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特許7246363情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/14 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
G01B11/14 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020503660
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2019008227
(87)【国際公開番号】W WO2019168182
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2018036599
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207425
【氏名又は名称】大同工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500343599
【氏名又は名称】武藤 佳恭
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】武藤 佳恭
(72)【発明者】
【氏名】澤出 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】間嶋 利幸
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-317359(JP,A)
【文献】特開2016-183865(JP,A)
【文献】特開2011-117733(JP,A)
【文献】国際公開第2017/005986(WO,A1)
【文献】特開2016-210601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクの夫々がピンにより接続されて構成されるチェーンにおける、隣接する2つの前記リンク又は隣接する2つの前記ピンを測定対象として、当該測定対象の距離の伸びを判定する目的で、画像に関する情報から、実空間内における前記測定対象の距離を絶対距離として測定する情報処理装置であって、
前記測定対象を被写体として含むと共に、前記実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を含む1以上の基準シンボルを前記測定対象とは別に被写体として含む画像に関する情報を取得する画像取得手段と、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記1以上の基準シンボルに基づいて、前記2以上の基準点を特定する基準点特定手段と、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記基準点特定手段により特定された前記2以上の基準点に基づいて、当該画像内の所定単位の絶対距離への換算値を、単位距離として算出する単位距離算出手段と、
算出された前記単位距離と、取得された前記情報で特定される前記画像における前記測定対象の領域とに基づいて、前記測定対象の絶対距離を算出する絶対距離算出手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記単位距離を前記画像内の何れの領域でも略同一にすることを目的として、前記画像取得手段で取得された前記情報で特定される前記画像の補正をする補正手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数のリンクの夫々がピンにより接続されて構成されるチェーンにおける、隣接する2つの前記リンク又は隣接する2つの前記ピンを測定対象として、当該測定対象の距離の伸びを判定する目的で、画像に関する情報から、実空間内における前記測定対象の距離を絶対距離として測定する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記測定対象を被写体として含むと共に、前記実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を含む1以上の基準シンボルを前記測定対象とは別に被写体として含む画像に関する情報を取得する画像取得ステップと、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を特定する基準点特定ステップと、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記基準点特定ステップにおいて特定された前記2以上の基準点に基づいて、当該画像内の所定単位の絶対距離への換算値を、単位距離として算出する単位距離算出ステップと、
算出された前記単位距離と、取得された前記情報で特定される前記画像における前記測定対象の画像領域とに基づいて、前記測定対象の絶対距離を算出する絶対距離算出ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項4】
複数のリンクの夫々がピンにより接続されて構成されるチェーンにおける、隣接する2つの前記リンク又は隣接する2つの前記ピンを測定対象として、当該測定対象の距離の伸びを判定する目的で、画像に関する情報から、実空間内における前記測定対象の距離を絶対距離として測定するコンピュータに、
前記測定対象を被写体として含むと共に、前記実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を含む1以上の基準シンボルを前記測定対象とは別に被写体として含む画像に関する情報を取得する画像取得ステップと、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を特定する基準点特定ステップと、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記基準点特定ステップにおいて特定された前記2以上の基準点に基づいて、当該画像内の所定単位の絶対距離への換算値を、単位距離として算出する単位距離算出ステップと、
算出された前記単位距離と、取得された前記情報で特定される前記画像における前記測定対象の画像領域とに基づいて、前記測定対象の絶対距離を算出する絶対距離算出ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドライブチェーンのピッチ伸びを測定する手法として、例えば、次のような手法(1)乃至(3)が知られている。
即ち、手法(1)とは、ドライブチェーンをバイク等の車両から取り外し、測長器で測定する手法である。
手法(2)とは、測長器としてチェーン摩耗測定スケールを使用し、基準マークに到達した場合にドライブチェーンを交換する手法である。
手法(3)とは、測長器としてチェーンチェッカーを使用し、基準マークで伸び率を判定する手法である。
また、特許文献1には、チェーンの撮像画像を画像解析することでチェーンのピッチ伸びを検出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-210601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の手法(1)では、ドライブチェーンを自動2輪車等から取り外す手間がかかり、また、専用の測長器が必要であった。また、手法(2)、(3)については、ドライブチェーンの一定のリンク数の長さを測定するものであり、各リンクのそれぞれの伸びを測定することができない。このため、特定のリンクだけが急激に伸びるといった現象にそもそも対応することができない。
また例えば、上述の特許文献1に記載の従来技術では、容易にピッチ伸びを測定できるとは言い難い。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、測定対象の距離を容易に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
画像に関する情報から、実空間内における測定対象の距離を絶対距離として測定する情報処理装置であって、
前記測定対象を被写体として少なくとも含む画像に関する情報を取得する画像取得手段と、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を特定する基準点特定手段と、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記基準点特定手段により特定された前記2以上の基準点に基づいて、当該画像内の所定単位の絶対距離への換算値を、単位距離として算出する単位距離算出手段と、
算出された前記単位距離と、取得された前記情報で特定される前記画像における前記測定対象の領域とに基づいて、前記測定対象の絶対距離を算出する絶対距離算出手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測定対象の距離を容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態のサーバを含む情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】自動2輪車Tのドライブチェーンの構成を示す図である。
図3】ユーザ端末がドライブチェーンの伸びの測定用に撮像する様子の一例を示す図である。
図4図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図1のサーバ、ユーザ端末の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図6】基準点が2点の場合の距離測定の具体例を示す図である。
図7】基準点が2点の場合の距離測定に用いられる基準シンボルの一例を示す図である。
図8】基準点が3点の場合の距離測定の具体例を示す図である。
図9】基準点が3点の場合の距離測定に用いられる基準シンボルの一例を示す図である。
図10】基準点が4点の場合の距離測定の具体例を示す図である。
図11】基準点が4点の場合の距離測定に用いられる基準シンボルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態のサーバを含む情報処理システムの構成例を示している。
【0011】
図1に示す情報処理システムは、自動2輪車TのドライブチェーンDCのピッチの伸びを容易に測定し、ユーザに提示するサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)に適用される。
図1に示すように、情報処理システムは、本サービスの提供者により管理されるサーバ1と、ユーザにより操作されるユーザ端末2とを含む。サーバ1とユーザ端末2とは、インターネット等の所定のネットワークNで相互に接続されている。
【0012】
具体的には例えば、ユーザ端末2は、自動2輪車TのうちドライブチェーンDCとスプロケットSPとを被写体に含むように撮像する。
被写体に含めるスプロケットSPは、エンジン側とタイヤ側のうち何れでも構わないが、基準シンボルが付されている必要がある。
基準シンボルとは、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合のうち、実空間内での相互の絶対的な距離(以下、「絶対距離」と呼ぶ)が既知の2以上の基準点を少なくとも含むものをいう。
ユーザ端末2は、このような基準シンボルが付されたスプロケットSPと、ドライブチェーンDCとを被写体として撮像した画像(以下、「撮像画像」と呼ぶ)のデータを、サーバ1に送信する。
【0013】
なお、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画像」との両方を含むものとする。
また、画像処理の対象は、本来「画像のデータ」であるが、以下説明の便宜上、「画像」と略記する。
【0014】
サーバ1は、撮像画像内に含まれる基準シンボル(像)から、相互の絶対位置が既知の2以上の基準点(像)を特定し、これら2以上の基準点(像)に基づいて、「撮像画像内の所定単位についての絶対距離への換算値」を算出する。
【0015】
ここで、所定単位は、撮像画像内での長さが特定可能なものであれば特に限定されないが、等間隔で配置される多数の画素の集合体で撮像画像が構成されていることを考慮すれば、1画素を所定単位として採用すると好適である。このような撮像画像の1画素を所定単位として採用した場合における、「撮像画像内の所定単位についての絶対距離への換算値」を、以下、「単位画素距離」と呼ぶ。
例えば、単位画素距離が1[cm/画素]とは、撮像画像の1画素は、実空間では1cmに相当することを意味する。従って、実空間内の所定対象物(実物体)を被写体とし含む撮像画像において、例えば当該被写体(像)の長さが5画素である場合、所定対象物(実物体)の絶対距離(実空間での長さ)は、5cm(=1[cm/画素]×5[画素])となる。
【0016】
本サービスでは、所定対象物がドライブチェーンDCである。このドライブチェーンDCが基準シンボル(本例ではスプロケットSPに付されている)と共に被写体として含まれる撮像画像が、ユーザ端末2からサーバ1に送信される。
そこで、サーバ1は、撮像画像において、ドライブチェーンDC(像)の隣接するピンの中心間またはプレートの中心間の画素数を特定し、当該画素数と単位画素距離とに基づいて、実空間におけるドライブチェーンDCのピッチの絶対距離(隣接するピンまたはプレートの中心間の絶対距離)を算出する。
即ち、算出されたドライブチェーンDCのピッチの絶対距離(隣接するピンまたはプレートの中心間の絶対距離)と当該ピッチの基準値との差分が、ドライブチェーンDCのピッチの伸びとして特定される。
以上説明したユーザ端末2及びサーバ1で行われる一連の処理を、以下、「ピッチ伸び測定処理」と呼ぶ。
【0017】
なお、上述のピッチ伸び測定処理の説明では、撮像画像内の所定単位(本例では1画素)の絶対距離への換算値は、当該撮像画像内において何れの領域でも同一であると仮定されていた。
しかしながら、実際には、カメラ(本例ではユーザ端末2に内蔵)の撮像方向(光軸の方向)に対して被写体(本例ではドライブチェーンDCやスプロケットSP)が傾いていたりする場合等がある。このような場合、撮像画像内の所定単位(本例では1画素)の絶対距離への換算値は、当該撮像画像内の各領域で異なることになる。
そこで、撮像画像内の所定単位(本例では1画素)の絶対距離への換算値を当該撮像画像内の何れの領域でも略同一にすることを目的として、当該撮像画像の補正が、ピッチ伸び測定処理の前に行われると好適である。
即ち、ユーザ端末2とドライブチェーンDCとの位置関係が傾いている様な場合でも、ピッチ伸び測定処理において適切な補正が撮像画像に対して行われることにより、ドライブチェーンDCのピッチの伸びが適切に算出されることになる。
なお、このような補正の具体例については、後述する。
【0018】
次に、図2を参照して、ドライブチェーンDCのピッチの伸びについて具体的に説明する。
図2は、自動2輪車TのドライブチェーンDCの構成を示す図である。
【0019】
図2に示すa構成のように、ドライブチェーンDCは、複数の内リンクIn1、In2、…と、複数の外リンクEx1、Ex2、…と、複数のピンP11、P12、P21、P22、…とから構成される。
なお、以下、説明の便宜上、内リンクIn1、In2、…の個々を区別する必要がない場合、これらをまとめて、「内リンクIn」と呼ぶ。同様な理由で、「外リンクEx」や「ピンP」と適宜呼ぶ。
内リンクInの一端と外リンクExの一端とはピンPで接続されることにより、当該内リンクInと当該外リンクExとが交互に連結される。
即ち、内リンクIn1の一端(右端)と外リンクEx1の一端(左端)とがピンP12で連結され、外リンクEx1の一端(右端)と内リンクIn2の一端(左端)とがピンP21で連結されることにより、内リンクIn1、外リンクEx1、内リンクIn2の順に連結される。このようにして、内リンクInと外リンクExとがピンPによって交互に連結されてドライブチェーンDCが構成される。
従って、隣接する2つのピンP間の距離は、内リンクInのチェーンピッチ、または外リンクExのチェーンピッチとなる。具体的には、図2に示すa構成のように、隣接するピンP11とピンP12との間の距離は、内リンクIn1のチェーンピッチとなり、隣接するピンP12とピンP21との間の距離は、外リンクEx1のチェーンピッチとなる。
また、図2に示すb構成のように、隣接する外リンクEx1と外リンクEx2との間の距離は、外リンクEx1の一部、Ex2の一部、及び内リンクIn2を含むチェーンピッチとなる。
なお、以下の説明では、内リンクIn1、In2、…のチェーンピッチの夫々を「内1ピッチ」、「内2ピッチ」、…の夫々と呼ぶ。外リンクEx1、Ex2、…のチェーンピッチの夫々を、「外1ピッチ」、「外2ピッチ」、…の夫々と、また外リンクEx1とEx2間の場合は「外1-外2ピッチ」、・・・の夫々と称することがある。
以下、ピン中心間距離の測定方法について記載するが、プレート中心間距離に置き換えることも出来る。プレートについては、外プレートでも良いし、内プレートでも良い。
プレート中心とは、チェーン進行方向における、幅方向中心位置のことをいう。
またピンやプレートについて中心間距離だけでなく、任意の位置を基準とし、距離を測定しても良いものとする。
【0020】
図2からわかるように、2つの隣接するピンPの位置から、内リンクInのチェーンピッチまたは外リンクExのチェーンピッチを測定することができる。また、3つの隣接するピンPの位置から、内リンクInのチェーンピッチおよび外リンクExのチェーンピッチを測定することができる。
なお、一般的には、ドライブチェーンDCの構造上、外リンクExのチェーンピッチは伸びないため、チェーンピッチの伸びを測定するためには、内リンクInのチェーンピッチを算出することが好ましい。このため、ドライブチェーンDCの一部を撮影する際には、内リンクIn上の隣接する2つのピンPを含むように撮影するか、または隣接する3以上のピンPを含むように撮影すると好適である。
【0021】
図3は、ユーザ端末2がドライブチェーンDCの伸びの測定用に撮像する様子の一例を示す図である。
図3は、カメラが被写体に正対している場合の、基本的な測定概念を示す図である。
図3の例では、スプロケットSPには、基準シンボルRI1、RI2が付与されている。基準シンボルRI1の中心点(基準点)と、基準シンボルRI2の中心点(基準点)との間の絶対距離D1[mm]は一定である。
ユーザ端末2は、ドライブチェーンDCとスプロケットSP(正確には2つの基準シンボルRI1、RI2)とを被写体に含むように撮像し、その結果得られる撮像画像をサーバ1に送信する。
この撮像画像は、図3の例ではユーザ端末2の表示画面に表示されているが、ドライブチェーンの像DCGと、スプロケットの像SPGとが含まれている。スプロケットの像SPG内には、2つの基準シンボルの夫々の像RI1G、RI2Gが含まれている。
この場合、サーバ1は、撮像画像において、2つの基準シンボルの夫々の像RI1G、RI2Gの各中心点(基準点)間の長さd1[画素]を特定し、(D1/d1)[mm/画素]を単位画素距離として算出する。
そして、サーバ1は、図3には図示はしないが、撮像画像内のドライブチェーンの像DCGにおけるピッチを画素数で算出し、当該画素数と、上述の単位画素距離とに基づいて、ドライブチェーンDCのピッチの絶対距離[mm]を算出する。
【0022】
次に、このような情報処理システムのうちサーバ1の構成例について説明する。
図4は、図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0023】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0024】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0025】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0026】
出力部16は、各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
入力部17は、各種ハードウェア等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(図1の例では、ユーザ端末2)との間で行う通信を制御する。
【0027】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することが出来る。
【0028】
ユーザ端末2の構成は、サーバ1の構成と基本的に同様であるので、ここではそれらの説明は省略する。ただし、ユーザ端末2は、サーバ1とは異なり、画像を撮影可能な撮像部(例えばカメラ)を備え、典型的にはスマートフォンで構成されている。
【0029】
このような図4のハードウェア構成を有する図1のサーバ1と、図1のユーザ端末2とによる各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、ピッチ伸び測定処理が可能となる。即ち、ピッチ伸び測定処理を実現すべく、サーバ1とユーザ端末2を含む情報処理システムは、図5に示すような機能的構成を有している。
図5は、図1のサーバ1、ユーザ端末2の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【0030】
ユーザ端末2は、ハードウェアとして、CPU21と、通信部22と、カメラ等の撮像部23と、表示部24とを備えている。ユーザ端末2のCPU21においては、画像提供部211と、情報取得部212とが機能する。
サーバ1のCPU11においては、画像取得部111と、画像解析部112と、画像補正部113と、距離測定部114と、ピッチ伸び情報提供部115とが機能する。
【0031】
ユーザ端末2において、撮像部23は、図1等に示す自動2輪車TのうちドライブチェーンDCとスプロケットSPとを被写体に含むように撮像し、その結果得られる撮像画像を出力する。
画像提供部211は、撮像部23から出力された撮像画像を通信部22を介してサーバ1へ送信するための制御を実行することで、当該撮像画像をサーバ1に提供する。
【0032】
サーバ1の画像取得部111は、ユーザ端末2から送信されてくる撮像画像を通信部19を介して取得する。
画像解析部112は、基準点特定部121を有している。基準点特定部121は、画像取得部111により取得された撮像画像を、解析することで、実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点(像)を特定する。画像解析部112は、基準点特定部121により3点以上の基準点(像)が特定された場合、その特定結果に基づいて、当該撮像画像が補正が必要な画像であるか否かを解析する。なお、解析の詳細については後述する。
画像補正部113は、画像解析部112により撮像画像が補正が必要であると解析された場合に、当該撮像画像を種々の方法で補正する。なお、補正の詳細については後述する。
【0033】
サーバ1の距離測定部114は、撮像画像(画像補正部113によって補正されているもの含む)に基づいて、ドライブチェーンDCのチェーンピッチを測定する。距離測定部114は、単位距離算出部122と、絶対距離算出部123とを有する。
単位距離算出部122は、撮像画像において、基準点特定部121により特定された2以上の基準点(像)に基づいて、当該撮像画像内の所定単位の絶対距離への換算値を、単位距離として算出する。上述したように、本例では、撮像画像内の所定単位の絶対距離への換算値は、単位画素距離である。従って本例では、単位距離算出部122は、単位画素距離を単位距離として算出する。
絶対距離算出部123は、単位距離算出部122により算出された単位距離と、撮像画像におけるドライブチェーンDCのピッチの像(画像領域)とに基づいて、ドライブチェーンDCのピッチの絶対距離を算出する。
【0034】
ピッチ伸び情報提供部115は、距離測定部114によって測定されたドライブチェーンDCのピッチの絶対距離(隣接するピンの中心間の絶対距離)と当該ピッチの基準値との差分を、ドライブチェーンDCのピッチの伸びとして特定する。
そして、ピッチ伸び情報提供部115は、ドライブチェーンDCのピッチの伸びを示す情報を、チェーンピッチ伸びの情報として通信部19を介してユーザ端末2へ送信する制御を実行することで、当該情報をユーザ端末2に提供する。
【0035】
ユーザ端末2の情報取得部212は、チェーンピッチ伸びの情報を通信部22を介して取得する。情報取得部212は、チェーンピッチ伸びの情報を表示部24に表示させる制御を実行する。
ここで、チェーンピッチ伸びを表示させる手法としては、例えば、1.00mmといった具体的な長さ(絶対距離)を表示させる手法を採用してもよいし、複数段階の判定閾値のいずれに属するかに応じたアラート表示(例えば、5段階中最高段階であれば赤表示)をさせる手法を採用してもよい。
【0036】
以下、チェーンピッチ(ドライブチェーンDCのピッチの絶対距離)の算出の処理の詳細について説明する。
【0037】
(基準点が2点の場合)
先ず基準点が2点の場合について、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、基準点が2点の場合の距離測定の具体例を示す図である。
図7は、基準点が2点の場合の距離測定に用いられる基準シンボルの一例を示す図である。
【0038】
図6に示すa状況の例では、スプロケットSPには、基準シンボルRI1、RI2が付されている。基準シンボルRI1の中心点(基準点)と、基準シンボルRI2の中心点(基準点)との間の絶対距離D1[mm]は一定である。
距離測定部114は、スプロケットSPとドライブチェーンDCとを被写体として含む撮像画像において、2つの基準シンボルRI1、RI2(像)の各中心点である2つの基準点(像)間の長さd1[画素]を特定し、(D1/d1)[mm/画素]を単位画素距離として算出する。
距離測定部114は、図6に示すa状況の例では図示しないが、撮像画像内のドライブチェーンDC(像)におけるピッチを画素数で算出し、当該画素数と、上述の単位画素距離とに基づいて、チェーンピッチ[mm]を算出する。
【0039】
具体的には例えば、基準シンボルRI1の中心点(基準点)と、基準シンボルRI2の中心点(基準点)との間の絶対距離D1が100[mm]であったとする。
また、2つの基準点(像)間の長さd1が1,000[画素]であったとする。より具体的には例えば、図6に示すb状況のように、基準シンボルRI1の中心点(基準点)の像の画素座標が(1000,1000)であり、基準シンボルRI2の中心点(基準点)の画素座標が(1707,293)であると仮定する。この場合、2つの基準点(像)間の長さd1は、{(1707-1000)^2+(1000-293)^2}^(1/2)≒1,000[画素]であると算出される。
この場合、単位画素距離は、0.1mm[mm/画素](=100[mm]/1,000[画素])であると算出される。
撮像画像内のドライブチェーンDC(像)におけるピッチとして、例えば内1ピッチが測定され、その測定結果が100[画素]であったとする。この場合、チェーンピッチは10[mm](=100[画素]×0.1[mm/画素])であると算出される。
【0040】
このようにして、内1ピッチや内2ピッチの絶対距離がチェーンピッチとして算出されると、その算出結果に基づいて、チェーンピッチの伸びが算出される。
チェーンピッチの伸びの算出手法は、特に限定されず、例えば、算出されたチェーンピッチが標準のチェーンピッチに対してどの程度伸びているのかを算出する第1手法、最も近い内リンクInに対する相対的な伸び(例えば、内2に対する内1のチェーンピッチの伸び)を算出する第2手法、隣り合う外リンクExに対する内リンクInの相対的な伸び(例えば、外1に対する内1のチェーンピッチの伸び)を算出する第3手法等各種各様な手法を採用することもできる。
【0041】
このように、図6の例では、2つの基準シンボルRI1、RI2が絶対距離D1[mm]だけ離間してスプロケットSPに付されており、撮像画像内で夫々の像の中心が2つの基準点(像)として特定された。
ただし、これは例示であって、基準シンボルRIは、撮像画像内の像から、相互間の絶対距離が既知の2つの基準点(像)が特定できるものであれば足りる。
具体的には例えば、図7に示すように、基準シンボルRIは、図6と同様の「a2点」の他、「b線と線」、「c丸」、「d線」、「e刻印の一部」、「fその他、点、線、模様、文字もしくはそれらの集合体」であってよい。
即ち、各基準シンボルRIにおいて図示する線分Aの長さが既知の長さD1であれば、上述したように、図示はしないが撮像画像内の線分Aの両端の像が2つの基準点(像)として特定可能である。その結果、これらの2つの基準点(像)間の長さd1[画素]が特定可能となり、(D1/d1)[mm/画素]が単位画素距離として算出可能になる。
【0042】
以上のように、最低2点の基準点(像)が特定可能であれば、チェーンピッチの適切な測定が可能となる。
【0043】
(3点の基準点がある場合の距離測定)
次に、3点の基準点がある場合について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、基準点が3点の場合の距離測定の具体例を示す図である。
図9は、基準点が3点の場合の距離測定に用いられる基準シンボルの一例を示す図である。
【0044】
図8に示す「a正対して撮影した場合」は、カメラが被写体に正対している場合の撮像画像の例を示している。この撮像画像には、ドライブチェーンの像DCGと、スプロケットの像SPGとが含まれている。スプロケットの像SPG内には、3つの基準シンボルの夫々の像RI1G、RI2G、RI3Gが含まれている。なお、基準シンボルの像RI1G、RI2Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分A、及び基準シンボルの像RI1G、RI3Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分Bの夫々の絶対距離(実空間での長さ)及び線分Aと線分Bのなす角度(実空間での角度)は既知であるものとする。
ここで「正対している」とは、例えば、線分Aの長さ、線分Bの長さ、及び線分Aと線分Bとのなす角が夫々所定の範囲内の値であることをいう。
【0045】
一方、カメラが被写体に対して正対しておらず、例えば右方向から斜めに被写体を撮像した場合には、図8に示す「b右方向から斜めに撮影した場合」のように、被写体の像が歪んだ撮像画像が得られる。
また例えば、カメラが下方向から斜めに被写体を撮影した場合には、図8の「c下方向から斜めに撮影した場合」で示すよう被写体の像が歪んだ撮像画像が得られる。
このように、カメラが被写体に正対していないと、図8に示す「b右方向から斜めに撮影した場合」や「c下方向から斜めに撮影した場合」のように、撮像画像内の被写体の像が歪んでしまう。その結果、基準シンボルの像RI1G,RI2Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分A、及び基準シンボルの像RI1G、RI3Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分Bの夫々の撮像画像内の長さ[画素]は、図8に示す「a正対して撮影した場合」の正対している場合の長さ[画素]と異なったものになってしまう。
そこで、3点の基準点を用いて、撮像画像の補正が実行される。
具体的には例えば、画像補正部113は、図8の「b右方向から斜めに撮影した場合」や「c下方向から斜めに撮影した場合」に示す線分Aや線分Bの長さ[画素]が予め設定された任意の長さ[画素](典型的には、図8の「a正対して撮影した場合」に示す長さ[画素])になるように、撮像画像を補正する。
また例えば、画像補正部113は、図8の「b右方向から斜めに撮影した場合」や「c下方向から斜めに撮影した場合」に示す線分Aと線分Bとのなす角度(撮像画像内での角度)が予め設定された任意の角度(典型的には、図8に示す「a正対して撮影した場合」の線分Aと線分Bとのなす角度)になるように、撮像画像を補正する。
【0046】
このようにして画像補正部113により撮像画像が補正されると、距離測定部114は、補正された撮像画像を用いてチェーンピッチを測定する。
なお、距離測定部114によるチェーンピッチの測定方法は、図6を用いて説明した2点距離測定の場合と同様である。
【0047】
このように、図8の例では、3つの基準シンボル(同図では、夫々の像RI1G、RI2G、RI3Gが図示)が既知の絶対距離だけ離間してスプロケットSPに付されており、撮像画像内で夫々の像RI1G、RI2G、RI3Gの各中心が3つの基準点(像)として特定された。
ただし、これは例示であって、基準シンボルRIは、補正後の撮像画像内の像から、相互間の絶対距離が既知の3つの基準点(像)が特定できるものであれば足りる。
具体的には例えば、図9に示すように、基準シンボルRIは、図8と同様の「a3点」の他、「b十文字の一部」や、「c四角形の一部」であってよい。
即ち、各基準シンボルRIにおいて図示する線分A及び線分Bの夫々の絶対距離、または線分Aと線分Bとのなす角度(実空間上での角度)が既知であれば足りる。これらの既知の値に基づいて撮像画像が適正に補正され、補正後の撮像画像における線分Aの像や線分Bの像の各長さ[画素数]が算出され、その結果として、単位画素距離が特定されるからである。
【0048】
(4点の基準点がある場合の距離測定)
次に、基準点が4点の場合の例を図10及び図11を参照して説明する。
図10は、基準点が4点の場合の距離測定の具体例を示す図である。
図11は、基準点が4点の場合の距離測定に用いられる基準シンボルの一例を示す図である。
【0049】
図10に示す「a正対して撮影した場合」は、カメラが被写体に正対している場合の撮像画像の例を示している。この撮像画像には、ドライブチェーンの像DCGと、スプロケットの像SPGとが含まれている。スプロケットの像SPG内には、4つの基準シンボルの夫々の像RI1G、RI2G、RI3G、RI4Gが含まれている。なお、基準シンボルの像RI1G、RI2Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分A、基準シンボルの像RI1G、RI3Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分B、及び基準シンボルの像RI2G、RI4Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分Cの夫々の絶対距離(実空間での長さ)は既知であるものとする。
【0050】
一方、カメラが被写体に対して正対しておらず、例えば右方向から斜めに被写体を撮像した場合には、図10に示す「b右方向から斜めに撮影した場合」のように、被写体の像が歪んだ撮像画像が得られる。
また例えば、カメラが下方向から斜めに被写体を撮影した場合には、図10示す「c下方向から斜めに撮影した場合」のよう被写体の像が歪んだ撮像画像が得られる。
このように、カメラが被写体に正対していないと、図10に示す「b右方向から斜めに撮影した場合」や「c下方向から斜めに撮影した場合」のように、撮像画像内の被写体の像が歪んでしまう。その結果、基準シンボルの像RI1G、RI2Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分A、基準シンボルの像RI1G、RI3Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分B、及び基準シンボルの像RI1G、RI4Gの各中心点(各基準点)を結ぶ線分Cの夫々の撮像画像内の長さ[画素]は、図10に示す「a正対して撮影した場合」の正対している場合の長さ[画素]と異なったものになってしまう。
そこで、4点の基準点を用いて、撮像画像の補正が実行される。
具体的には例えば、画像補正部113は、図10の「b右方向から斜めに撮影した場合」や「c下方向から斜めに撮影した場合」に示す線分A、線分B、及び線分Cの各長さ[画素]が予め設定された任意の長さ[画素](典型的には、図10の「a正対して撮影した場合」に示す長さ[画素])になるように、撮像画像を補正する。
また例えば、画像補正部113は、図10の「b右方向から斜めに撮影した場合」や「c下方向から斜めに撮影した場合」に示す線分Aと線分Bとのなす角度(撮像画像内での角度)や線分Aと線分Cとのなす角度(撮像画像内での角度)が予め設定された任意の角度(典型的には、図10に示す「a正対して撮影した場合」の線分Aと線分Bとのなす角度や線分Aと線分Cとのなす角度)になるように、撮像画像を補正する。
【0051】
このようにして画像補正部113により撮像画像が補正されると、距離測定部114は、補正された撮像画像を用いてチェーンピッチを測定する。
なお、距離測定部114によるチェーンピッチの測定方法は、図6を用いて説明した2点距離測定の場合と同様である。
【0052】
このように、図10の例では、4つの基準シンボル(同図では、夫々の像RI1G、RI2G、RI3G、RI4Gが図示)が既知の絶対距離だけ離間してスプロケットSPに付されており、撮像画像内で夫々の像RI1G、RI2G、RI3G、RI4Gの各中心が4つの基準点(像)として特定された。
ただし、これは例示であって、基準シンボルRIは、補正後の撮像画像内の像から、相互間の絶対距離が既知の4つの基準点(像)が特定できるものであれば足りる。
具体的には例えば、図11に示すように、基準シンボルRIは、図10と同様の「a4点」の他、「b四角形」であってよい。
即ち、各基準シンボルRIにおいて図示する線分A、線分B及び線分Cの夫々の絶対距離、または線分Aと線分Bとのなす角度や線分Aと線分Cとのなす角度(夫々実空間上での角度)が既知であれば足りる。これらの既知の値に基づいて撮像画像が適正に補正され、補正後の撮像画像における線分Aの像、線分Bの像、線分Cの像の各長さ[画素数]が算出され、その結果として、単位画素距離が特定されるからである。
【0053】
なお、スプロケットSPに付する基準シンボルRIのサイズは、ユーザ端末2の撮像部23(カメラ)の性能、チェーンピッチ、ドライブチェーンDC全体の伸びの許容値、伸びの評価段階数等に基づいて適宜設計すればよい。
ここで、ドライブチェーンDC全体の伸びが、初期状態から伸びが2%の状態までを2段階で評価する場合について説明する。例えば、ドライブチェーンDCのチェーンピッチが12.7mmであり、ドライブチェーンDC全体の伸びの許容値が2%であり、ドライブチェーンDCが79リンクで構成されている場合、次のようなサイズが好適である。
即ち、ドライブチェーンDC全体の長さは、伸びが無い場合には1003.3mmとなるが、伸びが2%の場合には1023.366mmとなる。また、伸びが2%の場合における2リンクあたりの長さは25.908mmとなる。
ドライブチェーンDCの構造上、外リンクは伸びないことを考えると、内リンクが13.208mmの長さとなるため、その伸びの長さは、0.508mmとなる。0.508mmの精度でみたいとすると、その1/10の分解能が必要であると考える。つまり、0.508mm/10=0.05mmの分解能が必要であると考える。
4Kのカメラを用いた場合にはその視野は、0.05mm×4000=200mmとなる。
従って、スプロケットSPに付する基準シンボルRIのサイズは、例えば、およそ85mm×85mmとすると好適である。
なお、ドライブチェーンDC全体の伸びが、初期状態から伸びが2%の状態までを5段階で評価する場合において、スプロケットSPに付する基準シンボルRIのサイズは、例えば、およそ35mm×35mmとすると好適である。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。
また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0055】
上述の実施形態では、測定対象は、自動2輪車のドライブチェーンDCとされたが、特にこれに限定されず、その他産業機械向けチェーンとしてもよい。ドライブチェーンにおいてはオープンタイプ、シールタイプのどちらにも適用される。さらに言えば、測定対象は、絶対距離の測定が必要な実物体であって、被写体として撮像画像に写るものであれば任意のものでよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、基準シンボルRIは、スプロケットSPに印字等で直接的に付されたが、その付される手法等は特に限定されず、例えば取り外し可能であってもよい。具体的には例えば、基準シンボルRIは、磁石式で取り付け可能なものであってもよいし、シール式で取り付け可能なものであってもよい。このようにすると、ユーザが基準シンボルRIを取り付けたり取り外したりすることが可能となるので、ピッチ伸び測定に対する柔軟性を向上させることができる。
【0057】
また、上述の実施形態において、ピンPの位置をより明確に特定可能にするために、ピンPの中心に基準点を付与したり、ピンPの端面に特徴的な色を付与してもよい。このようにすることで、画像解析の際に、ピンPの位置を明確に特定し易くなり、ピッチ伸び測定の精度を向上させることができる。
プレートの場合についても同様に、位置を明確に特定可能にするために、プレートに基準点を付与したり、プレートの表面に特徴的な色を付与してもよい。
また、上述の実施形態において、ピンPの位置をより明確に特定可能にするために、ピンPの中心に基準点を付与すること、ピンPの端面に特徴的な色を付与することの両方、又は少なくともいずれか一方としてもよい。このようにすることで、画像解析の際に、ピンPの位置を明確に特定し易くなり、ピッチ伸び測定の精度を向上させることができる。
プレートの場合についても同様に、位置を明確に特定可能にするために、プレートに基準点を付与すること、プレートの表面に特徴的な色を付与することの両方、又は少なくともいずれか一方としてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では、基準シンボルRIの形態は、図7図9図11を参照して一例について説明したが、当該基準シンボルRIに基づいて、相互の絶対距離が既知の基準点の像が撮像画像で特定されるものであれば足り、任意のものでよい。
当該基準シンボルRIに基づいて、相互の絶対距離が既知の基準点の像が撮像画像で特定されれば足りるという点で、基準シンボルRIの配置位置(付される位置)は、上述の実施形態のようにスプロケットSPである必要は特になく、測定対象(上述の実施形態ではドライブチェーンDC)と共に被写体として撮像画像に含まれる位置であれば足りる。具体的には例えば、基準シンボルRIは、ドライブチェーンDCの一部に付与されてもよい。このようにしても、ユーザ端末2は、ドライブチェーンDCに付与された基準シンボルRIと複数のピンPを被写体として撮像することで、チェーンピッチ伸びを適切に測定することが可能になる。
【0059】
さらに言えば、撮像画像において、実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を特定することさえ可能であれば、当該撮像画像から測定対象の絶対距離の測定が可能である。
従って、実空間において基準シンボルRIを配置することは必須ではない。即ち、画像処理により撮像画像から、実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点を特定してもよい。
【0060】
また、上述の実施形態において、ユーザ端末2の撮像部23(カメラ)には、基準シンボルRIやスプロケットSPのシルエット(例えば、外枠)が表示されるものとしてもよい。このようにすると、ユーザは、そのシルエットを参考にすることで、容易に基準シンボルRIを適切に含む撮像画像を撮影することができる。
【0061】
また、ユーザ端末2の撮像部23(カメラ)は、基準シンボルRIを予め定めたルールに従って検出した場合に自動的に撮影するものとしてもよい。また、基準シンボルRIが、カメラが被写体に正対しているときの画像であると判定されたときに限り、自動的に撮影が行われ、サーバ1に撮像画像が送信されるものとしてもよい。このようにすると、カメラが被写体に正対しているときに撮影された撮像画像のみがサーバ1に送信されるので、サーバ1では撮像画像を補正する必要がなくなる、もしくは測定精度の向上が期待される。
【0062】
また、上述の実施形態では、ドライブチェーンDCを撮影するユーザ端末2は、典型的にはカメラ機能付きのスマートフォンとしたが、これに限らず、タブレットや今後の新しいデバイスを含めた任意の装置で構成することもできる。
【0063】
以上をまとめると、本発明の情報処理装置の一実施形態のサーバを含む情報処理システムは、以下のような特徴をも有する。
即ち、本サービスの提供者は、4つの基準シンボルの配置方法について、例えば、10mm間隔に配置するドットパターンを採用することができる。
さらに言えば、このようにして採用されたドットパターンで配置された4つの基準シンボルは、測定対象の内側にあってもよいし、外側になってもよい。
さらに言えば、スプロケット上にドットパターンで配置された4つの基準シンボルは、撮影画像上のスプロケット以外の場所へ反映されてもよい。
さらに言えば、本サービスの提供者は、例えば、このような10mm間隔のドットパターンから、1画素あたりの距離を絶対値として算出してもよい。
さらに言えば、本サービスの提供者は、撮影された画像(又は補正された画像)から、ピンの中心とピンの中心の中心間距離を絶対値として求めてもよい。また、測定箇所は、スプロケットからチェーンが離れた位置で、スプロケット寄りの位置であってもよい。
さらに言えば、本サービスの提供者は、カメラ(例えば、図5の撮像部23)が良いアングルを検出した場合に、自動で画像を撮影する機能を付してもよい。
さらに言えば、本サービスの提供者は、4つの基準パターンを配置する場合に、上述のドットパターンに代わりチェスボードパターン(例えば、チェスボードのように縦横に直線を交差させるパターン)を採用してもよい。
さらに言えば、本サービスの提供者は、ピンの中心位置を検出しやすくするため、予め、ピンの中心にマーク等を付してもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、本発明の情報処理システムは、サーバ1、ユーザ端末2により構成されていたが、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0065】
また、図4に示す各ハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0066】
また、図5に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に図5の例に限定されない。即ち、ピッチ伸び測定処理は、単一の情報処理装置(例えばサーバ1)によって実現されてもよいし、複数の情報処理装置(サーバ1、ユーザ端末2)からなる情報処理システムによって実現されてもよい。また、ピッチ伸び測定処理は、ユーザ端末2にインストールされるアプリケーションプログラムの一部として実行されるものであってもよい。
【0067】
また、機能ブロックの存在場所も、図5に限定されず、任意で良い。例えばサーバ1側の機能ブロックの少なくとも一部をユーザ端末2の側に設けても良いし、その逆でも良い。
そして、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成しても良いし、ソフトウェア単体との組み合わせで構成しても良い。
【0068】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであっても良い。
【0069】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0070】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0071】
以上を換言すると、本発明が適用される測定方法は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
画像に関する情報から、実空間内における測定対象(例えば図1のドライブチェーンDC)の距離を絶対距離として測定する情報処理装置(例えば図1のサーバ1)であって、
前記測定対象を被写体として少なくとも含む画像に関する情報を取得する画像取得手段(例えば図5の画像取得部111)と、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記実空間での相互の絶対距離が既知の2以上の基準点(例えば図3の基準シンボルの像RI1G、RI2Gの各中心)を特定する基準点特定手段(例えば図5の基準点特定部121)と、
取得された前記情報で特定される前記画像において、前記基準点特定手段により特定された前記2以上の基準点に基づいて、当該画像内の所定単位の絶対距離への換算値(例えば上述の「単位画素距離」)を、単位距離として算出する単位距離算出手段(例えば図5の単位距離算出部122)と、
算出された前記単位距離と、取得された前記情報で特定される前記画像における前記測定対象の領域とに基づいて、前記測定対象の絶対距離を算出する絶対距離算出手段(図5の絶対距離算出部123)と、
を備える。
これにより、測定対象、例えばドライブチェーンDCのピッチ伸びを容易に測定することができる。
【0072】
さらに、前記単位距離を前記画像内の何れの領域でも略同一にすることを目的として、前記画像取得手段で取得された前記情報で特定される前記画像の補正をする補正手段(例えば図5の画像補正部113)、
をさらに備えることができる。
ここで、「画像の補正」とは、被写体の像の位置や形状等を変化させる画像自体に対する補正は勿論のこと、単位距離算出手段や絶対距離算出手段による算出処理において用いられる補正係数等を求めることも含む広義な概念である。
このような補正手段をさらに備えることにより、例えばカメラと測定対象(ドライブチェーンDC)との位置関係が傾くこと等があっても、測定対象の絶対距離を正確に測定することができる。
【0073】
さらにまた、前記画像取得手段で取得された前記情報で特定される前記画像には、基準シンボル(例えば図3の基準シンボルの像RI1G、RI2G)が前記測定対象と共に含まれており、
前記基準点特定手段は、前記画像内の前記基準シンボルに基づいて、前記2以上の基準点を特定することもできる。
これにより、容易かつ安価に情報処理システムを構築することができる。
【符号の説明】
【0074】
1・・・サーバ、2・・・ユーザ端末、11・・・CPU、21・・・CPU、23・・・撮像部、24・・・表示部、111・・・画像取得部、112・・・画像解析部、113・・・画像補正部、114・・・距離測定部、115・・・ピッチ伸び情報提供部、121・・・基準点特定部、122・・・単位距離算出部、123・・・絶対距離算出部、211・・・画像提供部、212・・・情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11