(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20230324BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20230324BHJP
F25B 41/20 20210101ALI20230324BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20230324BHJP
F25B 49/02 20060101ALN20230324BHJP
【FI】
F25B1/00 351B
F24F11/36
F25B41/20 A
F25B13/00 J
F25B49/02 520M
(21)【出願番号】P 2019030077
(22)【出願日】2019-02-22
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊一
(72)【発明者】
【氏名】飯高 誠之
(72)【発明者】
【氏名】広田 正宣
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-021837(JP,A)
【文献】特開2007-212077(JP,A)
【文献】特開2003-130482(JP,A)
【文献】特開平04-369370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F24F 11/36
F25B 41/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室外熱交換器、切替弁、および膨張弁を有する室外ユニットと、室内熱交換器を有する室内ユニットと、前記切替弁を制御して冷房運転と暖房運転とを切り替える制御部と、を備える空気調和装置であって、
前記切替弁または他の弁で構成される第1の冷媒流量調整部、および、前記膨張弁または他の弁で構成される第2の冷媒流量調整部を備え、
前記第1の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室内ユニットから前記室外ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、
前記第2の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室外ユニットから前記室内ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、
前記第2の冷媒流量調整部を構成する第2の弁を、前記膨張弁と前記室内熱交換器との間に備え、
前記制御部は、
前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合に、前記第1の冷媒流量調整部および前記第2の冷媒流量調整部のうち、前記冷媒の流通方向において前記室内ユニットの上流に位置する一方の前記冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に他方の前記冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ
、
前記空気調和装置の冷房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記膨張弁により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第2の弁により冷媒流量を低減させ、さらにその後、前記第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させること、
を特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記制御部は、暖房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させること、を特徴とする請求項1
記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記制御部は、暖房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記切替弁により暖房運転から冷房運転への切替を行い、前記第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させること、を特徴とする請求項1または2記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第1の冷媒流量調整部を構成する第1の弁を、前記切替弁とは別に備え、
前記制御部は、冷房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第1の弁により冷媒流量を低減させること、を特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第1の冷媒流量調整部を構成する第1の弁を、前記切替弁とは別に備え、
前記第2の冷媒流量調整部を構成する第2の弁を、前記膨張弁と前記室内熱交換器との間に備え、
前記制御部は、冷房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記第2の弁により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第1の弁により冷媒流量を低減させること、を特徴とする請求項
1から4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
圧縮機、室外熱交換器、切替弁、および膨張弁を有する室外ユニットと、室内熱交換器を有する室内ユニットと、前記切替弁を制御して冷房運転と暖房運転とを切り替える制御部と、を備える空気調和装置であって、
前記切替弁または他の弁で構成される第1の冷媒流量調整部、および、前記膨張弁または他の弁で構成される第2の冷媒流量調整部を備え、
前記第1の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室内ユニットから前記室外ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、
前記第2の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室外ユニットから前記室内ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、
前記第1の冷媒流量調整部を構成する第1の弁を、前記切替弁とは別に備え、
前記室外ユニットに並列接続される複数の前記室内ユニットを備え、
各々の前記室内ユニットは、前記膨張弁と、各々の前記室内ユニットが備える前記室内熱交換器との間に配置される室内膨張弁を備え、
各々の前記室内ユニットと前記室外ユニットとの間に配置され、前記第1の冷媒流量調整部を構成する複数の前記第1の弁を備え、
前記制御部は、
前記空気調和装置の冷房運転中に、いずれかの前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、停止させる前記室内ユニットが備える前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させ、その後に、停止させる前記室内ユニットに対応する前記第1の弁により冷媒流量を低減させ
、
前記空気調和装置の冷房運転中に、全ての前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記第1の弁により冷媒流量を低減させる制御と、を順に実行すること、を特徴とする
空気調和装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記空気調和装置の暖房運転中に、いずれかの前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、停止させる前記室内ユニットが備える前記第1の弁により冷媒流量を低減させ、その後に、停止させる前記室内ユニットに対応する前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させること、を特徴とする請求項
6記載の空気調和装置。
【請求項8】
圧縮機、室外熱交換器、切替弁、および膨張弁を有する室外ユニットと、室内熱交換器を有する室内ユニットと、前記切替弁を制御して冷房運転と暖房運転とを切り替える制御部と、を備える空気調和装置であって、
前記切替弁または他の弁で構成される第1の冷媒流量調整部、および、前記膨張弁または他の弁で構成される第2の冷媒流量調整部を備え、
前記第1の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室内ユニットから前記室外ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、
前記第2の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室外ユニットから前記室内ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、
前記第1の冷媒流量調整部を構成する第1の弁を、前記切替弁とは別に備え、
前記室外ユニットに並列接続される複数の前記室内ユニットを備え、
各々の前記室内ユニットは、前記膨張弁と、各々の前記室内ユニットが備える前記室内熱交換器との間に配置される室内膨張弁を備え、
各々の前記室内ユニットと前記室外ユニットとの間に配置され、前記第1の冷媒流量調整部を構成する複数の前記第1の弁を備え、
前記制御部は、
前記空気調和装置の冷房運転中に、いずれかの前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、停止させる前記室内ユニットが備える前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させ、その後に、停止させる前記室内ユニットに対応する前記第1の弁により冷媒流量を低減させ、
前記空気調和装置の暖房運転中に、全ての前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記切替弁により暖房運転から冷房運転へ切り替える制御と、前記膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記第1の弁により冷媒流量を低減させる制御と、を順に実行すること、を特徴とする
空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和装置において、冷媒漏れが発生した場合の冷媒の漏洩量を少なくするため、冷媒の漏洩を検知した場合にポンプダウン運転を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の空気調和装置は、冷媒漏洩検知後に、室外膨張弁と室内膨張弁との間の第1の弁、および、四方弁と室内熱交換器との間の第2の弁を閉止し、冷房運転モードでポンプダウン運転を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポンプダウン運転を行っても、室内ユニットから冷媒を回収しにくい場合がある。例えば、室内ユニットの被調和空間が低温の場合、液状の冷媒が室内ユニットに滞留する、いわゆる寝込みが発生することがある。この場合、冷媒漏洩を検知してからポンプダウン運転を行っても、室内ユニット内の冷媒の量が多いので、冷媒の回収に長い時間を要する。このため、漏洩する冷媒の量を抑制する効果を発揮するまで時間がかかるという課題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、空気調和装置において、室内ユニットからの冷媒漏洩量を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、圧縮機、室外熱交換器、切替弁、および膨張弁を有する室外ユニットと、室内熱交換器を有する室内ユニットと、前記切替弁を制御して冷房運転と暖房運転とを切り替える制御部と、を備える空気調和装置であって、前記切替弁または他の弁で構成される第1の冷媒流量調整部、および、前記膨張弁または他の弁で構成される第2の冷媒流量調整部を備え、前記第1の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室内ユニットから前記室外ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、前記第2の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室外ユニットから前記室内ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、前記制御部は、前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合に、前記第1の冷媒流量調整部および前記第2の冷媒流量調整部のうち、前記冷媒の流通方向において前記室内ユニットの上流に位置する一方の前記冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に他方の前記冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させること、を特徴とする。
この構成によれば、室内ユニットが停止したときに滞留する冷媒の量を少なくすることができ、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を抑制できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、冷媒漏洩が発生した場合に室内ユニットから漏洩する冷媒量を、効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図2】第1実施形態の空気調和装置の動作を示すフローチャート。
【
図3】第2実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図4】第3実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図5】第3実施形態の空気調和装置の動作を示すフローチャート。
【
図6】第4実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図7】第5実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図8】第5実施形態の空気調和装置の動作を示すフローチャート。
【
図9】第5実施形態の空気調和装置の動作を示すフローチャート。
【
図10】第6実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図11】第6実施形態の空気調和装置の動作を示すフローチャート。
【
図12】第6実施形態の空気調和装置の動作を示すフローチャート。
【
図13】第7実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図14】第8実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【
図15】第9実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の発明は、圧縮機、室外熱交換器、切替弁、および膨張弁を有する室外ユニットと、室内熱交換器を有する室内ユニットと、前記切替弁を制御して冷房運転と暖房運転とを切り替える制御部と、を備える空気調和装置であって、前記切替弁または他の弁で構成される第1の冷媒流量調整部、および、前記膨張弁または他の弁で構成される第2の冷媒流量調整部を備え、前記第1の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室内ユニットから前記室外ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、前記第2の冷媒流量調整部は、冷房運転時に前記室外ユニットから前記室内ユニットに冷媒が流れる冷媒管に配置され、前記制御部は、前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合に、前記第1の冷媒流量調整部および前記第2の冷媒流量調整部のうち、前記冷媒の流通方向において前記室内ユニットの上流に位置する一方の前記冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に他方の前記冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、室内ユニットを停止させる際に、冷媒流量調整部によって順に冷媒流量を低減させることで、冷媒の流れの上流から下流に向けて順に弁を閉塞するため、停止中に室内ユニットに滞留する冷媒の量を少なくすることができる。このため、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0009】
第2の発明は、前記制御部は、冷房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、空気調和装置の冷房運転中に室内ユニットを停止させる際に、室内ユニットに流入する冷媒を減らし、その後に、室内ユニットから流出する冷媒の量を制限する状態となる。このため、室内ユニットを停止させる際には室内ユニットから効率よく冷媒を回収し、室内ユニットが停止する間に室内ユニットに流入する冷媒を減らすことができる。従って、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0010】
第3の発明は、前記制御部は、暖房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、空気調和装置の暖房運転中に室内ユニットを停止させる際に、シンプルな制御によって、室内ユニットから速やかに冷媒を回収できる。
【0011】
第4の発明は、前記制御部は、暖房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記切替弁により暖房運転から冷房運転への切替を行い、前記第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、暖房運転中に室内ユニットを停止させる場合であっても、冷房運転中と同様に、室内ユニットから効率よく冷媒を回収し、室内ユニットが停止する間に室内ユニットに流入する冷媒を減らすことができる。従って、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に制限できる。
【0012】
第5の発明は、前記第1の冷媒流量調整部を構成する第1の弁を、前記切替弁とは別に備え、前記制御部は、冷房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第1の弁により冷媒流量を低減させる。
これにより、切替弁とは別の弁により冷媒流量を調整可能であるため、冷媒流量を制限する目的に適した弁を第1の冷媒流量調整部として利用できる。このため、停止中に室内ユニットに流入する冷媒を効果的に抑制できる。
【0013】
第6の発明は、前記第2の冷媒流量調整部を構成する第2の弁を、前記膨張弁と前記室内熱交換器との間に備え、前記制御部は、冷房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記膨張弁により冷媒流量を低減させ、その後に、第2の弁により冷媒流量を低減させ、さらにその後、前記第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、膨張弁とは別の弁により冷媒流量を調整可能であるため、冷媒流量を制限する目的に適した弁を第2の冷媒流量調整部として利用できる。このため、室内ユニットを停止させる際に、室内ユニットから効率よく冷媒を回収できる。
【0014】
第7の発明は、前記第1の冷媒流量調整部を構成する第1の弁を、前記切替弁とは別に備え、前記第2の冷媒流量調整部を構成する第2の弁を、前記膨張弁と前記室内熱交換器との間に備え、前記制御部は、冷房運転中に前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記第2の弁により冷媒流量を低減させ、その後に、前記第1の弁により冷媒流量を低減させる。
これにより、切替弁とは別の弁により冷媒流量を調整可能であり、膨張弁とは別の弁により冷媒流量を調整可能であるため、冷媒流量を制限する目的に適した弁を第1および第2の冷媒流量調整部として利用できる。このため、停止中に室内ユニットに流入する冷媒を効果的に抑制でき、室内ユニットを停止させる際に効率よく冷媒を回収できる。
【0015】
第8の発明は、前記室外ユニットに並列接続される複数の前記室内ユニットを備え、各々の前記室内ユニットは、前記膨張弁と、各々の前記室内ユニットが備える前記室内熱交換器との間に配置される室内膨張弁を備え、各々の前記室内ユニットと前記室外ユニットとの間に配置され、前記第1の冷媒流量調整部を構成する複数の前記第1の弁を備え、前記制御部は、前記空気調和装置の冷房運転中に、いずれかの前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、停止させる前記室内ユニットが備える前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させ、その後に、停止させる前記室内ユニットに対応する前記第1の弁により冷媒流量を低減させる。
これにより、複数の室内ユニットのいずれかを停止させる際に、効率よく室内ユニットから冷媒を回収することができ、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0016】
第9の発明は、前記制御部は、前記空気調和装置の暖房運転中に、いずれかの前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、停止させる前記室内ユニットが備える前記第1の弁により冷媒流量を低減させ、その後に、停止させる前記室内ユニットに対応する前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させる。
これにより、空気調和装置の暖房運転中であっても、複数の室内ユニットのいずれかを停止させる際に、停止する室内ユニットから冷媒を回収し、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0017】
第10の発明は、前記制御部は、前記空気調和装置の冷房運転中に、全ての前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記第1の弁により冷媒流量を低減させる制御と、を順に実行する。
これにより、複数の室内ユニットの全てを停止させる際に、室内ユニットから冷媒を効果的に回収し、停止中の室内ユニットへの冷媒流入を抑制できる。これにより、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0018】
第11の発明は、前記制御部は、前記空気調和装置の暖房運転中に、全ての前記室内ユニットを停止させる条件が成立した場合、前記切替弁により暖房運転から冷房運転へ切り替える制御と、前記膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記室内膨張弁により冷媒流量を低減させる制御と、全ての前記第1の弁により冷媒流量を低減させる制御と、を順に実行する。
これにより、暖房運転中に複数の室内ユニットの全てを停止させる際に、冷房運転に切り替えることで、冷房運転中と同様に、冷媒の流れの上流から下流に向けて順に冷媒の流れを遮断できるので、室内ユニットから冷媒を効果的に回収し、停止中の室内ユニットへの冷媒流入を抑制できる。これにより、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0019】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
[1.第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る空気調和装置1の構成を示す図である。
空気調和装置1は、室外ユニット20と室内ユニット30とをユニット間配管11およびユニット間配管12により接続して構成される。空気調和装置1は、室外ユニット20で圧縮した冷媒を室外ユニット20と室内ユニット30との間で流通させ、室内ユニット30が設置された被調和空間を空調する。
空気調和装置1は、被調和空間を冷房する冷房運転、および、被調和空間を暖房する暖房運転を切り替えて実行する。空気調和装置1の運転状態を運転モードという。空気調和装置1は冷房運転モード、および暖房運転モードを切り替え可能である。
【0020】
室外ユニット20は、冷媒を圧縮する圧縮機201、冷媒の熱交換を行う室外熱交換器202、室外熱交換器202に送風する室外ファン203、膨張弁204、および、切替弁205を備える。
室外熱交換器202は、室外ユニット20において冷媒を熱交換させ、冷房運転モードで凝縮器として機能し、暖房運転モードでは蒸発器として機能する。
膨張弁204は、高圧の冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁204は、後述する制御部101の制御によって開度を調整可能であり、冷媒を遮断できる弁であってもよい。
【0021】
室内ユニット30は、室外ユニット20からユニット間配管11またはユニット間配管12を通じて供給される冷媒の熱交換を行う室内熱交換器301、および、室内熱交換器301に送風する室内ファン302を備える。室内熱交換器301は、冷房運転モードで蒸発器として機能し、膨張弁204で減圧された冷媒を蒸発させる。また、暖房運転モードでは凝縮器として機能する。
【0022】
圧縮機201は、吸込管208から冷媒を吸引して圧縮し、吐出する。
切替弁205は、例えば四方弁で構成され、圧縮機201の吐出冷媒および圧縮機201に戻る冷媒の流れを切り替える。切替弁205によって、空気調和装置1の冷房運転モードと暖房運転モードとが切り替えられる。換言すれば、切替弁205の位置は、空気調和装置1の動作モードが冷房運転モードであるか暖房運転モードであるかに対応する。
【0023】
空気調和装置1は、液体の冷媒と気体の冷媒とを分離し、冷媒を貯留するアキュムレータを備えてもよい。アキュムレータは、例えば吸込管208に設けることができる。また、空気調和装置1の冷媒回路は、不図示の各種の弁やセンサを備えた構成とすることも勿論可能である。
【0024】
空気調和装置1は、制御部101を備える。制御部101には、リモコンや操作パネル等で構成される操作部100が、有線または無線で接続される。
制御部101は、圧縮機201の運転制御、膨張弁204の開度および/または開閉の制御、切替弁205の流路の切り替えの制御、室外ファン203および室内ファン302の運転および/または停止の制御を実行する。制御部101は、膨張弁204および切替弁205を動作させて、空気調和装置1の冷房運転モードと暖房運転モードとを切り替える。また、制御部101は、操作部100に対する操作により設定された目標温度に合わせて、圧縮機201の運転周波数や運転および/または停止の制御、室外ファン203および室内ファン302の制御を実行し、目標温度に合わせて被調和空間を空調する。
【0025】
図1および後述する各図では、冷房運転モードにおける冷媒の流通方向を図中に符号F1で示す。空気調和装置1の冷房運転モードでは、冷媒が圧縮機201、室外熱交換器202、膨張弁204、室内熱交換器301、切替弁205の順に流れ、切替弁205から吸込管208に戻る。また、
図1および後述する各図では、暖房運転モードにおける冷媒の流通方向を図中に符号F2で示す。空気調和装置1の暖房運転モードでは、冷媒は圧縮機201、室内熱交換器301、膨張弁204、室外熱交換器202、切替弁205の順に流れ、切替弁205から吸込管208に戻る。
【0026】
また、空気調和装置1は、第1遮断弁111を備える。第1遮断弁111は、第1の弁の一例に対応する。第1遮断弁111は、ユニット間配管11に設けられ、ユニット間配管11を流れる冷媒の流量を調整する。制御部101は、第1遮断弁111の開度および/または開閉を制御する。本実施形態の第1遮断弁111は、電動弁や電磁弁等の開閉弁で構成され、制御部101の制御により、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能である。また、第1遮断弁111は、開状態と閉状態の間の状態を設定可能な弁であってもよい。
【0027】
空気調和装置1で使用される冷媒種々のものが挙げられる。近年、いわゆる代替フロンとして、炭化水素、アンモニア、R32等の冷媒が空気調和装置に利用されている。これらの代替フロンには、微燃性あるいは可燃性のものがある。
【0028】
微燃性あるいは可燃性の冷媒が漏洩した場合には、室内ユニット30の被調和空間の冷媒濃度が燃焼下限界(LFL:Lower Flammability Limit)に達しないように、冷媒の漏洩量を抑制することが求められる。特に、被調和空間またはその近傍に設置される室内ユニット30からの冷媒の漏洩量を抑えることが望まれる。
【0029】
冷媒の漏洩量を抑えるため、空気調和装置1は、室内ユニット30の停止中に、室内ユニット30の内部に滞留する冷媒を少なくする。具体的には、室内ユニット30の運転を停止する条件が成立した場合に、室内ユニット30の運転を停止するシーケンスにおいて、室内ユニット30から冷媒を回収する動作を実行する。この動作により、冷媒は、圧縮機201や不図示のアキュムレータ等の室外ユニット20の冷媒回路、ユニット間配管11、12を含む室内ユニット30外の冷媒配管等に回収される。
【0030】
室内ユニット30の運転を停止する条件が成立する場合の具体例を挙げる。例えば、操作部100の操作により運転停止が指示された場合、被調和空間の温度が設定された目標温度に達した場合、圧縮機201の動作状態等に起因して空気調和装置1を強制的に終了すべき状態となった場合、除霜運転を開始する場合、被調和空間の冷媒の濃度が閾値より高濃度であると検知された場合等である。空気調和装置1は、被調和空間や室内ユニット30の内部における冷媒の漏洩を検知するセンサを備える構成であってもよい。また、室内熱交換器301を含む冷媒回路で圧力を検知するセンサを備え、制御部101が圧力の変動に基づき冷媒の漏洩を検知する機能を備えてもよい。
【0031】
この構成によれば、冷媒の流れの上流から下流に向けて、順に弁を閉塞するため、停止中に室内ユニット30において冷媒の漏洩が発生しても、室内ユニット30の内部の冷媒が少量であるため、漏洩量を抑えられる。例えば、空気調和装置1が冷媒の漏洩を検知してから、室内ユニット30の冷媒を回収する動作を実行することも考えられる。しかしながら、被調和空間の温度が低い等に、冷媒の寝込みが発生し、室内ユニット30の内部に比較的多量の冷媒が滞留することがある。このような場合、冷媒の漏洩検知後に冷媒の回収を開始してから、実効的な量まで室内ユニット30の冷媒量を減らすのに、長い時間がかかる可能性がある。空気調和装置1は、室内ユニット30の運転を停止する際に、室内ユニット30に滞留する冷媒を減少させるので、仮に冷媒の漏洩が発生しても、室内ユニット30からの漏洩冷媒量を効果的に抑制できる。
【0032】
室内ユニット30の内部に滞留する冷媒の量は、被調和空間における冷媒濃度がLFLに達しない程度とすることが望ましく、冷媒濃度がLFLの1/4以下となる量であることが、より好ましい。
以下に説明する空気調和装置1の動作に関して、制御部101は、動作条件を指定する各種のパラメータを有している。これらのパラメータは、例えば、冷媒の種類に対応するLFLと、被調和空間の容積とに基づき、被調和空間の冷媒濃度をLFLの1/4以下に抑制することを目標として設定される。
【0033】
また、空気調和設備に関する規則の中には、空気調和装置1で使用する冷媒が微燃性である場合には万一、冷媒が漏洩しても室内の冷媒濃度が一定の値以上に高くならないように、室内1室当たりの許容最大冷媒充填量(Mmax)について、冷媒の燃焼下限濃度(LFL)、床面積(A)および装置の据付高さ(H0)の函数である下記式(1)のように規定されている。
Mmax=2.5×(LFL)1.25×H0×(A)0.5 …(1)
さらに、室内の大きさの制限を受けない機器の冷媒充填量(M1)について、M1=6m3×LFLとする規定もある。
例えば、冷媒としてR32を空気調和装置1で使用する場合、R32のLFLは0.307kg/m3であることから、冷媒充填量M1は6×0.307kg/m3≒1.8kgとなる。このように、被調和空間の容積に基づき、制御部101のパラメータが設定されてもよい。
【0034】
また、空気調和装置1が使用する冷媒がR32以外の微燃性の冷媒である場合、および、メタン、プロパン等の炭化水素冷媒やアンモニアなどの可燃性の冷媒である場合も、各冷媒のLFLに基づいて空気調和装置1の運転に関するパラメータを決定すればよい。
【0035】
以下に、空気調和装置1が、室内ユニット30に滞留する冷媒を回収する動作について説明する。この動作において、第1遮断弁111は、室内ユニット30と、室外ユニット20との間を流れる冷媒の流量を調整または制限する第1の冷媒流量調整部として機能する。膨張弁204は、室外ユニット20から室内ユニット30への冷媒の流量を調整または制限する第2の冷媒流量調整部として機能する。
【0036】
図2は、空気調和装置1の動作を示すフローチャートである。
図2の動作は、制御部101が空気調和装置1の各部を制御することにより実行される。
制御部101は、上記の室内ユニット30を停止させる条件が成立したと判定した場合に(ステップST11)、空気調和装置1が冷房運転モードであるか否かを判定する(ステップST12)。
【0037】
空気調和装置1が冷房運転モードである場合(ステップST12;YES)、制御部101は、膨張弁204を閉じる制御を行う(ステップST13)。ここで、制御部101は、室内ファン302を停止させてもよい。
制御部101は、ステップST13の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、第1遮断弁111を閉じる制御を行う(ステップST14)。
【0038】
その後、制御部101は、切替弁205を動作させ、切替弁205を暖房運転モードの位置、または、冷媒を流通させない位置にする(ステップST15)。制御部101は、圧縮機201を停止させ(ステップST16)、空気調和装置1全体の運転を停止する。
【0039】
ステップST15は、空気調和装置1の停止中に、切替弁205からユニット間配管11への冷媒の流れを制限するために実行される。切替弁205が、例えばロータリー式の四方弁である場合、冷房運転モードと暖房運転モードの中間位置で切替弁205を停止させることで、冷媒を遮断できる。また、切替弁205を暖房運転モードの位置にすると、切替弁205を通じてユニット間配管11に流れる冷媒は、圧縮機201を経由して流れることになる。空気調和装置1の停止中の圧縮機201は、冷媒の流れの抵抗となるので、室外ユニット20からユニット間配管11への冷媒の流れを抑制する効果が期待できる。
【0040】
また、空気調和装置1が冷房運転モードでない場合(ステップST12;NO)、制御部101は、冷房運転モードに切り替えてから室内ユニット30を停止させるか否かを判定する(ステップST17)。ステップST17で、制御部101は、事前に設定された動作のパラメータに基づき判定を行う。
【0041】
制御部101の動作として、冷房運転モードに切り替えてから停止する動作(ステップST17;YES)と、冷房運転モードに切り替えないで停止する動作(ステップST17;NO)とを選択不可能な場合は、ステップST17を省略してもよい。また、冷房運転モードに切り替えてから停止するか否かを、操作部100の操作により指定できる構成であってもよい。
【0042】
冷房運転モードに切り替えてから停止する場合(ステップST17;YES)、制御部101は、切替弁205を動作させて暖房運転モードから冷房運転モードへの切り替えを行い(ステップST18)、ステップST13に移行し、上述の動作を行う。
【0043】
冷房運転モードに切り替えないで停止する場合(ステップST17;NO)、制御部101は、第1遮断弁111を閉じる制御を行う(ステップST19)。ここで、空気調和装置1は、室内ファン302を停止させてもよい。
制御部101は、ステップST19の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、膨張弁204を閉じる制御を行い(ステップST20)、ステップST15に移行する。
【0044】
暖房運転モードにおいて、冷房運転モードに切り替えないで停止する制御(ステップST19~ST20)を実行する場合、室内ユニット30が高圧側となっている。この状態で冷媒の過冷却度があると冷媒が液状であり、多くの冷媒が室内ユニット30に滞留している可能性がある。この場合、室内ファン302を停止させてステップST19~ST20を実行すると、過冷却を解消しながら冷媒を圧縮機201により吸引するので、室内ユニット30の内部の冷媒を効果的に減少させることができる。
【0045】
また、例えば、室内熱交換器301の容量が、被調和空間に比べて比較的小さい場合、ユニット間配管11、12が比較的短い場合等には、空気調和装置1の停止時に室外ユニット20の外にある冷媒が少ないといえる。このような場合、暖房運転モードにおいて、冷房運転モードに切り替えないで停止する制御を行えば、冷媒漏洩量を抑制するという目的を達成し、かつ、速やかに室内ユニット30を停止させることができ、有用である。
【0046】
ステップST13、ST14、ST19、ST20のそれぞれでは、第1遮断弁111、および、膨張弁204について、開度を小さくする制御または全閉状態とする制御が行われる。
【0047】
ステップST13とステップST14との間の運転時間、および、ステップST19とステップST20の間の運転時間は、それぞれ、制御部101が有するパラメータにより決定される。すなわち、上述したように、LFLを考慮して室内ユニット30に滞留する冷媒量の適切な閾値が決定され、この閾値に対応するパラメータが制御部101に設定される。制御部101には、圧縮機201の運転時間を定めるパラメータが設定されてもよい。圧縮機201の運転時間は、例えば、空気調和装置1におけるガス冷媒の流速(例えば、3.5m/s以上)、および、液冷媒の流速(例えば、0.5m/s以上1.5m/s以下)と、各弁の間の配管長とに基づき求めることができる。
【0048】
また、ステップST19およびステップST20で、第1遮断弁111および膨張弁204を閉じる前に、制御部101は、圧縮機201の運転周波数を小さくしてもよい。暖房運転モードでは、ユニット間配管11、12および室内ユニット30では、冷媒が高圧である。そこで、圧縮機201の運転周波数を低下させることにより、空気調和装置1における冷媒圧力の差を小さくしてから、第1遮断弁111および膨張弁204を順に閉じることで、室内ユニット30から、冷媒をより効率よく回収できる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1は、圧縮機201、室外熱交換器202、切替弁205、および膨張弁204を有する室外ユニット20と、室内熱交換器301を有する室内ユニット30と、切替弁205を制御して冷房運転モードと暖房運転モードとを切り替える制御部101と、を備える。空気調和装置1は、切替弁205または他の弁で構成される第1の冷媒流量調整部、および、膨張弁204または他の弁で構成される第2の冷媒流量調整部を備える。本第1実施形態では、第1の冷媒流量調整部として、切替弁205とは別に、第1遮断弁111を備える。また、第2の冷媒流量調整部として、膨張弁204を用いる。第1の冷媒流量調整部は、冷房運転モードで室内ユニット30から室外ユニット20に冷媒が流れる冷媒管に配置され、第2の冷媒流量調整部は、冷房運転モードで室外ユニット20から室内ユニット30に冷媒が流れる冷媒管に配置される。制御部101は、室内ユニット30を停止させる条件が成立した場合に、第1の冷媒流量調整部および第2の冷媒流量調整部のうち冷媒の流通方向において室内ユニット30の上流に位置する一方の遮断部により冷媒流量を低減させ、その後に他方の遮断部により冷媒流量を低減させる。
これにより、室内ユニット30を停止させる際に、冷媒流量調整部によって順に冷媒流量を低減させることで、冷媒の流れの上流から下流に向けて順に弁を閉塞するため、停止中に室内ユニット30に滞留する冷媒の量を少なくすることができる。このため、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0050】
制御部101は、冷房運転モードで室内ユニット30を停止させる条件が成立した場合、第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、空気調和装置1の冷房運転モードで室内ユニット30を停止させる際に、室内ユニット30に流入する冷媒を減らし、その後に、室内ユニット30から流出する冷媒の量を制限する状態となる。このため、室内ユニット30を停止させる際には室内ユニット30から効率よく冷媒を回収し、室内ユニット30が停止する間に室内ユニット30に流入する冷媒を減らすことができる。従って、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0051】
制御部101は、暖房運転モードで室内ユニット30を停止させる条件が成立した場合、第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、空気調和装置1の暖房運転モードで室内ユニット30を停止させる際に、シンプルな制御によって、室内ユニット30から速やかに冷媒を回収できる。
【0052】
制御部101は、暖房運転モードで室内ユニット30を停止させる条件が成立した場合、切替弁205により暖房運転モードから冷房運転モードへの切替を行い、第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、第1の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させる。
これにより、暖房運転モードで室内ユニット30を停止させる場合であっても、冷房運転モード中と同様に、室内ユニット30から効率よく冷媒を回収し、室内ユニット30が停止する間に室内ユニット30に流入する冷媒を減らすことができる。従って、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0053】
空気調和装置1は、第1の冷媒流量調整部を構成する第1遮断弁111を、切替弁205とは別に備える。制御部101は、冷房運転モードで室内ユニット30を停止させる条件が成立した場合、第2の冷媒流量調整部により冷媒流量を低減させ、その後に、第1の弁により冷媒流量を低減させる。
これにより、切替弁205とは別の弁により冷媒流量を調整可能であるため、冷媒流量を制限する目的に適した弁を第1の冷媒流量調整部として利用できる。このため、停止中に室内ユニット30に流入する冷媒を効果的に抑制できる。
【0054】
空気調和装置1によれば、冷媒漏洩量を抑制できるので、室内ユニット30が設置される被調和空間の容積が小さくても、漏洩冷媒の濃度をLFL以下に抑制できる。従って、被調和空間の床面積に対する制約を緩和し、空気調和装置1を設置できる最小床面積の拡大が可能となる。
【0055】
図1には、一例として、1台の室外ユニット20と1台の室内ユニット30とを備え、ルームエアコン(RAC)の構成を有する空気調和装置1を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、1または複数の室外ユニットに複数の室内ユニットを接続したパッケージエアコン(PAC)や、ビル用マルチエアコン(VRF)の構成にも適用可能である。以下に、第1実施形態とは異なる各種の空気調和装置の態様について、説明する。
【0056】
[2.第2実施形態]
図3は、第2実施形態に係る空気調和装置2の構成を示す図である。
空気調和装置2は、複数の室内ユニット30、31、32を備え、各々の室内ユニット30、31、32はユニット間配管13、14によって、室外ユニット20に並列に接続される。第2実施形態において第1実施形態と同様に構成される各部には、同符号を付して説明を省略する。
【0057】
空気調和装置2は、制御部102を備える。制御部102は、制御部101と同様の制御を行うよう構成され、制御対象の室内ユニットが3台である点で制御部101と異なる。室内ユニット31は、室内熱交換器311および室内ファン312を備え、室内ユニット32は室内熱交換器321および室内ファン322を備える。室内熱交換器311、321は、室内熱交換器301と同様の熱交換器である。室内ファン312、322は、室内ファン302と同様に、室内熱交換器311、321に送風するファンである。
【0058】
ユニット間配管13には、室内熱交換器301に繋がる冷媒配管に第1遮断弁111が配置される。第1遮断弁111は、ユニット間配管13と室内熱交換器301との間の冷媒の流量を制限する機能を有し、冷媒を遮断可能な構成であってもよい。また、ユニット間配管13には、室内熱交換器311に繋がる冷媒配管に第1遮断弁112が配置され、室内熱交換器321に繋がる冷媒配管に第1遮断弁113が配置される。第1遮断弁112は、ユニット間配管13と室内ユニット31との間の流量を制限する機能を有し、第1遮断弁113は、ユニット間配管13と室内ユニット32との間の流量を制限する機能を有する。第1遮断弁112、および第1遮断弁113は、冷媒を遮断可能な構成であってもよい。
【0059】
空気調和装置2は、室内ユニット30、31、32を同じ動作モードで同時に運転する。すなわち、室内ユニット30、31、32は、全てが冷房運転モードまたは暖房運転モードで、各々の被調和空間を空調する。冷房運転モードでは、室外ユニット20から図中F1方向に冷媒が流れ、ユニット間配管14から室内ユニット30、31、32に分岐して冷媒が供給される。暖房運転モードでは、室外ユニット20から図中F2方向に冷媒が流れ、ユニット間配管13から室内ユニット30、31、32に分岐して冷媒が供給される。
【0060】
制御部102は、切替弁205を制御して冷房運転モードおよび暖房運転モードを切り替えるとともに、室内ユニット30、31、32の運転開始および停止を制御する。各室内ユニット30、31、32の運転開始および停止は完全に同じタイミングでなくてもよいが、例えば、室内ユニット30、31、32の一部が運転を停止し、他の室内ユニットが運転を継続するという動作状態をとらない。
【0061】
制御部102が空気調和装置2を停止させる場合の動作は、
図2を参照して説明した空気調和装置1の動作、すなわち制御部101による制御と共通する。第1遮断弁111、112、113は、それぞれ第1の冷媒流量調整部として機能し、制御部102によって、ステップST14、ST19で閉じられる。また、膨張弁204は、室内ユニット30、31、32の全てに作用する第2の冷媒流量調整部として機能する。
【0062】
空気調和装置2によれば、複数の室内ユニット30、31、32を室外ユニット20に接続した構成において、空気調和装置1と同様の作用効果が得られる。
すなわち、空気調和装置2は、第1遮断弁111、112、113および膨張弁204を順に閉じることで、空気調和装置2の運転を停止させる際に、室内ユニット30、31、32に滞留する冷媒の量を少なくすることができる。これにより、仮に冷媒が漏洩した場合であっても、冷媒の漏洩量を抑制できる。例えば、室内ユニット30、31、32のうち、室内ユニット30で冷媒の漏洩が発生した場合に、被調和空間に漏出する冷媒は、室内ユニット30に滞留する冷媒に限られ、室外ユニット20や室内ユニット31、32、或いはユニット間配管13、14内の冷媒が漏出することを抑制できる。室内ユニット31、32についても同様の効果が得られる。
【0063】
[3.第3実施形態]
図4は、第3実施形態に係る空気調和装置3の構成を示す図である。
図5は第3実施形態の空気調和装置3の動作を示すフローチャートである。これらの図に従って第3実施形態を説明する。第3実施形態において、第1および第2実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。
【0064】
空気調和装置3は、空気調和装置1において、膨張弁204と室内熱交換器301とを接続するユニット間配管12に第2遮断弁121を設けた構成である。空気調和装置3は、制御部103を備える。制御部103は、制御部101と同様の制御を実行し、空気調和装置3の運転開始および停止を制御する。制御部103の機能は、第2遮断弁121の開度および/または開閉制御を行う点で制御部101とは相違する。
【0065】
第2遮断弁121は、第2の弁の一例に対応する。第2遮断弁121は、ユニット間配管12を流れる冷媒の流量を調整する。本実施形態の第2遮断弁121は、電動弁や電磁弁等の開閉弁で構成され、制御部103の制御により、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能である。また、第2遮断弁121は、開状態と閉状態の間の状態を設定可能な弁であってもよい。
【0066】
制御部103は、
図5に示すように、制御部101が実行する制御(
図2)と同様に、空気調和装置3を停止させるシーケンスを実行する。
図5のフローチャートにおいて、
図2と同様のステップには同ステップ番号を付して説明を省略する。
図5の動作において、第2遮断弁121は、室内ユニット30と、室外ユニット20との間を流れる冷媒の流量を調整または制限する第3の冷媒流量調整部として機能する。
【0067】
制御部103は、ステップST13で膨張弁204を閉じる制御を行った後に、第2遮断弁121を閉じる制御を行う(ステップST31)。その後、制御部103は、第1遮断弁111を閉じる制御を行う(ステップST14)。ステップST13とステップST31との間、および、ステップST31とステップST14との間では、それぞれ、制御部103が設定された時間、圧縮機201を運転させる。
【0068】
ステップST13、ST31、ST14では、図中F1方向の上流側から順に、膨張弁204、第2遮断弁121、第1遮断弁111が閉じられる。このため、ユニット間配管12により室内ユニット30に流入する冷媒が制限される一方、室内ユニット30からユニット間配管11を通じて冷媒が流出する。従って、室内ユニット30に滞留する冷媒の量を効果的に少なくすることができる。
【0069】
制御部103は、ステップST19で第1遮断弁111を閉じる制御を行った後に、第2遮断弁121を閉じる制御を行う(ステップST32)。その後、制御部103は、膨張弁204を閉じる制御を行う(ステップST20)。ステップST19とステップST32との間、および、ステップST32とステップST20との間では、それぞれ、制御部103が設定された時間、圧縮機201を運転させる。
【0070】
ステップST19、ST32、ST20では、図中F2方向の上流側から順に、第1遮断弁111、第2遮断弁121、膨張弁204が閉じられる。このため、ユニット間配管11により室内ユニット30に流入する冷媒が制限される一方、室内ユニット30からユニット間配管12を通じて冷媒が流出する。従って、室内ユニット30に滞留する冷媒の量を効果的に少なくすることができる。
【0071】
ステップST31、ST32のそれぞれでは、第2遮断弁121について、開度を小さくする制御または全閉状態とする制御が行われる。
【0072】
このように、第3実施形態の空気調和装置3によれば、空気調和装置1と同様の作用効果を得ることができる。このため、空気調和装置3の停止中に室内ユニット30に滞留する冷媒の量を、効果的に減らすことが可能である。
【0073】
また、空気調和装置3は、第2遮断弁121を備える。冷房運転モードおよび暖房運転モードで、膨張弁204と第2遮断弁121とを、時間差を設けて閉じることで、膨張弁204と第2遮断弁121との間の配管に滞留する冷媒の量を減らすことができる。また、空気調和装置3の停止中に、室内ユニット30と室外ユニット20とをつなぐユニット間配管11、12の両方で、第1遮断弁111および第2遮断弁121が閉じられる。このため、室内ユニット30において冷媒が漏洩しても、漏洩量を抑制できる。
【0074】
また、空気調和装置3は、第1の冷媒流量調整部を構成する第1遮断弁111を、切替弁205とは別に備え、第2の冷媒流量調整部を構成する第2遮断弁121を、膨張弁204と室内熱交換器302との間に備える。空気調和装置3は、制御部103の制御により、冷房運転中に室内ユニット30を停止させる条件が成立した場合、第2遮断弁121により冷媒流量を低減させ、その後に、第1遮断弁111により冷媒流量を低減させる。
この構成によれば、冷媒流量を制限する目的に適した第1遮断弁111および第2遮断弁121を用い、冷媒流量を適切に調整できる。このため、室内ユニット30の停止中に室内ユニット30に流入する冷媒を第1遮断弁111により効果的に抑制でき、室内ユニット30を停止させる際に、第2遮断弁121を閉じることで効率よく冷媒を回収できる。
【0075】
第3実施形態で、第2遮断弁121を、膨張弁204に代えて、第2の冷媒流量調整部として機能させてもよい。この場合、ステップST13およびステップST20の動作が省略される。言い換えれば、膨張弁204を閉じるステップST13、ST20で、第2遮断弁121を閉じる制御が実行される。この場合、第2遮断弁121は、第3の冷媒流量調整部、および、第2の冷媒流量調整部の機能を兼ねるということもできる。
【0076】
また、膨張弁204に代えて第2遮断弁121を用いて冷媒流量を調整するので、冷媒流量を制限する目的に適した第2遮断弁121を第2の冷媒流量調整部として利用できる。このため、室内ユニット30を停止させる際に、室内ユニット30から効率よく冷媒を回収できる。また、膨張弁204の負荷を軽減し、膨張弁204のメンテナンスの負担が増えないという利点もある。
【0077】
[4.第4実施形態]
図6は、第4実施形態に係る空気調和装置4の構成を示す図である。第4実施形態において、第1、第2および第3実施形態と同様に構成される各部には、同符号を付して説明を省略する。
【0078】
空気調和装置4は、空気調和装置2と同様に、室外ユニット20と、複数の室内ユニット30、31、32とを備え、各々の室内ユニット30、31、32がユニット間配管13、14に並列に接続された構成を有する。
【0079】
空気調和装置4は、制御部104を備える。制御部104は、制御部103と同様の制御を行うよう構成され、制御対象の室内ユニットが3台である点で制御部101と異なる。室内ユニット30、31、32の構成は第2実施形態と同様である。
【0080】
ユニット間配管14には、室内熱交換器301に繋がる冷媒配管に第2遮断弁121が配置される。第2遮断弁121は、ユニット間配管13と室内熱交換器301との間の冷媒の流量を制限する機能を有し、冷媒を遮断可能な構成であってもよい。また、ユニット間配管14には、室内熱交換器311に繋がる冷媒配管に第2遮断弁122が配置され、室内熱交換器321に繋がる冷媒配管に第2遮断弁123が配置される。第2遮断弁122、および、第2遮断弁123は、第2遮断弁121と同様に構成され、第2の弁の一例に対応する。第2遮断弁122は、ユニット間配管14と室内ユニット31との間の流量を制限する機能を有し、第2遮断弁123は、ユニット間配管14と室内ユニット32との間の流量を制限する機能を有する。第2遮断弁121、第2遮断弁122、および、第2遮断弁123は、冷媒を遮断可能な構成であってもよい。
【0081】
空気調和装置4は、空気調和装置2と同様に、室内ユニット30、31、32を制御して、切替弁205の制御により冷房運転モードおよび暖房運転モードで運転する。
【0082】
制御部104が空気調和装置4を停止させる場合の動作は、
図5を参照して説明した空気調和装置3の動作、すなわち制御部103による制御と共通する。第2遮断弁121、122、123は、それぞれ第3の冷媒流量調整部として機能し、制御部104によって、ステップST31、ST32で閉じられる。
【0083】
空気調和装置4によれば、複数の室内ユニット30、31、32を室外ユニット20に接続した構成において、空気調和装置3と同様の作用効果が得られる。
すなわち、空気調和装置4は、第1遮断弁111、112、113、第2遮断弁121、122、123および膨張弁204を順に閉じることで、空気調和装置4の運転を停止させる際に、室内ユニット30、31、32に滞留する冷媒の量を少なくすることができる。これにより、仮に冷媒が漏洩した場合であっても、冷媒の漏洩量を抑制できる。例えば、室内ユニット30、31、32のうち、室内ユニット30で冷媒の漏洩が発生した場合に、被調和空間に漏出する冷媒は、室内ユニット30に滞留する冷媒に限られ、室外ユニット20や室内ユニット31、32、或いはユニット間配管13、14内の冷媒が漏出することを抑制できる。室内ユニット31、32についても同様の効果が得られる。
【0084】
また、空気調和装置4では、第2遮断弁121、122、123を閉じることで、膨張弁204と第2遮断弁121、122、123との間の配管に滞留する冷媒の量を減らすことができる。また、空気調和装置4の停止中に、各室内ユニット30、31、32の両端で、第1遮断弁111および第2遮断弁121が閉じられる。このため、室内ユニット30、31、32で冷媒の漏洩が発生しても、冷媒の漏洩量を抑制できる。
【0085】
第4実施形態で、第2遮断弁121、122、123を、膨張弁204に代えて、第2の冷媒流量調整部として機能させてもよい。この場合、ステップST13およびステップST20の動作が省略される。言い換えれば、膨張弁204を閉じるステップST13、ST20で、第2遮断弁121、122、123を閉じる制御が実行される。この場合、第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0086】
[5.第5実施形態]
図7は、第5実施形態に係る空気調和装置5の構成を示す図である。
図8および
図9は、第5実施形態の空気調和装置5の動作を示すフローチャートである。これらの図に従って第5実施形態を説明する。第5実施形態において、上述した第1~第4実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。
【0087】
空気調和装置5は、室外ユニット20と、複数の室内ユニット34、35、36とを備える。室内ユニット35は、室内ユニット30と同様に構成され、ユニット間配管14から室内熱交換器301に繋がる冷媒配管に、室内膨張弁304を備えている点で室内ユニット30と相違する。室内膨張弁304は、膨張弁204と室内熱交換器301との間に配置される膨張弁である。
【0088】
空気調和装置5の冷房運転モードで、図中F1方向に冷媒が流れると、室内膨張弁304は冷媒を減圧して膨張させて、室内熱交換器301に流入させる。
また、室内ユニット35、36は、それぞれ、室内膨張弁314、324を備える。室内膨張弁314、324は、室内膨張弁304と同様に、室内熱交換器311、321にそれぞれ接続する冷媒管に配置される。
【0089】
空気調和装置5は、空気調和装置5の各部を制御する制御部105を備える。制御部105は、制御部102と同様に各部を制御することが可能である。
室内膨張弁304、314、324は、制御部105の制御によって開度を調整可能であり、冷媒を遮断できる弁であってもよい。
【0090】
空気調和装置5では、室内ユニット34、35、36を個別に運転および停止させることができる。具体的には、室内ユニット34、35、36のいずれかを運転させ、他を停止させることができる。冷房運転モードの室内ユニットと暖房運転モードの室内ユニットとが混在することはない。
【0091】
室内ユニット34の運転中は第1遮断弁111が開かれ、室内膨張弁304の開度が適切に設定される。室内ユニット34の停止中は、第1遮断弁111および室内膨張弁304が閉じられる。室内ユニット35、36も同様である。
【0092】
制御部105は、室内ユニット34、35、36を含む空気調和装置5の全体を停止させる制御、および、室内ユニット34、35、36の一部を停止させる制御を実行する。
【0093】
図8は、空気調和装置5の動作を示すフローチャートであり、特に、制御部105の制御により、室内ユニット34、35、36の一部を停止させるシーケンスを示す。
図8および後述する
図9の動作において、室内膨張弁304、314、324は、室内ユニット34、35、36と、室外ユニット20との間を流れる冷媒の流量を、それぞれ調整または制限する第4の冷媒流量調整部として機能する。また、第1遮断弁111、112、113は、第1の冷媒流量調整部として機能する。
【0094】
制御部105は、室内ユニット34、35、36のうち、停止する室内ユニットを特定する(ステップST41)。ここでは、室内ユニット34を停止させる場合を例に挙げる。なお、制御部105は、
図8のシーケンスに従って、室内ユニット34、35、36のうち複数台を停止させることも勿論可能である。
【0095】
制御部105は、空気調和装置5が冷房運転モードであるか否かを判定する(ステップST42)。ステップST42では、例えば、切替弁205の状態に基づき判定が行われる。
【0096】
冷房運転モードである場合(ステップST42;YES)、制御部105は、室内膨張弁304を閉じる制御を行う(ステップST43)。ここで、制御部105は、停止する対象である室内ユニット34の室内ファン302を停止させてもよい。
制御部105は、ステップST43の後に設定された時間、他の室内ユニットおよび室外ユニット20の運転を継続し、その後に、第1遮断弁111を閉じる制御を行う(ステップST44)。
【0097】
また、空気調和装置5が冷房運転モードでない場合(ステップST42;NO)、制御部105は、第1遮断弁111を閉じる制御を行う(ステップST45)。ここで、制御部105は、停止する対象である室内ユニット34の室内ファン302を停止させてもよい。
制御部105は、ステップST45の後に設定された時間、他の室内ユニットおよび室外ユニット20の運転を継続し、その後に、室内膨張弁304を閉じる制御を行う(ステップST46)。
【0098】
ステップST43とステップST44との間の運転時間、および、ステップST45とステップST46の間の運転時間は、それぞれ、制御部105が有するパラメータにより決定される。このパラメータは、LFL、被調和空間の容積、冷媒の流速等に基づき、適宜に設定される。
【0099】
ステップST43、ST44、ST45、ST46のそれぞれでは、第1遮断弁111、および、室内膨張弁304について、開度を小さくする制御または全閉状態とする制御が行われる。
【0100】
図9は、制御部105の制御により、室内ユニット34、35、36の全てを停止させる動作を示す。
図9の動作において、膨張弁204は第2の冷媒流量調整部として機能する。
【0101】
制御部105は、室内ユニット34、35、36を停止させる条件が成立したと判定した場合に(ステップST51)、空気調和装置5が冷房運転モードであるか否かを判定する(ステップST52)。室内ユニット34、35、36を停止させる条件は、第1実施形態において室内ユニット30を停止させる条件と同様である。
【0102】
空気調和装置5が冷房運転モードである場合(ステップST52;YES)、制御部105は、膨張弁204を閉じる制御を行う(ステップST53)。
制御部105は、ステップST53の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、室内膨張弁304、314、324をそれぞれ閉じる制御を行う(ステップST54)。ここで、制御部105は、室内膨張弁304、314、324を閉じるタイミングに合わせて、室内ファン302、312、322を停止させてもよい。
【0103】
制御部105は、ステップST54の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、第1遮断弁111、112、113のそれぞれを閉じる制御を行う(ステップST55)。
【0104】
ステップST53とステップST54との間の運転時間、および、ステップST54とステップST55の間の運転時間は、それぞれ、制御部105が有するパラメータにより決定される。このパラメータは、LFL、被調和空間の容積、冷媒の流速等に基づき、適宜に設定される。
【0105】
制御部105は、切替弁205を動作させ、切替弁205を暖房運転モードの位置、または、冷媒を流通させない位置にする(ステップST56)。制御部105は、圧縮機201を停止させ(ステップST57)、空気調和装置1全体の運転を停止する。
【0106】
ステップST56で切替弁205を動作させる理由は、第1実施形態のステップST15と同様である。
【0107】
空気調和装置5が冷房運転モードでない場合(ステップST52;NO)、制御部105は、冷房運転モードに切り替えてから、室内ユニット30を停止させるか否かを判定する(ステップST58)。ステップST58で、制御部105は、事前に設定された動作のパラメータに基づき判定を行う。
【0108】
制御部105の動作として、冷房運転モードに切り替えてから停止する動作(ステップST58;YES)、または、冷房運転モードに切り替えないで停止する動作(ステップST58;NO)が決定されており、選択不可能な場合は、ステップST58を省略してもよい。また、冷房運転モードに切り替えてから停止するか否かを、操作部100の操作により指定できる構成であってもよい。
【0109】
また、制御部105は、ステップST58で、室内ユニット34、35、36における冷媒の量に基づき判定を行ってもよい。例えば、制御部105は、室内ユニット34、35、36に滞留可能な冷媒の量が、被調和空間の容積とLFLから定められる冷媒量の目標値よりも多い場合に、冷房運転モードに切り替えると判定し(ステップST58;YES)、冷媒量が目標値以下の場合に、冷房運転モードに切り替えないと判定してもよい(ステップST58;NO)。
【0110】
冷房運転モードに切り替えてから停止する場合(ステップST58;YES)、制御部105は、切替弁205を動作させて暖房運転モードから冷房運転モードへの切り替えを行い(ステップST59)、ステップST53に移行し、上述の動作を行う。
【0111】
冷房運転モードに切り替えないで停止する場合(ステップST58;NO)、制御部105は、第1遮断弁111、112、113をそれぞれ閉じる制御を行う(ステップST60)。ここで、制御部105は、第1遮断弁111、112、113を閉じるタイミングに合わせて、室内ファン302、312、322を停止させてもよい。
【0112】
制御部105は、ステップST60の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、室内膨張弁304、314、324のそれぞれを閉じる制御を行う(ステップST61)。
制御部105は、ステップST61の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、膨張弁204を閉じる制御を行い(ステップST62)、ステップST56に移行する。
【0113】
ステップST53、ST54、ST55、ST60、ST61、ST62のそれぞれでは、第1遮断弁111、112、113、膨張弁204、および、室内膨張弁304、314、324について、開度を小さくする制御または全閉状態とする制御が行われる。
【0114】
ステップST60とステップST61との間の運転時間、および、ステップST61とステップST62の間の運転時間は、それぞれ、制御部105が有するパラメータにより決定される。このパラメータは、LFL、被調和空間の容積、冷媒の流速等に基づき、適宜に設定される。
【0115】
また、ステップST60で弁を閉じる前に、制御部105は、圧縮機201の運転周波数を小さくしてもよい。暖房運転モードでは、ユニット間配管13、14および室内ユニット34、35、36では、冷媒が高圧である。そこで、圧縮機201の運転周波数を低下させることにより、冷媒圧力の差を小さくしてから各弁を順に閉じることで、室内ユニット34、35、36から、冷媒をより効率よく回収できる。
【0116】
空気調和装置5において、室内膨張弁304、314、324を、膨張弁204に代えて、第2の冷媒流量調整部として機能させてもよい。この場合、ステップST53およびステップST62の動作が省略される。言い換えれば、膨張弁204を閉じるステップST53、ST62で、室内膨張弁304、314、324を閉じる制御が実行される。この場合、第2遮断弁121は、第4の冷媒流量調整部、および、第2の冷媒流量調整部の機能を兼ねるということもできる。
【0117】
以上のように、第5実施形態の空気調和装置5によれば、空気調和装置1と同様に、室内ユニット34、35、36の運転を停止する際に、第1の冷媒流量調整部、および、第2の冷媒流量調整部を順に閉じる制御を行うことができる。これにより、停止中に室内ユニット34、35、36に滞留する冷媒の量を少なくすることができる。このため、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0118】
また、空気調和装置5は、室外ユニット20に並列接続される複数の室内ユニット34、35、36を備え、各々の室内ユニット34、35、36は、膨張弁204と、各々の室内ユニット34、35、36が備える室内熱交換器301、311、321との間に配置される室内膨張弁304、314、324を備える。また、各々の室内ユニット34、35、36と室外ユニット20との間に配置され、第1の冷媒流量調整部を構成する複数の第1の弁としての第1遮断弁111、112、113を備える。
【0119】
制御部105は、空気調和装置5の冷房運転中に、室内ユニット34を停止させる条件が成立した場合、室内ユニット34が備える室内膨張弁304により冷媒流量を低減させ、その後に、室内ユニット34に対応する第1遮断弁111により冷媒流量を低減させる。これにより、複数の室内ユニット34、35、36のうち、室内ユニット34を停止させる際に、効率よく室内ユニット34から冷媒を回収することができ、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。室内ユニット35、36を停止させる場合も同様の制御により、同様の効果を得られる。
【0120】
また、制御部105は、空気調和装置5の暖房運転中に、室内ユニット34を停止させる条件が成立した場合、室内ユニット34に対応する第1遮断弁111により冷媒流量を低減させ、その後に、室内ユニット34の室内膨張弁304により冷媒流量を低減させる。
これにより、空気調和装置5の暖房運転中であっても、複数の室内ユニット34、35、36のうち室内ユニット34を停止させる際に、室内ユニット34から冷媒を回収し、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。室内ユニット35、36を停止させる場合も同様の制御により、同様の効果を得られる。
【0121】
また、制御部105は、空気調和装置5の冷房運転中に、室内ユニット34、35、36の全てを停止させる条件が成立した場合、膨張弁204により冷媒流量を低減させる制御と、室内膨張弁304、314、324の全てにより冷媒流量を低減させる制御と、第1遮断弁111、112、113の全てにより冷媒流量を低減させる制御と、を順に実行する。
これにより、複数の室内ユニット34、35、36の全てを停止させる際に、室内ユニット34、35、36から冷媒を効果的に回収し、停止中の室内ユニット34、35、36への冷媒流入を抑制できる。これにより、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0122】
また、制御部105は、空気調和装置5の暖房運転中に、室内ユニット34、35、36の全てを停止させる条件が成立した場合、切替弁205により暖房運転から冷房運転へ切り替える制御と、膨張弁204により冷媒流量を低減させる制御と、室内膨張弁304、314、324の全てにより冷媒流量を低減させる制御と、第1遮断弁111、112、113の全てにより冷媒流量を低減させる制御と、を順に実行する。
これにより、暖房運転中に複数の室内ユニット34、35、36の全てを停止させる際に、冷房運転中と同様に、室内ユニット34、35、36から冷媒を効果的に回収し、停止中の室内ユニット34、35、36への冷媒流入を抑制できる。これにより、冷媒漏洩が発生した場合に漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0123】
また、空気調和装置5は、室内ユニット34の停止中に、室内熱交換器301の両端に位置する第1遮断弁111および室内膨張弁304により冷媒の流量を制限するので、室内ユニット34において冷媒が漏洩しても、漏洩量を抑制できる。室内ユニット35、36においても同様の効果がある。
【0124】
[6.第6実施形態]
図10は、第6実施形態に係る空気調和装置6の構成を示す図である。
図11および
図12は、第6実施形態の空気調和装置6の動作を示すフローチャートである。これらの図に従って第6実施形態を説明する。第6実施形態において、上述した第1~第5実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。また、
図11および
図12のフローチャートにおいて、
図8、
図9と同様のステップには同ステップ番号を付して説明を省略する。
【0125】
空気調和装置6は、空気調和装置5において、第2遮断弁121、122、123を設けた構成である。第2遮断弁121、122、123の構成は、第3実施形態および第4実施形態で説明した通りである。
【0126】
すなわち、空気調和装置6では、膨張弁204と室内膨張弁304との間に第2遮断弁121が配置され、膨張弁204と室内膨張弁314との間に第2遮断弁122が配置される。また、膨張弁204と室内膨張弁324との間に第2遮断弁123が配置される。
【0127】
空気調和装置6は、制御部106を備える。制御部106は、制御部105と同様の制御を行う制御部であり、第2遮断弁121、122、123の開度および/または開閉制御を行う点で制御部105と相違する。
【0128】
第2遮断弁121、122、123は、第2の弁の一例に対応し、ユニット間配管14を流れる冷媒の流量を調整する。
【0129】
空気調和装置4は、空気調和装置5と同様に、室内ユニット34、35、36を制御して、切替弁205の制御により冷房運転モードおよび暖房運転モードで運転する。
【0130】
図11は、制御部106の制御により、室内ユニット34、35、36の一部を停止させるシーケンスを示す。ここでは、室内ユニット34を停止させる場合を例に挙げる。制御部106は、
図11のシーケンスに従って、室内ユニット34、35、36のうち複数台を停止させることも勿論可能である。
【0131】
図11および後述する
図12の動作において、第2遮断弁121、122、123は、室内ユニット30と、室外ユニット20との間を流れる冷媒の流量を調整または制限する第3の冷媒流量調整部として機能する。
【0132】
制御部106は、ステップST42で冷房運転モードであると判定した場合に(ステップST42;YES)、停止対象の室内ユニット34に対応する第2遮断弁121を閉じる制御を行う(ステップST71)。ここで、制御部105は、停止する対象である室内ユニット34の室内ファン302を停止させてもよい。
その後、制御部106は、ステップST43で膨張弁204を閉じる制御を行い、ステップST44で第1遮断弁111を閉じる制御を行う。ステップST42とステップST43との間で、制御部106は、設定された時間、他の室内ユニットおよび室外ユニット20の運転を継続する。
【0133】
空気調和装置5が冷房運転モードでない場合(ステップST42;NO)、制御部106は、ステップST45で第1遮断弁111を閉じる制御を行い、ステップST46で室内膨張弁304を閉じる制御を行う。その後、制御部106は、第2遮断弁121を閉じる制御を実行する(ステップST72)。
【0134】
ステップST71とステップST43との間の運転時間、および、ステップST46とステップST72の間の運転時間は、それぞれ、制御部106が有するパラメータにより決定される。
【0135】
ステップST71、ST72のそれぞれでは、第2遮断弁121の開度を小さくする制御または全閉状態とする制御が行われる。
【0136】
図12は、
図9と同様に、制御部106の制御により、室内ユニット34、35、36の全てを停止させる動作を示す。
【0137】
空気調和装置6が冷房運転モードであると判定した場合(ステップST52;YES)、制御部106は、ステップST53で膨張弁204を閉じる制御を行う。制御部106は、ステップST53の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、第2遮断弁121、122、123のそれぞれを閉じる制御を行う(ステップST81)。制御部106は、第2遮断弁121、122、123を閉じるタイミングに合わせて、室内ファン302、312、322を停止させてもよい。
【0138】
制御部106は、ステップST81の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、ステップST54で室内膨張弁304、314、324を閉じる制御を行う。
【0139】
また、制御部106は、空気調和装置6が冷房運転モードでないと判定し(ステップST52;NO)、冷房運転モードに切り替えないと判定した場合(ステップST58;NO)、ステップST61で、室内膨張弁304、314、324を閉じる制御を行う。制御部106は、設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、第2遮断弁121、122、123のそれぞれを閉じる制御を行う(ステップST82)。制御部106は、ステップST82の後に設定された時間、冷媒を回収するために圧縮機201を動作させる運転を実行し、その後に、ステップST62で膨張弁204を閉じる制御を行う。
【0140】
ステップST53とステップST81との間、ステップST81とステップST54との間、ステップST61とステップST82との間、および、ステップST82とステップST62との間の運転時間は、それぞれ、制御部106が有するパラメータにより決定される。
【0141】
ステップST81、ST82のそれぞれでは、第2遮断弁121、122、123について、開度を小さくする制御または全閉状態とする制御が行われる。
【0142】
空気調和装置6は、空気調和装置5と同様の機能を有し、同様の作用効果を得ることができる。さらに、空気調和装置6は、室内膨張弁304、314、324に加えて、冷媒の流量の調整および遮断に適した第2遮断弁121、122、123を用いることができる。このため、室内膨張弁304、314、324の負荷を軽減することができ、室内膨張弁304、314、324のメンテナンスの負担が増えないという利点もある。
【0143】
空気調和装置6は、第2遮断弁121、122、123を備えることにより、第1遮断弁111、112、113との間で、室内ユニット34、35、36の冷媒配管を閉じることができる。このため、室内ユニット34、35、36で冷媒が漏洩しても、漏洩量を抑制できる。
さらに、ユニット間配管13、14に、より多くの弁を設け、各弁を順に閉じる制御を行うことで、弁と弁の間の冷媒管に滞留する冷媒の量を抑制することができる。
【0144】
すなわち、空気調和装置6は、第1の冷媒流量調整部を構成する第1遮断弁111、112、113を、切替弁205とは別に備え、第2の冷媒流量調整部を構成する第2遮断弁121、122、123を、膨張弁204と室内ユニット34、35、36との間に備える。空気調和装置6は、制御部106の制御により、冷房運転中に室内ユニット34を停止させる条件が成立した場合、第2遮断弁121により冷媒流量を低減させ、その後に、第1遮断弁111により冷媒流量を低減させる。この構成によれば、冷媒流量を制限する目的に適した第1遮断弁111、112、113および第2遮断弁121、122、123を用い、冷媒流量を適切に調整できる。従って、停止中に室内ユニット34に流入する冷媒を効果的に抑制でき、室内ユニット34を停止させる際に効率よく冷媒を回収できる。室内ユニット35、36についても同様の効果が得られる。
【0145】
空気調和装置6において、室内膨張弁304、314、324を、膨張弁204に代えて、第2の冷媒流量調整部として機能させてもよい。この場合、ステップST71およびステップST72の動作が省略される。
【0146】
第6実施形態で、第2遮断弁121、122、123を、膨張弁204に代えて、第2の冷媒流量調整部として機能させてもよい。さらに、第2遮断弁121、122、123を、膨張弁204および室内膨張弁304、314、324に代えて、第4の冷媒流量調整部として機能させてもよい。この場合、膨張弁204、室内膨張弁304、314、324は膨張弁として機能する一方、第2遮断弁121、122、123が冷媒の流量を調整する機能を担う。よって、ステップ53とステップ81とステップ54、およびステップ61とステップ82とステップ62の1個以上の動作が省略されてもよい。
【0147】
[7.第7実施形態]
図13は、第7実施形態に係る空気調和装置7の構成を示す図である。
空気調和装置7は、空気調和装置6が有する第1遮断弁112、113を第1遮断弁114に置き換え、第2遮断弁122、123を第2遮断弁124に置き換えた構成である。その他の構成および機能について、空気調和装置7は空気調和装置6と共通する。
【0148】
第1遮断弁114は、ユニット間配管13に設けられ、室外ユニット20と室内ユニット35、36との間に配置される。第1遮断弁114は、ユニット間配管13を通じて室内ユニット35、36に流出入する冷媒の流量を調整する。冷房運転モードで、第1遮断弁114は、室内ユニット35、36の下流に位置する。
第2遮断弁124は、ユニット間配管14に設けられ、室外ユニット20と室内ユニット35、36との間に配置される。第2遮断弁124は、ユニット間配管14を通じて室内ユニット35、36に流出入する冷媒の流量を調整する。冷房運転モードで、第2遮断弁124は、室内ユニット35、36の上流に位置する。
【0149】
空気調和装置7は、制御部107を備える。制御部107は、第1遮断弁114、第2遮断弁124の開度および/または開閉を制御する。制御部107は、制御部106が第1遮断弁112、113を制御するタイミングで、第1遮断弁114を制御する。また、制御部107は、制御部106が第2遮断弁122、123を制御するタイミングで、第2遮断弁124を制御する。
【0150】
空気調和装置7においては、制御部107が制御部106と同様に制御を行うことで、空気調和装置6と同様の作用効果を得ることができる。
空気調和装置7では、室内ユニット35と室内ユニット36は、第1遮断弁114、第2遮断弁124によって同時に冷媒の供給が調整される。このため、室内ユニット35、36を個別に停止または運転させることはできないが、弁の数が少ないため、制御がシンプルでよいという利点がある。例えば、室内ユニット35と室内ユニット36とが、1つの被調和空間に設置される場合には、個別に運転および停止できないことの不利益はなく、大空間の空気調和を行う場合に、特に好適である。
【0151】
[8.第8実施形態]
図14は、第8実施形態に係る空気調和装置8の構成を示す図である。
図14に示す空気調和装置8は、第6実施形態で説明した室外ユニット20に代えて、室外ユニット21を備えている。室外ユニット21は、室外ユニット20に、圧力センサ211、212、温度センサ213、214を配置したものである。
【0152】
圧力センサ211は、圧縮機201の吐出側の冷媒圧力を検知し、圧力センサ212は圧縮機201の吸込側の冷媒圧力を検知する。温度センサ213は、圧縮機201の吐出側の冷媒温度を検知し、温度センサ214は圧縮機201の吸込側の冷媒温度を検知する。
【0153】
制御部108は、第6実施形態で説明した制御部106と同様に、空気調和装置8の各部を制御する。すなわち、
図11および
図12に示す制御を実行可能である。
さらに、制御部108は、圧力センサ211、212により検知される圧力、および、温度センサ213、214により検知される温度に基づき、空気調和装置8を制御する。
【0154】
例えば、制御部108は、ステップST71で第2遮断弁121、122、123を閉じてから、ステップST43で室内膨張弁304、314、324を閉じるまでの時間を、温度および/または圧力に基づき制御する。この場合、制御部108は、ステップST71で弁を閉じた後、圧力センサ211、212により検知される圧力、および、温度センサ213、214により検知される温度の全てが、設定された閾値に達した場合に、ステップST43を実行する。同様の制御を、ステップST43~ST44間、ステップST45~ST46間、ステップST46~ST72間で実行してもよい。また、
図12に示すステップST53~ST81間、ステップST81~ST54間、ステップST54~ST55間、ステップST60~ST61間、ステップST61~ST82間、ステップST82~ST62間で実行してもよい。
【0155】
この構成では、圧縮機201の吐出側と吸込側における温度および/または圧力に基づき、室内ユニット34、35、36から室外ユニット20への冷媒の回収状態を判定し、回収状態に適合するように、複数の冷媒流量調整部を順に制御できる。このため、弁を閉じるタイミングを最適化することができる。つまり、
図11、
図12の処理を必要十分な時間で実行し、室内ユニット34、35、36に滞留する冷媒の量を十分に減少させ、冷媒が漏出した場合の漏出量を抑制できる。
【0156】
[9.第9実施形態]
図15は、第9実施形態に係る空気調和装置9の構成を示す図である。
空気調和装置9は、空気調和装置1において、吸込管208に逆止弁209を設けた構成であり、その他の構成は空気調和装置1と同様である。
【0157】
逆止弁209により、圧縮機201から吸込管208への冷媒の流れが阻止される。
切替弁205が冷房運転モードのまま、空気調和装置9が運転を停止した場合、ユニット間配管11は、切替弁205によって吸込管208に接続される。この状態では、ユニット間配管11を通じて室内ユニット30に冷媒が流れることがない。
【0158】
空気調和装置1は、ステップST15(
図2)で切替弁205を動作させ、暖房運転モードの位置または冷媒を遮断する位置とする。これは、空気調和装置1の停止中に、室外ユニット20から冷媒が室内ユニット30流れることを抑制するための措置である。逆止弁209を設けた場合、切替弁205を冷房運転モードにすることで、逆止弁209が室内ユニット30に接続される。このため、空気調和装置9の停止中における冷媒の流れを止めることができる。
【0159】
上記第1~第8実施形態において、吸込管208に逆止弁209を設けた構成とすることも可能である。この場合、同様の効果が得られる。すなわち、制御部101、102、103、104が実行するステップST15の動作、制御部105、106、107、108が実行するステップST56の動作を、切替弁205を冷房運転モードの位置にする動作に置き換えることができる。この動作では、切替弁205が既に冷房運転モードの位置にある場合、特に動作を実行しなくて済むので、効率がよい。
【0160】
[10.他の実施形態]
なお、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、および応用が可能である。
【0161】
例えば、上記各実施形態では、切替弁205とは別に、第1の冷媒流量調整部として第1遮断弁111、112、113を備える空気調和装置1~9を説明したが、本発明はこれに限定されず、切替弁205を第1の冷媒流量調整部として用いてもよい。また、第3の冷媒流量調整部として第2遮断弁121、122、123、124を備える空気調和装置3、4、6、7、8は、膨張弁204を、第2の冷媒流量調整部として用いない動作を行ってもよい。すなわち、第2遮断弁121、122、123、124を閉じる動作の前後で、膨張弁204を全開または適宜の開度で開く構成であってもよい。この場合、第3の冷媒流量調整部である第2遮断弁121、122、123、124は、本発明の第2の冷媒流量調整部として機能する。
【産業上の利用可能性】
【0162】
以上のように、本発明に係る空気調和装置は、冷媒の漏洩が発生した場合であっても、漏洩する冷媒量を抑制できる空気調和装置として、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0163】
1、2、3、4、5、6、7、8、9 空気調和装置
11、12、13、14 ユニット間配管
20、21 室外ユニット
30、31、32、34、35、36 室内ユニット
100 操作部
101、102、103、104、105、106、107、108 制御部
111、112、113、114 第1遮断弁
121、122、123、124 第2遮断弁
201 圧縮機
202 室外熱交換器
203 室外ファン
204 膨張弁
205 切替弁
208 吸込管
209 逆止弁
211、212 圧力センサ
213、214 温度センサ
301、311、321 室内熱交換器
302、312、322 室内ファン
304、314、324 室内膨張弁