(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩
(51)【国際特許分類】
C01B 33/26 20060101AFI20230322BHJP
A61K 8/26 20060101ALN20230322BHJP
A61Q 11/00 20060101ALN20230322BHJP
【FI】
C01B33/26
A61K8/26
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2019072597
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000203656
【氏名又は名称】多木化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】角谷 定宣
【審査官】田口 裕健
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-137797(JP,A)
【文献】特開昭54-067041(JP,A)
【文献】特開2015-117206(JP,A)
【文献】特開2010-275271(JP,A)
【文献】特開2014-183962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-33/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛を含有した合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(以下「合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩」という。)であって、
以下(1)~(
6)の特性をすべて備えた、合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩。
(1)アルミニウムがAl
2O
3としてSiO
2に対し0.5~7.5質量%の範囲である。
(2)5質量%スラリーpHが8.0~10.0の範囲である。
(3)細孔径が1.5~4.0nmの範囲である。
(4)OH基量がSiO
2に対し2.5~8.0質量%の範囲である。
(5)亜鉛がZnOとしてSiO
2に対し0.02~1.0質量%の範囲である。
(6)Al
2
O
3
/SiO
2
(質量%)にZnO/SiO
2
(質量%)を乗じた値が0.05~3の範囲である。
【請求項2】
水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と水溶性亜鉛化合物と鉱酸とを反応させた後、副生成物を除去する工程、
を含む、請求項1記載の合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨用研磨剤に関するものであり、具体的には亜鉛を含有した合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(以下「合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩」という。)に関する。
【背景技術】
【0002】
歯牙を損傷させない低い研磨性と高い清掃性を有し、かつ透明歯磨用シリカ基剤として高い透明性と透明度の貯蔵安定性に優れた合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩に関する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、上記合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を用いた歯磨剤組成物が特許文献2~4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4785068号公報
【文献】特開2010-275271号公報
【文献】特開2010-275272号公報
【文献】特開2010-275273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩は、高い透明性と透明度の貯蔵安定性に優れ、かつ透明歯磨用シリカ基剤に要求される歯牙を損傷させない低い研磨性と高い清掃性を具有した技術的完成度が高いものである。
【0006】
本発明は、特許文献1に記載の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩のさらなる機能性向上を課題とする。ただし、透明性については、歯磨剤において要求度が高いとはいえないので、透明性以外の機能を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特許文献1に記載の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩に亜鉛を含有させることによって、さらなる高い清掃性が得られるという驚くべき事実を見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させたものである。
【0008】
本発明は以下のとおりである。
[1]以下(1)~(5)の特性をすべて備えた、合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩。
(1)アルミニウムがAl2O3としてSiO2に対し0.5~7.5質量%の範囲である。
(2)5質量%スラリーpHが8.0~10.0の範囲である。
(3)細孔径が1.5~4.0nmの範囲である。
(4)OH基量がSiO2に対し2.5~8.0質量%の範囲である。
(5)亜鉛がZnOとしてSiO2に対し0.02~1.0質量%の範囲である。
[2]水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と水溶性亜鉛化合物と鉱酸とを反応させた後、副生成物を除去する工程、を含む、上記[1]記載の合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
なお、本発明において、数値範囲に関する「数値1~数値2」という表記は、数値1を下限値とし数値2を上限値とする、両端の数値1及び数値2を含む数値範囲を意味し、「数値1以上数値2以下」と同義である。
【0010】
(合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩)
本発明の合成無定形アルミニウム-亜鉛結合ケイ酸塩(以下「Al-Zn結合ケイ酸塩」と略称する。)は、以下(1)~(5)の特性をすべて備えたものである。
(1)アルミニウムがAl2O3としてSiO2に対し0.5~7.5質量%の範囲である。
(2)5質量%スラリーpHが8.0~10.0の範囲である。
(3)細孔径が1.5~4.0nmの範囲である。
(4)OH基量がSiO2に対し2.5~8.0質量%の範囲である。
(5)亜鉛がZnOとしてSiO2に対し0.02~1.0質量%の範囲である。
【0011】
合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(以下「Al結合ケイ酸塩」と略称する。)は、特許文献1~4に記載されているように、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを反応させて得られるものである。Al-Zn結合ケイ酸塩は、Al結合ケイ酸塩に亜鉛が含有されたものであるため、Al結合ケイ酸塩が備えていた特性(1)~(4)を同様に備え、さらに亜鉛量に関する特性(5)を備えるものである。Al-Zn結合ケイ酸塩において亜鉛がどのような形態で含有されているかは不明であるが、例えば、Al結合ケイ酸塩に亜鉛が包含された形態、Al結合ケイ酸塩の少なくとも一部が亜鉛で被覆された形態、これらが併存した形態等が考えられる。
【0012】
特性(1)におけるAl-Zn結合ケイ酸塩中のアルミニウム含量の範囲は、研磨性の観点から規定したものである。この範囲は、好ましくは1.0~6.0質量%の範囲であり、より好ましくは1.5~4.5質量%の範囲である。
【0013】
特性(2)の5質量%スラリーpHの測定方法は、Al-Zn結合ケイ酸塩5gを脱イオン水95mlに入れ、撹拌して懸濁液を調製し、医薬部外品原料規格一般試験法のpH測定法により撹拌2分経過後にpH値を読み取るものである。5質量%スラリーpHの範囲は、好ましくは9.0~10.0の範囲である。
【0014】
特性(3)におけるAl-Zn結合ケイ酸塩の細孔径の測定方法は、日本ベル(株)製BELSORP MINIを使用し、液体窒素を冷却剤に用い、-196℃において窒素ガスを吸着させ、その窒素ガスの吸着量からDollimore-Heal法により細孔径分布を算出し、その最大頻度径を細孔径とするものである。なお、脱ガスは120℃で60分間行う。
【0015】
特性(4)におけるAl-Zn結合ケイ酸塩中のOH基量の測定方法は、(株)リガク製 Thermo Plus EVO2を使用し、190℃~900℃間の重量変化により、下記式を用いてOH/SiO2(質量%)を算定し、これをOH基量とする。なお、OH基量は190℃~900℃の間に放出される水の量と同一とする。
式:OH/SiO2(質量%)=(190℃焼成後の質量-900℃焼成後の質量)/190℃焼成後の質量
【0016】
Al結合ケイ酸塩は、歯牙を損傷させない低研磨性、及び高清掃性を有するものである。特性(5)は、Al結合ケイ酸塩と同様の低研磨性を有しながらも、Al結合ケイ酸塩の有する高清掃性をさらに向上させることに寄与するものである。特性(5)におけるAl-Zn結合ケイ酸塩中の亜鉛含量の範囲は、好ましくは0.05~0.5質量%の範囲であり、より好ましくは0.05~0.1質量%の範囲である。
【0017】
一般に、歯磨用研磨剤の研磨性を評価する方法としてRDA(Radioactive Dentin Abration:放射性象牙質研磨)法が、清掃性を評価する方法としてタバコヤニ法が知られているが、評価方法が煩雑であったり、コストが多くかかる等の問題があるため、本発明では以下の評価指標を用いるものである。
【0018】
研磨性の評価指標は、金銀パラジウム合金板研磨減量である。金銀パラジウム合金板として、ジーシー製Castwell M.C. 12%GOLDを用いる。その測定方法は、水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、Al-Zn結合ケイ酸塩を15質量%として含む60質量%グリセリン水溶液を金銀パラジウム合金板上に載せ、荷重400gをかけてストローク20mmで10,000回研磨した後、金銀パラジウム合金板の減量を測定するものである。その研磨減量は、低研磨性が望まれるため、1.0mg以下であることが好ましい。
【0019】
清掃性の評価指標は、銅板研磨減量である。銅板研磨減量の測定方法は、水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、Al-Zn結合ケイ酸塩を15質量%として含む60質量%グリセリン水溶液を表面平滑な銅板上に載せ、荷重400gをかけてストローク20mmで20,000回研磨した後、銅板の減量を測定し、これを銅板研磨減量とするものである。銅板研磨減量が大きいほど、清掃力が高いと評価することができる。
【0020】
Al-Zn結合ケイ酸塩の好適な一形態は、透明度が50%以上となるものである。この透明度の測定方法は、D-ソルビトールと水を適当量混合して種々の屈折率を持つ分散媒を調製し、各分散媒18gに試料としてAl-Zn結合ケイ酸塩2gを分散させ、真空脱気する。この混合物の25℃における屈折率と透明度(波長590nm、光路長10mm)を測定し、屈折率-透明度曲線を描き、透明度が最大となる時の混合物の屈折率を試料の屈折率とし、また、その時の透明度を試料の透明度とする。
【0021】
(製造方法)
Al-Zn結合ケイ酸塩の好適な製造方法は、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と水溶性亜鉛化合物と鉱酸とを反応させた後、副生成物を除去する工程、を含むものである。
【0022】
上記工程において、反応操作の具体例は、反応槽に水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質を投入し、これに水溶性アルミニウム塩、水溶性亜鉛化合物及び鉱酸を同時又は別々に添加し反応させるものである。反応を円滑に進めるためには加熱することが好ましく、加熱温度として60~100℃の範囲内が好ましい。また、反応終了時のpHが6~9の範囲内となることが好ましい。
【0023】
上記工程において、副生成物の除去操作の具体例は、水を用いた洗浄である。また、洗浄の前にろ過をおこなってもよく、ろ過により得られるウェットケーキをその数倍量の水に分散させて洗浄する方法が好例である。副生成物は、Al-Zn結合ケイ酸塩の構成から外れたものであり、原料由来の未反応物、反応により生成した塩類、それらのイオン等が挙げられる。なお、副生成物の除去度合いは、歯磨用研磨剤としての用途に支障のない範囲であればよく、完全に除去することは要しない。
【0024】
上記工程の後に、任意の工程として、得られたAl-Zn結合ケイ酸塩が特性(2)を満たすように、pHを酸又はアルカリで調整するpH調整工程を設けてもよい。ここでの酸は、鉱酸が好例であり、アルカリは、ナトリウムの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が好例である。更に、任意の工程として、Al-Zn結合ケイ酸塩を固形分として回収する工程を設けてもよい。当該回収には、ろ過、乾燥等の公知の方法を用いることができる。
【0025】
水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の好例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等である。その使用方法としては、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質を予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液に含有させることが好ましい。その使用量は、M2O(ただし、Mはアルカリ金属を示す)として水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対し5~30質量%の範囲が好ましい。この範囲は、Al-Zn結合ケイ酸塩が低研磨性を有するのに好適である。
【0026】
水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の好例は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等であるが、比較的安価な点からケイ酸ナトリウムが好ましい。その使用量は、SiO2/M2O(ただし、Mはアルカリ金属を示す)のモル比として2~4の範囲が好ましい。水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液を用いるときは、SiO2濃度が5~15質量%の範囲内のものが好ましい。
【0027】
水溶性アルミニウム塩の好例は、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等である。その使用量は、Al2O3として、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対して0.5~7.5質量%の範囲が好ましく、より好ましくは1.0~6.0質量%の範囲である。
【0028】
水溶性亜鉛化合物の好例は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等である。その使用量は、ZnOとしてSiO2に対し0.05~0.5質量%の範囲が好ましい。
【0029】
水溶性アルミニウム塩と水溶性亜鉛化合物の量を適切に設計することによって、所望する高清掃性を得ることができる。例えば、Al2O3/SiO2(質量%)にZnO/SiO2(質量%)を乗じた値が0.05~3の範囲であることが好ましい。上記範囲の下限は、0.1であることがより好ましい。また、上限は、2.5であることがより好ましく、更に好ましくは2である。
【0030】
鉱酸は、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の酸性化剤として作用するものであり、好例は、塩酸、硫酸、硝酸等である。鉱酸の濃度は、5~25質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10~20質量%の範囲内である。
【0031】
Al-Zn結合ケイ酸塩は、歯磨用研磨剤としての特性に優れているため、歯磨剤の原料として好適に使用することができる。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0033】
〔実施例1~5〕
150mmφタービン翼を有する攪拌機を設けた20L容邪魔板付き反応容器に、10質量%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液10kgを入れ、これに塩化ナトリウムをNa2O/SiO2として6.4質量%となるように混合し、反応温度を95℃に保持した。更に表1に示した割合になるように、8質量%Al2O3硫酸アルミニウム水溶液、8質量%ZnO硫酸亜鉛水溶液及び10質量%硫酸の混合溶液を50ml/minの速度で添加し、次いで10質量%硫酸をpH6.5になるまで添加した。次に、生成したスラリーをろ過し、得られたウェットケーキを洗浄した。この洗浄時にスラリーpHを測定したところ、pHが8.0近辺であった。その後、ろ過・乾燥を行い、実施例1~5のAl-Zn結合ケイ酸塩を製造した。
【0034】
〔参考例1〕
硫酸亜鉛水溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同一条件で製造し、Al結合ケイ酸塩を得た。
【0035】
実施例1~5のAl-Zn結合ケイ酸塩及び参考例1のAl結合ケイ酸塩の成分組成を分析したところ、ほぼ仕込み通りであった。これにより、実施例1~5のAl-Zn結合ケイ酸塩はいずれも特性(1)及び(5)を満たし、参考例1のAl結合ケイ酸塩は特性(1)を満たすものであった。
【0036】
【0037】
実施例1~5のAl-Zn結合ケイ酸塩及び参考例1のAl結合ケイ酸塩について、下記の分析を行い、結果を表2に示した。なお、以下の各分析の説明において、「試料」は上記Al-Zn結合ケイ酸塩又はAl結合ケイ酸塩を意味する。
・5質量%スラリーpH
試料5gを脱イオン水95mlに入れ、撹拌して懸濁液を調製し、医薬部外品原料規格一般試験法のpH測定法により撹拌2分経過後にpH値を読み取った。
・細孔径
日本ベル(株)製BELSORP MINIを使用し、液体窒素を冷却剤に用い、-196℃において試料に窒素ガスを吸着させ、その窒素ガスの吸着量からDollimore-Heal法により細孔径分布を算出し、その最大頻度径を細孔径とした。なお、脱ガスは120℃で60分間行った。
・OH基量
(株)リガク製 Thermo Plus EVO2を使用し、190℃~900℃間の試料の重量変化により、下記式を用いてOH/SiO2(質量%)を算定し、これをOH基量とした。なお、OH基量は190℃~900℃の間に放出される水の量と同一とした。
式:OH/SiO2(質量%)=(190℃焼成後の質量-900℃焼成後の質量)/190℃焼成後の質量
・研磨性
金銀パラジウム合金板(ジーシー製Castwell M.C. 12%GOLD。長方形。1枚の大きさは、長辺約13mm、短辺約8mm)を6枚用意し、これを短辺同士が接するようにガラス容器(内寸:縦62mm×横28mm×高さ10.5mm)の底面に配置し固定したものを金銀パラジウム合金の供試板(長辺約48mm、短辺約13mm)とした。
試料を15質量%として含む60質量%グリセリン水溶液10gを上記供試板上に載せ、歯ブラシ(サンスター(株)製 ガム・デンタルブラシ #211)に荷重400gをかけ、供試板の長辺と平行な方向にストローク20mmで10,000回供試板を研磨した後、供試板の減量を測定した。
・清掃性
試料を15質量%として含む60質量%グリセリン水溶液10gをガラス容器(内寸:縦62mm×横28mm×高さ10.5mm)の底面に固定した表面平滑な銅板上に載せ、歯ブラシ((株)UFCサプライ製 デントインクリアウインドSV)に荷重400gをかけ、ストローク20mmで20,000回研磨した後、銅板の減量を測定した。この減量が大きいほど、清掃力が高いと評価することができる。
・屈折率、透明度
D-ソルビトールと水を適当量混合し、種々の屈折率を持つ分散媒を調製し、各分散媒18gに試料2gを分散させ、真空脱気した。この混合物の25℃における屈折率と透明度を測定し、屈折率-透明度曲線を描き、透明度が最大となる時の混合物の屈折率を試料の屈折率とし、また、その時の透明度を試料の透明度とした。屈折率測定には(株)アタゴ製アッペ屈折率計、透明度測定には日本分光(株)製V-670を用いた。透明度測定における波長は590nmであり、光路長10mmの透明セルを用いた。
【0038】
【0039】
表2に示したように、実施例1~5のAl-Zn結合ケイ酸塩及び参考例1のAl結合ケイ酸塩は、いずれも特性(2)~(4)を満たすものであった。
【0040】
研磨性について、実施例1~5のAl-Zn結合ケイ酸塩と、参考例1のAl結合ケイ酸塩とは、ほぼ同等の研磨値を示した。また、それらの研磨値は、低研磨性と言えるものであった。
【0041】
一方、清掃性について、参考例1のAl結合ケイ酸塩は高い清掃性を有していたが、実施例1~5のAl-Zn結合ケイ酸塩はそれよりもさらに高い清掃性を有するものであることが分かった。