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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20230324BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F13/20 205
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019043290
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020148347
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 雅和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大和
(72)【発明者】
【氏名】殿垣内 崇
【審査官】原 泰造
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054205(JP,A)
【文献】特開2017-122518(JP,A)
【文献】特開2017-180846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された空気を吸込む吸込口を有するフード本体と、
前記フード本体の内部に設けられ、前記吸込口から吸込まれた空気を排気するファンと、前記ファンを内包するファンケーシングと、
前記ファンを洗浄する洗浄水を溜める給水容器と、
前記ファンケーシングから排出される排水を溜める排水容器と、
前記給水容器から供給される洗浄水を加熱するヒータと、
前記フード本体の内部に設けられ、前記給水容器と前記排水容器を前記フード本体に装着するための装着部材と、を備え、
前記ヒータを前記フード本体の内部に設け、
前記ヒータにより洗浄水を加熱して発生させたスチームを前記ファンへ噴霧し、
前記スチームを噴射するスチーム噴射口は前記ファンケーシングの側面に設けられることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
油を捕集する油捕集機構部を前記ファンに設けたことを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記給水容器に水位検知センサを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機能を備えたレンジフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のレンジフードは、調理で発生する油煙や埃等を捕集する目的として、油捕集機構部が取り付けられている。
【0003】
この油捕集機構部は使用とともに汚れが付着するため、性能が低下したり、捕集部から油垂れが生じたりするので、定期的に掃除を行う必要があった。なお、それは排気用に設けられた羽根車についても同様である。
【0004】
掃除の手間を軽減する目的で、油捕集機構部を自動的に浄化する手段として、油捕集機構部に駆動装置を取り付けて回転させることにより、遠心力で汚れを除去する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
以下、そのレンジフードについて図6を参照しながら説明する。
【0006】
図6に示すように、汚れた空気101は、吸込口102を通過して排気ファン103の上流に配置されたフィルター104を通過する。このフィルター104を回転させる駆動装置105と、フィルター104の汚れを検知するセンサー106とを備えることで、フィルター104の汚れを検知してフィルター104を駆動装置105で回転させ、汚れを遠心力で除去する。
【0007】
また、給排水容器に溜められた洗浄用の水を加熱装置で昇温し、発生したスチームを羽根車に噴射して洗浄する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
以下、そのレンジフードについて図7を参照しながら説明する。
【0009】
図7に示すように、給排水容器201に溜められた洗浄の水を給水ノズル202を通じてファンボックス上部に設けた加熱装置203に供給する。給水ノズル202はフード本体前方の下部に設けた給水口204よりフード本体に取り込む。加熱装置203で昇温し、発生させたスチーム(図示せず)を羽根車205に噴射して汚れを除去する。洗浄後の水は排水ノズル206を通じて給排水容器201に回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平3-164639号公報
【文献】CN207438678U号公告
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような従来のレンジフードにおいては、洗浄用の水を入れた給排水容器から水をポンプで汲み上げて、洗浄後の水を再び給排水容器に回収する洗浄工程中、使用者は給排水容器を手で保持し続ける必要があるという課題を有していた。
【0012】
また、レンジフードの下面側(加熱調理装置側)に設けた給水口から洗浄水を本体上部に設けたヒータまでポンプで汲み上げるのに過大なエンルギーを費やすことや、本体上部まで汲み上げる性能を有するポンプを必要とする、という課題を有していた。
【0013】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、洗浄工程中に使用者が給排水容器を手で保持し続ける必要がなく、また、洗浄時の消費エネルギーを抑制できるレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、この目的を達成するために、本発明の一態様に係るレンジフードは、汚染された空気を吸込む吸込口を有するフード本体と、前記フード本体の内部に設けられ、前記吸込口から吸込まれた空気を排気するファンと、前記ファンを内包するケーシングと、前記ファンを洗浄する洗浄水を溜める給水容器と、前記ファンケーシングから排出される排水を溜める排水容器と、前記給水容器から供給される洗浄水を加熱するヒータと、前記フード本体の内部に設けられ、前記給水容器と前記排水容器を前記フード本体に装着するための装着部材と、を備え、前記ヒータにより洗浄水を加熱して発生させたスチームを前記ファンへ噴霧する構成としたものであって、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洗浄工程中に使用者が給排水容器を手で保持し続ける必要がなく、また、洗浄時の消費エネルギーを抑制したレンジフードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態のレンジフードを示す側面断面図
図2】本発明の実施の形態のレンジフードを示す正面断面図
図3】給水開始時のレンジフードを示す正面断面図
図4】スチーム噴射口の拡大図
図5】排水完了時のレンジフードを示す正面断面図
図6】従来のレンジフード(1)を示す側面構成図
図7】従来のレンジフード(2)を示す側面構成図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一態様に係るレンジフードは、汚染された空気を吸込む吸込口を有するフード本体と、前記フード本体の内部に設けられ、前記吸込口から吸込まれた空気を排気するファンと、前記ファンを内包するファンケーシングと、ファンケーシングを洗浄する洗浄水を溜める給水容器と、前記ファンケーシングから排出される排水を溜める排水容器と、前記給水容器から供給される洗浄水を加熱するヒータと、前記フード本体の内部に設けられ、前記給水容器と前記排水容器を前記フード本体に装着するための装着部材とを備え、前記ヒータにより洗浄水を加熱して発生させたスチームを前記ファンへ噴霧する。
【0018】
この構成によれば、洗浄水を給水容器に満たして装着部材を介してフード本体に装着する。そして、洗浄水を給水ポンプで汲み上げ、ファンボックス内部に設けたヒータで昇温させることでスチームを発生させて、羽根車にスチームを噴射できる。これにより、給水容器および排水容器を、装着部材を介してフード本体に装着することで、洗浄工程中に使用者が給排水容器を手で保持し続ける必要がなくなる。また、給水容器をフード本体内部に設けることで、洗浄水を汲み上げるエネルギーを小さくすることができるので、洗浄時の消費エネルギーを抑制できるレンジフードを得ることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、レンジフードは、フード本体1と、排気装置2と、ファンケーシング3と、給水容器4と、排水容器5と、装着部材6と、加熱装置23(ヒータ)とを備える。
【0021】
フード本体1は吸込口7を有する。調理器(図示せず)の上方において、調理にて発生した油煙や周囲に浮遊する埃である微小物を捕集する吸込口7を使用者(図示せず)が立っている前方側に設ける。
【0022】
フード本体1の天面には、屋外と連通したダクト8を介して連通する吐出口9を設ける。フード本体1の内部には遠心ファンである羽根車10を包括したファンケーシング3を配設する。
【0023】
排気装置2は、羽根車10(ファンに相当)およびモータ11で構成される。排気装置2およびファンケーシング3は、ファンボックス21の内部に設けられる。排気装置2の運転は制御部(図示せず)により制御される。
【0024】
フード本体1の内部において、羽根車10を介し吸込口7と吐出口9を結ぶ通風路12を形成している。
【0025】
フード本体1内の吸込口7の近傍には平坦な整流板13が設けられる。
【0026】
羽根車10には油や埃を捕集するための油捕集機構部14が設けられる。
【0027】
図3に示すように、給水容器4の上方には、給水容器4に供給された洗浄水15を汲み上げる給水ポンプ16と、給水容器4から給水ポンプ16を結ぶ給水ノズル17が設けられる。給水容器4には、供給された洗浄水15の水位を検知する水位検知センサ(図示せず)が設けられる。
【0028】
図5に示すように、ファンケーシング3の下部には、洗浄後の排水を排出するための排水弁18が設けられ、排水弁18が開放されると排水19が排出され、排水ノズル20を通じて排水容器5に回収される。
【0029】
装着部材6は、例えばフード本体1の内部奥側に設けられる。
【0030】
給水容器4および排水容器5は、装着部材6に装着され、装着部材6を介してフード本体1に装着される。
【0031】
図4に示すように、フード本体1の上部を構成するファンボックス21の内部には、給水容器4に供給された洗浄水15を昇温し、スチーム22を発生させる加熱装置23が設けられる。加熱装置23は、例えば給水容器4の直上に設けられる。
【0032】
加熱装置23で発生したスチーム22は、ファンケーシング3に設けられたスチーム噴射口24より羽根車10および油捕集機構部14に噴射される。
【0033】
加熱装置23は、水位検知センサが、基準量の洗浄水15が給水容器4に入れられていることを検知した場合に通電するように制御される。
【0034】
ここで、本実施形態のレンジフードの基本的な内容を説明する。
【0035】
油煙等を含む空気は、排気装置2によって吸込口7から吸い込まれ、通風路12を通って、吐出口9から吐き出される。
【0036】
この際、油捕集機構部14に油等を付着させて回収する。油捕集機構部14に付着した油煙や埃等を取り除くためには油捕集機構部14を洗浄する必要がある。
【0037】
洗浄は、ファンケーシング3内において羽根車10および油捕集機構部14に対し、洗浄水15を加熱装置23で昇温して発生させたスチーム22を、スチーム噴射口24より噴射することにより行う。スチーム噴射口24は例えば、ファンケーシング3の側面に設けられる。
【0038】
使用者は、給水容器4に洗浄水15を供給して、フード本体1に設けられた装着部材6に装着する。洗浄水15は、例えば水もしくは湯である。
【0039】
洗浄運転の指示が制御部に入力されると、水位検知センサは、給水容器4に供給されている洗浄水15の水位を検知する。十分な洗浄水が供給されていることを水位検知センサが検知した場合、制御部は、加熱装置23を作動させる。また、制御部は、給水容器4に供給された洗浄水15を汲み上げるよう給水ポンプ16を制御する。給水ポンプ16により汲み上げられた洗浄水15は、加熱装置23で加熱される。洗浄水15を加熱して発生させたスチーム22を、給水ノズル17を介してスチーム噴射口24から羽根車10および油捕集機構部14に向かって噴射する。ファンケーシング3内に噴射されたスチーム22は、洗浄後の排水19として、排水容器5に回収される。
【0040】
使用者は、装着部材6から排水容器5を取り外して排水19を捨て、空になった排水容器5をフード本体1に設けられた装着部材6に装着する。
【0041】
空になった排水容器5をフード本体1に装着することにより、洗浄後の排水を排水容器5に再度溜めることができる状態となる。
【0042】
なお、洗浄運転の指示が入力されたときに給水容器4に十分な洗浄水15が供給されていないことを水位検知センサが検知した場合、制御部は、加熱装置23を作動させない構成としてもよい。これにより、加熱装置23のみが作動し、故障の原因となることを抑制する。
【0043】
本実施形態では、フード本体1に設けられた装着部材6に給水容器4および排水容器5を装着することで、洗浄工程中に使用者が給排水容器を手で保持し続ける必要がないという効果を奏する。
【0044】
以下、実施の形態について補足する。
【0045】
本発明の一態様に係るレンジフードは、汚染された空気を吸込む吸込口を有するフード本体1と、フード本体1の内部に設けられ、吸込口7から吸込まれた空気を排気する排気装置2と、排気装置2の羽根車10に設けられ、油を捕集する油捕集機構部14と、羽根車10を内部に設けたファンケーシング3と、洗浄水を供給するための給水容器4と、給水容器4から洗浄水を汲み上げる給水ポンプ16と、洗浄水を昇温させてスチームを発生させる加熱装置23と、スチームを羽根車10に噴射するスチーム噴射口24と、ファンケーシング3からの排水を排出するための排水弁18と、排水弁18から排出された排水を溜める排水容器5と、フード本体1の内部に設けられ、給水容器4と排水容器5をフード本体1に装着するための装着部材6とを備える。洗浄水を給水容器4に満たして装着部材6を介してフード本体1に装着する。洗浄水を給水ポンプ16で汲み上げ、ファンボックス内部に設けた加熱装置23で昇温させることでスチームを発生させて、スチーム噴射口24から羽根車10にスチームを噴射する。これにより、給水容器4および排水容器5をフード本体1内部に固定した状態で洗浄運転を行うことができる。その結果、使用者の負担が軽減する。
【0046】
給水容器4から汲み上げた水がスチーム噴射口24に至るまでの流路が短いほど、給水ポンプ16が消費するエネルギーを抑えることができる。
【0047】
そのため、給水容器4の近傍にスチーム22を発生させる加熱装置23を設けることが好ましい。
【0048】
また、加熱装置23をフード本体1の内部に設けることで、加熱装置23からスチーム噴射口24へ至るスチームの流路を短くすることとなり、熱エネルギーの損失を最小限に抑えることができる。さらに、より高温状態のスチーム22を羽根車10および油捕集機構部14に噴射することができ、洗浄性能の向上が期待できる。
【0049】
なお、一般的な加熱装置は電熱面積を稼ぐために流路を長く確保しているものがあるが、短流路のものを選定することが望ましい。これにより、洗浄時にポンプの消費エネルギーを抑制しつつ、高い洗浄能力を有することが可能となる。
【0050】
また、油を捕集する油捕集機構部14を羽根車10に設ける構成とすることにより、パンチングフィルター等の部材を別途設けることが不要となるので、油捕集のために排気効率が低下することを抑制できる。
【0051】
また、給水容器4に水位検知センサを設ける。この構成によれば、給水容器4に洗浄水15が十分に供給されているかどうかを検知することができる。これにより、給水容器4に十分な量の洗浄水15が供給されていない場合に、加熱装置23への通電をしないという制御をすることができる。これにより、加熱装置23のみが運転し、加熱装置23が空焚き状態となることを抑制することができる。
【0052】
また、図7に示す従来のレンジフードにあったフード本体前方の下部に設けた給水口204を設ける必要がないため、外観を損ねることがなく意匠性向上が期待できる。
【0053】
以上に述べたように、本発明によれば、給排水容器をフード本体の内部に装着し洗浄工程中に使用者が給排水容器を手で保持し続ける必要がなく、お手入れ性が向上し、洗浄時に消費エネルギーを抑制したレンジフードを得ることができる。
【0054】
以上、本発明に係るレンジフードについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係るレンジフードは、洗浄機能を備えたレンジフード等として有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 フード本体
2 排気装置
3 ファンケーシング
4 給水容器
5 排水容器
6 装着部材
7 吸込口
8 ダクト
9 吐出口
10 羽根車
11 モータ
12 通風路
13 整流板
14 油捕集機構部
15 洗浄水
16 給水ポンプ
17 給水ノズル
18 排水弁
19 排水
20 排水ノズル
21 ファンボックス
22 スチーム
23 加熱装置
24 スチーム噴射口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7