IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ コーニング コーポレーションの特許一覧 ▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】シリコーンポリエーテル泡制御剤
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/04 20060101AFI20230322BHJP
   C09K 23/54 20220101ALI20230322BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230322BHJP
   C11D 1/94 20060101ALI20230322BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20230322BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230322BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20230322BHJP
   C08G 77/46 20060101ALI20230322BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B01D19/04
C09K23/54
C11D3/37
C11D1/94
C11D3/26
C11D3/20
C08G81/00
C08G77/46
C09K3/00 111B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021575416
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 US2020026809
(87)【国際公開番号】W WO2020263379
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】62/865,560
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロスティス、ジャクリーン
(72)【発明者】
【氏名】モン、シアオ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルンチ、オグズ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルグト、ハティス
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-212403(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087628(WO,A1)
【文献】特開2008-024760(JP,A)
【文献】特開2018-184372(JP,A)
【文献】特開平1-211516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00-19/04
C08G 81/00-85/00
C08G 77/00-77/62
C09K 23/00-23/56
C09K 3/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
状ポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを含む、泡制御剤であって、前記ブロックコポリマーが、以下の式:
【化1】
(式中、Rは、同じまたは異なり、かつ1~30個の炭素原子を有する一価の炭化水素またはアルコキシ基から独立して選択され、2つ以上あるR’は、互いに同じまたは異なり、それぞれが2~6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基から独立して選択され、Yは、2~6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基または単結合であり、Xは、2~22個の炭素原子を有する二価の炭化水素または単結合から選択され、Zは、水素、R、およびアシル基から選択され、mは、10~200の整数であり、nは、2~60の整数である)で表される、泡制御剤
【請求項2】
前記ブロックコポリマーが、15~85重量%の前記ポリオルガノシロキサンブロックを含む、請求項1に記載の泡制御剤。
【請求項3】
前記ブロックコポリマーが、600~20,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の泡制御剤。
【請求項4】
前記ブロックコポリマーが、50~10,000cStの粘度を有する、請求項1に記載の泡制御剤。
【請求項5】
Rが、同じまたは異なり、Me(メチル)、Et(エチル)、またはPh(フェニル)から独立して選択され、Zが、水素およびRから選択される、請求項に記載の泡制御剤。
【請求項6】
泡制御配合物であって、環状シロキサン、無機充填剤、およびシロキサン樹脂のうちの少なくとも1つを実質的に含まないことを特徴とする、請求項1に記載の泡制御剤を含む、泡制御配合物。
【請求項7】
環状シロキサン、無機充填剤、およびシロキサン樹脂を実質的に含まないことを特徴とする請求項に記載の泡制御配合物。
【請求項8】
2cS~100cSの粘度を有するPDMS(ポリジメチルシロキサン)をさらに含む、請求項に記載の泡制御配合物。
【請求項9】
洗浄組成物であって、請求項1に記載の泡制御剤と、界面活性剤と、を含む、洗浄組成物。
【請求項10】
液体洗剤を含むことをさらに特徴とする、請求項に記載の洗浄組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき2019年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/865560号の利益を主張する。米国仮特許出願第62/865560号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、泡制御配合物ならびに液体洗剤およびパーソナルケア製品などの洗浄組成物内でのそれらの使用を含む、泡制御剤としてのポリオルガノシロキサン-ポリエーテルブロックコポリマー(SPE)を対象とする。
【0003】
序論
シリコーン泡制御配合物は、塗料、ラテックス、セメント、肥料、石鹸、および洗剤での使用に加えて、多種多様な用途(例えば、パルプおよび紙、化学、繊維、発酵および甜菜加工、水処理、金属加工など)での使用で周知である。そのような配合物は、伝統的に複数の成分を含み、その中で最も重要なものはシリコーン「泡制御剤」である。そのような薬剤は、消泡剤、脱泡剤、泡抑制剤および泡阻害剤とも呼ばれる。泡制御剤は、低濃度で添加されると、通常は発泡液中の発泡の量を低減または制御する材料である。ポリオルガノシロキサン、より具体的には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、最も一般的な泡制御剤のうちの1つである。シリコーン泡制御配合物はまた、一般に、疎水性無機充填剤(例えば、シリカ、ゼオライトなど)および配合物の分散を促進し、かつ配合物がエマルジョンとして提供されるときに安定性を提供する乳化剤を含む。例えば、US3455839を参照されたい。そのような配合物はまた、一般に、ポリオルガノシロキサンポリエーテルコポリマー(SPE)を含む性能調整剤として溶媒または分散剤を含む。例えば、US3784479、US3984347、US4983316、US6372830、US6512015、US7294653、およびUS9777121を参照されたい。線状、分岐、「レーキ」、および「ジェミニ」タイプの構造を含む、いくつかの異なるSPE構造が記載されている。染料用途で使用するための交互ブロックSPE、シリカ、および乳化剤を含む泡制御配合物について記載しているJP2001201403も参照されたい。
【0004】
シリコーン含有泡制御配合物は、洗濯、調理および食器、ならびにパーソナルケア用途で使用される洗浄組成物内に組み込まれ得る。例えば、US3933672、US6686327、US8492325、US9120997、US9133421、US10005110、US2017/0218312、およびUS2017/0233681を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
産業衛生および環境への懸念から、無機充填剤および/または環状シロキサンの量を低減した新しい泡制御配合物の開発への関心が高まっている。シロキサン樹脂(「MQ」樹脂)の含有を低減または排除することにより、泡制御配合物のコストおよび複雑さをさらに低減することにも関心がある。残念ながら、これらの成分の低減または除去は、泡制御性能に悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明は、10~200のDPを有するポリオルガノシロキサンの単一ブロックと、2~60のDPを有する単一ブロックのポリオキシアルキレンブロックと、を含む線状ポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを含む泡制御剤を含む。コポリマーは、式Iで表され得る:
【化1】
式中、Rは、同じまたは異なり、かつ1~30個の炭素原子を有する一価の炭化水素またはアルコキシ基から独立して選択され、R’は、同じまたは異なり、2~6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基から独立して選択され、Yは、2~6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基または連結結合から選択され(例えば、ポリマーが縮合反応によって作製される場合)、Xは、連結結合または2~22個の炭素原子を有する二価の炭化水素から選択され、Zは、水素、R、またはアシル基から選択され、mは、10~200の整数であり、nは、2~60の整数である。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、上記の泡制御剤を組み込む泡制御配合物を含む。さらに他の実施形態では、本発明は、上記の泡制御剤またはそれを含む配合物を含む洗浄組成物を含む。本発明の泡制御剤は、伝統的な無機充填剤を使用せずに効果的な泡制御を提供する。好ましい実施形態では、対象の泡制御配合物は、本質的に無機充填剤および/または環状シロキサンを含まない。さらに別の実施形態では、対象の泡制御配合物は、本質的にシロキサン樹脂を含まない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、線状ポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを含む泡制御剤を含む。本明細書で使用される場合、「線状」という用語は、コポリマーが、分岐繰り返し単位を含む総ポリマーの5重量%未満の(AB)構造を有することを意味する。好ましい実施形態では、コポリマーは、10~200(好ましくは20~100)の重合度(「DP」)を有するポリオルガノシロキサンの単一のブロックと、2~60(好ましくは3~40)のDPを有する単一ブロックのポリオキシアルキレンブロックと、を有する(AB)構造を有する。対象のコポリマーは、上記のように式Iで表され得、各変数は以下のように定義される:
【0009】
Rの各実現値は、同じであっても異なってもよく、1~30(より好ましくは1~20、さらにより好ましくは1~8)の炭素原子を有する一価の炭化水素基およびアルコキシ基から独立して選択される。明確にするために、各Rは、コポリマー内の各々と同じであっても異なってもよいが、各Rは一価の炭化水素である。炭化水素の好ましい基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、および2-フェニルエチルを含む代表的な種を有するアルキル、アリール、およびアラルキルが含まれる。炭化水素基は、非置換であっても置換されてもよい。炭化水素基は、好ましくは脂肪族不飽和を含まない。好ましい基には、メチル(Me)、エチル(Et)、およびフェニル(Ph)が含まれる。好ましい一連の実施形態では、R基の少なくとも50%、75%、または99%はMeである。Rがアルコキシである場合、代表的なアルコキシ基には、メトキシ、エチオキシ、プロポキシ、およびフェノキシが含まれる。
【0010】
各R’は、同じまたは異なり、非置換であっても、置換されてもよい(例えば、ヒドロキシルまたはカルボン酸官能基で)2~6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基(例えば、アルキレン)から独立して選択される(すなわち、R’の各実現値は、コポリマーと同じであっても異なってもよい)。好ましい種には、エチレン、プロピレン、およびブチレンが含まれる。
【0011】
Yは、非置換であっても、エチレン、プロピレン、ブチレンを含む代表的な基で置換(例えば、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、アルキル-ヒドロキシ(例えば、-CHOH)およびカルボン酸)されてもよい2~6個の炭素原子を有する二価の炭化水素(例えば、アルキレン)基から選択される。あるいは、Yは、連結結合であり得る(例えば、ポリマーが縮合反応を介して作製される場合)。
【0012】
Xは、連結結合または非置換または置換(例えば、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、アルキル-ヒドロキシ(例えば、-CHOH)など)で置換されてもよい2~22個の炭素原子を有する二価の炭化水素(例えば、アルキレン)から選択される。
【0013】
Zは、水素、R(好ましくは1~8個の炭素原子を含む)、およびアシル基(例えば、ケトンまたはエステル基)から選択される。
【0014】
「m」は、10~200(好ましくは20~100)の整数であり、「n」は、2~60(好ましくは3~40)の整数である。
【0015】
対象のブロックコポリマーは、好ましくは、600~20,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有し、好ましくは、15~85重量%のポリオルガノシロキサンブロックを含む。コポリマーは、好ましくは、50~10,000cPの動的粘度(25℃でブルックフィールドコーンアンドプレートによって測定した場合)を有する。
【0016】
本発明のSPEブロックコポリマーは、市販の反応物(ポリオルガノシロキサンおよびポリエーテル)を使用する従来の方法論を使用して作製され得る。古典的なアプローチの1つは、ポリエーテルの不飽和末端基(例えば、アルキニル、アルケニル、または「ビニル」官能基)とポリオルガノシロキサンの水素化物(-SiH)末端基とのヒドロシリル化反応によるものである。反応の概要は、US5869727に記載されている。代表的な反応経路を以下に示す。
【化2】
【0017】
対象のブロックコポリマーの調製に使用するための適用可能なポリオルガノシロキサンは、線状であり、それぞれ式IIおよびIIIで表される。式IIIのポリオルガノシロキサンを利用する場合、末端-SiH基のうちの1つは、以下に定義されるY’基を含む反応物を使用して「エンドキャップ」され、以前に定義されたR基の形成をもたらす。
【化3】
【0018】
適用可能なポリオルガノシロキサンは、市販されているか(例えば、Sigma Aldrich製)、または周知の技術を使用して作製することができる。例えば、US5486635を参照されたい。
【0019】
対象のSPEブロックコポリマーの調製に使用するための適用可能なポリエーテルは、式IVで表される:
【化4】
式中、R’、X、Z、およびnは、以前に定義された通りであり、Y’は、2~6個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基などの不飽和有機基から選択される。アルケニル基の非限定的な例には、HC=CH-、HC=C(CH)CH-、およびHC=CH(CH-が含まれ、式中、「a」は、1~4の整数である。アルキニル基の非限定的な例には、HC≡C-、HC≡CCH-、HC≡CC(CH)-、HC≡CC(CH-、およびHC≡CC(CHCH-が含まれる。好ましいR’基は、同じであっても異なってもよく、-CHCH-、-CHCH(CH)-、および-CHCHCH-を含む。好ましい-[R’-O]-繰り返し単位には、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、およびブロックまたはランダムな順序で提供され得るEOおよびPO繰り返し単位の組み合わせが含まれる。Xは、2~22個の炭素原子を有する二価の炭化水素であり得る。非限定的な例には、-CHCH-、-CHCH(CH)-、-CHCHCH-、および-CHCH(CHOR”)-が含まれ、式中、R”は、水素またはアルキル基(好ましくは1~16個、より好ましくは1~14個の炭素原子を有する)から選択される。別の実施形態では、Xは、式Vで表されるような連結結合である:
【化5】
式中、Zは、好ましくは水素またはアルキル基(好ましくは1~8個の炭素原子を有する)である。
【0020】
対象のブロックコポリマーを形成するために使用されるポリエーテルは、線状であり、好ましくは末端位置(Y’)に位置する単一の不飽和基を含む。そのような材料の商業的な例には、Clariant Corporationから入手可能なAM250またはAM450、Adekaから入手可能なReasop SR-10、およびNOF Corporationから入手可能なPKA 7317が含まれる。
【0021】
ポリエーテルの不飽和有機基(例えば「ビニル」)とポリオルガノシロキサン(ビニル:SiH)の水素化物官能基とのモル比は、1:1であり得、式IIIで表されるポリオルガノシロキサン反応物を利用する場合、好ましくは1:1未満、より好ましくは0.75:1未満である。
【0022】
ヒドロシリル化反応は、好ましくは、触媒の存在下で行われる。好適な触媒には、第VIII族遷移金属、すなわち貴金属が含まれる。具体的な例には、いわゆるKarstedtおよびSpeierの触媒が含まれる。1つの好ましいクラスの触媒には、白金族金属含有触媒が含まれる。白金族とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、およびそれらの錯体を意味する。本明細書で有用な白金族金属含有触媒の非限定的な例は、US2823218、US3159601、US3220972、US3296291、US3419593、US3516946、US3715334、US3814730、US392862、US3923705、US3989668、US5036117、およびUS5175325に記載されるように調製された白金錯体であり、その各々が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。白金含有触媒は、白金金属、シリカゲルもしくは粉末炭などの担体上に堆積された白金金属、または白金族金属の化合物もしくは錯体であり得る。典型的な白金含有触媒には、六水和物形態もしくは無水物形態のいずれかにおける塩化白金酸、およびまたは米国特許第6,605,734号に記載されるように、塩化白金酸を脂肪族不飽和オルガノケイ素化合物、例えば、ジビニルテトラメチルジシロキサンもしくはアルケン白金シリル錯体と反応させることを含む方法により得られる白金含有触媒が含まれ、これは、1つ以上の非限定的な実施形態において、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。使用される触媒の量は、典型的には、特定の触媒に依存する。触媒は、典型的には、100万部のコポリマーに基づく総重量パーセント固形分(すべての非溶媒成分)に基づいて、少なくとも2百万分率(ppm)、典型的には、4~200ppmの白金を提供するのに十分な量で利用される。様々な実施形態では、触媒は、同じ基準で1~150重量ppmの白金を提供するのに十分な量で存在する。触媒は、単一の種として、または2つ以上の異なる種の混合物として、添加することができる。
【0023】
疎水性および親水性のブロックが存在するため、対象の泡制御剤は、「自己乳化」している。結果として、それらは、種々の液体に分散して安定化することができる。例えば、泡制御剤は、発泡液、例えば液体洗剤などの洗浄組成物に直接添加することによって利用することができる。あるいは、泡制御剤を追加の成分と組み合わせて、泡制御「配合物」を形成し得る。代表的な成分には、ポリオルガノシロキサン、例えば、2cs~100cS、より好ましくは10cS~50cSの粘度を有するDOWSIL(登録商標)200Fluidの商品名で入手可能なポリジメチルシロキサン(PDMS)が含まれる。泡制御配合物の一部として対象の泡制御剤(SPE)と組み合わせる場合、PDMSとSPEとの重量比は、好ましくは1:3~3:1である。他の代表的な成分には、鉱油、有機溶媒などが含まれる。追加の成分と組み合わせる場合、その組み合わせを混合して有機液体混合物を形成し得る。あるいは、混合物は、US5908891に記載されているように、シリコーングリコールもしくはアルキルグリコールまたは鉱油などの水分散性担体と組み合わせることができる。さらに別の実施形態では、泡制御剤は、任意選択で、好適な界面活性剤(例えば、脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキシドなど)ならびに任意選択の増粘剤および剪断下の水とともにそのような成分と組み合わせて、水中油型エマルジョンを形成してもよい。そのようなエマルジョンを調製するための方法は、周知であり、文献に記載されている。例えば、US6521586を参照されたい。
【0024】
伝統的に、泡制御配合物は、無機充填剤、環状シロキサン、およびシロキサン樹脂のうちの1つ以上を含んでいた。一般的な無機充填剤は、シリカの細かく分割された粒子を含む。シリカは、典型的には、発煙または沈殿する。他の無機充填剤は、シリケート、ゼオライト、Al、TiO、ZrO、およびそれらの組み合わせを含む。粒子は、典型的には、50~300m/gの比表面積を有する。環状シロキサン(例えば、D4、D5、およびD6)も一般的に泡制御配合物中に存在するが、現在多くの法域で規制されている。シロキサン樹脂は、泡制御配合物にも一般的に使用されている。例えば、US4145308、US5082590、およびUS6207722を参照されたい。そのような樹脂は、一般に「MQ」樹脂と呼ばれ、0.25~0.75対1の相対モル比で主に単官能性(RSiO1/2)および四官能性(SiO)単位を含む。
【0025】
一連の実施形態では、本発明の泡制御配合物は、無機充填剤、環状シロキサン、およびシロキサン樹脂のうちの1つ以上の伝統的な含有物を除外または最小化する。例えば、一連の実施形態では、対象の配合物は、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、さらには0重量%の無機充填剤を含む。0.1重量%未満の無機充填剤を含む配合物は、本明細書では、無機充填剤を「実質的に含まない」ものとして特徴付けられる。別の一連の実施形態では、対象の配合物は、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.01重量%未満、さらには0重量%の環状シロキサンを含む。0.01重量%未満の環状シロキサンを含む配合物は、本明細書では、環状シロキサンを「実質的に含まない」ものとして特徴付けられる。別の一連の実施形態では、対象の配合物は、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、さらには0重量%のシロキサン樹脂を含む。0.1重量%未満のシロキサン樹脂を含む配合物は、本明細書では、シロキサン樹脂を「実質的に含まない」ものとして特徴付けられる。本発明の様々な実施形態は、無機充填剤、環状シロキサン、およびシロキサン樹脂のうちの1つ、2つ、または3つを実質的に含まない。
【0026】
対象の泡制御剤およびその配合物は、本発明の洗浄組成物に組み込まれ得る。そのような洗浄組成物は、液体、ゲル、ペースト、棒、粒状、および粉末の形態を含むがこれらに限定されない種々の形態で提供され得る。そのような組成物は、身体および毛髪の洗浄などのパーソナルケアに加えて、洗濯物、調理器具、ならびに食卓用食器(食器および皿類を含む)、硬表面を含むがこれらに限定されない種々の洗浄用途で使用され得る。好ましい実施形態では、対象の洗浄組成物は、洗濯物を洗浄するための液体洗剤配合物である。代表的な洗剤配合物は、少なくとも1つの界面活性剤を含む。代表的な界面活性剤は、M.C.Publishing Co.が発行したMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,1989 Annualに記載されている。適用可能な界面活性剤には、非イオン性(例えば、多糖類、オキシレート、アミンオキシド、脂肪酸アミド)、両性、双性イオン性、カチオン性(アルキルアンモニウム塩)、およびアニオン性(例えば、スルホネート、ポリアルコキシル化カルボキシレート)界面活性剤が含まれる。適用可能な洗剤配合物は、任意選択で、石鹸(すなわち、脂肪酸カルボキシレート)、担体、ビルダー、香料、構造剤、補助剤、光沢剤、酵素、染料、ハイドロトロープ、溶媒、分散剤、色相剤、およびレオロジー調整剤のうちの1つ以上を含み得る。好ましい実施形態では、液体洗剤配合物は、少なくとも1つの界面活性剤と、0.001~4.0重量%(より好ましくは0.01~2.0重量%)の対象の泡制御剤と、を含む。
【0027】
本発明の多くの実施形態が記載されており、いくつかの事例では、特定の実施形態、選択、範囲、成分、または他の特徴が「好ましい」として特徴付けられている。「好ましい」特徴のそのような指定は、決して本発明の本質的または重要な側面として解釈されるべきではない。表現された範囲は、具体的に指定された終点を含む。
【実施例
【0028】
発泡に対する様々なSPEの影響を実証するために、Herscheelミキサーを使用して、様々なSPE泡制御剤をモデル洗浄組成物(液体洗剤)に混合することにより、いくつかのサンプル洗浄組成物を調製した。洗浄組成物の成分を以下の表1に示す。例示的な洗浄組成物ごとの泡制御性能は、メスシリンダー中の300mlの水道水に0.7gの洗浄組成物(SPE泡制御剤を含む)を添加することによって測定した。次いで、シリンダーを9分間回転させて毎分30回転させた後、泡の高さを測定した。結果の要約を表2に示す。各サンプルSPEを調製するための方法を以下に示す。
【0029】
実施例1:100mlの3つ口結合底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D150-Mを、Reasorp ER-10(1.1当量)の商品名でAdekaによって供給された3.47gのアリル分岐アルキル-EO10と混合した混合物を、上部にコンデンサーを備え、Nを充填した磁気撹拌機を使用して、室温(RT)で撹拌した。1mLのイソプロピルアルコール(IPA)を溶液に添加し、続いて室温で約10分間撹拌した。温度を85℃まで上昇させ、80℃に達したときにPt触媒を添加した。イソプロパノール中の塩化白金酸のストック溶液から触媒を取り出し、2ppmのPtをフラスコに添加した。反応を85℃で3時間実行させた。その後、1.27gのビニルトリエトキシシラン(VTES)(1.5当量)とさらに2ppmのPt触媒をエンドキャップの残りの-SiH基に添加した。温度を85℃で2時間維持した後、カーディス(ドライアイス)に入れた50mLの丸底を使用して、1200RPMで撹拌しながら85℃で約3mbarの圧力で約1時間過剰なVTESを除去した。
【0030】
実施例2:100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D60-Mを、PKA7317(1.1当量)の商品名でNOFによって供給された18.04gのアリル-EO5PO21と混合した混合物を、上部にコンデンサーを備え、Nを充填した磁気撹拌機を使用して、RTで撹拌した。この溶液に1mLのIPAを添加した。内容物をRTで約10分間撹拌した。温度を85℃まで上昇させた。温度が80℃に達したとき、Pt触媒を添加した。イソプロパノール中の塩化白金酸のストック溶液から触媒を取り出し、2ppmのPtをフラスコに添加した。反応を85℃で3時間実行させた。3時間の終わりに色は、琥珀色に澄んだ。1200RPMで1時間撹拌を維持しながらフラスコを開くことにより、残留IPAを除去した。残りの-SiH基は、未反応のままであった。
【0031】
実施例3:100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D60-Mを、AM450(1.1当量)の名前でClariantによって供給された5.41gのアリルEO10Meと混合した。反応は、実施例2に記載したのと同様に行った。
【0032】
実施例4:100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50gのM-D60-Mブチル(1当量)を、5.87g(1.1当量)のAM250の名前でClariantによって供給された2.98gのアリル-EO5と混合した。反応は、実施例2に記載したのと同様に行った。
【0033】
実施例5:100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D60-Mを、PKA7317(1.1当量)の商品名でNOFによって供給された18.04gのアリルEO5PO21と混合した。実施例2に記載されているのと同じ反応条件下で、IPAおよび触媒を添加した。次いで、1.42gのアルファメチルスチレン(Aldrich)(1.1当量)とさらに2ppmのPtを添加して、残りの-SiH基をエンドキャップする。温度を85℃まで3時間上昇させた後、VTESに関して実施例1に記載されているように過剰なメチルスチレンを除去した。
【0034】
実施例6:100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D80-Mを、AM450(1.1当量)の名前でClariantによって供給された4.09gのアリルEO10と混合した。実施例1に記載されているのと同じ反応条件下で、IPAおよび触媒を添加した。次いで、得られた生成物を冷却し、次いで、3.14gのビニルトリエトキシシラン(VTES)(2当量)とさらに2ppmのPtを添加して、残りのSiHをエンドキャップする。温度を85℃に3時間設定した。実施例1で記載されているように、過剰なVTESを除去した。
【0035】
実施例7:Heerschelミキサーでの使用に好適な50mlのプラスチック中に、10gの実施例6の流体を、10gのDow Corning 200 Fluid 20cStと混合した。
【0036】
実施例8:100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D40-Mを、AM450(1.1当量)の名前でClariantによって供給された8.0gのアリルEO10Meと混合した実施例2に記載したのと同じ反応条件下でIPAおよび触媒を添加し、同様に残留IPAを除去した。
【0037】
実施例9:(シリカを添加した実施例8との比較)Heerschelミキサーでの使用に好適な50mlのプラスチックカップ中に、19gの実施例8の流体を、1gの疎水性沈降シリカ(Sipernat D10)と混合した。次いで、得られた混合物をローターステーターミキサー(Silverson(登録商標))に通して、シリカ粒子を流体中に適切に分散させる。
【0038】
実施例10:(A(B)ペンダント構造を使用した実施例8との比較)100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のMD38D 2Mを、AM450(1.1当量)の名前でClariantによって供給された8.8gのアリルEO10と混合した実施例1に記載されているのと同じ反応条件下で、IPAおよび触媒を添加した。次いで、得られた生成物を冷却し、4.65gのビニルトリエトキシシラン(VTES)(1.5当量)および追加の2ppmのPtを添加して残りの-SiH基をエンドキャップした。温度を85℃で3時間維持し、実施例1に記載したように過剰なVTESを除去した。
【0039】
実施例11:(ABA構造を使用した実施例2との比較)100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D60-Mを、PKA7317(2.2当量)の商品名でNOFによって供給された36.08gのアリルEO5PO21と混合した。実施例2に記載されているのと同じ反応条件下で、IPAおよび触媒を添加した。3時間の終わりに色は、琥珀色に澄んだ。実施例2で記載したように、残留IPAを除去した。
【0040】
実施例12:(ABA構造を使用した実施例3との比較)100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(1当量)のM-D60-Mを、AM450(2.2当量)の商品名でClariantによって供給された10.8gのアリルEO10Meと混合した実施例2に記載されているのと同じ反応条件下で、IPAおよび触媒を添加した。3時間の終わりに色は、琥珀色に澄んだ。実施例2で記載したように、残留IPAを除去した。
【0041】
実施例13:((AB)2A構造を使用した実施例3との比較)100mlの3つ口丸底フラスコ中で、50g(2当量)のM-D60-Mを、Uniox DMUS-5(3当量)の商品名でNOFによって供給された11.48gのアリルEO13アリルと混合した。反応は、実施例2に記載したのと同様に行った。
【0042】
実施例14:((AB)構造を使用した例3との比較)。100mlの3つ口丸底フラスコ中で、25g(1当量)のM-D60-Mの第1部分を、Uniox DMUS-5(2当量)の商品名でNOFによって供給された7.65gのアリルEO13アリルと混合した実施例2に記載したのと同様に反応を行い、続いて反応温度を85℃に維持しながら、25g(1当量)のM-D60-Mを滴下した。反応を85℃で3時間実行させた。実施例2に記載したのと同様に残留IPA。
【表1】
【表2】
【0043】
表2に要約された結果に示されているように、類似の化学組成を有するが構造が異なるSPE(すなわち、A(B)、ABA、(AB)2A、および(AB))は、対照配合物に対してほとんどまたはまったく改善を示さない一方、本発明の様々なSPEは、発泡の減少を示した。また、驚くべきことに、シリカ充填剤(実施例9)を添加しても、充填剤を含まない同じSPE(実施例8)よりも発泡が改善されなかった。
【0044】
洗浄組成物(液体洗剤)の泡制御性能は、フロントローディング式洗濯機(Miele W1914)を使用してさらに測定した。0.5重量%の指定されたSPE泡制御剤を含有する35gの液体洗剤を、20℃の15リットルの水および9枚の綿タオルとともに洗濯機の洗濯槽に添加した。次いで、機械洗浄を開始し、泡のレベルを洗浄およびすすぎサイクル全体を通して視覚的に決定した。結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0045】
実施例7に示されるように、対象のSPE泡制御剤と組み合わせてPDMSを含めることは、追加の泡制御をもたらした。