続部品122bcの変形は、これらの上部に印加された圧力に比例していてよい。
【0042】
上側導体層122上に、上側絶縁層128を設けてよい。上側絶縁層128は、圧力センサ120を製造するプロセスにおいて、上側導体層122の支持基板として機能できる。また上側絶縁層128は、上側導体層122を保護できる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の指状部122af及び第2の指状部122bf、並びに/又は第1の接続部品122ac及び第2の接続部品122bcが下側導体層124に接触する面積は、その上部に印加された圧力によって変動し得る。詳細には、第1の指状部122af及び第2の指状部122bf、並びに/又は第1の接続部品122ac及び第2の接続部品122bcが下側導体層124に接触する面積は、ある特定の圧力範囲内の、その上部に印加された圧力に比例していてよい。
【0044】
図3A及び3Bは、印加された圧力によって引き起こされた第1の指状部122af及び第2の指状部122bfの変形状態を概略的に示す側面断面図である。
【0045】
図3Aを参照すると、第1の指状部122af及び第2の指状部122bfは、第1の圧力P1によって変形させることができ、下側導体層124に物理的に接触できる。この場合、第2の指状部122bfはそれぞれ、幅W1に対応する接触面積を有してよく、下側導体層124に接触してよい。
【0046】
図3Bを参照すると、第1の圧力P1より高い第2の圧力P2が第1の指状部122af及び第2の指状部122bfに印加されると、第1の指状部122af及び第2の指状部122bfは図3Aよりも大きく変形させることができ、下側導体層124に接触できる。第2の指状部122bfがより大きく変形するため、第2の指状部122bfはそれぞれ、幅W1よりも大きな幅W2に対応する接触面積を有してよく、下側導体層124に接触してよい。
【0047】
第1の指状部122af及び第2の指状部122bf、並びに/又は第1の接続部品122ac及び第2の接続部品122bcが下側導体層124に接触する面積が広くなるに従って、下側導体層124を介して流れる電流が大きくなり得、ここで第1の電極122aeと第2の電極122beとの間にはある一定の電圧が印加されている。従って、上記電流は印加された圧力に相関し得、この電流の値を測定することによって、印加された圧力のレベルを得ることができる。
【0048】
下側導体層124は上側導体層122から離間していてよく、上側導体層122の下に配置されていてよい。下側導体層124は、金属又は炭素系材料等の導体を含んでよい。下側導体層124の材料として使用される金属又は炭素系材料は、上側導体層122に関して上述した通りであるため、更なる説明は提供しない。
【0049】
図2Bでは、下側導体層124は、支持基板110の全面積にわたって延在するものとして図示されているが、このように限定されない。いくつかの実施形態では、下側導体層124は、1つの圧力センサ120を含むセル領域内に制限されていてよい。即ち、2つの隣接する圧力センサ120の下側導体層は、互いから電気的に絶縁されていてよい。
【0050】
上側導体層122及び下側導体層124は、スペーサ126によって互いから電気的に分離されていてよい。圧力が上側導体層122の上部に印加される際、スペーサ126は、上側導体層122と下側導体層124との間に間隙を維持でき、従ってスペーサ126が配置された位置において分離を維持でき、上側導体層122は、スペーサ126が配置されていない位置において変形させることができる。
【0051】
スペーサ126は、任意の電気的絶縁体を含んでよく、例えばポリマー樹脂、電気的絶縁特性を有する金属酸化物、電気的絶縁特性を有する金属窒化物、非ドープ酸化ケイ素、非ドープ窒化ケイ素、又はこれらの組み合わせを含んでよい。
【0052】
再び図1を参照すると、防水ポーチ130は、複数の圧力センサ120が設けられた表面を含む支持基板110を取り囲むよう構成されていてよい。防水ポーチ130は支持基板110を取り囲んでよく、例えば、清掃に使用される水又はケミカルといった液体成分が、圧力センサ120に直接接触するのを防止できる。
【0053】
防水ポーチ130は、可撓性材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、防水ポーチ130は、支持基板110の材料とは異なる、又は支持基板110の材料と同一の材料を含んでよい。例えば、防水ポーチ130は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、ノルボルネン樹脂、ポリエステル、及び/又はポリスチレン(PS)等を含んでよいが、これらに限定されない。
【0054】
防水ポーチ130は、複数の圧力センサ120と以下で説明されるアナライザ140との間の電気的接続のためのコネクタ150を露出させることができる。コネクタ150は、リード線を通して、複数の圧力センサ120へと電気的に接続できる。
【0055】
図4は、ある実施形態による、圧力センサとコネクタとの間の接続構成を示す概略図である。
【0056】
図4を参照すると、複数の圧力センサ120は、ある一定の規則に従って配設できる。図4では、4つの圧力センサ120が一方向に配設されたものとして図示されているが、圧力センサ120の個数は4より多くても少なくてもよい。いくつかの実施形態では、複数の圧力センサ120を格子状に配設してよい。しかしながら、本実施形態はこのように限定されない。ある1つの行に配設された複数の圧力センサ120の第1の電極は、1つの第1のリード線160aに共通して接続されていてよい。また、ある1つの行に配設された複数の圧力センサ120の第2の電極は、1つの第2のリード線160bに共通して接続されていてよい。
【0057】
第1のリード線160a及び第2のリード線160bは、コネクタ150の端子に電気的に接続されていてよい。コネクタ150は、互いから一定の間隔で配設された複数の接続端子を含んでよく、又は特定の規格、例えばシリアル・アドバンスト・テクノロジ・アタッチメント(serial advanced technology attachment:SATA)規格、パラレル・アドバンスト・テクノロジ・アタッチメント(parallel advanced technology attachment:PATA)規格、若しくはスモール・コンピュータ・システム・インタフェース(small computer system interface:SCSI)規格に従って外部デバイスとの間で信号の送受信を行うコネクタであってよい。ここで、SATA規格は、SATA‐2、SATA‐3、及び外付け用SATA(e‐SATA)、並びにSATA‐1といった、全てのSATAシリーズの規格を含んでよい。PATA規格は、インテグレーテッド・ドライブ・エレクトロニクス(integrated drive electronics:IDE)及び拡張IDE(enhanced‐IDE:E‐IDE)といった全てのIDEシリーズ規格を含んでよい。
【0058】
アナライザ140は、複数の圧力センサ120それぞれから電気信号を受信してよい。上記電気信号は、各圧力センサ120から測定された電流の値(これ以降「電流値」と呼ぶ)であってよく、圧力センサ120からそれぞれ測定された電流値のデータを処理することによって生成された二次データであってよい。
【0059】
図5は、アナライザ140の例示的なブロック図である。
【0060】
図5を参照すると、アナライザ140は、コントローラ2010、入出力(I/O)デバイス2020、メモリ2030、及びインタフェース2040を含んでよい。これらの要素はバス2050を通して互いに接続されていてよい。
【0061】
コントローラ2010は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、又はこれらと同様の処理デバイスのうちの少なくとも1つを含んでよい。I/Oデバイス2020は、キーパッド、キーボード、及びディスプレイのうちの少なくとも1つを含んでよい。メモリ2030は、コントローラ2010が実行するコマンドを記憶するために使用できる。例えばメモリ2030を用いてユーザデータを記憶できる。
【0062】
いくつかの実施形態では、インタフェース2040は、コネクタ150に接続されるように構成されていてよい(図4を参照)。
【0063】
アナライザ140がコネクタ150及びインタフェース2040を通して信号(又はデータ)を受信すると、アナライザ140は信号を処理して、図6に示すような圧力輪郭マップを生成できる。図6は、ある実施形態に従って製造された圧力マッピング装置によって圧力が印加される面積及び位置に対する圧力のレベルを示す、圧力輪郭マップである。この圧力輪郭マップは、ディスプレイデバイス等のI/Oデバイス2020を通して出力できる。
【0064】
アナライザ140は、圧力輪郭マップを生成するためのプログラム及び/又はルーチンを記憶していてよい。上記プログラム及び/又はルーチンは市販されているため、これらに関する詳細な説明は省略する。
【0065】
図7は、別の実施形態による圧力センサ220を示す概念図である。
【0066】
図7を参照すると、第1の電極122aeと第2の電極122beとがバイパスライン122cを介して互いに接続されていることを除いて、図7に示されている圧力センサ220は、図2Aに示されている圧力センサ120と同一である。従って、共通の細部について追加の説明は行わず、異なっている細部のみについて以下に説明する。
【0067】
バイパスライン122cが設けられているため、電流は根本的に、圧力センサ220に圧力が印加されているかどうかに関係なく、第1の電極122aeと第2の電極122beとの間を流れることができる。第1の指状部122af及び第2の指状部122bfが、圧力センサ220の上部に印加された圧力によって変形させられると、第1の指状部122af及び第2の指状部122bfは、これらの下に位置する下側導体層124に接触できる(図2Bを参照)。この場合、バイパスライン122cに加えて、第1の電極122aeと第2の電極122beとの間を電流が流れる際に通る経路を更に形成してよく、これにより、第1の電極122aeと第2の電極122beとの間を流れる電流を増大させることができる。
【0068】
図7の圧力センサ220では、バイパスライン122cを追加することにより、第1の電極122aeと第2の電極122beとの間を流れる電流の値の測定の感度を調整できる。
【0069】
図8は、別の実施形態による圧力センサ320を示す側面断面図である。
【0070】
図8を参照すると、ドーム状の突出部129が上側絶縁層128上に更に設けられていることを除いて、図8に示されている圧力センサ320は、図2Bに示されている圧力センサ120と同一である。従って、共通の細部について追加の説明は行わず、異なっている細部のみについて以下に説明する。
【0071】
外側から圧力センサ320に圧力が印加されると、突出部129は、比較的低い圧力又は横方向の圧力によってさえ、複数の指状部122af及び122bfが変形されるのを促進できる。換言すれば、外側から圧力センサ320に圧力が印加されると、突出部129により、圧力を突出部129の領域に集中させることができ、従って圧力が比較的低いにもかかわらず、指状部122af及び122bfを十分に変形させることができる。
【0072】
更に、突出部129は凸状であってよく、横方向に作用する力又は圧力を、突出部129の下に配置された指状部122af及び122bfに効率的に伝達できる。
【0073】
従って、圧力センサ320の感度は突出部129によって上昇する。
【0074】
図9A~9Cは、ある実施形態による圧力センサ120を製造する方法を示す断面図である。
【0075】
図9Aを参照すると、上側導体層122を上側絶縁層128上に形成してよい。上側導体層122のパターンの形成には、様々な方法を使用してよい。例えば、導電性材料層を上側絶縁層128上に形成してよく、その後、フォトリソグラフィプロセス等によってパターン形成してよい。あるいは犠牲層パターンを上側絶縁層128上に形成してよく、その後、共形の導電性材料層を化学蒸着(CVD)プロセス等によって堆積させ、犠牲層パターンを除去することによって、不要な導電性材料層を取り除き、これによってパターン形成を実施してよい。
【0076】
図9Aでは、上側導体層122は、上側絶縁層128の下面上に配置されているものとして図示されているが、上向き方向と下向き方向とを反転させてもよい。
【0077】
図9Bを参照すると、スペーサ126を、上側導体層122の適切な位置に形成してよい。スペーサ126は例えば、印刷プロセス、スクリーン印刷プロセス、ドクターブレードプロセス等によって形成してよいが、これらに限定されない。スペーサ126として無機材料を使用する場合、スペーサ126を、物理蒸着(PVD)プロセス、CVDプロセス等によって形成してよい。
【0078】
図9Cを参照すると、下側導体層124を支持基板110上に形成してよく、また図9Bに示されている構造に連結してよい。支持基板110及び下側導体層124については図1を参照して既に詳細に説明したため、追加の説明は行わない。下側導体層124は、コーティングプロセス、めっきプロセス、蒸着プロセス等によって支持基板110上に形成してよい。
【0079】
図10は、ある実施形態によるガラス基板を清掃する方法を順次示すフローチャートである。
【0080】
ガラス基板は、ガラス基板に対して横方向に、互いに対して一定の間隔で配設された、複数の摩擦清掃部品によって清掃できる。摩擦清掃部品は例えば、1つ以上のブラシ、織布、不織布、フェルト、スポンジ、生地等であってよいが、これらに限定されない。
【0081】
操作S110、S120、及びS130では、まず、ガラス基板を清掃するために、複数の摩擦清掃部品が適切な圧力でガラス基板を押すことができるかどうかを決定できる。複数の摩擦清掃部品が適切な圧力でガラス基板を押すことができないと決定された場合、操作S140において、各摩擦清掃部品の下方加圧特性を微調整してよい。続いて、操作S150及びS160において、ガラス基板を複数の摩擦清掃部品の下に配置してよく、清掃プロセスを実施してよい。これより、各操作について説明する。
【0082】
まず、操作S110において、圧力マッピング装置を複数の摩擦清掃部品の下に配置してよい。特に、圧力マッピング装置の圧力センサユニットを、複数の摩擦清掃部品の下に配置してよく、また分離後に、アナライザを、ケーブルを通して圧力センサユニットに接続してよい。例えば、図12に示すように、複数の摩擦清掃部品201が配置される全幅が大きいために、複数の摩擦清掃部品201を1つの圧力センサユニットPSUでカバーすることが困難である場合、複数の圧力センサユニットPSUを同時に複数の摩擦清掃部品201の下に配置してよい。
【0083】
続いて、操作S120において、複数の摩擦清掃部品をそれぞれ清掃位置まで下げてよく、圧力を圧力センサユニットに印加してよい。複数の摩擦清掃部品がそれぞれ清掃位置に配置されているため、圧力センサユニットに印加される圧力は、ガラス基板の清掃時にガラス基板に印加される圧力と略同一となり得る。圧力センサユニットは防水ポーチ130によって保護されている(図1を参照)ため、圧力センサユニットは、水又はケミカル材料から安全な状態である。
【0084】
続いて、操作S130において、複数の摩擦清掃部品によって印加された圧力をマッピングすることにより、下方加圧特性が適切であるかどうかを決定してよい。この操作について、図11を参照して以下に詳細に説明する。
【0085】
図11を参照すると、まず、上述の圧力マッピング装置は、操作S131において、各圧力マッピング範囲内の位置ベースの圧力値を算出してよい。即ち、複数の圧力センサそれぞれの位置における圧力、及び/又は圧力センサの間の位置における圧力を、各圧力センサから受信したデータに基づいて算出してよい。
【0086】
任意に、操作S133において、各摩擦清掃部品によって印加される圧力を、算出された位置ベースの圧力値に基づいて算出してよい。即ち、摩擦清掃部品の識別(ID)が適切であるかどうかを、押圧された境界を認識することによって決定でき、IDが適切である場合には、摩擦清掃部品によって印加された圧力を、対応する境界の圧力分布に基づいて得ることができる。いくつかの実施形態では、摩擦清掃部品によって印加された圧力を、対応する境界の複数の点における圧力値を単に平均すること、又は重み付け平均することによって、決定してよい。
【0087】
続いて、操作S135において、摩擦清掃部品によって印加された圧力が、基準圧力値範囲内であるかどうかを決定してよい。摩擦清掃部品によって印加された圧力が基準圧力値範囲内である場合、追加のプロセスなしに、ガラス基板を清掃する操作(図10のS150)を即座に実施してよい。一方、摩擦清掃部品によって印加された圧力が基準圧力値範囲ではない場合、印加された圧力が基準圧力値範囲外である1つの摩擦清掃部品に対して、下方加圧特性を調整する操作(図10のS140)を実施してよい。
【0088】
再び図10を参照すると、操作S140では、印加された圧力が基準圧力値範囲外である各摩擦清掃部品に対して、下方加圧特性を調整してよい。
【0089】
摩擦清掃部品がアクチュエータに固定され、垂直方向セクション内で往復運動するように構成されている場合、上記調整は、摩擦清掃部品の設置位置(例えば設置高さ)を変更することによって実施してよい。一方、摩擦清掃部品がアクチュエータに固定されているものの、下方加圧特性が、外部動力源によってアクチュエータに印加される空気圧若しくは油圧、又はアクチュエータによって摩擦清掃部品に印加される空気圧若しくは油圧に基づいて決定される場合、上記調整は、各アクチュエータの設定値を調整することによって実施してよい。
【0090】
摩擦清掃部品の下方加圧特性を調整した後、操作S150において、ガラス基板を複数の摩擦清掃部品の下に配置してよい。続いて、操作S160において、複数の摩擦清掃部品はガラス基板を清掃してよい。
【0091】
図13は、ある実施形態によるガラス基板清掃プロセスを2次元的に示す概略図である。
【0092】
図13を参照すると、複数の摩擦清掃部品201は、ある一定の規則に従って配設されていてよい。例えば、複数の摩擦清掃部品201は、複数の行、例えば第1の行R1、第2の行R2、第3の行R3等で配設されていてよい。第1の行R1から第3の行R3までの各行の摩擦清掃部品201は、x方向、即ち横方向に配設されていてよい。また、複数の行(例えばR1、R2、R3、・・・)は、y方向において、第1の行R1、第2の行R2、第3の行R3、・・・の順序で配設されていてよい。図13では、3つの行だけが図示されているが、y方向に3つ未満の行又は4つ以上の行が配設されていてもよい。
【0093】
ガラス基板Gは、清掃のためにy方向に移動するよう構成されていてよい。特に、x方向に配設された複数の摩擦清掃部品201は、互いから一定の間隔で配設されていてよく、これによって1つの行を構成する。例えば第1の行R1では、ガラス基板Gは、摩擦清掃部品201の間の上記間隔に対応する部分においては清掃されない場合がある。従って次の行(例えば第2の行R2)では、ガラス基板Gの未清掃部分を清掃するために、第2の行R2の摩擦清掃部品を、y方向において、2つの摩擦清掃部品の間にある間隔を設けて、第1の行のR1に隣接して配置してよい。
【0094】
ガラス基板Gが、摩擦清掃部品201が配設された複数の行を通過してy方向に移動する際、摩擦清掃部品201は、回転しながらガラス基板Gの表面を清掃してよい。同時に、水及び/又はケミカルクリーナを含む洗浄液をガラス基板G上に噴霧することにより、ガラス基板G上に付着した異物を完全に除去する。
【0095】
図14は、ある実施形態による圧力マッピング装置を用いて、ある清掃位置において5行に配設された摩擦清掃部品に対する圧力マッピングを実施することによって得られた結果を示す画像である。図14に示すように、下向きの圧力が感知されない摩擦清掃部品の個数は、清掃位置においてもチェックされる。関連技術では、ユーザが摩擦清掃部品の高さを裸眼で認識し、設置高さが適切であるかどうかを評価するため、下向きの圧力がガラス基板に作用していない摩擦清掃部品をチェックするのは困難である。
【0096】
図15は、ある実施形態による圧力マッピング装置を用いて、ある清掃位置において5行に配設された摩擦清掃部品に対する圧力マッピングを実施することによって得られた結果を示す画像である。
【0097】
図15に示すように、第1の行に関して、摩擦清掃部品の大半が適切な圧力でガラス基板を押し、清掃していると判断される。しかしながら、図の右側付近に配置された各摩擦清掃部品の下方加圧特性は、第2の行、第3の行、第4の行、そして第5の行へと徐々に劣化したと判断される。特に、加圧特性が良好でない摩擦清掃部品の分布はランダムではなく、ある一定の傾向に従っているため、主に、全ての摩擦清掃部品の高さに影響する装置のフレームの左右のバランスが適切でないものと推測される。
【0098】
図14及び15に示すように、全ての摩擦清掃部品それぞれの加圧特性をリアルタイムでチェックできるため、ガラス基板の製品欠陥の原因を、後続のプロセスでより容易に決定できる。
【0099】
図16A及び16Bは、ある実施形態による圧力マッピングシステムを用いた各摩擦清掃部品の下方加圧特性の調整の前後の圧力輪郭マップを示す画像である。
【0100】
図16Aを参照すると、4行に配設された摩擦清掃部品の加圧特性は極めて悪いことが確認できる。特に、第1の行では下向きの押圧がほとんど実施されない。
【0101】
チェック済みの圧力輪郭マップに基づいて各摩擦清掃部品の下方加圧特性を調整した後、圧力輪郭マップは、図16Bに示されているようになる。図16Bに示すように、第1の行、第2の行、及び第4の行それぞれの下方加圧特性は、大幅に改善されていることが確認できる。
【0102】
図17は、図16A及び16Bの変化に関する、粒子状欠陥の位置の個数を示すグラフである。図17では、横軸が時間を示し、縦軸が粒子状欠陥の位置の個数を示す。
【0103】
図17では、各摩擦清掃部品の加圧特性が、時間Tにおいて調整されている。調整前(即ち時間Tに対して左側)では、粒子状欠陥の個数は多く、その平均値は162である。調整後(即ち時間Tに対して右側)では、粒子状欠陥の個数は低減され、その平均値は約115であると決定される。
【0104】
上述のように、粒子の除去に寄与していない摩擦清掃部品の加圧特性を調整することによって、粒子の除去に寄与する摩擦清掃部品の個数が増大するため、粒子状欠陥の位置の個数が低減されると結論付けることができる。
【0105】
図18A及び18Bは、別のガラス製品製造プロセスにおける、ある実施形態による圧力マッピングシステムを用いた各摩擦清掃部品の下方加圧特性の調整の前後の粒子状欠陥の位置の個数の変化を示すグラフである。
【0106】
図18Aを参照すると、粒子状欠陥の個数は、時間Tに関して大幅に低減されることが決定される。即ち、時間Tの前(即ち調整前)では、粒子状欠陥の個数は約1,100個であると決定されるが、時間Tの後(即ち調整後)では、粒子状欠陥の個数は約700個であると決定される。
【0107】
図18Bを参照すると、粒子状欠陥の個数は、時間Tに関して大幅に低減されることが決定される。即ち、時間Tの前(即ち調整前)では、粒子状欠陥の個数は約751個であると決定されるが、時間Tの後(即ち調整後)では、粒子状欠陥の個数は約413個であると決定される。
【0108】
上述の実施形態による、圧力マッピング装置、及びガラス基板を清掃する方法を使用することにより、清掃プロセス中の作業員間での偏差を生じずに、客観的かつ定量的な試験を実施でき、従って粒子状欠陥等の製品欠陥が大幅に削減される。
【0109】
本明細書に記載の実施形態は、説明的な意味でのみ考慮されるべきであり、限定を目的として考慮されるべきではないことを理解されたい。各実施形態内の特徴又は側面の説明は、典型的には、他の実施形態における他の同様の特徴又は側面として利用可能なものとみなされるものとする。
【0110】
図面を参照して1つ以上の実施形態を説明したが、以下の請求項によって定義されるような本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、これらにおいて形態及び細部に関する様々な変更を実施してよいことは、当業者には理解されるだろう。
【0111】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0112】
実施形態1
支持基板;
上記支持基板上に配設された複数の圧力センサであって、上記複数の圧力センサはそれぞれ、印加された圧力に応答して信号を出力するよう構成される、圧力センサ;及び
上記複数の圧力センサそれぞれからの上記信号を受信し、受信した上記信号に基づいて、上記支持基板上に圧力マップを出力するよう構成された、アナライザ
を備える、圧力マッピング装置。
【0113】
実施形態2
上記複数の圧力センサはそれぞれ、上側導体層及び下側導体層を備え、上記下側導体層は、上記上側導体層から離間し、かつ上記上側導体層の下方に配置され、
上記上側導体層は、第1の電極を含む第1の導体部品、及び第2の電極を含む第2の導体部品を備え、
上記上側導体層は、上記圧力センサのうちの対応する1つに対して印加された上記圧力によって変形され、上記下側導体層に接触する、実施形態1に記載の圧力マッピング装置。
【0114】
実施形態3
上記複数の圧力センサそれぞれの上記第1の電極及び上記第2の電極に接続された、複数のリード線を更に備え、上記複数のリード線は、上記支持基板の一方の側部上に設けられたコネクタまで延在し、
上記アナライザは、上記コネクタ及び信号ケーブルを通して上記信号を受信するよう構成される、実施形態2に記載の圧力マッピング装置。
【0115】
実施形態4
上記第1の導体部品及び上記第2の導体部品は、上記圧力センサのうちの対応する1つに対して印加された上記圧力に比例して変形され、上記第1の導体部品及び上記第2の導体部品それぞれが上記下側導体層に接触する接触面積は、上記変形に伴って増大する、実施形態2に記載の圧力マッピング装置。
【0116】
実施形態5
上記第1の導体部品及び上記第2の導体部品は、複数のくし状の指状部を備える、実施形態4に記載の圧力マッピング装置。
【0117】
実施形態6
上記複数の圧力センサはそれぞれ、上記第1の電極及び上記第2の電極の下にスペーサを更に備え、
上記スペーサは、上記上側導体層を上記下側導体層から隔てる、実施形態2に記載の圧力マッピング装置。
【0118】
実施形態7
上記支持基板は、可撓性基板である、実施形態1に記載の圧力マッピング装置。
【0119】
実施形態8
上記複数の圧力センサは、上記支持基板上に格子状に配設される、実施形態1に記載の圧力マッピング装置。
【0120】
実施形態9
ガラス基板を清掃する方法であって、
上記方法は:
圧力マッピング装置を複数の摩擦清掃部品の下に位置決めするステップ;
上記複数の摩擦清掃部品をそれぞれ、清掃位置まで下げるステップ;
上記複数の摩擦清掃部品それぞれが上記ガラス基板に印加した圧力を、上記圧力マッピング装置を用いてマッピングするステップ;
マッピングされた上記圧力に基づいて、上記複数の摩擦清掃部品の下方加圧特性を調整するステップ;
ガラス基板を上記複数の摩擦清掃部品の下に位置決めするステップ;及び
上記複数の摩擦清掃部品を用いて上記ガラス基板を清掃するステップ
を含み、
上記圧力マッピング装置は:
支持基板;
上記支持基板上に配設された複数の圧力センサであって、上記複数の圧力センサはそれぞれ、印加された圧力に応答して信号を出力するよう構成される、圧力センサ;及び
上記複数の圧力センサそれぞれからの上記信号を受信し、受信した上記信号に基づいて、上記支持基板上に圧力マップを出力するよう構成された、分析装置
を備える、方法。
【0121】
実施形態10
上記圧力をマッピングする上記ステップは、上記複数の摩擦清掃部品から印加された各上記圧力が、基準圧力値範囲内であるかどうかを決定するステップを含む、実施形態9に記載の方法。
【0122】
実施形態11
上記下方加圧特性を調整する上記ステップは、上記摩擦清掃部品の設置高さを調整するステップを含む、実施形態10に記載の方法。
【0123】
実施形態12
上記下げるステップは、上記複数の摩擦清掃部品それぞれを、空気圧又は油圧によって下げるステップを更に含み、
上記調整するステップは、清掃のために上記複数の摩擦清掃部品それぞれに印加される上記空気圧又は油圧の設定値を調整するステップを更に含む、実施形態10に記載の方法。
【0124】
実施形態13
上記ガラス基板は、上記ガラス基板を清掃する上記ステップの実施中に、水平方向に移動する、実施形態9に記載の方法。
【0125】
実施形態14
上記複数の摩擦清掃部品は:
上記ガラス基板の移動方向に対して垂直な横方向に対応する第1の行において、互いから一定の間隔に配設された、複数の第1の摩擦清掃部品;及び
上記第1の行の上記複数の第1の摩擦清掃部品の配設方向に対して平行な横方向に対応する第2の行において、互いから一定の間隔に配設された、複数の第2の摩擦清掃部品
を備え、
上記第2の行の1つの上記第2の摩擦清掃部品は、上記第1の行の2つの隣接する上記第1の摩擦清掃部品の間の位置から、上記ガラス基板の上記移動方向に離間して配置される、実施形態13に記載の方法。
【0126】
実施形態15
上記ガラス基板を清掃する上記ステップは、清掃液を上記ガラス基板上に供給するステップを含む、実施形態9に記載の方法。
【符号の説明】
【0127】
100 圧力マッピング装置
110 支持基板
120、220、320 圧力センサ
122 上側導体層
122a 第1の導体部品
122ac 第1の接続部品
122ae 第1の電極
122af 第1の指状部
122b 第2の導体部品
122bc 第2の接続部品
122be 第2の電極
122bf 第2の指状部
122c バイパスライン
124 下側導体層
126 スペーサ
128 上側絶縁層
129 突出部
130 防水ポーチ
140 アナライザ
150 コネクタ
160a 第1のリード線
160b 第2のリード線
201 摩擦清掃部品
2010 コントローラ
2020 入出力(I/O)デバイス
2030 メモリ
2040 インタフェース
2050 バス
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B