(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法
(51)【国際特許分類】
B62M 6/50 20100101AFI20230324BHJP
【FI】
B62M6/50
(21)【出願番号】P 2018248174
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】米田 優也
(72)【発明者】
【氏名】森岡 孝浩
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-113624(JP,A)
【文献】特開2010-167970(JP,A)
【文献】特開2017-222245(JP,A)
【文献】特開2015-071404(JP,A)
【文献】特開2015-174539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 1/00-29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動自転車の異常の有無を判定する故障検出装置であって、
モードを実行するための1つの操作ボタンと、
前記操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を制御装置に出力する第1のセンサ及び第2のセンサとを備え
、
前記電動自転車に含まれる前記制御装置は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから出力されるそれぞれの信号に基づいて前記電動自転車の異常の有無を判定し、
前記制御装置は、前記電動自転車に異常があると判定した場合、前記電動自転車の電源を再起動するまで、前記モードの実行を禁止する
故障検出装置。
【請求項2】
電動自転車の異常の有無を判定する故障検出装置であって、
モードを実行するための1つの操作ボタンと、
前記操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を制御装置に出力する第1のセンサ及び第2のセンサとを備え、
前記制御装置は、前記第1のセンサからHiスタックの信号を受信し、かつ前記第2のセンサから第2信号Loを受信した場合と、前記第1のセンサから第1信号Hiを受信し、かつ前記第2のセンサからLoスタックの信号を受信した場合とのそれぞれで、前記モードの実行を許可し、前記電動自転車の電源の再起動後、前記モードの実行を禁止する
故障検出装置。
【請求項3】
電動自転車の異常の有無を判定する故障検出装置であって、
モードを実行するための1つの操作ボタンと、
前記操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を制御装置に出力する第1のセンサ及び第2のセンサとを備え、
前記第1のセンサは、第1電線を介して前記制御装置と接続され、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第1信号を、前記第1電線を介して前記制御装置に送信し、
前記第2のセンサは、第2電線を介して前記制御装置と接続され、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第2信号を、前記第2電線を介して前記制御装置に送信し、
前記第1信号は、前記第2信号に対して論理を反転させた信号である
故障検出装置。
【請求項4】
前記
電動自転車に含まれる前記制御装置は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから出力されるそれぞれの信号に基づいて前記
電動自転車の異常の有無を判定する
請求項
2又は3に記載の故障検出装置。
【請求項5】
前記第1のセンサから出力される信号が第1の所定信号と異なる場合、及び、前記第2のセンサから出力される信号が第2の所定信号と異なる場合の少なくともいずれかを満たすとき、前記制御装置は、前記
電動自転車に異常があると判定する
請求項
4に記載の故障検出装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記
電動自転車に異常があると判定した場合、前記モードの実行を禁止する
請求項
4又は5に記載の故障検出装置。
【請求項7】
前記
電動自転車の電源の起動時に、前記制御装置は、前記
電動自転車の異常の有無を判定する
請求項
4~6のいずれか1項に記載の故障検出装置。
【請求項8】
前記第1のセンサから出力される信号は、前記第2のセンサから出力される信号に対して論理を反転させた信号である
請求項1
、2、4~
7のいずれか1項に記載の故障検出装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記操作ボタンが押下されることで前記第1のセンサから出力される信号と、前記操作ボタンが押下されることで前記第2のセンサから出力される信号とが重複する期間で前記モードを実行する
請求項1~
8のいずれか1項に記載の故障検出装置。
【請求項10】
電動モータと、
制御装置と、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の故障検出装置とを備え、
前記制御装置は、さらに、車体への押力に、電動モータによる補助駆動力を付加して押し歩く、又は前記補助駆動力を付加して自走させる前記モードを実行する
電動自転車。
【請求項11】
電動自転車の異常の有無を判定する故障検出方法であって、
モードを実行するための1つの操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を第1のセンサ及び第2のセンサが出力すること
と、
前記電動自転車に含まれる制御装置が前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから出力されるそれぞれの信号に基づいて前記電動自転車の異常の有無を判定し、前記制御装置が前記電動自転車に異常があると判定した場合、前記電動自転車の電源を再起動するまで、前記モードの実行を禁止することとを含む
故障検出方法。
【請求項12】
電動自転車の異常の有無を判定する故障検出方法であって、
モードを実行するための1つの操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を第1のセンサ及び第2のセンサが出力することと、
前記電動自転車に含まれる制御装置が前記第1のセンサからHiスタックの信号を受信し、かつ前記第2のセンサから第2信号Loを受信した場合と、前記第1のセンサから第1信号Hiを受信し、かつ前記第2のセンサからLoスタックの信号を受信した場合とのそれぞれで、前記モードの実行を許可し、前記電動自転車の電源の再起動後、前記モードの実行を禁止することとを含む
故障検出方法。
【請求項13】
電動自転車の異常の有無を判定する故障検出方法であって、
モードを実行するための1つの操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を第1のセンサ及び第2のセンサが出力することと、
前記第1のセンサは、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第1信号を、前記電動自転車に含まれる制御装置と接続されている第1電線を介して前記制御装置に送信することと、
前記第2のセンサは、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第2信号を、前記制御装置と接続されている第2電線を介して前記制御装置に送信することとを含み、
前記第1信号は、前記第2信号に対して論理を反転させた信号である
故障検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動自転車として特許文献1には、右スイッチと、左スイッチと、電動モータに押し歩き補助トルクを出力するモータ制御部と、押し歩き制御部とを有する電動自転車が開示されている。押し歩き制御部は、右スイッチ及び左スイッチのいずれか一方がON状態となることでモータ制御部を押し歩き可能状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電動自転車では、例えば、右スイッチ及び左スイッチのうちの少なくとも一方に異常をきたすと、ユーザの意図に反して、押し歩き制御部がモータ制御部を押し歩き可能状態にすることがある。つまり、ユーザが意図しないうちに電動モータが作動することがあり、事故等の障害を発生させる可能性がある。このため、誤動作による事故等の障害が発生することを未然に抑制するために、電動自転車の異常を検知することが求められる。
【0005】
そこで本開示は、安全性を高めることができる故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る故障検出装置は、電動自転車の異常の有無を判定する故障検出装置であって、モードを実行するための1つの操作ボタンと、前記操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を制御装置に出力する第1のセンサ及び第2のセンサとを備え、前記電動自転車に含まれる前記制御装置は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから出力されるそれぞれの信号に基づいて前記電動自転車の異常の有無を判定し、前記制御装置は、前記電動自転車に異常があると判定した場合、前記電動自転車の電源を再起動するまで、前記モードの実行を禁止する。
また、上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る故障検出装置は、電動自転車の異常の有無を判定する故障検出装置であって、モードを実行するための1つの操作ボタンと、前記操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を制御装置に出力する第1のセンサ及び第2のセンサとを備え、前記制御装置は、前記第1のセンサからHiスタックの信号を受信し、かつ前記第2のセンサから第2信号Loを受信した場合と、前記第1のセンサから第1信号Hiを受信し、かつ前記第2のセンサからLoスタックの信号を受信した場合とのそれぞれで、前記モードの実行を許可し、前記電動自転車の電源の再起動後、前記モードの実行を禁止する。
また、上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る故障検出装置は、電動自転車の異常の有無を判定する故障検出装置であって、モードを実行するための1つの操作ボタンと、前記操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を制御装置に出力する第1のセンサ及び第2のセンサとを備え、前記第1のセンサは、第1電線を介して前記制御装置と接続され、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第1信号を、前記第1電線を介して前記制御装置に送信し、前記第2のセンサは、第2電線を介して前記制御装置と接続され、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第2信号を、前記第2電線を介して前記制御装置に送信し、前記第1信号は、前記第2信号に対して論理を反転させた信号である。
【0007】
また、本開示の一態様に係る電動自転車は、電動モータと、制御装置と、故障検出装置とを備え、前記制御装置は、さらに、車体への押力に、電動モータによる補助駆動力を付加して押し歩く、又は前記補助駆動力を付加して自走させる前記モードを実行する。
【0008】
また、本開示の一態様に係る故障検出方法は、電動自転車の異常の有無を判定する故障検出方法であって、モードを実行するための1つの操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を第1のセンサ及び第2のセンサが出力することと、前記電動自転車に含まれる制御装置が前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから出力されるそれぞれの信号に基づいて前記電動自転車の異常の有無を判定し、前記制御装置が前記電動自転車に異常があると判定した場合、前記電動自転車の電源を再起動するまで、前記モードの実行を禁止することとを含む。
また、本開示の一態様に係る故障検出方法は、電動自転車の異常の有無を判定する故障検出方法であって、モードを実行するための1つの操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を第1のセンサ及び第2のセンサが出力することと、前記電動自転車に含まれる制御装置が前記第1のセンサからHiスタックの信号を受信し、かつ前記第2のセンサから第2信号Loを受信した場合と、前記第1のセンサから第1信号Hiを受信し、かつ前記第2のセンサからLoスタックの信号を受信した場合とのそれぞれで、前記モードの実行を許可し、前記電動自転車の電源の再起動後、前記モードの実行を禁止することとを含む。
また、本開示の一態様に係る故障検出方法は、電動自転車の異常の有無を判定する故障検出方法であって、モードを実行するための1つの操作ボタンが押下されることで、前記モードを実行するためのそれぞれの信号を第1のセンサ及び第2のセンサが出力することと、前記第1のセンサは、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第1信号を、前記電動自転車に含まれる制御装置と接続されている第1電線を介して前記制御装置に送信することと、前記第2のセンサは、前記モードを実行するためのそれぞれの信号に含まれる第2信号を、前記制御装置と接続されている第2電線を介して前記制御装置に送信することとを含み、前記第1信号は、前記第2信号に対して論理を反転させた信号である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る電動自転車の側面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る電動自転車のハンドル及び操作部の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る電動自転車の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1のセンサ及び第2のセンサが出力するそれぞれの信号を説明する図である。
【
図5A】
図5Aは、操作ボタンを押下した場合での制御装置の動作を説明する図である。
【
図5B】
図5Bは、操作ボタンを開放した場合での制御装置の動作を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る電動自転車の電源の起動時における制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
また、以下の説明において、「前方」とは、電動自転車の走行時の進行方向であり、「後方」とはその反対方向である。具体的には、電動自転車のサドルに対してハンドル側が「前方」である。「左右方向」は、前後方向に対して直交する方向である。
【0014】
(実施の形態)
[電動自転車1]
図1は、実施の形態に係る電動自転車1の側面図である。
【0015】
図1に示すように、電動自転車1は、第1モードと、第2モードとを有する。詳細は後述するが第1モードは、例えばアシストモードであり、ペダル17へのユーザの踏力に基づく車体10の前進を補助するモードである。また、詳細は後述するが第2モードには、例えば押し歩きモード又は自走モードが含まれる。押し歩きモードは、ユーザが電動自転車1を押して歩くときに、ユーザによる車体10を前へ押す力に基づいて、車体10の前進を補助するモードである。自走モードは、電動自転車1を支えながら進むときの車体10の前進を補助するモードである。なお、第2モードでは、ユーザが電動自転車1を支えながら進むときに、電動自転車1が自走してもよい。電動自転車1は、機器の一例である。
【0016】
電動自転車1は、車体10と、車体10に取り付けられたモータ駆動ユニット20と、操作部40と、手動スイッチ45とを備える。
【0017】
[車体10]
車体10は、フレーム11と、前輪12と、後輪13と、ハンドル14と、サドル15と、クランク16と、ペダル17と、図示しないスプロケットと、チェーン19と、バッテリー50と、変速機80とを備える。
【0018】
フレーム11は、ヘッドパイプ111と、メインフレーム112と、立パイプ113と、フォーク114と、チェーンステー115とを備える。ヘッドパイプ111は、前輪12を支持するフォーク114及びハンドル14を、ヘッドパイプ111の軸を中心に回転自在に支持する。ハンドル14が左右に回れば、フォーク114に支持された前輪12の向きは左右に回転する。
【0019】
メインフレーム112は、ヘッドパイプ111と立パイプ113とを連結する部分である。メインフレーム112の下端部には、クランク16及びモータ駆動ユニット20が取り付けられる。本実施の形態に係る電動自転車1は、クランク16とモータ駆動ユニット20とが一体化された、いわゆるセンターユニット方式の電動自転車であるが、センターユニット方式に限定されない。
【0020】
立パイプ113は、サドル15を着脱可能に支持する。具体的には、立パイプ113には、サドル15を支持するシートポストが挿入されて固定される。立パイプ113には、バッテリー50が着脱可能に取り付けられる。
【0021】
フォーク114は、前輪12を回転自在に支持する。前輪12を支持するフォーク114には、前照灯60が取り付けられる。チェーンステー115は、後輪13を回転自在に支持する。
【0022】
図2は、実施の形態に係る電動自転車1のハンドル14及び操作部40の斜視図である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、ハンドル14には、一対のグリップ141、及び、一対のブレーキレバー142が左右に設けられる。一対のグリップ141は、適切な姿勢で乗車された場合に、手で握られる部分である。また、一対のグリップ141は、電動自転車1を押して又は支えて歩く際にも手で握られて、前方への押力を受ける。なお、一対のグリップ141の少なくとも一方には、握る力又は押力を検知するグリップセンサが設けられてもよい。
【0024】
一対のブレーキレバー142は、前輪12及び後輪13の各々に取り付けられた、図示しないブレーキ装置の動作レバーである。一方のブレーキレバー142が操作されることで、前輪12に取り付けられたブレーキ装置が駆動され、前輪12に対して機械的な制動力が与えられる。また、他方のブレーキレバー142が操作されることで、後輪13に取り付けられたブレーキ装置が駆動され、後輪13に対して機械的な制動力が与えられる。
【0025】
ブレーキレバー142には、ブレーキセンサが設けられ、このブレーキセンサがブレーキレバー142に対する操作を検出する。一対のブレーキレバー142の一方(本実施の形態では左側のブレーキレバー142)の近傍には、操作部40及び手動スイッチ45が設けられる。
【0026】
図1に示すように、サドル15は、ユーザが適切な姿勢で乗車した場合に、人(ユーザ)が座る部分である。
【0027】
クランク16は、クランク軸161と、一対のクランクアーム162とを有する。クランクアーム162は、メインフレーム112の左右に1つずつ設けられており、左右方向に延びるクランク軸161の両端に固定される。クランクアーム162の一方端がクランク軸161に固定され、その他方端には、ペダル17が回転自在に固定される。ペダル17に踏力が加えられた場合、クランクアーム162がクランク軸161を中心に回転し、当該回転による人力駆動力がスプロケット及びチェーン19を介して後輪13に伝達される。第1モードで動作する場合には、踏力に基づく人力駆動力と、当該人力駆動力に付加するための電動モータ21による駆動力である第1補助駆動力とが後輪13に伝達される。
【0028】
バッテリー50は、モータ駆動ユニット20の電動モータ21(後述する)の駆動用の電力を貯める蓄電池である。バッテリー50は、例えば、二次電池であるが、キャパシタ等であってもよい。バッテリー50は、電動モータ21に電気的に接続されている。具体的には、バッテリー50は、電動モータ21に対して電力を供給するとともに、電動モータ21からの回生電力で充電する。
【0029】
変速機80は、互いにギア比の異なる複数の駆動力伝達経路を有する遊星ギア、多段ギア等の周知の変速機構で構成されている。変速機80は、駆動力伝達経路を切り換えることで、例えば、低速段、中速段、高速段等に変速可能である。変速機80は、人力駆動力によるクランク軸161の回転がスプロケット及びチェーン19を介して後輪13に伝達される駆動力伝達経路上に配置される。
【0030】
[操作部40]
操作部40は、前照灯60を点灯させるライトスイッチ41、電動自転車1の電源のオン状態及びオフ状態を切り替える電源スイッチ42等を有する。
【0031】
ライトスイッチ41は、前照灯60の点灯及び消灯を切り替えるスイッチである。
【0032】
電源スイッチ42は、バッテリー50からモータ駆動ユニット20の電動モータ21への電力供給の許可及び停止を切り替える。例えば、電源がオフ状態で電源スイッチ42が押下されたとき、バッテリー50から電動モータ21への電力供給が可能になる。
【0033】
[手動スイッチ45]
手動スイッチ45は、第2モードを実行するための押し歩き操作を受け付ける。手動スイッチ45は、例えばモーメンタリ型のスイッチである。具体的には、ユーザによって手動スイッチ45が押下されている期間では、操作部40は、第2モードを実行するための第2モードオン信号を制御装置22(後述)に出力し続ける。一方、手動スイッチ45が押下されていない期間には、操作部40は、第2モードオン信号をモータ駆動ユニット20の制御装置22に出力しない。手動スイッチ45は、故障検出装置101の一部を構成する。故障検出装置101は、機器の一例である。
【0034】
手動スイッチ45は、第2モードを実行するための1つの操作ボタン46と、操作ボタン46が押下されることで、第2モードを実行するためのそれぞれの信号を制御装置22に出力する第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bとを有する。
【0035】
操作ボタン46は、押下された際に第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bを押下するための上蓋である。操作ボタン46が第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bに近づくことで、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bのそれぞれが有するスイッチを押下することができる。
【0036】
図4は、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bが出力するそれぞれの信号を説明する図である。
【0037】
図4に示すように、第1のセンサ45aは、電線98を介して制御装置22と接続される。第1のセンサ45aは、第2モードを実行するための信号(以下、第1信号ということがある)を制御装置22に出力するセンサスイッチである。操作ボタン46が押下されると、第1のセンサ45aは、第1信号Hi(Highの略である)を制御装置22に送信する。また、操作ボタン46が開放されると、第1のセンサ45aは、第1信号Lo(Lowの略である)を制御装置22に送信する。第1信号Hiは、第1信号Loよりも出力の大きい信号である。
【0038】
なお、操作ボタン46が押下されると、第1のセンサ45aが第1信号Loを制御装置22に送信し、操作ボタン46が開放されると、第1のセンサ45aが第1信号Hiを制御装置22に送信してもよい。
【0039】
第2のセンサ45bは、電線99を介して制御装置22と接続される。第2のセンサ45bは、第2モードを実行するための信号(以下、第2信号ということがある)を制御装置22に出力するセンサスイッチである。操作ボタン46が押下されると、第2のセンサ45bは、第2信号Loを制御装置22に送信する。また、操作ボタン46が開放されると、第2のセンサ45bは、第2信号Hiを制御装置22に送信する。第2信号Hiは、第2信号Loよりも出力の大きい信号である。
【0040】
なお、操作ボタン46が押下されると、第2のセンサ45bが第2信号Hiを制御装置22に送信し、操作ボタン46が開放されると、第2のセンサ45bが第2信号Loを制御装置22に送信してもよい。
【0041】
また、第1のセンサ45aから出力される第1信号は、第2のセンサ45bから出力される第2信号に対して論理を反転させた信号である。具体的には、操作ボタン46が押下されると、第1のセンサ45aが第1信号Hiを出力し、第1信号Hiよりも出力の小さい第2信号Loを第2のセンサ45bが出力する。また、操作ボタン46が開放されると、第1のセンサ45aが第1信号Loを出力し、第1信号Loよりも出力の大きい第2信号Hiを第2のセンサ45bが出力する。論理を反転させた信号は、論理反転回路等の公知の手段によって実現することができる。
【0042】
なお、第1信号Hiと第2信号Hiとは、同等の出力であってもよく、第1信号Loと第2信号Loとは、同等の出力であってもよい。
【0043】
[モータ駆動ユニット20]
モータ駆動ユニット20は、樹脂製又は金属製の筐体に電動モータ21及び制御装置22を収納するユニットである。モータ駆動ユニット20は、電動モータ21と、制御装置22とを有する。
【0044】
電動モータ21は、制御装置22による制御に基づいて、バッテリー50からの電力を受けて駆動する。電動モータ21の回転トルクは後輪13のスプロケットに伝達されて、後輪13が回転する。回転トルクは、第1補助駆動力、又は、電動自転車1に対する押して又は支えて歩く力に付与される補助力である第2補助駆動力となる。また、電動モータ21は、モータ出力を出さない非駆動時に回生電力を発生させてバッテリー50を充電する回生動作を行うことができ、回生ブレーキとして作動する。
【0045】
電動モータ21は、第1補助駆動力及び第2補助駆動力を出力するモータである。電動モータ21は、第1モードを実行中に、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、第1補助駆動力を付加する。また、電動モータ21は、第2モードを実行中に、電動自転車1に対する押して又は支えて歩く力に、第2補助駆動力を付加する。
【0046】
図3は、実施の形態に係る電動自転車1の構成を示すブロック図である。
【0047】
図3に示すように、制御装置22は、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bから出力されるそれぞれの信号(第1信号及び第2信号)に基づいて当該電動自転車1の異常の有無を判定する。当該電動自転車1の電源の起動時、つまり、操作部40の電源スイッチ42をオン状態にしたときに、制御装置22は、当該電動自転車1の異常の有無を判定する。制御装置22は、故障検出装置101の一部を構成する。制御装置22は、機器の一例である。
【0048】
電動自転車1に異常がある場合、つまり、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45b、電線98、99及び制御装置22のうちの少なくともいずれかにおいて異常がある場合つまり故障している場合、手動スイッチ45の操作ボタン46が押下されなくても、制御装置22は、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bから第1信号及び第2信号と異なる信号を受信する。具体的には、第1のセンサ45aから出力される第1信号が第1の所定信号と異なる場合、及び、第2のセンサ45bから出力される第2信号が第2の所定信号と異なる場合の少なくともいずれかを満たすとき、制御装置22は、当該電動自転車1に異常があると判定する。例えば、第1信号が制御装置22に記憶されている第1の所定信号の出力、波形等と異なる場合、第2信号が制御装置22に記憶されている第2の所定信号の出力、波形等と異なる場合、制御装置22は、電動自転車1に異常があると判定する。例えば、制御装置22は、第1の所定信号と異なるHiスタックの信号又はLoスタックの信号を受信したり、第2の所定信号と異なる第2のセンサ45bからHiスタックの信号又はLoスタックの信号を受信したりする。
【0049】
本実施の形態では、第1の所定信号は第1信号Hiの出力、波形等と同様であり、第2の所定信号は第2信号Loの出力、波形等と同様である。なお、第1の所定信号が第1信号Loの出力、波形等と同様であり、第2の所定信号は第2信号Hiの出力、波形等と同様であってもよい。また、第1の所定信号が第1信号Lo又はHiの出力、波形等と同様であり、第2の所定信号は第2信号Lo又はHiの出力、波形等と同様であってもよい。
【0050】
電動自転車1の異常とは、例えば、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bの故障、電線98、99が他の電線等に短絡、制御装置22の故障等である。電動自転車1に異常がある場合、操作ボタン46の押下にかかわらず、制御装置22は、Hiスタックの信号又はLoスタックの信号を受信したりする。制御装置22の故障は、例えば、電線98、99に接続される制御装置22の入力インターフェイスの故障等である。
【0051】
制御装置22は、当該電動自転車1に異常があると判定した場合、当該電動自転車1の電源を再起動、つまり、操作部40の電源スイッチ42をオフ状態からオン状態にするまで、第2モードの実行を禁止する。この場合でも、電動自転車1の電源の起動時に電動自転車1の異常の有無の判定を制御装置22がするため、電動自転車1は、第2モードの実行を禁止する。
【0052】
電動自転車1に異常がある場合の制御装置22の動作について、具体例を挙げて説明する。
図5Aは、操作ボタン46を押下した場合での制御装置22の動作を説明する図である。
図5Bは、操作ボタン46を開放した場合での制御装置22の動作を説明する図である。
【0053】
手動スイッチ45の操作ボタン46が押下された場合と、操作ボタン46が開放された場合とについて説明する。
【0054】
図5Aで示すように、制御装置22は、第1のセンサ45aからHiスタックの信号を受信し、第2のセンサ45bから第2信号Loを受信した場合(状態1)、第1のセンサ45aから第1信号Hiを受信し、第2のセンサ45bからLoスタックの信号を受信した場合(状態4)、第2モードの実行を許可する。しかし、電動自転車1に異常があるため、制御装置22は、当該電動自転車1の電源の再起動後、第2モードの実行を禁止する。
図5Bで示すように、状態1では、操作ボタン46が開放されているにもかかわらず、Hiスタックの信号が第1のセンサ45aから出力される。また、状態4では、操作ボタン46が開放されているにもかかわらず、Loスタックの信号が第2のセンサ45bから出力される。この場合、ユーザが意図しないうちに電動モータ21が駆動することを抑制する必要がある。このため、制御装置22は、電動自転車1に異常があると判定し、第2モードの実行を禁止する。
【0055】
図5Aで示すように、制御装置22は、第1のセンサ45aからLoスタックの信号を受信し、第2のセンサ45bから第2信号Loを受信した場合(状態2)、第1のセンサ45aから第1信号Hiを受信し、第2のセンサ45bからHiスタックの信号を受信した場合(状態3)、電線98、99が他の電線等に短絡している場合(状態5)、電動自転車1に異常があるため、制御装置22は、第2モードの実行を禁止する。
図5Bで示すように、状態2では、操作ボタン46が開放されているにもかかわらずLoスタックの信号が第1のセンサ45aから出力される。また、状態3では、操作ボタン46が開放されているにもかかわらずHiスタックの信号が第2のセンサ45bから出力される。また、状態5では、操作ボタン46が開放されているにもかかわらず、電線98、99が他の電線等に短絡している。この場合、ユーザが意図しないうちに電動モータ21が駆動することを抑制する必要がある。このため、制御装置22は、電動自転車1に異常があると判定し、第2モードの実行を禁止する。
【0056】
また、
図4で示すように、制御装置22は、操作ボタン46が押下されることで第1のセンサ45aから出力される第1信号Hiと、操作ボタン46が押下されることで第2のセンサ45bから出力される第2信号Loとが重複する期間で第2モードの実行を許可する。言い換えれば、制御装置22は、第1の所定信号と同等の第1信号Hiと、第2の所定信号と同等の第2信号Loとを受信することで、第2モードを実行する。言い換えれば、制御装置22は、操作ボタン46が開放されることで第1のセンサ45aから出力される第1信号Loと、操作ボタン46が開放されることで第2のセンサ45bから出力される第2信号Hiとが重複する期間で第2モードの実行を禁止する。つまり、制御装置22は、第1のセンサ45aから出力される第1信号Hiと、第2のセンサ45bから出力される第2信号Loとを同時に受信する期間だけ、第2モードの実行を許可する。
【0057】
図1及び
図3で示すように、電動自転車1は、さらに、クランク回転センサ31と、電流センサ32と、踏力センサ33と、車速センサ34と、変速機計測部35とを備える。
【0058】
制御装置22には、電動モータ21、クランク回転センサ31、電流センサ32、踏力センサ33、車速センサ34、変速機計測部35、操作部40、手動スイッチ45、バッテリー50及び前照灯60が接続される。制御装置22は、クランク回転センサ31、電流センサ32、踏力センサ33、車速センサ34、変速機計測部35等のセンサによるセンシング情報に基づいて、電動モータ21の動作を制御する。また、制御装置22には、各スイッチに対する操作信号、及び、各センサによる検出結果であるセンシング情報が入力される。センシング情報は、クランク16の回転数を示す情報、電動モータ21の回転数を示す情報、電動モータ21のトルクを示す情報、踏力情報、速度情報、及び、変速機80を示す情報を含む総称である。
【0059】
本実施の形態では、制御装置22は、モータ駆動ユニット20の筐体の内部に収納されているが、これに限らない。制御装置22は、モータ駆動ユニット20とは別体で設けられていてもよい。
【0060】
クランク回転センサ31は、単位時間当たりのクランク16の回転数を検出する。クランク回転センサ31は、歯車状の回転体と、回転体の歯を挟むように配置された光出射部と受光部とを有する光検出器とを有することで実現する。クランク回転センサ31は、クランク16の回転数を示す情報を制御装置22に出力する。なお、クランク回転センサ31は、クランク16の回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。
【0061】
クランク回転センサ31及び踏力センサ33は、クランク軸161の近傍に配置される。電流センサ32は、電動モータ21の回転軸の近傍に配置される。
【0062】
電流センサ32は、電動モータ21に流れる電流値を算出する回路であり、電流値を示す電流情報を出力する。電流センサ32は、モータ回転センサ32aと、モータトルクセンサ32bとを有する。電流センサ32は、モータ回転センサ32aが検知した単位時間当たりの電動モータ21の回転数と、モータトルクセンサ32bが検知した電動モータ21のトルクとを用いて電流値を算出する。なお、電流値の算出は、モータ回転センサ32a、及びモータトルクセンサ32bがそれぞれ単独でも行うことが可能である。このため、電流値の算出には、モータ回転センサ32a、及びモータトルクセンサ32bの両方を必ず用いる必要はない。
【0063】
モータ回転センサ32aは、電動モータ21の回転軸と一体的に回転する磁石と、ホールICとを有する。ホールICは、磁石の回転に応じて変化する磁界の変化を検出することで、単位時間当たりの磁石の回転数、すなわち、電動モータ21の回転数を検出する。なお、モータ回転センサ32aは、電動モータ21の回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。モータ回転センサ32aは、電動モータ21の回転数を示す情報を制御装置22に出力する。
【0064】
モータトルクセンサ32bは、電動モータ21のトルクを検出することができる。モータトルクセンサ32bは、例えば磁歪式、歪みゲージ式、光学式等のトルクセンサであるが、これらに限定されず、電動モータ21のトルクを検出することができればいかなる構成でもよい。モータトルクセンサ32bは、電動モータ21のトルクを示す情報を制御装置22に出力する。
【0065】
踏力センサ33は、磁歪式のトルクセンサであり、ペダル17への人力駆動力に基づいてクランク軸161が回転することにより発生する人力駆動力を検出する。踏力センサ33は、コイルと、磁歪発生部とを有する。例えば、ペダル17に踏力が加えられて人力駆動力が発生した場合に、磁歪発生部に歪みが発生する。磁歪発生部には、透磁率が増加する部位と減少する部位とが発生する。踏力センサ33は、このコイルのインダクタンス差を検出することで、人力駆動力を検出する。踏力センサ33は、検出した人力駆動力を示す踏力情報を制御装置22に出力する。なお、踏力センサ33は、これらの構成に限定されず、ペダル17への人力駆動力が検出できればいかなる構成でもよい。
【0066】
車速センサ34は、例えば、フォーク114の下端部に設けられる。車速センサ34は、例えば、速度センサ等である。車速センサ34は、前輪12の回転から電動自転車1の車速を検出し、車速を示す速度情報を制御装置22に出力する。車速センサ34は、例えば、ホイルセンサ等であってもよいが、対地速度により算出するサイクルコンピュータであってもよく、電動自転車1の速度を検知することができればいかなる構成でもよい。
【0067】
変速機計測部35は、後輪13の変速機80の段を計測し、変速機80を示す情報を制御装置22へ送信する。変速機80の段の計測は、例えば、変速機切替装置が出力する変速機80を示す情報を制御装置22に出力することで実現してもよい。
【0068】
制御装置22は、クランク回転センサ31、電流センサ32、踏力センサ33、車速センサ34、変速機計測部35等のセンサによるセンシング情報に基づいて、電動モータ21の動作、つまり、適切な第1補助駆動力及び第2補助駆動力を人力駆動力に付加するための電動モータ21の出力を制御する。本実施の形態では、制御装置22は、モータ駆動ユニット20の筐体の内部に収納されているが、これに限らない。制御装置22は、モータ駆動ユニット20とは別体で設けられもよい。
【0069】
また、制御装置22は、バッテリー50から供給される電力を、電動モータ21、操作部40、手動スイッチ45、及び前照灯60等に供給する。
【0070】
また、制御装置22は、電動自転車1の動作モードに応じて、電動モータ21を駆動する。具体的には、制御装置22は、第1モードと第2モードとの動作モードを有する。制御装置22は、第1モードと第2モードとを切り替えてそれぞれの動作モードを実行する。
【0071】
第1モードは、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモードである。第1モードは、手動スイッチ45が押下されて電源がオンされた後、ユーザが電動自転車1に乗車している場合に実行される。具体的には、第1モードは、踏力センサ33で検知したペダル17への踏力が所定の閾値より大きい場合に実行される。
【0072】
制御装置22は、第1モードを実行する場合、ペダル17への踏力と電動自転車1の車速とに基づいて、電動モータ21が生成する第1補助駆動力の大きさを決定する。ペダル17への踏力は、踏力センサ33による検出結果から得られる。電動自転車1の車速は、車速センサ34、及び、モータ回転センサ32a等によって得られる。
【0073】
第2モードは、電動モータ21による第2補助駆動力を車体10への押力に付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させるモード(押し歩きモード又は自走モード)を有する。つまり、押し歩きモードは、電源がオン状態で、ユーザが電動自転車1を押し歩く際に、電動モータ21による第2補助駆動力を車体10に付加するモードである。押し歩きモードは、ユーザが電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を押しながら歩く場合に実行される。
【0074】
自走モードは、電動自転車1をユーザが支えた状態で、電動モータ21による第2補助駆動力を車体10に付加して自走させるモードである。自走モードは、押し歩きモードと同様に、人が電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を支えながら歩く場合に実行される。自走モードにおいて、ユーザは、車体10を前方に押す力を加えていない。
【0075】
なお、押し歩きモードと自走モードとは、車体10に対する前方への押す力の有無によって判別可能である。制御装置22は、例えば、グリップ141等に設けられたグリップセンサ等によって前方への押す力の有無を検知し、検出結果に応じて押し歩きモードと自走モードとを切り替えて実行してもよい。あるいは、制御装置22は、押し歩きモードと自走モードと判別することなく、第2補助駆動力を付加する第2モードとして実行してもよい。
【0076】
[電動自転車1の動作]
次に、本実施の形態に係る電動自転車1の制御装置22による動作について説明する。
【0077】
図6は、実施の形態に係る電動自転車1の電源の起動時における制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6では、操作部40の電源スイッチ42をオフ状態からオン状態にしたときに、電動自転車1の電源が起動する(S11)。
【0078】
次に、制御装置22は、第1のセンサ45aのスイッチが操作ボタン46から開放されているときに信号を受信するかどうかを判定する(S12)。つまり、制御装置22は、第1のセンサ45a又は電線98から信号を受信しているかどうかを判定する。具体的には、制御装置22は、受信した信号が第1の所定信号と異なるかどうかを判定する。受信した信号が第1の所定信号と異なる場合、受信した信号は、Hiスタックの信号又はLoスタックの信号である。この場合、操作ボタン46が押下されていないにもかかわらず第1のセンサ45aから信号を受信している。これは、
図5Aの状態1、2、5に相当する。制御装置22は操作ボタン46が開放されているときに、第1のセンサ45aのスイッチから信号を受信すると判定する(S12でNo)。ステップS12でNoの場合は、電動自転車1に異常がある。
【0079】
また、第1のセンサ45aのスイッチが操作ボタン46から開放されているときに信号を受信する場合(S12でYes)、制御装置22は、第2のセンサ45bのスイッチが操作ボタン46から開放されているときに信号を受信するかどうかを判定する(S13)。つまり、制御装置22は、第2のセンサ45b又は電線99から信号を受信しているかどうかを判定する。具体的には、制御装置22は、受信した信号が第2の所定信号と異なるかどうかを判定する。受信した信号が第2の所定信号と異なる場合、受信した信号は、Loスタックの信号又はHiスタックの信号である。この場合、操作ボタン46が押下されていないにもかかわらず第2のセンサ45bから信号を受信している。これは、
図5Aの状態3~5に相当する。制御装置22は、操作ボタン46が開放されているときに第2のセンサ45bのスイッチから信号を受信すると判定する(S13でNo)。ステップS13でNoの場合は、電動自転車1に異常がある。
【0080】
ステップS12でNoの場合、及び、ステップS13でNoの場合、制御装置22は、手動スイッチ45の操作ボタン46が押下されても、第2モードの実行を禁止する(S14)。そして、制御装置22は、処理を終了する。なお、ステップS14を経由した場合、電動自転車1に異常があるため、電動自転車1の電源を再起動しても、上述と同様の処理がなされるため、第2モードの実行を禁止する。
【0081】
一方、第2のセンサ45bのスイッチが操作ボタン46から開放されているときに信号を受信しない場合(S13でYes)、電動自転車1は正常な状態であるため、制御装置22は、処理を終了する。つまり、電動自転車1に異常がないため、操作ボタン46が押下されたときに、制御装置22は第2モードの実行を許可する。
【0082】
[作用効果]
次に、本実施の形態における故障検出装置101、電動自転車1及び故障検出方法の作用効果について説明する。
【0083】
上述したように、本実施の形態に係る故障検出装置101は、機器の異常の有無を判定する故障検出装置101であって、第2モードを実行するための1つの操作ボタン46と、操作ボタン46が押下されることで、第2モードを実行するためのそれぞれの信号(第1信号及び第2信号)を制御装置22に出力する第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bとを備える。
【0084】
これによれば、制御装置22は、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bが検知したそれぞれの信号を取得することができる。例えば、故障検出装置101を電動自転車1に適用した場合、制御装置22は、電動自転車1の異常の有無を判定することに使用したりすることができる。
【0085】
したがって、故障検出装置101では、例えば電動自転車1の安全性を高めることができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る故障検出方法において、機器(電動自転車1)の異常の有無を判定する故障検出装置101であって、モードを実行するための1つの操作ボタン46が押下されることで、モードを実行するためのそれぞれの信号(第1信号及び第2信号)を第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bが出力することを含む。
【0087】
この場合においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0088】
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、電動モータ21と、制御装置22と、故障検出装置101とを備える。そして、制御装置22は、制御装置22は、さらに、車体10への押力に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させる第2モードを実行する。
【0089】
これによれば、電動自転車1を押し歩く又は自走させる場合において、安全性を高めることができる。
【0090】
また、本実施の形態に係る故障検出装置101において、機器(電動自転車1)に含まれる制御装置22は、さらに、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bから出力されるそれぞれの信号(第1信号及び第2信号)に基づいて機器(電動自転車1)の異常の有無を判定する。
【0091】
これによれば、電動自転車1において、第1のセンサ45a、第2のセンサ45b、制御装置22等が故障したかどうかを判定することができる。このため、故障検出装置101では、例えば、電動自転車1の安全性を高めることができる。その結果、電動自転車1の誤動作による事故等の障害が発生することを未然に抑制することができる。
【0092】
また、本実施の形態に係る故障検出装置101は、第1のセンサ45aから出力される信号(第1信号)が第1の所定信号と異なる場合、及び、第2のセンサ45bから出力される信号(第2信号)が第2の所定信号と異なる場合の少なくともいずれかを満たすとき、制御装置22は、例えば機器(電動自転車1)に異常があると判定する。
【0093】
これによれば、第1信号及び第2信号によって、電動自転車1の異常の有無を判定するため、より正確に電動自転車1の異常の有無を判定することができる。
【0094】
また、本実施の形態に係る故障検出装置101において、制御装置22は、機器(電動自転車1)に異常があると判定した場合、第2モードの実行を禁止する。
【0095】
これによれば、第2モードの実行が禁止されるため、ユーザが意図しないうちに電動モータ21が駆動することを抑制することができる。このため、電動自転車1の誤動作による事故等の障害が発生することを未然に抑制することができる。また、電動自転車1に異常が無い場合は、第2モードの実行が許可されるため、電動自転車1における第2モードの操作の確実性を向上させることができる。
【0096】
また、本実施の形態に係る故障検出装置101において、機器(電動自転車1)の電源の起動時に、制御装置22は、機器(電動自転車1)の異常の有無を判定する。
【0097】
これによれば、起動時に判定することで、異常のある電動自転車1に第2モードを実行させないようにすることができる。このため、電動自転車1の安全性を高めることができる。
【0098】
また、本実施の形態に係る故障検出装置101において、第1のセンサ45aから出力される第1信号は、第2のセンサ45bから出力される第2信号に対して論理を反転させた信号である。
【0099】
異なる2つの信号を用いることで、例えば、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bと制御装置22とを繋ぐ電線98、99が他の電線等に短絡したかどうかを判定することができる。このため、電動自転車1の異常の原因を特定することができる。
【0100】
また、本実施の形態に係る故障検出装置101において、制御装置22は、操作ボタン46が押下されることで第1のセンサ45aから出力される第1信号と、操作ボタン46が押下されることで第2のセンサ45bから出力される第2信号とが重複する期間で第2モードを実行する。
【0101】
これによれば、第2モードの実行を許可するため、1つのセンサから出力される信号だけで第2モードの実行を許可する場合に比べて、制御装置22は、操作ボタン46が押下されて、第1のセンサ45a及び第2のセンサ45bから第1信号及び第2信号を受信したときに第2モードの実行を許可する。つまり、少なくとも一方の信号を制御装置22が取得しないときは、第2モードの実行を禁止する。このため、故障検出装置101は、例えば電動自転車1の安全性を高めることができる。
【0102】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法に限定されるものではない。
【0103】
例えば、上記の実施の形態の故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法において、制御装置は、第1のセンサから出力される第1信号Hiと、第2のセンサから出力される第2信号Loとが重複する期間で第2モードの実行を許可してもよく、第1のセンサから出力される第1信号Hi又はLoと、第2のセンサから出力される第2信号Hi又はLoとが重複する期間で第2モードの実行を許可してもよい。
【0104】
また、上記の実施の形態の故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法において、制御装置は、電動自転車の異常を判定した場合、異常を示す情報を操作部の表示部に出力してもよい。また、制御装置は、電動自転車の異常原因を特定した場合は、異常個所を示す情報を操作部の表示部に出力してもよい。
【0105】
また、上記の実施の形態の故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法において、制御装置は、電動モータによる第1補助駆動力が規定の出力以上となれば、第1補助駆動力を人力駆動力に付加しないように、電動モータを停止させてもよい。
【0106】
また、上記の実施の形態の故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法において、クランクの回転数と電動自転車の速度とを予め対応付けたテーブルが、制御装置の記憶部に記憶されていてもよい。制御装置は、当該テーブルを参照することで、クランクの回転数から電動自転車の車速を決定してもよい。
【0107】
また、上記の実施の形態の故障検出装置及び故障検出方法は、バイク、自動車等の車両等に用いてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態に係る故障検出装置、電動自転車及び故障検出方法に含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0109】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0110】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0111】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0112】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0113】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0114】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 電動自転車
10 車体
21 電動モータ
22 制御装置
45a 第1のセンサ
45b 第2のセンサ
46 操作ボタン
101 故障検出装置