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特許7249541表示制御装置、駐車支援装置、および表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】表示制御装置、駐車支援装置、および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 99/00 20090101AFI20230324BHJP
   B60R 1/22 20220101ALI20230324BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230324BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
B60R99/00 351
B60R99/00 330
B60R1/22
G06T7/00 650
B60W30/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019048278
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020147229
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大洞 路夫
【審査官】川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/179206(WO,A1)
【文献】特開2010-028432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 99/00
B60R 1/22
G06T 7/00
B60W 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺に存在する空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させる受取部と
記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力する生成部と、
前記カメラにより撮影された全ての空き駐車スペースの位置情報と前記車両の位置情報と前記カメラの画角とに基づいて前記俯瞰画像に検知された全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されるか否かを判定する判定部と、を有し、
前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されると判定した場合は、前記生成部が、前記車両の現在位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮像画像と前記車両の画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像である第1の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、
前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されないと判定した場合は、前記生成部が、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記第1の俯瞰画像とを合成した俯瞰画像である第2の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、
前記第2の俯瞰画像は、
前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、
前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる、
表示制御装置。
【請求項2】
前記表示用俯瞰画像は、
前記車両が走行している間、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在する前記空き駐車スペースの俯瞰画像が表示されるように更新される、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記受取部は、
前記車両の周辺に存在する静止物が検知される度に、前記静止物の位置情報、および、前記カメラにより撮影された前記静止物の撮影画像を受け取り、前記静止物の位置情報と前記静止物の撮影画像とを対応付けて前記記憶部に記憶させ、
前記生成部は、
前記静止物の撮影画像に基づいて前記静止物の俯瞰画像を生成し、
前記静止物の位置情報に基づいて前記静止物の俯瞰画像をさらに前記表示用俯瞰画像に含めて前記表示装置へ出力する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示装置に表示される前記表示用俯瞰画像には、
前記カメラの画角外にある前記静止物の俯瞰画像が含まれる、
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示装置に表示される前記表示用俯瞰画像には、
前記空き駐車スペースの俯瞰画像との重複部分が削除された前記静止物の俯瞰画像が含まれる、
請求項3または4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示用俯瞰画像は、
前記車両が走行している間、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在する前記空き駐車スペースおよび前記静止物それぞれの俯瞰画像が表示されるように更新される、
請求項3から5のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記車両は、
前記空き駐車スペースに自動駐車を行う車両である、
請求項1から6のいずれか1 項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
車両の周辺に存在する空き駐車スペースを検知する検知部と、
前記車両の走行を制御し、前記空き駐車スペースに前記車両を自動駐車させる走行制御部と、
前記検知部により前記空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させる受取部と
記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力する生成部と、
前記カメラにより撮影された全ての空き駐車スペースの位置情報と前記車両の位置情報と前記カメラの画角とに基づいて前記俯瞰画像に検知された全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されるか否かを判定する判定部と、を有し、
前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されると判定した場合は、前記生成部が、前記車両の現在位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮像画像と前記車両の画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像である第1の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、
前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されないと判定した場合は、前記生成部が、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記第1の俯瞰画像とを合成した俯瞰画像である第2の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、
前記第2の俯瞰画像は、
前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、
前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる、
駐車支援装置。
【請求項9】
車両に搭載される装置が行う表示制御方法であって、
前記車両の周辺に存在する空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させるステップと
記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力するステップと、
前記カメラにより撮影された全ての空き駐車スペースの位置情報と前記車両の位置情報と前記カメラの画角とに基づいて前記俯瞰画像に検知された全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されるか否かを判定するステップと、を有し、
前記判定するステップにおいて、前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されると判定した場合は、前記車両の現在位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮像画像と前記車両の画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像である第1の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、
前記判定するステップにおいて、前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されないと判定した場合は、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記第1の俯瞰画像とを合成した俯瞰画像である第2の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、
前記第2の俯瞰画像は、
前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、
前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる、
表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置、駐車支援装置、および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両の周辺を撮影するカメラを用いて撮影された空き駐車スペースの画像を俯瞰画像に変換し、その俯瞰画像に自車両を示す画像を合成して表示用画像を生成し、その表示用画像を表示する駐車支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-083735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、例えば、空き駐車スペースを探索中の車両が、検知された空き駐車スペースを通り過ぎた場合、その空き駐車スペースを示す俯瞰画像が表示されないことがある。よって、車両の乗員は、検知された空き駐車スペースの位置を認識できないという課題がある。
【0005】
本開示の一態様の目的は、車両の乗員が空き駐車スペースの位置を容易に認識できる表示制御装置、駐車支援装置、および表示制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示制御装置は、車両の周辺に存在する空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させる受取部と、前記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力する生成部と、前記カメラにより撮影された全ての空き駐車スペースの位置情報と前記車両の位置情報と前記カメラの画角とに基づいて前記俯瞰画像に検知された全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されるか否かを判定する判定部と、を有し、前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されると判定した場合は、前記生成部が、前記車両の現在位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮像画像と前記車両の画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像である第1の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されないと判定した場合は、前記生成部が、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記第1の俯瞰画像とを合成した俯瞰画像である第2の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、前記第2の俯瞰画像は、前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる。
【0007】
本開示の一態様に係る駐車支援装置は、車両の周辺に存在する空き駐車スペースを検知する検知部と、前記車両の走行を制御し、前記空き駐車スペースに前記車両を自動駐車させる走行制御部と、前記検知部により前記空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させる受取部と、前記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力する生成部と、前記カメラにより撮影された全ての空き駐車スペースの位置情報と前記車両の位置情報と前記カメラの画角とに基づいて前記俯瞰画像に検知された全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されるか否かを判定する判定部と、を有し、前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されると判定した場合は、前記生成部が、前記車両の現在位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮像画像と前記車両の画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像である第1の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、前記判定部が前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されないと判定した場合は、前記生成部が、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記第1の俯瞰画像とを合成した俯瞰画像である第2の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、前記第2の俯瞰画像は、前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる。
【0008】
本開示の一態様に係る表示制御方法は、車両に搭載される装置が行う表示制御方法であって、前記車両の周辺に存在する空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させるステップと、前記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力するステップと、前記カメラにより撮影された全ての空き駐車スペースの位置情報と前記車両の位置情報と前記カメラの画角とに基づいて前記俯瞰画像に検知された全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されるか否かを判定するステップと、を有し、前記判定するステップにおいて、前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されると判定した場合は、前記車両の現在位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮像画像と前記車両の画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像である第1の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、前記判定するステップにおいて、前記全ての空き駐車スペースが前記表示装置へ表示されないと判定した場合は、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記第1の俯瞰画像とを合成した俯瞰画像である第2の俯瞰画像を前記表示装置へ出力し、前記第2の俯瞰画像は、前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車両の乗員が空き駐車スペースの位置を容易に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に至った知見の説明に供する、車両、駐車車両、および空き駐車スペースの位置関係の一例を示す模式図
図2】本開示の実施の形態に係る駐車支援装置の構成例を示すブロック図
図3】本開示の実施の形態に係る表示制御装置の動作例を示すフローチャート
図4】本開示の実施の形態に係る俯瞰画像の一例を示す模式図
図5】本開示の変形例1に係る表示制御装置の動作例を示すフローチャート
図6】本開示の変形例1に係る俯瞰画像の一例を示す模式図
図7】本開示の実施の形態に係る駐車支援装置に含まれるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示に至った知見について、図1を用いて説明する。図1は、車両、駐車車両、および空き駐車スペースの位置関係の一例を示す模式図である。図1は、車両、駐車車両、および空き駐車スペースのそれぞれを真上から見た状態を示している。本明細書において、「駐車車両」とは、駐車中の他車両をいう。また、「空き駐車スペース」とは、他車両が駐車していない駐車スペースをいう。
【0012】
図1に示す駐車車両V1、V2は、区画線Lによって区切られた駐車スペース(ここでは、車両1台が並列駐車可能なスペース)に並列駐車している他車両である。また、図1に示す駐車スペースBS1、BS2は、それぞれ、空き駐車スペースである。
【0013】
図1に示す車両1は、例えば、自動駐車を実行する車両(例えば、乗用車)である。
【0014】
本明細書において、「自動駐車」は、車両の乗員による全ての運転操作を必要とすることなく行われる自動駐車でもよいし、または、車両の乗員による一部の運転操作を必要とすることなく行われる自動駐車でもよい。前者は、例えば、車両に搭載された駐車支援装置が、加減速、制動、および操舵の操作を必要とすることなく、車両の加減速、制動、および操舵を制御することにより(換言すれば、完全自動運転により)、車両を空き駐車スペースへ誘導し、駐車させる動作である。後者は、例えば、車両に搭載された駐車支援装置が、操舵の操作を必要とすることなく操舵を制御し、車両の乗員の操作に基づいて加減速および制動を制御することにより、車両を空き駐車スペースへ誘導し、駐車させる動作である。
【0015】
ここでは例として、車両1に搭載された車載カメラよって撮影された画像(以下、撮影画像という)に基づいて、空き駐車スペースが検知されるとする。なお、撮影画像に基づいて空き駐車スペースを検知する方法は、公知の方法を用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0016】
図1に示すように、車両1は、車両1の左方を撮影する左サイドカメラ3a、車両1の右方を撮影する右サイドカメラ3b、車両1の前方を撮影するフロントカメラ3c、車両1の後方を撮影するリアカメラ3dを備えている。なお、図1では、各カメラが1つずつ設けられている場合を例示したが、各カメラは、複数個設けられてもよい。
【0017】
例えば、図1に示した位置にある車両1が、空き駐車スペースを探索するために、各カメラによる撮影を行いながら進行方向Aへ徐行したとする。その結果、撮影画像に基づいて、駐車スペースBS1、BS2が空き駐車スペースとして検出され、駐車車両V1、V2が静止物として検出されたとする。
【0018】
そして、例えば、車両1の乗員により俯瞰画像の表示を指示する操作が行われた場合、従来の装置(例えば、特許文献1の装置)は、撮影画像を俯瞰画像に変換し、その俯瞰画像に対して車両1の画像(例えば、車両1を真上から見た状態を示す画像)を合成して表示する。
【0019】
ここで、例えば、空き駐車スペースとして検知された駐車スペースBS1、BS2のうち、駐車スペースBS1が左サイドカメラ3aの画角外に存在している場合、表示される俯瞰画像には、駐車スペースBS1を示す画像が含まれない。よって、車両1の乗員は、表示された俯瞰画像を見ても、空き駐車スペースとして検知された駐車スペースBS1の位置を認識することができない。
【0020】
本開示は、車両の乗員が、検知された空き駐車スペースの位置を容易に認識できるようにすることを目的とする。
【0021】
以上、本開示に至った知見について説明した。
【0022】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0023】
本実施の形態に係る駐車支援装置100の構成について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態の駐車支援装置100の構成例を示すブロック図である。
【0024】
図2に示す駐車支援装置100は、例えば図1に示した車両1に搭載される。また、駐車支援装置100は、車両1に搭載されたカメラ群3、自車位置センサ4、表示装置5、およびアクチュエータ群6と電気的に接続される。
【0025】
カメラ群3は、例えば、図1に示した左サイドカメラ3a、右サイドカメラ3b、フロントカメラ3c、およびリアカメラ3dを含む。以下では、カメラ群3に含まれるカメラを「各カメラ」という。各カメラは、撮影により得られた撮影画像を駐車支援装置100へ出力する。
【0026】
各カメラによる撮影処理および撮影画像出力処理は、空き駐車スペースの探索中の間(例えば図1において車両1が進行方向Aに沿って走行している間)、繰り返し行われる。
【0027】
自車位置センサ4は、例えば図示しないGPS(Global Positioning System)衛星から受信した信号に基づいて車両1の位置および向きを検出し、検出された車両1の位置および向きを示す自車両位置情報を駐車支援装置100へ出力する。
【0028】
自車位置センサ4による上記処理は、空き駐車スペースの探索中の間(例えば図1において車両1が進行方向Aに沿って走行している間)、繰り返し行われる。
【0029】
なお、本実施の形態では、自車位置センサ4を用いて車両1の位置および向きを検出する場合を例に挙げて説明するが、自車位置センサ4以外の公知の手段や方法を用いて車両1の位置および向きが検出されてもよい。
【0030】
また、図2では、自車位置センサ4のみを図示したが、車両1には、例えば、アクセルペダルの位置を検出するアクセルポジションセンサ、シフトレバーの位置を検出するシフトポジションセンサ、舵角を検出する舵角センサ、車両1の各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ等の各種センサが設けられている。これらのセンサは、それぞれ、駐車支援装置100と電気的に接続され、検出結果を示す信号を駐車支援装置100へ出力する。これらの信号は、駐車支援装置100が車両1を自動駐車させる際に用いられる。
【0031】
表示装置5は、車両1の車室内に設けられ、車両1および車両1の周辺を示す俯瞰画像(詳細は後述)を表示する。
【0032】
アクチュエータ群6は、車両1の加速、減速、制動、操舵等を実行するアクチュエータ群である。アクチュエータ群6は、例えば、加速および減速を実行するモータアクチュエータ、制動を実行するブレーキアクチュエータ、操舵を実行するステアリングアクチュエータ等の各種アクチュエータを含む。
【0033】
駐車支援装置100は、空き駐車スペースを検出し、その空き駐車スペースに車両1を自動駐車させる装置である。
【0034】
駐車支援装置100は、図7に示すように、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、コンピュータプログラムを格納したROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503を有する。CPU501、ROM502、およびRAM503は、互いに接続されている。
【0035】
以下に説明する駐車支援装置100および表示制御装置200の各部(図2参照)の機能は、CPU501がROM502から読み出したコンピュータプログラムを実行することにより実現される。また、このコンピュータプログラムは、所定の記録媒体に記録されて、ユーザ等に提供されてもよい。
【0036】
駐車支援装置100は、検知部11、走行制御部12、および表示制御装置200を有する。
【0037】
検知部11は、各カメラから受け取った撮影画像に基づいて、空き駐車スペースおよび静止物それぞれの位置を検知する。静止物は、例えば、駐車スペースに存在する駐車車両、ショッピングカート、またはコーン等であるが、これらに限定されない。なお、撮影画像に基づいて空き駐車スペースおよび静止物それぞれの位置を検知する方法は、公知の方法を用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0038】
検知部11による上記処理は、空き駐車スペースの探索中の間(例えば図1において車両1が進行方向Aに沿って走行している間)、繰り返し行われる。
【0039】
走行制御部12は、検知部11により検知された空き駐車スペースに車両1が自動駐車するように、アクチュエータ群6を制御する。この制御により、車両1は、空き駐車スペースに自動駐車を行う。なお、自動駐車が行われる空き駐車スペースは、車両1の乗員の操作によって決定されてもよいし、両1の乗員の操作によらず駐車支援装置100によって決定されてもよい。
【0040】
次に、表示制御装置200について説明する。
【0041】
表示制御装置200は、表示装置5における画像の表示を制御する装置である。具体的には、表示制御装置200は、車両1およびその周辺を示す俯瞰画像(具体的には、後述する第1~第3の俯瞰画像のいずれか)を生成し、その俯瞰画像を表示装置5へ出力する。
【0042】
図2に示すように、表示制御装置200は、受取部14、記憶部15、判定部16、および生成部17を有する。
【0043】
受取部14は、検知部11により検知された空き駐車スペースの位置情報と、各カメラのうちの少なくとも1つにより撮影された空き駐車スペースの画像(以下、空き駐車スペースの撮影画像という)とを受け取り、それらを対応付けて記憶部15に記憶させる。
【0044】
また、受取部14は、検知部11により検知された静止物の位置情報と、各カメラのうちの少なくとも1つにより撮影された静止物の画像(以下、静止物の撮影画像という)とを受け取り、それらを対応付けて記憶部15に記憶させる。
【0045】
記憶部15は、受取部14の制御により、空き駐車スペースの位置情報と、空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶する。
【0046】
また、記憶部15は、受取部14の制御により、静止物の位置情報と、静止物の撮影画像とを対応付けて記憶する。
【0047】
また、記憶部15は、予め用意された自車両画像を記憶する。自車両画像は、車両1の俯瞰画像である。
【0048】
また、記憶部15は、予め用意された報知画像を記憶する。報知画像は、空き駐車スペースが検知された旨を車両1の乗員に報知する画像である。例えば、報知画像は、空き駐車スペースが検知された旨を文字やイラスト等で示す画像である。
【0049】
なお、図2では、記憶部15が表示制御装置200内に設けられる場合を例示したが、記憶部15は、表示制御装置200の外部または駐車支援装置100の外部に設けられてもよい。
【0050】
判定部16は、検知部11による検知結果に基づいて種々の判定処理を行う。この判定処理の詳細については、後述する。
【0051】
生成部17は、記憶部15から読み出した画像(例えば、左サイドカメラ3a、右サイドカメラ3b、フロントカメラ3c、リアカメラ3dのそれぞれにより撮影された各撮影画像、および、自車両画像)に基づいて俯瞰画像を生成し、その俯瞰画像を表示装置5へ出力する。これにより、表示装置5には俯瞰画像が表示される。なお、生成部17が行う俯瞰画像の生成処理の詳細については、後述する。また、生成部17により生成され、表示装置5へ出力される後述の第1~第3の俯瞰画像は、「表示用俯瞰画像」の一例に相当する。
【0052】
以上、表示制御装置200について説明した。
【0053】
次に、表示制御装置200の動作について、図3を用いて説明する。図3は、表示制御装置200の動作例を示すフローチャートである。
【0054】
図3のフローは、空き駐車スペースの探索の開始時に開始される。なお、上述したとおり、空き駐車スペースの探索中では、各カメラ、自車位置センサ4、および検知部11による各処理が、繰り返し行われる。
【0055】
まず、判定部16は、検知部11により空き駐車スペースが検知されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0056】
検知部11により空き駐車スペースが検知されない場合(ステップS1:NO)、フローはステップS1へ戻る。
【0057】
一方、検知部11により空き駐車スペースが検知された場合(ステップS1:YES)、受取部14は、検知部11により検知された空き駐車スペースの位置情報と、各カメラのうちの少なくとも1つにより撮影された空き駐車スペースの撮影画像とを受け取り、それらを対応付けて、記憶部15に記憶させる(ステップS2)。このステップS2の処理は、空き駐車スペースが検知される度に行われる。
【0058】
次に、生成部17は、記憶部15から報知画像を読み出し、その報知画像を表示装置5へ出力する(ステップS3)。
【0059】
これにより、表示装置5は、報知画像の表示を行う。よって、車両1の乗員は、空き駐車スペースが検知されたことを認識できる。なお、ステップS3の処理は、空き駐車スペースが検知される度に行われてもよい。
【0060】
次に、判定部16は、車両1が停車したか否かを判定する(ステップS4)。
【0061】
ここで、車両1が停車しなかった場合(ステップS4:NO)、フローはステップS1へ戻る。
【0062】
一方、車両1が停車した場合(ステップS4:YES)、判定部16は、これから生成しようとする俯瞰画像に、検知部11により検知された全ての空き駐車スペースが示されるか否かを判定する(ステップS5)。
【0063】
例えば、判定部16は、記憶部15から読み出した全ての空き駐車スペースの位置情報と、自車位置センサ4から受け取った自車位置情報(ここでは、車両1の停車位置を示す情報)と、各カメラの画角とに基づいて、これから生成しようとする俯瞰画像に、検知された全ての空き駐車スペースが示されるか否かを判定する。
【0064】
俯瞰画像に全ての空き駐車スペースが示される場合(ステップS5:YES)、フローは、ステップS6~S7へ進む。一方、俯瞰画像に全ての空き駐車スペースが示されない場合(ステップS5:NO)、フローは、ステップS8~S9へ進む。
【0065】
まず、ステップS6~S7について説明する。
【0066】
生成部17は、車両1の現在位置(例えば、停車位置)で各カメラにより撮影された各画像(以下まとめて、現在位置撮影画像という)と、自車両画像とに基づいて、第1の俯瞰画像を生成する(ステップS6)。
【0067】
第1の俯瞰画像は、従来一般的な俯瞰画像である。ここで、ステップS6について、検知された空き駐車スペースが1つであり、現在位置撮影画像にその空き駐車スペースの撮影画像が含まれる場合を例に挙げて説明する。
【0068】
まず、生成部17は、記憶部15から読み出した現在位置撮影画像(検知された空き駐車スペースの撮影画像を含む)に対して例えば歪曲補正処理や射影変換処理等を施す。そして、生成部17は、それらの処理により得られた現在位置俯瞰画像(検知された空き駐車スペースの俯瞰画像を含む)と、記憶部15から読み出した自車両画像とを合成して、第1の俯瞰画像を生成する。この生成の際、生成部17は、自車位置センサ4から受け取った自車位置情報(ここでは、車両1の停車位置を示す情報)と、検知された空き駐車スペースの位置情報とに基づいて、自車両画像および空き駐車スペースの俯瞰画像の配置を行う。
【0069】
そして、生成部17は、ステップS6で生成された第1の俯瞰画像を表示装置5へ出力する(ステップS7)。
【0070】
これにより、表示装置5は、ステップS6で生成された第1の俯瞰画像の表示を行う。
【0071】
次に、ステップS8~S9について説明する。
【0072】
生成部17は、現在位置撮影画像と、自車両画像と、車両1が現時点(例えば、停車時点)よりも過去に位置した位置(例えば、走行中の位置)で各カメラにより撮影された各画像(以下まとめて、過去位置撮影画像という)とに基づいて、第2の俯瞰画像を生成する(ステップS8)。
【0073】
ここで、ステップS8について、検知された空き駐車スペースが図1に示した駐車スペースBS1、BS2の2つであり、現在位置撮影画像に駐車スペースBS2の撮影画像が含まれており、過去位置撮影画像に駐車スペースBS1の撮影画像が含まれている場合(例えば、車両1の現在位置において駐車スペースBS1が各カメラの画角外である場合)を例に挙げて説明する。
【0074】
まず、生成部17は、記憶部15から読み出した現在位置撮影画像(検知された駐車スペースBS2の撮影画像を含む)に対して例えば歪曲補正処理や射影変換処理等を施す。そして、生成部17は、それらの処理により得られた現在位置俯瞰画像(検知された駐車スペースBS2の俯瞰画像を含む)と、記憶部15から読み出した自車両画像とを合成して、第1の俯瞰画像を生成する。この生成の際、生成部17は、自車位置センサ4から受け取った自車位置情報(ここでは、車両1の停車位置を示す情報)と、駐車スペースBS2の位置情報とに基づいて、自車両画像および駐車スペースBS2の俯瞰画像の配置を行う。
【0075】
次に、生成部17は、記憶部15から読み出した過去位置撮影画像(検知された駐車スペースB1の撮影画像を含む)に対して例えば歪曲補正処理や射影変換処理等を施し、それらの処理により過去位置俯瞰画像(検知された駐車スペースBS1の俯瞰画像を含む)を得る。
【0076】
次に、自車両画像および現在位置俯瞰画像(駐車スペースBS2の俯瞰画像を含む)を含む第1の俯瞰画像に対して、過去位置俯瞰画像(駐車スペースBS1の俯瞰画像を含む)を合成して、第2の俯瞰画像を生成する。この生成の際、生成部17は、記憶部15から読み出した駐車スペースBS1の位置情報に基づいて、駐車スペースBS1の俯瞰画像の配置を行う。このとき、表示装置5における画像の表示範囲に応じて、第2の俯瞰画像における各画像の大きさを調整(例えば、縮小)してもよい。
【0077】
このようにして生成される第2の俯瞰画像は、第1の俯瞰画像とは異なり、車両1が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された空き駐車スペースの撮影画像に基づいて生成された空き駐車スペースの俯瞰画像を含むものである。すなわち、第2の俯瞰画像は、第1の俯瞰画像の生成に用いられる画像が撮像された位置よりも、車両1が過去に位置していた位置で撮像された画像から生成された俯瞰画像を含むものである。
【0078】
以上、ステップS8について説明したが、ステップS8における処理の順序は、上記説明に限定されない。
【0079】
そして、生成部17は、ステップS8で生成された第2の俯瞰画像を表示装置5へ出力する(ステップS9)。
【0080】
これにより、表示装置5は、ステップS8で生成された第2の俯瞰画像の表示を行う。図4は、表示装置5に表示された第2の俯瞰画像の一例を示す図である。
【0081】
図4に示すように、第2の俯瞰画像には、車両1を示す自車両画像I1、検知された空き駐車スペースである駐車スペースBS2を示す駐車スペース画像I2、および、検知された空き駐車スペースである駐車スペースBS1を示す駐車スペース画像I3が含まれる。
【0082】
なお、上記ステップS8の説明では、検知された空き駐車スペースのうち、車両1の現在位置において各カメラの画角外にある駐車スペースが、駐車スペースBS1のみである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。検知された空き駐車スペースのうち、車両1の現在位置において各カメラの画角外にある駐車スペースが複数ある場合、それらの駐車スペースの俯瞰画像が含まれるように第2の俯瞰画像が生成される。
【0083】
また、上記ステップS8の説明では、現在位置撮影画像に、検知された駐車スペースBS2の撮影画像のみが含まれる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。仮に駐車スペースBS2に他車両が駐車しており、現在位置撮影画像にその他車両の撮影画像が含まれている場合、図4に示す第2の俯瞰画像は、駐車スペース画像I3のみを含み、駐車スペース画像I2を含まないものとなる。
【0084】
以上、表示制御装置200の動作例について説明した。
【0085】
ここまで詳述したように、本実施の形態によれば、検知された空き駐車スペースが各カメラの現在の画角外であっても、車両1が現時点よりも過去に位置していた位置でその空き駐車スペースを撮影した画像に基づいてその空き駐車スペースの俯瞰画像を生成し、その空き駐車スペースの俯瞰画像を含む第2の俯瞰画像を生成し、表示するので、車両1の乗員は、検知された空き駐車スペースの位置を容易に認識できる。
【0086】
なお、上述した実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0087】
[変形例1]
上記実施の形態では、車両1の現在位置において、検知された空き駐車スペースが各カメラの画角外にある場合、車両1の乗員がその空き駐車スペースの位置を認識できないという課題が生じる旨を説明したが、車両1の現在位置から見て、検知された空き駐車スペースがそれに隣接する静止物の陰に隠れる場合も、同様の課題が生じる。本変形例は、その課題を解決することを目的とする。
【0088】
本変形例に係る表示制御装置200の動作について、図5を用いて説明する。図5は、本変形例に係る表示制御装置200の動作例を示すフローチャートである。図5は、図3に対してステップS11~15を追加したフローチャートである。以下では主に、ステップS11~S15について説明する。
【0089】
図5のフローは、空き駐車スペースの探索の開始時に開始される。なお、上述したとおり、空き駐車スペースの探索中では、各カメラ、自車位置センサ4、および検知部11による各処理が、繰り返し行われる。
【0090】
まず、判定部16は、検知部11により静止物が検知されたか否かを判定する(ステップS11)。
【0091】
検知部11により静止物が検知された場合(ステップS11:YES)、受取部14は、検知部11により検知された静止物の位置情報と、各カメラのうちの少なくとも1つにより撮影された静止物の撮影画像とを受け取り、それらを対応付けて記憶部15に記憶させる(ステップS12)。このステップS12の処理は、静止物が検知される度に行われる。
【0092】
なお、検知部11により静止物が検知されない場合(ステップS11:NO)、フローはステップS1へ進む。
【0093】
ステップS1~S7については、上記実施の形態において図3を用いて説明済みであるので、ここでの説明は省略する。
【0094】
本変形例では、これらから生成される俯瞰画像に全ての空き駐車スペースが示されない場合(ステップS5:NO)、フローは、ステップS13へ進む。
【0095】
判定部16は、検知された空き駐車スペースのうち、車両1の現在位置から見て静止物の陰に隠れる空き駐車スペースがあるか否かを判定する(ステップS13)。
【0096】
例えば、判定部16は、検知された空き駐車スペース毎に、自車両位置情報、空き駐車スペースの位置情報、および静止物の位置情報に基づいて、空き駐車スペースが静止物の陰に隠れるか否かを判定する。
【0097】
ここで、検知された空き駐車スペースが静止物の陰に隠れる場合の具体例について、図1を用いて説明する。
【0098】
図1において、例えば、空き駐車スペースとして駐車スペースBS1が検知され、車両1が駐車スペースBS2の前方に停車した場合、車両1の位置から見て、駐車スペースBS1は、駐車車両V2の陰に隠れることになる。この場合、判定部16は、自車両位置情報、駐車スペースBS1の位置情報、および駐車車両V2の位置情報に基づいて、駐車スペースBS1が駐車車両V2の陰に隠れると判定する。
【0099】
以下、図5の説明に戻る。
【0100】
検知された空き駐車スペースのうち、静止物の陰に隠れる空き駐車スペースがない場合(ステップS13:NO)、フローは、ステップS8~S9へ進む。
【0101】
ステップS8~S9については、上記実施の形態において図3を用いて説明済みであるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
検知された空き駐車スペースのうち、静止物の陰に隠れる空き駐車スペースがある場合(ステップS13:YES)、フローは、ステップS14へ進む。
【0103】
生成部17は、現在位置撮影画像、過去位置撮影画像、および自車両画像に基づいて、第3の俯瞰画像を生成する(ステップS14)。
【0104】
ここで、ステップS14について、検知された空き駐車スペースが図1に示した駐車スペースBS1、BS2の2つであり、現在位置撮影画像に駐車スペースBS2の撮影画像が含まれており、過去位置撮影画像に駐車車両V1、V2、駐車スペースBS1それぞれの撮影画像が含まれている場合(例えば、車両1の現在位置において駐車車両V1、V2、および駐車スペースBS1が各カメラの画角外である場合)を例に挙げて説明する。
【0105】
また、駐車車両V1、V2それぞれの撮影画像は、例えば、左サイドカメラ3aが駐車車両V1、V2それぞれの車幅方向の中心に位置したときに撮影された画像であるとする。
【0106】
まず、生成部17は、記憶部15から読み出した現在位置撮影画像(検知された駐車スペースBS2の撮影画像を含む)に対して例えば歪曲補正処理や射影変換処理等を施す。そして、生成部17は、それらの処理により得られた現在位置俯瞰画像(検知された駐車スペースBS2の俯瞰画像を含む)と、記憶部15から読み出した自車両画像とを合成して、第1の俯瞰画像を生成する。この生成の際、生成部17は、自車位置センサ4から受け取った自車位置情報(ここでは、車両1の停車位置を示す情報)と、駐車スペースBS2の位置情報とに基づいて、自車両画像および駐車スペースBS2の俯瞰画像の配置を行う。
【0107】
次に、生成部17は、記憶部15から読み出した現在位置撮影画像(検知された駐車スペースB1、駐車車両V1、V2それぞれの撮影画像を含む)に対して例えば歪曲補正処理や射影変換処理等を施す。生成部17は、それらの処理により過去位置俯瞰画像(検知された駐車スペースBS1、駐車車両V1、V2それぞれの俯瞰画像を含む)を得る。
【0108】
次に、自車両画像および現在位置俯瞰画像(駐車スペースBS2の俯瞰画像を含む)第1の俯瞰画像に対して、過去位置俯瞰画像(駐車スペースBS1、駐車車両V1、V2それぞれの俯瞰画像を含む)を合成して、第3の俯瞰画像を生成する。この生成の際、生成部17は、記憶部15から読み出した、駐車スペースBS1、駐車車両V1、V2それぞれの位置情報に基づいて、駐車スペースBS1、駐車車両V1、V2それぞれの俯瞰画像の配置を行う。このとき、表示装置5における画像の表示範囲に応じて、第3の俯瞰画像における各画像の大きさを調整(例えば、縮小)してもよい。
【0109】
以上、ステップS13について説明したが、ステップS13における処理の順序は、上記説明に限定されない。
【0110】
次に、生成部17は、ステップS13で生成された第3の俯瞰画像を表示装置5へ出力する(ステップS15)。
【0111】
これにより、表示装置5は、ステップS13で生成された第3の俯瞰画像の表示を行う。図6は、表示装置5に表示された第3の俯瞰画像の一例を示す図である。
【0112】
図6に示すように、第3の俯瞰画像には、図4に示した自車両画像I1、駐車スペース画像I2、および駐車スペース画像I3に加えて、駐車車両V1を示す駐車車両画像I4および駐車車両V2を示す駐車車両画像I5が含まれる。
【0113】
なお、説明を分かり易くするため、図6では、駐車車両画像I4、I5が、それぞれ、駐車車両V1、V2の形状を鮮明に示す画像である場合を例示したが、これに限定されない。一般的に、平面(例えば、駐車スペース)が映った撮影画像を俯瞰画像に変換した場合、俯瞰画像における平面の形状は、その平面を真上から見た形状となるが、立体物(例えば、駐車車両)が映った撮影画像を俯瞰画像に変換すると、俯瞰画像における立体物の形状は、その立体物を真上から見た形状とは異なる形状となる。例えば、駐車車両が映った撮影画像を俯瞰画像に変換すると、その俯瞰画像における駐車車両の形状は、歪んだ形状(例えば、斜め上方に飛び出たような形状)となる。よって、駐車車両画像I4、I5それぞれにおける駐車車両V1、V2の形状は、歪んだ形状であってもよい。
【0114】
また、例えば、駐車車両画像I5における駐車車両V2の形状が大きく歪んでいる(例えば、駐車スペースBS1の俯瞰画像の方向に飛び出ている)ことで、第3の俯瞰画像を生成する際に、駐車車両画像I5が駐車スペース画像I3と重なる場合、生成部17は、駐車車両画像I5における駐車スペース画像I3との重複部分を削除する等の処理を行ってもよい。これにより、表示装置5に表示される第3の俯瞰画像には、駐車スペース画像I3との重複部分が削除された駐車車両画像I5が含まれる。
【0115】
また、本変形例では、静止物の撮影画像に基づいて生成された俯瞰画像(例えば、駐車車両画像I4、I5)を用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、予め用意された駐車車両画像を用いてもよい。この駐車車両画像は、自車両画像I1と同様に、所定の車両の俯瞰画像である。
【0116】
以上、本変形例に係る表示制御装置200の動作例について説明した。
【0117】
本変形例によれば、検知された空き駐車スペースが車両1の現在位置から見て静止物の陰に隠れる場合、検知された全ての空き駐車スペースを示す画像および自車両画像に加えて、静止物を示す画像も表示されるので、車両1の乗員は、検知された空き駐車スペースの位置をより容易に認識できる。
【0118】
[変形例2]
実施の形態および変形例1では、空き駐車スペースが検知されたときに報知画像を表示装置5へ出力する場合を例に挙げて説明したが、報知画像の出力処理は、行われなくてもよい。
【0119】
また、実施の形態および変形例1では、空き駐車スペースが検知された後、車両1が停車したことをトリガとして、ステップS5の判定処理が行われる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、車両1の乗員により俯瞰画像の表示を指示する操作が行われたことをトリガとして、ステップS5の判定処理が行われてもよい。
【0120】
また、第2の俯瞰画像または第3の俯瞰画像は、空き駐車スペースの探索のために車両1が走行している間、継続的に生成および表示されてもよい。例えば、第2の俯瞰画像は、車両1が走行している間、車両1の現在位置から所定範囲内に存在する空き駐車スペースの俯瞰画像が表示されるように更新されてもよい。また、例えば、第3の俯瞰画像は、車両1が走行している間、車両1の現在位置から所定範囲内に存在する空き駐車スペースおよび静止物それぞれの俯瞰画像が表示されるように更新されてもよい。
【0121】
[変形例3]
図2では、表示制御装置200が駐車支援装置100に含まれる場合を例示したが、表示制御装置200と駐車支援装置100とは別体であってもよい。その場合、表示制御装置200は、駐車支援装置100から、検知部11および判定部16による処理結果を示す情報を受け取り、その情報に基づいて上述した各処理(例えば、判定部16、生成部17がそれぞれ行う処理)を行う。
【0122】
[変形例4]
実施の形態では、検知部11が車載カメラ(例えば、カメラ群3)により撮影された画像に基づいて空き駐車スペースや静止物を検知する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、車両1が車載カメラ以外の検知デバイスを備える場合、その検知デバイスから受け取る信号等に基づいて、空き駐車スペースや静止物を検知してもよい。車載カメラ以外の検知デバイスとしては、例えば、車両1の周辺に電波を送信し、その反射波を受信するレーダデバイス、または、車両1の周辺に音波を送信し、その反射波を受信する超音波ソナー等が挙げられる。レーダデバイスとしては、例えば、ミリ波レーダ、または、レーザレーダなどを用いることができる。レーザレーダは、LIDAR(Light Detection and Ranging)とも呼ばれる。
【0123】
なお、より検知精度を向上させるために、検知部11は、車載カメラにより撮影された画像と、検知デバイスにより受信された反射波を示す信号との両方に基づいて、空き駐車スペースや静止物を検知してもよい。
【0124】
[変形例5]
実施の形態では、車両1が自動駐車を行うことができる車両である場合を例に挙げて説明したが、車両1は、自動駐車を行うことができない車両であってもよい。その場合、走行制御部12は、車両1の乗員による加減速、制動、操舵の操作に基づいて、アクチュエータ群6を制御する。
【0125】
以上、変形例について説明した。なお、各変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0126】
<本開示のまとめ>
本開示のまとめは、以下のとおりである。
【0127】
本開示の表示制御装置は、車両の周辺に存在する空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させる受取部と、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像を生成し、前記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力する生成部と、を有し、前記表示装置に表示される前記表示用俯瞰画像には、前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる。
【0128】
また、本開示の表示制御装置において、前記表示用俯瞰画像は、前記車両が走行している間、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在する前記空き駐車スペースの俯瞰画像が表示されるように更新される。
【0129】
また、本開示の表示制御装置において、前記受取部は、前記車両の周辺に存在する静止物が検知される度に、前記静止物の位置情報、および、前記カメラにより撮影された前記静止物の撮影画像を受け取り、前記静止物の位置情報と前記静止物の撮影画像とを対応付けて前記記憶部に記憶させ、前記生成部は、前記静止物の撮影画像に基づいて前記静止物の俯瞰画像を生成し、前記静止物の位置情報に基づいて前記静止物の俯瞰画像をさらに前記表示用俯瞰画像に含めて前記表示装置へ出力する。
【0130】
また、本開示の表示制御装置において、前記表示装置に表示される前記表示用俯瞰画像には、前記カメラの画角外にある前記静止物の俯瞰画像が含まれる。
【0131】
また、本開示の表示制御装置において、前記表示装置に表示される前記表示用俯瞰画像には、前記空き駐車スペースの俯瞰画像との重複部分が削除された前記静止物の俯瞰画像が含まれる。
【0132】
また、本開示の表示制御装置において、前記表示用俯瞰画像は、前記車両が走行している間、前記車両の現在位置から所定範囲内に存在する前記空き駐車スペースおよび前記静止物それぞれの俯瞰画像が表示されるように更新される。
【0133】
また、本開示の表示制御装置において、前記車両は、前記空き駐車スペースに自動駐車を行う車両である。
【0134】
本開示の駐車支援装置は、車両の周辺に存在する空き駐車スペースを検知する検知部と、前記車両の走行を制御し、前記空き駐車スペースに前記車両を自動駐車させる走行制御部と、前記検知部により前記空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させる受取部と、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像を生成し、前記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力する生成部と、を有し、前記表示装置に表示される前記表示用俯瞰画像には、前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる。
【0135】
本開示の表示制御方法は、車両に搭載される装置が行う表示制御方法であって、前記車両の周辺に存在する空き駐車スペースが検知される度に、前記空き駐車スペースの位置情報、および、前記車両に搭載されたカメラにより撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像を受け取り、前記空き駐車スペースの位置情報と前記空き駐車スペースの撮影画像とを対応付けて記憶部に記憶させるステップと、前記車両が現時点よりも過去に位置していた位置で撮影された前記空き駐車スペースの撮影画像に基づいて前記空き駐車スペースの俯瞰画像を生成し、前記空き駐車スペースおよび前記車両それぞれの位置情報に基づいて少なくとも前記空き駐車スペースの俯瞰画像および前記車両の俯瞰画像を含む表示用俯瞰画像を生成し、前記表示用俯瞰画像を前記車両に搭載された表示装置へ出力するステップと、を有し、前記表示装置に表示される前記表示用俯瞰画像には、前記カメラの現在の画角外にある前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、前記車両の現在の位置から見て静止物の陰に隠れる前記空き駐車スペースの俯瞰画像と、のうち少なくとも一方が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本開示の表示制御装置、駐車支援装置、および表示制御方法は、車両の駐車支援に有用である。
【符号の説明】
【0137】
1 車両
3 カメラ群
3a 左サイドカメラ
3b 右サイドカメラ
3c フロントカメラ
3d リアカメラ
4 自車位置センサ
5 表示装置
6 アクチュエータ群
11 検知部
12 走行制御部
14 受取部
15 記憶部
16 判定部
17 生成部
100 駐車支援装置
200 表示制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7